日本のネオナチ、その信条とトラウマ:河信基
2014-03-12
安倍某はネオナチとほぼ同様の心情的な国家主義であり、米国に隷従しつつ戦争犯罪を否定し、第二次大戦の敗戦を未だアジアに対しては否定するべく、宗主国であるかのように振る舞う。
右翼のゴロツキであり、ネットウヨと同様にまともな論評に値しない存在であり、批判し罵倒する対象でしかない。
知識も理性も欠けた見識のない人間、が何故自民党総裁になり政権を握ったのか。
かいつまんでいってしまえば、アジアに緊張と対立を持ち込みたい米国軍産複合体が、戦後一貫して支配してきた日本のマスコミの世論誘導によって自民党を変質させてきたためである。
今や、自民党は保守中道からリベラルを含む「国民政党」ではない。自民党は極右安倍某とほぼ同じ連中が中心を占めてしまっているのである。
あまりにも反知性的で下劣なゆえに、いわゆる論評の対象にはならないのだが、一つの現実の流れとして「分析」の対象にはなるだろう。
以下はあえて安倍某を対象とした河信基氏の安倍某とその仲間の分析。
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安倍晋三の研究(1)アベノリスク 2/24〜3/9 「河信基の深読み」氏から
安倍首相のキャッチフレーズは「美しい日本」「強い日本」であるが、ことさら強調するのは、今の日本はそうでないと強く思い込んでいるからにほかならない。
とりたてて目くじらを立てることもなさそうな平凡なフレーズだが、A 級戦犯を祀る靖国参拝をきっかけにリスキーな政治性を帯びる。
そこに含まれている歴史認識が戦前の軍国主義肯定、復古的で、右傾化した危険なナショナリストとの安倍批判が世界中に急速に拡散し、強烈な「外圧」となり、日本国内の世論が複雑に割れ始めた。
一方で、安倍内閣が未だに50%前後の支持率を維持していることが示すように、少なくない日本国民が依然として安倍氏のキャッチフレーズに痺れ、日本復活に最後の希望をかけている。
「外圧」に対しても、二十代、三十代の若い層には韓国、中国への対抗心から安倍氏支持に回る生硬なナショナリズムの空気が淀み、親米的とされた保守層内部でも靖国参拝を「失望」と評した米国への不満が渦巻いている。
他方で、昨年秋の特定秘密保護法案強行採決や原発再稼働推進などに反発して噴出した安倍批判の新たなうねりが見られる。
リベラル、左派は戦後憲法秩序を根こそぎ破壊するかのような安倍氏の暴走に危機感を募らせている。
注目すべきは、「外圧」を鏡にして日本の立ち位置を再認識しようとする理知的な動きであるが、その一つが田中康男元長野県知事の、「(過去の侵略行為や植民地支配への反省を拒む)自虐史観否定は自慰行為であり、自爆史観にほかならない」との指摘である。
ツィッターでみかけ、「本質をついた痛快な指摘です」と書き込むと、「自爆史観は日本及び日本人への信頼を毀損します」との返信があり、即座に百を超すユーザーからリツィートされた。
安倍首相を愛国者とみなす世論と、海外と摩擦を引き起こす右傾化のリスクと認識し、「自爆史観」とまで警戒する世論とのせめぎあいは、日本が重大な岐路に差し掛かっている状況の反映にほかならない。
それをアベノリスクと呼ぶことにするが、その危険度が高まっていることは一連の衝撃的な経済指標がはっきりと物語っている。
第一次安倍内閣を国会開会直後に「不治の病」を理由に投げ出し、政治生命が終わったとみなされていた安倍氏が復活し、現在も一定の支持を得ているのは、「デフレからの脱却」を標榜したいわゆるアベノミクスに拠るところが大きい。
しかし、それすらリスクに転じつつある。
昨年の経済成長率は2%台前半にとどまり、韓国の2・8%にもとどかない。
貿易立国の日本の命綱である貿易は肝心の対中輸出がライバルの韓国に食われて鈍化し、昨年の貿易赤字は史上最悪の10兆6399億円、経常収支黒字も1985年以降最小の3兆3061億円に縮小した。
バラマキ公共事業で国の借金が過去最悪の1017兆9459億円とGNPの240%に膨らんでおり、国債暴落、財政破綻の影がヒタヒタ迫る。
そうした危機感は当の安倍首相が誰よりも強く抱いていることである。
