小出:何も解決しないまま3年経っている
2014-03-15

「なんにも解決しないまま3年が経った」「さっさと頭を切り替えるべき時だ」小出裕章氏3/13東京FMタイムライン 書き起こし「kiikochan.blog」氏から
●3年が経ったことで見えてくる放射能汚染
伊藤 洋一
福島第一原発事故後、毎週番組に出演していただいた京都大学原子炉実験所・小出裕章助教。
小出助教は、かつてチェルノブイリ事故後、数年経って様々なデータが出た後に、
人々が放射能にどう立ち向かうか、放射能汚染にさらされた食糧や健康被害について、
科学的に数字を上げながら検証していました。
そして福島原発事故も本当のことが分かるのは、事故直後ではなく3年後、5年後、10年後なのかもしれません
チェルノブイリでは、事故の3年後、野菜、牛乳、母乳、玄米など、
食糧汚染や健康被害はどうなっていたのか?
その前例のデータを私たちはどう受け止め、どう生きていくか?
放射能汚染の中で生きるとはどういうことなのか、考えます。
ーーー
チェルノブイリの全例も含めまして事故から3年という月日が流れた原発について
私たちはどう受け止めてどう行けばいいのでしょうか。
福島原発事故の後、毎週番組にご出演下さいました京都大学原子炉実験所小出裕章助教にお電話でお話を伺います。
振り返ってみて
伊藤:小出さん、お久しぶりでございます。
小出:お久しぶりです。
伊藤:
3.11からね、3年経って。
当時小出さんがこの番組に何回かお出になって、動揺したり絶望したり、いろいろとされたと思うんですけれども、
当時を振り返ってどう思われますか?
小出:
「もう3年経ってしまったんだな」と思います。
「なんにも解決しないまま3年が経った」という思いが一番強いです。
たとえば、どんな事故、いろんな事故が起きると思いますけれども、
「3年経っても事故現場に足を踏み入れることもできない」という様な事故はやはり原子力しかないし、
原子力というのはここまで過酷だったんだなと改めて思います。
チェルノブイリと福島を比べて
伊藤:
当時ね、小出さん、
今よりも時間が経って、なんていうかな、
計測したほうが事故の本当が分かるんだみたいな話をされていて、
チェルノブイリでもね、時間経過の中で放射能に関わる事故がどういうふうに影響したのかっていう事を
検討されたというふうに聞いていますけれども、
チェルノブイリの3年と、福島の3年。
これ、比べてみるとどんな感じになりますかね?
小出:福島の方がずっと過酷だと思います。
伊藤:ずっと過酷ですか。
小出:
チェルノブイリの場合には壊れた原子炉がひとつでしたけれども、
福島の場合には運転中のものが3つ。
そして運転していなかったけれども、爆発で原子炉建屋が壊れたという4号機というのがもうひとつありまして、
その4つともが現場に足を踏み込む事が出来ないというまま現在にいたっていて、
事故原因すらが3年経っても全く分からないという状況になっています。
そして周辺の人々もそうですけれども、
ソ連と日本という国の国土の違いもありますけれども、
いまだに1000平方km。
琵琶湖が1.5個も入ってしまうという広大な地域から人々が追い出されてしまって、
根こそぎ生活を破壊されたまま流浪化してしまうという事が今続いているという状態で、
「本当にひどいもんだな」と思います。
伊藤:でもこれ、ものすごく残念なんですけれども、起きてしまいましたよね。
小出:そうです。
収束のプロセス
伊藤:
で、その後の収束のプロセスを政府の対策とか業界の対策、ま、当然なんですけれども見ておられて、
「起きてしまった」という事を前提でご覧になるといかがですか?
