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孫崎亨、田中康夫対談「戦後史の正体」

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 「田中康夫のニッポン最高」、孫崎「戦後史の正体」の解説   書き起こし「日々坦々」から  動画はこちら

田中康夫氏
孫崎享が明かす「戦後史の正体」と題しておなじみ孫崎さん。
今やもう「日本の良識」、「日本の正論」と言われています。よろしくお願いいたします。

孫崎享氏
よろしくお願いします。

田中
孫崎さんが最近お出しになって大変な評価を受けている「戦後史の正体」という本があります。
これは、戦争が終わった1945年、昭和20年から2012年ですね、今の翼賛的な世の中に至るところをお書きですが…。
まあ最近あのTPPとかですね、放射能とかそういう問題で明らかに事は、どうも保守という言葉にも二つあるんじゃないかと…。今までは「保守=革新とは違う」と思ったんだけど、保守の中でも分かれてると、その辺を非常に解き明かされています。

まず早速こちらをご覧しただきましょう。

フリップ①
孫崎1

最初は保守と言われているのかでも「自主自立グループ」と名付けてました。
「積極的に現状を変えようとして米国に働きかけた人」
一番最初に書いてあるのが重光葵という人、「あおい」と書いて「まもる」ですね。
で、石橋湛山。まあ、あの小日本主義を言った人。芦田均、「ひとし」って言うんですかね。

で、岸信介、鳩山一郎、佐藤栄作、この辺はなんか解説いただこうと思うんですが、田中角栄、福田赳夫、宮澤喜一、細川護煕、鳩山由紀夫とあります。ちょっとまず解説いただけますか。重光さんは後でお話いただこうと思いますが…。まあ、芦田さんは確かに敗戦直後…。

孫崎
そうですね、「有事駐留」ということで米軍は常にいる必要はないということを主張された方ですね。

田中
石橋さんも同様?

孫崎
石橋さんは、あの頃戦争直後はなんと日本の予算の30%が米軍経費なんです。だから、食うや食わずの時に30%お金を払ってたんですね。それをいかんと、その削減交渉をして首を切られた人間。

田中
石橋さんはね、それで芦田さんもある意味では、そういう有事の時に駐留と、常時駐留で…。

孫崎
ええ、もうアメリカ軍はいなくていいと、もしどうしても必要だったら、なんかソ連とおかしくなる、そういう時に来ればいいんでね、平生にいる必要はないと。

田中
岸さんも後で60年安保闘争で含めてお願いしますが、鳩山一郎氏。

孫崎
鳩山一郎氏は、アメリカべったりではなくて、中国であるとかソ連であるとか、そういうようなところとも連帯していこうと…。

田中
対米自主自立路線と

孫崎
そうですね、一辺倒ではないと。

田中
なるほど、その孫がある意味では東アジア構想を言ったということですね。佐藤栄作さんというのは、ノーベル平和賞を貰った方ですが…。

孫崎
多くの人は佐藤栄作さんをここに入れるのは疑問だというんですけれども、その面はあるんです。だけれども重要なことは沖縄返還をやったわけですよね。で、沖縄返還というのは、ベトナム戦争の最中なんです。

田中
ああー、そうですね。

孫崎
米国から見たらですね、絶対に手放せない沖縄なんですね。それをいろんな交渉をやりながら実現に持って行ったと。

田中
まあ田中角栄氏は、アメリカの意向に背いて切られたといろんな人が言ってますが、中国との国交回復?

孫崎
中国との国交回復でキッシンジャーが言ったのは、まだアメリカはニクソンが行ったんですけれども、キッシンジャーすぐにできない、アメリカが国交回復できないときに一番うまいところをとった奴は田中角栄だと。我々が手を付けて、しかも美味しいケーキになった。美味しいところだけ日中国交回復をやった田中は許せないと。

田中
そういうなんか、もう嫉妬の構造なんですね?

