金融緩和は偽薬、株価の前年比は12月から急落している:野口
2014-02-07
今回の株価下落がバブル崩壊の前兆としての「調整」なのか、それともバブル崩壊の直接的な始まりであるのかは決めつけられない。
だが、過去のバブルに比べて、実体経済がデフレ構造そのものを脱していないこと、市場に海外からの投資比率が非常に高くなって、投資よりも圧倒的に投機市場化していること。
アベノミクスのベースマネー異次元膨張が財政ファイナンスであることなどが次第に公然化しているなかで、偽薬効果が切れ始めている、化けの皮が剥がれ始めているとするなら、危険は大きい。
資産バブルは海外勢力によって、いとも短期間に破裂する可能性がある。
つまり、資産バブル崩壊が引き金となって、勤労者窮乏化のなかでインフレ、日本売りによる企業破綻、長期金利上昇で財政破綻の可能性が出てくる。
ーーーーーーーーーーーーー
株価を高騰させた「期待」が崩壊 ――対前年同月比は、すでに12月から急落 2/6 野口悠紀雄 ダイヤモンド・オンライン
新興国をめぐる国際的投機資金の流れの変調を受けて、世界各国の株価が暴落している。日本でも、株価の急落現象が起きている。
日本の場合、実体経済の本格的な回復ではなく「期待」によって株価が高騰してきた面が強いため、とりわけ変化が急だ。以下では、その背景を分析することとしたい。
13年春頃に高まった期待が、12月ごろから崩壊
人々の期待の変化は、[図表1]の株価水準の推移に明確に表れている。
13年春頃まで急上昇し、その後一進一退状態になった。株価が停滞したのは、13年5月頃以降、円安の進展が止まり、QE3テイパリング(金融緩和政策の縮小)の予想も広まったからだ。

