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もうすぐ北風が強くなる

関東の放射能と対策:早川

 内容は関東中部の放射能汚染と土質の関係(風積土)、そして日常の放射能防護対策(健康に生きること)です。
 講演の対象に想定されているのは、東京区部東部から柏など千葉県北西と茨城県、及び栃木、群馬山間部を除く関東平野部です。
 仙台から石巻、登米にいたる宮城中北部も同様に受け止めて良いと考えます。 
 「早川:放射能汚染図6訂版
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 火山学者が見た2011年3月の福島第一原発事故  3/24 早川由紀夫 埼玉県朝霞市講演

 朝霞講演のキーワードは、「関東ローム層は、富士山の堆積物ではない」。これをよく考えてゆくことが、みながこれから放射能とつきあってゆく上でのヒントになり、大事な手がかりを教えてくれます。(coco)

一年たってみな忘れてるかもしれないが、福一はまだ深刻な状態です。建屋はめちゃくちゃに壊れ骨だけになり、放射能のかなりのとこが環境に出てしまった。
わたしたちは、いま死にそうだ。深刻な問題との認識もってください。

人間は必ず死ぬ。なるべく長く生き延び、死ぬときそれぞれが納得して死ぬためにはどうしたらいいか。
原発事故でまきちらされた放射能で、みなの生命がどれくらい脅かされているか、すぐには死なないためにどうしたらいいか。今日は、これを話します。

「甘いものを食べると虫歯になるぞ」と脅すだけではなく、虫歯にならないように歯磨きしなさいと子どもには教える。
放射能がそこにある現実も、きちんと教えて、どうしたらその害からのがれることができるか、あわせて考えることが大事です。
虫歯を防ぐ歯ブラシに相当するものが、放射能にはあるのか。ちょっと心もとない。放射能はあまりに強すぎて、人間はそれに勝てない。
しかし、どこがどれだけ虫歯になりそうかは、1年間がんばって調べたのでわかってきた。

  朝霞も汚染された

朝霞の放射線量はアスファルトで0.055μSv/h、「黒い物質」が0.205μSv/h、畑で0.067μSv/h。
芝生や草地には、昨年3月降った放射能がそのままの状態で残ってる。アスファルトの放射能は、雨風で流された。

関東の中で朝霞は、汚染が軽くてきれいなほうです。
しかし0.205μSv/h の「黒い物質」が路上に放置されているのは問題です。なぜこんな汚いものをそのままにしているのですか。子どもたちのためにも早くきれいに掃除してください。

150億円かけたSPEEDIは、三宅島2000年噴火のとき、二酸化硫黄が関東・東北まで流れるようすを生き生きとわかりやすく表現していた。
200~300kmはすぐやってくる。三宅島SPEEDIを見たことがあった私は、福島で原発が爆発すれば、放射能が東京・埼玉にも簡単にくるとわかっていた。

当時「東京に放射能が来る」と書いた雑誌AERAは正しかった。
「福島に住んでるなんて考えられない」と私たちが思うように、世界の人はきっと「東京で暮らしてるのは信じられない」と思ってるだろう。
それくらい深刻な状況なのです。

  地図をつくった

汚染地図の初版は、ネットに公開された福島県内の小中学校・幼稚園の線量をみて、グーグルマップにして、4/8の22時に公表した。
この時点で福島、郡山、二本松、白河まで中通りが全滅だと理解した。しかし、翌朝も世の中は平常だった。

4/8初版の汚染地図を更新してゆく必要があると考えて作業を続け、7/26には、三訂版をだした。これはnnisterさんの1万9000点プロットと、その他の情報を加味した上で、場所を選んで等値線をひいた。

汚染地図を作るときは、どうやって汚染されたか考え、モデルを作って地図に表現する。この当時、群馬と栃木は経路が別と考えた。しかしこのときの解釈は間違っていた。現在は、群馬と栃木を結んだ表現にしてある。

真実は、常に私たちのうかがいしれない遠いところにある。それに少しでも近づこうと努力する。そして多少出来は悪くても、すみやかに公表して、みなに危険を知らせる。こうすることが、みなの役にたって大事なことだと思った。

