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もうすぐ北風が強くなる

小児甲状腺がんが100人を超え通常の数百倍、マスコミは報道封殺

 小児甲状腺がんは、事故以前の厚生労働省統計で100万人当り0~1人という極めて珍しいもの
 福島県の検診でこれが100万人当りでは約300人に上っている。通常の少なくとも数百倍。
 まさに衝撃の被曝現象である。

 ところが世間では殆どの人が知らない。
 例によって、マスコミはほとんど報道封殺しているためである。
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   フクシマの小児甲状腺がん発症がとうとう3桁突破  8/26  「逝きし世の面影」氏から 

  『フクシマの104人で崩壊する日本のマスコミ』

8月24日、福島検討委の専門委員会で事故後3年間に福島県内全域で実施した検査結果が公表された。
36万人の福島県の子どもたちの8割に当たる30万人の甲状腺検査を実施したが、甲状腺の全摘出手術を受けた子供たち58人中で、57人ががんと診断されたと公表する。(初歩的な誤診で、摘出後に健康だったことが発覚したものが1名)

これまでに一次検査を受けたおよそ30万人のうち、細胞診断などの最終健康検査で104人が『がんの発症』と診断されたことになる
(※ 北風: 前にも書いたが、完全にがんと確定するのは手術によるという建て前から「疑い」と発表している。小児甲状腺がんの診断結果で手術日程が来ていない子どもは、この「建前論」を使って「がんの疑い」としている。実際には福島医大の副学長らは学会発表では手術前と手術後にかかわりなく、「がんの症例数」としている。社会常識的な「疑い」とはかなり異なる報道用のこじつけである。)

30万人で104人なら、10万人当たりおよそ30人の割合になる恐るべき数字である。(この『30万人』とは簡易な手抜きの1次検査修了者の人数であることに注意)
福島県での最終的な小児甲状腺がんの本当の実数は、もっと増える可能性が高い

小児甲状腺がんは非常に珍しい病気で、3年半前のレベル7のメルトダウン事故以前の厚労省の統計では100万人当たり0~1人、甲状腺学会の数字では100万人で1~2人である。
事故から3年後のフクシマの数字は、同じレベル7のメルトダウン事故を起こしたチェルノブイリの最悪だった原発事故9年後のベラルーシの小児甲状腺がんの数字の何倍にも達する猛烈な発症数である。(人口が福島県の5倍のベラルーシでは最大でも年間91人

この事態を受けた日本のマスコミですが、全員が沈黙すると言う掟破りの裏技で切り抜けようと画策したのでしょうか。
25日時点で日本のマスコミは、テレビも新聞も何も報じていいない
(2014年8月24日の福島検討委の発表はネット上のが、『子どもの甲状腺検査 がん・がん疑い103人』、朝日デジタルが、『甲状腺がん、疑い含め104人 福島の子供30万人調査』と報じている。)

  『何故か何時もとは違っていた8月24日の小児甲状腺がんの発表』

今回のNHKニュースや朝日デジタルのフクシマの『小児甲状腺がんの発表』(8月24日)ですが、何時もなら主語は必ず『福島県検討委の発表』である。
正しくは平成26年8月24日開催の第16 回福島県『県民健康調査』検討委員会である。
ところが今回は『福島県の検査で』となっていて『検討委』の文字が丸々抜け落ちている。

前回までと、もう一つ違うのは何故かNHKでは『確定』の文字も抜けていることでしょう。(朝日は『甲状腺がんやその疑いとされた104人のうち、がんと確定したのは57人、良性が1人だった。』と福島県立医大の大失敗を書いたために残っている)

以前と丸っきり同じだったのが、『県は「被曝の影響とは考えにくい」としている。』であるが客観的な科学的事実は大違い。真っ赤な嘘なのである。
自然発生の小児甲状腺がんとチェルノブイリの放射線被曝による小児甲状腺がんでは症状や治療方法が大きく違うのである。
放射線被曝での小児甲状腺がんでは初期の段階でもリンパ節への転移がありがんの進行が極めて早い乳頭がんの比率が高い
だから集団検診の初期の段階で健康な子供の甲状腺を全摘出する大失敗を福島医大が犯してしまったのであろう。
チェルノブイリの経験が豊富な山下俊一が福島県立医大の責任者なので、この誤診の場合には知識や経験が裏目に出て余計に慌てすぎたのです。

