バラマキ経済対策のイカサマ 増税延期で給付1兆円棚上げ
2015-01-07

バラマキ経済対策のイカサマ 増税延期で給付1兆円棚上げ 1/7 日刊ゲンダイ
安倍政権が今年度の補正予算案に3.5兆円規模の緊急経済対策を盛り込む。
目玉は総額4200億円の「生活緊急支援のための交付金」だ。地方自治体が商品券発行や灯油購入の補助、子育て支援などに使える制度で、春の統一地方選を意識した大盤振る舞い。
このバラマキ策で安倍は「個人消費のテコ入れと地域経済の底上げを図る」と言っていたが、ダマされてはいけない。すでに国民は懐に入るはずだった給付金を1兆円近くも失っている。
安倍政権は消費税率10%への引き上げの先送りを口実に、社会保障費の給付削減を次々と打ち出している。
師走の総選挙が終わった途端にカット、カットの連続とは“後出しジャンケン”のような悪辣さだ。
まず政府は
(1)低所得の年金生活者(790万人)への月額最大5000円の「年金生活者支援給付金」の支給先送りを決定
(2)中学生以下の子育て世帯(1350万世帯)に、子ども1人あたり1万円を支給した「子育て世帯臨時特例給付金」の中止も決定
(3)住民税非課税の低所得者(2400万人)への「臨時福祉給付金」も最高1万5000円から一律6000円に減額――。
■国民は差し引き4800億円の損失
3つの給付金カットで、国民が奪われた社会保障費は総額9000億円に上る。
安倍政権が緊急経済対策で4200億円をバラまいたところで、差し引き4800億円のマイナス。失われた金額の半分にも満たない。
しかも、(2)と(3)は昨年4月の消費税率8%への増税に伴う国民負担を和らげる目的でつくられたものだ。今も庶民生活は増税の痛みを押し付けられたまま。
実質賃金が17カ月連続で減少する中、値上げラッシュを耐え忍んでいる。増税後1年で子育て世帯と経済弱者への救済策をあっさり取り上げるなんて、血も涙もないではないか。
「消費税アップの際に安倍首相は『社会保障にしか使わない』と国民に約束しました。
国民のサイフから消費税を搾り取るだけ取って、社会保障を真っ先に削るなんて冗談じゃありません。
昨年末の税制改正にも安倍政権の“弱者イジメ”の発想は見て取れます。
親や祖父母から子や孫への生前贈与の非課税枠を拡充し、結婚や出産、住宅取得などの資金援助も贈与税の対象外になりますが、恩恵を受けるのは、すでに資産を持つ豊かな家庭に限られます。
金持ちを優遇しながら、増税先送りのシワ寄せを経済弱者や、親の資産などアテにできない子育て世帯に求める発想は明らかに間違っています。
経済格差をますます広げるだけです」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
聞こえのいい「生活緊急支援」なる税金バラマキ策で国民の関心を集めるウラで、本当に困っている人々への給付金を締め上げる。
この手口は「朝三暮四」の故事を想起させる。
安倍政権は国民を猿扱いしている。
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シェールガスのバブルは終わった、米国金融バブルはどうなるか?
