野田某は尻尾を振って訪米する
2012-04-28
野田訪米・影のテーマは「日本の政局」 日米首脳会談から民主・自民の大連立へ 4/26 山田厚史 ダイヤモンド・オンライン
30日、ワシントンで日米首脳会談が開かれる。存亡の危機に立つ民主党政権が米国に後ろ盾を求める気配は濃く、会談の影のテーマは「日本の政局」だろう。
野田首相を持ち上げたワシントンポスト紙
「ここ数年でもっとも賢明なリーダー」。
ワシントンポストは19日の電子版で、野田首相を論評する記事を掲載した。
「派手なだけで問題解決能力がなかった首相」ばかりが続いた日本の政界で、野田は有権者に言いにくい困難な課題に取り組み、「日米同盟を戦略の軸に引き戻した」と評価している。
珍しい誉め言葉だが、素直に喜んでよいのだろうか。
首都で歴代の政権や議会をウオッチしてきたワシントンポストの視点は、ホワイトハウスの見方を映し出している。
自民党政権に寄り添ってきた米国は、日本の政権交代を不安そうに見守ってきた。民主党政権の初代首相・鳩山由起夫は「東アジア共栄圏」を語り、対米関係の再構築を示唆した。普天間基地問題でも「国外に」と主張し、親米派から「日米関係を悪化させる」とボロクソだった。
次が「市民派」の菅直人。TPPでアメリカを喜ばせたが、腹の底では違うことを考えているのでは、と警戒された。
小沢一郎の存在にも米国は違和感を持っていた。民主党の創業チームである「トロイカ」は、どう見ても「親米」ではなかった。
「同盟を戦略の軸に戻した」という評価は、ホワイトハウスが野田の登場でホッとしていることをうかがわせる。小沢・鳩山・菅のような「危険性」はなく、外交関係に敢えて角を立てる行動はないと見ている。伝統的な日本の保守政治家、つまり官僚の言うことをよく聞く調整型で、そんな野田が日本が抱える困難な(*米国意向の)政策課題を克服できれば、「他国の見本となるリーダーになる」というのだ。
だがどこまで期待していいか、その手腕のほどは分からない。そこで次のようにクギを刺す。
「米政府内では野田首相をどこまで支えるか、方針は定まっていない」
困難な政治課題としてワシントンポストが挙げたのが
①消費税率引き上げ、
②原発再稼働、
③沖縄の米軍基地再編問題、
④環太平洋経済連携協定(TPP)参加
の4項目である。どれもアメリカが日本に求めている案件である。平たく言えば「野田は言うことを聞く愚直な首相になりそうだが、頼りにできるほどの能力や根性があるのか、そこを見定めたうえで、どこまで応援するか判断しよう」ということのようである。
唐突に見える「原発再稼働」は日米首脳会談へのお土産
オバマ大統領との首脳会談はすでに2度あった。最初は昨年9月、ニューヨークでの国連総会、2回目が11月ホノルルで行われたAPEC総会。いずれも国際会議の合間に挨拶程度の顔合わせだった。ワシントンを訪れる今回は違う。
「親分」から信頼を得られるか、首実検なのだ。
首脳会談は、そこに至る議題の選定、声明文の作成など事前の調整に、お互いのメッセージが込められる。
昨年9月は普天間基地の移設問題、11月はTPP交渉への姿勢が問われた。今回はTPP交渉参加表明が求められたが、日本国内での抵抗が強く、見送られた。
TPPに代わる「お土産」探しが難題だった。「原発再稼働」はその流れで見ると分かりやすい。
スリーマイル島の事故以来、米国は原発建設を凍結していたが、オバマ政権は復活へと舵を切った。だが日本が「脱原発」に動けば足元が揺らぐ。
なぜなら原発メーカーのウエスティングハウスは東芝に買われ、GE(ゼネラル・エレクトリック)は日立と組んでいるからだ。
唐突に見える原発「再稼働」は、野田政権の決意を米国に示すもので、日米首脳会談へのお土産になる。
久しぶりの親米政権の誕生に安堵するオバマ政権が、歯がゆさを感じているのは、アメリカが望む重要課題の解決を妨げている「日本の政局」だ。
「自民党の民主党も、政策は期待する方向に進もうとしているが、政党という枠組みが前進を妨げている」。米国の政府関係者はそう指摘する。
