2020年廃炉作業開始は不可能
2015-05-18
廃炉は出来ない──東電廃炉責任者がNHKで語る現実を無視する「自粛」の狂気 4/15 田所敏夫 鹿砦社
NHK WORLDというサイトがある。
ここでは国内向けではなく、外国向けに収録され放送された番組の一部を見ることが出来るようだ。その中に見落とせないニュースがあると知人から教えてもらった。
3月末に放送されたと思われる「NUCLEAR WATCH」のコーナーで、「福島第一廃炉推進カンパニー」プレジデントの増田尚宏氏がインタビューに応じている。
「福島第一廃炉推進カンパニー」は2014年4月1日に発足した「廃炉」を専門に扱う東京電力の子会社だが、インタビューによると増田氏は東電で原子力畑を何十年も経験したベテランだという。
このインタビューで増田氏が答えている内容は、東電関係者にしては珍しく「正直」である。
そして「正直」であるだけに改めて事故の深刻さと恐怖を感じる内容だ。
◆「私はそれ(廃炉作業の2020年開始)が出来ますとは言えない」
(増田尚宏=福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデント)
以下はNHKインタビューからの抜粋だ。
「格納容器内の放射線量は依然として非常に高いので作業員は数分しかとどまることが出来ない」
「溶融燃料についての形状や強度は分からない。
30メートル上方から遠隔操作で取り除く必要があるが、そういった種類の技術は持っておらず、存在しない」
「本当に格納容器をに水が張ることが可能かどうかまだわからない。
壊れた格納容器3基にヒビ割れや穴をいくつかを見つけたが、それで全部かどうかわからない。
それを塞いで水を入れても、まだそれより上にひび割れがある可能性がある。
ほかにもあれば、がれきを取り除く他の方法を見つけなければならない」
そして、「政府は廃炉作業を2020年に始める意向だ。増田氏にそれについてどれだけ確信があるか尋ねた。彼の回答は驚くほど率直だった」とNHK記者が驚いた増田氏の回答は、
「それは非常ハードルの高い大きなチャレンジだ。正直に言って、私はそれが出来ますとは言えない。でも不可能だとも言いたくない」
作業を成功させるために最も必要とされるものは何か、との問いには、
「言うのは難しいが、おそらく経験だろう。人々にどのくらいの被ばく線量なら許容されるのか、周辺住民ににはどんな情報が必要でどのように伝達するのかなど、これは今までに経験したことがない、教科書に載っていない話なので、1つ1つ決めながらやていかなければいけない。1つ1つの判断が正しい判断が出来るかというとそれは難しい」
と答えている。
政府が収束予定として示しているロードマップは「極めて困難で実現する技術はない。2020年の廃炉作業開始は約束できない」と言うのだ。
事故現場最前線責任者の重大な見解発表なのに、国内のNHKはこのニュースを放送したのだろうか。
ーーーーーーーーーーーー
※ 地中に落下した炉心は拡散して地下水と融合し、断続的な再臨界をおこしていると考えられる。
これを回収する技術など世界のどこにもないし、研究開発の目安さえない。
つまり、2020年作業開始が到底不可能ということは、少なくとも10年程度では方向性さえわからないということだ。
原爆数千発に匹敵する放射能は断続的に空中に、また海中に放出される。
また、地震などあるいは豪雨で土砂崩れで本格的な再臨界爆発となる。近くに人間は入れなくなり、冷却できなくなって原発は第二次の大臨界を引き起こす。
例えば、関東から宮城は交通もできなくなるだろう。
4年間、綱渡りの応急処理に追われてきただけなのである。
廃炉に向けてはまったく展望がないし、放射能を封じ込めることも何も進んでいない。
いつ再びの大惨事となるかわからない、これが事実なのだ。
下は今のところ最も妥当と思われる模式図。
NHK WORLDというサイトがある。
ここでは国内向けではなく、外国向けに収録され放送された番組の一部を見ることが出来るようだ。その中に見落とせないニュースがあると知人から教えてもらった。
3月末に放送されたと思われる「NUCLEAR WATCH」のコーナーで、「福島第一廃炉推進カンパニー」プレジデントの増田尚宏氏がインタビューに応じている。
