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コガン「紙の約束」

 コガン紙の約束

 何の担保もなきカラ証文(紙幣通貨)で国債を消化し、その通貨を強制流通させる。
 国家債務は通貨債務に形を変えて、歯止めなき天文学的な巨額債務となる。
 通貨は完全な無担保である。
 そんなことがいつまでも続くことはない。
 ねずみ講だと気づきながらも、投機筋がババ抜きゲーム(バブル)をしている。
 正気とは思われないことですが、現実になんとか行われています。
 通貨の信認がいつまで続くか?一般大衆が気づく時点まで?
 
 野口悠紀雄氏が詐欺師ジョン・ローに例えて現在の日米欧の国債の通貨化による金融緩和、流動性の過剰供給政策を批判しました「伝説の詐欺師ジョン・ロー、国債と通貨の増発:野口」。
 そのなかでフィリップ・コガンから引用しています。
 「フィリップ・コガンは、「紙の約束」の中で、「21世紀の量的緩和策はローと同じ理論のハイテク版だ。」と言っているが、そのとおりだ。」

 そのコガン「紙の約束」について解説記事がブルームバーグにありましたので紹介します。 返済なき債務はインフレ、停滞、デフォルトを引き起こし、通貨信用の大恐慌から新経済体制へ
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   米欧に債権者の反撃、「ねずみ講」に引っ掛かるカモがいない ジェームズ・プレスリー 3/3 ブルームバーグ

「国家は破産しない」は米シティグループの前身、シティコープの最高経営責任者(CEO)を務めた故ウォルター・リストン氏の持論だった。
同氏によれば、「国は借金より資産の方が多い」からだ。

しかし、国はどうも借金を返済しない傾向がある
シティもアルゼンチンや1980年代の他の国のデフォルト(債務不履行)で痛い目に遭っている。

米欧諸国は今、この恥ずべき歴史を繰り返そうとしている。
真っ向からのデフォルトにせよ、インフレによって債務から逃れる作戦にせよ、これは変わらない。
フィリップ・コガン氏は「Paper Promises(仮訳:紙の約束)」で、債務危機が世界経済の秩序を崩すかもしれないと論じる。

過去40年に積み上がった膨大な債務が全額返済されることは不可能で、返済されることはない」と著者は言い切る。
「ギリシャとアイルランド、ポルトガルの債務危機は始まりに過ぎない」と指摘する。

人口高齢化の中、借り入れで財政を回している欧米の「ねずみ講に引っ掛かるカモはいなくなりつつある」という。
長期的な借り換え計画にこれを織り込んで考えてみよう。

エコノミスト誌の金融コラム、ボタンウッドのコラムニストでもある著者は、金融アルマゲドンを予言するにはあまりに冷静だ。
ただ、同氏はリーマン・ブラザーズ・ホールディングス破綻並みの重大な転換点を予想する。
これは相場暴落と鉱工業生産の急減、企業破産を伴うと予言されている。

       ネアンデルタール人

債務不履行というものは、ネアンデルタール人がわれわれの遠い祖先にこん棒を返すのを忘れた大昔からある。
コガン氏が言うように、経済の歴史は借り手と貸し手の葛藤に満ちている。
これは通貨というものを交換の手段とみる借り手と価値保存の道具とみる貸し手との闘いなのだ。

この闘いの勝者は数カ月や数年ではなく、数十年を経てようやく決まるという。
筆者はこの戦場のツアーガイドとなって、ジョン・ローによるフランス初の紙幣発行という実験からバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の量的緩和まで、読者を連れて歩く。

金本位制にサー・アイザック・ニュートンが果たした役割やドイツ、ワイマール共和国のハイパーインフレ、ブレトンウッズ会議へとツアーは進む。
1971年にブレトンウッズ体制が崩れた後は、借り手が優位になった。
マネーが金から解き放たれると、借り入れは爆発的に増えた

       3つの可能性

そんなお祭りがいつまでも続くはずがない。
これが過去40年のバブルと破裂の繰り返しの理由だ。
あまりに多くの国が同時に債務を積み上げてしまった今、世界最大の債権者、中国が反撃を開始する舞台は整った

