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もうすぐ北風が強くなる

ブラジル全土でWカップに抗議

ブラジル

 貧困とインフレを放置してワールドカップなどをしている場合か?
 ますます利権が肥大化するWカップ。オリンピックはさらにはるかにひどいが。
 ブラジル国民は「サーカス」などにだまされない。

 ブラジル全土で大規模な抗議行動が開始された。
 ホームレスから労働者、労働組合、教員までもが参加。一部では警官もストライキに入った。
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   ブラジル全土でサッカーW杯抗議デモ、警官もストライキ 5/16 AFP

【5月16日 AFP】ブラジル各地の主要都市で15日、サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)の開催に反対する抗議デモや警察官を含むストライキが行われた。
 連邦警察の全国ストに拡大する可能性も危惧されており、W杯開幕まで1か月を切る中で当局の警備態勢が試練に直面している。

 ブラジル最大都市サンパウロ(Sao Paulo)では、来月12日にブラジル代表対クロアチア代表による開幕戦が行われるスタジアム「アレーナ・デ・サンパウロ(Arena de Sao Paulo)」を目指して労働者支援団体「ホームレス労働者運動(Movimento dos Trabalhadores Sem Teto、MTST)」のメンバー約5000人がデモ行進。途中では車のタイヤを燃やす光景もみられた。

 デモはおおむね平和的だったが、午後7時(日本時間16日午前7時)ごろに緊張が高まり、一部の覆面グループに対し警察が催涙弾を使用する場面もあった。
 デモ隊は複数の大通りを遮断した後、スタジアムの約300メートル手前で集会を開き、「庶民を排除したW杯」だなどと糾弾した。

 サンパウロでは、これとは別に教師や金属産業労働者、地下鉄職員らも抗議行動を展開し、運輸当局によるとサンパウロ都市圏の最大150キロ範囲で交通がまひした。

 この他、首都ブラジリア(Brasilia)、南東部のベロオリゾンテ(Belo Horizonte)やリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)、南部ポルトアレグレ(Porto Alegre)、北部マナウス(Manaus)、北東部レシフェ(Recife)など、12開催都市のうち少なくとも10都市で約50のデモがソーシャルサイトを介して呼び掛けられた。

 レシフェでは軍警察の一部もストに加わり、これに乗じた若者たちが店舗から物品を略奪するなど暴徒化した。警察は、全国のデモ参加者を約1万人と推計している。

■「サッカーより大事な問題がある」

 抗議する人々の批判の矛先は、国際サッカー連盟(FIFA)に向けられている。FIFAは自らの利益のことしか考えていないというのだ。
 デモでは「FIFAとスポンサーは完全免税」「FIFAよ、私の支払いを代わってくれ」「W杯には金を出すのに、給料には出さない」といった横断幕が踊った。

 デモに参加していたカルロス・セラーノさん(32)は「サッカーは大好きだが、それよりも大事な問題が他にある」とAFP記者に語った。
 ブラジリアのペドロ・アマリウドさん(50)は、「最初はW杯が庶民のためになると思ったが、そうではないことが分かって皆、不満を抱いている」と述べた。

 サンパウロでは、スタジアムに近い一角を1500家族が占拠。「庶民のW杯」と称し、公的資金をスタジアム建設ではなく手頃な住宅の建設に使うよう要求している。
 ブラジルはW杯開催予算として、これまでに総額110億ドル(約1兆1000億円)超をつぎ込んでいる。

 W杯反対派は、交通機関の整備や教育、住宅整備、医療制度などに予算を回すよう求めており、MTSTでは、政府がW杯開幕までの28日以内に要求に応えなければ開催期間中の抗議行動も辞さないとしている。
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   ブラジルでW杯開催反対デモ 日本初戦の地レシフェでは略奪 5/17 スポニチ