2015-01-07

米英とサウジによる原油価格操作に加え、国際金融資本の為替市場操作により、ロシア・ルーブルは暴落し、ロシア経済に危機的不安をもたらしている。
広大な国土、資源輸出、ほぼ自給できる生産構造など、欧米の「経済制裁」がロシアを「叩きのめす」可能性は著しく少ない。
米英は彼らの専門技術といってよい市場操作で、ロシアに「危機的不安」をもたらすことが、その目的である。
ルーブル暴落は仕掛けられた「脅し」である。
だが、人為的な市場工作は長くは続かない。意図した市場操作は、そうと解っていれば強行な資本規制でかなり解消できる。
プーチン政権は実質的な資本移動の規制によって、ルーブル暴落の山場を乗り越えた。
欧米と国際金融資本はボロボロの基軸通貨ドルを防衛するためにドル高=金価格下落を操作してきたが、ここに至ってロシア、中国が貿易収入のドルを外貨準備とせず、金に変え始めている。
金価格はドルの反対通貨としての性質を持つことはよく知られているが、欧米はそのためにこそドル防衛のために金価格を操作下落させてきたのである。
欧米はドルを守るためには金を売り続けなければならい地獄のジレンマにはまった訳だ。
それはただでさえ金の産出国であるロシア、中国の金準備を増やすために役立つわけである。
短期にはともかく、金準備の少しでも多い通貨が信認を強くするのは明らかなことである。
さらに米国は自ら操作した原油暴落のお陰で、米国産シェールガスの採算が取れなくなっている。
もともと、シェール業界は米国金融緩和であふれた資金が投資ファンドから供給されたものであり、経営資産に事欠く実態である。
シェール業界のバブル崩壊といってよい破綻が近づいている。
米国の対ロシア戦に同調しつつ、ロシアの天然ガスの代替として米国シェールガスなどという理屈について、EUは不安から方針転換せざるを得ないだろう。
また、このシェール業界のバブル崩壊は、リーマンショック以降の実体経済が何も回復していない米国とEUの金融破綻への契機となりかねない。
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シェール革命の終わり 1/5 「耕助のブログ」から
2011年の原発事故の後、エネルギー戦略の再構築が急務だとして日本が飛びついたのがアメリカの「シェールガス革命」だった。
天然ガスが安くなったアメリカに倣い、日本企業もアメリカのガス田へ直接投資してシェール革命に参画すべきだと提言する専門家もいた。
しかし2年もたたぬうちに、シェールガスはつかの間のバブルであったことが明らかになりつつある。
2014年9月、日本の大手総合商社が、12年に米テキサス州のシェールガス・オイル田に投資を行ったものの資金を回収できる生産量が見込めないとして、2015年3月期の連結決算で減損損失1700億円を計上すると発表した。
同社以外にも他の総合商社やガス会社など数社がシェールガス開発事業関連で損失または減益を計上している。
その理由は簡単だ。シェールガスは安い化石燃料ではなく、採掘してもコスト的に赤字になるからだ。
もともと掘削が困難なため、採算性の面から石油会社ですらその開発には二の足を踏んできた。
しかし2000年代に採掘技術が確立されたとしてシェールガスが言いはやされ、投資家から資金を集めた企業が争って参入したのだった。
問題は、普通のガス田なら産出量は毎年徐々に減少するのだが、シェールガスはわずか1年で65%以上減少してしまうことだ。
それでも供給過剰になったのは、参入した企業が次々と新しい井戸を掘り続けたためであり、豊富な資源だったわけではなかったのである。
アメリカが天然ガス大国だと豪語するに至ったのは、カリフォルニア州には石油埋蔵量が154億バレルともいうモントレー・シェールがあり、アメリカ政府もそれにより多くの雇用と税収がもたらされると信じたからだとされる。
しかし今年になってアメリカエネルギー省は、その原油埋蔵量の推計値を96%も下方修正し、採掘できるのは6億バレルにすぎないと発表した。
もちろんシェール革命に飛びついたのは日本だけではない。
かつては石炭、そして近年では北海油田など豊富なエネルギー資源で純輸出国だったイギリスは、2004年から資源の純輸入国に転じている。
そのためイギリスでもシェールガス・オイル開発に沸いたが、2013年にロイヤル・ダッチ・シェルもBP社も評価損を計上している。
投資の世界で「大ばか理論(Greater fool theory)」と呼ばれるものがある。
資産の真の価値は重要ではない、なぜならその価値を上回っていても、それを買う(ばかな)人がいるから、話題になっているものを買っておけばいいという考え方だ。
しかし、ばかな人がいなくなった時に大暴落が起きて市場は崩壊する。
見切りをつけた企業が、技術進歩を信じてシェール革命に投資を続ける企業に売却し、そしてその企業が次の買い手を見つけられなくなった時、それはおそらくそう遠くないうちにやってくると思われるが、その時こそシェール革命は終わるのであろう。
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※ ドル、原油、金、ルーブルと人民元の関係を考えると、どうやら「大馬鹿理論」は米国に適用できそうである。
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