  『too little, too late しかも間違っている三重苦のマスコミ報道』

日本では最左翼である日本共産党機関紙しんぶん赤旗では福島県発表から二日遅れの8月26日に『福島県調査 甲状腺がん57人』『事故時18歳以下 疑い含め104人』との目立たない小さな三面記事を掲載してる。
 too little, too late 『少なすぎるし遅すぎる。しかも間違っている』三重苦のマスコミ報道の中では今回赤旗報道が一番優れている。(他と比べてですが、比較的まし
他のメディアが『およそ30万人』としていた検査人数を29万6000人であると、受診率が80・5%だったと報じる。
今までなら朝日系だけが報じていたフクシマの怪談話『子供の人数が一人多い座敷わらし』を今回は赤旗も採用している。
記者個人としては嘘八百の『大本営発表』の隙間をついて、何とかして真実を読者に届けようと必死なのであろう。

日本政府の今回のフクシマの手品のネタですが、何時もと同じお粗末極まる子供だましな代物である。
素人の手抜きの『手品』なので解説するのも馬鹿馬鹿しいが、『逝きし世の面影』ブログとしては手抜きせず一応行っておく。
この8割の受診率(分母)とは、細胞診断などの最終的な二次検査の修了者の数値ではない
まったく違うのである。
なんと、甲状腺学会が定めた正式なガイドラインから血流検査などの大事な4項目を抜いた簡易な1次検査の受診率であった

  『国民を守る責任がある政府が、延々と御粗末な嘘八百を垂れ流す恐怖』

福島県の甲状腺検査の発表とは、丸っきり国家ぐるみの詐欺であり余りにも御粗末な21世紀の大本営発表なのです。
(甲状腺に異常が見つかって、二次検査を受けた人数はマスコミの報道では不明だが、今までの例なら半分程度であると推測出来る)

今回はなんと、原発周辺の13市町村と沿岸部と中部と会津若松地域とに分けて地図まで添付して、『地域差が無い』ことを印象操作しているのです。
しかも『検討委は、県内をほぼ一巡した調査結果を公表した』との余りにも恥ずかしすぎる『真っ赤な嘘』もついている。
本来なら8割の受診率では『一巡した』などと言わない。

ましてや、『8割の受診率』が最終的な二次検査では無くて、不真面目な手抜きの一次検査の数値なのですから、呆れ果てて批判する言葉も無い。
最初から最後まで嘘八百で塗り固めていて、真実の欠片程度の値打ちも無い。

ここまで嘘が酷いと、マスコミとか報道とか呼べる水準には無くて、基本的に国家による犯罪行為(未必の故意の殺人)なのです。
我がニホン国の政府とかマスコミの責任ある人々ですが、全員が例外なく非正規雇用で極めて責任感や権限が低かった韓国の旅客船セウォル号の船長や乗員と同じ程度の倫理観とか政治意識しか持っていないのです。
これでは助かるものでも誰も助からない。

  『遺伝子の損傷が原因の「小児甲状腺がん」検診でのDNAのゲノム解析』

『がん』という疾患は『遺伝子病』である。
遺伝子変異とそれに伴うゲノム不安定性がその病態の本質とされ、フクシマで爆発的に発症する小児甲状腺癌もその例外ではない。
未だ甲状腺濾胞細胞からの『発癌』メカニズムを完全には説明できていないが近年の科学技術の進歩により、放射線誘発小児甲状腺がんの発生機序は解明されている
すでにチェルノブイリ小児甲状腺がんの感受性遺伝子の同定に成功しているのです。
金子勝は以前から、ツイッターで小児甲状腺がん検診でのヒト遺伝子のBRAF変異のゲノム解析の重要性に言及している。

【根拠なしの広報4】
安倍内閣は、中川氏の「福島でがんが増加していないことを証明するのは、福島にパンダがいないことを証明するのと同じく困難」という馬鹿話を一面広告
この金があれば、甲状腺がんの子ども51名のゲノム解析ができているのだ。

【根拠なき広報6】
先のデータでは、BRAF遺伝子のV600E変異が8割をしめる乳頭がん。このタイプは治療薬も開発されている。
甲状腺全摘とホルモン剤投与という今の標準治療を考え直すために、まず「BRAF変異のゲノム解析」を行おう。
政治的立場を超え、福島の子どもの治療を優先すべきだ。

【根拠なき広報7】
甲状腺ガンが世界で増えているが、福島の甲状腺ガンはとりわけ多い。
だが、データがとられず「原因不明」のままだ。
政府は「原発事故と関係ない」とヒステリックな全面広告を繰り返すよりも、子どものためのきちんとした検査と負担の少ない治療法を検討する事に力を注げ

