捜査はこれからだが、犯人の名は既に発表
2014-07-20
調査は未開始、されど犯人の名はすでに発表 7/19 ロシアの声
ウクライナ領内で起きたマレーシア航空のボーイング777機の公式的な調査は、未だ開始されていない。
ところがこの恐ろしい事態のプロパガンダ的な利用は全面的に展開されている。
これまで長い間の世界の実践では、航空機事故に関しては犯人の名をすぐに挙げず、諸説に対し慎重な姿勢をとるべしとされてきていた。
にもかかわらず、欧米のマスコミの大半ではすでに、事件を起こした犯人としてウクライナ東部の義勇軍が祭り上げられており、同様にロシアとその指導部も槍玉に挙げられている。
一体なぜ、こうも結末を急ぐのだろうか?
今回のカタストロフィーは特殊なケースだ。
なぜなら事件が起きたのは戦闘が行われているゾーンであり、西側が100%のシンパシーを抱くのはウクライナ軍サイトであり、この罪を一刻も早く、いわゆる独立派に、そしてロシアに擦り付けたいという誘惑はあまりに大きい。
実際の証拠については、キエフ当局の握るものは今のところ乏しい。
一番の証拠とされるのは、ウクライナ特務機関によって傍受されたとされる義勇兵らの電話会話の録音とインターネットのメッセージで、何らかの航空機を自分たちが撃墜したことが語られている。
だが、戦闘行為のあった期間、義勇軍らが撃ち落としたウクライナ航空機は10機を超えていることから、キエフ側が提出した録音会話はマレー機ではなく、ほかの軍用機のことを指している可能性もある。
このほか、我々がインタビューを行った音声測定器調査センターのゲルマン・ズボフ代表取締役は、インターネットに掲載された録音会話は法的証拠にはならないと指摘する。
物的証拠となりうるのは、最初から最後まで完全に録音されたものでなければならないものの、そうしたものはキエフ当局は調査委員会には提出していない。
ズボフ氏は、公表されたものは捏造ではないかもしれないものの、戦闘員らの会話の全録音ではないとして、次のように語っている。
「録音はキエフにおいて、もっとも当局側に重要な部分のみカットされている。おそらく会話はもっと長いものだったと思われる。たとえば公表された音声には、いわゆる通信開始、終了を告げる挨拶のフレーズがない。最初から最後までの一貫した録音が公表されるべきだ。もし録音全体が公表されるならば、専門家らの作業は軽減されるか、録音の信憑性に対する疑いが晴れるだろう。」
だが西側の政治家らには、西側のプレス以上に完全な録音またはなんらかの専門鑑定の出現を待とうという姿勢はない。
オバマ大統領は、マレー機を撃墜したミサイルは義勇軍のコントロールする領域から発射されたとの声明を表したが、その声明が表される数時間前までは、人工衛星撮影映像を読み解く最良米国人専門家らは全く異なる見解を口にしていた。
専門家らは、確信を持って言えることはただ一点、マレー機を撃ち落としたのが「地対空」ミサイルだということであり、発射地点に関しては確実に特定はできないと語っていた。
仮にオバマ大統領のもとに、ミサイル発射時の映像などの証拠があったとすれば、格好の暴露資料となるものをなぜ公衆の面前に、つまり国連安保理会議の席上で公開しなかったのだろうか。
そうした一方で答えのないまま放置されている問がある。
義勇軍が設置したヘリコプター射撃用の可動式ミサイルシステムで、高度1万メートルを飛ぶ航空機をどうやって撃墜することができたのだろうか、ということだ。
これだけの高度の飛行機を撃墜することができるのは高射砲ミサイル「ブーク」だけだとされている。
ブークは非常に重く、かさばる兵器であり、ウクライナ軍は所持しているが、義勇軍は持っていない。
ところが米国はこの状況をロシアに有利になるようには用いず、ブークはロシア製の兵器であるから、撃ったのもロシア人だと言うのだ。
西側の市民は、ウクライナ軍もソ連軍も軍備は同じ、ソ連時代から用いてきた同一のソ連製の兵器であることを知らない。
その兵器はいま、「ロシア製」と書くのが一般となっているだけのことだ。
そしてこれもまた、西側のマスメディアがほとんど取り上げない問いなのだが、なぜウクライナの航空管制は民間機に向かって、戦闘行為のあるゾーンから離れるよう誘導しなかったのだろうか?