汚染地図はこれまで6回改訂した。6/18のマップで東葛、一関、群馬の汚染もすでに表現した。事故から3ヶ月でほぼ現在と同じ汚染の実態をおおまかにつきとめたこと、そして批判を恐れずすみやかに公表したことを誇りに思う。

1号機の爆発が3/12の16時くらい。3号機が3/14の11時。4号機は3/15朝に異変があった。しかし放射能の汚染は、これら爆発から直接もたらされたものではない。放射能は誰にも気づかれず静かにこっそり出た。

  埼玉が汚染された日時

汚染は合計5回。まず3/12一号機の爆発から数時間たって女川が少し汚れた。

次に3/15の朝、上空50~100mくらいをそっと風に吹かれ福島から時計回りに移動し、千葉、東京、群馬、栃木、福島へともどっていった。時計周りに変化した風が東京を過ぎ前橋、宇都宮通って山にあたり雨で大量の放射能がそこの地表に落された。白河、郡山、福島へと雪が降って地表がひどく汚れた。

3番目3/15の夕方、風は北西へまっすぐむかい雪がふって飯館を濃く汚した。

4番目は3/20、山形をとおって一関が汚れた。
一関は、最初3/12の汚染と考えていたが、その後、3/20汚染を立証するCOACHの傘が存在することがわかった。実測データがあることもずいぶん後になってから発覚した。

5番目の汚染は3/21、風が南向きに変わって大雨がふり、東葛が汚された。

各原子炉の圧力変化を見ると、いつどの原子炉から放射能が出たかわかる。当時、4号機は運転中止で、1,2,3号機だけが動いていた。まず3/12に、1号基の圧力が下がっているので、これが女川を汚したと思われる。

3/15には、2号機の圧力降下が見られるので、これが千葉、東京、群馬、栃木、福島ルートを汚染した。そして3/20に、3号機の圧力が低下し、これが東葛を汚した。1,2,3号機の順番で、放射能を出したと思われる。

東葛を汚した放射能は、3号機から出たようだ。3号基は、MOX燃料を使った特殊なものだとDELIから教わった。これが何を意味するか、さらなる研究が必要だ。

1時間ごとに調べた放射線量をみる。埼玉は3/15に、6時0.03→0.107μSv/h。11時0.453→1.222μSv/h。18時0.319→1.039μSv/h。翌朝7時0.2μSv/hと、4回汚染された。

昨年3/15、原発からの放射能でこれほど放射線量が上がっているときに、人々が無防備に外に出ているなど信じられないことだった。何も知らない多くの人が外で普通に暮らしていた。懸命にツイートしたが、大勢に届けることはできなかった。

当時外に出ていた人たちは、ヨウ素やキセノンを吸っただろう。チェルノブイリのときは、5年たってから小児甲状腺がんが増えた。いままだ1年しかたっていない。将来なにがおこるのか、それはまだ誰にもわからない。

被爆した事実は事実として、押さえなければならない。いまできる唯一のことは、昨年3/15の6時、11時、18時、子どもがどこで何をしていたか、将来に備えて記録を残しておくことです。

  チェルノブイリ

汚染された面積でみれば、福島はチェルノブイリの1/3~1/4くらいだが、人口密度からゆうと、日本のほうが大勢住んでいる。たとえてみれば、東京はキエフ、東葛はゴメリ、飯館、福島、郡山はプリピャチの汚染と似ている

チェルノブイリ原発事故で、プリピャチは全村避難になったが、福島、郡山からは避難の話が伝わってこない。福島とチェルノブイリを汚染度が同じくらいのところくらべると、住民の避難状況がずいぶん違う。

  焼却灰

焼却灰は、地域のゴミをいっしょくたに燃やすので、その地域の平均的な汚染を、くっきりと写しだします。柏は7万~8万Bq/kg。松戸は3~4万Bq/kg。朝霞は2~3000Bq/kg くらい。