  『数ヶ月程度の「問題点の先送り」を1年半も延々と続ける日本(安倍晋三)』

安倍政権の成立直後の去年2月に小児甲状腺がん10人発症を『3人確定、7人疑い』との姑息な印象操作を行った日本政府であるが、以後1年半も『絶対に逃げれない問題点を数ヶ月程度、言葉遊びで先送りする』という意味不明で無責任極まる態度をとり続けているのです。
福島県当局は8月24日に『57人ががん』と最新発表するが、その1週間も前の(環境庁の)8月17日付け政府広報では(『90人が疑い』時点で)『80人が小児甲状腺がん』であると、フクシマの放射能被害は運動不足や野菜嫌いと同レベルであると語る日本版『死の天使』のDr.中川が断言している。

この『問題点の先送り』ですが、小児甲状腺がんの発症数だけに限定されず『短時間の先送り』はすべての問題に共通するのですから腹立たしい。
今の福島県当局とか日本政府ですが、叱られるのが怖くて寝小便した布団を母親に隠す幼稚園児以下の愚かしい振る舞いである。
今の日本政府にようにいくら短時間悪いことを『先送り』することで隠しても、事態が余計に悪くなりこそすれ、良いことは何も無いのである。

  『放射能汚染地帯から誰一人逃がさない』

誰であれ住み慣れた故郷には今までの通り住み続けたいのは人情である。
放射能は幾ら高濃度でも臭いもないし色もついていないことを利用して日本政府は『除染して、汚染地帯に住民を全員帰還させる』との悪魔の飽食、関東軍の731部隊も真っ青の極悪非道の人体実験を行う心算なのです。(人類に対する犯罪行為自体は同じでも、まだしも細菌兵器の石井軍医中将は敵国の人間をつかったが、安倍晋三は同胞をモルモットに使うのです)

除染などは東海村臨界事故の様な極狭い範囲では可能でもフクシマの様な広範囲では不可能なのです。
住居周辺の除染を行っても水源地山林はまったく手付かず状態であり日本政府が住民帰還を進める田村町などの水道水の取水ダムももちろん放置している。基本的に除染したくても出来ない。
誰にとっても到底『無理』、不可能なのである。
何と日本政府ですが無茶苦茶なことに、事実上地元の住民たちに放射能に汚染されている取水ダムの『上澄みを飲め』と主張しているのですから驚き呆れる。

  『フクシマで「安物買いの銭失い」の見本の様なお粗末の連続』

フクシマの場合には、相手が何しろ最悪の『放射能』なのですから数ヶ月とか数年などの短い単位では無くて、最悪ならフィンランドのオンカロのように10万年単位で対策を練らなくてはならない。
放射能の無毒化が今の人類の技術では不可能なのですから、辛抱強く放射能が自然に減るのを待つしかない。
ところが、耐久性が3年程度しかない鋲うちの鉄製の超手抜きの安物の1000トンの汚染水タンクに代表されるように、目先だけのその場しのぎ。

日本政府や東京電力ですが、手抜きの『安物買いの銭失い』を、今まで延々と繰り返しているのです。
(彼等は何を待ているのだろうか。不思議だ。まさか、そのうちにカミカゼが吹いて日本が助かるとでも考えているのだろうか。
辻褄が少しも合わないのである)

ソ連の黒鉛炉のチェルノブイリ原発事故では突貫工事でその年の終りには石棺が出来あがって原発を完全封鎖しているのですが、日本の軽水炉型のフクシマの原発では水で冷却する必要がある。
軽水炉では冷却が成功している限りは爆発しないのですが、フクシマでも早々と地下ダム建設が決定され発表寸前まで行っていた。

ところが2000億円以上の建設費が株主総会で債務超過になると東電からのクレームで、政府方針の先送りが決定され、その後地下ダム建設そのものが中止されている。
今回の凍らない凍土壁建設では、丸々320億円をゴミ箱に捨てているのですよ。
東電は安上がりを狙って余計に費用がかかっているのですが、何時までも営利企業である東電任せにした付けが、回ってきているのです。

フクシマですが、東電には技術も経験も無いことが明らかなのです。
そもそもレベル7の原発事故は、国が主体となって総力を挙げて取り組むべき、国家存亡の一大事だとの認識が無いのです。
それにしても今まで延々と東電とか政府は嘘の上に嘘を塗り固めているのですが、凍土壁が凍らない最大原因が、汚染水が超高温である事実が、やっと表に出てきました
原子炉から全量が落下した核燃料ですが、高温の水が生まれていることから推測すれば、3年半がたった今でも原子炉建屋の地下で激しく発熱し続けているのです。