小出:
私はその、今は安倍さんが首相をしている訳ですけれども、
安倍さんが何か「これから事故を収束させる」とか、ま、言っている訳ですけれども、
「一体あなた何を言っているんですか」とわたしは思います。
福島の原子力発電所が「安全だ」と言ってお墨付きを与えたのは自民党だった訳ですし、
その政権を担っていた人達が、どなたも、誰も責任を取らないまま今日まで来ている訳ですし、
なんか事故が収束できている。
汚染水もアンダ―コントロールだ。
そんな事を言ってオリンピックを誘致するという事を安倍さんはやっているわけで、
本当に「この人大丈夫なのかな?」と私は心配してしまいます。
再稼働
伊藤:
あのー、今原発はね、一つも動いてなくて、
川内かな、今度動くかもしれないみたいな状況になってきているんですけれども、
今の政府の「まァ、安全だったら再稼働すればいいじゃない」っていう、
その方針についてはもちろん小出さんは反対ですよね?
小出:
もちろん反対です。
事故原因すら分かってないわけですから、安全の対策をとり様がないわけであって、
これまでも「安全性を確認した」と言いながらやってきた訳ですし、
事故が起きてしまった今は、
「安全性を確認する」なんていう事は本当は言ってはいけないはずなんですけれども、
今の安倍さんを含めた自民党の人達はまた
「安全性を確認して再稼働させる」と言っている訳で、あり得ない事だと思います。
高い天然ガス
伊藤:
なるほどね。
ま、あのー、経済を見ている人間からするとですね、
たとえば原発が動かない。
代替エネルギー源もない。
で、しょうがないから高い天然ガスを買ってきて発電している。
それで貿易収支が赤字になって、最近は経常収支も赤字になる。
これ自身は「困ったことだなぁ」というふうに思っていて、
でも、じゃあ日本はどうやってこれからエネルギー源を確保していくか
という事について、なんか真剣な議論もあまりないみたいだ。
なんか、「原発を再稼働すれば事態は解決する」みたいな、これも困ったことだなと思っているんですが、
小出:そのとおりです。
伊藤:
日本のエネルギーのなんて言うか、
「確保」みたいなものについては小出さんはどうお考えになっていますか?
小出:
みなさん、伊藤さんを含めてそうかもしれませんが、
「原子力発電をやらないと電気が足りない」とずーーっと脅かされてきたのです。
伊藤:いま足りてますよね(笑)
小出:もちろん、だから原子力発電なんかやらなくたってちゃんと足りてしまっているわけで、
伊藤:ただコストがね、ちょっと高いですね
小出:
ただ、そうではないのです。
元々原子力発電の発電単価が火力に比べても水力に比べても高かったのです。
これまで通産省、経産省が「原子力が安い安い」と言ってきたのですけれども、
それも単に彼等の都合のいい仮定で言ってきただけであって、
有価証券報告書に基づいて計算すれば、「原子力はもともと高かった」のです。
ですからそんなものやらなければ一番良かった訳ですし、
今止めてしまうと確かに、今ある原子炉が不良債権になってしまいますので、
一時的に困る事はあるかもしれませんけれども、
もともと高い発電単価のものですから、さっさと止めるのが一番いいのであって、
やればやるだけ損をしてしまうという事になります。
原発に代わる代替エネルギー
伊藤:
たとえば原発に代わるものとしては、太陽光とか風力とか潮力とかいろんなアレがでてますけど、
あのーなんて言うんですかね、化石燃料もいずれなくなるじゃないですか。
そうすると日本は、ま、世界全体の問題なんですけれど、
どんな物にエネルギー源を頼っていけばいいと小出さんはお考えですか?