孫崎
そうそうなんです。(笑)

田中
で、角福戦争と言われていて、最も違うと言われていた福田赳夫氏。

孫崎
福田赳夫さんは、明確に米国との対立はないんですけれども、東南アジアとかね、これも米国一辺倒ではないアジアとの関係を持つことによって、日本を多角化外交しようと。たとえば、アセアンとの友好であるとか…。

田中
なるほど、まあ、「米語使い師」と言われた宮沢喜一氏がここに入ってきました。

孫崎
宮沢喜一さんも安保条約を作るときには、米軍一辺倒ということに対してはかなり抵抗してるんですね。
たとえば、細かい話になりますと、今、地位協定とかそういうところでアメリカがOKと言わなければ出られないようなシステムになっているんです。「こういうのはおかしい」ということを言ったり、かなり彼なりに頑張っている。

田中
細川護煕氏もそうなんですか?

孫崎
ええ、
これも冷戦が終わった時に、米国追随を止めて、日本は国連であるとか多角化的な外交をすることが一番だと。これまで、日本の外交はアメリカ追随が1番だと、2番目がその他のものだと。ところが細川さんグループをつくりまして、勉強をやって1番は国際的な協調だと、これが切られる一番大きな理由になったと思います。

田中
先ほど名前が出てきた鳩山一郎氏の孫の鳩山由紀夫氏。まあ、これは東アジア共同体?

孫崎
ええ、それと普天間問題ですよね。だから、非常に大きいことは、多くの人が鳩山さんが普天間問題を言った時には、米国にものを申すという政治家は、あまりいなかったとみんなは思ってるんですけれど、実は歴史的にみると非常に多いんですね。言わなくなったのは細川さんの後ですから、90年くらいから無くなってきたと。

田中
そうか、そうしてみると栄ちゃんと言われた佐藤栄作氏とかは、良い意味でなかなか高等戦術の人だったわけですね。

孫崎
頑張ってますよ。

孫崎2

田中
さて、親子でも恋人でも夫婦でもですね。お互い100%意見の一致なんて無いわけですから、アメリカが真の友人ならなおの事、アメリカが歩むべき道を見失ってる時には、それは中国に対しても他の国に対してもキチンと助言するのが本来の外交ですよね。
ところが阿い追従グループ、媚び諂(へつら)って追従する。吉田茂という人は私が小学校の時に国葬して、そんなにすごい人なのかと思っていたんですが、実は吉田氏は米国の信頼を得て国益を最大化しようとした人。

孫崎
私は、一番の戦後史の問題人物は吉田さんだと思っています。
どういうことかという後で出てくるかもしれませんけれども、占領下は基本的には米国の言いなりになるんですよね。もうアメリカに、アメリカの言うとおりにするというのが日本の政府。
その時の首相ですから、これはもうしょうがない。
だけど、それを独立してもそのまま引きずった。それで今日、安保条約とか米国追随のものを作ったのが吉田さん。

田中
そうかあ、池田隼人氏。麦を国民には食べさせて…。

孫崎
それで後で出てくるんですけども、岸さんが自主を唱えるわけですよね。

田中
安保の良い意味での改定をと彼は思ったわけでしょ?

孫崎
それを切って持ってきたのが池田さんですから。

田中
それがまた経済に吉田氏、池田氏は、経済中心の国にしようと言ったんで平和主義者であるかのように勘違いされていると。
三木赳夫。煮ても焼いても食えない人ですね。

孫崎
これは田中角栄の時に、これを今までの常識と異なって、田中さんを有罪にするために米国と連携したと。

田中
なるほど、そしてまあ、小泉純一郎氏は皆さんご存知プレスリーのカーボーイハットですから、今でも…。
まあ、海部俊樹、小渕敬三、森喜朗。安倍晋三氏はあれですね、あの岸信介氏の孫なのに…。

孫崎
それを繋いでいないんでしょうね。残念ながらねえ。

田中
小っちゃい時にお馬さんをおじいちゃんにやってもらう…、あ違う、渡辺恒夫氏がお馬さんをやってたら、家の中で「安保反対」って小っちゃい時言っておじいちゃんに怒られたって話がありますが・・・。
麻生太郎氏はそうやって考えると吉田茂の系統で。
菅直人、まさに市民運動家のなれの果てですが、まあ、野田佳彦…。