それならフクシマは収束どころか大爆発した当時から少しも改善しておらず、非常に危険な状態が今も延々と続いていることになる。(絶体絶命の危機の、連続に次ぐ連続)
今のように、長期的な対策を一向に採らない東電とか政府の不思議ですが、目先の対策で手一杯で、将来の長期的対策まで考える余裕が全く無いのですよ。たぶん。

日本にとっては『目の前のことで手一杯』『目先だけで、すべて先送り』である事実こそ(原因を考えれば)、これは最悪の兆候である。
たぶんもうフクシマが駄目で、日本が助かる道が少しも無いのです。
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※ 事故以来、政府、東電、原子力村は事故処理も除染も、被害者救済もすべてが、「やっているフリ」をしているだけである。

 地中にあるということは、核燃料回収の可能性も原発廃炉の可能性も、既にまったく無いことを意味している。
核燃料、それも「炉心」が落下しているのであることに注意。
 「核廃棄物が地下で発熱するくすぶり現象」は当然起きているだろう。だが、ぶつぶつと間欠的で小規模な「再臨界」を地下のあちこちで起こしている可能性が高い。
 冷却水で地下は深くまで水浸しのはず、水で遮蔽されて空中放射線量の増減が緩和されているだけなのではないかと私は考えている。

 下は現在最も実際に近いと思われる模式図だが、この図よりも炉心はほとんどが落下して、格納容器内にはわずかに残っている状態、ということになる。
スイス日本
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ウクライナ危機、変わり始めた欧州

 ロシア

 西側が仕掛けたウクライナ政変は米英軍産複合体の主導によって対ロシア戦へと挑発拡大の動きを示していたが、先に「ロシアに対して崩れ始めた米英の「正義」」のとおり欧州とりわけ仏独、東欧は米国との対ロシア利害の乖離が目立っている。

 ウクライナ政権の挑発に耐えたロシアは、欧米の経済制裁に対抗して「食品輸入禁止」の報復措置を発動。さらにウクライナ東部ルガンスクへの人道物資供与で追った。
 キエフ政権は国際赤十字の同行で合意しながら、現地に砲撃を加える事で赤十字を撤退させたが、ロシア側は通関手続きを終えたとしてウクライナ国内ルガンスクへの輸送を強行。
 結果的はウクライナは国際赤十字マークの人道物資車両を攻撃することはできなかった。
 ウクライナ・ネオナチ親衛隊側にも付け入る隙を見せない、ロシア側人員の整然、迅速な規律の成果だろう。

 この報復措置も人道物資輸送も、ロシアはこれが第一歩であり、第二歩、第三歩の検討に言及することで、西側とウクライナ政権の想像力と予測に具体性を与え続けることになったのである。
 ウクライナの危機がユーロの危機となる可能性が現実となってきたことと、それによる米国への疑いである。
 欧州の流れが米英と異なり始めている。
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   ウクライナ危機、変わりつつある欧州の見方  8/25  ロシアの声

 ウクライナ危機が平和的に解決されるチャンスがめぐってきた。
 8 月26日、ベラルーシのミンスクで、ロシア・ベラルーシ・カザフスタン・ウクライナの各大統領とEU議長の会談が開かれる。


これまでロシアに最後通牒を突きつけたり、挑発を繰り返すばかりであったウクライナのポロシェンコ大統領が、ロシアと対話する用意を整えた。
 ウクライナの東部・南部の抵抗を力で屈服させることは不可能であると見て取ったか。
 実に、戦争は既に長期間に及び、それでなくても脆弱なウクライナ経済の首を締めつけている。

 EUをテコに危機を脱する試みも失敗した。
 ウクライナとEUの連合協定にサインがなされたが、今のところ、ただ新たな問題が発生したばかりだ。
 関税同盟諸国(ロシア、ベラルーシ、カザフスタン)と共同の原理・特典・恩典が、あるいは見直され、あるいは廃絶されることも不可避となった。
 このような大きなマイナスに対し、プラスはただ紙の上だけのこと、あるいは遠い未来のことに過ぎない。

EUも状況改善を望んでいる。
 ミンスク会談ではEU外相アシュトン氏が個人的にポロシェンコに帯同する。また欧州委員会副総裁でエネルギー問題担当委員のギュンター・エッチンガー氏、貿易担当委員カール・デ・グフト氏も参加する。
 彼らはキエフばかりか、自分たちをも救済しなければならなくなっている。「ポリチカ」基金のヴャチェスラフ・ニコノフ総裁に聞こう。