人口高齢化や医療費負担増大に直面する先進国が債務を全額返済する可能性は低い。
著者は米欧社会の選択肢を冷静に検討し、3つの可能性を提示する。
インフレ、停滞、デフォルトの3つだ

どれが現実になるかは問題でないという。
著者は「重要な点は、債務が実質的に全額返済される可能性は低いということだ」と強調する。
そうなれば2008年に匹敵する危機が訪れる。
過去が参考になるとすれば、「国際経済システムの根本的な再構築」が起こるとみられる。

通貨システムは勝者が設計する
英国から米国へ、そして次のシステムは恐らくアジアに有利なものに仕上がると著者は予想。
10年以上かかるかもしれないが、新秩序が出現するだろう
欧米のスーパーマーケットで売られている多くの商品と同様に、新秩序は『メード・イン・チャイナ』となるだろう」と著者は予言した。
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伝説の詐欺師ジョン・ロー、国債と通貨の増発:野口

15伊monte
 15世紀イタリア モンテパスキ銀行券

 国際金融資本の原型は13世紀のヴェネツィアに始まる。
 国際貿易は金を通貨とした。
 顧客から加工用の金銀を預かる金細工師はその預り証を発行し、預り証は無記名証券として流通。
 これが金担保の紙幣としての機能をもってゆく。

 何故か。金の預り証で現物金を引き下ろす要求は一度には決して来ない。それどころか金価格の低下は誰でも嫌なので分散して引き下ろすのである。
 彼らは、現実には預かっった金の10倍程度の「預り証」=「金担保通貨」を発行できることに気がついた。
 預かった「債務」の10倍を貸出すわけである。(流通通貨価値の創造=信用創造)
 この場合、10倍の信用拡大というわけである。
 これが、いわゆる銀行機能における「金準備」の始まりであり、金細工師が金融資本となる契機である。  

 こうして、通貨、金利、信用創造の三点セットがヴェネツィアから北イタリア、スイス、オランダへと国際金融資本により拡大した。
 17世紀国債金融資本のイングランド上陸からは、金担保紙幣の機能はますます強化された。
 100年間の10%複利なら、13780倍の金証券(マネー)を作ることができた。 この紙幣発行の構造を、現代の中央銀行システム(=準備銀行)が引き継いでいる
 もちろん、現代の預金準備ははるかに少なく、そもそも金ではない。準備自体が「紙幣ではない」がペーパーマネーという架空の「帳簿上の通貨」に他ならない。

 不換紙幣である現代通貨は鉱産資源の担保がない、信用それ自体である。「担保は生産力だ」とか嘘を言っても始まらない。「生産力が担保」というのは計画経済の話だ。
 担保はなにもないのだ。
 いくらでも増発できるし、帳簿上、電子上は紙幣を印刷しなくても債権債務として通貨流通量を増やせるという「特質」を持っている。「流動性」と呼ぶ所以である。
 流通価値としても極めて不安定で、危険な代物であるため、通常は厳しい国家規制がなされている。
 異常な金融緩和策は規制を反古にして、通貨を増やそうとするわけで、最初から実体経済が伸びずにインフレを引き起こす。

 担保が何もない現代通貨を所管する現代の準備銀行(中央銀行)の主たる役割は、経済成長(通貨の需要と供給バランス)と為替投機市場に細かく合わせて流通量を増減することである。
 決して、異常な通貨増発によって投機市場を刺激することでも、国家債務を通貨化することでもないのである。

 ジョン・ローは、1671年スコットランドの首都エジンバラで、富裕な金細工師の家に生まれる。
 (彼が金融の知識をもっていたことは言うまでもない。)
 金準備10%を確保しない紙幣の発行は、フランスで彼により始まる。
 債務を通貨化することで乗り切ったが、数年で破綻した。