孫崎
一番ひどいんじゃないですか野田さんは…。

田中
ああ、今一番有名なツイッターで流行ってるのが、アメリカの老夫婦が日本でドックショーを見に来たと。
見に来てドックショーの経営者に「いったいアメリカの犬はどこにいるのよ」と言ったら、首相官邸に案内されたっていうのが今大変に出てますが…
孫崎さんに「転ばぬ先のツイ」という、孫崎さんがずうっとツイッターで書いたのをまとめた本もありますけれども…。
さて、そこでですね冒頭に出てきた重光葵(しげみつまもる)の話になります。
1945年の9月2日に米国側は三文書を公布したと。ほんどですか、これ。
「公用語を英語に」、「対米軍違反は米軍の事裁判で」、「通貨を米軍の軍票にしろ」と…。
孫崎3

孫崎
いや、これ作り事じゃないんです。
9月2日ね、降伏文書に署名して、米軍側は「これを9月3日に公布するから全ての手続きをやれ」と命令したわけですよ。

田中
すばらしい、手続き無視の民主主義国家ですねえ。

孫崎
ええ、それで「これは大変だ」ということで重光さんが、当然のことながらマッカーサーは会うことはできませんから、この頃米軍は横浜にいたんですね。
勿論アポイントも取れずに出かけた時の気持ち、これが「折衝のもし成らざれば死するとも われ帰らじと誓いて出でぬ」と。
要するに公用語を英語にしたり、それから裁判を米軍にしたり、通貨が軍票になったりということで、大変なことになると。

田中
いくら敗戦したとはいえ一応は国家ですからね。

孫崎
まあ、それをやろうとしたんですね、それを重光さんがひっくり返したんです

田中
ひっくり返したと。
しかし、その直後の9月15日には外務大臣を辞任している。

孫崎
だから本来ならね、日本の国のある意味では英雄的な扱いをしなきゃいけないけれども、それを首切る。
首を切った後に出てきたのが吉田茂。
吉田茂は何ていったかというと、「俺はアメリカといろんなことをやってきたけれども、まな板の鯉のようにする、アメリカに言われたらジタバタせずにそれをそのまま受け入れる、それが鯉の美学だ」と。

田中
ところが、高坂正堯(こうさかまさたか)というお亡くなりになった、前原誠司さんという口先番長の先生だったという人は、凄いこと言ってますね。

「実際、吉田はマッカーサーと対等な立場を自然にとることができる人物だった。吉田は何よりも日本の復興のことを考えていた。改革がその目的に反する場合、徹底的に反抗した」

我々も何となくそんなイメージだったのが、孫崎史観というのは陰謀説ではなくて、まさに今回…、これだって外務省の中に実はある公用文書を全部ご覧になられて、まとめられたということですね。

孫崎4

そして同時にですね、敗戦の年の9月2日の降伏文書で、「日本はポツダム宣言実地のため、連合国最高司令官に要求されたすべての命令を出し、行動をとることを約束する」というふうに書いてありますが…。

孫崎
これが、降伏文書なんです。だから日本の人はね、ほとんどこのスタートを見てないんですね。
だけどスタートは、先ほど「日本の政府がある」ということを言われましたけれども、しかし、日本の政府は、アメリカに言われたことを全ての命令を出して行動することを約束すると言って成立したのが、日本の政府なんですよ。

田中
そうか…。で、この時、9月6日にはですね、ハリー・S・トルーマン大統領、いわゆるトルーマンドクトリンという言葉で、日本ではあまり評判がよくないですが…。

「連合国最高司令官の権限に関する通達」

これすごいですね。

我々と日本国の関係は契約的基礎でなく、無条件降伏を基礎とする

「日本の管理は日本政府を通じて行われるが、満足な成果をあげる限度内でしかない。必要なら直接行動する権利を有する

孫崎
これが今日まで続いているわけですよ。さっきね、この占領の時の処理の仕方を吉田さんはずうっとやってきたわけですよ。
吉田さんは、向こうに言われたことをちゃんとするという任務をおった首相。その首相が、講和条約があって独立した後も続けたわけです
よね。

田中
そうしてみると、みんなが美化している白洲次郎という人の評価も、もう一回再評価しないと、再評価というか再査定しなきゃいけなくなりますね。

孫崎
同じことですね。だから、白洲次郎さんとか重光さんとかというのは一緒にはならない。だから独立派の芦田均とか重光さんとか、そういうふうなところと白洲次郎は違うんですよ。重光さんとか石橋湛山、芦田均、こういう人たちは戦後の時に独自路線をやろうとしたんですよ。