EUはウクライナへの経済支援という重みを関税同盟に、その一角たるロシアに押しつけようとしている
 私見では、会談において彼らが演ずる役回りは、『お願いする人』である。ただし、うわべはうまく繕うだろうが。
 EUは対ロ制裁を導入したが、そのことによって、自らもロシアからの対抗措置、すなわち食料品の輸入制限によって、被害を受けた

ロシア含め、関税同盟諸国にとって、会談の経済的側面はむろん重要だ。
 しかし、もっと重要なのは、ウクライナ南東部の情勢だ。ウクライナ軍のドンバス義勇軍に対する軍事行動は「明日」停止するのでなく「今」停止しなければならない
 かの地に「人道上の災害」が発生していることは欧米の政治家たちや諸国際機関さえ認めるところとなっている。
 砲撃がつづく限り、水・電気の供給を再開させることも、パン屋や病院を再稼動させることも出来ない。
 スポンサーがいくらお金を出したとしてもだ


しかし、平和への努力を語るポロシェンコの言葉は、未だに実行を伴っていない。
 いまやEUさえ、キエフに約束の履行を求める側に回った
 ドイツ副首相ジークマール・ガブリエル氏は、ウクライナが危機から脱出するために、連邦化というアイデアは有望だ、と述べている(ちなみにドイツも連邦国家である)。
 メルケル首相も同様の趣旨の発言を行っている(キエフにおけるポロシェンコ大統領との会談後)。

 いずれにせよ、今度のミンスク・サミットに参加する面々は、困難かつ長期に及ぶ責務を担うことになる。それは知れたこと。
 しかし、キエフやEUが、こうしてモスクワ・ベラルーシ・カザフスタンとの対話にのぞんでいる。
 そのこと自体、EUの政治家たちの見方が大きく転換しつつあること
の、ひとつの証左であろう。
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ロシアに対して崩れ始めた米英の「正義」

マレーシア機2

 米英軍産複合体のかいらいと言い切ってよい日本のマスコミは、ウクライナの政変以来すべてをロシアの責任、親ロシア派の悪事と、何の証拠もなく言い張る欧米の論調をそのまま一方的に報道してきている。
 世界のマスコミを統制しているつもりの米英は、マレーシア機撃墜事件についても、何の調査も証拠も無しに犯人を親ロ派と断定し、驚くべき傲慢さを示した。

 7月21日にロシア国防省が人工衛星と管制レーダーのデータを発表して以降は、マレーシア機については沈黙と焦点ぼかしに切り替えたが、相変わらず傲慢にも武装ネオナチを隠し、レジスタンスの責任はロシアとの一大キャンペーンを続けている。
 「ロシアは管制データを公表、米国は衛星データを隠蔽
 「嘘がばれ始めたウクライナ
 「マレーシア機撃墜の真相

 欧米が「正義」であり、欧米に逆らう者は「悪」だ、との異常に傲慢な態度は、世界のマスコミ統制によって欧米の方針が必ず通るだろうとの「過信」なのだろうが、欧米の一般国民も知識人、政治家もまるごと低能ばかりではない。
 まして、対ロシアの経済利害では、米英と欧州諸国は一致しない点が多いのである。
 「軍産複合体、国際寡頭勢力の対ロシア戦」とその末尾「私の観点」。

 二度にわたる「制裁」を加えられたロシアは報復措置をとった。
 今回は食品の輸入禁止であるが、民航機の上空通過禁止、自動車の輸入禁止、飛行機ロケットエンジンの輸出禁止など、ガスの輸出禁止に至るまで、ロシアの切り札は数多くある。
 どうであれ、ロシアのような広大な領土の農業鉱工業国に「経済制裁」はあまり意味がない。

 マレーシア機撃墜についてはウクライナ戦闘機以外の原因はすべて主張する根拠も意味もなくなってしまい、あとはウクライナの「自白」を待つばかりである。
 「マレーシア機は操縦席に30mm機関砲を打ち込まれていた

 「制裁」については、ロシアが報復する決意を公にした以上、これ以上のエスカレートは欧州の自滅、ユーロ崩壊の悪夢に繋がることである。
 「ロシア、欧米の経済制裁に報復措置

 ヨーロッパはロシアに現実を突きつけられて、やっと理解し始めたようである。
 米国のかいらいとして追従するのと、今までどおりにロシアと平和で対等な利害一致を図るのか、どちらが良いのかは明白である。  
 米英の「正義」なるものは傲慢で不当なものであって、ウクライナの地から崩壊し始めている

コックピット弾痕
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    ウクライナでいずれ崩壊する米欧の正義  8/24  田中宇