昨年12月26日に「今しかない」と唐突に靖国参拝へと走ったのも、予期しなかった政権の急速な弱体化で念願の靖国参拝を果たせなかった悪夢が頭を過ぎったからであろう。
また、低下し始めた支持率を保守の心情に訴えて盛り返そうとの思惑がある。
籾井NHK会長から首相補佐官にわたる安倍氏のお友達や側近らが一連の失言で物議を醸しているのも、似たような心理である。
それらは失言というよりも、安倍氏周辺で普段から交わされている本音というのがより正確である。
安倍氏の応援団である産経新聞系列のメディアは、靖国参拝に対して「憲法改正への道を切り開いた」(『正論』3月号、中西輝政・京大名誉教授)、「戦後レジームに風穴を開けた快挙」(同、阿比留瑠比・産経新聞編集委員)と、もはや邪な本音を隠そうともしない。
こうした現象を、日本もしくは日本人そのものと捉えるのは正しくない。
それはあくまでも日本の中の部分的な現象に過ぎず、私はそれを安倍問題と呼んでいる。
この現象は極めて根が深く、政治、経済、文化一般まで広範に及ぶ。
安倍問題の特徴は、従軍慰安婦、南京大虐殺問題などを巡る韓国、中国など近隣諸国との軋轢にあり、領土問題が絡んで深刻化している。
そこには、アジアといかに向かい合うかという、近代日本の出発点で刻印された宿業的な情緒との相克がある。
「泰平の眠りをさます上喜撰(蒸気船)たった四はいで夜も眠れず」
日本人なら誰でも一度は教科書でお目にかかる、文化史上、最も知られた狂歌である。
1853年、品川沖に突然現れたペリー率いる四隻の黒船に鎖国の国是を破られ、上に下にと蜂の巣をつつく混乱状態に陥った幕末の世情を見事に映している。
外圧と自戒を込めて語り継がれている事象であるが、日本は明治維新を成し遂げ、「脱亜入欧」へと強かに豹変し、アジアの先頭をきって近代化を実現した。
そこには二つの相反する側面、外圧がなければ動かない島国的な閉鎖性と、一度動き出すと外圧を巧く利用して開国→近代化へと一丸となる進取性が同居している。
これまでも日本は、欧米との貿易摩擦や市場開放要求に直面するたびに、当初は抵抗しても、ある時点で「黒船には弱いから仕方ない」と国民多くが観念し、果敢に自己変革して状況を乗り切ってきた。
しかし、今の日本に向かって押し寄せている外圧は、西洋の黒船ではなく、同じアジアの韓国、中国からの黒船である。
言わば、「脱亜入欧」の負の遺産の清算を求める第2の新型の外圧なのである。
吉田松陰を信奉する長州出身の安倍氏には、それを受け入れることはルーツを否定される屈辱的、自虐的なことに感じられる。
安倍氏ならずとも、「脱亜入欧」を日本の近代化そのものと、ある種の自負心を持って意識してきた少なからぬ日本人にとって、文明史的な大事件と言っても過言ではなかろう。
そうした文明論的な視点を踏まえて、歴史的な転換期にある日本を誤った方向に陥らしかねないリスクとなっている安倍現象を検証してみよう。
安倍晋三の研究(2)米中「新型大国関係」に反発
安倍首相は米中「新型大国関係」に反発し、「強い日本復活」で日米同盟を強化して対抗しようとしている。
それに適応し、米中間で存在感を発揮しようとしている朴槿恵大統領と対照的である。
本来なら朴槿恵イニシアティブは安倍イニシアティブであってしかるべきものであったが、安倍の優越感と劣等感入り交じった歴史認識に邪魔されたのは、安倍個人のみならず、日本にとっても不運であった。
ある種の焦りに駆られた靖国参拝後、安倍は自身の予想に反して、米中韓から二重、三重の外圧を受ける羽目に陥った。
長州は英国との戦争で惨敗してから攘夷から開国へと豹変したが、世襲政治家の安倍に、食うや食わずの下級武士から這い上がった同郷の先達たちの柔軟性と機知を期待するのは難しそうである。
習近平主席が昨年の米中首脳会談で提唱した「新型大国関係」については、オバマ政権内にも異論、反論がある。
とりわけ、日本保守層の安倍応援団からはシャドーバンキングなどの個別的現象を挙げて、中国分裂・崩壊論といった極論が目につく。
先見の明が問われる所以だが、時代がその方向に流れていることは間違いあるまい。
最近、それを占う注目すべき発言が欧州の金融トップからなされた。
メハシュ欧州中央銀専務理事が26日、人民元が国際貿易や投資分野で重要性を増し、ドルに対抗する通貨となる可能性があると述べたのである。