小出:
私はもともと、
「化石燃料が枯渇してしまうから招来は原子力だ」と思い込んで原子力の場に足を踏み込んだ人間です。
しかし、原子力の燃料であるウランというのは、石油に比べても数分の1しか資源量はありませんし、
伊藤:そうですね。
小出:
石炭に比べれば数10分の1しかないという、まことにバカげた資源なのであって、
そんなものは未来のエネルギー源になんかにはもともとならないのです。
そのため原子力を推進してきた方々は、
「プルトニウムというのを作りだしてそれで原子力を維持する」と言ったんですが、
それをやるための“もんじゅ”という原子炉はもう全く動いてもいない。
1兆円を超えるお金をどぶに捨てながら、豆電球一つ点けられなかったという、そんな原子炉ですので、
そんなものに期待する事も出来ないのです。
もう私たちは原子力の夢から本当に覚めなければいけない所にきている訳ですし、
今後は、当面は化石燃料でいかれますし、いずれは太陽エネルギーに依存するしかありません。
さっさと頭を切り替えるべき時だと私は思います。
3年後のチェルノブイリで起きた事と福島の今
伊藤:
あのさっきちょっとしたんですけれども、
チェルノブイリで事故から3年後に起きたこと。
で、今の福島で起きている事。
この比較はどうなさいますか?
小出:
チェルノブイリの事故が起きた後に、現地の人達は
「こんな被害が出ている」「あんな被害が出ている」と沢山の症状を訴えていました。
特に深刻だったのが甲状腺の癌というものだったんですけれども、
それに関しても原子力を推進している人達は、
「そんなものはありよう筈がない」と。
広島・長崎の原爆の経験をもとにすれば、いわゆる固形がんと私たちが呼んでいる、
あの、血液の癌である白血病ではない様な癌というのは、
10年経たなければ出ないのであって、「そんなに早く出る事はあり得ない」と言って、
影響を否定していたのです。
しかし、実際には被害がどんどん出ていた訳で、
3年経って4年経った頃から甲状腺がんが激増してきまして、
「あ、やっぱり」と言って、ようやくにして原子力を推進していた人達も甲状腺がんの発生を認めたのです。
ところが福島では1年経って、2年経ってという頃からもう、
甲状腺がんがどんどん子どもたちの間に出てきているようになっている訳ですけれども、
日本の原子力を推進している人達は、
「チェルノブイリでも4年経ってからしか激増しなかった。だからこれは違う」という事を言ってるわけです。
伊藤:そうですね。
小出:
私は本当に科学の素養のない人達だなと思います。
「従来分かっていなかったこともきっちりと調査をして、新しい知見を蓄積していく」
というのが本来の科学のあり方だと思うのですけれども、
残念ながら原子力を進めている人達にはそういう考え方がないように見えます。
今何してますか?
伊藤:
いま、小出さんは実験所の助教というお立場なんですけれども、
そういう事をなさっている訳じゃ、今、どんな事をなさっているんですか?小出さんは。
小出:
さまざまです。
福島の事故が起きてしまってからは、本当に毎日戦争のように過ごしていまして、
福島現地の汚染を調べるという事もそうですし、
沢山の情報が出てきますので、その情報を整理して、
どのような事態が進行しているのかという事を私なりに理解して、
皆さんにお伝えするという事も私の責任だと思っています。
伊藤:
うーんなるほどね。
じゃあこの番組にもまた出てきて、その福島の今と今後あるべき姿?