「福島第一廃炉推進カンパニー」は2014年4月1日に発足した「廃炉」を専門に扱う東京電力の子会社だが、インタビューによると増田氏は東電で原子力畑を何十年も経験したベテランだという。
このインタビューで増田氏が答えている内容は、東電関係者にしては珍しく「正直」である。
そして「正直」であるだけに改めて事故の深刻さと恐怖を感じる内容だ。
◆「私はそれ(廃炉作業の2020年開始)が出来ますとは言えない」
(増田尚宏=福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデント)
以下はNHKインタビューからの抜粋だ。
「格納容器内の放射線量は依然として非常に高いので作業員は数分しかとどまることが出来ない」
「溶融燃料についての形状や強度は分からない。
30メートル上方から遠隔操作で取り除く必要があるが、そういった種類の技術は持っておらず、存在しない」
「本当に格納容器をに水が張ることが可能かどうかまだわからない。
壊れた格納容器3基にヒビ割れや穴をいくつかを見つけたが、それで全部かどうかわからない。
それを塞いで水を入れても、まだそれより上にひび割れがある可能性がある。
ほかにもあれば、がれきを取り除く他の方法を見つけなければならない」
そして、「政府は廃炉作業を2020年に始める意向だ。増田氏にそれについてどれだけ確信があるか尋ねた。彼の回答は驚くほど率直だった」とNHK記者が驚いた増田氏の回答は、
「それは非常ハードルの高い大きなチャレンジだ。正直に言って、私はそれが出来ますとは言えない。でも不可能だとも言いたくない」
作業を成功させるために最も必要とされるものは何か、との問いには、
「言うのは難しいが、おそらく経験だろう。人々にどのくらいの被ばく線量なら許容されるのか、周辺住民ににはどんな情報が必要でどのように伝達するのかなど、これは今までに経験したことがない、教科書に載っていない話なので、1つ1つ決めながらやていかなければいけない。1つ1つの判断が正しい判断が出来るかというとそれは難しい」
と答えている。
政府が収束予定として示しているロードマップは「極めて困難で実現する技術はない。2020年の廃炉作業開始は約束できない」と言うのだ。
事故現場最前線責任者の重大な見解発表なのに、国内のNHKはこのニュースを放送したのだろうか。
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※ 地中に落下した炉心は拡散して地下水と融合し、断続的な再臨界をおこしていると考えられる。
これを回収する技術など世界のどこにもないし、研究開発の目安さえない。
つまり、2020年作業開始が到底不可能ということは、少なくとも10年程度では方向性さえわからないということだ。
原爆数千発に匹敵する放射能は断続的に空中に、また海中に放出される。
また、地震などあるいは豪雨で土砂崩れで本格的な再臨界爆発となる。近くに人間は入れなくなり、冷却できなくなって原発は第二次の大臨界を引き起こす。
例えば、関東から宮城は交通もできなくなるだろう。
4年間、綱渡りの応急処理に追われてきただけなのである。
廃炉に向けてはまったく展望がないし、放射能を封じ込めることも何も進んでいない。
いつ再びの大惨事となるかわからない、これが事実なのだ。
下は今のところ最も妥当と思われる模式図。

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戦後70年、沖縄の意思は辺野古新基地阻止、普天間撤去
2015-05-18

新基地建設断念を 県民大会、3万5000人が結集 5/18 琉球新報
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設阻止を訴える「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」(主催・同実行委員会)が17日、那覇市の野球場「沖縄セルラースタジアム那覇」で開かれ、主催者発表で約3万5千人が集まった。
新基地建設阻止の大会決議を採択し、昨年の名護市長選、県知事選、衆院選などで相次いで示された新基地建設反対の民意をあらためて国内外に訴えた。
出席した翁長雄志知事は、辺野古移設が普天間返還の「唯一の解決策」とする政府に対し「阻止することが唯一の解決策だ」と強調。