焼却灰のセシウムマップ見ると、関東の都市はもはや住めるところではないようにみえる。
ゴミ焼却してできた灰がこれだけセシウムを持ち、行き場なく倉庫に積み上げられている。そのうち都市機能は破綻し、都市生活の維持ができなくなるでしょう。

湯河原と真鶴のゴミ焼却灰が、放射性物質を理由に、奈良から搬入を断られた。みな東北のがれき持ってくるなと反対してるが、自分たちの町から出るセシウムをチェックしたほうがいい。どこが受け入れてくれるだろうか。

セシウム焼却灰が倉庫に積み上げられてから、もう1年もたつ。2年3年たったらどうなるのか。本当は政治家がリーダーシップとって、都市機能を維持できる方策を考えてほしいのだが、期待できない。
現状はかなり深刻です。

  山の汚染と都市の汚染

山の汚染に関しては群馬、栃木の北部山沿いは、(尾瀬、奥日光、浅間山のぞいて)全滅です。南から来た風を、足尾山地がブロックしたので、中禅寺湖から北側は助かった。浅間山が助かったのは、放射能雲が碓氷峠をこえられなかったから。

川場の田んぼ0.407μSv/h。川場の保健センター雨どい5.852μSv/h 。霧降滝の駐車場0.613μSv/h。これだけ線量の高いとこに、わざわざ子どもたちをバスツアーで連れてゆくは、あまりに愚かなことです。

これまで6回改訂したマップは、日本地図上に汚染を表したものです。でも汚染は場所がちょっと変わっただけでかなり違うので、どこが濃くてどこが薄いのか、よく調べる必要があります。

放射能汚染のひどいところと、そうでもないところを識別して暮らしてゆくため、微細な目でみたマップを町ごとに作る必要があります。
東葛がいま進めているような、駅が読みとれるくらいの大縮尺地図を各町で作ってください。

風でホコリが集まり、雨で流され濃縮されたものが「黒い物質」です。朝霞はこういったものをきれいにすればいい。しかし、どこがどう汚染されているか確実なところは、マップを作って調べてみないとわかりません。

  放射能測定器

放射能測定器に関して、シンチレーションタイプは10万円もする高価なものだが、安定してよく測れます。エステーのエア棒(エアカウンターS)は、低い線量でばらつき出るものの、6000円くらいと手ごろな値段です。そして意外に使えます。

エステーのエア棒(エアカウンターS)は、0.05μSv/hまでしか測れない。0.05が点滅してると、これ以下は測れませんの意味です。朝霞のような0.067くらいのきれいなところは、シンチで測らないと正しい数値はわからないでしょう。

ガイガーカウンタは、残念ながら役にたたない。0.5μSv/h程度以上の高いところしか測れません。0.1より低いと、実際よりずいぶん大きい数値をだしてしまう。実際0.05が、0.15とか0.2になってしまう。ガイガーカウンタの数値をみて一喜一憂するのは愚かです。

  関東ローム層

関東ローム層が、どうやってできたのか、それを考えて調べてゆくと、いろいろなことがわかります。それは、現在の放射能の危険から逃れるための大事な知恵となるので、詳しく説明したいと思います。

朝霞駅からここに来る途中の畑に、赤土が見られました。関東ローム層といって、ふつうは上に黒い土があり、その下に赤い土がある。教科書には、「富士山の噴火で降り積もった火山灰」と書いてありますが、それはまったくの間違いです。

赤土、黒土がどのようにできたのか。土壌学の人たちはこう考えます。時間がたつにつれ、上の黒土が下の赤土に浸みてゆく。この考えを土壌生成作用といいます。時間が経過しても地表には何も降り積もらない考え方です。これは正しくない。

地表はずんずん成長しているのです。時間とともに土は増えてゆきます。その増えてゆきかたについては、累積・溶脱と、累積・保存とゆう二種類の考え方があります。そのどちらが正しいかはっきりとはまだわかっていません。

累積・溶脱の考え方は、土が累積してゆくうちに、黒土が溶脱して、時間とともに赤土の境界が上がってゆくとゆうもので、表面1mの黒土の厚さは常に変わらない。つまり、黒土と赤土は地層の境界ではないとする考えです。

