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もうすぐ北風が強くなる

米国が作った化け物アルカイダ

isis.jpg
 行進するISIS武装部隊

 ネオナチもアルカイダも米国が作り出した化け物。 
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   イラクでアル・カイダが住民を虐殺しながら進軍中だが、その集団は米国が作り支援している化け物   6/14  櫻井ジャーナル

 イラク北部の都市、モスルをスンニ派武装勢力のISIS(ISILやIEILとも表記される)が制圧したという。
 この勢力はシリアで政権転覆を目指して戦っていたが、シリア国民に支持されているわけでもない単なる侵略軍だったこともあり、今は敗色濃厚だ。部隊をシリアからイラクへ移動させた可能性がある。

 シリアではISISのほか、イスラム戦線やアル・ヌスラ戦線が政府軍と戦ってきた。
 イスラム戦線はサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官が昨年11月に諸団体を再編成して組織、アル・ヌスラ戦線はカタールに近く、トルコの司法当局や警察によると、ISILはトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相が秘密裏に創設したそうだが、いずれもスンニ派の武装集団で、根は一緒だ。
 サウジアラビアはアル・ヌスラやISISへの支持も表明している。

 ネオコン(アメリカの親イスラエル派)などはバラク・オバマ大統領がアメリカ軍を引き揚げたのでイラクが混乱していると主張しているようだが、その原因を作ったのはネオコンが担いでいたジョージ・W・ブッシュ政権。
 しかも、スンニ派の武装集団を組織、支援、訓練してきたのはアメリカ、サウジアラビア、イスラエルなどだ。

 アメリカでは開戦の旗振り役をニューヨーク・タイムズ紙などの有力メディアが演じ、日本でも政府やマスコミが軍事侵略を支援、平和を求める人びとを激しく攻撃していた。
 偽情報を広め、戦争へと導いた責任は重いのだが、その責任を採るつもりは全くないようだ。戦争犯罪人として裁く必要がある。

 1970年代の後半、アフガニスタンでズビグネフ・ブレジンスキー米大統領補佐官がソ連に対する秘密工作を始めた直後からこの3カ国は手を組んでいるが、これにパキスタンが加わっていた。
 シリアではトルコが協力している。

 この工作で使う戦闘部隊としてスンニ派の武装集団(多くはサラフィ主義者)をアメリカは組織、アル・カイダもその中から生まれた。
 2005年7月8日付けのガーディアン紙でロビン・クック元英外相ははオサマ・ビン・ラディンについて、アフガニスタンのソ連軍と戦わせるため、1980年代にCIAから武器を、サウジアラビアから資金を提供されたと書いている。

 広く知られた話ではあるが、欧米の閣僚経験者が口にすることは珍しい。
 また、ビン・ラディンを象徴とするアル・カイダについて、CIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイルだともしている
 本ブログでも書いたことがあるように、アル・カイダとは文字通り「データベース」だったということだ。
 アル・カイダは実態がつかめなと言われるが、それは当然。実態がないのだ
 この記事が出た1カ月ほど後、8月6日にクックは保養先のスコットランドで心臓発作に襲われて死亡している。享年59歳。

 ニューヨーカー誌の2007年3月5日号では、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュがアメリカ、イスラエル、サウジアラビアのシリア、イラン、ヒズボラに対する秘密工作について書いている。

 こうした秘密工作で中心的な役割を果たしたのがリチャード・チェイニー副大統領、ネオコンのエリオット・エイブラムズ国家安全保障問題担当次席補佐官、ザルメイ・ハリルザド、サウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン国家安全保障問題担当顧問(元アメリカ駐在大使、後に総合情報庁長官)だという。
 チェイニーとハリルザドはDPGの作成に関わった人物で、ハリルザドの父親はアフガニスタンのザヘル・シャー元国王の顧問を務めていた。

 シリアでの体制転覆プロジェクトでアル・カイダを動かしているのはバンダル総合情報庁長官であり、イスラエルをしばしば訪れているという情報が広がる。
 アル・カイダとサウジアラビアとの関係を示す膨大な文書をシリア政府が国連へ提出し、ロシアはシリアでテロ行為を支援している全ての国に制裁するように求めるとアメリカ政府からサウジアラビア政府へ警告したようで、4月15日にバンダルは「健康上の理由」でサウジアラビア総合情報庁長官の職を辞したという。

