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もうすぐ北風が強くなる

ヒズボラ、イスラムを侮辱し、シオニスト犯罪に貢献するISIS

ヒズボラ_ナスララ
 ヒズボラ議長ハッサン・ナスララ氏

   ヒズボッラー、日本人人質の殺害を非難  2/2  イラン国営放送

レバノンのシーア派組織ヒズボッラーが、テロ組織ISISによる日本人の2人の人質の殺害を非難し、この組織の犯罪は、イスラムを侮辱し、敵であるシオニスト政権イスラエルに貢献するものだとしました。

ファールス通信によりますと、ヒズボッラーは1日日曜、声明を発表し、「この行為は、ISISの思想に犯罪が定着していることを示しており、この組織は、自らの行動によって世界でイスラムとイスラム教徒が侮辱される要因となっており、パレスチナにおけるシオニスト政権の犯罪を隠蔽することになった」と語りました。

イラクのアバディ首相は1日日曜、声明の中で、日本人人質を殺害したISISの犯罪行為を非難し、日本の政府と国民に対する連帯を表明しました。
アバディ首相は、「今回のISISの残忍な犯罪により、国際社会は、テロ対策のために更なる協力と調整を行う必要がある」と述べました。

国連安全保障理事会も、1日、声明の中で、日本人の人質の殺害を非難し、「この問題は、イラクとシリアでのジャーナリストに対するISISの脅威が日々拡大していることを示すものだ」としています。

ISISは、1日、日本人の人質の湯川遥菜さんを殺害したおよそ1週間後、2人目の人質の後藤健二さんを殺害しました。
ISISは、後籐さんと、ヨルダンの刑務所に収監されているイラク人女性のリシャーウィ死刑囚交換のための期限が切れた後、後藤さんを殺害しました。
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武力参戦の道へ引きずりこむな

 習志野自衛隊

   武力参戦の道引きずりこむな 自衛隊動員企む米国の意図  1/30  長周新聞
               
 「イスラム国」による人質事件をきっかけにして、流動化する中東情勢が日本社会にとっても対岸の火事では済まないところへきている。
 「イスラム国」撲滅を掲げる有志連合に日本を加え武力参戦させたいアメリカは、この間、日本政府の独自判断を許さず、「身代金要求に応じるな」「テロ集団との人質交換には応じるな」等等、事態がこじれる方向にばかり誘導してきた。
 オバマ政府は昨年5月、外交・安全保障政策について米国に直接的に影響を及ぼす場合以外は、軍事行動を最小限にとどめ、同盟国の対処能力を向上させて解決を図るという外交姿勢を打ち出した。
 今回の中東対応についても、人質事件をもっけの幸いにして自衛隊を中東の戦火に引きずり込み、他国の軍事力によってアメリカの中東覇権を守るという意図を貫いている。
 その強烈な要求に押されるようにして安倍政府が「自衛隊派遣」を口にし始め、国会で集団的自衛権の行使を可能にする安保法制が審議入りする動きとなっている。
 
  米英仏に口実与える残虐テロ

 人質になった2人が何者であれ、今回の事件の直接の引き金を引いたのは、まぎれもなく安倍首相の中東外遊だった。
 イスラエルやヨルダンなど対「イスラム国」有志連合に参加する国国を渡り歩いて紛争地域の矛盾に割って入り、撲滅資金を提供したことから、報復として殺害予告にまで発展した。
 昨年夏以後に二人が捕まっていたことや、身代金要求が家族のもとに突きつけられていたことを承知しながら、あえて刺激を与えて「邦人の命」を危険にさらす振る舞いとなった。

 原因をつくった首相なり大臣のなかから身代わりになる者などおらず、事件発生後は大急ぎで中東から帰国し、「テロには屈しない」「人命第一」をくり返すばかりとなった。
 傍らでは2億㌦の身代金要求に対して、米国から「テロ集団に資金を提供することにつながる」と釘を刺され、要求が人質交換に切りかわってからも「テロ集団の要求に応じるべきではない」とその度に圧力が加えられてきた。