ーーーーーーーーーーーーーーー
※ 北風

上の写真はキエフ政権が地対空ミサイル「ブーク」を使った義勇軍が使用後のブークをロシアに搬出するところの証拠写真だと称して発表したものである。
日本も含め西側マスコミは何故かすぐに飛びつき報道したので、多くの読者も見ているはず。
実に世界を馬鹿にした写真である。
トラックの運転台は鮮明なのに、何故かブーク本体だけに霞がかかっている。
こっそり搬出するならシートで覆うだろう。
後からぼかしたとみえ、荷台、ブーク、手前のレンガ門柱まで、まるごとぼかしてしまっている。
それよりも、この白いトラックにブークが載るだろうか?
載せることがことができても走れるのだろうか?
下が本物のブークである。

戦車並みで全長13mくらい。
普通の「白いトラック」に載らないし、載せたら走れない。
当然、自分で走る方がマシだ、60km/hは出るし、悪路も平気だ。
どこかで拾ったトラックになにか乗った写真をぐしゃぐしゃにいじって公然と「証拠」だというこの神経。
恥知らずなインチキ写真。子どもでもわかる偽造。
この「証拠写真」から解ること。
キエフは西側マスコミ(彼らにとっては世界のマスコミ)が自分についていること。嘘でも何でも発表すれば西側マスコミが世界に報道してくれること。これをはっきり自覚していることが明らかになった。
このことは米国からの「確約」があることを示すものだ。
それとそのことによる、恥ずかしいほどの「思い上がり」である。こんなものを証拠と言って憚らないまでに「舞い上がっている」のだ。
この点は西側マスコミの主流も同じだろう。幾多の大衆操作でますます味をしめているマスコミは、「足並みそろえて報道すれば嘘も事実になる。どうせ大衆は愚民だ。」と考えている。
「ロシア製のブークだから、撃ったのはロシア人」の大衆操作報道も同じである。
こんな馬鹿げた写真をもっともらしく報道するのが、その証左である。
西側の異様な報道態度は極めて不自然で統制、拙速であり、マレーシア機の撃墜が誰の犯行なのかを暗示している。
また、キエフ政権のとんでもない思い上がりから透けて見えることは、ロシアの敵は西側マスコミを統制するほどに非常に強大であり、キエフに支援支持を確約していること、ウクライナを内戦の泥沼とし、そこにロシアを引きずり込む戦略だということである。
ついでに言ってしまえば、民主党オバマ政権は少なくとも、この敵に逆らう力がないということだ。
ウクライナ領内で起きたマレーシア航空のボーイング777機の公式的な調査は、未だ開始されていない。
ところがこの恐ろしい事態のプロパガンダ的な利用は全面的に展開されている。
これまで長い間の世界の実践では、航空機事故に関しては犯人の名をすぐに挙げず、諸説に対し慎重な姿勢をとるべしとされてきていた。
にもかかわらず、欧米のマスコミの大半ではすでに、事件を起こした犯人としてウクライナ東部の義勇軍が祭り上げられており、同様にロシアとその指導部も槍玉に挙げられている。
一体なぜ、こうも結末を急ぐのだろうか?