 来月12日にサッカーW杯が開幕するブラジルで15日(日本時間16日)、試合開催地の12都市を含む全国約50都市で、W杯に反対する同時多発デモが起きた。一部が暴徒化し、治安部隊が出動。
 死者が出たとの情報もある。日本代表の初戦が行われる都市レシフェでは、商店などから商品の略奪行為も相次いだ。開幕まであと26日。順調な大会運営が危ぶまれている。

 「TOURISTS DON’T COME TO THE WORLD CUP DANGER COUNTRY(旅行者よ、こんな危険な国にW杯を見に来るな)」

 最大都市サンパウロでは、午後5時ごろから約1万人がプラカードに書かれたスローガンを叫んで行進。拳を突き上げ、教育や福祉の充実を訴えた。随所で火の手が上がり、警察官の詰め所を破壊するなど一部は暴徒化。警官隊が、催涙弾や音響弾などを使って鎮圧した。

 共同電などによると、他の都市でも数百人から数千人がデモに参加。日本初戦のコートジボワール戦(日本時間6月15日)が行われる北東部レシフェでは、スーパーや商店が襲われるなど略奪が横行。現金自動預払機(ATM)も破壊された。現地メディアによると、死者が出たとの情報もある。
 同市を州都とするペルナンブコ州では、警察官が待遇改善などを求めたストライキを行っており、治安悪化に拍車を掛けた。政府は軍部隊を派遣して治安維持を図った。大会中にも各地の警官がストを行う可能性がある。

 昨年6月には、巨額の資金が必要なW杯競技場建設に反対し、全国で計100万人以上がデモに参加。インフラや教育、福祉の改善を求めた。政府は対応を約束したが改善は進まず、小規模なデモが続いている。

 ブラジルは急速な経済成長が注目される一方、地域間の経済格差など貧富の差が問題になっており、国民の不満が高まっている。社会学者のロナウド・エラウ氏は「W杯より大事なものがあることを理解している。二つのことは両立しない」と“サッカー王国”の市民感情の変化を指摘する。

 デモ主催者側は23日にも全国でW杯反対デモの実施を呼び掛けている。今後さらに参加者が増え、混乱が拡大する恐れもある。各地でスタジアム建設の深刻な遅れも指摘されており、開幕が近づくにつれ、混迷の度合いを深めている。
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   アングル:ブラジルW杯の「代償」、会場建設で加速するホームレス化  5/17  ロイター

[サンパウロ 14日 ロイター] - ブラジル・サンパウロで最も人気のあるサッカークラブ「コリンチャンス」は、来月開幕するワールドカップ(W杯)の開催によって、新たな本拠地を手に入れた。その一方で、スタジアムの近隣住民はW杯の影響で住む家を追われたと不満をあらわにしている。

約10億レアル(約460億円)をかけて建設された新スタジアム「アレーナ・コリンチャンス」は、開幕戦を含む6試合を開催。そのスタジアムから南に数キロ離れた地点にテント暮らしをするホームレスの住民がいる。

その数は10日間で10倍に増え、4000世帯がビニール製のテントで寝泊まりしている。彼らは、労働者階級が住む区域から追い出されたとして、公費で建設されたスタジアムに抗議の声を上げている。

ブラジルのルセフ大統領は先週、同スタジアムを訪れ支援を約束。ただ、それでもテント生活者の増加には歯止めがかからず、W杯の長期的な効果に疑問を呈する住民の抗議活動は収まっていない。

ホームレス労働者を支援する団体のリーダー、ギリェルミ・ボウロスさんは、「スタジアムに何十億レアルも使うなんて馬鹿げている。ここにはシートの下で暮らす家族がいるのに」と苦言を呈し、今後さらなる抗議活動が予定されていると明らかにした。

「数年前の2倍の家賃を求められた。そして今では、3カ月前倒しでの支払いを要求されている。これでは死んでしまう」。テント暮らしの年配の女性は手を震わせながら不平を口にした。

