財政ファイナンスと金融抑圧、遂に作文で誤魔化す消費税10%
2014-05-02
日銀政策決定会合と展望レポート 5/1 闇株新聞
日銀は本日(4月30日)の政策決定会合で、現状の金融政策の維持を全員一致で決めました。
日銀の発表文では当面の金融政策運営については従来通り「マネタリーベースが年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」としています。
現在の「異次元」量的緩和は昨年4月4日に導入されたものですが、季節要因を省くために昨年4月20日から直近の本年4月20日までの1年間を検証してみましょう。
マネタリーベースとは銀行券発行残高プラス日銀当座預金残高プラス貨幣残高ですが、日銀の負債ではない貨幣残高は増減がないとします。
銀行券発行残高は82.9兆円から85.7兆円まで2.8兆円の増加、日銀当座預金残高は67.7兆円から132.5兆円まで64.8兆円の増加、つまりマネタリーベースはこの1年間で確かに67.6兆円増加しており目標通りですが、そのうち経済活動に関係のある銀行券発行残高は2.8兆円(増加分の4.1%)しか増えていません。
ここからも日銀の「異次元」量的緩和の真の目的は、市中に資金を供給するためではなく、財政赤字ファイナンスの役割を日銀に負わせるためであることがわかります。
黒田総裁は旧大蔵官僚だったことを忘れないでください。
その日銀の保有国債(短期国債を含む)はこの1年間で134.6兆円から203.1兆円まで68.5兆円も増えており、年間50兆円を目途に保有残高を増加させるという当初の目標を「はるかに上回る増加」となっています。
これはその間に日銀本来の金融調節である銀行への貸出残高が26.6兆円から24.8兆円まで1.8兆円減少しており、その中には「貸出支援基金」として12.6兆円の貸出増加が含まれているので、日銀本来の銀行への貸出が大幅(※12.6兆増加しても1.8兆円減ったわけですから、本来14.4兆円貸出が減っていた。)に減少していることになり、それを補うために保有国債(短期国債を含む)の残高を積み上げたからです。
つまり日銀は保有国債の増額という意味ではとっくに「追加量的緩和」を行っていたことになります。
もっと重要なことは、ほぼ期間が一致する2013年度の国債純増額は49兆円程度と推測されるため(2013年度末の残高が5月10日頃に発表されるので正確にわかります)、日銀は何とこの1年間の国債純増額の1.4倍も「吸い上げていた」ことになります。
これがこの1年間の金融市場調節で、それが当面継続されることになったのですが、これで経済が本当に回復するかどうかは考え直してみなければなりません。
繰り返しですが財政赤字ファイナンスと国債利回りを低下させて財政負担(国債利払い)を軽減することが真の目的なのです。
本日はこれに加えて、2016年度までの「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」が発表されました。
それによりますと、「見通し期間の中盤頃(つまり2015年度半ば頃)には2%の物価上昇目標を達成できる」としており、2015年度の消費者物価上昇率(生鮮食品と消費増税分を除く)の見通しを1.9%に据え置き、新たに2016年度の見通しを2.1%としました。
つまり物価は2%の目標に向かって「大変順調に上昇する」となっていますが、実際には円安による「悪い物価上昇」と便乗値上げによる「とんでもない物価上昇」と負担しなければならないことは間違いない「消費増税分」を入れると、間もなく3~4%の物価上昇となってしまい、経済活動の活発化や賃金の引き上げに結びつく「良い物価上昇」がほとんど期待できないことを心配すべきところであり、大変な違和感があります。
それよりも驚くべきことは実質経済見通しを、輸出の回復の遅れを理由に2013年度を2.2%(1月時点の2.7%から下方修正)、2014年度を1.1%(1月時点の1.4%から下方修正)としておきながら、「来年10月の消費増税の影響を考慮しても(いつの間にか10%への再増税は既成事実化しています)成長基調は維持される」として2015年度を1.5%に据え置き、新たに2016年度を1.3%としているところです。
つまり来年10月の消費税を10%に引き上げたあとの2015年度と2016年度の実質経済見通しは「全くの作文」で、すでに始まっている2014年度の実質成長率を1.1%まで下方修正したところが「日銀の本音」でしょう。
