ウクライナ首相に防寒器具を贈りたい:ジリノフスキー
2014-09-15

ロシアでは一応「極右政党」とされる自由民主党のジリノフスキー党首であるが、歯に衣を着せない発言で昔から話題を呼ぶ。
なお、ロシア議会ではごく一部の新自由主義的な政党以外は、自民党から共産党(ジュガーノフ代表)までプーチン氏の政策と基本的な差異はないようである。
特に外交関係ではまったく同一歩調をとっている。
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ロシア自由民主党党首 ウクライナ首相にマッチ、石炭、簡易ストーブを贈る意向 9/14 ロシアの声
ロシア自由民主党のウラジーミル・ジリノフスキー党首は先日、「『先見の明のある』キエフ当局が、この冬、ガスなしで凍えることはないだろうか?」との質問を受けて戸惑いを表したが、ジリノフスキー党首は、ウクライナのヤツェニュク首相の健康に配慮することを決意した。
ジリノフスキー党首は14日、記者団に対し、ヤツェニュク首相に「あたたかい贈り物」を用意したと発表した。
ジリノフスキー氏は、ナリヤン・マルの職人が作った素晴らしいシカの毛皮のブーツは、ヤツェニュク首相にプレゼントするには勿体ないため、自分のためにとっておくが、小型の簡易ストーブと火鉢、防寒着をキエフへ送るつもりだと語った。
ジリノフスキー氏はまた、ヤツェニュク首相が「ウクライナとロシアの全国境に沿って壁を建設するという、彼のもう一つの壮大なアイデアを実現した場合」のプレゼントとして、手袋とこても用意してあると語った。
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翁長那覇市長「沖縄に未来を、辺野古にNoを!」知事選出馬
2014-09-13

県知事選 翁長氏、出馬を明言 「後世に禍根残さぬ」 9/11 琉球新報
翁長雄志那覇市長(63)は10日、市議会9月定例会で「沖縄の未来を開くために私に期待する声があるなら、その声に応えることこそが政治家としての集大成という結論を出し、覚悟を固めた。
本日、知事選出馬を決意する」と述べ、11月16日の県知事選への出馬を正式に明言した。
知事選には現職の仲井真弘多氏(75)と、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)が既に立候補を表明している。
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関する姿勢が異なる3人の表明が出そろい、移設問題が最大の争点となる知事選の三つどもえの構図が確定した。
翁長氏は知事選出馬の意向を問われ「政府に(県内移設断念を求めた)建白書を突き付けた東京行動のようにオール沖縄として、子や孫の世代に禍根を残すことのない責任ある行動が今強く求められている」と述べ、出馬を明言した。
米軍普天間飛行場の移設問題にも言及し「これ以上の押し付けは沖縄にとって限界であることを強く認識してもらいたい」と政府に求めた。与党会派、新風会の金城徹氏の質問に答えた。
表明後、翁長氏は記者団に対し「知事の(埋め立て承認という)行政行為を県民がどう判断するかが今回の知事選の争点になると思っている」と語った。
辺野古の新基地建設を止める方策について問われ「法律的に争うかということをしっかりやるためにも、今度の知事選で(辺野古移設)ノーを突き付ける。
不退転の決意で取り組む」と語った。
翁長氏は、13日に那覇市民会館大ホールで出馬の記者会見を開く予定だ。
翁長氏は県内全市町村長や議会議長らが署名した建白書を「一番重要な枠組み」と表現しており、建白書で求めた普天間飛行場の県内移設断念などを訴えていくとみられる。
9月末の定例会終了後、那覇市長を辞職する。
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9.11からの幻覚症状による世界の混乱とその終わり
2014-09-12

2001年の9.11謀略とその幻覚が世界を極めて不自然に動かしてきた。
米国は、ありもしない国際組織アルカイダ?とテロとの闘い?で国内を制圧し、世界に踏み絵を迫り、単独覇権を牛耳ってきた。
幻覚症状の世界情勢と言って良いだろう。