ユーロ圏での中国金融機関の存在感が高まり、主要な決済通貨として機能しつつある現状を追認したと考えられる。
中国のGNP は既に日本の二倍となり、IMF などは2030年までに米国を抜くだろうと予測している。
それに伴い、政治的な分野でも米国を中心とした世界秩序が変化し、米中二極化へと地殻変動するのは避けられない。
日本保守層でも桝添東京都知事が10年以内に中国は世界一の経済大国になるとの見方を示し、北京市、ソウル市との首都交流に舵を切ろうとしており、安倍派の旗色は悪くなっている。
安倍の最大の誤算は、無謀と批判された異次元の金融緩和で円安へと誘導したにも関わらず、輸出が思うように伸びないことである。
貿易赤字が底抜けに落ち込み、経常収支の黒字も危うくなり、国家債務は絶望的な数字に膨らみ、デフォルトの影が忍び寄っている。
その要因は 、歴史認識や尖閣領有で対立した煽りで、成長力を取り込むとしていた世界最大の中国市場から閉め出されていることにある。
他方で、漁夫の利を得る形でライバルの韓国は日本の分まで対中輸出を増大させ、昨年の貿易黒字、経常収支共に史上最大を記録した。
ほぼ1年経って、「新型大国関係」に反発した安倍と、適応しようとした朴槿恵がハッキリと明暗を分けた。
安倍支持派からは「朴槿恵の二股外交」云々の声が噴出しているが、今となってはやっかみの類の域を出ない。
安倍の第2の誤算は、戦後秩序の機軸である日米韓連携に取り返しのつかない亀裂を生じさせてしまったことである。
従軍慰安婦を否定する不誠実な歴史認識が韓中共闘へと向かわせ、日本の孤立が露になった。
韓国に対する日本の経済的優位や影響力を過信し、圧力をかければ折れてくると画策したことも全て空回りし、恨みつらみを言うしか手がなくなってしまった。
「強い日本」の幻想に憑かれ、中国や韓国の経済的政治的な伸長を甘く考え、適切な対応を怠った付けが回ってきたのである。
弱り目に祟り目との諺もあるが、頼みとする米国からは、「失望」に混じって、安倍は緻密な思考が出来ないと、突き放すような声が頻繁に聞こえてくるようになった。
堪らず、安倍側近から「米国が「失望」と言ったのは、我々のほうが失望した」(衛藤晟一首相補佐官ホームページ)と反発する動きが公然と出たが、菅官房長官が慌てて削除させる狼狽ぶりである。
内閣改造で求心力回復を策すが、第一次安倍内閣を彷彿させる終局が透けて見えてくるではないか。
先月25日に公表された米議会調査局報告書は「安倍首相の歴史観は第二次大戦に関する米国人の認識とぶつかる危険性がある」と警告しているが、安倍への不信感極まったと解すべきであろう。
過去の過ちへの反省を「自虐的」と拒否する貧弱な知性は、同じ過ちを繰り返すのである。
安倍晋三の研究(3)独断専行のトラウマ
保守層が「強い日本復活」の最後の希望を託したアベノミクスの神通力が褪せるに伴い、与党内でも安倍に距離を置く動きが顕在化してきた。
「安倍首相の考えは『国民の声を聴く』という一番大切な部分が欠落しており、賛成できない」と公明党の漆原国対委員長が繰り返し非難の声をあげているが、谷垣法相ら自民党の閣僚・幹部らにも急速に広がり始めた。
集団的自衛権を容認する閣議決定に前のめりになっている安倍の独断専行への牽制であるが、底流には、韓中のみならず、日本の後ろ楯と頼む米国とも対立している危うさが敬遠されていることがある。
日米同盟強化は戦後日本保守層の至上命題であるが、先月26日、TBSが「日米首脳が激しい応酬ー関係亀裂の真相」との、いかにもタイトルからして衝撃的なドキュメント番組を流した。
それによると、昨年12月3日に訪日したバイデン副大統領と安倍首相が1時間半にわたりTPP問題で前代未聞の激論を交わした。
その9日後、バイデンから安倍に電話が入り、「朴槿恵大統領に安倍首相は靖国に行かないと伝えた」と述べると、安倍は驚き、「靖国参拝は公約。いずれ行くつもりだ」と答えた。
その1週間後、安倍は靖国を参拝。
「いずれ」を当分行かないものと理解していたバイデンは激怒して安倍批判の急先鋒となり、米国務省は「deeplyーdisappointed」と声明を出した。
安倍は「米国は同盟国を大切にしない」と反発した。
同番組は日米激論の背景に、昨年8月のオバマ大統領のシリア空爆論に安倍が積極的に賛成しなかったしこりがあったと解釈するが、やや飛躍している。
