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もうすぐ北風が強くなる

米軍による暴行拉致監禁!警察は追従し引き渡し後、送検までした!

150222辺野古

   <社説>市民の逮捕送検 米軍の弾圧は許されない  2/24  琉球新報

 名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前で普天間飛行場の移設に向けた新基地建設の反対行動をしていた山城博治沖縄平和運動センター議長と男性1人の計2人が刑事特別法違反の容疑で逮捕され、送検された。
 2人が逮捕された22日はゲート前で基地建設に抗議する県民集会が開催された。
 開催前に山城議長らを逮捕し、米軍が長時間拘束したのは抗議行動への弾圧以外の何物でもない

 そもそも山城議長らは基地内に侵入しようとしていたわけではない。
 抗議する市民と県警とのもみ合いを制止しようとしていた。
 しかもゲートの詰め所よりも国道側に近い場所の地面に引かれた基地内の境界線を示す黄色い線に立っていただけだ。
 突然、米軍の警備員が山城議長を引き倒して両足をつかんで基地内に引きずって拘束している。こんな乱暴な拘束が許されるのか

 この行為に在沖米海兵隊報道部は「米海兵隊施設に侵入したとして日本人警備員が『逮捕』した」と説明している。
 警備員の逮捕は私人逮捕だ。現行犯逮捕なら司法警察職員に限らず誰でも行えることが刑事訴訟法に定められている。

 現場には当時、約30人の警察官もいた。
 私人逮捕の場合、現場に警察官が到着するまで身柄を確保することはあるが、現場にはすでに大勢の警察官がいた。
 すぐに身柄を引き渡せばいいはずだ。

 しかし警備員は警察官のいる方向とは逆の基地内に山城議長らを引きずり込んだ。後ろ手に手錠を掛け、基地内の建物に入れてから手錠を解いたようだが、その後約4時間も拘束を続けている。
 刑事特別法を逸脱した人権弾圧だ。


 米施政権下の1957年の伊江島で、強制接収された射爆場内に入ったとして、住民5人が逮捕される事件があった。
 米兵が境界線を示す木製看板を5人の後ろにそっと置き、無断立ち入りで逮捕するという不当逮捕事件が起きている。
 今回の事件と何が違うというのか。


 復帰前の米統治下で繰り返された米軍による人権蹂躙(じゅうりん)の記憶を呼び起こす事態だ。
 暗黒社会に逆戻りさせてはいけない。
 山城議長らは23日夜に釈放された。本来ならば逮捕、送検するべきではなかった
 辺野古への基地建設に反対する意思表示は県民の民意だ。
 米軍は抗議行動をする市民に指一本でも触れることは許されない

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 ※ 「辺野古反対指導者を米軍が暴力拘束、沖縄は全基地撤去を求める!
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山城議長

   釈放された山城議長との一問一答  2/24  琉球新報

 釈放された沖縄平和運動センターの山城博治議長と記者団との一問一答は次の通り。

 ―2人目も釈放されたが、知っている人か。初めてシュワブゲート前に来た人か。

 「誰だろうと思った。初めて来て、初めて拘束されてびっくりした。
 警察署の中でもカーテンで仕切られて、ほとんど顔も会わせることができなかった。米軍の建物の中で一緒になって以来の再会だ」

 ―不当逮捕と言った理由は。

 「認識があれば、ある程度用意もできるが、機動隊とのせめぎ合いが厳しくなった時、これ以上関係が悪化すれば不測の事態がないとも限らないので、いったん下がろうと言っているところを、後ろから羽交い締めにされて連れて行かれた。
 基地の侵入というなら分かるが、侵入していない。それをみんな見ているはずだ。
 黄色いラインから出ようというわけでもなくて、逮捕されて引きずられるのはほとんど理解できない。
 全くの嫌がらせ逮捕だ
と思った」

 ―倒されてどうなったのか。

 「いったんどこかに座った気がする。そのあと両脚を引っ張られて、フェンスまで引っ張られた

 ―どれくらいの距離か。

 「20~30メートルぐらいかな」

 ―手錠を掛けられた。

 「『フェンス沿いに腰を下ろせ』と言われ、立ったまま手錠を掛けられた
 脚を引っ張ったのは米軍の警備員で、手錠を掛けたのは迷彩服を着た海兵隊員だった。
 海兵隊員に建物の中に連れて行かれた」