 そのなかで驚かせたのは、火の粉を撒いた安倍首相本人が、「この(人質事件)ように海外で邦人が危害にあったとき、自衛隊が救出できるための法整備をしっかりする」と主張し始めたことで、自衛隊の海外派遣に道を開くために今度の事件を政治利用する姿勢を見せていることである。
 外遊での軽率な振る舞いを反省するわけではなく、むしろ火に油を注ぐような行動に出ている。

 集団的自衛権の行使や米軍と自衛隊との一体化米NSCと日本版NSCの連携など、この間、日米両国が進めてきた戦争体制を一気に具体化しようとするもので、人質事件がそのきっかけになろうとしている。
 ここで対テロ戦争に引っ張り込まれるなら、日本国内もアメリカやカナダ、フランスと同じようにテロの標的にされ、「邦人の命」は現在よりももっと危険にさらされることになる。
 また、中東に駆り出される自衛隊員は、アメリカの覇権を守るために死ななければならないというデタラメ極まりない道である。

 この間、ボストンマラソンやフランスにおける新聞社襲撃事件など各地で過激テロが頻発して起こり始めた。
 フランスはそれを理由にテロとの戦争を叫んで武力参戦に踏みだした。
 アメリカは国力の衰退が著しいなかで軍事力を縮小させ、各国の軍事力を動員しようと必死に有志連合を呼びかけてきた。
 これに日本が加わるか否かは大きな問題で、戦後70年間貫いてきた国是を投げ捨てさせ、一歩踏み込ませて武力参戦させる、米軍の鉄砲玉にするものにほかならない。

  ムスリムを危険に晒す「イスラム国」の存在

 中東で米国の支配力が弱まり、イラクでは統治が崩壊して手がつけられない状態が広がっている。
 シリアやレバノンなど一帯で武装斗争が激しさを増し、さらにウクライナ、アフリカなど米軍が抱えきれないほど各地でその権益を脅かす反抗に直面している。

 「イスラム国」の台頭は、直接にはアメリカのイラク侵略とその後の統治失敗から発生したものである。
 反米であるか否かや信仰、主張の是非は別として、民間人を巻き込んでくり返される残虐なテロや人質の斬首という行為については、決して許されるものではない。

 そのテロや人殺しはアラブ諸国の欧米支配からの解放にとっては逆に害になるだけで、有志連合による武力攻撃の口実を与える効果にもなっている。
 全世界のイスラム教徒にとって風当たりが強いものになり、抗議の声明もあいついで出されている。
 「イスラム国」ではとてもアラブ世界を団結させることなどできず、むしろ米英仏を利している点について無視することはできない。

 アメリカは九9・11をきっかけにして対テロ戦争に踏みだし、アフガン侵攻、イラク戦争へと突き進んだ。
 この口実を与えたのはCIAが育てたビンラディン率いるアルカイダだった。
 民間人虐殺をいとわぬやり方が非難を浴び、戦争狂いのブッシュ政府やネオコンが「対テロ」戦争を正当化し、戦意を煽る道具にしていった。
 それとまったく同じことがやられ、「イスラム国」が人質の首を斬首すればするほど世界中の人人に嫌悪感を抱かせ、結果として有志連合によるアラブ世界への武力攻撃、軍事的な抑圧を正当化するものとなっている。

 もともと中東の問題は、米英仏の100年以上にわたる植民地支配とアラブ民族の矛盾が根底にある。
 第1次世界大戦後、ドイツ・オーストリアなど同盟国側で参戦したオスマン帝国は、イギリス、フランスなどの連合国に敗北し、その支配領域は幾つも分割されて植民地支配下に置かれた。
 イギリス、フランスによる分割統治のもとでアラブ人としての単一国家にまとまることは阻まれ、複数に分裂して独立斗争をたたかって独立を成し遂げたり、あるいはクルド人のように国家を得られずに少数派として存在するなど、複雑な100年を歩んできた。
 1916年、ちょうど99年前に結ばれた「サイクス・ピコ協定」でとり決めた分割統治が、現在にいたる中東の混乱をつくり出してきた