つまり今回の展望レポートは、物価上昇目標はまもなく簡単に達成できて、すぐに(消費増税分を入れて)上昇しすぎることを心配しなければならなくなり、一方で経済成長はどんどん下方修正が必要となるものの、消費税の10%への再引き上げはもう既成事実であると「大変正直に物語っている」のです。
日銀は本日(4月30日)の政策決定会合で、現状の金融政策の維持を全員一致で決めました。
日銀の発表文では当面の金融政策運営については従来通り「マネタリーベースが年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」としています。
現在の「異次元」量的緩和は昨年4月4日に導入されたものですが、季節要因を省くために昨年4月20日から直近の本年4月20日までの1年間を検証してみましょう。
マネタリーベースとは銀行券発行残高プラス日銀当座預金残高プラス貨幣残高ですが、日銀の負債ではない貨幣残高は増減がないとします。
銀行券発行残高は82.9兆円から85.7兆円まで2.8兆円の増加、日銀当座預金残高は67.7兆円から132.5兆円まで64.8兆円の増加、つまりマネタリーベースはこの1年間で確かに67.6兆円増加しており目標通りですが、そのうち経済活動に関係のある銀行券発行残高は2.8兆円(増加分の4.1%)しか増えていません。
ここからも日銀の「異次元」量的緩和の真の目的は、市中に資金を供給するためではなく、財政赤字ファイナンスの役割を日銀に負わせるためであることがわかります。
黒田総裁は旧大蔵官僚だったことを忘れないでください。
その日銀の保有国債(短期国債を含む)はこの1年間で134.6兆円から203.1兆円まで68.5兆円も増えており、年間50兆円を目途に保有残高を増加させるという当初の目標を「はるかに上回る増加」となっています。
これはその間に日銀本来の金融調節である銀行への貸出残高が26.6兆円から24.8兆円まで1.8兆円減少しており、その中には「貸出支援基金」として12.6兆円の貸出増加が含まれているので、日銀本来の銀行への貸出が大幅(※12.6兆増加しても1.8兆円減ったわけですから、本来14.4兆円貸出が減っていた。)に減少していることになり、それを補うために保有国債(短期国債を含む)の残高を積み上げたからです。
つまり日銀は保有国債の増額という意味ではとっくに「追加量的緩和」を行っていたことになります。
もっと重要なことは、ほぼ期間が一致する2013年度の国債純増額は49兆円程度と推測されるため(2013年度末の残高が5月10日頃に発表されるので正確にわかります)、日銀は何とこの1年間の国債純増額の1.4倍も「吸い上げていた」ことになります。
これがこの1年間の金融市場調節で、それが当面継続されることになったのですが、これで経済が本当に回復するかどうかは考え直してみなければなりません。
繰り返しですが財政赤字ファイナンスと国債利回りを低下させて財政負担(国債利払い)を軽減することが真の目的なのです。
本日はこれに加えて、2016年度までの「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」が発表されました。
それによりますと、「見通し期間の中盤頃(つまり2015年度半ば頃)には2%の物価上昇目標を達成できる」としており、2015年度の消費者物価上昇率(生鮮食品と消費増税分を除く)の見通しを1.9%に据え置き、新たに2016年度の見通しを2.1%としました。
つまり物価は2%の目標に向かって「大変順調に上昇する」となっていますが、実際には円安による「悪い物価上昇」と便乗値上げによる「とんでもない物価上昇」と負担しなければならないことは間違いない「消費増税分」を入れると、間もなく3~4%の物価上昇となってしまい、経済活動の活発化や賃金の引き上げに結びつく「良い物価上昇」がほとんど期待できないことを心配すべきところであり、大変な違和感があります。
それよりも驚くべきことは実質経済見通しを、輸出の回復の遅れを理由に2013年度を2.2%(1月時点の2.7%から下方修正)、2014年度を1.1%(1月時点の1.4%から下方修正)としておきながら、「来年10月の消費増税の影響を考慮しても(いつの間にか10%への再増税は既成事実化しています)成長基調は維持される」として2015年度を1.5%に据え置き、新たに2016年度を1.3%としているところです。