 ―警察と地検に何を聞かれたか。どれぐらいの内容を聞かれたか。

 「軍の中に呼び出された時には逮捕状も示さない。
 逮捕状もないから、弁護士呼べとも言えない。向こう(米軍施設内)で『これは一体何の拘束なんだ。不当拘束もいいかげんにしろ』『一体何時間たってるんだ』とずっと言っていた
 逮捕とも言わないし、ただの嫌がらせかと思った。
 機動隊がちょっと拘束することと同じと思って、やがて帰されるだろうと思ってたら、身柄を警察に引き渡すと言われたとき、また外されていた手錠を掛けられて、車に乗せられた。(ゲート前で)赤嶺政賢議員が演説の最中だったから、2時前くらいだったと思うが、その時も逮捕状は示さない
 刑特法の何条違反で、身柄を送致されたので、名護署に連れて行くという簡単なコメントがあった。その時も逮捕状はない。
 名護署にも地検にも、逮捕状を示さないで逮捕はあり得ないと伝えた

 「ここ(名護署)で取り調べられたのは、身上調書、それから事件の調書。
 午前中と午後の早い時間の取り調べは一切黙秘をした。不当逮捕だから答えられないと言った。その後、弁護士接見があって住所氏名くらは言った方がいい、と言われたので住所氏名を言った。
 また、自分の言いたいことは言った方がいいという弁護士のアドバイスがあったので、私はみんなを下げるために中の方にいたのに、回り込んで皆さん下がろうと言ったまでだ。
 その際に後ろから襲い掛かってきた軍の警備員との押し合いの際に脚を引っ張られて、引きずられるように基地の中に連れて行かれた。これが真実だと言った。
 それ以上のことは分からないと警察には伝えた。地検の方でも同じことを伝えた」

 「特に地検が問題にしたのは、軍側が刑特法違反だと伝えたので、私たちがどこに立っていたのか、黄色いラインだったのか、それが内側だったのか、それを盛んに強調していた。
 私が伝えたのは、機動隊と最初、仲間が押された時に激しく抗議した、その際確かに抗議の際に、1歩ほど、半歩ほど中に入ったのは事実だと伝えた。
 しかし2回目は道路側の内側には立っていない。直接の容疑になった際には中には入っていないと伝えた。
 警察に確認をして一応の取り調べを終えたところだ。とにかくラインの内側だったか外側だったかを気にしていた感じだ。
 運動としてラインのことは気を付けますかと聞かれたので、ラインのことは気を付けますと答えた」

 ―県民集会の日に拘束されたことについて。

 「嫌がらせだと思う。軍の海兵隊や軍警が出たのは初めて。
 きょうは県民大会だから警備がやたら厳しいとしか思わなかった。
 もしも県民が怒って基地の中に乱入するのを止めるためにいるんだろうな、としか思えない。
 まさか引っ張るとは夢にも思わなかった
 結果としては、憤る県民の怒りに恐れをなして、もう先制攻撃で、黙らせるようにという行動だったと思うけれど、それはそういかない。
 ますます怒りに火を付ける。何にもしてないのに襲い掛かるなんて、あり得ない。
 軍側がやっぱりよっぽど恐れているとしか思えない。そういう思いがあらためて強くなった」

 ―引きずられた時にけがは。

 「頭だけ気を付けた。ガリガリ引っ張られるので、頭だけ押さえていた

 ―手錠をされた場所はどこか。

 「基地に向かって左側のフェンス。連れて行かれました」

 ―プラスチックの手錠か。

 「金属製の手錠だ

 ―地検が勾留請求をしない理由について、何か言っていたか。

 「勾留する必要がないからだ。書面に勾留する理由がない 釈放と書かれていた
 私と彼は一緒にいたんですよ。拘束された後もずっと私が、何をするにも先に行動していた。
 彼も別々に連れて行かれた。別での聴取もあったようだ。
 彼の取り調べが終わるまで、ずっと部屋にいた。大変なことがあったと思う」

 ―あらためて今後の運動の展開の仕方は。

 「米軍がしゃかりきになってることがよく分かった。つまり私たちの抗議が効いているということだ。
 第3ゲートでのフェンスの囲い込みから始まり、米兵らが出てくるのは今までにない
 よっぽど警戒しないと、いつテントに襲いかかるか分からない。
 昨日捕まった時に、もしかしたら私がいないうちに襲い掛かるのではと気掛かりだった

 運動はさらに警戒が必要だ。用意周到に、彼らに付け込まれない運動が必要だと思う。
 合法的にかつラジカルにしっかり声を上げて運動していきたい
 ーーーーーーーーーーーーー
※ 米軍警備員による暴行拉致監禁、それに協力する警察、4時間も監禁状態を放置し、引き渡されてから取り調べし、送検までするという、売国警察。
 違法な刑事犯罪を犯したなら、現場に30名もいた警官はなんなのだ。
 現場の警察は違法な犯罪行為とは認知しなかったということではないか!