ウクライナに発した米国NATOの対ロシア戦争が、欧米の実際の力が凋落していることと中国、ロシアなどBRICS諸国の力と立ち位置を露わに示し始めた。
200年に及ぶ米英結託の謀略の世界史に、やっと終わりの兆候が現れ始めたのだろう。
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覇権転換の起点911事件を再考する 9/11 田中宇
2001年9月11日に、米国でハイジャックされた旅客機が、ニューヨークの世界貿易センタービル(WTC)とワシントンDCの国防総省(ペンタゴン)に突っ込んだ911事件が起きてから13年がすぎた。
あの事件は、不可解な謎がいくつもある。ほとんどは、今も謎のままだ。
ビルに突っ込んだ物体がハイジャックされた旅客機だったのかどうかすら不確定だ。
思いつくままに謎のいくつかを挙げる。ふだんは厳しい米国の防空態勢が当日だけ皆無だったこと。
航空機が突っ込んでもWTCビルの鉄骨は崩壊しないはずなのに崩壊したこと。
WTCの崩壊のしかたが爆弾による「制御解体」とそっくりなのに米当局は爆弾説を強く否定していること。
WTC崩壊の数時間後に近くのWTC7ビルが突然全崩壊したこと。
国防総省に開いた穴が航空機よりはるかに小さかったこと(旅客機でなく設置型爆弾の可能性)。
2機のブラックボックスが見つかっていないこと。
犯人像が不透明なこと(実行犯の何人かは「人違い」)。アルカイダに実行犯組織としての実態がないことなど、少し考えただけでも書ききれなくなる。 (9.11 いまなお消えない9つの謎)
911事件後、無数の謎がインターネット上で英文で指摘された。
私は、これらの情報をできるだけ集めて読み、事件の謎の全体像を何回かの記事にわけて書き、ネット上で配信した。
それを本としてまとめて02年4月にPHP研究所から「仕組まれた9・11」として出版した。
その後、911の謎について考えることが「陰謀論」とされて「良くないこと」「間違った行為」とみなされる傾向が日米などの言論界で強まった。
保守的な出版社であるPHPの上層部は、出版した後になって不良本を出したことに気づいたのか、本書は早々に絶版になった(売れなかったから絶版にしたという反論があるだろうが)。
絶版になって10年ほど経ち、本書はもうほとんど手に入らないが、そこに書いた疑問点のほとんどは今も解明されていない。911は歴史の転換点として大きな意味を持つ。本書の内容を公開しておくことは歴史的に重要なことなので、私が書いた初稿をネット上に公開することにした。 (仕組まれた9・11)
この公開は、数年前からやろうと思っていたが、億劫でやっていなかった。
「13周年」を狙って公開するものではない。今回公開したものの、参考文献のURLがクリック可能になっていないなど、時間がないのでHTMLタグを最低限しかつけていない。章立ても、出来上がった書籍のものとは一部違っている。
米国では毎年9月11日が近づくと、911事件の謎についての言及が出てくる。
今年はロン・ポール元下院議員が、ブッシュ政権は事前にテロ事件の発生を察知していたが防がなかったことがわかったと発言している。
この件は、事件から2カ月後にはすでに米国で指摘され、私も当時「テロをわざと防がなかった大統領」という記事を書いているぐらいで、非常に基本的な謎の一つだ。
911は、基本的な謎すら解けていない。 (テロをわざと防がなかった大統領) (テロの進行を防がなかった米軍)
03年のイラク侵攻をめぐっては、侵攻の大義となった「イラクの大量破壊兵器保有」が米政府によるウソであることが事前に指摘され、侵攻後、ウソであることを米政府も認めた。
イランが核兵器開発しているという非難も、米イスラエルが作った濡れ衣であることが関係者の間で常識になりつつある。
昨夏にシリアで化学兵器による市民殺傷をしたのが政府軍でないことも、事情通なら知っている。
ウクライナでマレーシア機を撃墜したのがウクライナ軍であることも暴露されていきそうだ。
防御力が比較的弱いこれらのプロパガンダと異なり、911の謎だけは、何年たっても隠れているはずの真実(もしくは一枚下のプロパガンダ)が露呈しない。
米国の上層部は、911の真相の暴露を全力で拒んでいる。
公式な話(史実)にならず「陰謀論」にとどまる限り、真相は確定しない。