今回のカタストロフィーは特殊なケースだ。
なぜなら事件が起きたのは戦闘が行われているゾーンであり、西側が100%のシンパシーを抱くのはウクライナ軍サイトであり、この罪を一刻も早く、いわゆる独立派に、そしてロシアに擦り付けたいという誘惑はあまりに大きい。
実際の証拠については、キエフ当局の握るものは今のところ乏しい。
一番の証拠とされるのは、ウクライナ特務機関によって傍受されたとされる義勇兵らの電話会話の録音とインターネットのメッセージで、何らかの航空機を自分たちが撃墜したことが語られている。
だが、戦闘行為のあった期間、義勇軍らが撃ち落としたウクライナ航空機は10機を超えていることから、キエフ側が提出した録音会話はマレー機ではなく、ほかの軍用機のことを指している可能性もある。
このほか、我々がインタビューを行った音声測定器調査センターのゲルマン・ズボフ代表取締役は、インターネットに掲載された録音会話は法的証拠にはならないと指摘する。
物的証拠となりうるのは、最初から最後まで完全に録音されたものでなければならないものの、そうしたものはキエフ当局は調査委員会には提出していない。
ズボフ氏は、公表されたものは捏造ではないかもしれないものの、戦闘員らの会話の全録音ではないとして、次のように語っている。
「録音はキエフにおいて、もっとも当局側に重要な部分のみカットされている。おそらく会話はもっと長いものだったと思われる。たとえば公表された音声には、いわゆる通信開始、終了を告げる挨拶のフレーズがない。最初から最後までの一貫した録音が公表されるべきだ。もし録音全体が公表されるならば、専門家らの作業は軽減されるか、録音の信憑性に対する疑いが晴れるだろう。」
だが西側の政治家らには、西側のプレス以上に完全な録音またはなんらかの専門鑑定の出現を待とうという姿勢はない。
オバマ大統領は、マレー機を撃墜したミサイルは義勇軍のコントロールする領域から発射されたとの声明を表したが、その声明が表される数時間前までは、人工衛星撮影映像を読み解く最良米国人専門家らは全く異なる見解を口にしていた。
専門家らは、確信を持って言えることはただ一点、マレー機を撃ち落としたのが「地対空」ミサイルだということであり、発射地点に関しては確実に特定はできないと語っていた。
仮にオバマ大統領のもとに、ミサイル発射時の映像などの証拠があったとすれば、格好の暴露資料となるものをなぜ公衆の面前に、つまり国連安保理会議の席上で公開しなかったのだろうか。
そうした一方で答えのないまま放置されている問がある。
義勇軍が設置したヘリコプター射撃用の可動式ミサイルシステムで、高度1万メートルを飛ぶ航空機をどうやって撃墜することができたのだろうか、ということだ。
これだけの高度の飛行機を撃墜することができるのは高射砲ミサイル「ブーク」だけだとされている。
ブークは非常に重く、かさばる兵器であり、ウクライナ軍は所持しているが、義勇軍は持っていない。
ところが米国はこの状況をロシアに有利になるようには用いず、ブークはロシア製の兵器であるから、撃ったのもロシア人だと言うのだ。
西側の市民は、ウクライナ軍もソ連軍も軍備は同じ、ソ連時代から用いてきた同一のソ連製の兵器であることを知らない。
その兵器はいま、「ロシア製」と書くのが一般となっているだけのことだ。
そしてこれもまた、西側のマスメディアがほとんど取り上げない問いなのだが、なぜウクライナの航空管制は民間機に向かって、戦闘行為のあるゾーンから離れるよう誘導しなかったのだろうか?
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※ 北風

上の写真はキエフ政権が地対空ミサイル「ブーク」を使った義勇軍が使用後のブークをロシアに搬出するところの証拠写真だと称して発表したものである。
日本も含め西側マスコミは何故かすぐに飛びつき報道したので、多くの読者も見ているはず。
実に世界を馬鹿にした写真である。
トラックの運転台は鮮明なのに、何故かブーク本体だけに霞がかかっている。
こっそり搬出するならシートで覆うだろう。
後からぼかしたとみえ、荷台、ブーク、手前のレンガ門柱まで、まるごとぼかしてしまっている。
それよりも、この白いトラックにブークが載るだろうか?
載せることがことができても走れるのだろうか?