 中東での覇権を目論んでいた当時のイギリスはオスマントルコとの戦争を有利に進めるために、原住民だったアラブ人に対しては「イギリスに協力して戦うなら、パレスチナを含むアラブ国家の独立を認める」と約束して対オスマントルコ戦争に動員し、一方でユダヤ人から資金を提供してもらうために、当時イギリスのユダヤ人指導者だったロスチャイルド卿との間で、「軍資金を提供してもらえるならパレスチナへのユダヤ人国家の建設を支援する」と約束を交わすなど二重外交をやった。
 ところが、戦争が終わってみると、イギリスはフランスともオスマン帝国領分割に関する密約を交わしていた。
 アラブ人との約束を反故にして、旧オスマン領を英仏露の3カ国で分割するというデタラメをやった。

 その後、ユダヤ人たちがなし崩し的にヨーロッパから入植してパレスチナ人を追い出して建国したのがイスラエルで、第二次大戦後はイギリスが衰退して力を失う過程でアメリカが台頭し、アイゼンハワー・ドクトリンなど中東戦略を展開してイスラエルにテコ入れしてきた。
 イスラエルとアメリカは軍事的、政治的なつながりが濃厚で、世界的には一心同体と見なされてきた。
 戦争がしたくて仕方ないネオコン勢力、米国の軍需産業ともきわめてつながりが深く、米国製の武器を調達してはパレスチナやアラブ諸国を相手に武力攻撃をくり広げ、アメリカの覇権を守る中東の砦として機能してきた。

 アラブにおいて、こうした100年以上にわたる欧米列強の支配のなかで貧困や抑圧があり、反抗が不断に起きる最大の要因となっている。
 力を失ったアメリカになりかわって、そのお先棒を担ぐために、親日的といわれてきたアラブ諸国を敵に回してイスラエルに荷担したり、その覇権を守るために顔を突っ込むことがいかに愚かな道であるかは言を待たない。

 集団的自衛権の行使が、人質事件を一つの契機にして迫られている。
 米軍の傭兵にされるのは自衛隊である。
 しかし、ここぞとばかりに「対テロ戦争」や自衛隊派遣が叫ばれても、今回の人質事件の火種をまいたのは誰の目から見ても首相本人であり、みずからが出向いて身代わりになるなり、交渉の前面に立つなりしなければ、自衛隊員に「死んでこい」といえるものではない。

 戦後70年にわたって、いかなる国際紛争も武力参戦ではなく話しあいで解決することを国是として日本は世界から信頼を勝ち得てきた
 アラブ諸国からは、欧米列強による植民地支配とたたかってきた歴史が重ねられ、アメリカに原爆を投げつけられた後も復興に立ち上がっていった民族として親近感を持たれてきた。
 この親日感情を踏みにじり、戦後70年の歩みを覆して中東に踏み込むなら、事は中東にとどまらず、果てしもなくアメリカの駒として世界中の紛争地帯に連れ回され、「邦人の命」を危険にさらすことになる。

 日本社会の未来を左右する重大な分かれ道にきている
 ーーーーーーーーーーーー
※ 長周新聞の主張に同意、同感する。
70年間平和だった日本、戦争に加担するかの分水嶺に立つ日本:山田
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中原圭介インタビュー「これから日本で起こること」

    「これから日本で起こること」とは何か?  2/2  東洋経済オンライン

  経済予測を的中させるための4つのポイントとは?

三井:中原さんのこれまでの著書や東洋経済オンラインの記事を読ませていただいたのですが、最近も「シェール革命によって、原油価格が大幅に下落すること」や「その結果としてロシアをはじめ資源国の経済が打撃を受けること」、「アメリカ経済の復活とドル高の進行」、「欧州経済が長期低迷すること」などを見事に予想されています。どうして的確に将来を見通すことができるのでしょうか?

