沖縄を米軍に売り渡すな、沖縄知事選
2014-11-10

基地撤去世論が候補者縛る 沖縄県知事選挙 安倍戦争政治との全面対決 11/3 長周新聞
日米「安保」と米軍基地撤去を最大争点にした沖縄県知事選挙が10月30日告示され、16日の投開票に向けて本戦に突入した。
県民のなかでは沖縄戦で虫けらのように住民を殺戮した米軍が、戦後69年にわたって植民地支配を強いてきた筆舌に尽くしがたい体験と合わせて、「二度と戦争を起こさせてはいけない」「戦争をやるための基地建設は許さない」と強い思いが語られている。
今回の知事選は第1に普天間基地の辺野古移転にどのような態度をとるのかが、候補者たちに問われている。
しかし米軍基地は辺野古に限った話ではない。沖縄全体が69年にもわたって米軍に占領されてきた事実と関わって、知事なり為政者の側の態度が問われるものとなっている。
沖縄をアメリカに売り渡す裏切り者をたたき落とし、県民の圧倒的な力を示す選挙にすることが期待され、沖縄県内は下からの行動が盛り上がっている。
交付金で買収謀る仲井真陣営
1日に沖縄セルラースタジアム那覇でおこなわれた翁長雄志人1万大集会には、主催者側の予想をはるかに上回る1万4800人もの人人が全島から結集した。
1時間以上前から、一番遠方の県北部から駆けつけた人人がスタンドに陣取っていた。
最高気温28度の炎天下のなかで、遠く離れた駐車場から歩いて会場に集結した高齢者の姿もあった。汗をかきながらスタジアムの周囲を囲むように長蛇の行列をつくって受付を待つ姿、子どもの手を引いた親子連れや若い世代、現役世代の姿、タクシーで駆けつけ必死で手すりにつかまりながらスタンドをめざす高齢婦人など、県内各地から結集した人人の熱気で溢れ返った。
「県民の揺るがぬ基地建設反対の思いを示そう!」という思いにみなぎっていた。
本紙は集会会場で「批判票分裂仕組んだ謀略選挙/基地撤去の県民世論統一を」の号外5000部を配布。
号外を受けとった人人からは、「山口から来ているのか! 沖縄も岩国も一緒に連帯して頑張ろう!」「ありがとう!」「山口は安倍のお膝元だ。安倍には跳び蹴りだな!」などと口口に語られ、全国的な連帯を求める声がやまなかった。スタジアムの中では新聞の花が咲き、多くの人が号外を読み、周囲の人と語りあう姿が見られた。
翁長陣営の発言のなかでは「沖縄の土地は銃剣とブルドーザーで全部強制接収された。沖縄県民がさし出した基地は一つもない。
日本国憲法の適用もないなかで、プライスという人が来て今まで借りていた土地だが、金を出すといった。
しかし絶対に土地を売らないとプライスを追放し、県民が力を合わせて撤廃させた」
「一部の政治家がぶれたが、県民はぶれていないということをみせつける」
「経済の発展は平和のもとでこそ発展できる」
「安倍内閣と仲井真が一緒になると、沖縄県の基地は70年前と同じで戦争に巻き込まれる。
基地は沖縄にはいらない。全員沖縄県民が心を一つにして平和のなかでしっかりと頑張っていこう」との発言には、会場からおおいに拍手がわいた。
ゲストとして登場した俳優の菅原文太氏が「政治の役割は二つある。一つは国民を飢えさせないこと、もう一つはもっとも大事なこととして絶対に戦争をしないことだ」と発言。
「私は小学校のころゲートルを巻き、戦闘帽をかぶって竹槍をもたされた。子どもたちだけでなく大勢の大学生が雨の中を戦地に運ばれ多くが帰ってこなかった。
今の政府と仲井真知事は戦争をすることを前提に沖縄を考えている。
前知事は今もっとも危険な政権と手を結び、沖縄の人たちを裏切り、公約を反故にして辺野古を売り渡した」
「沖縄・本土の海も山も空気も風もすべて国家のものではない。そこに住んでいる人たちのものだ。
辺野古もしかり。勝手に他国へ売り飛ばさないでくれ」
「アメリカ、中国、韓国にも良心の熱い人たちはいる。その良心ある人人は国が違えど同じ人間だ。
みな手を結びあおう。今日来ているみなさんも肝に銘じて実行してください。それができない人は沖縄から日本から去ってもらおう」と呼びかけると、会場のボルテージは最高潮に達した。
一方で「沖縄の基地は日本国民全体で負担するべきだ」といって本土と沖縄を分断する発言も出てくるなかで、「他陣営は(普天間基地の)危険性を除去するといっている。小学生でもわかるが、危険なものはどこへ持っていっても危険だ」
「普天間は県民が誘致した基地ではない、勝手につくった基地じゃないか。なぜ県民に移転先を示せというのか」
「今回の選挙は基地をつくらせないという沖縄の魂と、強力に推し進めようとする自民党政府、強い圧力とのたたかいだ」との発言に対して「そうだ!」とうなりのような声・指笛が飛びかった。
さまざまな政治勢力が陣営に群がっているなかにあって、県民世論が大きく陣営を縛り、翁長陣営をして「基地撤去」をいわせる下からの力が高揚していることを反映した。