 現場の警察には米軍に説明を求め、身柄を解放させる義務がある。
 日米協力の沖縄暴力支配。
 国民は鈍いが、沖縄県民の意思は明瞭だ。
 決して暴力支配など許さない!
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インフレ政策で貧しくなる勤労国民:中原

 牛丼290
 窮乏化が進む290円の昼飯だが、店員もさらに窮乏化。

   なぜ日本は「米国の失敗」をまねるのか
   インフレで米国の人々は貧しくなった   2/23  中原圭介  東洋経済オンライン

今回のコラムでは、日本銀行による大規模な金融緩和策が本当に正しいのかどうかを、アメリカや日本の経済を比較しながら改めて検証したいと思います。

日銀が大規模な量的緩和を行うのに賛成する経済識者、政治家、メディアなどは、「2%程度のインフレが好ましい。アメリカの経済金融政策を見習ったほうがいい」といった発言をよく主張していましたし、今でもそのように主張しています。

  インフレ政策で、アメリカの一般国民は貧しくなった

しかしながら、私は「経済金融政策は庶民のために行うべきである」と考えているので、彼らが賛美するアメリカの歴史をありのままに検証してみれば、そういった主張の類は明らかに間違っていることが浮き彫りになります。

なぜなら、アメリカのインフレ経済政策は、資源価格の高騰が始まった2000年以降も、住宅バブルが崩壊した2007年以降も、国民の実質賃金を引き下げてきたにとどまらず、格差が拡大していくのを助長してきたからです。

この連載でも過去に取り上げましたが、米労働省および米国勢調査局の統計をもとに、2000年を100とした場合のアメリカの名目賃金と消費者物価指数の推移を振り返ってみると、2013年のアメリカ国民の平均所得は97.9と下がっている一方で、消費者物価指数は135.3と上昇してしまっています。

米国所得物価実質賃金

これがどういうことを意味しているのか、ごく普通に考えれば、おわかりいただけるでしょう。

念のため、日本の厚生労働省が計算しているように、指数化した名目賃金を消費者物価指数で割り返して実質賃金を計算してみると、たった13年間で実質賃金は72.4まで下がってしまっているのです。

グラフを見ていただければ一目瞭然ですが、アメリカ国民の生活が一貫して悪化してきた主な理由は、決して住宅バブル崩壊やリーマンショックのせいだけではありません

アメリカが、「21世紀型インフレ」と「20世紀型インフレ」(この言葉についての説明は2月10日のコラム「なぜ21世紀型インフレは人を不幸にするのか」を参照)の区別が付かずに、インフレ目標政策に邁進してきた当然の帰結であるわけです。

その結果、2013年時点のアメリカでは、国民の名目の平均所得は1995年の水準に戻ってしまっていますが、実質の平均所得はさらに遡って1990年代前半の水準にまで落ち込んでしまっています。

  国民の生活水準は「実質賃金」で考える

私から言わせればどう考えても、アメリカの経済政策は長期トレンドとして実質賃金が落ち始めた1990年代前半から失敗していたと言っても過言ではないでしょう。

国民の生活水準を考える時に、大事なのは「名目賃金」ではなく「実質賃金」です。
このことを否定して、名目賃金のほうが大事であると言っている経済識者がいるとすれば、それは経済のことを語る以前に、物事の道理がまったくわかっていないと言えるでしょう。

それでは次に、厚生労働省の統計をもとに、「21世紀型インフレ」が始まった2000年以降の日本における名目賃金と実質賃金の推移を見てみましょう。

2000年1月の両方の賃金を100として指数化したグラフを見てみると、おそらく「インフレ万歳」と言っている識者たちが決して知らない事実がはっきりと浮かび上がってきます。

日本名目実質賃金

グラフを見ていただければ説明の必要はないかもしれませんが、日本における実質賃金はアメリカのそれとは異なり、アメリカの住宅バブル崩壊とリーマンショックの影響が色濃く出た時期までは、指数は100を起点にして多少上下するだけで、ほとんど下がっていなかったのです。