中原:あえて挙げるとすれば、4つのポイントを意識しているからだと思います。

1つめは、「物事の本質とは何か」ということを、常に突き詰めて考えるようにしていることです。

私が考える本質とは、「物事の根本となる性質」という辞書に載っている意味に加えて、昨今の流動化が激しい時代で見通しにくい物事についての「構造」「正解」「真相」といった意味合いを多分に含んでいます。

この点について、ここ数年で特に気になっているのは、経済をガチガチに学んできた識者のなかには、経済の本質を見抜くという以前に、物事の道理や本質を踏み外して考えている方々が多いということです。

それでは、経済の予測において精緻性を保てるわけがなく、2014年7-9月期のGDPショックのようなことが起こってしまうのです。

2つめは、「歴史の教訓をどのように生かすのか」ということです。

歴史学においては、過去に起こった出来事を単なる知識としてだけではなく、その出来事が起こった理由や時代背景、条件、状況、その当時の人々の価値観、その出来事の与える影響などを分析することが、とても重要とされています。

そういった分析力を磨くことによって、将来的に同じ出来事が起こるのか、起こらないのかを予測することができるようになります。

ところが、世界的に著名な経済学者であっても、過去の歴史と現在の出来事の比較がまったくできていないのです。
「あのとき、この政策で成功した」と単純に歴史的な出来事を並べてその真似をするだけなら、誰でもできることです。

三井:私のような株式アナリストは、どうしても短期の視点にばかり目が行きがちですが、大きな視点というか、大局的に物事を視ることが大切なわけですね。

中原:ええ。その通りです。3つめは、自然科学的な発想を取り入れながら、経済を見るようにしていることです。経営コンサルタントや経済アナリストを生業とするのであれば、経営学や経済学に精通していれば大方は問題ないのではないかと、多くの方々が思われるかもしれません。

ところが、私が実際にアドバイスをする場合は、社会科学系の学問の発想をすることよりも、人文科学系や自然科学系の学問の発想をしていることのほうがずっと多いのです。
物事の本質を見極めながら、高いレベルのアドバイスをしようと心がけると、どうしてもそのような発想に行き着いてしまうわけです。
とくに経済を俯瞰する時には、地質学や気象学などの知見を無意識的に使っていることが多いと思います。

たとえば、地殻のひずみが限界を超えると大きな地震が発生しますが、経済のメカニズムも同じです。
経済的なひずみ=不均衡が限界を迎えると、大きな経済危機が生じることになります。
バブルの崩壊などは一番わかりやすいケースです。

そして、4つめは、経営者の視点で経済を見るようにしていることです。現実の経済は、経済学の理論どおりにはなかなか動いてくれないものです。
なぜなら、経済は主にビジネスの現場が動かしているのであって、企業の経営者は合理的でない経済の理論など当てにはしていないからです。

実際の経済はビジネスの世界で動いているのであり、ビジネスのルールや前提が変われば、当然のところ経済の中身も変わっていきます。
経済は生き物のように、刻一刻と変化しています。
それに伴って、企業の経営も確実に変化してきています。
したがって、企業がこれからの経営戦略を考える時に、2000年あるいは2010年の時に取った戦略と同じ戦略を安易に選択することはありません

ですから私は、経済学者と呼ばれる先生たちは経済学という狭いフィールドに閉じこもることなく、ビジネスの現場や企業経営の現場を積極的に学ぶ必要があるのではないかと考えています。

  原油が半値になると予想できたワケ

三井:今でこそ原油価格の動向が注目されていますが、中原さんは『シェール革命後の世界勢力図』(ダイヤモンド社・2013年6月刊)やその他の著書でも、原油価格は半値になると予想されていました。2013年の段階でなぜそのように予想できたのですか?