新スタジアムの建設は、長い間見放されていたサンパウロ市東部の整備につながるはずだった。2012年のロンドン五輪では、ロンドン東部が活気を取り戻した。

しかし、ブラジルW杯の開催都市は出費を惜しむことなくスタジアム整備を急いだものの、交通整備など市民に約束した公共サービスの改善は進まず、事業の中止・延期が相次いだ。

先月の世論調査では、ブラジルのW杯開催を支持すると答えた人の割合は48%に落ち込んだ。2008年には79%が支持していた。

<整備約束>

サンパウロには市西部に6万5000人収容のスタジアムがすでにあるが、当局は新スタジアムの建設を選択。その上で、新スタジアム周辺のイタケラ地区の開発を進め、新たな商業地区やカルチャーセンターなどを含む公共サービスの整備を約束した。

ただ、そうした計画は依然として約束のままだ。唯一整備されたのは、国際サッカー連盟(FIFA)のベース地として使われる専門学校のみ。

サンパウロのナディア・カンペオン副市長はインタビューで、「少なくとも2、3年で他の施設の大半が完成すると考えている」と述べている。

それでも、当初の計画は縮小されており、病院や裁判所、警察本部、消防署などの建設地も変更された。試合当日は交通渋滞に加え、乱暴な集団として知られるコリンチャンスファンの行動も懸念されている。

  <家賃高騰>

公共事業の進捗は遅れているかもしれないが、住宅市場はそうではない。

シンクタンクのFIPEによると、新スタジアム建設の影響で、新たな道路が次々に敷かれるなどしており、建設発表から1年間でイタケラ地区の住宅家賃が約2倍になった。

10年前に同地区近郊に引っ越してきたマリア・イベッチ・ドスサントス・ディアスさん(49)は、「スラム街に住む余裕もなくなった」と家賃高騰にため息を漏らす。昨年、200レアルだった家賃が350レアルに値上がりしたという。結局、娘と4人の孫らと暮らしていたディアスさんの家族もテント生活を始めた。

ディアスさんら住民は、長年にわたって空き地となっていた土地を占拠。テント生活は数百世帯から始まったが、近隣の住民が次々と流入し、丘や木の茂みにもテントが設置された。

イタケラ地区の急速な開発で、サンパウロ市全体の家賃も高騰。同市内の不動産の資産価値は2008年から3倍に膨れ上がった。

サンパウロは住宅20万戸以上が不足しているとされるが、当局者によると、イタケラ地区に建設される予定はないという。同市東部は、市の人口の3分の1が住んでいるものの、仕事は市全体の6分の1しかない。

フェルナンド・ハダジ市長は、市中心部に手ごろな家賃の住宅建設を進め、イタケラ地区などの郊外に仕事を増やそうと計画している。これは、同地区などの家賃が高騰することを意味する。

国連特別報告者で、サンパウロ大学教授のラケル・ロルニク氏は、「W杯はスポンサーや開催都市にとっては、世界にアピールするショーケースとなる。それと同時に、ブラジルが抱える社会問題に目を向けてほしいと訴える人にも絶好の機会となる」とエッセーに綴った。
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通貨戦争(70)米国と多極世界の金融大戦

 クズドル

 ウクライナ危機が露わにしてゆく、世界の多極化の加速。
 基軸通貨ドルと米国債の信認低落が始まっている。
 米国の世界支配力は弱まっている。

 ウクライナ侵略はロシアの非欧米への転換によって裏目に出たようだ。
 欧州の一部であるウクライナについては、反ソ同盟だったNATOが飾り物でしかないこともあらわになった。
 日本には解釈改憲という無法化を犯しても、二国間「集団的自衛権」という自衛隊の傭兵化を要求しているのだろう。
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   金融世界大戦の実態  5/16  田中宇

 今年3月中旬、世界各国の中央銀行が米連銀(FRB)に預けている米国債の残高が1週間で1040億ドルも減る動きがあった。
 米連銀は、基軸通貨ドルの発行者として事実上、世界の中央銀行の中の中央銀行であり、世界中の中央銀行が米国債を連銀に預けている。
 その総残高は3兆ドルを超えるが、毎週発表される総残高はここ1年ほど、週に200億ドル程度の増減しかない。