累積・保存の考え方は、土は累積してゆくが、黒土と赤土の境界は、いったん形成されたら時間がたっても変わらない、地層の境界だとする考えです。ボクは多くの観察事実から判断して、この累積・保存の考え方が正しいと思っています。

赤土を構成する粒子に、火山灰が含まれることは事実だが、土壌が累積・保存されてゆく考えかたで関東ローム層を見ると、必ずしも火山の噴火でできた地層とゆうことにならないことに気がつきます。

富士山の噴火によって出た火山灰が赤土の間にはさまって見つかっている。赤土が、噴火の堆積物を地層の中にはさみこんでいる事実から、赤土自身は噴火でできたものではないと考えたほうがよい。第一、火山はめったに噴火しない。

関東ローム層の赤土は、春から初夏にかけ、裸地から風で飛ばされて、草むらに堆積した風塵(ホコリ)の堆積物です。これをレス(loess)といいます。レス(loess)とはドイツ語で、風塵の堆積物とゆう意味です。

風塵が降り積もるわかりやすい例は2010年12/15のニュースで見られる。同日6時に、富士山で黒い砂埃が舞い上がる映像があり、同日14時には、鎌倉市で車のボンネットに黒い砂が降り積もっている。

 このときの神奈川県の調べによると、富士山から西風で吹き寄せられ、東のほう18以上もの市町村で、黒い砂埃が確認された。顕微鏡で見ると、それはたしかに富士山のスコリア(噴火のときに噴出した黒い軽石)だった。

富士山はこのとき噴火してない。それでも強風が吹けば、山麓から風塵が舞い上がって神奈川、逗子や葉山まで到達する。これが毎年繰り返されれば、山が噴火しなくても、関東ローム層の赤土ができるのです。いや、山が(大きな)噴火をしなかったからこそ、均質できれいな赤土ができたのです。

なぜ赤土の上に黒土がのっていて、最近一万年は赤土ではなく黒いのかは重要な研究課題です。氷期が終わって、温暖な気候になったからの説もあるが、13万年前の暖かい時代の土は黒くない。日本は、縄文時代の一万年前から黒い。ニュージーランドの土壌は、1000年前から黒い。これはマオリ族が島に入ってきた時期と一致します。これらを考えると、土壌が黒くなったのは、人間が火を入れ、焼畑し、自然改変した結果ではないかと私は思う。

土壌が黒くなる理由として、まず腐植が多くなると土壌が黒くなります。火山灰の中の活性アルミニウムは、腐植とリン酸を強く結合させます。さらにリン酸の吸収力が強いススキやササが黒土で生育し、腐植を追加するのです。

たとえば伊豆の大室山は、いちめんススキにおおわれたスコリア丘だが、火入れして採草地の改良を行い、渡良瀬遊水地は、火入れすることで、害虫駆除や湿地環境の保全をしている。これらは、黒土の生成をになっています。

黒土に過酸化水素を加えて一晩おくと、赤土に変わる事実からも、黒土は、基本的には赤土だとゆうことがわかります。地層から土壌を見て、土壌ができたときの環境を復元する研究(カテナ)も、ドイツなどで盛んに行われています。

火山の大きな噴火があると、軽石や火山灰(これをテフラと呼びます)が短時間で広い範囲をおおいます。地層の年代を決めることができるので、そのような火山灰を鍵層と呼びます。

火山灰を追いかけることで、特定火山の大噴火が何万年前のどの季節ににおこったかわかるのです。このタイムマーカーとしての性質を利用して、編年をおこなう研究を、テフロクロノロジーといいます。

群馬県の赤城村では、10万年前に御岳が噴火して降った軽石や、2万年前に浅間山が噴火して降った白糸軽石などが赤土の間にはさまってる様子が地層で観察できます。昔のことを知りたいときの唯一の材料が地層です。

