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もうすぐ北風が強くなる

世界通貨戦争(13)闘う政治を

 アメリカのドル大増刷は世界から批判されている。
 投機市場に回る結果しかないと考えるが、まあ考えようによっては株式投資の多い国ゆえに多少なりとも自国信用の延命効果にはなるだろう。
 また、日本のような「完全無策」の国と、例え批判されても大胆な実行力は経済評価として無視されない。

 中国は中国で人民元を大増刷し、通貨を回転させている。
 結果的には物価上昇と不動産バブルが進んでいる。
 しかし、賃金が毎年10%以上も上昇している国では、5%位の物価上昇はインフレと規定はしない。
 しかも生活必需物資は、じきに物価統制するだろう。
 これまた、日本のような「完全無策」と比較すべくもなく経済評価される。

 日本の「完全無策」はアメリカの植民地という立場に規定されている、ほぼ強制的な選択肢なのは事実だ。
 だが、その条件の中でも気力を持って闘うなら、かなりの政策は実行できるのではないのか。
 少なくとも、最初から「思考停止」しているより、少しは闘って考え、考えてはまた闘い、動かなければならないはずだ。
  
 思考停止の経団連、連合。同じ思考停止のブザマさを、を党内権力闘争に転化した「オリジナル民主党」。
 今、世界は軍事と経済の両戦争が進行しているのだ。
 政策論争を封殺して、反小沢で政局のイニシアチブを取ろうなどと卑劣なことは直ちに止めることだ。
 
 アメリカの制約とは言え、そのなかでも、闘って可能性を動かしてゆく。
 そうした実行力、闘う力が政治に求められている。
 いま、政治主導こそが求められている。
  
 年末の「世界通貨戦争(12)日米の2011年」に続いて、産経新聞唯一の星である、田村秀男氏から引用します。  

【新年経済講座】今年の日本の課題 政治家よ「血気」取り戻せ 編集委員・田村秀男
2011.1.3 15:11

 景気とは気。経済学の巨頭、J・M・ケインズは企業家の「アニマル・スピリット」(血気)の大切さを論じた。今年の日本の課題は、20年間も空白の「気」を取り戻すことにある。

 デフレ回避に米中奔走

 米国は大胆な政策を断行する。「バブルやインフレの輸出」と新興国から非難されようとも、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は月平均10兆円単位のドル資金を発行し、金融市場に流し込んでいる。米株価は上昇基調に転じ、日本の株価もつられて上がる。株式投資家の数が野球ファンより多い米国では、株価の上昇が人々の消費意欲をかき立てると、FRBは判断したのだ。

 中国の場合、まるで狂気に駆られたように、共産党主導で人民元札を大量発行し、国有商業銀行には融資額を前年比で一挙に3倍にも増やさせた。その結果が不動産バブルとインフレ懸念だが、とりあえずは日本のようなデフレ病に罹患(りかん)するのを免れている。

 日本の政策当局にまず、必要なのは「正気」である。日銀の場合、FRBの挑戦をみて、株価指数連動型の投資信託や不動産投資信託の買い上げに踏み切ったが、相変わらずの小出し路線だ。デフレなのにインフレを恐れる異常な政策だ。

 菅直人政権による政策の貧困は、小沢一郎民主党元代表の国会招致などをめぐって空転する政局のせいではない。最優先目標の設定と道筋をつくり合意に導く情熱に欠けているからだ。

 日本本来のビジネスモデルは米国のような金融主導ではない。実物主導型である。であればモノづくり、キメ細かいサービス、あるいはそれに関連するソフトウエア、ノウハウが日本の生命線である。環境、西洋・東洋の統合医療、高品質の農業、精密な航空宇宙産業などを新成長分野としてとらえる。そのために必要な教育サービスを充実させる。

 成長の担い手育成急げ

 新しい成長、すなわち富を創造する人材や企業を奨励し、育成し、報いる。その太い一本の線で税制、財政、金融、規制改革をつなぐ。設備投資や研究開発関連の減税制度を縮小するというのは、企業家から「やる気」を奪う最悪の選択である。

 「財源がない」というのは無策の言い訳である。日本にカネはある。回らないだけである。膨大な貯蓄が国内投資に向けられず、国内の人材、設備、技術などの資源が活用されていない。それが投資や消費の低迷を招き、巨額の需要不足がデフレを助長し、若者から雇用の機会を奪っている。日本は2009年度末で対外純資産266兆円、世界最大の債権国になっている。世界の投資機関はそうみて、円買いに走る。

 ならば政府と企業は国債や社債をもっと発行できるゆとりがある。ないのは今ある好機を生かす政治家の血気だけである。
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