 バンダルに替わって情報機関を統轄するようになったユセフ・アル・イドリッシもイスラエルの情報機関モサドやイラクの現政権を攻撃しているスンニ派武装勢力と緊密な関係を維持しているようだ。
 両国ともバラク・オバマ政権がイランとの緊張緩和へ向けて動いていることに反発している。
 この点、ネオコンも同じだ。

 メール紙はISISの残虐な行為を記事にしているが、そうしたことを根拠にネオコンなどはアメリカ軍の再占領を求めている。
 アメリカ軍をイラクへ再び引きずり込むため、ISISを利用しているとも言えるだろう。

 歴史的な流れから予想されていたことだが、アメリカ支配層とアル・カイダの協力関係はリビアの体制転覆プロジェクトで明らかになった。
 反カダフィ軍の地上部隊で中心的な存在だったLIFG(リビア・イスラム戦闘団)は1995年に創設された武装グループで、その中にはアフガニスタンでソ連軍と戦った経験の持ち主がいる。
 2007年11月にはアル・カイダに加盟したとされている


 LIFGは設立の翌年、ムアンマル・アル・カダフィの暗殺を試みて失敗しているが、このときに資金を提供したのがイギリスの情報機関MI-6(正式にはSIS)だと主張する人もいる。
 一方、2004年にジョージ・テネットCIA長官(当時)はLIFGをアルカイダにつながる危険な存在だと上院情報委員会で証言している。

 そもそも、中東を戦乱の中へ放り込む切っ掛けになった2001年9月11日の航空機による攻撃でアル・カイダの名前は一般に知られるようになったのだが、FBIはオサマ・ビン・ラディンを事件の容疑者とは見なしていない

 その出来事の2カ月前、2001年7月にビン・ラディンが腎臓病を治療するため、アラブ首長国連邦ドバイの病院に入院、サウジアラビアやアラブ首長国連邦の著名人のほかCIAのエージェントも病院を訪れていると報道されている。
 そしてエジプトのアル・ワフド紙は2001年12月26日付け紙面でビン・ラディンの死亡を伝えている。その10日前、肺の病気が原因で死亡し、トラ・ボラで埋葬されたというのだ。

 アメリカ、イスラエル、サウジアラビア、そしてアル・カイダは同盟関係にあるという前提で中東や北アフリカの動きは見る必要がある
 ヨーロッパではアル・カイダをネオ・ナチと言い換えれば良い
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アベノミクスの「正体」: 藻谷

 藻谷

   藻谷浩介さんに聞く(上) アベノミクスの「正体」  5/11  カナロコ(神奈川新聞)

 経済の先行きに広がる漠とした不安の実像を解き明かした著書「デフレの正体」がベストセラーとなったのは2010年。
 地域振興の専門家、日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さんのもとには全国から講演依頼が舞い込む。その数、年間1200件。
 人口は減り、経済は縮みゆく。時代の混迷は深まるかに映るいま、現実に目を向けた議論をと呼び掛ける。

 -講演に引っ張りだこです。

 「目からうろこの講演、と感心されるのが、実はとても残念です。
 私が話しているのは、国の公式の統計の絶対数。インターネットに出ている数字ばかりで、スマホ一つで確かめられるのに、皆さんどうして同じ統計を確認していないのでしょう」

 -「デフレの正体」でも、具体性を欠いたスローガンに惑わされるなといさめている。

 「アベノミクス効果で消費が拡大したというのですが、昨年の小売販売額は1兆円増えて139兆円になっただけ
 一昨年は3兆円増えたのに。株価も急騰したというが、昨年の日経平均1万3600円は、バブル崩壊後の最近20年間で11番目の水準。第1次安倍政権当時の1万7200円にも見劣りします。
 他方で日本の輸出競争力が落ちたと騒いでいますが、昨年の輸出額67兆円は史上4位。リーマンショック前の3年間を除けば史上最高の水準でした」

 -経済成長の議論にズレがあると。

 「国内総生産(GDP)が増えることと、1人当たりGDPが増えることは違います
 いま経済成長をしている国も人口が増えた結果、全体が伸びているだけ。
 逆に人口が減っている状況で、全体を増やすのは難しいものです」

 -人口減はまさに日本が直面している問題です。

 「日本のGDPは過去20年間増えてはいないが、横ばい。つまり1人当たりのGDPが増えている
 1人当たりをドルベースで見れば、円高だった2012年まで、日本は先進国屈指の成長国家でした。
 人口構造の変化を考慮せず、総額で経済成長を議論するというのはナンセンスです」