 あとは野口氏の解説を読んでいただきたい。まあ、やりすぎてフランスは破綻し、追放された彼は伝説の詐欺師となったわけである。

 アベノミクスは国民経済への破壊工作と言わざるを得ない危険な政策である。
 野口氏は、本音で語り始めた。
 ーーーーーーーーーーーーー
   金融緩和策の大失敗 300年前からの警告   野口悠紀雄  週間ダイヤモンド7月5日号

 ジョン・ローは、17世紀から18世紀に生きたスコットランド人。財政家とか経済思想家といわれることもあるが、「いかさま師」と呼ばれることの方が多い。
 決闘で人を殺し、スコットランドを逃げ出してフランスに渡った。ルイ15世の摂政であったオルレアン公爵にうまく取り入って、財務総監になった。

 太陽王ルイ14世の乱費で、当時のフランス国家財政は破産状態だった。
 1715年にルイ14世が死去したとき、国庫債務残高は30億リーブル。財政収入1.45億リーブル、財政支出1.42億リーブルだった(Charles Mackay, Extraordinary Popular Delusions and the Madness of Crowds)。

 ローは、それを解決するアイディアを出し、オルレアン公を説得したのである。それは、次のようなものだ。
 ローが設立する銀行が銀行券を発行し、これに法貨としての地位を与える。すなわち、これで租税を払えることとする。
 現代経済での用語を使えば、中央銀行の設立を認めて、そこに金融緩和政策を行わせるということだ。

 ローはさらに、ミシシッピ会社というものをつくった。これは、フランスの植民地だったアメリカ・ミシシッピ川流域の開発を行う会社だ。
 そこには鉱脈が眠っているという触れ込みだったが、実際には何もなかった(ただし、オルレアン公への追従として、彼の名を冠した町をつくった。これが、現在のニューオルリーンズだ)。

 1717年、1億リーブルの資本金で会社が設立され、株式は国債で購入できることとされた。19年には、債務支払いのため、会社は王室に12億リーブルを貸し付けた(ニーアル・ファーガソン、『マネーの進化史』)。

 驚くのは、その規模だ。会社の資本金は国家予算とほぼ同規模だし、貸付額は国債残高の半分近い。
 当時の人々の目に、これは「異次元」と映っただろう。
 ただし、これほど大規模のことを行い得るのは、実体の変化を伴わぬ帳簿上の操作だからだ。
 つまり、規模の大きさは、政策が実体的内容を持たないことの証拠なのである。

 ともあれ、これによって、国債が会社の株式に置き換えられた。国債なら返却する必要があるが、株式に返却義務はない。
 こうして、王室は巨額の債務から解放された


 ところで、会社に事業収益があるわけではないので、資金調達は新株発行によってなされた。
 それは、株価が上がり続ければ可能だ。そして、配当はローの銀行が発行する紙幣で支払う。
 結局のところ、国債という形の国の債務が、紙幣という形の債務に置き換えられたわけだ。

 このスキームで必要とされるのは、会社の事業への期待と、紙幣が信用を持って流通することだ。
 株価は上昇したので会社株は投機の対象となった。バブルが生じ、フランスは熱狂状態に陥った。

 しかし、20年に、紙幣価値への疑問が広がり、正貨への交換要求が起きた。
 これに対して、正貨保有額制限などの強権策が発動された。民衆の不満が高まり、貴金属の海外流出が起きた。
 そして、銀行は破綻し、スキーム全体が崩壊したのである。
 通貨が増発されていたので、インフレが起きた。
 ローは宮廷から放逐され、貧困のうちに死んだ。

  成長戦略は現代版のミシシッピ会社

 なぜローを持ち出したかといえば、彼がやったことは、現代世界の量的金融緩和政策、あるいは財政ファイナンス(国債の貨幣化)とまったく同じものだからだ。
 このため、彼は、「金融緩和政策の父」と呼ばれることもある。
 フィリップ・コガンは、『紙の約束』の中で、「21世紀の量的緩和策は、ローと同じ理論のハイテク版だ」と言っているが、その通りだ(「ハイテク」かどうかは疑問だが)。
 ローの物語は、現代の金融緩和策が行き着く先を予言している。