 7月17日にウクライナ東部の上空でマレーシア航空MH17機が撃墜された事件について、巷間報じられている「ロシア側」の犯行でなく、直前にMH17を追尾していたウクライナ空軍の戦闘機が空対空ミサイルや機関砲を発射して撃墜したという説が、米当局内などから出ている
 墜落現場の残骸で最も形をとどめているのは操縦室周辺のもので、そこには口径30mmの砲弾が貫通した跡が無数にある。
 このような砲弾を撃てるのは、30mm機関砲(GSh-30-2)を搭載していることが多いとされる、MH17を追尾していたウクライナの戦闘機(Su-25)だけなので、ウクライナ軍の犯行に違いないという説になっている。
Revelations of German Pilot: Shocking Analysis of the "Shooting Down" of Malaysian MH17. "Aircraft Was Not Hit by a Missile")

 この説は、2つの筋から出ている。
 一つは、ドイツの元ルフトハンザの操縦士(Peter Haisenko)による分析だ。ルーマニアの航空専門家も、似たような見方をしている。
 もう一つは、米国の記者ロバート・パリー(Robert Parry)が、米国の諜報機関の分析者たちの間で、ウクライナ空軍機の犯行でないかとの見方が出ていると指摘したことだ。
 元AP通信のパリーは、昔から米諜報界に食い込んでいる人で、コンソーシアムニュースの主筆をしている。
Boeing-777 was downed by Ukrainian MiG-29, Romanian expert says

 パリーによると、一部の米諜報関係者たちは、当日、マレー機より約30分遅れてほぼ同じコースを、ブラジルからロシアに戻るプーチン大統領の専用機が飛んでおり、ウクライナ空軍機は、プーチンの専用機を撃墜するつもりで、間違ってマレー機を撃墜してしまった可能性があると考えている。
 (もう一つ、最初から東部ロシア系勢力のせいにする目的で、ウクライナ軍がマレー機を撃墜したという見方もある)
Flight 17 Shoot-Down Scenario Shifts) (Evidence Is Now Conclusive: Two Ukrainian Government Fighter-Jets Shot Down Malaysian Airlines MH17. It was Not a `Buk' Surface to Air Missile

(プーチンの専用機は、ポーランド上空までマレー機と同じコースを飛んでいたが、敵国であるウクライナ領空に入らず、北方のベラルーシ上空を通ってロシアに帰国した)
Why was MH17 flying through a war zone where 10 aircraft have been shot down?

 米欧ウクライナは、当日ウクライナの戦闘機がMH17を追尾していたことを認めていない。
 戦闘機の追尾を指摘したのは、7月21日にロシア軍が行った詳細な記者会見だった。
 「ロシアの言うことなんか信じられるか」と思う人が多いかもしれないが、被害者であるマレーシアの英字新聞ニューストレートタイムスは、ロバート・パリーらの分析を引用し、MH17はウクライナ空軍機によって撃墜されたという見方が米諜報界で強くなっているとする記事を8月上旬に出している。
 同紙はマレーシア政府との関係が深く、記事が出たことは、マレーシア政府の中に、MH17はウクライナ機に撃墜されたと考える向きが強いことを示している
US analysts conclude MH17 downed by aircraft

 MH17撃墜に関して、当日の衛星写真など、まともな根拠を示して説明した関係国はロシアだけだ
 米国やウクライナは、撃墜について、いまだにまともな説明をせず、ロシア側がやったに決まっているとだけ言い続けている。
 事件後、米国も衛星写真を発表したが、それは撃墜事件についてでなく、数日後に発生した、ロシアとウクライナが国境地帯で相互に大砲を撃ち合った件に関してだった。

 MH17のブラックボックス(ボイスレコーダー)は、英国政府の航空機事故調査担当部局が保管して分析しており、9月に調査結果を発表する予定になっている。
 英国は、マレーシアの旧宗主国である関係で分析を依頼されたのだろうが、英国はMH17墜落後、一貫してロシアを無根拠に非難しており、米国のロシア敵視策に積極的に乗っている。
 ウクライナ軍機が犯人だと暴露されるなど、ウクライナに不利、ロシアに有利な結果が出た場合、英国は調査結果を正しく発表しない可能性が大きい
Flight MH-17 Black Boxes To Be Analyzed In "Impartial" London

 国際社会がMH17墜落現場周辺での停戦を呼びかけたのに、その後、ウクライナ軍はむしろ墜落現場周辺で積極的に親露派に攻撃を仕掛け、戦闘状態を激化している
 「今やらないと親露派が勢いを回復しかねない」というのがウクライナ軍の言い訳だが、墜落現場での捜索を邪魔することで、ウクライナ軍の犯行がばれる証拠が国際社会の側に渡らないようにしていると疑われる