下が本物のブークである。

戦車並みで全長13mくらい。
普通の「白いトラック」に載らないし、載せたら走れない。
当然、自分で走る方がマシだ、60km/hは出るし、悪路も平気だ。
どこかで拾ったトラックになにか乗った写真をぐしゃぐしゃにいじって公然と「証拠」だというこの神経。
恥知らずなインチキ写真。子どもでもわかる偽造。
この「証拠写真」から解ること。
キエフは西側マスコミ(彼らにとっては世界のマスコミ)が自分についていること。嘘でも何でも発表すれば西側マスコミが世界に報道してくれること。これをはっきり自覚していることが明らかになった。
このことは米国からの「確約」があることを示すものだ。
それとそのことによる、恥ずかしいほどの「思い上がり」である。こんなものを証拠と言って憚らないまでに「舞い上がっている」のだ。
この点は西側マスコミの主流も同じだろう。幾多の大衆操作でますます味をしめているマスコミは、「足並みそろえて報道すれば嘘も事実になる。どうせ大衆は愚民だ。」と考えている。
「ロシア製のブークだから、撃ったのはロシア人」の大衆操作報道も同じである。
こんな馬鹿げた写真をもっともらしく報道するのが、その証左である。
西側の異様な報道態度は極めて不自然で統制、拙速であり、マレーシア機の撃墜が誰の犯行なのかを暗示している。
また、キエフ政権のとんでもない思い上がりから透けて見えることは、ロシアの敵は西側マスコミを統制するほどに非常に強大であり、キエフに支援支持を確約していること、ウクライナを内戦の泥沼とし、そこにロシアを引きずり込む戦略だということである。
ついでに言ってしまえば、民主党オバマ政権は少なくとも、この敵に逆らう力がないということだ。
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もう騙されない福島、「中間」貯蔵施設
2014-07-20


放射性廃棄物を30年の期間「中間貯蔵」するという。
だが、30年後までにどう処理してどこへ移す展望も何もない。
「中間」というのは名前だけで「永久貯蔵」であることは疑いもないことだ。
嘘と無責任の政治。
住民はみな命の不安にさらされてきた。
放射能のためだ。
それを「中間」などという言葉でだませると思いあがる政府。
こういう政府は「妄言」というのだろう。
ーーーーーーーーーーーーー
泥沼にはまった福島・中間貯蔵施設 7/18 東京新聞:こちら特報部 7/18 「俺的メモのあれこれ」氏から
原子力ムラの人びとが居並ぶ原子力規制委員会は16日、新規制基準「合格」の第1号を出した。
福島原発事故の収束を二の次にした暴挙といえる。
その福島では、除染ごみの中間貯蔵施設の建設が難航している。予定地の大熊、双葉両町とも受け入れを留保。
住民は事故で「カネと人生の交換」という原発の本質を知った。
だが、政府の姿勢は事故以前のまま。その隔たりが建設を阻んでいる。(上田千秋、榊原崇仁)
[中間貯蔵施設]
福島県内の除染で取り除いた土壌や放射性濃度の高い焼却灰などを最長30年間保管する施設。
施設確保や維持管理の責任を負う環境省は、帰還困難区域分などを含めて2800万立方メートルの搬入を想定している。
現在は福島第一原発周辺の大熊、双葉両町の16平方キロメートルが予定地として挙がっている。
◆「口先ばかり」政府不信 「最終処分場化」に住民ら懸念
「簡単に『はい、そうですか』というわけにはいかない。国は納得できる説明をしていない」
17日、多くの大熊町民が暮らしている同県会津若松市の仮設住宅で、同町の男性(67)が語気を強めた。
大熊、双葉両町の大半は放射線量が高い帰還困難区域に指定され、全住民が避難生活を続けている。
国は5月から6月にかけて計16回、各地で説明会を開いたが、両町とも「国は住民の質問に明確に答えなかった」として、施設受け入れの判断を留保している。
建設予定地に自宅がある男性(72)は「いまはまだ一時帰宅できるが、施設ができれば永久に自宅に帰れないことになる。絶対に認められない」と訴えた。
住民の最大の懸念は、なし崩し的に汚染土を置きっ放しにされかねないという疑念だ。
国は30年以内に最終処分場を設けて、すべて搬出するとしているが、使用済み核燃料の最終処分場がいまだ決まらない現実からも説得力はない。
冒頭の男性は「最終処分場にしないというなら、現段階で場所を示すのが筋だろう。安倍首相は復興公営住宅の整備を急ぐと言ったのに、一向に進まない。国の言うことは口先ばかりで信用できない」と憤る。
住民も施設の必要性を理解はしている。
一人の女性(56)は「先祖代々の土地を奪われるのはつらい」としつつも「子や孫の代になっても大熊で暮らすのは難しいだろう。そうである以上、原発の地元で引き受けるのは仕方がないと思っている」と胸中を明かした。
だが、そんな住民の気持ちを逆なでしたのが、石原伸晃環境相の「最後は金目でしょ」という発言だ。先月16日に飛び出した。