中原:その予想を書いた当時(2013年春)は、OPECが原油需要の将来見通しを上方修正するなど、世界の名だたる主要機関が原油価格の上昇トレンドは変わらないという見通しを立てていました。
しかし、経済はビジネスの現場で動いているという視点から、経済的合理性や企業経営の視点、需給関係などから総合的に判断すると、原油価格は下がらざるを得ないという結論にしか達しなかったのです。

たしかに、シェール革命による供給過多がもたらす原油安のトレンドについては私の想定どおりであったと言えると思います。
ただし私にも誤算だったのは、WTI原油価格が70ドルまで下落してきても、OPECによる減産の対応がなされなかったということです。
そのために、下落のペースが予想していた以上に速くなってしまい、私が想定していた時間軸の半分くらいで半値になってしまいました。

いずれにしても、サウジアラビアとアメリカの原油における覇権争いは、現時点の世界情勢から判断すると、アメリカに有利であると言わざるをえないでしょう。
原油安は過去のケースでもアメリカ国内で消費増加をもたらしており、アメリカ経済にはプラスに働くこととなるからです。
その一方で、サウジアラビアは財政均衡を達成できる原油価格が80ドル前後であり、長期戦に持ち込むほど中東の地政学リスク(北はイスラム国、南はイエメンに挟まれて軍事費の増額が求められている)が重荷になってくるのは避けられそうもありません。

経済の視点からだけでなく、地政学的な視点から見ても、明らかに原油戦争ではアメリカが有利な状況にあるわけです。
その結果、今後はアメリカ経済の一人勝ちの様相が強まっていくでしょう。

三井:国内の出来事では「円安によって日本の貿易赤字が膨らむこと」や「円安によって輸出は増えないこと」、「日本経済は2014年にかなり厳しい局面に陥ること」、「安倍首相は2015年予定していた消費増税を断念すること」などを事前に予想されていましたが、まったくその通りになっていますね。やはり、アベノミクスは上手く行かないのでしょうか?

  アベノミクスは、最初から間違っていた

中原:私が先ほど述べた4つの視点から申し上げると、そもそもアベノミクスは失敗したというよりも、最初から間違っていたと考えるのが自然な回答になると思います。

というのも、経済の質は、刻一刻と変化しているからです。そもそもクルーグマンが唱える「インフレ目標」は、15年以上も前に述べられた理論です。
ところが、2000年代に経済のグローバル化が加速するなかで、資源価格が高騰することによって「21世紀型インフレ」が始まってしまいました。

実際の経済はビジネスの世界で動いているので、ビジネスのルールも資源価格の高騰を前提にしたものに変わらざるをえなくなる。
当然のところ、企業の対応も変化せざるをえなくなり、経済の中身も変わっていくということになる。
だから、資源エネルギー価格が高騰する前の時代の理論を、今の時代にそのまま当てはめた経済政策が成り立つわけがなかったのです。
ですから、結果は最初から見えていたわけです。

ただし、私は「安倍首相は本当に運の良い人だ」と思っています。
なぜなら、原油価格の急落が想定していたよりも早く訪れたために、この原油急落がアベノミクスによる景気低迷や国民生活の痛みを緩和してくれるだけでなく、アベノミクスの失敗から政権が退陣に追い込まれるリスクまでも軽減してくれるからです。

三井:実は、私の周りにはアベノミクスを評価している人もいまして、アベノミクスに対してはどう評価してよいのかわからないのですが、中原さんがおっしゃるように日本の経済政策が間違った方向に進んでしまっているとすれば、なぜそうなってしまったのでしょうか?

中原:おそらくはリフレ派と言われる人々は経済学の権威を後ろ盾にして、思考停止の状態に陥ってしまっているのでしょう。

実は、これと同じような現象は中世から近世にかけての西ヨーロッパの歴史にも見ることができます。
ルネサンスが起こる14世紀以前の西ヨーロッパは、経済的な繁栄においても学問のレベルにおいても、アラビア半島や中国に大きく劣っていました。
それは、キリスト教における神の権威があまりに強かったために、自然科学や技術の発達が著しく妨げられてきたからです。

