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もうすぐ北風が強くなる

原発は核兵器と同じ、人間が使えない技術

【こちら特報部】「原発は核兵器と同じ、破滅の道に」 5/5 東京新聞 書き起こし「大友涼介氏のブログ」から

今日五日深夜、国内で唯一動いていた北海道電力泊原発3号機が定期検査のために停止され、国内五十基の原発がすべて止まる。この北の大地にも、原発に反対し続けた「不屈の学者」がいた。元北海道大助教の大友詔雄さん(66)だ。今は道内で自然エネルギーの普及に尽力する。脱原発への思い、自然エネルギーの可能性について聞いた。(佐藤圭記者)

※デスクメモ スウェーデンは三年前に段階的廃止を転換した。原発は十基あり建て替えも認められるが、経済性から脱原発は変わらない。
なにせ政府の補助金はなく、事故時の賠償の証明も必要。水力など自然エネは五割近い。
一方の日本。電力会社の強気は政府の後ろ盾があるからだ。交付金の見直しも議論しよう。(呂デスク)

■稼働ゼロは通過点

「すべての原発が止まったとしても、それは一つの通過点に過ぎない。各原発の原子炉内と使用済み核燃料貯蔵プールには、膨大な量の放射性を持った核燃料集合体が残ったままだ」。札幌市内の事務所で、大友さんは「原発稼働ゼロ」を冷静に分析する。

「放射性廃棄物の処理方法も決まっていない。これらを安全に管理する仕組みをつくっていかなければならない。脱原発を実現するまでには、困難な問題が山積している」

■不屈の学者・大友詔雄元北大助教

一度は「原子力ムラ」の中枢に足を踏み入れた。北大工学部助手となった大友さんは二十九歳の若さで、日本原子力研究所(現・独立行政法人日本原子力研究開発機構)の専門委員に抜擢された。
事実上、同研究所が原発の技術的検討を担っていた一九七〇~八〇年代の話だ。「原子力の実態を知れば知るほど、安全性に疑問を抱くようになった」と振り返る。

委員になって八ヶ月後、三十歳の誕生日を機に辞任。「使えない技術としての原子力研究」に転じた。

大学では、昇進の道が閉ざされただけでなく、同僚や学生との接触も禁じられた。「『北大に大友という人物はいない』ことにされた。
だから全部自由時間。昇進できないので給料が上がらないが、自由を買ったと思えば安いものだった」と苦笑する。

■膨大な「廃棄物」処理・管理

折りしも八六年、旧ソ連のチェルノブイリ事故が発生した。「自由時間」の三年を費やして一冊の解説書を書き上げる。九〇年に出版された「原子力技術論」だ。
専門委員時代に知り得た原子力の歴史などが詳述されている。原子力が「使えない技術」であることの立証を試みた。

本の冒頭で次のように問題提起している。

「環境に放出された放射能を制御する方法を人間は持っていない。原子力の潜在的危険とは、人間社会が決して受け入れることのできない危険ではないか。もしそうなら原子力技術は果たして使えるのだろうか」

七九年の米スリーマイル島事故と、チェルノブイリ事故が「安全神話」を崩壊させた。
しかし、日本では、これに東京電力福島第一原発事故が加わっても「安全神話」が横行する。関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を巡る急ごしらえの安全措置が典型的だ。

大友さんは「『技術論』を書いた二十数年前にタイムスリップしているようだ。日本は何も進歩していない」と嘆く。

■「核兵器と同じ、破滅の道に」

原子力と他の技術の違いは何か。大友さんは「放射能の問題に尽きる」と断言する。

「放射能と他の有害物質を同列に論じることはできない。かつて公害を引き起こしたカドミウムなどの有害物質を安全に管理することは比較的容易だ。だが放射性廃棄物を管理する場合、千年、万年オーダーになる

放射能の問題は、生産技術の「イロハ」を許さない。「通常の技術は、百パーセント完璧にできていることなどあり得ない。故障したり、事故を起こしたりする。そのたびに改良改善し、安全性を向上させる

一方の原子力は「一度大事故を起こせば修復不能だ。しかも人類の破滅につながる。実はミサイルなどの軍事技術は、一度きりで修復する必要がない
つまり原子力は軍事技術と同じレベルのものだ。放射能を撒き散らすという点では核兵器と変わらない」。

世界の原子力専門家の多くは危険性を十二分に認識していた。それゆえに「使えない技術」であることを隠蔽してきたのだ。「技術論」には、その実例が列挙されている。

例えば、米国物理学会が七五年にまとめた報告書で、福島のような過酷事故のメカニズムを解明していた。結論は「原子炉を人口中心地から八百キロ離す必要がある」だ。

同じく七五年、旧西ドイツ原子炉安全研究所は、使用済み核燃料再処理工場の大事故想定評価で「死者は三千万人」と警告していた。

大友さんからみれば、大飯原発の再稼働を「政治判断」で決定するのは「核兵器を使うかどうかを政治判断で決めるのと同じだ。現政府は、日本を破滅に導くような判断であることを自覚しているのか」。

■選択は国民 情報示せ

ではどうすればいいのか。「エネルギーは選択の問題。言うまでもなく決めるのは国民だ」と主張する。そのためには「選択のために必要な情報」が明らかにされなければならない。

そして、八〇年の国民投票で原発廃止の方向を選択したスウェーデンを引き合いに出す。この時の「情報」の一つが、「石油を超えるスウェーデン~原子力への傾斜と太陽の選択」と題するスウェーデン議会事務局の報告書だ。

「原子力と、ソーラーを中心とした自然エネルギーを比べるとコストは同じだった。スウェーデン国民は当然、自然エネルギーを選んだ」

大友さんは、自然エネルギーについても「実践」の裏付けがある。北大在職中の九九年、大学ベンチャー企業として「自然エネルギー研究センターNERC」(札幌市)を創設した。
泊原発の建設反対運動を支援していた八〇年ごろ、集会で出会った老漁師の一言が自然エネルギーへと導いた。「原発が危険なものだということは分かっているが、拒否したら自分たちの未来は貧しいだけだ」

原発の立地には過疎地が狙われる。地域を豊かにしなければ原発は止められない。大友さんは太陽光や木質バイオマス、風力などの研究に打ち込んだ。こちらは「使える技術」だった。五年前に大学を退官した後は、自然エネルギー一筋だ。北海道内には、手掛けた成功例が着実に積み上がっている。

だから今、自身を持って「自然エネルギーで地域は自立できる」と大友さんは言える。

「エネルギーの自立は難しい話ではない。ヨーロッパでは実現している。原発が止まれば、自然エネルギーの普及はやりやすくなる。
スウェーデンのように、原子力ジャパンとソーラージャパンを対比させてみればいい。国民は必ず自然エネルギーを選ぶ」
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