住民2200人が死亡:国連監視団,
2014-08-30

ウクライナ東部のルガンスク、ドネツクとその周辺はキエフ政権による無差別住民攻撃と水道、発電所などのインフラ破壊によって通信、電力、水道、食糧が途絶し、医療機関なども機能が破壊され、住民が危機的な状態に落とし込まれている。
ただ、一方で空軍機の撃墜、正規軍の投降は十日とあけずにに続いており、義勇軍は包囲から逆包囲へと優位な戦略転換の時期を迎えてきた兆しがある。
ウクライナの情勢と米ロ、嘘に嘘を重ねるNATOとキエフ。
わかっていながらも、米国を恐れて煮え切らない欧州。
キエフは狂気のシオニスト・イスラエル国家を真似て、レジスタンス側が「武装解除しなければ協議しない」とのたまっている。
のたまわるのも、のたうち回るのも勝手だが(笑)、米国NATOなどの尻尾にすがらなければ何も言えない、考えもないのではそろそろ、ウクライナ正規軍、反ロシア派だった国民からさえ見放される時期が近づいている。
プーチン氏がレジスタンスに包囲されたウクライナ軍を逃がすための人道回廊を提案し、義勇軍が即、応じたのは戦闘現場の力関係に見合った判断だろう。
ウクライナ正規軍将兵へメッセージでもあるだろう。
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人道物資のドライバーたちが語る、ルガンスクの鬼気迫る光景 8/29 ロシアの声
人道援助物資を運んだロシア非常事態省のドライバーたちは、この作業を無報酬で行う構えを表している。
ドライバーたちがルガンスクで目にしたキエフ当局の「反テロ作戦」後の光景は鮮烈なものだった。
フロントガラスに234番のプレートを掲げ、オレンブルグ州からボランティアで参加したドライバー、アンドレイ・コネーエフ氏の話。
「迎えでた人々の顔には涙があふれていた。
我々の荷は一番必要な時に間に合った。
町の飢えはピークに達しており、地元民は袋の裂け目から床にこぼれ落ちたそば米の実を拾い集めて忍んでいた。
現在ルガンスクには電気も通信もないため、我々が食糧、医薬品、水をもって来ることを地元民は拡声器によるスピーチで知った。」
ヴォルゴグラード州出身のドライバー、セルゲイ・アレクセーヴィチ氏は語る。
「見るもおぞましい光景だった。
深夜、地元民を手伝って荷を降ろしていた私に小さな、9歳くらいの少女が近寄ってきた。
自分の配給食糧から果物のジャムを与えると、まるで何日も何も食べていなかったように、それに喰らいついた。
そこで私は食糧袋ごと与えると、少女はそれを抱えて遠くへ逃げ、そこで少し食べ、残りはもってどこかに消えた。
もしかしたら家族に持っていったのかもしれない。家族が生きていたらの話だが。
もしかしたら自分が後で食べようとしたのかもしれない。どこからこの子が来たのか、何でこんな夜中にひとりでいたのか、それを聞く間もなかった。
ドライバーの多くは地元民に自分の食糧配給を分け与えていた。」
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国連使節、平和市民の死についてウクライナ軍を非難 8/29 ロシアの声
ウクライナ東部戦線における無差別砲撃による市民の死について、ウクライナ軍は有責である。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)ウクライナ監視団の報告書に記された。イタル・タスが伝えた。
監視団はこの指摘がキエフの声明、すなわち「ウクライナ軍は人口密集地帯への攻撃は一度もしていない」とする声明に矛盾している点を強調している。
報告書によれば、ウクライナ東部の戦闘により、わずか1月で1200人が死亡している。
総死者数は2200人に上っている。
報告書はまたキエフに対し、自陣営の自警組織による人身拉致や拷問について捜査するよう求めている。
また報告書は、ウクライナ軍による人身拘束も、多くの場合違法なものではないか、と問題化している。
4月半ばから8月16日にかけて、ウクライナ保安庁および自警組織はドンバス地方で1000人以上を拘束し、ウクライナの領土一体性の壊乱やテロ行為の嫌疑をかけている。
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義勇軍、プーチンの提案に応じて人道回廊設置 8/29 ロシアの声
