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縮小のスパイラル:三橋

 縮小のスパイラルとはデフレのスパイラルと言っても基本は同じである。
 97年橋本政権の消費税増税と、同時に進んだ累進税率緩和によって、逆進課税が大きく進んでしまった結果、消費性向の高い層の消費が「順当」に減少を続け、物価の緩やかな下落と企業投資の縮小が続いた。
 そのため、賃金総額も減少を続けて、さらに勤労家計の可処分所得は減り続け、今に至る縮小循環となっている。

 これがデフレスパイラルである。
 金融資本は中小零細に貸し出さないし、大企業は投資効率がマイナスなので資金需要も縮小する。
 金融・保険は国債と手数料でしのいでいるわけである。
 そして、もちろん税収も減り続けている。

 
 ギリシャの財政超緊縮政策は、この日本のデフレ恐慌よりもさらに激しいものになるだろうか。
 日本はこれから消費増税しようとしている。日本の消費税は、欧州の付加価値税と異なり生活必需品もすべてなので、実に大きな逆進課税となる。
 従って、ギリシャの始まったデフレ恐慌よりも、日本が緩やかとは判断予測はできない。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  縮小のスパイラル 5/25  三橋貴明 Klugから

 現在のギリシャで起きている問題は、日本と同じである。
 すなわち、バブル崩壊後のデフレ化局面において、政府が緊縮財政を強行し、増税や政府支出削減で現実の需要(名目GDP)が縮小し、結果的に「名目GDPを源泉とする税収」が減ってしまうという問題だ。
 税収の減少とは、すなわち財政悪化である。財政が悪化すると、政府は再び緊縮財政に走り、名目GDPがマイナス成長となり、税収が減る(=財政が悪化する)悪循環が続いていく。

 5月8日、ギリシャのイメリシア紙(オンライン版)は同国の4月の歳入が、対前年比で10.2%減少した、特に「消費税収入」が13.5%落ち込んだことを報じた。
 ちなみに、ギリシャの消費税は23%なわけだが、税率を上げようが上げまいが、母数となる消費が落ち込めば、消費税収もまた減ってしまうのである。
 ギリシャは過去十年間で、消費税を18%から23%に引き上げた。同時に、法人税は40%から24%に引き下げられた。どこかの国の経団連会長が声高に叫んでいる政策を、ギリシャは過去にそのまま実行していたわけだ。

 別に、筆者は法人税減税について「常に悪い政策」などと言うつもりはない。インフレ期、すなわち国民の需要(名目GDP)に供給能力(潜在GDP)が足りない状況であれば、法人税減税は問題の解決策になり得る。
 法人税を引き下げとは、税引き前利益から差し引かれる税金が減るという話だ。すなわち、税引き前利益から法人税を引いた純利益(最終利益)が増える。

 インフレ期に純利益が増えると、企業は余剰となった資金を設備投資に回すだろう。あるいは、人員の増強を目指すだろう。
 設備投資や人員が増えれば、企業の供給能力が高まり、インフレ率が抑制される「はず」だ。
 上記が、インフレ期に「インフレ対策」として実施される法人税減税のロジックである。
 予め書いておきたいが、上記の施策には複数の問題というか、懸念がある。

 一つ目は、もちろん経済環境がインフレではなくデフレの場合、企業は法人税減税によ増えた純利益を、果たして投資や雇用に回すのか? という問題である。
 何しろ、デフレ期には投資するよりも、銀行預金で持っていた方が価値は高まる(物価下落、通貨価値上昇による)。実際、デフレに苦しむ日本企業は、純利益の多くを内部留保に回してしまう。
 何しろ、2011年末時点の日本の一般企業(非金融法人企業)の現預金保有額は、210兆円を上回っているのである。
 無論、日本の一般企業としては、史上最大の現預金保有額だ。

 法人税減税の二つ目の懸念は、たとえインフレ期であろうとも、企業の純利益が増えた場合、単に株主への配当金が増えるだけという結果を招くのではないか、という問題だ。
 株主資本主義において、最も重要視されるのが配当金だ。株主への配当金の原資は、もちろん企業の純利益である。

 法人税を引き下げ、企業の純利益を増やしたとして、それが本当に投資に回るのか。単に、株主への配当金増大を招くだけなのではないか。
 デフレ期はもちろん、インフレ期であっても上記の疑念をぬぐえないわけである。
 何しろ、法人税を引き下げると、政府は減収になる。政府は減収分を消費税など「家計」に対する増税か、もしくは社会保障費の削減で補わなければならない。
 すなわち、法人税を引き下げ、企業が得をしたとき、必ず反対側で政府及び家計が損をせざるを得ないのである。