関東ローム層が富士山の噴火で積もったものなら、火山に近ければ厚く、遠ければ薄くなるはず。しかし実際は火山からの距離によらず、同じ厚さで毎年0.1mm積もってる。この地層は火山が噴火しなかったときの堆積物です。

実際2009年2月2日の浅間山噴火で川崎に降った火山灰の厚さは、0.001mmでした。もし噴火で赤土黒土を作るなら、この程度の噴火が年100回、3日に一度ずつなければならないことになる。どう考えてもありえない。

赤土黒土の堆積速度は、毎年0.1mmです。風塵が多く飛ぶ4月5月の60日間に、毎日0.002mmずつホコリとして積もってゆきます。これが10万年続いているのだから、関東ローム層は、10mもあるのです。

関東ローム層は、毎年4月5月に多く降り積もったホコリの地層です。そしてその堆積速度は、毎年0.1mm、1000年で10cm、1万年で1m、10万年で10mとなります。富士山の噴火堆積物ではありません。

偏西風にのって、中国から飛来する黄砂が、赤土にあたえる影響はゼロではないがそんなに大きくない。1~5%くらいと思う。火山地域のローム層を構成する粒子の大部分は、火山周辺の裸地から、地表風で運ばれてきたものと考えています。

群馬大学生の村上くんが1994年の風塵堆積量を毎週はかったデータがあります。これを見ると、4月5月は風塵堆積量が格段に多く、6月の梅雨入りでぴたっと止まり、12月少し出始め、2月3月は週によって多く観察される。

年間を通して調べてみて、4月5月に風塵堆積物が多いとわかりました。そして昨年の3月からは、この風塵に放射能がついているのです。風が吹いたら、子どもは学校を休ませたほうがいいくらい深刻です。

地層を見てゆくと、いろいろなことがわかる。有珠山では、1663年噴火と1822年噴火の間159年に黒土が積もっている。榛名山では、5世紀の終わりから6世紀にかけて、20~30年の間に黒土が積もった。

十和田湖の地層では、1万5000年前の火砕流が観察される。その後9500年前と、6300年前、2回大きな噴火があった。その噴火の間の3200年間、火山が噴火しなかったときに黒土が形成されている。

こうして観察すると、地層の中にはさみこまれた噴火の堆積物を手がかりに、何万年も前に何がおきたのか全部調べることができる。赤土黒土が、富士山の噴火でできたなどといい加減なことを軽々しくいってもらっては困る

  放射性物質の挙動と未来

地表で浸食される場所と堆積する場所は、森や林、草のあるところや、裸地、河原など、それぞれの地表環境によって決まる。堆積する場所に情報は残り、浸食される場所の情報は失われる。

放射能も、風塵の堆積物と一緒です。
たとえばアスファルトの上は、浸食されて早くなくなりますが、「黒い物質」があるようなところには集まってゆきます。森や林、果樹園などの環境にはずっと残ってゆくでしょう。

それぞれ自分の生活環境を、見極める必要があります。
朝霞の場合、早めにきれいになると思うが、まだ2~3年は「黒い物質」もできてくる。そうゆうところを避け、これをどう除去するかは、行政としっかり相談してください。

現在放射能は、都会では側溝、雨どい、吹き溜まり、水溜りなどにあります。
山野では、河原、急斜面、岩が露出してるところなどを除いて、ほとんど動いてません。
日本の山野は、去年の3月の汚染状況を、そのまま残してます

日本の山々は、緑におおわれています。山をはぎとって除染すると、今度は土石流やら水害やらの心配しなければなりません。
したがって、山は除染できません。20~30年がまんして、放射能が自然崩壊してなくなるのを待つしかない。

葉っぱは、空中を浮遊してるセシウムを吸収して集めます。だから落ち葉はすごく怖い
都市でも山野でも、セシウムがたまっている落ち葉や小枝など処理するときには、汚物を扱う認識をもって、充分注意してください。

木の幹の部分は死んでいて、最近10~15年の生きてる年輪を水が通過して生体活動が行われている。だから外側の白太(しらた)と呼ばれる部分と表面の皮に、セシウムがついてます。薪にして燃やすなら、表面の皮はかならず剥いでください。