 ローの政策と現代の量的金融緩和策は、驚くほどよく似ている。
 まず、紙幣はほとんどコストなしに増発できることに目を付け、これを増発する(ただし、日本の場合、紙幣のもととなる日本銀行当座預金は増えたが、日銀券の増発にはまだ至っていない)。
 そして「貨幣が増えれば経済は活性化する」と人々に信じ込ませる
 そして、政府の債務を紙幣に転換する

 この仕掛けがバブルを起こしたことも、そっくりだ。
 現代の日本では、国債がバブルを起こしている。
 国債は「利回り」という形で価値が表示されるので、バブルを起こしていると認識しにくい。
 しかし、さまざまな意味で価格が高過ぎる(利回りが低過ぎる)のである。これは、この連載でこれまで指摘してきたところだ。

 ローのシステムで、ミシシッピ会社の役割は大きい。これで人々の期待をつなぎ留めたのだ。

 マッケイによると、信用が崩壊しそうになったとき、ミシシッピ川流域の開発が予定通り進んでいると見せ掛けるため、ローは、浮浪者を集めてつるはしを持たせ、パリの街中を歩かせた
 アメリカでの作業に向かう労働者の役割を演じさせたのだ。

 現在の日本では、「成長戦略」が同じ役割を果たしている。金融緩和に懐疑的な人も、成長戦略で何か打ち出されることをこれまで期待してきた。

 しかし、何も実体がないことは、もう明らかだ。
 政府は先般、成長戦略の最終案をまとめた。
 その中心は法人税減税だが、法人税の税率を引き下げても効果がないことは、2012年に税率を大幅に引き下げたのに何の効果もなかったことを見れば明らかだ。

少子化対策というが、出生率が上昇すると、依存人口が増える。数十年間のレンジで見れば、経済的にはかえって苦しくなる。
 そして、「残業代をゼロにすれば成長する(脱時間給)」と言われると、首をかしげるしかない。
 ローがやった浮浪者の行進と大差がない状態になってきた。

  金融緩和は改革を阻む ローの大失敗の教訓を生かせ

 ローの物語の教訓として、次の三つを挙げよう。

第1は、国債を消滅させる簡単な方法などないことだ。
 国債貨幣化で問題は一時的に隠蔽されるが、いずれインフレとなって顕在化する
 日本は、終戦直後にこれを経験した。実質的に日銀引き受けと同じ方法が取られ、戦時国債の実質価値はインフレで消滅した。

 現在すでに、国債のかなりが日銀に保有されている。
 日銀と政府は財政的に一体だ。民間から見ると、国債という形での債権はなくなり、日銀当座預金になった。
 これは、いずれ日銀券に変わる。その分だけ政府は債務を免れ
たことになる。
 ローの場合と大差はない。

 教訓の第2は、一時的には熱狂を起こせても、金融緩和で経済実体は変えられないことだ。
 ローが振りまいたのは、「期待」だけだった。
 この点も、現代の日本と同じである。

第3の教訓は、金融緩和が改革を遅らせることだ。ローの失敗によって、フランス経済が長期的に損失を受けたと、ファーガソンは指摘する。
 金融の発展が阻害され、紙幣や株式市場の発展が何世紀も遅れた。フランス人がいまでも金にこだわるのは、このときの記憶が残っているからだ。
 フランス国家財政の危機は解決されず、ついに財政が破綻して、革命が発生した。

 同じことが、現在の日本についてもいえる。国債バブル崩壊のコストも大きいが、本当の問題は改革がなされないことである。
 ーーーーーーーーーーーーーー
※ 伝説の詐欺師ジョン・ローを追放したフランスは、通貨不安と悪性インフレ、生産力の窮乏に見まわれ、遂に産業家は労働者階級と連合して大革命となる。
 ブルジョアジーによる革命ということになっているが、暴力革命であること、革命への干渉戦争を国民軍で撃退したことなど後のロシア革命の先駆となった。 
 資本構造の遅れが政治社会の先駆を生み出した事例といって良いのだろう。
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