イラクやシリアやウクライナの件は、多くの米国民から縁遠い外国で起きているが、911は米国内で起こり、当時の米国民全員に強い衝撃を与えた。だから米国の上層部は、真相の暴露を全力で防いでいる。
逆にいうと、今後もし911の真相が暴露されると、政府に対する米国民の信頼が激しく低下し、政治的な地殻変動を起こしうる。
911以来、テロ対策などを口実とした抑圧や、貧富格差増大の放置、違法移民の野放図な受け入れなど、米国を政治的、社会的に不安定にする流れがある。
この流れが意図した裏の戦略であるなら、911の真相の暴露も、米国がもっと混乱して「機が熟す」(真相暴露の悪影響が最大になる)までとっておいてあるのかもしれない。
911は謎だらけであるが、911が持つ歴史的な重要性は謎の多さによるものでない。
911の重要性は、事件を機に米国の覇権戦略が「国際協調主義」から「単独覇権主義」に大きく転換したことだ。
国際協調主義とは、覇権国である米国が、欧州や豪州カナダ(英国系諸国)など同盟諸国(先進諸国)の意見を聞きつつ、国際的に協調して世界を管理(運営、支配、覇権行使)するやり方だ。
欧州や豪加は、世界運営の際にできるだけ武力行使せず、外交や経済制裁で運営していきたい(その方が効率的)ので、国際協調主義は外交重視だ。
同盟諸国の中で影響力が強いのは、第二次大戦までの覇権国で、覇権を米国に譲渡した英国だ。国際協調主義は、英国が同盟諸国の名を借りて米国の覇権戦略を牛耳る「米英中心主義」である。
NATOやG7など、米英+仏独伊+加日といった構造になっている組織は国際協調的だ。
英国の世界戦略は、米欧豪日などユーラシア周縁部の海洋諸国が、ロシアや中国などユーラシア中心部の大陸諸国を包囲する「地政学」であり、その構図から戦後、冷戦が40年以上続けられた。
(国際協調主義は外交重視だが、米政界で影響力が強い軍産複合体を食わせるために、英国は戦後、米ソが長期的に軍事対立する冷戦構造を作ってやった。冷戦終結まで、英国と軍産複合体は仲間だった)
対照的に単独覇権主義は、同盟国の意見など聞かず、米国が独断でやりたいように世界運営をしていくやり方だ。
米国の上層部(政界)では、軍産複合体(国防総省と軍需産業)とイスラエル(AIPACなど右派ロビー)の影響力が強いので、単独覇権主義は「戦争」と「中東」が重要なキーワードになる。軍の影響力が強いので「何でも戦争で解決すべきだ」となり、イスラエルも強いので「(イスラエルにとって脅威である)中東の独裁政権を順番に戦争で転覆して民主化しよう」という話になる。
国際協調主義だった911前のクリントン政権は、英国と仲が良かったが、911後に単独覇権主義を採ったブッシュ政権は、一転して英国に冷たくなった。
911事件を深読みせず、報道を鵜呑みして「アルカイダが米国を敵視して起こしたテロ事件。米当局は無能なので防げなかった」と考えたとしても、米国が単独覇権主義に転換したことは不可解だ。
テロ対策の効率が良くなるなら転換に合理性があるが、この件はそうでない。911後、米国だけでなく英国やスペイン、インドなど、米国の同盟諸国でもイスラム教徒によるとされるテロが起きているのだから、むしろ国際協調主義のままの方が効率的にテロ対策をやれたはずだ。
911後のテロ対策から見て好都合だったから単独覇権主義に転じたのでなく、米国の覇権戦略を単独覇権主義に転換しようとする動きが米国の中枢で先にあり、そこに911が起き(誘発され)その衝撃を使って単独覇権戦略への劇的な転換が引き起こされたと考えるべきだろう。
米国が単独覇権主義に転じた後でやった最大の行為は03年のイラク侵攻だが、911とイラク侵攻は筋的に関係ない。
911の「犯人」であるアルカイダはイスラム主義を信奉するが、イラク侵攻で潰されたフセイン政権は、イスラム主義を嫌う世俗主義の政権だった。
テロ戦争の観点からは、米国はフセイン政権のイラクを倒すのでなく、逆に、和解して米国のテロ対策に協力してもらうのが筋だ。
それなのに911の発生から3日後には、ブッシュ政権内でイラクに侵攻することが内定していた。
フセイン政権を武力で倒すイラク侵攻の構想が先にあり、911はそれを実行する機会として使われた。
国際協調主義(外交優先、英国黒幕)と単独覇権主義(軍事優先、イスラエル黒幕)との相克は911より前からあった。