アメリカの意向は「民主党が政策を変えたのだから、自民党は一緒になって困難な課題の解決にあたってほしい」というものだ。政党も議員も選挙を抱えていることは分かっているが、それを乗り越えて「米国が望む方向に政策を動かす指導者」を必要としている。
自民党は長年手なずけてきた政党である。谷垣禎一総裁も物わかりのいい政治家だ。いま日本に必要なのは、対立する両党を合体させる「超越した権力」である。小粒になった日本の政治家にその力がない。国家を経営する官僚機構の手にも余る。できるのは「親会社」のようなアメリカだ。それが日本という国のかたちかもしれない。
米国は「そろそろ自分の出番」と思っているのではないか。
22日仙谷由人官房副長官と林芳正自民党政務調査会副会長が訪米した。議員外交で米国政界の要人と会う。
消費税増税を早くから主張し、原発再稼働の火口を切った仙谷は野田政権の裏方を務めている。林はハーバード大留学の経験があり米政界に知己が多い。米側は「政局」を語らう場を設けるだろう。
政界の機微に触れる話は人目に付きやすい国内を避け、外遊を装って密談されることがよくある。超党派の議員外交はしばしばその舞台になる。消費税法案の処理、大連立の可能性、その後の政界再編……。米国が関心を寄せるテーマが、ワシントンでやり取りされると考えるのは不自然ではない。
米国は橋下「維新の会」に対して懸念を抱いている
アメリカが大連立に興味を抱いたきっかけの一つが、橋下徹大阪市長が率いる「維新の会」の動向だ。
自民党の政権末期、アメリカは旧い保守の賞味期限切れを意識し、働きかける相手を民主党に切り替えた。その民主党は自民党化することで有権者の信頼を失った。
不満を吸収するかのように支持が広がる「維新の会」は不気味な存在だ。経済不況や政治不信などへ鬱憤が、独裁的な指導者を生む素地になることを米国は懸念している。
かつて「反米」は左翼で、右翼は「親米」だった。その日本で「反米右翼」が静かに広がっている。橋下の政治手法に「排外主義」「愛国主義」へと突き進む恐れはないのか。米国は慎重に瀬踏みしている。
石原慎太郎は「尖閣諸島」の土地を、東京都が買い上げることを明らかにしたが、そのNYでの講演の中で「日本の核武装」を主張した。極論であっても日本社会に溜まった鬱憤に火をつけるような右からのナショナリズムに、米国は「安定した日米関係を阻害する」と憂慮する。
日本の政界に渦巻く潮流の変化を探りながら、アメリカは「操縦可能な政党」に頼ろうとしている。
巨額の財政赤字に苦しむ米国にとって、日本は今も、有力な資金供給国である。中国の台頭、中東の騒乱、南米の離反。世界支配力に翳りがみえる米国にとって、日本がこれ以上頼りなくなるのは放置できない。
日本の政権も米国の後ろ盾なくして権力を維持できない。単独では国会さえ乗り切れない野田佳彦は、頼みはアメリカだ。うまくいけば大連立の後押しをしてもらえるかもしれない。喜んでもらえる「政策表明」を携えワシントンに出かける。
「日本の民主主義は12歳」と言い放ったのは、占領軍司令官としてやって来たマッカーサーだった。
あれから60余年、日本の政治はどれだけ成長したか。オバマは何歳と見るだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
米国にとっても、松下政経塾政権にとってもまずいことに、4/26は小沢一郎氏への無罪判決となった。
米国は強硬に控訴させるかも知れない。
だが、一旦始まった社会認識は変わらない。
原発事故以来、国民はマスコミ不信が増大している。マスコミがまたも狂乱の小沢攻撃にのめり込めば、どう見てもますます信用されなくなるだろう。
政治の流れは変わらないだろう。
この5年くらいで国民のマスコミ認識はずいぶん変わっており、今では、まともな識者なら、皆が売国訪米だと知っている。
引用者は、山田氏のように言葉を選ばず、言ってしまう。
米国に呼びつけられた野田政権は、小沢無罪の流れが始まったことで恐怖に青ざめながらも、尻尾を振って訪米するのだ。