   ■貿易赤字の実態

 -「デフレの正体」では、生産年齢人口(15~64歳)の減少を指摘した。

 「モノがかつてのように売れないのは購買力のある生産年齢人口、つまり現役世代が減ったからです。
 いまや人口の半数以上が働いていないこの日本でGDP総額が横ばいというのは素晴らしい成績です。
 人口成熟で世界の先頭を行く日本の現実を、生の統計数字から理解しなくてはなりません」

 -でも、昨年の貿易収支は11兆円の赤字です。

 「昨年の輸出はバブル時の1・6倍です。
 サムソンの製品もアップルの製品も、日本製のハイテク部品や高機能素材なくしては作れない。
 国際競争力喪失と騒いでいる人は、輸出の絶対額という最も基本的な数字を確認していません」

 -では、赤字の理由は。

 「単純に、円安で円換算の輸入額が膨れ上がったから。
 円安になれば輸出企業のドル建ての売り上げも円換算の際に増えて好決算になり、株価も上がる。
 そういう見かけ上の好景気を狙って円安誘導したアベノミクスが原因です」

 -株価が上がった半面、実体経済が損なわれてしまった。

 「投資家は自分の持っている株が上がればいいわけで、日本全体が赤字になっても気にしない
 安倍政権は、そうした人たちのご機嫌を取ったわけです。
 民主党政権を褒めていいのか分かりませんが、少なくとも野田政権は円高であることを我慢した。株価は低いままでも、貿易赤字を拡大しない方を選択したのです」

 -原発が止まり、化石燃料の輸入量が増えたためとの指摘もある。

 「うそで世論を誘導するのはよくない
 原発事故前の10年と原発再稼働ゼロの13年を比べて、石油プラス天然ガスの輸入量は横ばいです。
 断熱性能の高い建物や低燃費車、省エネ家電の普及によるエネルギー使用量の減少が、原発停止分を相殺しました。
 輸入量ではなく輸入額は円安で3兆円ほど膨らみましたが、これは昨年の輸入総額増加11兆円の中の3割で、原発停止による増加はさらにその中の1兆円程度
 これでは原発が再稼働しても、貿易赤字はほとんど減りません

   ■隠れた格差拡大

 -電気料金値上がりによる産業競争力低下を懸念し、原発再稼働を求める声もある。

 「企業にとっては今こそ本気の省エネ推進で電気料金値上がりを乗り切り、長続きする国際競争力を得るチャンスです。
 使用済み核燃料の積み増しは国債発行額増加と同じで、目先をしのぐために後世の負担を大きく増やす行為です」

 -見かけ上のGDPではなく、成長の中身を見なければならない。

 「悪い成長の典型が米国です。
 1人当たり医療費が日本の約3倍もかかっていて、GDPの17%が医療関係
 日本も米国の制度を取り入れれば、医療費がかさむことで経済が大きく成長しますが、それはとんでもない話です」

 「そもそも日本の1人当たりGDPはバブル期に世界最高水準となり、その後、十数カ国ほどに抜かれはしましたが、絶対額としては落ちていない
 目先の景気の上下ではなく、総額や平均値には表れない格差の拡大こそを気にすべきでしょう。
 特に雇用が不安定な若い世代に、結婚もせず、子どもも生まない人が増えていることが最大の問題です」

 -目先に捉われるべきではないと。

 「いま政治に求められているのは、日本社会の長期的な存続に向け、粛々と少子化対策に取り組むことです。50年後、現役世代の人口が半減するところまではもう止められません。
 でも出生率を向こう20年以内に1・8程度まで戻すことができれば、今の英国、フランス、イタリア程度の人口は維持でき、先進国の地位を降りることもないでしょう。
 公共投資で目先の景気を支えるよりも、来世紀の日本の屋台骨を支えるべきなのです」
 ・・・・・・・・・・
■「デフレの正体」(角川oneテーマ21)

 15歳から64歳の生産年齢人口、いわゆる現役世代の減少に注目し、日本経済の低迷を分析した。

 統計データから日本の輸出力の高さを明示。
 内需不振については「若者の車離れ」「景気変動」「インターネットの普及による出版不況」「地域間格差」などとは関係がなく、購買力のある現役世代の減少と貯蓄が消費に回らない高齢者の激増が原因と指摘している。