一方の仲井真陣営は、10月30日に沖縄市民会館で出陣総決起大会(沖縄市支部)を開いた。会場では「仲井真ソング」が流れていた。作業服やスーツ姿の「動員組」が多数見られ、1300人収容の会場には空きも見られた。
発言者は、「辺野古に新基地をつくらせないというのはごまかしだ。キャンプシュワブがあるところを160㌶埋め立てるのだ。ごまかしでは沖縄の振興はできない」(普久原沖縄市議会議長)、
「一括交付金は沖縄だけだ。他のところの代議士からもうらやましがられている。それを獲得したのは仲井真知事」(比嘉奈津美衆議院議員)、
「今回の選挙は保守と革新の対決。翁長は革新だ」「これから一括交付金を使って全県下の小中学校の給食費を無料にし、中学校3年まで通院も無料にする」(照屋自民党県連幹事長)など、主に交付金ばらまきを主張する者が目立った。
仲井真前知事は「沖縄市の振興策は一括交付金を使えば簡単にできる」と発言。交付金を政府から取ってくる作業は「仲井真候補しかできない」という発言に全体が収斂した。
選挙戦が始まると谷垣・自民党幹事長が応援にかけつけたもとで7000億円かかるといわれる縦貫鉄道の推進を叫び、国とのパイプを強調した。
目下、埋もれた印象を漂わせているのが下地、喜納の2陣営で、喜納氏については告示日に離島からサバニ(沖縄の漁船)でこぎ出し、最後は海に飛び込むというパフォーマンスをして県民を驚かせた。
討論会では「私が知事になったら副知事は下地さん、顧問に仲井真さん、辺野古担当は翁長さんにやってもらう」と主張した。メディアのインタビューに対して「副知事にしてくれるなら立候補を取りやめる」と翁長陣営に掛けあったことなどもみずから明かして、舞台裏のやりとりが有権者から驚かれている。
下地陣営も切り崩すべき票田は翁長陣営と明言するなど、完全な批判票分断選挙であることが話題にされている。
再び沖縄戦場にさせぬ 凄惨な体験胸に
沖縄市の男性は、今回の選挙は民主主義とは名ばかりの選挙であること、批判票の分断構図は誰の目にも明らかで、自民党を喜ばせる役割を果たした候補者については「あとあとの生活なりポジションを保証されているのだろう」と語った。
そしてテレビ討論で喜納氏が翁長氏に「私を副知事にするという約束をしたら今すぐ出馬を撤回する」といっていたことに対して怒りをのべていた。
「1万5000人集会で示されたように県民の圧倒的多数が“基地は絶対反対”というのは揺るがない。
それを選挙テクニックで分断させるのが今回の選挙構図だ」といい、予想以上に県民の世論が盛り上がっていることから「安倍は青ざめていると思う」と思いを語った。
そして「期日前投票が増えれば翁長優勢になる。3日前戦争の前に投票が終わっていれば謀略もきかなくなる。今時点で例年になく期日前投票が多い」と期待を込めていた。
また辺野古への新基地建設はアメリカと中国との関係が悪化している状況のなかで進められていること、ミサイルの射程圏内で辺野古は標的にされかねないことを指摘し、「撃たれたら沖縄は終わりだ」と危機感をのべた。
さらに自身の体験として「戦時中サイパンで六万人いた民間人が殺されて3万人になり、軍人は九七97%死んだ。
出撃の拠点になっていたから、日本軍には
”といっていた。みんな食料がなくトカゲ、ネズミ、水草、葉を探して食べて餓死していった。
“サイパンが玉砕した”といったが、まだたたかっていたのに国がまったく支援をせず、沖縄に拠点を移すというのでうち切った」と当時の状況を語った。
そのなかで「自衛隊が前の戦争のときの軍隊のような状況になってきている。
訓練中にいじめによる暴行で死ぬ隊員が増えている。こういうことは戦争が起きる前に共通して出てくるものだ」と語り、「今の資本主義の末期症状のなかで、一握りの大資本家がいい思いをするようになり、行き着くところまで行き着いた。
マスコミは本当のことを書かず、戦前の大本営発表と同じように右傾化とだまして真実をわからないようにさせている。
今回の知事選は絶対に勝って、戦争政治を止めなければいけない」と強調した。
商店主の1人は「民主党が政権をとって自民党が野党になったところから、基地批判で自民党が県政をにぎったが、去年の暮れに本来の姿を現した。
今回自民党のなかでも、仲井真の尻ぬぐいを誰もしたがらなかったのだろう。
それほど県民の世論は圧倒的に基地反対だ」と語った。
那覇市内の商店で働く婦人は「市場の中の高齢者の方たちは戦争を体験し、そこからの熱い思いを持っている。
知事選に対しても“仲井真を落として、翁長で基地反対の思いを示すんだ”とみんな話している。
“沖縄県民は基地を受け入れるような県民ではない、県民の誇りをかけてやるんだ”と話になっている」と語った。
企業関係の男性は「今回の一番の争点は、この新聞にも書いてあるように“金で動く者を落とす”“県民のプライドをかけて翁長を当選させる”ということだ」と語り
「岩国も基地がどんどん大きくなって、全部基地機能が集まってきていると聞いている。