 家計の損という犠牲を払い、法人税を引き下げたとして、それが投資や雇用を生み出すならともかく、株主の財産を増やすだけでは、納得する国民は少ないだろう。
 とはいえ、政府はもちろん法人税引き下げの際に「増えた純利益は、必ず投資もしくは雇用創出に回すこと」などと指示することはできない。
 結局、株主本主義が幅を利かしている現在においては、インフレ期だろうがデフレ期だろうが、企業減税は「投資減税」あるいは「雇用減税」といった形を取る必要があると考えるわけである。

 さて、ギリシャは過去に日本の経団連が望む「法人税減税、消費税増税」を実施したものの、現実には同国の供給能力不足が解消されることはなかった。
 すなわち、需要に供給能力が追い付かない状況が続いたわけで、ギリシャの貿易赤字の幅は拡大していった。

 ギリシャの貿易赤字は経常収支の赤字化をもたらし、国内が過小貯蓄状態になる。
 それにもかかわらず、ギリシャ政府は社会保障支出削減などに踏み切らず、同国の財政問題はひたすら悪化していく。
 加えて、07年以降のドイツを除くユーロ全域でバブルが崩壊を始め、ギリシャ国内では需要、すなわち名目GDPが減少を始める。

【図155-1 ギリシャの名目GDPの推移(単位:百万ユーロ)】
20120521.png
出典:ユーロスタット

 名目GDPの成長率は、実質GDP成長率+インフレ率になる。すなわち、インフレ率がプラスであれば、実質GDPが横ばいであったとしても、名目GDPはプラス成長になるのだ。

 ギリシャは現時点では、物価上昇率がギリギリでプラスを維持している。それにも関わらず、名目GDPがマイナス成長になっているわけで、ギリシャの実質的な生産やサービスの供給がいかに落ち込んでいるかが分かる。
 もっとも、ギリシャの失業率はすでに20%を超えているわけだから、名目GDPや実質GDPを見ずとも、同国の経済が危機に陥っていることは理解できるわけだが。

 政府の税収は、名目GDPに比例して動く。名目GDPが縮小している状況では、たとえ増税を強行しようとも、政府は減収になってしまう。結果、財政が悪化する。
 97年の橋本政権による消費税増税の際には、確かに消費税収入は増えたのだが、名目GDPマイナス成長により、所得税と法人税が激減し、税収全体が減ってしまった。
 それに対し、現在のギリシャは不動産面積税など各種の新税により対外債務返済の原資を確保しようとしているが、それが国民の消費を縮小させ、消費税収が減収になってしまっているという話である。

『2012年5月21日 読売新聞「消費増税実現のテコ?...G8で首相「国際公約」」

 19日夜(日本時間20日朝)閉幕した主要8か国(G8)首脳会議(サミット)で、野田首相は消費税率引き上げ関連法案の成立に強い意欲を表明した。
 衆院社会保障・税一体改革特別委員会で21日から始まる本格的な論戦を控え、国際会議での「公約」を消費増税の実現に向けたテコにしたい考えがあるとみられる。
 野田首相はサミットで、「我が国の財政健全化は社会保障・税一体改革を柱として努力している。消費税法案をぜひ成立させたい」と述べた。
 野田首相はこれまでも、国際会議の場で消費増税を含む財政再建を「国際公約」してきた。さらに今回は、今年度の経済成長率について「2%を上回りたい」との考えも表明した。2012年度政府経済見通しの「実質2・2%成長」に基づく内容で、財政規律と経済成長の両立という今回のサミットのテーマを踏まえた発言だ。』

 今や、財務省傘下の新聞と化している読売新聞は、野田首相がサミットにおいて「消費税増税を国際公約にした!」などと、意味不明な報道をしている。世界最大の対外純資産国で、かつ国債の100%が日本円建ての日本が、
「財政健全化のために消費税を増税します!」
 などと言ったところで、他国からしてみればどうでもいい話だ。
 無論、日本政府にドルやユーロを貸し付けている機関投資家が存在すれば、我が国の緊縮財政の状況は気になるだろうが、現時点で日本政府に外貨建ての借金はない。

 実際問題として、今回のサミットで話し合われたのは、ギリシャ問題だ。ギリシャの政局や債務問題について多くの時間が割かれ、G8筋の中には、
「ギリシャにサミットを乗っ取られた」
とこぼす人物もいたという。我らが野田首相は、ギリシャ問題について何ら具体的な言及をせず、国際情勢に疎いことを世界にさらしただけに終わった。
 そもそも、現在の財務省が推進している「社会保障費用」を「増税」で賄うという発想には、無理がある。何しろ、本連載で何度も繰り返した通り、税収の出所は国民の所得以外には存在しないのだ。

 国民が働き、生み出した付加価値(製品やサービス)に対する支払いを受ける。この「働いて新たに創出した付加価値に対する報酬」こそが、所得と呼ばれる。
 国民の労働が生み出した付加価値は「生産面のGDP」、付加価値に対する支払いは「支出面のGDP」、そして国民が労働の対価として受けとった所得が「分配面のGDP」として統計されるわけである。