 経済を動かしているのは景気の波ではなく、人口の波だとし、「経済成長率」だけを指標にした考え方で経済を再生することは困難で、人口構造に合わせた対策を進める重要性を訴えた。
 具体的には、高齢富裕層から若者への所得移転、女性の就労と経営参画の促進、訪日外国人観光客と短期定住者の増加による経済の再活性化を提言する。

 もたに・こうすけ 1964年、山口県生まれ。88年に東大法学部を卒業し、日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)入行。米国コロンビア大学ビジネススクール留学、日本経済研究所出向などを経て日本総合研究所主席研究員、日本政策投資銀行特任顧問。平成の大合併前の約3200市町村のほぼすべてを訪れ、地域復興や地域経済の分野で研究・著作・講演を重ねている。
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「中国がそこにある」という現実: マハティール

 マハティール

 マハティール氏は英国植民地時代のオクスフォードへの入学推薦を拒否し、マレイシア建国の指導者となった。
 対外的な発言は、昔から非米英、日本びいきが一貫している。
 アジア通貨危機にさいしてはG・ソロスを名指しで批判。その後も世界の金融市場がユダヤ・コネクションにインサイダー操作されていることなどを公然と批判している。
 マレーシア航空機の不明事件では、米国が情報を持っており公開しない(つまり、米国が事実を把握しており、秘密にしている、という意味)ことを公然と言い切った。
 
 (「あいば達也」氏のコメントから抜粋。)
 呆れるくらい真っ当な世界観だ。オバマやアベやキャメロンに爪の垢でも煎じて飲ませたいものだ。下痢に効果満点とかたぶらかし(笑)。最後の部分で、マハティール元マレーシア首相が日本や日本人を買い被って貰っている点は、かなりくすぐったい。この部分だけ、マハティールはお世辞を言ったのだろう。過去の同氏の発言を正当化する意味合いも込められているが、それ以外の世界観は、流石だ。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
   ●目を伏せても隷米に逃げ込んでも、そこに中国がある、これが現実   6/12 「世相を斬る あいば達也」氏から抜粋。

  「中国がそこにある」という現実を受け入れなければならない   

   マレーシア・マハティール元首相インタビュー   (6/11 日経ビジネス香港支局池田 信太朗)

  FTAは自国経済を守る自由を制約するものだ

――ナジブ・ラザク首相はTPPに参加する意向を示し、マレーシアとしては交渉に参加しています。ですが、マハティール元首相としてはTPPに参加するのは「反対」とお考えと聞きました。なぜでしょうか。

マハティール:国家を開放するということには同意します。我々は1960年代から外国資本を積極的に受け入れてきました。
 ですが同時に、国家は自国の経済を守らねばなりません。FTA(自由貿易協定)とは自国を守るという自由を制限するものです。

 また、協定の中に含まれる条件には、我々にとって不利になるものがあると考えています。
 例えば、(協定に違反したとして)企業は莫大な賠償金を求めて相手国政府を訴えることができます。
 我々にとって、好意的な協定とは言えないと思います。

――まず前者のお答えから。「自国を守る」とは、具体的にどのような行動を指しますか。

マハティール:マレーシアは異なる3種の人種が融合して生活しています。中華系は経済的に豊かですが、インド系、マレー系はまだ貧しい。
 我々は、貧しい者が豊かになり、富を分配するという経済改革の過程にいます。
 ですが、諸外国に対して国家を開くとき、人種によって優遇するような政策は取れなくなります

 (※ 北風: 人種を所得階級と置き換えると、人種のように複雑な懸念を均衡させなくても良いので、はるかに有効な所得再配分が可能である。ところがそうした再配分政策が「規制」「保護政策」、もちろん「非関税障壁」とされて実行できなくなることは言うまでもない。)

 また、マレーシアの産業は小規模です。我々は、彼らを守る必要があります。
 もし我々が国家をオープンにすれば、大規模な産業を持つほかのTPP参加国との競争に勝つことはできないでしょう。 

 (※ 日本においては農林水産業、運送業、中小零細製造業など非常に広範囲の産業に零細小規模事業が多い、逆に大国アメリカは大企業による寡占化が最も進んでしまった国である。
 「国家をオープンにすれば、大規模な産業を持つほかのTPP参加国との競争に勝つことはできない」というのは、まったく日本も同様である。
 経済規模は異なるものの、日本とマレーシアは非常に多くの点で共通の性格を持っている。

――首相就任中に、公務員などの採用や課税、会社設立時の手続きなどでマレー系などを優遇する「ブミプトラ政策」をされました。現状、その格差是正はどの程度まで進捗しているのでしょうか。