さいたま北区で、昨年9月と今年3月に測ってくらべた線量は、半年間で13%ほど減少している。この減少は、セシウムの半減期でうまく説明できます。したがって、この地区のセシウムは、ほとんど移動していないとわかります。

福島原発から出たセシウムは、半減期2年のセシウム134の速い崩壊と、半減期30年のセシウム137のゆっくりした崩壊とのブレンドです。最初の5年は急激に減りますが、そのあとはゆっくり少しずつしか減りません。

セシウムがどのように減ってゆくか、学習院の田崎先生が作られた表を見ると、最初の3年で半分に、5年で1/3まで減るが、そのあとの減り方はゆっくりで1/10になるには43年もかかることがわかります。セシウムと付き合ってゆくのは長い。

   質疑応答

ボクは今日みなさんに不安になってもらうために、データを持ってここに来ました。現実から目をそむける人たちに、配慮はしません。現実を直視して、ちゃんと不安になってください。その上でどうするのか、それぞれが考えるのです。

飯田市の女性...プランターの土を測定所で測ったら100Bq/kgだった。

せんせ...プランターから土を適当にすくって測ったデータは、ほとんど使えず意味がない。知りたいのは、1㎡あたり何ベクレルかです。福島原発から降った放射性物質は、地表に小麦粉まいたように分布してます。
土壌の汚染度を知るためには、平米あたりのベクレルを求めるべきだが、測定器はキログラムあたりのベクレルのデータを出してくる。それを平米あたりのベクレルに換算し直すプロセスが必要なのです。測定した試料の面積が必要
 キログラムあたりのベクレルが重要なのは、食品に関してです。お米が500 Bq/kg あったら、そんなものは食べられない。キログラムあたりベクレルは食品について。土壌の基準は、平米あたりのベクレルでやるべきです。

朝霞の男性...先生の講義を始めて聞いた。政府も東電もメディアも、正しい情報を提供してなかったとショックを受けた。いったいどのメディアが信用できるのか

せんせ...1年もたつのに、知らなかったとは..。テレビも新聞も、ほとんど本当のことを書いていない。勝手なことゆうと東電からの広告収入がなくなる。それで自粛してしまった、とゆうのがホントのところだろう。力に屈服して、真実を伝えることができないのだ。ボクは、以前よく見てた番組も、ホントのことゆわないからもう見なくなった。
テレビでは民放よりNHKのほうが多少まともと思う。新聞は東京新聞だけががんばって、真実伝えようと努力してるように見える。あとはだめだ。

朝霞の女性...風塵はどこから飛んでくるのか。

せんせ....自分の家近辺、だいたい500m~1kmの周りを心配してください。たぶん1kmも移動しないと思う。たとえば、裏に畑があればそこから来る。畑を耕してしまった場合、セシウムは表土10~20cmの中に混じってしまっている。だから、そんなにひどく舞い上がらないかもしれない。
ホコリにどれだけのセシウムがついているのか、正確なところわからない。風塵がどこから来るかによって、セシウムの濃度が違ってきます。たとえば、放射線量の高い「黒い物質」が舞い上がって、鼻から肺に入ったらいやだと思う。
だから、ホコリが舞っている日は注意が必要なのです。大事なのは、セシウムがどこに分布しているか、みなさんが知ることです。そこから風で、自分のところに吹き飛んでくるかどうか、そうゆうことに個別に注目して処理してゆかないといけません。

朝霞の男性...原発は冷温停止状態と聞いてるが、今も放射能がでているのでは。

せんせ..現在出てる放射能の量は、1年前に出た量とくらべると格段に少ない。原発に新たな展開ない限り、もっと他に優先すべきリスクがある
現在ふくいちからでてる放射能のことを心配するより、すでに身近に来てしまった放射能に対処しなければならない。
たとえば朝霞なら、「黒い物質0.2μSv/h。」このリスクのほうが大きい。これを何とかしなければならない