30日、ワシントンで日米首脳会談が開かれる。存亡の危機に立つ民主党政権が米国に後ろ盾を求める気配は濃く、会談の影のテーマは「日本の政局」だろう。
野田首相を持ち上げたワシントンポスト紙
「ここ数年でもっとも賢明なリーダー」。
ワシントンポストは19日の電子版で、野田首相を論評する記事を掲載した。
「派手なだけで問題解決能力がなかった首相」ばかりが続いた日本の政界で、野田は有権者に言いにくい困難な課題に取り組み、「日米同盟を戦略の軸に引き戻した」と評価している。
珍しい誉め言葉だが、素直に喜んでよいのだろうか。
首都で歴代の政権や議会をウオッチしてきたワシントンポストの視点は、ホワイトハウスの見方を映し出している。
自民党政権に寄り添ってきた米国は、日本の政権交代を不安そうに見守ってきた。民主党政権の初代首相・鳩山由起夫は「東アジア共栄圏」を語り、対米関係の再構築を示唆した。普天間基地問題でも「国外に」と主張し、親米派から「日米関係を悪化させる」とボロクソだった。
次が「市民派」の菅直人。TPPでアメリカを喜ばせたが、腹の底では違うことを考えているのでは、と警戒された。
小沢一郎の存在にも米国は違和感を持っていた。民主党の創業チームである「トロイカ」は、どう見ても「親米」ではなかった。
「同盟を戦略の軸に戻した」という評価は、ホワイトハウスが野田の登場でホッとしていることをうかがわせる。小沢・鳩山・菅のような「危険性」はなく、外交関係に敢えて角を立てる行動はないと見ている。伝統的な日本の保守政治家、つまり官僚の言うことをよく聞く調整型で、そんな野田が日本が抱える困難な(*米国意向の)政策課題を克服できれば、「他国の見本となるリーダーになる」というのだ。
だがどこまで期待していいか、その手腕のほどは分からない。そこで次のようにクギを刺す。
「米政府内では野田首相をどこまで支えるか、方針は定まっていない」
困難な政治課題としてワシントンポストが挙げたのが
①消費税率引き上げ、
②原発再稼働、
③沖縄の米軍基地再編問題、
④環太平洋経済連携協定(TPP)参加
の4項目である。どれもアメリカが日本に求めている案件である。平たく言えば「野田は言うことを聞く愚直な首相になりそうだが、頼りにできるほどの能力や根性があるのか、そこを見定めたうえで、どこまで応援するか判断しよう」ということのようである。
唐突に見える「原発再稼働」は日米首脳会談へのお土産
オバマ大統領との首脳会談はすでに2度あった。最初は昨年9月、ニューヨークでの国連総会、2回目が11月ホノルルで行われたAPEC総会。いずれも国際会議の合間に挨拶程度の顔合わせだった。ワシントンを訪れる今回は違う。
「親分」から信頼を得られるか、首実検なのだ。
首脳会談は、そこに至る議題の選定、声明文の作成など事前の調整に、お互いのメッセージが込められる。
昨年9月は普天間基地の移設問題、11月はTPP交渉への姿勢が問われた。今回はTPP交渉参加表明が求められたが、日本国内での抵抗が強く、見送られた。
TPPに代わる「お土産」探しが難題だった。「原発再稼働」はその流れで見ると分かりやすい。
スリーマイル島の事故以来、米国は原発建設を凍結していたが、オバマ政権は復活へと舵を切った。だが日本が「脱原発」に動けば足元が揺らぐ。
なぜなら原発メーカーのウエスティングハウスは東芝に買われ、GE(ゼネラル・エレクトリック)は日立と組んでいるからだ。
唐突に見える原発「再稼働」は、野田政権の決意を米国に示すもので、日米首脳会談へのお土産になる。
久しぶりの親米政権の誕生に安堵するオバマ政権が、歯がゆさを感じているのは、アメリカが望む重要課題の解決を妨げている「日本の政局」だ。
「自民党の民主党も、政策は期待する方向に進もうとしているが、政党という枠組みが前進を妨げている」。米国の政府関係者はそう指摘する。
アメリカの意向は「民主党が政策を変えたのだから、自民党は一緒になって困難な課題の解決にあたってほしい」というものだ。政党も議員も選挙を抱えていることは分かっているが、それを乗り越えて「米国が望む方向に政策を動かす指導者」を必要としている。