さらに注目すべきは、リーマンショック前後には指数は最大で4ポイント下がったわけですが、安倍政権誕生後の2年間では最大5ポイントも下がってしまっていたのです。

このうち2ポイントが消費税増税の影響であったとして、それを割り引いたとしても、アベノミクスの失敗理由を消費税増税のせいにすることは極めて難しいでしょう。

そもそも、物価上昇率に占める消費税増税分2%の根拠についても、私はかなり怪しいと考えています。
というのも、この2%の根拠は、物価指数の算出対象となるモノやサービスのうち課税対象となるものが約7割に相当するので、単純に消費税引き上げ分3%×0.7という計算に基づいておよそ2%になるというものだからです。

しかし現実には、中小零細規模の企業になればなるほど、客層が庶民になればなるほど、「3%の価格転嫁」を行っている企業は少なくなっているのです。
日本全体の平均としては、物価上昇分に占める増税分は、2%を大きく下回っているのではないでしょうか。

つまり、物価上昇分に占める2%という公に認められている試算は、過度に見積もられている数字であり、消費増税の悪影響を過大に計算してしまっているわけです。
それは裏を返せば、消費増税分の影響を除いたとしても、2013年~2014年の実質賃金の下落率は相当に深刻な状況にあったということを表しています。

  実質賃金の水準自体の回復が焦点に

これから2015年以降の実質賃金を見ていく場合には、前年の増減率ではなく、実質賃金の水準自体が戻っていくかどうかに注意しなければなりません。
原油価格の下落がアベノミクスの失敗を和らげるため、実質賃金が前年比である程度増えるのは当たり前であるからです。
その意味でも、実質賃金指数そのものが2012年末の水準にどれだけ近づいていくことができるのか、これが2015年~2016年の課題になっていくでしょう。

次回は、リフレ政策を支持する人々が強弁する「アベノミクスによって失業率が低下した」という見解が、いかに間違った見解であるのかを説明したいと思います。

リフレを支持する経済学者たちが、自説の誤りを覆い隠すために確信的にそう言っているだけなら別に構いません。
しかし、それを真に受けてしまう人々が意外に多いという現状に至っては、国の未来にとって由々しき事態となるからです。

最後に、念のため断わっておきますが、私は安倍政権のすべての政策を批判しているわけではありません。
過度な金融緩和は国民を苦しめるので、早くやめたほうがいい」と言っているだけなのです。
 (以下省略)
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ISISと米国軍産複合体イスラエル:田中

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   ISISと米イスラエルのつながり  2/22  田中宇

 シリア南部とイスラエル北部の間にあるゴラン高原は、もともとシリアの領土だったが、1967年の中東戦争でイスラエルに侵攻され、それ以来、イスラエルは同高原の東側の9割の土地を占領している。
 ゴラン高原のイスラエルとシリアの停戦ラインには、停戦維持のため、1974年から国連の監視軍(UNDOF)が駐留している。 (Will Israel enter the Syrian civil war?)

 2011年から、シリアでイスラム過激派を中心とする反政府勢力が武装蜂起して内戦になった後、反政府勢力の一派であるアルカイダの「アルヌスラ戦線」が、ゴラン高原のシリア側でシリア政府軍を打ち破り、支配を拡大した。
 14年前半には、シリア北部でISIS(イスラム国)が支配を拡大したのに合わせ、南部のゴラン高原周辺はアルヌスラの支配地になり、14年夏には、イスラエルとの停戦ラインに沿った地域の大半から政府軍を追い出して占領した。
 アルヌスラは、国連監視軍の兵士を誘拐する攻撃を行い、国連は14年9月、監視軍を停戦ラインのイスラエル側に退却させた。 (Al-Nusra Front captures Syrian Golan Heights crossing)

「アルヌスラ」はアラビア語で「地中海岸地域(シリア、レバノン、パレスチナ、イスラエルにあたる地域)の闘争支援戦線」の意味で、アルカイダのシリア支部だ。
 兵力の多くは、もともとイラクのスンニ派地域で米軍と戦い、米軍撤退後、シリア内戦に転戦し、12年にアサド政権を倒す目的でアルヌスラを作った。
 米政府は同年末にアルヌスラを「テロリスト組織」に指定している。 (New Al Qaeda Video Shows Steady Advance along Israeli Border)