別の女性(88)は「あの人は何一つ不自由なく育ったお坊ちゃん。人の痛みが分からないのだろう。施設を造らなければいけないことは分かる。でも、あんな言い方をされて、賛成できるわけがない」と話した。
福島第一原発の西8キロにある大熊町の行政区「野上1区」は今月3日、住民の総意として「帰らない宣言」をした。
効果のない除染などやめて、その分、新天地で生活再建できる十分な補償を求めている。
施設予定地は国が買い取ることになっている。
同区は予定地に入っていないが、同区の木幡(こわた)仁区長(63)は「道1本隔てただけで、予定地か否かの線引きがされてしまう。それは自宅や土地を国が買い取るかどうかの違いになる。これでは、町民の間にしこりができてしまう」と懸念する。
「国はあいまいな態度をとり続けるべきではない。戻れるのか戻れないのかをはっきりと示すのが先。そうしないと、予定地の住民も判断できないだろう」
◆安全管理も不安山積
こうした状況下、政府が描いた来年1月からの施設の使用開始というシナリオは厳しさを増している。
これまでの経緯を振り返ると、こうなる。

政府は2011年10月に中間貯蔵施設に関する基本的な考え方をまとめた。
ここでは、施設の確保や維持管理は国の責任で行う
○汚染土壌などは福島県分のみを搬入する
○30年以内に福島県外で最終処分を完了させる─などの方針を示した。
翌12年3月には福島第一、第二原発が立地する大熊、双葉、楢葉の3町に分散設置する案を提示。
比較的線量が低い楢葉町が早期の住民帰還のため受け入れを拒んだのを踏まえ、今年2月には大熊、双葉両町に集約する案を示した。
ただ、2町がすんなりと受け入れるはずがない。
政府は使途の自由度の高い交付金の創設を提案したが、住民説明会では「なぜ大臣が来ないのか」などと不満が続出。加えて、金目発言で怒りが爆発した。
問題は補償などの金銭面に限らない。
除染廃棄物は「フレコンバッグ」という袋に詰め込み、現在は仮置き場などに置いてあるが、管理面で課題を抱える。
環境省の担当者は「耐用年数が3年の袋を使うルールにしており、期限を超える前に詰め替えるようにしている」と説明する。しかし、同県飯舘村の住民らによると、3年もたたないうちに破れて、放置されている例もあるという。
さらにバッグを手がける業界団体の関係者は「1枚数百円の安い外国製品も少なくなく、除染場所から仮置き場に運ぶ時に破れることもある」と漏らす。
県内各地の仮置き場から中間貯蔵施設への輸送も、すんなりとはいかない。
中間貯蔵施設で保管する廃棄物は最大で2800万立方メートル、重さにして3500万トンになる。
環境省の試算では、10トンダンプを使って3年間で運び終えようとすると、1日2000台程度必要になる。これは県内で登録される10トンダンプの8割強に当たり、除染以外の復興関連工事も本格化する中で、これだけの台数を確保するのは困難を極める。
仮にダンプが確保できても、積載した除染廃棄物が交通事故で飛散してしまう恐れがあるほか、深刻な交通渋滞や排ガス、騒音などの被害も予想される。
決定的なのは、施設の最終処分場化という懸念だ。
石原環境相は今年5月、国の特殊会社「日本環境安全事業」の関連法を改定し、同社に施設運営を担わせたうえ、30年以内に県外で最終処分する旨を明記する方針を示した。
しかし、それが空約束になり、半永久的に「中間貯蔵」が続きかねないという住民たちの不安の方が、よほど現実味がある。
◆受け入れ迫る手法「原発建設時と同じ」
そもそも、「迷惑施設」をカネで住民に受け入れさせようという国の姿勢に、住民たちは既視感を覚えている。
大熊町住民の聞き取り調査をする大妻女子大の吉原直樹教授(社会学)は「原発建設時の手法と変わらない」と批判する。
あれだけの惨事であったにもかかわらず、政府は何も教訓を学んでいない。
だが、被災した立地町の住民の中には、原発の恩恵に頼り切り、国や電力の言いなりになってきた「原発さまの町」の歴史を見つめ、脱却する動きも出ている。
吉原教授はこう話す。
「町民たちは国の原発政策で自らの生活が奪われた。
再び自立するうえで『もう国に言いくるめられるわけにはいかない』と強く思う人が少なくない。
強引に原発再稼働を推し進める今の政府の姿勢も、不信感ばかりを生んでいる。
そんな中で国の意向通りに、中間貯蔵施設の問題が進むと思ったら大間違いだろう」
[デスクメモ]
原子力規制委員会の委員長は「(新基準適合でも)安全だとは申し上げません」と言う。
その委員会にげたを預けたふりをする現首相は8年前の答弁書で、全電源喪失事故の可能性を否定していたが、起きても素知らぬふりだ。
誰も責任を取らない。先の戦争と同じである。
これからの戦争でもきっと同じだ。(牧)
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