西ヨーロッパがあらゆる面においてアラビア半島や中国を追い抜き文明的に圧倒的な差を付けたのは、18世紀から19世紀にかけての時代になってからのことです。
この時代の西ヨーロッパは、産業革命の影響で急激に近代化した時代、フランス革命の影響で自由主義が広がった時代でありますが、その時代の原動力となったのは自然科学を裏付けとした技術力の向上だったのです。

しかし、それ以前のヨーロッパでは、神の教えが記された聖書が唯一絶対の真理であると考えられていたので、キリスト教は人々の思想だけでなく、政治や学問までも支配していたのです。
それゆえに、聖書の内容と矛盾する学説や教会と真っ向から対立する学説は、たとえ科学的に裏付けられた学説であったとしても、社会的に抹殺または迫害される傾向が強かったわけです。

要するに、西ヨーロッパの社会では絶対的な神の権威を信じるあまりに、学問における思考が停止している状態に陥っていたわけですが、現代の経済学においても、アメリカの主流派経済学を信じる識者のあいだでは、絶対的な権威を前にして思考の停止が起こっているように思えてなりません。

ポール・クルーグマンやベン・バーナンキなどの権威の前に、リフレ派と呼ばれる識者たちは自分で歴史やデータを客観的に分析する行為そのものを敬遠してしまっているに思われます。

リフレ派の識者たちの言質で私がいつも気になっているのは、「クルーグマンは……と言っている」とか「バーナンキは……と言っている」とか「世界基準では……である」といった言い回しを多用する傾向が顕著に見られることです。
リフレ派の識者たちは経済学の権威の前に思考停止の状態に陥ってしまっているために、こういった間違った理論が未だに正しいと信じたいと思っているばかりか、物事の道理や本質がまったく見えなくなってしまっているように思います。

三井:なるほど。そのような考えから、中原さんは著書や連載などでアベノミクスに対する批判を展開してきたわけなのですね。このたび東洋経済新報社から新刊を出されましたが、この本で一番に伝えたいこととは何でしょうか。

中原:読者のみなさんに「経済政策とはいったい誰のために存在するのか?」ということを考えてもらいたいと思い、今回の『これから日本で起こること』を書き上げました。 
経済政策とは富裕層のためにあるのか? 中間層のためにあるのか? 貧困層のためにあるのか? あるいは、大企業のためにあるのか? 中小・零細企業のためにあるのか?
もう一回みなさんに考えていただく機会になればと思っています。

「誰のための経済政策なのか?」という問いかけは、いま大ブームとなっているフランスの経済学者・ピケティ氏の主張にも通じていることだと思います。
ケインズの師匠でもあるケンブリッジ大学のアルフレッド・マーシャル教授は、学生たちをロンドンの貧民街に連れて行き、そこで暮らす人々の様子を見せながら、「経済学者になるには冷徹な頭脳と暖かい心の両方が必要である」と教え諭したと言われています。

アメリカの主流派の経済学者たちも、それを支持する識者たちも、アルフレッド・マーシャル教授と同じ志を持って、
経済の構造変化に気付かずにインフレ政策を志向してきたアメリカでいったい何が起こっているのか、
アベノミクス以降の日本で国民生活がどうなっているのか、
そういった現実を直視しながら国民生活を苦難に導くアベノミクスを再考すべき時期にきていると、私はこの新刊を通じて強く訴えたいと思っています。

また、私のことを「もっとも予測が当たるエコノミスト」と評価してくださる方も多いので、その期待に応えるべく、為替市場で円安が進むことによって、これからの日本にいったい何が起こるのか、マーケットはどう動くのか、最終的にはどういった結末が待っているのかなどについて、これからの政府と日銀の対応が非常に読みづらいなかで、私なりの分析や予想も伝えたいとも思っています。

中原圭介(なかはら・けいすけ)アセットベストパートナーズ代表 経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など幅広い視点から経済や消費の動向を分析。 「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、熱烈なファンも多い。著書多数。
 ーーーーーーーーーーーーー
※ 企業が利益を上げ、資産家がますます豊かになっても、勤労者が惨めならばいずれ経済は破綻し、循環恐慌となる。

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