未承認の「ドネツク人民共和国」首相アレクサンドル・ザハルチェンコは、包囲下にあるウクライナ軍部隊に人道回廊を提供する用意が義勇軍にはある、と述べた。ただし、彼らが武器を放棄するのが条件だ、とも。
先にロシアのウラジーミル・プーチン大統領は義勇軍に対し、包囲されたウクライナ軍人たちに「無用な人死にが出ないように」、人道回廊を開くよう求めていた。義勇軍側がこれを受け入れた形。
ザハルチェンコ首相はロシアのTV放送「ロシア24」に対し、「我々は、もし彼らが重兵器や弾薬を放棄し、これら兵器・弾薬が将来的に我々に対し使用されないのであれば、ウクライナ軍部隊に人道回廊を供与する用意がある」と語った。
ウクライナ軍の部隊はドネツク州イロワイスク近郊で包囲にあっている。
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ウクライナ情勢8/29報道 8/29 オレグ・エゴロフ ロシアNOW
「コメルサント」紙は、ポロシェンコ大統領が西側を動かそうとしていると書いている。
ポロシェンコ大統領は28日、ウクライナ領内にロシア軍が「事実上投入されている」との声明を発表した。
ウクライナ政府は直接的な軍事支援も含め、西側に期待している。ただウクライナでは結局、戒厳令は発令されなかった。
ウクライナの専門家は、ポロシェンコ大統領の声明が、同国南東部での敗北で非難されることを回避するための手段、またドネツィク州およびルハンシク州の戒厳令発令を呼びかけたユーリヤ・ティモシェンコ氏を含む、政敵の圧力を弱めるための手段だと考えている。キエフの政治学者ドミトリー・ジャンギロフ氏は今回の件を、最高会議総選挙前の政治家の愛国競争と呼んだ。
ドネツィク人民共和国のアレクサンドル・ザハルチェンコ首相は、義勇軍の反撃を「都市部から敵を追い出すことを目的とした人道・軍事作戦」だと説明した。
「ヴズグリャド」紙は、ロシア軍侵入に関するウクライナ政府の発表を分析している。
ウクライナの民族主義者はロシア軍を不可抗力として、万が一南東部で敗北しても正当化することが可能だ。しかしながら、5つの理由から、ウクライナにロシア軍はいないとの結論にいたることができる。
ロシア軍が大規模に投入された場合、戦闘はまったく異なったものとなっているはずだ。ウクライナ領内では戦車と支援下部組織の長い列が移動しているはずで、それを隠すことは不可能であろう。
ロシア下院(国家会議)国防委員会のフランツ・クリンツェヴィチ副委員長は、ロシアが実際にウクライナ領内に侵入しているなら、「ロシア軍はすでにキエフまで迫っているはずだ。これは虚勢ではなく、客観的な現実」と述べた。
ロシアが南東部で作戦を実施したのであれば、ロシア軍はその最新兵器、強力な戦闘機および大砲の砲撃で簡単に認識されるという。
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露政府が外交攻勢をかける中、NATOは露軍がウクライナへ侵攻したと宣伝するが、信憑性に疑問 8/29 櫻井ジャーナル
ウクライナにロシア軍の部隊が軍事侵攻したことを示す写真なるものをNATOが公表した。
ウクライナ東部、ドネツクにある戦略的に重要なノボアゾフスクが反キエフ軍(ドネツク人民共和国の義勇軍)に制圧されたことを受けてキエフのペトロ・ポロシェンコ政権は「ウクライナにロシア軍が導入された」と発表、アメリカ政府は曖昧な表現で同じことを主張していた。
言うまでもなく、NATOが持っている情報はアメリカも持っている。
ほかのNATO加盟国の中に知らない国があったとしても、アメリカに情報が伝わっていないということは有りえない。
にもかかわらず、アメリカ政府が曖昧な表現しかできなかったのは、NATOが公表したという写真に問題があるということだろう。
約1カ月前、タイム誌がロシア領からウクライナ領に向けて砲撃している様子だとする衛星写真を載せていたが、似たような展開だ。
その時は、ロシア領からウクライナ領に向けて砲撃していることを示す衛星写真だとするものをウクライナ駐在のジェオフリー・パイアット米大使がツイッターで広めていた。