 ISISの前身である「イラクのイスラム国」は、もともとアルカイダの傘下にあり、アルヌスラの同盟組織だったが、13年4月に「イラクのイスラム国」がアルカイダからの独立を宣言した後、両者はライバル関係になったとされ、両者が戦闘したという指摘もある。
 しかし両者は、思想がサラフィ主義のスンニ派イスラム主義で一致し、アサド政権やシーア派、米欧を敵視しする点も一致している。 (al-Nusra Front - Wikipedia,)

 ISISとアルヌスラは、シリア内戦で、イラン(シーア派)傘下のシリア政府軍、イラク民兵、ヒズボラ、米欧に支援されたクルド軍などと継続的な戦闘に直面しており、相互に仲間割れして戦う余裕がない。
 両者は、敵対するライバルのふりをしているが実は味方で、対立する別々の組織を演じる策略をとっている可能性がある。
 米国の駐シリア大使だったロバート・フォードは最近「アルヌスラはISISと見分けがつかない組織だ」「シリア反政府勢力の中には似たような組織が多すぎる」「反政府勢力の大半は過激派であり(米欧が支援していることになっている)穏健派はほとんどいない」と指摘している。 (Former Ambassador Robert Ford Admits "Conspiracy Theorists" Were Right - Jihadists Are Majority Of Rebels)

 そんなアルヌスラが昨夏以来、シリア政府軍を撃退してゴラン高原西部を占領し、国連監視軍を押しのけてイスラエルと対峙している。
 アルヌスラはイスラエルを敵の一つに名指ししている。
 イスラエルとアルヌスラの戦争が始まるのかと思いきや、その後の展開はまったく正反対のものになった。
 国連監視軍が14年末に発表した報告書によると、イスラエル軍は、ゴラン高原の停戦ライン越しに、アルヌスラの負傷した戦士を受け入れてイスラエル軍の野戦病院で手当したり、木箱に入った中身不明の支援物資を渡したりしている
 国連監視軍が現地で見たことを報告書にしたのだから間違いない。 (Report of the Secretary-General on the United Nations Disengagement Observer Force for the period from 4 September to 19 November 2014) (New UN report reveals collaboration between Israel and Syrian rebels) (UN reveals Israeli links with Syrian rebels) (UN Peacekeepers Observe IDF Interacting With Al Nusra in Golan)

 イスラエルが停戦ライン越しにアルヌスラを支援するようになったのは13年5月からで、それ以後の1年半の間に千人以上の負傷者をイスラエル側の病院で治療してやっている。
 イスラエル側は、シリアの民間人に対する人道支援と位置づけているが、負傷者はアルヌスラの護衛つきで送られてくるので、民間人でなく兵士やアルヌスラの関係者ばかりと考えられる。
 イスラエルのネタニヤフ首相は14年2月にゴラン高原の野戦病院を視察しており、これは政府ぐるみの戦略的な事業だ。
 国連監視軍は14年6月にも、イスラエルがアルヌスラを支援していると指摘する報告書を出している。 (UN Finds Credible Ties Between ISIS And Israeli Defense Forces) (Israel Is Tending to Wounded Syrian Rebels) (Report of the Secretary-General on the United Nations Disengagement Observer Force for the period from 11 March to 28 May 2014)

 ゴラン高原のイスラエル側とシリア側をつなぐ道路は、クネイトラという町(廃墟)を通る1本だけだが、この道は14年8月末からアルヌスラの支配下にある。
 イスラエルは、この道を通って、夜間などにいくらでもアルヌスラに支援物資や武器を送れる
 クネイトラ周辺にいた国連監視軍は、アルヌスラに脅されてイスラエル側に撤退した。
 監視軍が見て報告書に書いたのは、イスラエルとアルヌスラの関係性の中のごく一部だけと考えられる。 (Syrian rebels, al Qaeda-linked militants seize Golan Heights border crossing)

 未確認情報で作り話の可能性があるが、ISISが米軍の輸送機C130を持っていて、それがイスラエルのゴラン高原の道路を使った滑走路に離着陸し、イスラエルから物資を受け取っているとか、同じC130がリビアまで飛び、リビアのイスラム過激派の兵士や武器を積んでキルクークやコバニの近くまで運び、劣勢だったクルド軍との戦闘を挽回したなどという話もある。 (Obama Leaks Israeli Nuke Violation Doc Before Bibi Visit)