従軍慰安婦問題に発した日韓対立抜きに、説明できない。
バイデンが安倍との会談直後に訪韓し、朴大統領と会談したのはそのためである。
バイデンは朴槿恵に、韓国は中国に接近しすぎていると婉曲に牽制し、民主主義の価値観を共有する日本との関係修復を求めた。
そして、その証に、安倍は靖国参拝をしないと言っていたと保証したのである。
朴・バイデン会談後、韓国政府は事務レベルで日本との関係修復に動いた。その矢先の安倍靖国参拝に、それみたことかと不信感を一段と強める。
朴大統領は4日後の12月30日、大統領府秘書官会議で「国際社会の普遍的な価値と基準、人類の良心に合わない行動」と靖国参拝を批判する。
以後、朴政権は以前にも増して安倍批判のオクターブを上げ、歴史認識での妥協を排し、国際的な規模で中国と共闘する。
それに安倍政権が反発し、日韓を繋いでいた河野談話の見直し、事実上の否定へと舵を切り、抜き差しならない窮地に自ら嵌まる。
安倍の誤算は、韓国に経済的圧力をかければいずれ降りてくると、甘く考えていたことにある。
現実は、昨年韓国が日中対立に漁夫の利を得る形で史上最大の貿易黒字をあげたことが象徴するように、韓国経済における日本の存在感は中国と反比例しながら低下している。
安倍の独断専行の弊害は外交から経済にも及び、韓中市場での日本企業のビジネスチャンスを奪っている。
かくして、安倍政権での日韓首脳会談は不可能に近い状態に陥り、日韓両国との同盟関係をアジア政策の軸と捉えているオバマ政権には由々しき事態と映る。
面子を潰されたバイデンは、安倍は緻密な思考が出来ないと怒り心頭である。
米紙誌には安倍の、戦後の秩序を否定する軍国主義的な戦前指向歴史観を公然と批判する論説が飛び交い、米議会調査局が米国の国益を脅かしかねないとの報告書まで出すに至った。
オバマ大統領の4月下旬の訪日は、安倍首相には強いプレッシャーとならざるをえない。
日程が、急遽訪韓が組み込まれて一泊二日に短縮されたのも、オバマ大統領の不信感を物語る。
ワシントンでは親日派も含め、日韓対立の主因が安倍首相の偏った歴史認識にあり、日米関係にまで亀裂を生じさせているとの見方が支配的に成りつつある。
安倍は国賓待遇で日米友好を演出しようと腐心しているが、トラブルメーカーの安倍に対するワシントンの不信感は外交儀礼で糊塗出来るレベルを越え、安倍降ろしの声さえ聞かれる。
安倍及び側近・ブレーンたちは、「日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなっている」と口を揃え、「米艦が攻撃されているのに傍観すれば、日米同盟は崩れる」と集団的自衛権の必要性を説くが、ワシントンでは違和感が徐々に高じている。
日米同盟が体よく出しにされているのではないか。
安倍政権が不必要に周辺国と摩擦を引き起こし、米国を巻き込もうとしているのではないか、等々。
とりわけ、「安倍政権は軍国日本を美化し、戦後秩序に挑戦している」との中国の批判が国際社会に響き渡っていることに、安倍は米国の連合国としての歴史的な大義を傷つけ、中国を利していると苛立ち、突き放す声が強まっている。
ワシントンに要注意人物と認識せしめた安倍の独断専行は、無様な第一次安倍内閣崩壊のトラウマに起因する。
岸信介の孫としてしか取り柄のなかった一世襲政治家が小泉純一郎首相に引き立てられ、拉致問題で対北朝鮮強硬派として名を売り、戦後生まれの首相1号に祭り上げられ、勢いに任せて突っ走って壁にぶち当たり、病院に駆け込んで辞任。 自分が本来したかったことは何一つ、なしえなかった。
靖国参拝、集団的自衛権容認、自虐的と考えている教科書改定などは、安倍にとって自分の存在意味と関わる。
A級戦犯・岸信介の孫と謗られてきた自分の意地であり、存在証明なのである。
民主党政権の失敗に助けられ、不遇から再起した千載一遇の機会を逃すわけにはいかない。
政権が存続しているうちに、できる限りの事をやってしまおうと、釈迦力になる。
しかし、本人の意図とは裏腹に、韓国、中国を利し、米国とも衝突しかねない安倍の暴走に、親米が染み付いている保守層にも深刻な不安と動揺が広がっている。
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頭の中はウクライナのネオナチと同じか。