自民党は長年手なずけてきた政党である。谷垣禎一総裁も物わかりのいい政治家だ。いま日本に必要なのは、対立する両党を合体させる「超越した権力」である。小粒になった日本の政治家にその力がない。国家を経営する官僚機構の手にも余る。できるのは「親会社」のようなアメリカだ。それが日本という国のかたちかもしれない。
米国は「そろそろ自分の出番」と思っているのではないか。
22日仙谷由人官房副長官と林芳正自民党政務調査会副会長が訪米した。議員外交で米国政界の要人と会う。
消費税増税を早くから主張し、原発再稼働の火口を切った仙谷は野田政権の裏方を務めている。林はハーバード大留学の経験があり米政界に知己が多い。米側は「政局」を語らう場を設けるだろう。
政界の機微に触れる話は人目に付きやすい国内を避け、外遊を装って密談されることがよくある。超党派の議員外交はしばしばその舞台になる。消費税法案の処理、大連立の可能性、その後の政界再編……。米国が関心を寄せるテーマが、ワシントンでやり取りされると考えるのは不自然ではない。
米国は橋下「維新の会」に対して懸念を抱いている
アメリカが大連立に興味を抱いたきっかけの一つが、橋下徹大阪市長が率いる「維新の会」の動向だ。
自民党の政権末期、アメリカは旧い保守の賞味期限切れを意識し、働きかける相手を民主党に切り替えた。その民主党は自民党化することで有権者の信頼を失った。
不満を吸収するかのように支持が広がる「維新の会」は不気味な存在だ。経済不況や政治不信などへ鬱憤が、独裁的な指導者を生む素地になることを米国は懸念している。
かつて「反米」は左翼で、右翼は「親米」だった。その日本で「反米右翼」が静かに広がっている。橋下の政治手法に「排外主義」「愛国主義」へと突き進む恐れはないのか。米国は慎重に瀬踏みしている。
石原慎太郎は「尖閣諸島」の土地を、東京都が買い上げることを明らかにしたが、そのNYでの講演の中で「日本の核武装」を主張した。極論であっても日本社会に溜まった鬱憤に火をつけるような右からのナショナリズムに、米国は「安定した日米関係を阻害する」と憂慮する。
日本の政界に渦巻く潮流の変化を探りながら、アメリカは「操縦可能な政党」に頼ろうとしている。
巨額の財政赤字に苦しむ米国にとって、日本は今も、有力な資金供給国である。中国の台頭、中東の騒乱、南米の離反。世界支配力に翳りがみえる米国にとって、日本がこれ以上頼りなくなるのは放置できない。
日本の政権も米国の後ろ盾なくして権力を維持できない。単独では国会さえ乗り切れない野田佳彦は、頼みはアメリカだ。うまくいけば大連立の後押しをしてもらえるかもしれない。喜んでもらえる「政策表明」を携えワシントンに出かける。
「日本の民主主義は12歳」と言い放ったのは、占領軍司令官としてやって来たマッカーサーだった。
あれから60余年、日本の政治はどれだけ成長したか。オバマは何歳と見るだろう。
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米国にとっても、松下政経塾政権にとってもまずいことに、4/26は小沢一郎氏への無罪判決となった。
米国は強硬に控訴させるかも知れない。
だが、一旦始まった社会認識は変わらない。
原発事故以来、国民はマスコミ不信が増大している。マスコミがまたも狂乱の小沢攻撃にのめり込めば、どう見てもますます信用されなくなるだろう。
政治の流れは変わらないだろう。
この5年くらいで国民のマスコミ認識はずいぶん変わっており、今では、まともな識者なら、皆が売国訪米だと知っている。
引用者は、山田氏のように言葉を選ばず、言ってしまう。
米国に呼びつけられた野田政権は、小沢無罪の流れが始まったことで恐怖に青ざめながらも、尻尾を振って訪米するのだ。
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