 当然の話として、上記の所得生成のプロセスにおいて、生み出された付加価値とそれに対する支払い、さらに付加価値を生み出した人の所得は、全て同額となる。
 マクロ的に言えば、生産面のGDPと支出面のGDP、それに分配面のGDPは、必ず一致する。これを、GDPの三面等価の原則という。

 新聞などが説明もなしに使っているGDP(国内総生産)とは、実は国民が一定期間に生み出した、新たな付加価値に対する支払総額、すなわち所得の合計なのである。
 この「所得」の中には、読者が企業で働き、受け取った給与所得が含まれている。あるいは、筆者が執筆活動の結果として受け取る原稿料や印税も入っているわけである。

 そして、税収や社会保障費用は、国民の所得からの「政府への分配」になる。消費税は付加価値創出時点で政府に支払われる所得だ(分配面GDPの「生産・輸入に貸される税」)。
 また、所得税や法人税は国民が所得を得た後に、改めて政府に分配されるものだ。
 読者は給与所得から所得税や住民税、健康保険料や年金保険料などを支払っているだろうが、まさにあれこそが「政府への所得の分配」に該当するのである。

 あるいは、国民が貯蓄から税金等を支払った場合であっても、最終的なお金の出所は所得になる。
 そもそも貯蓄とは「国民の可処分所得から、消費や投資に回らなかったお金」を意味する。
 税収や社会保障費用の財源は、元を辿ると必ず「国民の所得」に行き着くのである。
 最終的な出所が国民の所得である以上、政府は国民負担率(=租税負担率+社会保障負担率)を100%にすることはできない。
 すなわち、税率を対国民の所得で100%にすることは不可能なのだ。そんなことをした日には、国民が飢え死にしてしまう。
 餓死の危機に直面した国民は、最後は暴動だろうが何だろうが、あらゆる手を使い、政府を倒すだろう。現在のギリシャやスペインでは、実際に政府の緊縮財政(増税など)に反対するデモ、暴動が発生しているが、あれがさらに激しくなるわけだ。

 統計的に、税収は決して「国民の所得(GDP)」を上回ることはできない。国民負担率はどれほど高めてもMAX100%であり、101%は有り得ないのだ。

 それに対し、政府の社会保障費には限界というものがない。例えば、日本政府が年金等の所得移転支出を年間1000兆円、2000兆円にすることすら、財源の話を無視すれば、論理的には可能なのだ。
 単に、政府が国民に「今年の年金支払額の総計を、1000兆円にします」と、予算を立ててしまえば済む。

 ご理解頂けたと思う。「増税で社会保障費用を賄う」というロジックは、GDP(国民の所得)という限界がある国民負担で、限界がない社会保障費を賄うという話になり、論理的に矛盾しているのである。
 「有限のもの」で「無限のもの」を賄おうという発想で、根本からおかしいのだ。

 無論、名目GDPが成長し、「増収」になった分で社会保障費用を賄うというのであれば、まだしも話は分かる。
 とはいえ、「増税」はおかしい。何しろ、消費税だろうか所得税だろうが、あるいは法人税だろうが、対国民所得で100%超の負担を求めること(=増税)はできない。
 増税には限界があるが、社会保障費は論理的に無限だ。
 無論、増え続ける社会保障費用の財源を維持する方法は存在する。だが、それはあくまで政府の「増収」であって、増税とは必ずしも限らないのである。

 そして、現在の日本やギリシャが増税を強行すると、名目GDPのマイナス成長を招き、政府は減収になる。無限に拡大し得る社会保障費を賄うどころか、財源がより乏しくなってしまうのだ。
 結果、当然の話として財政が悪化し、政府がさらに増税に踏み込むと、名目GDPと税収がさらに落ち込む。この縮小のスパイラルは、政府が正しいデフレ対策を打たない限り、底なしで続いていく。

 ギリシャ国民は、上記の縮小のスパイラルを招くデフレ下の緊縮財政に対し、総選挙でNOを突きつけたわけだ。さて、日本国民はどうするのだろうか。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このブログ内のデフレ論を中心に、過剰米国債、円高関係ページのリンク。

・ 労働分配率の強制修正
・ 世界で日本のみデフレ
・ デフレ脱却には賃金上昇が不可欠
・ 民間給与5.5%減、237,000円減
・ 日銀の金融緩和は誰のためか
・ 通貨戦争(4)日本
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・ デフレ脱却できないままに食料・石油が高騰してくる
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・ 100兆円の余力を持ったまま自殺するのか
・ 復興財源には外貨準備を使え 
・ 滅亡か、米国債売却による経済復興か
・ 窮乏化する日本
・ デフレを知らないふりする増税論者ども
・ 日本に増税を求める国際金融資本
・ デフレ下で増税を叫ぶ愚者たち:三橋
・ 通貨戦争(37)財務省・日銀の窮乏化政策
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・ 60歳の地獄か、年金と再雇用の現実
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