 事件の関係国であるオランダ、オーストラリア、ウクライナ、ベルギーの4カ国は、MH17墜落についての情報を発表する際、4カ国のうち1カ国でも反対したら発表できなくなる協定を結んでいる。
 これは米国の差し金で作られた協定だろうが、ウクライナに不利な情報を公表させないようにする事実の隠蔽策に見える
 ウクライナ軍が撃墜の犯人だとしても、それはなかなか「事実」として確定しないだろう。
MH-17 `Investigation': Secret August 8th Agreement Seeps Out

 米国務省がウクライナの政権転覆を支援して今年2月に政権交代を実現して以来のウクライナ戦争で、米国は、欧州など先進諸国を巻き込んで、ロシアの「悪さ」を誇張するプロパガンダ策をやりつつ、ロシアを経済制裁している。
 米当局やNATOは、今にもロシア軍がウクライナに地上軍侵攻しそうだと言い続けているが、実際のところロシア軍はウクライナ領に入っていない。
 その一方で、ロシアにおけるプーチンの支持率は上昇を続け、87%にもなっている。
 この支持率には露当局の誇張があるかもしれないが、ロシア人の多くが米欧のやり方に怒り、プーチンを支持しているのは確かだ。
De-escalation Delayed: NATO Chief Warns Again "High Probability" Of Russian Intervention In Ukraine) (Putin's Approval Rating Soars to 87%, Poll Says

 事態はロシアの譲歩や敗北につながらず、むしろ逆に、対露経済制裁が欧州やウクライナの経済を悪化させる結果になっている。
 もともとロシアに依存する傾向が強かったウクライナ経済は、いまや破綻寸前の崩壊状態だ。
 IMFは今年の経済成長をマイナス6・5%と予測している。
 (※ 北風:マイナス6・5%はどう考えてもいかない、十数%は減少するだろう。既に10%程度のインフレが始まっている。勤労所得はロシアの3分の1でしかも遅配が横行している。)
 IMFは今春、ウクライナ政府が緊縮財政策をやる代わりに支援融資することを決めたが、緊縮財政は実現しておらず、IMFが金を貸さなくなりそうだとの予測から、ウクライナ国債の金利が高騰し、財政破綻直前の状態だ。
 通貨フリブナの為替の下落も続いている。
 ロシアとの対立があと数カ月続くと、ウクライナ経済は完全に行き詰まるとの予測も出ている。 (Ukraine's economy: Broken down

 ウクライナは、ロシア系が多い東部が炭鉱に依存する工業地帯(同国は欧州第2の石炭産出国)だが、炭鉱の半分が内戦で閉鎖され、これがウクライナ経済に打撃を与えている。
 ウクライナはソ連時代からのロシアとの関係で、ロシア軍の武器の部品を作る重要な工場がいくつかある。
 ウクライナ政界では、ロシアへの軍需物資の輸出を止めろという主張があるが、経済や雇用の損失を恐れるウクライナ政府は工場の生産を止めず、軍事物資の対露輸出を続けている
Ukraine's Next Crisis? Economic Disaster) (Ukraine factories equip Russian military despite support for rebels

 米欧がロシアへの経済制裁を強めたことへの報復として、ロシア政府は8月6日、米欧など対露制裁を行っている国からの食料の輸入を禁止する策を開始した。
 マクドナルドなど、米欧企業がロシアで展開している小売業に対する規制強化も始まった。
 ロシアは国内で消費する食料の4割を輸入にしている。
 当初、露国内の食料価格が上がって人々の生活苦がひどくなるとか、ロシアの孤立に拍車がかかるといった、ロシアの不利益に関する予測が大きく報じられた

 実のところ、ロシアが米欧から食料輸入を止めたのは「孤立化」でなく「多極化」の策だった。
 ロシアは米欧からの輸入を止める代わりに、中南米やトルコ、中国などBRICSや親露的な発展途上諸国からの食料輸入を急増し、米欧とのつながりを切ってBRICSなどとのつながりを深める多極化策を開始した。
 プーチンはBRICSで食料安保体制の強化を呼びかけた。
Latin America will not bow to EU pressure, will tighten ties with Russia) (Brazil beef exports to Russia soar

 ポーランドがロシアに輸出していたリンゴの買い取りを米国に求めて断られたりするのをしり目に、ブラジルの食肉業者が米国勢の穴埋めで対露輸出を増加し、トルコインドの政府も、ロシアとの貿易を増やせる好機だと喜んでいる。
Sanctions Against Moscow to Boost Indian Businesses in Russia) (Turkey eyes long-term trade ties with Russia