マハティール:格差は多くの分野で残っています。具体的にいつ解決するかは言えませんが、積極的な是正措置により状況は少しずつ改善しています。

――もう1つ、TPPが定めようとしている貿易の条件に不利なものが含まれている、という点についても、具体的に教えてください。

マハティール:一部の条文には、 我々が自国を守れないような内容が入っています。しかも、そもそも不利か有利かを吟味するのも難しい
 TPPは29章あり、すべて法律家によって書かれています。
 オリジナルの草案を我々が書いたわけではありませんから、自国の経済がTPPによってどのような圧力を受けることになるのかをしっかりと確認しなければなりませんが、すべてを理解するのは非常に難しいというのが現実です。

   TPPは中国への対抗策

――TPPの一部の条文が「マレーシアにとって不利である」というご発言には「米国に対して有利である」という意味が含められていると考えていいですか。

マハティール:そもそもTPPの パートナー国は、経済的に等しい立場ではありません
 (たとえ各国が等しく市場を開放したとしても)強い経済を持つ国によって製造された強い製品に対して、我々(弱い国)の市場を開放することになるのです。
 しかも、豊かな国の市場にアクセスできるようになっても、マレーシアには非常に小さな生産力しかありません。得られるものが小さい

 加えてTPPは、米国によって草案が作成されています。
 何かを提案しようとする場合、提案する側が有利に立つような内容になるのは当然です。

――米国がTPPを推進するのは、アジアにおける中国の影響力拡大への対抗策だと考える向きもあるようです。これについてどう思いますか。

マハティール:TPPには中国が含まれていません。
 それはつまり、「中国に対抗する」という意味です


――周辺国がTPPに参加して、マレーシアだけが参加しない場合、域内経済のダイナミズムから取り残されてしまうという懸念はありませんか。

マハティール:TPPに含まれていない中国はマレーシアにとって、大きな貿易パートナーです。
 この政治的な意図があるとしか思えないTPPによって、よき貿易パートナーでありよき友人でもある中国を敵に回したくはありません

――仮に中国がTPPに参加するとしたらお考えは変わりますか。

 マハティール:中国がTPPに参加すれば、参加の必要性がより高まることになると思います。
 南米諸国やロシアなども含まれれば、さらに参加の必要性は高まるでしょう。
 政治でなく、貿易なのですから、そこには(地域の)すべての国が含まれなければなりません。
 中国には脅威外交に屈した屈辱の歴史がある

――東アジアにおける中国の経済的、軍事的な影響力があまりにも増大することを懸念する向きもあります。

マハティール:中国が成長することを恐れていますが、中国との貿易が増すというメリットもあります。
 中国は巨大な市場ですから、我々マレーシアにもメリットがあります。

――台頭する中国とどのように向き合っていけばよいのでしょうか。

マハティール:我々は「対立」を好みません。「競争」は好みます。我々は「中国はそこにいる」という事実を受け入れなければなりません
 中国はどこに向かって成長していくのか。そして、中国とともにどうやって生きていくのか。中国の台頭とともに、私たちは中国と生きていかなくてはならなくなったのです。

 以前、中国は貧しい国でした。だから脅威だった。けれども今は豊かになりました
 豊かになった中国は、自由な取引を受け入れ、市場を開いています。脅威ではなく友人として接することができます
 中国が巨大な軍事力を築いていると見る人もいるかもしれませんが、豊かになれば当然のことです。
 同じくGDPの1%を軍事費に回したとしても、貧しい時の1%と豊かになった後の1%ではまるで規模が違うのですから。

――米国と中国は今後、深刻な対立には向かうことになるとお考えですか。

マハティール:中国は成長しています。世界首位の経済大国になるでしょう。
 米国は、世界のトップにいることを諦めたいとは思わないはずです。
 ですが米国が中国を威嚇することがよいこととは思えません。この地域に必要なのは平和です。
 通商関係です。軍艦はいらないのです。
 かつて西洋の国々が軍艦を送りつけ、同意を強要するような「ガン・ ボート外交」を展開し、中国がそれに屈したという歴史があります。今また同様のことをしているように見えます。
 戦争が起こることはないかもしれません。
 ですが、米国から中国への圧力はこの地域に緊張を生みだします。それはビジネス環境としてよいものではありません