いまだから、小出さんに言わせればね、事故が起きた事自体が間違いだとおっしゃる。
でももう起きちゃったもんですから、じゃあどうしたらいいかという事がこれから非常に大きな課題になりますよね。
小出:そうです。
伊藤:ありがとうございました。
小出:ありがとうございました。
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「マイダン広場の司令部」がネオナチ武装部隊:ロシア大使
2014-03-15

ウクライナの政変は、2/21に与野党合意が成立したにも関わらず、ネオナチの武力介入と治安部隊への解散命令によって暴力のクーデターとなった。
日本を含む西側マスコミは、今も「新政権」なるものが、ネオナチの武装部隊に依拠していることを一切報道しない。
西側のマスコミと政治権力は、この壮大な事実の捏造を強弁し、押し通している。
協議など成立するわけがない。
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ロシア国連大使:キエフのデモ抗議者たちはマイダン司令部から狙撃された 3/14 ROCKWAY EXPRESS
ロシアの国連大使であるヴィたーり・チュルキンが今回のウクライナのクーデターで、ヤヌコビッチ追放の決め手となった、市民と警官に対する狙撃事件の狙撃が、現在キエフで実験を握っている新政府側の、いわゆる「マイダン司令部」と言われる場所からなされた、と発言した。
これと似た事件で、シリアで「化学兵器」が使用されたとして、欧米側がシリアのアサド政権を弾劾したことがあったが、あれは実際は反政府勢力側からなされたように、今回の一般市民に対する狙撃事件と、それに伴う犠牲者の責任は、実はヤヌコビッチを追い落とす口実作りのため、欧米が支援するマイダン広場のデモ隊勢力側の仕業なのだ。
こういうことを仕出かすのは、やはり欧米の情報機関が深く関わっていると思わせるものであるが、彼らはユダヤ系メディアを駆使して欧米で喧伝して回り、新政府側の正当性を擁護し、力ずくでウクライナを親欧米政権に仕立てようとしている。
そしてロシアは事の次第は一切、お見通しである、ということであるから、敢えて欧米側がその謀略を実行し続けるのならば、ロシア側も実力行使に出てくることになろう。
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●ロシア国連大使:キエフのデモ抗議者たちはマイダン司令部から狙撃された
http://en.itar-tass.com/russia/723475
【3月14日 itar-tass.com】
キエフの最近の紛争の期間、デモ隊と警官達は所謂「マイダンの司令部」と言われる場所から狙撃された、とロシアの国連大使であるヴィターリ・チュルキンが安保理で語った。
最新の情報によれば、これらの狙撃は「マイダン司令部」と言われている場所から行われた、と現在安保理を率いるチュルキンは語った。
ロシアはクリミアでの戦争、あるいはそこでの更なる緊張の激化は望んでいない、とチュルキンは語った。
更に彼は、ロシアの黒海艦隊はクリミアでの国民投票の準備ないしは実施に対していかなる介入もしない、と語った。
ロシア国連大使は安保理で、現在のキエフの当局に合意していない者たちは、議員も含めて暴力の脅威を受けている、と語った。
彼は、その結果、ウクライナで正当に選出されたヤヌコビッチ大統領が追放され、自らの健康と生命に対する脅威を受けてキエフを去らねばならなかった、と語った。
「当局の強制的な転覆は違法である」とチュルキンは語った。
「そのような行動は国連安保理で繰り返して非難され書類に認められてきている。
しかし、2月21日に合意された国家統合政府の代わりに、キエフでは、ヤツェニュークが語ったような”勝った政府”が存在している」と語った。
チュルキン国連大使は、キエフの政府内には、国防大臣も含めた多くのポストが、過激派国粋主義政党の自由党(※もうすぐ北風;ネオナチ「スヴォボダ」のこと。)の代表者らによって占められている、と指摘した。
「2012年12月に採決された決議では、ヨーロッパ議会はその政党の見解をファシスト、反ユダヤ主義、外国嫌い、として、またヨーロッパ連合の基本原理と価値観と逆行するものとして非難したはずである。
更には、その決議では、ウクライナの議会内の親民主主義的政党に対し、その過激派国粋主義政党との連立を避けるよう呼びかけたはずである」と、チュルキンは語った。
彼は当時のことを想い出させて、「どこにヨーロッパの価値は行ってしまったのか?キエフの新しい当局はそれらを実施すると公言しているのか?」とチュルキンは語った。
「新しい当局は実際は更に過激な組織に依存している。いわゆるライト・セクターだ。
その組織の指導者は既に大統領になる野望を表明している」とチュルキンは語った。
「この過激派は2月21日の合意に反して、自分たちの武器を棄てていない。
更に、彼らは彼らが襲撃した武器庫から武器を奪い、自分たちの武器庫を一杯にしている」とロシア国連大使は語った。
「新しい当局は真摯な憲法改正のための国民対話に向けた調整を何もしていない」とチュルキンは語った。
「実際はこのキエフの当局は、ウクライナを半分に切断しようとしているのだ」と彼は語った。
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