右翼のゴロツキであり、ネットウヨと同様にまともな論評に値しない存在であり、批判し罵倒する対象でしかない。
知識も理性も欠けた見識のない人間、が何故自民党総裁になり政権を握ったのか。
かいつまんでいってしまえば、アジアに緊張と対立を持ち込みたい米国軍産複合体が、戦後一貫して支配してきた日本のマスコミの世論誘導によって自民党を変質させてきたためである。
今や、自民党は保守中道からリベラルを含む「国民政党」ではない。自民党は極右安倍某とほぼ同じ連中が中心を占めてしまっているのである。
あまりにも反知性的で下劣なゆえに、いわゆる論評の対象にはならないのだが、一つの現実の流れとして「分析」の対象にはなるだろう。
以下はあえて安倍某を対象とした河信基氏の安倍某とその仲間の分析。
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安倍晋三の研究(1)アベノリスク 2/24〜3/9 「河信基の深読み」氏から
安倍首相のキャッチフレーズは「美しい日本」「強い日本」であるが、ことさら強調するのは、今の日本はそうでないと強く思い込んでいるからにほかならない。
とりたてて目くじらを立てることもなさそうな平凡なフレーズだが、A 級戦犯を祀る靖国参拝をきっかけにリスキーな政治性を帯びる。
そこに含まれている歴史認識が戦前の軍国主義肯定、復古的で、右傾化した危険なナショナリストとの安倍批判が世界中に急速に拡散し、強烈な「外圧」となり、日本国内の世論が複雑に割れ始めた。
一方で、安倍内閣が未だに50%前後の支持率を維持していることが示すように、少なくない日本国民が依然として安倍氏のキャッチフレーズに痺れ、日本復活に最後の希望をかけている。
「外圧」に対しても、二十代、三十代の若い層には韓国、中国への対抗心から安倍氏支持に回る生硬なナショナリズムの空気が淀み、親米的とされた保守層内部でも靖国参拝を「失望」と評した米国への不満が渦巻いている。
他方で、昨年秋の特定秘密保護法案強行採決や原発再稼働推進などに反発して噴出した安倍批判の新たなうねりが見られる。
リベラル、左派は戦後憲法秩序を根こそぎ破壊するかのような安倍氏の暴走に危機感を募らせている。
注目すべきは、「外圧」を鏡にして日本の立ち位置を再認識しようとする理知的な動きであるが、その一つが田中康男元長野県知事の、「(過去の侵略行為や植民地支配への反省を拒む)自虐史観否定は自慰行為であり、自爆史観にほかならない」との指摘である。
ツィッターでみかけ、「本質をついた痛快な指摘です」と書き込むと、「自爆史観は日本及び日本人への信頼を毀損します」との返信があり、即座に百を超すユーザーからリツィートされた。
安倍首相を愛国者とみなす世論と、海外と摩擦を引き起こす右傾化のリスクと認識し、「自爆史観」とまで警戒する世論とのせめぎあいは、日本が重大な岐路に差し掛かっている状況の反映にほかならない。
それをアベノリスクと呼ぶことにするが、その危険度が高まっていることは一連の衝撃的な経済指標がはっきりと物語っている。
第一次安倍内閣を国会開会直後に「不治の病」を理由に投げ出し、政治生命が終わったとみなされていた安倍氏が復活し、現在も一定の支持を得ているのは、「デフレからの脱却」を標榜したいわゆるアベノミクスに拠るところが大きい。
しかし、それすらリスクに転じつつある。
昨年の経済成長率は2%台前半にとどまり、韓国の2・8%にもとどかない。
貿易立国の日本の命綱である貿易は肝心の対中輸出がライバルの韓国に食われて鈍化し、昨年の貿易赤字は史上最悪の10兆6399億円、経常収支黒字も1985年以降最小の3兆3061億円に縮小した。
バラマキ公共事業で国の借金が過去最悪の1017兆9459億円とGNPの240%に膨らんでおり、国債暴落、財政破綻の影がヒタヒタ迫る。
そうした危機感は当の安倍首相が誰よりも強く抱いていることである。
昨年12月26日に「今しかない」と唐突に靖国参拝へと走ったのも、予期しなかった政権の急速な弱体化で念願の靖国参拝を果たせなかった悪夢が頭を過ぎったからであろう。
また、低下し始めた支持率を保守の心情に訴えて盛り返そうとの思惑がある。