 対照的に、対露輸出で稼いでいたEU諸国の食品産業は、食肉、野菜、果物、乳製品などの分野で打撃を受けている。
 オランダ政府は、ロシアの食料輸入停止の悪影響が、当初予測した額の3倍の15億ユーロに達しうると被害を上方修正した。
 EUは米国に、追加の対露制裁を提案しないでくれと要請している。
Economic damage from Russian boycott could be triple original estimate) (Europe Blinks - May Cancel Russian Sanctions

 ブルガリアは、ウクライナを迂回してロシアのガスを欧州に運べる天然ガスパイプライン「サウスストリーム」の通過国だ。
 米国(NATO)は、ブルガリア政府が求めに応じて、12機のF15戦闘機と180人の兵力をブルガリア軍基地に駐留させ、交換条件としてサウスストリームの建設を止めさせた
Bulgaria Halts South Stream Pipeline Again As NATO F-15s, Troops Arrive

 しかし同時にブルガリアは、経済面でロシアへの依存度が高く、欧州とロシアとの相互制裁の結果、最大の悪影響を受けている。
 ブルガリアでは、これ以上米欧の対露制裁につき合えないとの意見が強まっている。
 同様に、EUの中でドイツ、スロバキア、ギリシャ、チェコが、追加の対露制裁に反対している。
 ドイツ経済は今年、対露制裁の影響でマイナス成長になるかもしれない。
IMF: Bulgaria is among the worst affected countries by sanctions against Russia

 欧州に対するロシアの最大の未発動の武器は「ガス輸出」である。
 EUが使う天然ガスの3割が、ロシアからパイプラインで輸入されている。
 ロシアから欧州へのガス輸出は、今のところ平常通りに続いている。プーチンは欧州に対し、まだ最大の武器を使わないでいる。
 欧州側は、現在までの食料輸入の停止だけで、かなり経済的に困り始めている。
Will Putin Realize That Russia Holds The Cards? - Paul Craig Roberts

 米国では、外交政策決定の奥の院である外交問題評議会(CFR)が、機関誌「フォーリン・アフェアーズ」に「ウクライナ危機は、ロシアでなく米欧の責任で起きた。プーチンは悪くない。NATOの拡大策が悪い」という趣旨の論文を載せた
Why the Ukraine Crisis Is the West's Fault

 著者は地政学者のミアシャイマーで、論文は
クリミアはロシアにとって最重要の軍港がある重要な影響圏で、ウクライナを反露政権にしたらロシアがクリミアを奪いに来るのは当然だった。プーチンは昔からNATOを拡大するなと言っていたのに、それを無視してウクライナやグルジアをNATOに入れようとした米欧が悪い
 という趣旨を書いている。プロパガンダで塗り固め、善悪を歪曲する米国のロシア敵視策は、そろそろ限界にきている。そんな警告が、この論文から読みとれる。
Council On Foreign Relations: The Ukraine Crisis Is the West's - Not Putin's - Fault
(※ ミアシャイマーは軍産複合体の利益代表であるネオコンサーバティブ(ネオコン)に対向するリアリズム地政学の重鎮。)

 米国側の姿勢の揺らぎに同期して、EUの筆頭国で最大の親露国でもあるドイツで「もう米国の馬鹿げたロシア敵視策につき合って経済難を被るのはごめんだ」という叫びがマスコミで出てきている。
 ドイツの主要な経済新聞ハンデスブラットは8月上旬に「米欧は間違っている」と題する社説を出した。
 社説は「対露制裁はドイツの国益を損なう。ドイツのマスコミはロシア敵視のプロパガンダをやめるべきだ。現実策(つまり親露策)に立ち戻るべきだ」と主張している。

 ドイツのテレビの風刺番組「エクストラ3」では、芸人が「これがマレーシア機の撃墜犯がロシアだという決定的証拠の衛星写真だ!」と言って、子供が画用紙にクレヨンで描いた何枚かの絵を見せるという、米国批判の風刺劇を放映した。
 ドイツのテレビには、極東の対米従属固執の島国(※ 日本)のテレビが喪失してしまった力量が残っている。

 ドイツのメルケル首相は8月23日、首相就任後初めてウクライナを訪問し、ウクライナを連邦国家として再編し、親露派が多い東部に自治を与えることで内戦を終わらせる策を提案した。
 ウクライナの連邦化は、ロシアが以前から提案していた内戦終結策だが、ウクライナや米国は、ずっと連邦化案を無視していた。
 メルケルの提案が実現するかどうかわからないが、一つの新たな希望ではある。
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