――ですが、中国は、日本とは尖閣諸島の、そして、フィリピン、マレーシアも南シナ海の島嶼の領有権をめぐって争っており、その中で強硬な手段をとっているように思いますが、それについてはどのようにお考えでしょうか。

マハティール:中国は、これらの島が中国のものであると主張しています。
 そして、我々は、我々のものであると主張しています。
 この争いが戦争となれば、勝利を収めたとしても莫大なコストがかかります。
 交渉するしかありません。これはマレーシアの経験でもあります。
 インドネシア、シンガポール、タイなどと領有権をめぐる問題が起きた場合、マレーシアはすべて交渉をすることで問題を解決してきました。
 これが文明人のふるまいです

――それでは交渉は粘り強く続けるとして、中国の強硬手段にはどのように対処すべきなのでしょうか。

マハティール:中国に軍艦を送れば送るほど、中国はより攻撃的になります。
 中国も戦争をしたいとは思っていないはずです。平和に暮らし、貿易をし、豊かになりたいと考える人が大半です
 そうした人たちと話し合う方法を探すべきです。

  過去を忘れなさい、先を見ることが繁栄をもたらす

――今、アジアで最も信用に足るとお考えになる国はどこですか。中国でしょうか。

マハティール:我々は、すべての国と友人です。中国、あるいは、日本とも対立したくありません
 ドイツとフランスが過去を忘れて友人となれたのに、なぜ、中国と日本はできないでしょうか。
 過去を忘れなさい。過去には、何度も戦争が起き、多くの残虐行為がありました。しかし、忘れなければならない。
 連合軍はドイツのドレスデンなどの都市を壊滅的に破壊しました。しかし、今日、ドイツはEU(欧州連合)のメンバーではありませんか。
 これによって、欧州には戦争はなくなりました。
 しかし、ここ東のアジアでは、未だに60年以上の前のことで言い合いを続けている。その戦争が、今日の我々の行動にまだ影響を及ぼしているのです。
 過去を見るのではなく、将来を見なければなりません。
 もちろん過去の記憶は、二度と過ちを繰り返すことのないように覚えておかなければならない。しかし、平和に暮らすためには先を見なければならない。それが繁栄をもたらすのです。

――ウクライナ情勢については、どのようにご覧になっていますか。

マハティール:西洋国家は「民主主義」を標榜しています。しかし民主主義とはいったい何でしょうか。
 多数決の勝者を受け入れられない場合、民主主義ではありません。
 ウクライナも、エジプ トもそうですが、選挙によって政府が生まれたのちに、それに満足できない人々がデモを組み、政府を打倒しようとする。これは民主主義ではありません。
 本来 は次の選挙まで待ち、競い、勝てばよいのです。
 しかし、米国は、国民によって選ばれた政府を打倒しようとする非民主主義なプロセスを支持している。
 選挙で選ばれた政府を打倒する人々をサポートすることは、民主主義ではありません

 民主主義を支持すると言いながら、選挙で選ばれた政府が嫌いだから政府をデモで倒そうとしている人々をサポートする。これは偽善でしかありません

――安倍政権をどう見ていますか。

マハティール:安倍晋三首相は、日本経済に対して(アベノミクスによって)非常に良い仕事をしました。しかし、中国を挑発する必要はありません。中国や韓国の怒りを分かっていながら、わざわざ靖国神社に参拝する必要はないでしょう。お互い挑発し合うべきでありません

――最後に、日本社会、もしくは日本人に対してメッセージがあればお伺いしたいと思います。

マハティール:日本は戦争を経験し、破壊から立ち直りました。日本は常に平和を求めなければなりません。
 日本が戦争を禁止しているのは、一番素晴らしいことです。
 戦争を禁じる条項を持つ国は世界中で日本だけです。
 しかし今、その条項を書き直そうとしたり、取り除こうとしている。
 我々は、緊張関係を作らない様に努力すべきです。  日本には高い技術力があります。他に負けない優位性を持っている。
 しかし、中国、韓国などとの競争に直面している今、日本は、それらを生かして、 強い経済を取り戻すためのルールや条件作りが出来ていないと思います。
 日本が得意とするハイテクを通して、地位を奪い返すべきです。他と戦うために、技術をどう活用してくのかを考えてほしいと思っています。

*マハティール・ビン・モハマド(Mahathir bin Mohamad)氏 1925年生まれ。81年から2003年までマレーシア首相を務め、日本などの経済成長に学ぼうという「ルックイースト政策」を進めた。 
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