籾井NHK会長から首相補佐官にわたる安倍氏のお友達や側近らが一連の失言で物議を醸しているのも、似たような心理である。
それらは失言というよりも、安倍氏周辺で普段から交わされている本音というのがより正確である。
安倍氏の応援団である産経新聞系列のメディアは、靖国参拝に対して「憲法改正への道を切り開いた」(『正論』3月号、中西輝政・京大名誉教授)、「戦後レジームに風穴を開けた快挙」(同、阿比留瑠比・産経新聞編集委員)と、もはや邪な本音を隠そうともしない。
こうした現象を、日本もしくは日本人そのものと捉えるのは正しくない。
それはあくまでも日本の中の部分的な現象に過ぎず、私はそれを安倍問題と呼んでいる。
この現象は極めて根が深く、政治、経済、文化一般まで広範に及ぶ。
安倍問題の特徴は、従軍慰安婦、南京大虐殺問題などを巡る韓国、中国など近隣諸国との軋轢にあり、領土問題が絡んで深刻化している。
そこには、アジアといかに向かい合うかという、近代日本の出発点で刻印された宿業的な情緒との相克がある。
「泰平の眠りをさます上喜撰(蒸気船)たった四はいで夜も眠れず」
日本人なら誰でも一度は教科書でお目にかかる、文化史上、最も知られた狂歌である。
1853年、品川沖に突然現れたペリー率いる四隻の黒船に鎖国の国是を破られ、上に下にと蜂の巣をつつく混乱状態に陥った幕末の世情を見事に映している。
外圧と自戒を込めて語り継がれている事象であるが、日本は明治維新を成し遂げ、「脱亜入欧」へと強かに豹変し、アジアの先頭をきって近代化を実現した。
そこには二つの相反する側面、外圧がなければ動かない島国的な閉鎖性と、一度動き出すと外圧を巧く利用して開国→近代化へと一丸となる進取性が同居している。
これまでも日本は、欧米との貿易摩擦や市場開放要求に直面するたびに、当初は抵抗しても、ある時点で「黒船には弱いから仕方ない」と国民多くが観念し、果敢に自己変革して状況を乗り切ってきた。
しかし、今の日本に向かって押し寄せている外圧は、西洋の黒船ではなく、同じアジアの韓国、中国からの黒船である。
言わば、「脱亜入欧」の負の遺産の清算を求める第2の新型の外圧なのである。
吉田松陰を信奉する長州出身の安倍氏には、それを受け入れることはルーツを否定される屈辱的、自虐的なことに感じられる。
安倍氏ならずとも、「脱亜入欧」を日本の近代化そのものと、ある種の自負心を持って意識してきた少なからぬ日本人にとって、文明史的な大事件と言っても過言ではなかろう。
そうした文明論的な視点を踏まえて、歴史的な転換期にある日本を誤った方向に陥らしかねないリスクとなっている安倍現象を検証してみよう。
安倍晋三の研究(2)米中「新型大国関係」に反発
安倍首相は米中「新型大国関係」に反発し、「強い日本復活」で日米同盟を強化して対抗しようとしている。
それに適応し、米中間で存在感を発揮しようとしている朴槿恵大統領と対照的である。
本来なら朴槿恵イニシアティブは安倍イニシアティブであってしかるべきものであったが、安倍の優越感と劣等感入り交じった歴史認識に邪魔されたのは、安倍個人のみならず、日本にとっても不運であった。
ある種の焦りに駆られた靖国参拝後、安倍は自身の予想に反して、米中韓から二重、三重の外圧を受ける羽目に陥った。
長州は英国との戦争で惨敗してから攘夷から開国へと豹変したが、世襲政治家の安倍に、食うや食わずの下級武士から這い上がった同郷の先達たちの柔軟性と機知を期待するのは難しそうである。
習近平主席が昨年の米中首脳会談で提唱した「新型大国関係」については、オバマ政権内にも異論、反論がある。
とりわけ、日本保守層の安倍応援団からはシャドーバンキングなどの個別的現象を挙げて、中国分裂・崩壊論といった極論が目につく。
先見の明が問われる所以だが、時代がその方向に流れていることは間違いあるまい。
最近、それを占う注目すべき発言が欧州の金融トップからなされた。
メハシュ欧州中央銀専務理事が26日、人民元が国際貿易や投資分野で重要性を増し、ドルに対抗する通貨となる可能性があると述べたのである。
ユーロ圏での中国金融機関の存在感が高まり、主要な決済通貨として機能しつつある現状を追認したと考えられる。
中国のGNP は既に日本の二倍となり、IMF などは2030年までに米国を抜くだろうと予測している。