 米軍は13年から、ヨルダンの米軍(ヨルダン軍)基地で、シリア反政府勢力に軍事訓練をほどこしている。
 アルカイダやISIS以外の「穏健派勢力」に訓練をほどこす名目になっていたが、かなり前から「穏健派」は、米欧からの支援を受けるための窓口としての亡命組織のみの看板倒れで、米軍が訓練した兵士たちは実のところアルヌスラやISISだった(米軍はそれに気づかないふりをしてきた)。
 シリアからヨルダンの米軍基地への行き帰りには、ゴラン高原のイスラエル領を通っていたと考えられる(他のシリア・ヨルダン国境はシリア政府軍が警備している)。 (Assad: US idea to train rebels illusionary)

 ヨルダン空軍のエリートパイロットがISISに焼き殺され、世論が激昂する中で、自国内で米軍にISIS訓練を許してきたヨルダンの姿勢を変えようとする動きが起きている。 (Did Jordan Train The ISIS Fighters Who Burned Their Pilot Alive?)

 イスラエルとシリアのゴラン高原の停戦ラインは、シリア内戦で米イスラエルがアルヌスラやISISを支援するための大事な場所になっている。
 昨年末以来、シリア政府軍と、それを支援するヒズボラやイランの軍事顧問団(要するに「シリア・イラン連合軍」)は、ゴラン高原の停戦ラインに近い地域をアルヌスラから奪還しようと、攻撃を仕掛けている。 (With Iran's help, Assad expands Golan offensive)

 シリア・イラン連合軍を食い止めるため、イスラエル軍は1月末に無人戦闘機をシリア領空に飛ばし、ゴラン高原近くのシリア政府軍の拠点を空爆した。
 ヒズボラ兵士や、イランから来ていた軍事顧問も殺された
 イスラエルがシリア領内を空爆するのは非常にまれだ。
 シリア・イラン連合軍が優勢になり、アルヌスラがイスラエルに空爆をお願いした結果と報じられている。
 シリア政府は「イスラエル空軍は、アルカイダの空軍になった」と非難した。 (Southern Syria Rebels Ask Israel to Attack Army, Hezbollah Positions) (Assad: Israel is Al-Qaeda's Air Force in Syria)

 イスラエルがアルヌスラやISISを支援する経路としてゴラン高原の停戦ラインを使っているので、シリア・イラン連合軍が停戦ラインをアルヌスラから奪還しようと試み、それを防ぐためにイスラエル軍がシリア・イラン連合軍を空爆したのに、
 ワシントンポストなど米国のマスコミは「ヒズボラがイスラエルを攻撃しそうなので先制的に空爆した」と、わざと間違ったことを書き、読者に実態を知らせないようにしている。 (Hasbara happenings: US media again propagandises for Israel) (Tensions rise between Israel and Hizbollah)

 元米軍大将のウェスリー・クラークは最近、米国のテレビに出演し「ISISは当初から、米国の同盟諸国や親米諸国から資金をもらってやってきた。(親米諸国が支援した理由は)ヒズボラの台頭をふせぐためだった」と語っている。
 ヒズボラの台頭を最も恐れているのはイスラエルだ。
 クラークは複数形で語っており、イスラエルだけでなくサウジアラビアなどペルシャ湾岸産油諸国のことも示唆していると考えられる。 (General Wesley Clark: "ISIS Got Started Through Funding From Our Friends & Allies")

 サウジは以前、米国に頼まれて、シリア反政府勢力を支援していた。
 米国が10年にシリアのアサド政権を許すことを検討した時、サウジはいち早くアサドを自国に招待して歓待し、和解した。
 しかしその後、米国が再び反アサドの姿勢を強めたため、サウジも反アサドに転じた。サウジのシリア政策は、対米従属の一環だ。
 米国がアルカイダやISISを支援したから、サウジも支援した。
 しかしISISは14年11月、イラクとシリアを「平定」したら、次はサウジに侵攻し、メッカとメディナを占領すると宣言する動画を発表した。
 メッカの聖職者は、ISISを最大の敵だと非難し返した。 (Islamic State sets sights on Saudi Arabia)

 サウジ政府はその後、イラクと自国の千キロの砂漠ばかりの国境線に、深い塹壕や高い防御壁からなる「万里の長城」の建設を開始し、ISISが国境を越えて侵入してくるのを防ぐ策を強化した。
 今やISISは、サウジにとって大きな脅威であり、支援の対象であり続けていると考えられない。
 サウジは以前、米国に頼まれてISISに資金援助していたが、すでに今は支援していないと考えるのが自然だ。 (Revealed: Saudi Arabia's 'Great Wall' to keep out Isil) (War with Isis: If Saudis aren't fuelling the militant inferno, who is?)