つまり来年10月の消費税を10%に引き上げたあとの2015年度と2016年度の実質経済見通しは「全くの作文」で、すでに始まっている2014年度の実質成長率を1.1%まで下方修正したところが「日銀の本音」でしょう。
つまり今回の展望レポートは、物価上昇目標はまもなく簡単に達成できて、すぐに(消費増税分を入れて)上昇しすぎることを心配しなければならなくなり、一方で経済成長はどんどん下方修正が必要となるものの、消費税の10%への再引き上げはもう既成事実であると「大変正直に物語っている」のです。
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原発54基、食料自給39%で戦争政治に狂う者たち:長周新聞
2014-05-02

原発、食糧自給もそうだが、過密な流通網と輸出入、大都市への機能と人口集中など、現代社会はいたずらに好戦的な言葉を口走り対立を煽って良い状態ではない。
日本列島の特殊事情などではない。
「実際には戦争等あり得ないし、決して起こせない、起こさせない」が世界の現実的な常識となっている。
戦争犯罪を否定し、尖閣についても棚上げの歴史経過をことさら否定して対立を作り出す者たち。
積極平和主義やら集団自衛権やら戦争ごっこの言葉を弄ぶことで、米国に経済的な、中国に政治的なそれぞれの利益をもたらし、国を危険にさらす狂った政権である。
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戦争などできぬ日本列島の実情
原発54基抱え食料自給39%
米国の盾になる無謀さ 4/24 長周新聞
中国や韓国、北朝鮮など近隣諸国との緊張を激化させながら、特定秘密保護法を強行し、集団的自衛権の行使を叫び安倍政府が「戦争ができる国にする」といって暴走をくり広げている。
米軍の身代わりになって地球の裏側まで「積極的平和主義」で出撃するといい、いまや「米軍の敵は日本の敵」といった調子でみずから鉄砲玉に名乗りを上げている。
為政者が時代錯誤の進軍ラッパを吹き鳴らし、その周囲では排外主義を特徴とした右傾化の流れも顕在化しているが、それにしても現在の日本の国土・国状で戦争ができるのか? という問題について考えないわけにはいかない。
東日本大震災で日本社会の脆弱さは浮き彫りになったばかりである。
メルトダウンした福島第一原発だけ見ても手に負えず、被災地は3年たったいまでも復興のメドすらたたない。
統治能力のない政治家や“戦争を知らない子どもたち”が戦争熱にかられる一方で、この連中のおかげで戦火に投げ込まれたのでは、多くの国民にとってたまらない関係を浮き彫りにしている。
国土を廃虚に導く売国政治
戦争といったとき、戦争体験者から一番にあげられるのが食料の問題だ。
軍隊が戦争をするにしても、近隣の国国と関係を断てば、これまで輸入されていた食料が入らなくなるという事態が当然起こる。
戦時中、志願して海軍に入隊した87歳の男性は、「戦争というのは武器のよしあしだけで勝敗が決まるものではない。国土、人口、食料、エネルギーなど、国と国との総合力の勝負になる」と強調する。
かつての戦争で大陸へと侵略した日本は、広大な中国で民衆の抵抗にあって行き詰まり、戦線を拡大するなかで、あっという間に食料補給もできなくなった。
孤立した侵略軍隊の弱さを突きつけられることとなった。
腹が減って戦争どころでない状況はその後の太平洋戦争でも同じで、南方の戦線では多くの兵士が餓死や病気で死んでいき、国内でも男手が兵隊にとられたために食料生産も工業生産も残った女子どもの肩にかかり、縮小していった。
下関市内に住んでいる高齢の漁業男性は「戦争が始まるころ、うちの浜だけでも150人くらい漁師がいて、魚も豊富にとれていた。戦後も100人はいたが、今はわずか20人程度になってしまった。そのうち実際に漁師をしているのは5、6人くらいだ。沿岸開発などで地形が変わったり、さまざまな要因がからみあって魚もとれなくなっている。今近隣の国とケンカして戦争でもしようものなら、国内の食料をまかなうだけの体力はない。下関だけを見ても百姓も漁師も減っているのに、戦時中以上の食べ物をつくれるわけがない」と話す。