 ところが3月13日に発表された残高は、前週比1040億ドルも減っていた。
 どこの中央銀行が売った(もしくは連銀口座から別のところに米国債を移した)のか発表されていないが、この時期にウクライナ危機で米国から経済制裁を受ける可能性が急増したロシアだろうと推測されている。
 ロシアはそれまで1400億ドル近い米国債を米連銀に預託しており、その大半が引き出されたことになる。

 (※ 北風:この事件については「米国と闘うロシア、保有米国債を投げ売りした模様」を御覧ください。)

 米連銀は、08年のリーマン危機以来、部分的凍結状態が続く債券市場を下支えするため、昨秋まで毎月850億ドルずつドルを刷って米国債を買い支えるQE3(量的緩和策)をやっていたが、ドルの過剰発行による悪影響が懸念されたため、毎月の米国債買い支えの額を、昨年末から650億ドル、今年3月から550億ドル、5月から450億ドルに減らす縮小策を続けている。

 QE縮小の中で、ロシアが1千億ドル前後の大量の米国債を売却(または移動)したことは、一時的な米国債の金利高騰(価値下落)を招いても不思議でなかった。
 だが実際には、米国債の金利はほとんど動かなかった。
 連銀がQE縮小を開始した直後の昨年末には、中国が、同国として史上最大の480億ドルの米国債を売却した。だがこの時にも、米国債金利は大して変わらなかった。
 QEによる買い支えが減り続けているにもかかわらず、米国債の価値は上がっており、指標となる10年ものの利回りは、昨秋の3%近くから、今では2・5%台まで下がっている。
(※ 実際には一時的にだが下落している。)

 こうした反直感的な動きには裏があった
 米連銀は昨年末以来、EUに頼んで、EU本部があるベルギーの中央銀行の名義を借り、ベルギーにある国際債券決済所「ユーロクリア」で、毎月約300億ドル分の米国債を買い続けている。
 ベルギーの中央銀行は昨年末以来、連銀に預けている米国債の残高が1500億ドル以上増えた。
 ベルギーのGDP(4800億ドル)の3分の1にあたる巨額だ。
 ベルギーは経常収支が赤字で、通貨がユーロなので勝手な増刷も許されておらず、そんな巨額の米国債を買う金などない。
 ベルギーの米国債の保有増分は全額、米連銀による買いだと推測されている。 (The Fed Is the Great Deceiver)
(ベルギー名義による米国債の大量買い増しについては「米国債の偽装信認など」を御覧ください。)

 要するに米連銀は、昨年末来、表のQEで毎月の米国債の買い支え額を合計400億ドル減らす一方、裏で毎月ベルギーで300億ドルの米国債を買っている
 連銀は国際信用を守るため、ドルの過剰発行であるQEを縮小す姿勢をとらねばならない。しかし本当にQEを減らしたら、米国債の信用が落ちて金利高騰の悪夢になる。
 だから連銀は、表向きQEを減らしていると言いつつ、裏で他国の名義を借りて米国債を買い支えている。
 連銀は、この手の「裏QE」とも言うべき隠れた買い支えをほかにもやっているかもしれず、それらを合わせると、中露が米国債を売り放っても金利の上昇を防げる。 (What The Heck Is Going On With US Treasuries In Belgium?)