冷戦構造が国際協調主義の産物であることはすでに述べたが、冷戦構造は事実上、1985年の米英同時の金融自由化とプラザ合意(管理相場制の確立)で終わった。
米英主導の同盟諸国がソ連を敵として国際協調するそれまでの戦略が静かに放棄され、代わりに米英が国際金融自由化(債券金融システムの拡大)によって繁栄する経済覇権の時代がきた。
5年後に米国がソ連と和解し、冷戦が終わった。
90年代のクリントン政権は経済が主導になり、軍需産業は合理化を余儀なくされた。
英国に棄てられた軍産複合体は、米政界のイスラエル系勢力と結束し、再起を狙った。
クリントン政権は、93年の「オスロ合意」でパレスチナ問題を解決してイスラエルに経済発展を与えて取り込もうとしたが、この策を推進していたイスラエルのラビン首相が95年に暗殺されて行き詰まった。
軍産複合体はクリントン政権を動かして、ソマリアやスーダン、アフガニスタンなど、中東で内戦状態の失敗国家に米軍を地上軍侵攻させ、占領の泥沼を誘発して儲けを復活しようとしたが、クリントンは消極的だった。
軍産とイスラエル右派は、クリントンと大統領府インターンのモニカ・ルインスキ(ユダヤ系)との性的スキャンダルを98年に暴露させ、クリントンを追い込んで中東での戦争を了承させようとしたが、うまくいかなかった。
軍産イスラエル複合体からの圧力を受け、クリントンは93年にタカ派のマデレーン・オルブライト(ユダヤ系)を国務長官に据えた。
彼女は911後の「悪の枢軸」の前身となる「ならず者国家」の概念に基づき、イラク、イラン、シリア、スーダン、リビア、アフガニスタンなどを敵視し、イスラム主義の武装勢力がソ連に代わる米国の仇敵にされる流れが始まった。
90年代は、米英覇権の中心が軍事から経済に移り、軍事の勢力が巻き返しに苦労していた。
しかし、97-98年のアジア通貨危機や、00年の米IT株バブル崩壊によって、金融界の急成長で米英が金融覇権を維持する冷戦後の世界体制が崩れ出した。
01年に大統領が8年続いた民主党のクリントンから共和党(軍産の古巣)のブッシュに代わり、当初はブッシュも協調路線を受け継いで「優しい超大国」を自称していた。
しかし間もなく911事件が起こり、米国の覇権戦略の中心が一気に経済から軍事に引き戻され、英国黒幕の国際協調主義は、軍産イスラエル黒幕の単独覇権主義に取って代わられた。
911を機に、米中枢で覇権戦略をめぐるクーデターが起きたといえる。
911で単独覇権主義の天下となったが、当然ながら、ほとんどうまく機能しなかった。
単独覇権主義によって米国は、軍事・外交・経済というすべての面で、覇権国としての力を急速に浪費した。
国際協調主義は単独覇権体制なのだから、わざわざ単独覇権を声高にいう必要などなかった。単独覇権主義は自滅的だ。
90年末から始まった米国の金融崩壊も、00年からの不動産担保債券バブルの拡大を経て、07年に「サブプライム危機」のバブル崩壊が始まり、それが08年のリーマン危機につながり、基軸通貨としてのドルの崩壊を前提に、ブレトンウッズ体制の再編が、新設された多極型覇権構造であるG20によって提唱されたりした。 (世界がドルを棄てた日)
911から13年がすぎ、すでに単独覇権主義という概念は古くさいものになった観がある。
オバマ政権は米国を国際協調主義に戻したと考える人も多い。
冷戦が国際協調主義の戦略であったとしたら、米国がウクライナで危機を醸成して冷戦型の米露対立を激化してNATOを復活させようとしているのも、国際協調主義の戦略といえなくもない。
オバマ政権は、覇権の浪費を食い止めるべくイラクとアフガニスタンから軍事撤退した。
ビンラディン殺害劇を展開して、もともとプロパガンダ色が強かった「テロ戦争」を終わりにしようと画策した。
オバマ政権は、911を機にいったん国際協調主義を棄てて単独覇権主義に飛び出した米国を、再び国際協調主義に戻そうとしているのかもしれない。
しかし、すでに同じところに戻ることはできない。
冷戦時には米欧より弱かった中ソなど社会主義陣営は今や、インドやブラジル、イランなども加えて非米的なBRICS+途上諸国として自らを再編・結束し、米欧に負けない強い勢力になっているからだ。
冷戦時代、無条件に米国に従属してソ連と対立していたドイツなど欧州諸国は、今回のウクライナ危機で、ロシアと対立すると経済が打撃を受けるとわかり、米国のロシア敵視につき合いたくない姿勢を示している。