沖縄からも空中給油機が移転し、アメリカは中国を狙っている。沖縄と岩国から戦争に行く準備が始められているということだ」とのべた。
そして「今回の選挙は全国に大きな影響を与えていく」と確信を持って語った。
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翁長氏が「撤回」まで踏み込まないのは当然
2014-11-10

喜納昌吉氏と植草一秀氏が、翁長雄志氏が選挙公約に「埋め立て承認撤回」を掲げない点を批判していますが、これは行政行為の有効無効、撤回取消しなどについての知識の不十分さによるものと考えられます。
喜納氏についてはその後にその芸能タレントまがいの人格と、辺野古批判票の分断が目的であることがあらわになり、泡沫まがいとなったようです。
植草氏についてはまだ自分の踏み込み違いに気づいていないのかも知れません。
県民の意思はもちろん圧倒的に辺野古反対です。
ただ、その具体的な方法手段として撤回か、取り消しか、また別の手段かは、今現在しっかりした準備検討がなければ公約はできないものです。
撤回であろうが取り消しであろうが、行政行為を将来無効とする行政行為なわけですから、ハードルは極めて高いものです。
その撤回なりの行為の無効を国から求められた場合、県が裁判を提訴して挙証責任を負います。
十分な準備と検討検証をもって方法手段を選ぶべきものでしょう。
立候補の思いつきで選択するようなことではありません。
方法手段を選挙公約で縛るべきものではないでしょう。
手足を縛って敵とは闘えませんから。
行政裁判で地方自治体が国に勝利するのがいかに困難なことかは、みんな知っているとおりです。
少なくとも十分に検討し、法的にも政治的にも最も有効な戦術をとることが当然です。
喜納氏の主張はまさしく「辺野古批判票分断」の「謀略」でしかないでしょう。
以下は沖縄県労連の解説からの抜粋です。
ーーーーーーーーーーー
翁長雄志氏が「埋め立て承認撤回」を掲げないのは後退か? 9/30 沖縄県労連
翁長氏の関連発言。
9月13日の出馬表明記者会見(9月14日付琉球新報)
「知事選で仲井真知事の承認に対する県民の意思をはっきり示し、具体的な方法をとっていく」
「県民が撤回を望んでいるから尊重するというのは、こころを一つにできる表現だ。
これは県民が試される話にもなる。損害賠償を国から求められる可能性もある。
撤回と取消をどうみるかは、県民の考え方も必要になる。
辺野古基地を造らさないために、何ができるかを考えていきたい」
9月16日の那覇市議会答弁(9月18日付沖縄タイムス)
「私は承認しないと決意表明している。県民の判断が下された後に、承認の撤回、取り消しの選択を視野に入れて頑張りたい」
9月24日の定例記者会見(9月26日付沖縄タイムス)
「仲井真弘多知事の埋め立て承認の取り消し、撤回も視野に入れ、いろんな手法で辺野古に基地を造らさない」
このような翁長雄志氏の発言をみれば、撤回も取消も選択肢として持っていることを示しています。
手元にある法律用語ハンドブックには、撤回と取消について下記のように記述されています。
「公法上の『取消し』は、行政行為に瑕疵があることを理由として、その効力を行為の当時に遡って失わせる行為をいうのに対して、
『撤回』は行政行為に瑕疵はないがその後に発生した新たな事情によって、その行政行為の効果を持続させることは適当でないので、将来に向かって消滅させる行為をいうものとされている。」
そうであれば、「撤回」を公約に掲げることは「仲井真知事の埋め立て承認に瑕疵(欠陥)はないが、埋め立て承認後に、承認を持続させることが適当でないとされる新たな事情とは何かを明確にしなければ、説得力を持ちません。
「取消し」の場合は、仲井真知事の埋め立て承認にいたる経過も検証し、瑕疵を洗い出す作業が必要になります。
このような検討も検証もなしに、ただ「撤回」を掲げることが責任ある態度と言えるのかどうか・・・です。
撤回すること自体は、「私は嫌だから撤回する。県民も支持している」で良いのかもしれませんが、裁判にでもなればとても太刀打ちできるものではありません。
(※ 損害賠償というものではなく、行政訴訟としての敗北。取り返しの付かない事態となる。)
翁長雄志氏が13日の出馬表明記者会見で述べているように、損害賠償などの可能性も考え、何が最善の方法なのかを皆で考えていくことこそ、責任ある態度と言えるのではないでしょうか。
(※ 前行で言ったが、損害賠償などではない、十分な検討検証もなく撤回するなら、その撤回(行政行為)の無効を提訴されれば終わりである。)
また、裁判を起こされた場合は県民が一丸となって裁判を支えていく覚悟を固めていくこと、それこそが「県民が試されている」ことだと受け止めます。
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