 もしISISやアルヌスラがアサド政権を倒してシリアを統一したら、ゴラン高原を本気で奪還しようとイスラエルに戦争を仕掛けてくるだろう。
 サウジだけでなくイスラエルにとっても大きな脅威になる。
 だが米国やイスラエルは、アルヌスラやISISを支援する一方で、彼らがアサド政権を倒してシリアを統一できるまで強くならないよう制御し、彼らの間の分裂や、米欧による空爆も行い、シリアの内戦状態が恒久化するように謀っている
 こうすることで、イスラエルは自国の北側に敵対的な強国ができないようにしている。 (敵としてイスラム国を作って戦争する米国)

 米国の上層部では、オバマ大統領が、自国の中東戦略がイスラエルに牛耳られ、馬鹿げたイラク侵攻を起こした体制からの脱却を望み、イラクからの軍事撤退を強行した。
 国防総省や議会など軍産複合体がイスラエルと同じ立場で、イラクからの軍事撤退に反対し、オバマが撤退を強行すると、次は過激派にISISを作らせて支援し、米軍が中東の軍事介入から脱却できないようにした。
 オバマは、軍産イスラエルが、シリアやイラクの混乱を恒久化するため、ISISやアルヌスラを強化しているのに対抗し、米軍の現場の司令官に直接命令して「ISISと戦うふり」を「ISISを本気で潰す戦い」に変質させようとしている。 (◆イスラエルがロシアに頼る?)

 イスラエルの軍司令官は昨秋、オバマの「本気に戦い」に反対を表明し「ISISは(米イスラエルの敵である)ヒズボラやイランと戦ってくれる良い点もある。ISISの台頭をもう少し黙認すべきであり、本気で潰すのは時期尚早だ」と表明している。 (West making big mistake in fighting ISIS, says senior Israeli officer)

 オバマは、軍産イスラエルの策動によってイランにかけてきた核兵器開発の濡れ衣が解かれ、イランが経済制裁を解かれて強くなり、ISISを潰せる力を持つよう、イランとの核交渉をまとめようとしている
 すでにイランは、ISISと本気で戦う最大の勢力だ。
 イランがISISと戦うためイラクで組織したシーア派民兵団は10万人以上の軍勢で、兵力5万のイラク国軍よりずっと強い。 (Iran and west narrow gap in nuclear talks) (Pro-Iran militias' success in Iraq could undermine U.S.) (Iran eclipses US as Iraq's ally in fight against militants)

 こうした展開は、イスラエルにとって脅威そのものだ。
 ネタニヤフ首相は米政界に圧力をかけ、3月に訪米して米議会でイランを非難する演説を行い、オバマに圧力をかけようとしている。
 しかしこの策は、イスラエルが米国の世界戦略を隠然と牛耳ってきた状態を暴露してしまい、逆効果だ。
 米国のマスコミは、イスラエルに逆らった議員が落選させられてきた米国の歴史を報じ始めている。 (Benjamin Netanyahu Is Playing With Fire)

 オバマはイスラエルに報復する意味で、米国がイスラエルの核兵器開発に技術供与したことを書いた1980年代の国防総省の報告書「Critical Technology Assessment in Israel and NATO Nations」を機密解除して発表した。
 米国は、イスラエルが秘密裏に核兵器を開発していたことを正式に認めたことになる。 (US helped Israel with H-bomb - 1980s report declassified) (Critical Technology Assessment in Israel and NATO Nations)

 パキスタンで戦士の勧誘を手がけてきたISISの幹部が、パキスタン当局に逮捕され、自白したところによると、米当局はISISが一人戦士を勧誘するごとに、旅費などとして500-600ドルをISISに渡すことを繰り返してきたという。
 ISISやアルカイダは、米イスラエルが育ててきた勢力だ。 (Islamic State (ISIS) Recruiter Admits Getting Funds from America) (Islamic State operative confesses to receiving funding through US - report)

 イスラエルは米軍(米欧軍)が中東に駐留する状況を恒久化するため、米の軍産複合体はこのイスラエルの策に乗って米軍事費の肥大化を恒久化するため、ISISやアルカイダを操って跋扈させ、シリアやイラクを恒久的に内戦状態にする策を展開している。
 軍産イスラエルとISISやアルカイダは同盟関係にある。 (イスラム国はアルカイダのブランド再編)