しまくとぅばで「沖縄人をないがしろにしてはいけない」と声を張り上げると、参加者が立ち上がって拍手を送った。
ことし夏ごろにも辺野古の埋め立て本体工事に着手しようとする政府に対し、知事を先頭に作業の中止と計画撤回を求める歴史的な大会となった。
辺野古移設に反対する大規模な県民大会は2010年4月の読谷村での大会、オスプレイ配備と普天間の県内移設への反対を訴えた12年9月の宜野湾市での大会に続き3回目。
17日の大会は午後1時の開始前から参加者が続々とスタンド席を埋め、外野席や球場外も各地からの参加者であふれた。
参加者は「辺野古新基地ノー」「われわれは屈しない」などと気勢を上げ「普天間の閉鎖・撤去、辺野古新基地建設・県内移設の断念」を求める決議を拍手で採択した。
翁長知事は「あらゆる手法を用いて辺野古に新基地は造らせない」と重ねて表明。
辺野古移設計画を推進する安倍政権に対し「日本の政治の堕落だ。自国民に自由と人権、民主主義の価値観を保障できない国が世界と(同じ価値観を)共有できるのか。日米安保体制・同盟はもっと品格のある、冠たるものであってほしい」と批判した。
実行委員会は翁長知事を支える県議会与党や経済界有志、市民団体などで構成。
25日に首相官邸や外務、防衛両省、在日米大使館を訪ね、決議文を提出する。
大会共同代表を務めた稲嶺進名護市長や平良朝敬島ぐるみ会議共同代表らは、27日からの翁長知事の訪米要請行動に同行し、米政府にも決議書を手渡すことを計画している。
ーーーーーーーーーーーーーー

沖縄県民大会:翁長雄志知事あいさつ全文 5/18 沖縄タイムス
ハイサーイ、ぐすーよーちゅーうがなびら。うちなー県知事ぬ翁長雄志やいびん、ゆたさるぐとぅうにげーさびら。
新辺野古基地を造らせないということで、ご結集いただいた皆さん、外野席もいっぱいであります。
3万人を超えて、4万、5万と多くの県民が集まっていると思っております。
うんぐとぅあちさぬなか、うっさきなーあちまてぃくみそーち、いっぺーにへーでーびる。まじゅんさーに、ちばらなやーさい。
私は多くの県民の負託を受けた知事として、県の有するあらゆる手法を用いて辺野古に新基地は造らせない。
この公約実現に向けて全力で取り組んでいくことを、今皆様方に改めて決意をいたします。
先月、私は安倍晋三首相、菅官房長官と会談させていただきました。
お二人との会談内容を国民の皆さまが注目することになり、ほとんどの中央メディアの世論調査で、国民は平均して(反対が)10%ほど上回る意思を表示していただきました。
本土と沖縄の理解が深まったことに、大変意を強くいたしております。
さらに、辺野古基金においても本土からの支援が多く寄せられていると聞いており、心強い限りで、ともどもにこの沖縄から日本を変えていきたい、こう決意をしているところであります。
しかし私が、沖縄の民意を伝えたにもかかわらず、日米首脳会談の共同会見において、安倍首相が「普天間飛行場の危険性を辺野古建設によって一日も早く除去する」と発言されました。
私は強い憤りを感じております。
安倍首相は「日本を取り戻す」と言っておりますが、私からするとこの「日本を取り戻す」の中に、沖縄が入っているのかと強く申し上げたいと思います。
「戦後レジームからの脱却」とよく言っておりますが、沖縄に関しては「戦後レジームの死守」をしていると、私はこう思っております。
沖縄の基地問題無くして、日本を取り戻すことはできません。
日本の安全保障は、日本国民全体で負担する気構えがなければ、沖縄のほとんどの県民に負担をさせておいて、日本の国を守ると言っても、仮想敵国から日本の覚悟のほどが見透かされ、抑止力から言っても、私は、どうだろうかなと思っているわけであります。
特に沖縄から見ると、日本が独立し、沖縄が切り離されたサンフランシスコ講和条約の祝賀式典で万歳三唱する姿を見ると「また同じ歴史が同じ歴史が繰り返されることはないだろうか」あるいは「ミサイル数発で沖縄が沈むことはないだろうか」「将来の子や孫が捨て石として犠牲とならないか」。沖縄に責任を持つべき責任世代としてしっかりと見極めていかなければなりません。
そして、これは強調しておかなければなりません。
政府は普天間基地の危険性の除去はこの問題の原点だと言っておりますが、沖縄から言わせると、さらなる原点は普天間基地が戦後米軍に強制接収されたことにあります。