蕨市の女性...マンション1階。物干し竿に黒いホコリ。自分の庭の裸地から飛んでくるようで心配。

せんせ..ホコリは自分の家だけでなく、隣からも近くからも飛んでくる。関東地方4月5月は、どこだってホコリが舞います。ホコリも花粉も、どのくらいセシウムがついているかは、わからない。
だが、ホコリや花粉が飛んでくれば、セシウムもきている可能性があるの目印になる。だからそういったところに露出するのはやめようとゆう話です。
自分の庭の場合は、汚染された表面5cm削り取って、深さ1mの穴ほって埋めればいいが、セシウムはよその家からもやってくる。そしてよその家はいじれない。だからやむをえない。子どものために、毎日掃除するしかないのです。

朝霞の女性...水道の水は問題ないと行政がゆっているが、本当に問題ないのか心配。

せんせ....水道局が信用できないなら、引っ越すしかないと思う。水道からの水が飲めない都市は、住める都市ではありません。
昨年3月に金町浄水場で放射能が出て、幼児のいる家庭にペットボトルを渡しているのをテレビで見たとき、東京にはもう住めないと思った。幸いにも数日で状況は回復したらしいが、そのような状況が続くようになったら、そこには住めない
 ボクはいま、埼玉の水道水を、活性炭フィルターの入ったブリタで濾過している。これとボトルの水の併用。ブリタがどこまで除去できるのか、またそれが充分かどうかはわからない。
だが自分はそうやって今ここで暮らしている。

三郷の女性...小学5年生の日光修学旅行、悩んでいる。

せんせ...それぞれ自分の事情で決めるしかない。今はいかにして被曝しないかを考えなければならないとき。わざわざ線量の高いとこに行く必要はない。
ただ0.5μSv/h のところに1泊くらいしても死にはしない。修学旅行に行けば、友だちと楽しい思い出ができるかもしれない。
だが9年後、子どもが白血病になったら、あのときの修学旅行がと、一生悔やむことになる。
自分の行動は、自分で決めないと生き延びられない。
危険をおかしても、自分に価値があるかどうかの選択だ

 いっぽう、教育委員会や学校などの、意思決定をする人たちに対して私は、厳しく批判をしています。
「子どもたちの旅行の行き先が、あんな放射能の高いところなのはなぜか」と。
世田谷区は4月から10月、小学5年生を2泊3日で毎日、群馬の川場村に送りこんでいる。毎日必ず100人くらいの小学生が、川場に泊まってる。
これは世田谷に、0.5μSv/h の場所があることを意味する。子どもたちを0.5μSv/h の地域に送り込むなど、別にやらなくてもすむことだ。
それを続けているのは、世田谷と川場のつきあいがあるからだろう。世田谷区は、子どもが放射能を浴びるより、川場との付き合いが大事だとみえる。
福島県も子どもの命より、土地が大事とみえる。子どもが放射能を浴びても、土地をまもりたい。
つきつめて考えれば、そうゆう価値感だから動かない。それはおかしいとずっとゆっているが、おかしいと思う福島の人は少ないようだ。残念だ。

 風塵の飛ぶ4月5月、校庭に出れば、子どもたちは、セシウムほこりを思い切り吸ってしまう。
運動会は10月に変えれば、子どもたちのホコリの吸い込みは、1/10 に減ります。無駄に被曝をさせることなどない。
昨年から、春の運動会は放射能が飛んで危険だと警鐘鳴らしてきたが、文科省、教育委員会、多くの学校の反応は鈍い。
風が強い日は子どもを外に出さないよう、お母さんたちが工夫するしかない。日本は、いままでとはもう違うのです。

朝霞の女性...朝霞のような線量低いとこなら、泥あそびさせても大丈夫か。

せんせ...泥あそびをやらせて子どもを育てたかったら、西日本に引っ越してください
子どもが泥であそぶとどうしても口に入るから危険なのです。
子どもに泥あそびを禁じて関東に留まるか、それとも自然な状態ですごさせたいので引っ越すかは、子どもの性格と親の子育て考え方による。
各家庭の自由だが、ボクは泥遊びには賛成しかねる。今の関東で、泥遊びは危険すぎる