写真の出所はDNI(国家情報長官室)で、それを国務省が電子メールで流し、それをパイアット米大使がツイッターで広めたとされていたが、ポール・クレイグ・ロバーツ元米財務次官補は即座に不自然だと指摘していた。
その写真が本物ならロシア軍が自国領からウクライナへ向かって砲撃していることを示す重要な証拠であり、それを電子メールで公表するということは考えにくいというのだ。
それなりの立場の人物が記者会見を開き、ミサイルの発射地点など詳細を説明するのが自然だ。実際、インチキだった。
そのロバーツ元財務次官補は今回の写真もインチキだろうと推測、その3つの根拠を挙げている。
ひとつは、ウラジミル・プーチン露大統領が外交攻勢をかけている中でロシア軍の小規模な部隊をウクライナ(ドネツク人民共和国)へ入れるというリスクを犯さないだろうということ。
8月26日、プーチン大統領はベラルーシのミンスクでポロシェンコ大統領やEUの幹部とウクライナ問題について協議している。
ふたつめは、もしプーチン大統領がロシア軍を派遣して住民を守る決心をしたなら、グルジアの時のように十分な規模の部隊を動かすだろうということ。
この時はグルジアが南オセチアを奇襲攻撃、その反撃だった。
今回も、1000名ではなく空軍も参加した10万名規模のロシア軍だという話なら信憑性は高かったとロバーツは書いているが、その通りだろう。
本ブログでも何度か書いたが、当時のグルジア政府はイスラエルときわめて緊密な関係にあり、軍はイスラエルとアメリカから支援を受け、兵士は軍事訓練を受けていた。
ロシア側では、グルジアの奇襲攻撃作戦はイスラエルが立案したものだと見ていた。
第3の理由は、キエフ軍の住民に対する攻撃を止めるためなら、ロシア空軍がウクライナ軍を粉砕すれば良いとしてる。
両国の軍事力を比較すれば、ロシアにとって容易いことだ。
前から書いているように、キエフ政権は軍を掌握し切れていない。ネオ・ナチの指揮でウクライナ人を殺すことに疑問を持つ将兵も多いだろう。
最近では徴兵をめぐって住民の抗議も始まっている。
西側の要求が具体化してくると、ウクライナ西部でもポロシェンコ政権に対する反発は強まる可能性が高い。
今年2月、アメリカ/NATOがネオ・ナチを使って実行したクーデターを「民主化」と言い張るためには嘘に嘘を重ねなければならなくなっている。
今回もそうした嘘のひとつだったのだろう。
ロシアが攻撃したというような話にすぐ飛びつく「ロシア嫌い」は少なくないようで、クリミアがウクライナから離脱したときもロシアの駐留軍を「侵略軍」だと表現していた。今回も同じことを繰り返している人がいる。
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国際決済通貨ということ、通貨の減価、増価ということ
2014-08-28

ウクライナ紛争を契機にロシアを追い込むため、米英は欧州と共に経済制裁を加えている。
このことがロシアをドル離れ、ユーロ離れに追い込み、ロシアとBRICS、南米諸国との協調に進むことで、中国人民元の国際通貨化を一段と早めている。
人民元の国際通貨化の進展と日本の円安政策は、非常に日本に不利な状況となるだろう。
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人民元が国際化する意味 8/26 闇株新聞 (※ )は北風の補足注釈。
米国とEUがロシアに対する経済・金融制裁を強化した結果、ロシア企業が対外取引の決済通貨や手元に確保しておく通貨を、ドルやユーロから香港ドルや人民元に変更している可能性があります。
ロシアに対する経済・金融制裁とは、米国とEUの銀行がロシア企業と取引することを禁じるため、当然に(すべてではありませんが)ロシア企業はドルとユーロの資金決済ができず、ドルとユーロを調達することもできず、最悪の場合は保有しているドルとユーロを凍結される恐れまであります。
ドルとユーロの資金決済ができないと、ロシア企業が例えば天然ガスをEUに輸出しても代金(ドルやユーロ)を支払ってもらえません。
またロシア企業が欧米から製品を輸入しても、その代金(ドルやユーロ)を支払うことも一時的に調達することもできません。
こうなるとロシア企業は外貨(ドルやユーロ)を手元に確保しておく必要もなくなり、ひいてはロシアも外貨準備をドルやユーロにしておく必要もなくなります。