何回も確認を致します。
沖縄は自ら基地を提供したことは一度もございません。
普天間飛行場もそれ以外の基地も、戦後、県民が収容所に収容されている間に接収され、また居住所等をはじめ、強制接収されて、基地建設がなされたのであります。
自ら土地を奪っておきながら、「普天間飛行場が老朽化したから」「世界一危険だから」「辺野古が唯一の解決策だ」「沖縄を負担しろ、嫌なら沖縄が代替案を出せ」こういう風に言っておりますが、こんなことが許されるでしょうか。
私はこのことを日本の政治の堕落だと言っているわけであります。
自国民に自由と人権、民主主義という価値観を保障できない国が、世界の国々とその価値観を共有できるでしょうか。
日米安保体制、日米同盟というものは、私はもっと品格のある、世界に冠たる誇れるものであってほしいと思っています。
一方、(外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会の)2プラス2共同発表には、世界一危険だと指摘されている普天間飛行場の5年以内の運用停止が明示されていません。
普天間飛行場の5年以内の運用停止について、前知事は県民に対し「一国の総理および官房長官を含め、しっかりと言っている。それが最高の担保」だと説明しています。
5年以内運用停止は前知事が埋め立て承認に至った大きな柱であります。
しかし、米国側からは日米首脳会談でも言及することはありませんでした。
5年以内運用停止は辺野古埋め立て承認を得るための話のごちそう、話くゎっちー、空手形だったのではないかと私は危惧しております。
今日までの70年間の歴史、いつも困難の壁があるときは、必ず、話のごちそう、「話くゎっちー」をウチナー県民にも、国民にも聞かせて、それを乗り越えたら知らんぷりと。
これが70年の沖縄基地問題の実態です。
私は安倍首相にお聞きしました。ラムズフェルド元国防長官が13年前、普天間基地は世界一危険な基地だと発言し、菅官房長官もそのことを再三再四言うなかで、辺野古が唯一の解決策だといっている。
辺野古基地ができない場合、本当に世界一危険な普天間基地は固定されるのか、首相に聞きましたら返事はありませんでした。
しかし私は自由と人権と民主主義の価値観を、共有する国々との連帯を目指す日米同盟がそんなことはできないと思っています。
新辺野古基地の建設を阻止することが普天間飛行場を唯一解決する政策です。
中谷防衛相との対談では、今日の中国の驚異を説明し、数字を挙げ、新辺野古基地が唯一の解決策だと話をした。
「いかに現在が危機的な状況であるか」「自衛隊の増強も必要だ」「沖縄がいかに安全保障にとって重要か」と、得々と説明しております。
しかし考えてみると沖縄のこの70年間、冷戦構造時代のときも大変でした。今も危機があるといっているが、私たちは積極的平和主義の名の下に、中東まで視野に入れながら、これから日米同盟が動くことを考えると、沖縄はいつまで世界の情勢に自らを投げ捨てなければいけないのか。
私はこれについてしっかりと対処していきたい。
安倍首相が、二つのことが前に進んでいると私に話しました。
一つは嘉手納以南の(返還の)着実とした進展、もう一つはオスプレイは全国に配備し、少しずつよくなっていますよと話ました。
こういう話を聞くと本土の方々はなかなかやるじゃないか、少し前に進んだんだなあと思っていると思います。
しかし、私は首相に申し上げました。首相がおっしゃるように普天間飛行場が新辺野古基地に移り、そして嘉手納以南が返された場合、一体全体、何%基地が減るんですか。
これは、73・8%が73・1%。たったの0・7%しか減らないんですよ、みなさん。
何でかというと、全部県内移設だからです。外に持って行く話ではまったくないんです。
これが本土の方々には分かっていない。
嘉手納以南をみんな返すぞと、こういうことで分かっていない。
それから、オスプレイ。あれは森本敏元防衛相の5年前の著書の中で沖縄にオスプレイが配備されるだろうと書いてあります。見事に的中しております。
そして、その中に何が書いてあったかといいますと、あの新辺野古基地はオスプレイを100機以上もってくるために設計されて、これからすべて、オスプレイが向こうに置かれるんだということが、あの森本さんの著書の中に書いてあるんです。