体験者は「戦時中は食べる物がなかった」と口口に語る。毎日の食事は、サツマイモやコメがわずかに入ったおかゆばかりで、子どもたちはいつもお腹をすかせていた。
だが戦前はそれでも農業者は約550万戸・1400万人という規模が長らく維持されていた。現在、機械化や大規模化が進んだといっても農家は約260万人まで減少しており、食料自給率になると39%まで落ち込んでいる。
穀物自給率は30%を切った。直接食べるものだけでなく、畜産の飼料に使われるトウモロコシや大豆などは9割を輸入に頼り、魚介類も養殖用飼料の原料にいたるまで輸入物に依存している。
それらを勘案すると自給率は39%よりもまだ低いのが実態だ。
毎年約5500万㌧もの食料を輸入しつつ、その3割に上る量が廃棄処分されて輸入依存の食卓が成り立っている。
一見食料があふれているように見えるものの、ひとたび事が起きれば日本は飢餓の国になっておかしくない。
4割に満たない食料自給率で国民のおよそ6割(7000万人)が飢え死にしなければならない土壌が横たわっている。
産地から離れた首都圏など都会ほど脆弱で、東日本大震災でも買い占めが起きれば短期日でスーパーやコンビニの棚は空っぽになることが証明された。
産地―製造―流通―販売の過程に変動をきたせば、たちまち食料事情は麻痺することも明らかになった。
「毒餃子」騒ぎがあった中国との関係だけ見ても、食品メーカーが進出して早くから国内販売用に工場生産してきたし、野菜なども中国産への依存度は高い。食卓に並ぶノリも中国現地生産が増え、フグなど魚介類の養殖も相当に依存している。
みな商社がかかわって作り上げてきた仕組みだ。
敵対的な関係が強まり、仮に戦争にでもなれば、これまで海外投資してきたそれら工場等の設備や現物資産は没収されることが避けられない。
13億人の中国市場を狙ってきた製造系の大企業も同じで、工場群を手放すだけでなく、みずから販売先としての巨大市場を投げ出すことにもなる。
天然ガスや穀物を依存しているロシアとの関係、エネルギーを依存している中東との関係など世界各国を相手に米軍の下請になって出撃した場合、どのような影響が跳ね返ってくるのか、親日的といわれた国国との関係まで清算して、いったい何が国益になるのか考えないわけにいかない。
原発は福島で手一杯 ミサイルなくとも爆発
福島原発事故は3年たった今も大量の汚染水をはじめ解決のめどはたたず、いまだに福島だけでも14万人が避難生活を送っている。
事故によって明らかになったのは、原子炉容器は頑丈であっても、そこにつながっている配管や電源系統が破壊されればメルトダウンまでいたること、さらに各原発には数千本もの使用済み核燃料が保管されていることだった。
福島第一原発は廃炉までに30~40年かかるといわれ、1日に約4000人の作業員が作業に従事している。
原子炉建屋の爆発など被曝線量が高かった初期に携わったベテラン作業員が、年間被曝限度である50㍉シーベルトをこえて次次に現場を離脱していったのをはじめ、全国の原発で再稼働のための工事が一斉に始まり、関連会社の作業員がひき抜かれていくため現場は素人集団ばかりになってミスや事故が頻発するようになっている。
安全神話で人人を欺いてきたが、いざ事故が起きれば「直ちに影響はない…」をくり返すばかりで、手がつけられない科学技術だったことが暴露された。
原発はミサイルで狙われなくても、電源喪失で爆発事故までつながることを福島事故は示した。
米軍のアジア最前線基地に名乗りを上げて標的になるなら、これが狙われてもおかしくない。
米国本国に向けて飛んでいくミサイルを日本領土から撃ち落とすというなら、なおさら日本列島は標的にされうる。
国内に54基あるうちの1、2基で福島と同じような状態が作り出されれば、作業員の確保どころではない混乱になる。
自給率は僅かなのに食料まで汚染され、さらに「男手は戦地にいって足りないので、原発事故処理は女子どもで」というのも、いかにバカげた世界かいうまでもない。
狭い国土に54基もの原発を抱え、大量の核廃棄物を埋蔵している日本列島を舞台にして、戦争などとてもできないことを示している。
原爆を投げつけなくても電源喪失で原爆の何千倍、何万倍という大惨事を生み出しかねない代物を全国に点在させており、この状況下でミサイル戦争の前面に立つなど、アメリカ大陸から日本列島をながめているか、海外に逃亡・避難先を確保している者以外には考えつかないことだといえる。