直近のロシアの外貨準備は4750億ドルほどあります。
まずロシア企業が保有するドルやユーロを大量に香港ドルに交換しているようです。
香港ドルは1ドル=7.75~7.85香港ドルの範囲内に収まるように香港金融管理局が介入していますが、
ちょうどロシアへの経済制裁が始まった7月以降、連日の香港ドル売り・米ドル買い介入を繰り返しています。
つまりロシアが大量の米ドル売り・香港ドル買いを持ち込んでいることになります。
最近、香港の株価指数のハンセンが上昇しているのは、ロシアからの資金流入が理由と考えられます。
(※ この行については著者が翌日訂正。ロシアのドル売り香港ドル買いは、香港ドルがドルペッグしている以上は差し引き資金流入にならない。ゆえにハンセン株価指数の上昇はロシアの香港ドル買いが主因ではない。)
人民元は中国人民銀行が厳しい為替管理を行い、建前では実需以外の為替取引を禁じているため、ロシアが単純に米ドル売り・人民元買いを持ち込んでいることはなさそうです。
その代わりにロシアから中国に輸出している天然ガスや天然資源の代金決済を、ドル建てから人民元建てに変更しようとしています。
ロシアもドルやユーロが受け取れないなら人民元ででも決済しようと考え、中国は天然ガスや天然資源の輸入代金を紙切れ(人民元)で支払えることになります。
中国は近年、エネルギーや天然資源を大量に輸入する中東や中南米や豪州に対し、人民元での決済比率を引き上げるように申し入れ、直近では人民元決済比率が中東で58%、中南米で66%、豪州でも23%まで引き上がっています。
つまり中国はすでにエネルギーや天然資源の輸入代金を紙切れ(人民元)で支払っており、今般のロシアに対する経済・金融制裁のおかげで、ロシアにも紙切れ(人民元)で支払うようになります。
各国に輸入代金として紙切れ(人民元)を支払うと、各国は受け取った紙切れ(人民元)を手元に置き、銀行に預金し(銀行で換金しても人民元は銀行に留まります)、今度はその運用として中国国債や、より有利な(有利にみえるだけですが)理財商品などの別の紙切れに投資し、中国経済を豊かにすることになります。
まさに基軸通貨・ドルが米国にもたらす特権を、国際通貨となった人民元が中国にもたらすことになります。
実は、これこそ日本が最優先で取り組むべき「国策」だったはずです。
円が国際化して決済通貨となれば、例えば原油の輸入代金を円で支払うと円安で輸入代金が膨らむこともなく、何よりも紙切れ(円)で原油が買えることになります。
そして輸入代金として受けとった円を各国が保有していれば、その運用手段として日本の国債が自然に海外で消化されることになります。
アベノミクス開始前の円高の間に、本誌は円を国際化する必要性を「いやっと」いうほど主張していました。
ところがアベノミクスとは「円の価値を自ら毀損する政策」のため、その瞬間に円が国際化するチャンスは消滅してしまいました。
値下がりする通貨(円)を好んで決済通貨にする国(企業)はなく、値下がりする通貨(円)建ての国債を好んで保有する国(投資家)もいません。
アベノミクスはこれだけでも大いに国策を損ねたのです。
その隙にいつのまにか共産主義であるはずの中国政府が、そのメリットをしっかりと認識して実践しているのです。
日本円が国際化しない意味
昨日付け「人民元が国際化する意味」の続編ですが、その昨日の記事に正確ではない部分がありましたのでお詫びして訂正させていただきます。
ロシアが大量の米ドル売り・香港ドル買いを持ち込んでおり、それがハンセン指数を押し上げていると書いたのですが、香港上海銀行など香港の発券銀行がロシアの香港ドル買いに応じて香港ドルを発行すると必ずそれに見合う米ドルを買い入れなければならず、計算上はロシアが売却した米ドルを買い入れるため差し引きでは香港に資金は流入していません。
つまりそれでハンセン指数が上昇していたわけではありません。
さて本題ですが、自国通貨が国際化する(基軸通貨化するともいいます)意味を考えてみましょう。
実物資産である金(きん)と同じように、ドルは国際通貨(基軸通貨)として世界中で抵抗なく受け取られ、交換され、保管(貯蓄)されています。
つまり世界中どこでも単なる紙切れであるドルの価値が疑われていないことになります。