ですから、今本土で飛んでいるオスプレイは一定程度が過ぎたら、みんな沖縄に戻ってくるんです。
これを日本の政治の堕落だということを申し上げているんです。
どうか日本の国が独立は神話だと言われないように、安倍首相、頑張ってください。
ウチナーンチュ、ウシェーティナイビランドー(沖縄の人をないがしろにしていけない)。
(参加者が総立ちで拍手。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
<社説>新基地拒否県民大会 戦後70年の重い決意だ 将来世代に責任果たそう 5/18 琉球新報
名護市辺野古への新基地建設を阻む民意の底流には、沖縄の苦難の戦後史を断ち切らねばならないという強い意思がある。
「戦後70年」を大会名に冠した意義が幅広い世代の参加者に共有されていた。
気温30度近い炎天下にもかかわらず、「辺野古新基地阻止」県民大会に3万5千人(主催者発表)が参加したが、会場にはそれ以上の熱気が渦巻いた。
映画監督のオリバー・ストーン氏が連帯のメッセージを寄せるなど、県民大会は沖縄の民意の地殻変動の大きさを世界に印象付けた。
訪米要請の弾みに
県民は「沖縄の尊厳」に裏打ちされた基地の島からの脱却、沖縄のことは沖縄が決める「自己決定権」の獲得という二つの固い決意を日々、強めている。
共同代表ら弁士は沖縄のアイデンティティーと重なるしまくとぅばを随所で用いた。
沖縄戦の住民犠牲と人権が踏みにじられてきた米軍統治時代など戦後の歩みを縦糸に、現在の新基地を拒む重層的な民意の広がりを横糸にした発言を繰り出した。
自らの意思で沖縄のありようを決めることができなかった負の歴史に終止符を打ち、子や孫の将来世代に基地負担を残さないという不屈の誓いが説得力を宿していた。
「新辺野古基地の建設を阻止することは普天間基地(問題)を唯一、解決する政策だ」。新基地を造らせず、普天間基地を閉鎖に追い込む決意をほとばしらせた翁長雄志知事は声のトーンを上げ、こう結んだ。
「うちなーんちゅ うしぇーてぇーないびらんどー(沖縄人をないがしろにしてはいけませんよ)」
「うしぇーらんけー(みくびるな)」と投げ付ける言い回しを避け、諭す響きがあった。
沖縄の民意を無視し、新基地建設が「唯一の解決策」と言いはやす安倍晋三首相と沖縄に基地を押し付けて平然としている本土の「人ごとの論理」を改めるよう促す意味合いがあろう。
この日一番、まさに地鳴りのような拍手が沸き、全ての参加者が総立ちになった。
沖縄への差別と犠牲を断つことを切望する民意が凝縮されて示された。
県民大会は何度も開かれてきたが、かつてない光景であった。
菅義偉官房長官、安倍首相、中谷元・防衛相との会談を通し、新基地阻止の決意を正面から伝えてきた翁長知事の求心力は一層高まった。
大会の成功は訪米要請行動の弾みになる。米国での行動に生かしてほしい。
沖縄の反転攻勢
在京大手メディアの全国世論調査をみると、昨年12月の翁長知事就任からことし2月ごろまで新基地建設賛成が上回る傾向にあったが、菅官房長官と会談した際の翁長知事の旗幟(きし)鮮明とした発言が大きく報じられて以来、十数ポイントずつ、反対が上回る傾向に変化している。
一方、辺野古阻止行動に生かす「辺野古基金」には、運動開始から1カ月超で2億1千万円超が集まった。その7割超が本土からの寄付である。
基金共同代表の呉屋守将氏は「オール沖縄の闘いがオールジャパンに変化してきた」と評したが、民主主義の適用を求める沖縄の主張の正当性に対する理解が着実に広がっている。
民意を組み敷き、新基地建設をやめない安倍政権に対する沖縄側の本格的な反転攻勢という局面に転換しているのである。
大会決議はこう宣言した。
「この沖縄の新たな海鳴りは、沖縄と日本の未来を拓(ひら)く大きな潮流へと発展しつつある。道理と正義は私たちにあり、辺野古に基地を造ることは不可能だ」
対米追従を深める安倍政権はオバマ米政権に対して沖縄を質草のごとく差し出すことで忠誠を尽くそうとしている。
しかし、県民大会でも示された強固な民意をこれ以上無視することは許されない。
新基地建設を中止し、米本国への普天間配備部隊の撤収などの新たな選択肢を模索すべきだ。
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