田中
石橋湛山が病気になったというのも、あれはよくわからない?とも言えますね。

孫崎
それは、あの時に言われたのは、石橋湛山は早稲田大学で講演して、それで風邪をひくんですね。だけど、その側近が言ってるのはね、それだけじゃなくて、彼はものすごく体重を落とすんですよ。「肺炎だけでは体重は落ちない」と主治医が言ってたと…。

孫崎5

田中
さて、安保条約に臨むアメリカの姿勢で、ジョン・フォスター・ダレスはですね、

われわれが望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利を確保、これが根本問題

行政協定の中に
「日本はアメリカに対して、必要な施設および区域の使用を許すことに同意する」
「いずれか一方の要請があるときは、前期の取り決めを再検討しなければならず、(略)施設および区域を日本国に返還すべきことを合意することができる」

ここはまだポジティブに見えるんですが、良く見てみると、

90日以内に協議が整わねば、整うまで暫定的にその地点に留まってよい、合意が出来なければそのままで、孫崎史観に言わせると、独立する意味が無いと・・・。

孫崎
これは私の言葉ではなくて、さっき言った宮沢喜一が言ったことばなんです。

田中
あっ、そうですか、あの英語使いといわれている・・・。

孫崎
ええ、90日以内に協議が整わねば、整うまで暫定的にその地点に留まっていい、という言葉が入っていて、「これは何だ」と、「これは独立した意味が無いじゃないか」と言って文句を言ったのは宮沢さんなんですよ。宮沢さんがそう言って、行政協定から一旦は無くなるんです。しかし、交換公文でこの文章がすうっと入るんです。

田中
そしてさらに岸信介氏は安保条約と行政協定(米軍関連)の改定を意図していたと。
その時に60年安保闘争と、ところが全学連のブントといわれている人たちは電話代すらも払えないで滞納していたと。
ところが急に都電など借り切って、バス借り切ってデモに出てくるのはなんじゃらほいと言ったら、いわゆる黒幕の田中清玄と接触していた。そして、その中で電力、製鉄、製紙、新聞等の業界。
松永安左衛門(電力)ですねえ、今里広記(日本製鋼)、あるいは中山素平(日本興業銀行)と、こういう人たちがお金を実は安保闘争に出して「岸追落とし」を計った。

そして、このアレン・ウェルシュ・ダレスCIA長官、先ほどの兄弟になりますけれども、

日本のために望ましいのは、岸が辞任し、出来れば吉田に代わる事だ

米国の国家安全会議で60年の6月8日に言っている。そして安保はそのままいくが岸が思ってような改定ではなく、続いてそして対立しちゃうと。

孫崎
一番重要なことは、岸は行政協定、今の地位協定に手を付けようとした。だけど、ここに手を付けられなかったんです。
そして池田隼人になる。池田隼人は全く安全保障のことはやらない。

田中
そして今なお、ある意味じゃあ・・・。

孫崎
今なお、オスプレイの問題とか、そういうようなものを基地に対して、何もいえないじゃないかと小沢さんが言ってますよね。
それはある意味じゃ正しいんですね。というのは、そんな仕組みなんだから。

田中
しかしまあ、そうやって考えると、まさに真にですね、家族や隣人や郷土や日本を愛して、よりよくしていくという保守と、そうではないどこかを向いている保守と、極めて最近鮮明になってますが、
それは実は戦後直後からあったということを解きほぐしたのが「戦後史の正体」であります。
今日は、また目から鱗の話を・・・、口が回らなくなってしまいました。是非また番組にご登場いただいて、その続編をお届けいたしたいと存じます。

孫崎享が語る「戦後史の正体」をお送りいたしました。どうもありがとうございました。
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 このブログ内の孫崎氏関連ページ。

尖閣(釣魚)事件(8)政権崩壊へ自滅か
世界通貨戦争(20)TPPは日米不平等条約
第一原発は既に「深刻な事故」のレベル
震災・原発の状況と孫崎氏
孫崎氏原発情報3/23
孫崎亨氏講演:領土問題と日米関係の事実
戦後米国支配とかいらいマスコミに鉄槌を」。
孫崎亨、岩上対談:原発と日米関係
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