ドル高になるかドル安になるかは全く違った概念です。
(※ 米ドルは概ね十数年前後で購買力が半分程度になっているが、これは通貨の「価格」であることに注意。
国際決済通貨としての流通し、保存されるという性質維持の価値自体には変わりがないということ。
また、緩慢な下落を作り出すのは、世界覇権国とその基軸通貨であることから、世界にドルを流通させ還流させる循環が絶えず流動性の増加に結びついているからである。
つまり、米国への資金蓄積のために、FRBは常に需要を超えるドルを発行し世界に供給してきたことの証左である。)
このドルはFRBの永久債務であり(※ ながら)、FRBは償還(返還)義務がありません。
確かにFRBの資産には米国債やMBS(住宅ローン担保証券)がありますが、別にドルを持っていても担保の住宅を引き渡してくれるわけではなく、要するに「紙切れ」です。
(※ このことは世界の中銀や政府が発行する担保なき不換紙幣の共通特性。
FRBや日銀が国債を買って通貨を供給しているのは金利も償還も配当も無い無担保証券に切り替える行為。
そのままでは通貨価値が危険になるので、経済が安定の方向性の見えた時点からは、買って保留した国債などを売って流動性を吸い上げるが、いわゆる「出口戦略」が必須となるが、これは極めて困難。
円は国際決済通貨ではないので、国外に流通の余裕がなく、国債などを放出しても買い手がいない。金利の暴騰を招くのみ。
円の場合は不可能である。)
「そりゃ米国だから大丈夫だよ」と世界中が納得しているだけです。
昨年4月に出版した「闇株新聞 the Book」には、もう少し理論的に解説してあります。
最近はさすがにドルだけだと不安なので「一部はユーロにしよう」となり、ユーロもドルに次ぐ国際通貨(基軸通貨)となりましたが、間違ってもアルゼンチン・ペソやブラジル・レアルやトルコ・リラなどは国際通貨とはなりません。
誰もその価値を(あるいはその価値が維持されることを)信用していないからです。
それでも日本ではブラジル・レアル建てやトルコ・リラ建てなどの投資信託が溢れかえっています。
販売している証券会社や銀行(それもメガバンク)の常識が「世界標準から大きく遊離している」ことになります。
自国通貨が国際通貨(基軸通貨)であることのメリットは、世界中から財やサービスを「紙切れ」で買えることですが、同時に世界中にその「紙切れ」が蓄積されることになり、その運用のために自国の国債も世界中で買われます。
国債ももちろん「紙切れ」です。
つまり自国通貨が国際通貨(基軸通貨)となるメリットは計り知れないことになります。
中国は1994年に人民元をドルに対して大幅に切り下げ(1ドル=5.4人民元から8.7人民元に)そこからドルに実質固定し、2005年からドルに対して緩やかに切り上げました。
本年に入って少し方針変更したようですが「人民元は確実に値上がりするもの」とのイメージを世界に植え付けました。
(※ 人民元が通貨の減価を抑止するのは非常に古くからの伝統である。
解放区内の流通通貨として始まった人民元は流通需要を超えて増発しないことが鉄則であった。(当然
ながら増発、下落は死に直結する。)
国民党が紙幣を乱発し、絶えず減価を続けたにも関わらず、人民元は耐えぬいて通貨の購買力を維持した。
国共内戦時代から日本の敗北、いったん国民党軍が解放区以外の全土を制圧するが、逆に流通通貨の信用は人民元が圧倒しており、共産党軍は反攻からわずか2年で国民党軍を台湾に駆逐する。
現在の市場経済においても、金融機関の貸出しは預金量に対して半分程度に規制されている。
理財商品なる闇の与信がなされている(現金準備不足事件)が、概ねでは他国に類を見ないほどに人民銀行の通貨管理が徹底的に流通量を制御していると考えられる。
不換紙幣はなんの担保もないので、常に通貨の流通需要量に合わせることが基本である。端的に言えば経済成長に合わせた流動性供給である。
一般的には、物的供給不足の場合は流動性を多く供給した分が生産投資にまわりその分が経済成長すると考えられるが、物的需要不足の場合は過剰分はインフレとなり、循環恐慌に繋がる。
ドルは基軸通貨だが、通貨において国内流通需要のみの日銀がしている量的緩和は、成功しても失敗しても極めて危険な行為である。)