それに伴い、政治的な分野でも米国を中心とした世界秩序が変化し、米中二極化へと地殻変動するのは避けられない。
日本保守層でも桝添東京都知事が10年以内に中国は世界一の経済大国になるとの見方を示し、北京市、ソウル市との首都交流に舵を切ろうとしており、安倍派の旗色は悪くなっている。
安倍の最大の誤算は、無謀と批判された異次元の金融緩和で円安へと誘導したにも関わらず、輸出が思うように伸びないことである。
貿易赤字が底抜けに落ち込み、経常収支の黒字も危うくなり、国家債務は絶望的な数字に膨らみ、デフォルトの影が忍び寄っている。
その要因は 、歴史認識や尖閣領有で対立した煽りで、成長力を取り込むとしていた世界最大の中国市場から閉め出されていることにある。
他方で、漁夫の利を得る形でライバルの韓国は日本の分まで対中輸出を増大させ、昨年の貿易黒字、経常収支共に史上最大を記録した。
ほぼ1年経って、「新型大国関係」に反発した安倍と、適応しようとした朴槿恵がハッキリと明暗を分けた。
安倍支持派からは「朴槿恵の二股外交」云々の声が噴出しているが、今となってはやっかみの類の域を出ない。
安倍の第2の誤算は、戦後秩序の機軸である日米韓連携に取り返しのつかない亀裂を生じさせてしまったことである。
従軍慰安婦を否定する不誠実な歴史認識が韓中共闘へと向かわせ、日本の孤立が露になった。
韓国に対する日本の経済的優位や影響力を過信し、圧力をかければ折れてくると画策したことも全て空回りし、恨みつらみを言うしか手がなくなってしまった。
「強い日本」の幻想に憑かれ、中国や韓国の経済的政治的な伸長を甘く考え、適切な対応を怠った付けが回ってきたのである。
弱り目に祟り目との諺もあるが、頼みとする米国からは、「失望」に混じって、安倍は緻密な思考が出来ないと、突き放すような声が頻繁に聞こえてくるようになった。
堪らず、安倍側近から「米国が「失望」と言ったのは、我々のほうが失望した」(衛藤晟一首相補佐官ホームページ)と反発する動きが公然と出たが、菅官房長官が慌てて削除させる狼狽ぶりである。
内閣改造で求心力回復を策すが、第一次安倍内閣を彷彿させる終局が透けて見えてくるではないか。
先月25日に公表された米議会調査局報告書は「安倍首相の歴史観は第二次大戦に関する米国人の認識とぶつかる危険性がある」と警告しているが、安倍への不信感極まったと解すべきであろう。
過去の過ちへの反省を「自虐的」と拒否する貧弱な知性は、同じ過ちを繰り返すのである。
安倍晋三の研究(3)独断専行のトラウマ
保守層が「強い日本復活」の最後の希望を託したアベノミクスの神通力が褪せるに伴い、与党内でも安倍に距離を置く動きが顕在化してきた。
「安倍首相の考えは『国民の声を聴く』という一番大切な部分が欠落しており、賛成できない」と公明党の漆原国対委員長が繰り返し非難の声をあげているが、谷垣法相ら自民党の閣僚・幹部らにも急速に広がり始めた。
集団的自衛権を容認する閣議決定に前のめりになっている安倍の独断専行への牽制であるが、底流には、韓中のみならず、日本の後ろ楯と頼む米国とも対立している危うさが敬遠されていることがある。
日米同盟強化は戦後日本保守層の至上命題であるが、先月26日、TBSが「日米首脳が激しい応酬ー関係亀裂の真相」との、いかにもタイトルからして衝撃的なドキュメント番組を流した。
それによると、昨年12月3日に訪日したバイデン副大統領と安倍首相が1時間半にわたりTPP問題で前代未聞の激論を交わした。
その9日後、バイデンから安倍に電話が入り、「朴槿恵大統領に安倍首相は靖国に行かないと伝えた」と述べると、安倍は驚き、「靖国参拝は公約。いずれ行くつもりだ」と答えた。
その1週間後、安倍は靖国を参拝。
「いずれ」を当分行かないものと理解していたバイデンは激怒して安倍批判の急先鋒となり、米国務省は「deeplyーdisappointed」と声明を出した。
安倍は「米国は同盟国を大切にしない」と反発した。
同番組は日米激論の背景に、昨年8月のオバマ大統領のシリア空爆論に安倍が積極的に賛成しなかったしこりがあったと解釈するが、やや飛躍している。
従軍慰安婦問題に発した日韓対立抜きに、説明できない。
バイデンが安倍との会談直後に訪韓し、朴大統領と会談したのはそのためである。