 米国は、米国債とドルの信用失墜を「裏QE」で防ぐ一方、ロシアに対する金融制裁を強めている。
 2月のウクライナ危機発生来、ロシアからの資金逃避が発生し、S&Pはロシアをジャンクの一歩手前まで格下げした。
 米欧投資家がロシア国債を買わなくなって金利が上昇し、上昇が不満なロシア政府は2月下旬から国債の入札を停止している。 (S&P Downgrades Russia to BBB-Minus, One Notch Above Junk) (Russia puts stop to debt sales as Ukraine crisis escalates)

 ロシアは石油やガス、金地金を産出する。露政府はその売却代金(輸出企業からの税金)を大きな財源にしており、国債を発行しなくても何とかやっていける。
 その点を突こうと、4月中旬、オバマ大統領がサウジアラビアを訪問し、産油余力が巨大でOPECの盟主であるサウジ王政に対し、国際市場で原油を売って相場を引き下げ、ロシアの原油収入を減らす策略に協力してくれと頼んだ。
 このやり方は、1980年代に米国がサウジに頼んでやらせ、ソ連の財政破綻と国家崩壊、冷戦終結につながった策だが、今回はうまくいかなかった。 (Obama wants Saudi Arabia to destroy Russian economy)

 サウジ王政はここ数年、米国がシリアのアサド政権を転覆したり、イランに対する制裁を強めることを望んできた。だが米国は昨年来、シリアを空爆すると言ったのにやらず、イランに対しても和解策に転じてしまい、外されて不利になったサウジ王政は、オバマに対して怒っている。
 シリアでもイランでも、米国が譲歩した分、ロシアの影響力が増しており、今後アサドやイランとの関係修復が必要なサウジは、ロシアと敵対したくない。オバマから対露制裁への協力を頼まれても、サウジ王室は受け入れなかった。 (Saudi Arabia: The US President's Futile Trip)

 このようにウクライナ危機による米露対立は、軍の動きよりも、米露双方の金利や財政状況、原油相場などの金融戦争の面が重要だ。
 同様に、金相場の動きも米露対立の重要な側面だ。金地金は、世界的な富の備蓄機能としてドルや米国債の対極にある。
 ドルの信用が下落するほど金の価値が上がるが、米英の金融界や米連銀は、先物市場を使って金相場を不正に操作して引き下げ、ドルから金への富の移動を防ぎ、ドルを延命させてきた。しかし最近、この不正が国際的に問題になり、いずれ不正操作がなくなって金相場が高騰する可能性がある。

(※ 金価格の推移と操作については、「金(gold)のバブルは崩壊し始めた」、「通貨戦争(69)金価格の不正操作」を御覧ください。金価格は2011年のピークから3年経って40%ほどに下がっている。)

 これは、金地金の大産出国であるロシアにとって、金の産出収入の増加と、ドル崩壊による米国の覇権喪失という2つの面で有利だ。 (Russian Sanctions Could See Gold Prices `Explode')

 金相場の不正が行われている市場の一つはロンドン市場で、そこでは米欧の大手銀行4行が毎朝、その日の金価格の値決め作業(London Gold fix)を行って金の価格を決定しており、この作業の中で4行が価格を引き下げてきた疑いが持たれている。
 金と同じやり方の値決め作業(London Silver fix)で毎日の相場を決めている銀の相場でも、相場の不正操作が行われていると指摘されてきたが、銀の値決め作業のシステムは今年8月に廃止されることが最近発表された。

 ロンドンの金の値決めシステムは4行の銀行が参加しているが、銀の値決めシステムは参加銀行が減って2行しか残っておらず、値決め制度としての問題が金よりも大きいため、金より先に銀の値決め制度が廃止されることになったようだ。
 銀だけでなく、いずれ金の値決めシステムも廃止される可能性がある。
 ロンドンの値決めシステムが失われても、ニューヨークの先物相場があるので、引き続き不正操作の場が残っているが、先物相場は不正操作の効果がロンドンの「現物」市場よりも低い。
 金銀相場の不正操作が行われなくなると、ロシアは米英との金融戦争に勝てる可能性が増す。

 ロシアにとって、米英との金融戦争における最大の味方は中国だ。
 ロシアは、米欧から制裁されて資金を絶たれても、中国から投資を受けられる。プーチン大統領が近く中国を訪問し、ロシアが中国に石油ガスの輸出を増やし、中国がロシアへの資金の投資を増やすかたちでの関係強化が行われる。
 こうした中露の関係は、企業の儲けのためというより、国家間の長期の相互利益のために行われる政治的な色彩が強い。