 この事態を打破し、中東を安定化し、米軍が撤退できる状況を作るため、イランやアサド政権やヒズボラのイラン・シリア連合軍と、オバマは同盟関係にある。
 イランの背後にいるロシアや中国も、この同盟体に入っている。
 シリア内戦の解決策として最も現実的なのは、アサド政権と反政府勢力の停戦を大国が仲裁することだが、それをやっているのはロシアだ。
 米「政府」はロシアの仲裁を支持している。また中国は以前、中東の国際問題に介入したがらなかったが、最近ではイランの核問題の解決に貢献する姿勢を強めている。
 事態は、不安定化や戦争を画策する軍産イスラエル・米議会・ISISアルカイダ連合体と、
 安定化や停戦を画策するイラン露中・アサド・ヒズボラ・オバマ連合体との対立になっている
。 (Kerry Supports Syrian Peace Talks in Russia) (China's foreign minister pushes Iran on nuclear deal)

 日本は先日、2人の国民がISISに殺された。戦後の日本人は、戦争を好まない民族だったはずだ。
 本来なら、ISISを本気で潰して中東の戦争を終わらせて安定化しようとするイラン露中・アサド・ヒズボラ・オバマ連合体の一員になってしかるべきだ。
 しかし最近の日本は、オバマの大統領府でなく、軍産イスラエル複合体に従属する国になっている(ドイツなど欧州諸国も同様だ)。

 ISISが日本人2人を殺すと脅迫した事件は、安倍首相が、ISIS退治に2億ドル出すと表明しつつ、ちょうどイスラエルを訪問している時に起きた。
 イスラエル政府は、ISISが日本人を殺そうとしていることを非難し、日本と協力してISISと戦うと表明した。
 しかしイスラエルは実のところ、裏でISISやアルヌスラを支援している。 (安倍イスラエル訪問とISIS人質事件)

 2人殺害の事件が起きるまで、日本のマスコミはISISについてあまり報じなかった。遠い中東で起きている複雑な背景の現象だから、報道が少ないのは当然だった。
 だが事件後、テレビは毎日必ずISISのことを報道する。
 これは911後のテロ戦争と同様、米国(軍産)主導の新たな国際体制を作ろうとする時のプロパガンダ策のにおいを感じる。

 軍産イスラエルは、自分たちが支援しているISISが日本人やヨルダン人や米英人やエジプト人らを次々と殺害し、世界がISISとの戦争に巻き込まれ、中東に軍事関与せざるを得ない事態を作ることで、911以来14年経って下火になってきた、テロリストが米国の世界支配を維持してくれる「テロ戦争」の構図を巻き直そうとしている
 イスラエルは、オバマやEUなど、世界から敵視を強められている。それに対抗する策としてISISは便利な存在だ。

 安倍首相のイスラエル訪問は、安倍がイスラエル現地で会ったマケイン米上院議員ら、米政界の軍産イスラエル系の勢力からの要請を受けて行われた(イスラエルはパレスチナ問題で欧州に経済制裁される分の投資や貿易を日本に穴埋めさせたい)。
 安倍は軍産イスラエルに頼まれてイスラエルを訪問し、訪問とともにISISに人質事件を起こされ、軍産イスラエルの新たなテロ戦争に見事に巻き込まれた。
 日本は、ISIS人質殺害事件を機にイスラエルとテロ対策で協調を強めようとしているが、これは防火体制を強化する策を放火魔に相談するのと同じで、とても危険だ

 今のイスラエルの危険さは、国際的に追い詰められている点にある。
 イスラエルは国際政治力に長けていて謀略の能力が高い。
 対照的に戦後の日本は、対米従属の国是をまっとうするため、国際政治や謀略の技能を自ら削ぎ、国際情勢に無知な、諜報力が欠如した状態を、意図して維持してきた
 そんな無知な日本が、追い詰められた謀略国イスラエルに、のこのこと接近している。
 ひどいことにならないことを祈るしかない。
 ーーーーーーーーーーーーー
※ 関連ページ。

軍産複合体とは?国際金融資本の凶暴な片割れ
軍産複合体とは?アシュケナディムとシオニスト
日本は偽の対ISIS有志連合に加わってはいけない:イラン
クラーク将軍:ISISは米国NATO、中東の同盟国、友好国が作ったものだ
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