 砂と泥は違います。砂は63ミクロンまでの粒が見える大きい粒子で、セシウムをあまり持ってない。いっぽう泥は、粒が見えない小麦粉サイズの粒子で、セシウムを多く持っている。濃縮された「黒い物質」のような泥もあり危険だ。土壌も砂場も、人がどれだけ除染したかによって、かなり数値が違います。
だから自分たちの生活圏は、それぞれの場所ごとの線量を測って確かめるしかありません。10万円のシンチを買って、測る手間をかけてください。
お金ある人たちは、もうとうに海外に出ている。そこまで財力なければ引っ越すか、10万円のシンチを買うか、6千円のエア棒でしのぐのか。結局最後は、それぞれが放射能対策にどこまでお金かけられるかの問題に帰着します。

志木市の女性...放射能の雲が超えられない山の特徴あるのか、次に原発で何かあったら逃げるときの参考にしたい。

せんせ...山を越える問題ではなく、車や電車、ガソリンなど、どうやって足を確保するかの問題だろう。
福島原発から出た放射能の雲を、プルームと呼ぶのは適切ではない。プルームは、熱膨張で大きな浮力を得て高く上がったものをいう。1783年の浅間山のような大きな噴火では、高さ20km~30kmのところを移動した。

 いっぽう今回の放射能には浮力がなかった。爆発だってたいした熱量を持ってなかった。入道雲のようにぐんぐん上がる力がなかった。建屋からしずしずこっそり出て、地表風で流されて地べた伝いに移動した。
上空1000mの風向きでは説明がつかない動きをしている。
山のデータを見ると、放射能は、900mある碓氷峠をほとんど越えられなかった。1600mの三国峠はかろうじて越え、南魚沼市が少し汚れている。那須岳の登山口は0.5μSv/hと高いが、5合目は0.15μSv/hと低い。放射能の雲は地表の上50~200mをなめるように動いた
関東平野に来て北に回り、白河の関を越え、阿武隈川に入っていった。そうゆう放射能の挙動を、地形を読みながら等値線を引いてマップを作った。

武蔵野市の女性...市の焼却灰セシウム処理が心配。

せんせ...一般市民として政治家を動かす運動をしてもいいが、できることは限られている。
自分が本当に自治体の決定を容認できなければ、引っ越して出てゆくしかない

茨城県の女性...先生が使ってるマスクは。

せんせ...この前、福島市に測りに行ったときは、3Mの一枚100円くらいのを買った。それがいいかどうかはわからない。マスクは単なる気休めと思って、風の強い日は、外に出ないことが一番の対策です。

朝霞の女性. ..福島仲通りの井戸水はどうだろうか。

せんせ.....ボクはそこの井戸水は飲まない。福島は、深刻に汚染されて危険だ。人間が安全に住めるところではない、と認識している。
 学者の言動が社会的に影響を及ぼすことを、雲仙岳の火砕流の問題のとき痛いほど知った。危険な現場に学者が観測にゆき、それが報道されれば、世間はそこは大丈夫だろうと警戒心を緩めてしまう。大きな惨事へとつながる
福島が深刻に汚染され、人間が安全に住める状態にないとデータが示してる。そこでの安易な経済活動は、世間に間違ったメッセージをあたえる。だから学者は厳格に配慮した行動をとるべきだ。
危険を犯しても自分にとって必要で価値があると思ったので、福島市には測定にいった。
しかしそこのものはいっさい食べず飲まず、足跡をつけてきただけ。柏ではレストランに入ってランチを食べた。柏は都市生活できると思っているからだ。

大宮の女性...会津はどうか

せんせ...会津は、会津若松と喜多方の間にある湯川村が汚れていて、線量は0.4μSv/h。会津若松や喜多方の線量は、0.25~0.3μSv/h。会津は、那須や東葛より汚染は低いと見ていたが、農水省がだした土壌ベクレルマップを見ると、土壌の汚染がひどいようなので、もっと調べなければならない
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