 中国からの投資がある限り、ロシアは米欧の制裁を恐れる必要がないし、中国に石油ガスを売れる限り、ロシアはEUに対し、制裁するなら石油ガスを売らないぞと脅せる。
 中国は、ロシアほど米欧から敵視されていないが、米国が日本やフィリピンなどをけしかけて中国包囲網を作っていることに脅威を感じ、米国が発するドルや債券バブルの不健全性も懸念している。
 中国が直接に米国と対峙すると、経済制裁など不利益を受けかねないが、ロシアが中国の代わりに米国と対峙し、中国がロシアを資金面などで支援するかたちなら、中国自身の不利益が少ないまま米国の覇権を崩せる。
 ウクライナ危機は、このような中国のロシアを使った「金融代理戦争」を急進させている。

 中国は世界最大の米国債保有国であり、最終的には、中国が米国債を買わなくなったり売り放ったりして、米国債の買い手が(米連銀自身以外に)いなくなり、米国債とドルの米国覇権が崩れていきそうだ。
 米国の覇権が崩れると、日本や東南アジア諸国など対米従属の国々も無力になって中国に敵対しなくなり、アジアにおける中国の地域覇権が確定する。
 米国が中国包囲網政策をやらず、中国と協調を続けていたら、米国の覇権が崩れることもなく、日本も対米従属を続けられたのに、米国は不必要に中国を敵方に追いやり、ロシアとの結束を強めさせ、米国自身の覇権を崩す道を歩んでいる。

 国際社会において、中国は今後さらに優勢になるだろう。
 中国が「金融代理戦争」の駒として使えるのはロシアだけでない。中東では、大産油国だが米欧から制裁されてきたイランが、中国の代理勢力だ。
 イランは、いずれ核問題が和解して国際社会に本格復帰すると、国際社会において米欧覇権を崩して多極化を目指す動きを強めるだろう。ロシアとイランは似た境遇にある。
 エチオピアやナイジェリアなどのアフリカ諸国も、中国の代理勢力になりつつある。

 ウクライナ危機発生後、ロシアと中国が結束し、BRICSや途上諸国を巻き込んでドルや米国債の面から米国の覇権を崩そうとする「金融世界大戦」が始まっている。
 「大戦」とは、世界的な覇権をめぐる世界規模の戦争のことだ(二度の大戦は、英国が持っていた覇権を日独などが剥奪しようとした戦争。英国は、米国に覇権を渡す見返りに参戦させて戦勝した)。
(※ 米国とロシア、BRICS、米国と欧州の矛盾について「非合法政権は住民を排除できず、謀略戦に注意」を御覧ください。)

 今回の大戦は、BRICSなどが中露主導で、米国から覇権を奪い、自分らで多極型の覇権体制の新世界秩序を作ろうとする動きだ。
 兵器を使った従来型の軍事戦争でなく、ドルの覇権を守るか崩すかといった金融戦争が中心となっている。今起きているのは「金融世界大戦」だ。こんご従来型の軍事戦争としての世界大戦が起きる可能性もゼロではないが低い。発火点のウクライナでさえ、戦闘は限定的にしか起きていない。
(※ 「ロシアの非欧米転換は世界の多極化を牽引する:ルキヤノフ」)
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※ そもそも最初にBRICSなる概念を作りだしたのが、国際金融寡頭勢力の優等生「ゴールドマンサックス」でした。
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米国債の偽装信認など

 日本は「異次元金融緩和」とやらが開始されてから、米国債を859億ドル(12兆円)買い増している。
 むろん、国民のカネを使った米国支援だ。
 ベルギーがその日本の二倍の米国債を買い増しているが、これはあり得ない話で、米国の偽装だろう。
 ドルと米国債は着実に信認を減らしている。
 また、米国は各国から預かっているはずの準備金塊をすでに失っていることも徐々に誰もが知るところとなってきている。
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   米財務省証券の保有額をロシアが大きく減らす一方、大幅に買い増したベルギーは名義だけの疑い  5/16 櫻井ジャーナル