世界最大の経済大国になりつつある中国と本格対立することは、米国ですら望んでいない。
BRICSの大国化により、冷戦構造の復活は不可能になった。
米国が冷戦構造を無理に復活させようとすると、欧州が離反してBRICSの側につくか、中立に転じてしまう。
現状で、国際協調主義を復活させようとすると、それは世界の覇権構造を多極化させることにしかならない。
もし911のような転機がなく、米国が単独覇権主義に転じないでいたら、米国だけが覇権国である従来の状態を維持したまま、中国やロシアを新たに傘下に入れて覇権を維持し、多極化を防げたかもしれない。
冷戦後、G7にロシアを入れてG8にしたのは、その流れだった。
そこにさらに中国を入れてG9にして安定的に運営できていたら、米国の覇権はあと百年ぐらい続いたかもしれない。
しかし米国は、そんな賢明な策をとらなかった。
今の日本人は嫌中プロパガンダに染まっているので、ロシアだけでなく中国も、米国覇権の傘下に入りたいと思ったことなどなく、中国は米国を倒して覇権国になることしか考えていないと思いがちだ。
だがそれは間違いだ。
中国は(部分的にはロシアも)、米国が覇権国として強い限り、ある程度は米国に譲歩し、親密にやっていきたいと考えている。
米国が中国を怒らせる策を繰り返すので、中国は米国の覇権などない方が良いと考え始め、米国敵視が強いプーチンと結束する傾向を強めている。
中国を怒らせる米国の策は、中露が結束して米覇権を経済面から倒す試みをやることにつながるので、米国自身にとって自滅的だ。
米国が自国の覇権と利権を守りたいなら、中国と協調し、日本に圧力をかけて嫌中策をやめさせるのが良い。
対米従属を国是とする日本政府は米国覇権の永続を望んでいるが、米国や日本の中国敵視策は、米国の覇権崩壊につながるので、対米従属にとっても自滅的だ。
米国に対中協調を勧め、自らも中国敵視をやめるのが、愛国的な日本人の採るべき態度だ。
米政界は911以来、好戦派ばかりとなり、今も変わっていない。
次期大統領選挙に出馬しそうな民主党のヒラリー・クリントンは自らをできるだけ好戦的に見せようと努力し、共和党のランド・ポールはイスラエルにすりよっている。
好戦的でないと大統領や連邦議員になれない状況が、今も続いている。
米国はまだ単独覇権主義の呪縛(プロパガンダ)の中にいる。
謎だらけの911は、おそらく「闇夜の枯れすすき」だ。
実体不明(実はCIA製の張り子の虎?)である「巨大な敵アルカイダ」が、911を起こして米国に宣戦布告し、それに応戦して米国は巨大な「テロ戦争」を国家総動員体制を作って開始した。
米国は、他国の忠告を聞かない「単独覇権主義」のモードに自らを切り替えた上で闇夜の「すすき野」に入り込み、野原じゅうの「すすき」と戦うことを宣言し、イラクやアフガン、イラン、シリア、リビア、北朝鮮、ロシア、中国などを次々と敵視した。
イラクとシリアにできたISIS(イスラム国)も、米国自身が栽培した新たな「すすき」だろう。
その挙げ句、米国は国力を浪費し、経済面でも巨大なバブル膨張のみに頼ってドルの強さを維持している。
米国が911によって自らにかけた「闇夜の枯れすすき」状態の魔術の本質は、報道の誇張歪曲(プロパガンダ)を含む諜報策によるイメージや価値観の操作である(諜報分析が軽視される日本では、本質が理解されにくい)。
この魔術は、いずれ来るドルと米国債のバブル崩壊によって解ける。
米国が我に返ったとき、すでにドルや米国債は力を失い、米国は覇権国でなくなり、世界の覇権構造は多極型に転換している。
今はまだ、連銀や金融界(債券発行)による資金供給によってバブル膨張が続いているので、米国債10年ものの金利は危険な3%越えよりずっと低く、諸通貨に対するドルの為替も高い。
しかし、バブル膨張が続けられなくなるのは時間の問題だという指摘が、最近米欧のあちこちから出ている。
ドルを基軸通貨の座から自ら降ろした方が輸出増になるので米経済のためだという論文が、NYタイムスに載ったりしている。
911に始まった米国の幻覚症状による世界の混乱は、近いうちに終わりになるだろう。
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