バイデンは朴槿恵に、韓国は中国に接近しすぎていると婉曲に牽制し、民主主義の価値観を共有する日本との関係修復を求めた。
そして、その証に、安倍は靖国参拝をしないと言っていたと保証したのである。
朴・バイデン会談後、韓国政府は事務レベルで日本との関係修復に動いた。その矢先の安倍靖国参拝に、それみたことかと不信感を一段と強める。
朴大統領は4日後の12月30日、大統領府秘書官会議で「国際社会の普遍的な価値と基準、人類の良心に合わない行動」と靖国参拝を批判する。
以後、朴政権は以前にも増して安倍批判のオクターブを上げ、歴史認識での妥協を排し、国際的な規模で中国と共闘する。
それに安倍政権が反発し、日韓を繋いでいた河野談話の見直し、事実上の否定へと舵を切り、抜き差しならない窮地に自ら嵌まる。
安倍の誤算は、韓国に経済的圧力をかければいずれ降りてくると、甘く考えていたことにある。
現実は、昨年韓国が日中対立に漁夫の利を得る形で史上最大の貿易黒字をあげたことが象徴するように、韓国経済における日本の存在感は中国と反比例しながら低下している。
安倍の独断専行の弊害は外交から経済にも及び、韓中市場での日本企業のビジネスチャンスを奪っている。
かくして、安倍政権での日韓首脳会談は不可能に近い状態に陥り、日韓両国との同盟関係をアジア政策の軸と捉えているオバマ政権には由々しき事態と映る。
面子を潰されたバイデンは、安倍は緻密な思考が出来ないと怒り心頭である。
米紙誌には安倍の、戦後の秩序を否定する軍国主義的な戦前指向歴史観を公然と批判する論説が飛び交い、米議会調査局が米国の国益を脅かしかねないとの報告書まで出すに至った。
オバマ大統領の4月下旬の訪日は、安倍首相には強いプレッシャーとならざるをえない。
日程が、急遽訪韓が組み込まれて一泊二日に短縮されたのも、オバマ大統領の不信感を物語る。
ワシントンでは親日派も含め、日韓対立の主因が安倍首相の偏った歴史認識にあり、日米関係にまで亀裂を生じさせているとの見方が支配的に成りつつある。
安倍は国賓待遇で日米友好を演出しようと腐心しているが、トラブルメーカーの安倍に対するワシントンの不信感は外交儀礼で糊塗出来るレベルを越え、安倍降ろしの声さえ聞かれる。
安倍及び側近・ブレーンたちは、「日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなっている」と口を揃え、「米艦が攻撃されているのに傍観すれば、日米同盟は崩れる」と集団的自衛権の必要性を説くが、ワシントンでは違和感が徐々に高じている。
日米同盟が体よく出しにされているのではないか。
安倍政権が不必要に周辺国と摩擦を引き起こし、米国を巻き込もうとしているのではないか、等々。
とりわけ、「安倍政権は軍国日本を美化し、戦後秩序に挑戦している」との中国の批判が国際社会に響き渡っていることに、安倍は米国の連合国としての歴史的な大義を傷つけ、中国を利していると苛立ち、突き放す声が強まっている。
ワシントンに要注意人物と認識せしめた安倍の独断専行は、無様な第一次安倍内閣崩壊のトラウマに起因する。
岸信介の孫としてしか取り柄のなかった一世襲政治家が小泉純一郎首相に引き立てられ、拉致問題で対北朝鮮強硬派として名を売り、戦後生まれの首相1号に祭り上げられ、勢いに任せて突っ走って壁にぶち当たり、病院に駆け込んで辞任。 自分が本来したかったことは何一つ、なしえなかった。
靖国参拝、集団的自衛権容認、自虐的と考えている教科書改定などは、安倍にとって自分の存在意味と関わる。
A級戦犯・岸信介の孫と謗られてきた自分の意地であり、存在証明なのである。
民主党政権の失敗に助けられ、不遇から再起した千載一遇の機会を逃すわけにはいかない。
政権が存続しているうちに、できる限りの事をやってしまおうと、釈迦力になる。
しかし、本人の意図とは裏腹に、韓国、中国を利し、米国とも衝突しかねない安倍の暴走に、親米が染み付いている保守層にも深刻な不安と動揺が広がっている。
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頭の中はウクライナのネオナチと同じか。
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