 アメリカ財務省証券の保有状況に変化が見られ、話題になっている。今年3月の保有額を昨年3月の金額を比較すると:

中国(本土)1兆2721億ドル(+18億ドル)、日本 1兆2002億ドル(+859億ドル)、ベルギー3814億ドル(+1930億ドル)、ロシア1004億ドル(–526億ドル)

 ドル離れを進めているロシアが大幅に減らす一方、日本はそれを上回る額を買い増していることがわかる。その日本を遙かに上回る額をベルギーが買っている。ロシアは2月から3月の1カ月だけで258億ドル減らした。

 日本では安倍晋三政権が「量的・質的金融緩和」を推進、そのひとつの結果だろうが、ベルギーはどこから資金を捻出したのかが議論されている。第3国が証券保険機関を通じて買い、ベルギーは名義だけだとも言われている。
 実際の買い手はアメリカの連邦準備銀行ではないかと疑う人もいる。

 また、今年5月になり、ロンドンで行われている銀の値決めが停止されるという話が流れた。4月末にドイツ銀行が値決めへの参加を取りやめる方針を示し、5月14日にロンドン・シルバー・マーケット・フィキシングは、8月14日に値決めを停止することを明らかにしたのである。
 それまでの3カ月間はドイツ銀行、イギリスのHSBCホールディングス(香港上海銀行の後身)、カナダのノバスコシア銀行がイギリスのFCA(金融行動監視機構)と連携して業務は続けるという。

 ドイツは金の保有でも動きを見せている。
 他の国と同じようにドイツも保有する金塊をアメリカのニューヨーク連銀やケンタッキー州フォート・ノックスにある財務省管理の保管所に預けていたが、自国へ引き揚げようとしているのだ。

 ドイツが預けている金塊は1500トン。
 それを引き揚げようとしたところ、連銀は拒否する。交渉の結果、そのうち300トンを2020年までにドイツへ引き揚げることにしたのだという。フランスからの金塊を含めると674トン。これを8年間で引き揚げるわけで、1年あたり84トン強ということになる。

 ところが、その最初の年、2013年にアメリカは5トンしか返還しなかった。フランスは32トンを返している。
 そこで、アメリカに預けていた金塊は消えたという疑いが強まったのである。

 「国境なき巨大資本」がネオ・ナチを使ってクーデターを起こしたウクライナでも金塊が運び出されている
 3月7日の午前2時、ポリスポリ空港に4輌のトラックと2輌の貨物用のミニバスが現れ、そこから40個以上の箱をマークのない航空機へ運び込まれたというのだ。アメリカへ持ち去られたのだろうが、それからどうなったのかは不明である。

 以前から金や銀の取り引きを含む投機市場で相場操縦が行われているとは言われていたのだが、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作が発覚してから表でも語られるようになり、規制当局は金と銀の値決めについても調査を進めていた。
 その調査で何らかの大きな問題が出てきた可能性がある。そうした中、JPモルガンは商品現物取引から撤退し、モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスは商品部門の売却や縮小を検討しているという。

 相場操縦では、NSAの内部告発者、エドワード・スノーデンが働いていたブーズ・アレン・ハミルトンが関わっているとも噂されていたが、NSAが相場を動かしてきたとも言われている。
 基軸通貨(ドル)を印刷し、相場を動かすことでアメリカは支配システムを維持してきたというわけだ。

 そうしたカラクリを多くの人が知るようになると、アメリカを中心とした経済システムへの信頼度が大きく低下し、支配体制も崩壊する可能性がある。
 そうなる前に軍事力でロシアや中国など従わない国々を制圧するつもりで、日本にも「集団的自衛権」を要求しているのかもしれないが、今のところ、思惑通りには進んでいないようだ。
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