原発だけではなく、数年前に爆発・火災事故を起こした三井化学大竹工場では、住宅地からわずか50㍍ほどの敷地内に、劣化ウランを含んだドラム缶3370本分も保有していたことが明らかになった。
国内の大手製造業の敷地内や米軍基地にはどこにどんな物が保管されているかもわからない。
三井化学は下関工場でも爆発事故を起こしたが、ミサイルで攻撃されなくても最近は各地の工場が次次に爆発事故を起こしている。
危険物をとり扱っているコンビナート群が全国にあり、さらにLPGといった天然ガスの貯蔵施設も爆発事故が起きれば大惨事になりうる危険性をはらんでいる。
戦争できるような国土でないことは、だれの目にも明らかとなっている。
攻めることばかり願望して、攻められることを何ら想定していないか、脳天気かいずれかで、終戦間際にくり広げられた米軍による全国空襲の二の舞が起きたなら、当時どころではない焦土となることは疑いない。
東京一極集中の弊害 麻痺する道路や流通網
東京一極集中が進み、政治、経済、統治機構などあらゆるものの心臓部がみな東京に集積している。
流通システムや金融、通信、交通も含めて、東京に本社機能やシステムが集中しているため、首都圏が麻痺しただけでも影響は計り知れない。
東日本大震災でも、地震被害は東北地方よりも小さかったはずなのに、大混乱に陥ったのが都心部だった。
すべての鉄道網がストップして東京都で約352万人、神奈川県で約67万人、千葉県で約52万人、埼玉県で約33万人、茨城県で約10万人と、合計約515万人が帰宅困難者になった。
渋滞が起こって救急車や消防車の到着が遅れたり、食料や水を求めた人人がスーパーやコンビニに殺到して、あっという間に食料不足が生じる事態に直面した。
地方がなければ食べ物も水も届かない都心部の弱さと、そこにすべてが集中しているリスクの高さが浮き彫りになっている。
道路交通網といっても笹子トンネルが崩落しただけで大混乱が生じることとなったが、高速道路も一箇所が通行できない状態に陥れば、たちまち流通機能が麻痺したり、人、モノの流れに影響を及ぼすことは既に経験している。
鉄道、新幹線、橋なども同じで、仮に攻撃を受ければ、その瞬間から食料その他の移送が滞り、分業体制によって成り立っている工業生産もサプライチェーンが崩壊する。
電力送電網や水道、ガスといったライフラインが支障をきたせば、その生活力の違いから見ても六九年前以上に国民生活にもたらす影響は大きい。
非常時に国民を動かしていくのが地方自治体なのだといって、この何年間かは国民保護法にもとづいてミサイル攻撃などに備えたマニュアルを作成してきた。
だが、市町村合併で広域になったうえに職員が減らされ、通常業務をまかなうので手一杯。非常事態が起こっても狼狽するしかない。
市によっては総合支所に数人しか職員がいないところも多いうえ、旧市から地名のわからない職員が異動してきたりで、集中豪雨でさえも対応できない。
さらに合併で切り捨てられた中山間地では地場の土木業者も淘汰され、災害ですら夜中にかけつけて土嚢を積み上げてくれる人手がいなくなっている実情がある。
社会的には医師も看護師も、医療機関も不足しているもとで、とても戦争どころではない。
平時の病人を診るだけでも大変で、「フィリピン人看護婦を育てよ!」と国が旗を振っている。
また、少子高齢化も深刻でどの街も高齢者ばかりである。数少ない若者を肉弾に駆り立てて、銃後の守りは年寄りばかりという状況も起こりうる。
戦後69年を経て、日本社会はその生活環境も含めて、焦土のなかから人人が立ち上がり、築き上げてきた努力のうえで高度な発達を遂げてきた。
六九年前と同じ調子で戦争をしようにも、いまや戦争などできる環境ではないことは歴然としている。
米国にそそのかされて近隣諸国と武力衝突するしかないような喧嘩腰外交をやったり、世界のなかで浮き上がっていくことがいかに愚かな道であるか示している。
日本列島を火の海にしても痛みをともなわないのが米国で、まさに米国本土防衛の盾として前面に立たせ、財政難で米軍が縮小を余儀なくされている折に集団的自衛権を行使させて自衛隊を駆り出そうとしている。
米国の国益のために日本列島を差し出し、廃墟にさせかねない売国政治との全国的斗争が迫られている。
安倍政府のもとであらわれている戦争政治というのが、いかに無謀で無責任極まりないものかを示している。
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