そして近年は、昨日も書いたように原油や天然資源を大量に輸入する中東や中南米や豪州に「人民元で受け取れ」とゴリ押しして認めさせ、最近もロシアへの経済制裁の隙をついてロシアからの天然ガスも人民元で決済しようとしています。
中国政府も人民元の国際化(基軸通貨化)のために、このような努力をしているのです。
それでは、最近は貿易赤字が定着し、国債残高が膨らみ続ける日本では、円の国際通貨化(基軸通貨化)は最優先で取り組むべき「国家プロジェクト」のはずです。
しかしマネタリーベースを再現なく膨らませて円の価値を毀損させる金融政策を続ける国の通貨(円)が世界中で喜んで受け入れられるはずがなく、同じ円建ての日本国債が世界中で買われるはずがありません。
日本国債の利回りが低いことは問題ではありません。
2%の物価上昇目標も円の価値を2%ずつ減価させる政策に外ならず、円の国際化を妨げます。
だったら「円を毎年2%ずつ上昇させる」とでも宣言すれば、世界中から日本国債が買われるはずで、弊害が目立つ日銀「異次元」量的緩和などは必要がなくなります。
円はせっかく2年前の70円台から100円台まで円安となっているので、ここから年間2%くらい円高になってもまだまだ円安です。
円安でも貿易収支が改善するわけではなく、むしろ円高と円の国際化のメリットを考えるべき時期に来ています。
円安になると株高になるというのも決して健全な考え方ではなく、長い目で見れば緩やかな円高こそ外国人投資家の日本株買いを増やすような気がします。
誰も指摘しませんが、「異次元」量的緩和を含むアベノミクスは、見直すべきタイミングに来ているのです。
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辺野古中止が8割!だめなものは強権を発動してもダメ:琉球新報
2014-08-27

<社説>辺野古中止8割 だめなものはだめだ 8/27 琉球新報
「だめなものはだめだ」と、
辺野古移設強行に反対する民意は固かった。むしろ強固になっている。
政府が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた海底掘削調査を開始したことを受けた県内電話世論調査で「移設作業は中止すべきだ」との回答が80・2%に上った。
「そのまま進めるべきだ」は4分の1以下の19・8%にとどまる。
普天間問題の解決策について、県外・国外移設や無条件閉鎖・撤去を求める意見の合計は79・7%に達した。
4月の調査より6・1ポイント増えている。
辺野古反対は圧倒的に世論が支持している。
8割の反対を無視した辺野古移設は不可能だ。
それでも強行するなら、この国は独裁国家でしかない。
海上保安庁と警察を投入して、力ずくで海底ボーリング調査を開始した安倍政権に対する不支持は81・5%に上る。
だが菅義偉官房長官は辺野古移設への影響は「全くない」と述べた。
世論に耳を傾ける姿勢はつゆほども感じられない。
「県外移設」の公約を破って辺野古埋め立てを承認した仲井真弘多知事に対して、74・0%が政府に調査中止を求めるべきだと答えた。
与党の自民党支持層の70・1%、公明党支持層の91・7%も作業中止を求めている。
辺野古に反対するオール沖縄の意思は、しっかり根を張っている。
調査結果について仲井真氏は「早く(辺野古を)埋め立てて世界一危険といわれている普天間飛行場を移すことだ」と開き直った。
公約違反を否定し続けてきたが、紛れもなく公約違反を口にしている。
県民の側ではなく安倍政権と一体化している姿勢は、植民地の代官のようではないか。
安倍政権は11月の知事選で辺野古の争点化を避けるため、海底掘削調査箇所を大幅に省いて9月中に終えようとしている。
今回の調査で知事選で重視する政策は、普天間飛行場の移設・返還が34・3%で1位だ。
2位の経済振興・雇用対策を9・9ポイント上回っている。
基地問題は知事選の最大の争点になる。
世論調査で示された辺野古の移設作業中止を求める80・2%の民意は、主権者である県民の「非暴力の抵抗」の意思表示と見るべきだ。
安倍政権が強権を発動して民意を押しつぶそうとすればするほど、岩盤は一層固くなるだろう。
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