ところで、株価については、通常、水準が問題とされ、上昇率にはあまり注意が払われない。
しかし、投機的な株式投資は、配当ではなく、売買益を狙うものだ。そうした投資で問題となるのは、価格上昇率である。そこで、株価についても上昇率を見ることが有益だろう。
[図表2]に示す株価の対前年比増加率には、「13年春頃に急騰した期待が、12月頃から崩壊」という経緯がより明確に表れている。
すなわち、対前年比は、13年の4月頃から急速に上昇した。しかし、5月末から6月初めに急落し、その後は一進一退状態となった。
ここまでは、平均株価の水準で見られるのと同じ変動を、より強調しているだけだ。
しかし、その後の推移は、株価水準とはかなり異なる印象を与える。平均株価は11月初めから12月末にかけて上昇したのだが、対前年比増加率で見ると、11月末にピークとなってその後は下落しているのである。これは、QE3テイパリングの影響と考えられる。
平均株価が1万5000円台でも対前年比増加率がこのように低下してしまうのは、12年12月の平均株価水準がすでにかなり上昇していたからである。
「期待」は逆方向にも働く
今後はどうなるだろうか。[図表2]には、今後の日経平均株価が1万5000円で変わらないと仮定した場合の対前年比の推移も示してある。
図からはっきりわかるように、この仮定の下では、上昇率は、今後急速に低下する。
そして、2014年5月にはゼロになる。
平均株価が1万5000円台になったのが13年5月であったこと、また、この計算では今後の株価を1万5000円に固定していることから、こうした結果になるのは、当然のことである。
しかし、改めてそれを図で示されると、ショックを受ける人がいるかもしれない。
株価水準が下落すれば、誰でもバブルが崩壊したとわかる。
しかし、一定水準の株価が続いている限り、事態は均衡していると感じる。
しかし、株式投資が売買益目的のものであるとすると、株価上昇率がゼロに近くなってしまうというのは、株式が投機の対象として魅力を失うことを意味するのだ。
なお、ここの計算では「今後の株価が1万5000円を続ける」と仮定した。
実は、その仮定さえ問題となる。株式投資が売買益目的のものであれば、売買益を確定するための売りが発生するからだ。それは、株価を引き下げる。つまり、実際には株価は下落してしまう可能性が高い。
さらに、株価下落が予期されるなら、それが現実化しないうちに売り逃げるという行動が起きる。
その結果、価格下落はさらに加速される。
「資産価格については、期待が重要」と述べた。このことは、株価の上昇過程で上昇を加速するだけではない。
逆方向にも「期待」は強く働くことに注意が必要である。
資産価格と経済実態の関係が希薄化
2012年秋からの急激な円安によって輸出産業の利益が増加し、株価が高騰した。
これにより、多くの人が「日本経済は回復した」と感じた。賃金、設備投資、輸出などが不調であるにもかかわらず、「景気は良くなった」と感じたのだ。
株価の大きな変動が、そしてそれだけが、経済全体のムードに大きな影響を与えたのである。
資産価格の重要な特徴は、「期待」によって強く影響されることだ。将来株価が上がると多くの人が考えれば、買いが増えるので、実際に株価が上がる。
期待は、安倍晋三内閣が「大胆な金融緩和を行なう」と宣言したことで高まった。金融緩和が実際に効果を発揮したからではない。
円安は金融緩和によってもたらされたのではなく、国際的な投機資金の流れの変化によって生じたのだが、安倍内閣の発足がたまたまそれと重なったため、安倍内閣の政策が円安を引き起こしたとの錯覚が生じた。
13年4月には、異次元金融緩和措置が導入された。これについて、「市中に大量のマネーが供給されたため、経済活動が活性化し、好循環が始まった」と解説するのが一般的だ。
しかし、本来著しい増加を示すべきマネーストックは、ほとんど増えていない。金融緩和政策は偽薬にすぎず、緩和措置は「空回りしている」と言わざるをえない状況なのである。
経済には、実物の側面と資産価格の側面がある。
前者は、生産、消費、投資、そして輸出入などだ。
後者は金利、株価、為替レートなどである。これらは、相互に影響を及ぼし合う。
たとえば、資産価格の1つである金利は、実物経済の重要な構成要素である設備投資や住宅投資に影響を与える。
逆に、資産変数であるマネーに対する需要は、実物世界の主要変数である所得にも影響される(マクロ経済学では、実物側面を「ISモデル」で、資産価格を「LM」モデルで扱う。そして両者が金利や所得で影響を及ぼし合って経済全体の均衡が決まるとする)。
このように、両者は本来は一体のものだ。
しかし、ここ数年間の日本経済では、両者の関連が薄れている。資産価格面で大きな変動があるにもかかわらず、実物経済に影響が及ばないのである。
あるいは、期待が大きく変動したにもかかわらず、実体経済がほとんど影響を受けていないとも言える。
これは、データを見れば明らかなことだ。
まず、賃金が上がらない。他方で、円安によって物価が上昇している。
このため、実質賃金が低下する。また、設備投資は増えない。輸出量は増えず、貿易赤字が拡大している。
しかし、公共事業と住宅駆け込み需要によって、こうした実体経済の状況は覆い隠された。
消費税率が引き上げられ、大拡張した公共事業予算の執行が終われば、経済の実情はあらわになるだろう。
アメリカの金融緩和策QE3縮小とユーロ情勢の推移は、国際的投機資金の流れに大きく影響する。
そして、金利や為替レートが、これによって変動する。したがって、今後の為替レートがどうなるかは、大きな不確実性に包まれている。
13年に引き続き、14年においても、日本の株価は為替レートの動きでほぼ決まり、経済全体のムードに大きな影響を与えるだろう。
しかし、投機資金の流れは、きわめて予測しがたい。それは、マネーゲームの色彩が強く、実物経済の動きとはあまり関係がないからだ。
今後、円安がさらに進んで株高になる可能性も否定はできない。しかし、仮にそうなったとしても、実体経済は動かず、両者の乖離がますます認識されるようになるだろう。
日本におけるバブルの歴史
1980年代以降の日本における資産価格は、何度かのバブルを経験してきた。
第1は、80年代後半の不動産価格バブル。第2は、2006年から08年頃にかけての円安バブル。
そして、第3が2012年秋からの円安バブルだ。
これらのバブルは、[図表3]の株価の長期的推移にはっきりと見られる。

株価指数は、1989年暮れにピークを記録して以後、傾向的に低下を続けている。途中にいくつかの山を経験しながら、全体としては下落しているのである。
なお、図の下半分に示されている市場第一部の売買高を見ると、後の時点のバブルほど増えていることがわかる。
投資ではなく投機的な色彩が強くなって、回転売買が増えているのだ。
[図表4]の為替レートで見てもそうだ。なお、名目で見るより実質為替レートで見るほうがはっきりとわかるので、ここでは実質レートを示した。

これらのバブルを比較すると、いくつかの相違点も見られる。
まず、実体経済との関連は、後の時点のバブルほど薄くなっている。
実際、設備投資や輸出は、第1、第2のバブルでは増えたが、第3のバブルでは増えていない。
賃金は、第1のバブルでは上がった。しかし、第2、第3のバブルでは上がらなかった。
国際的な広がりの点でも差がある。
第1のバブルは、ほとんど日本国内のバブルだった。第2のバブルは、アメリカの住宅価格バブルと強い関連があった。第3のバブルは、ユーロ情勢やアメリカ金融緩和によって引き起こされた。
これは、海外からの投機資金が流れ込んだ最初のケースだ。
今回のバブルの今後はまだはっきりしないところがある。
しかし、株価の上昇が基本的に円安だけに支えられたものであり、実体経済での革新に支えられたものではないことは明らかだ。
生産性の高い新しい産業が生まれたために株価が上昇したのではないのである。
アメリカ金融緩和策QE3のテイパリングと、それによって引き起こされる新興国からの資金流出がどのような影響を与えるかが注目される。
だが、過去のバブルに比べて、実体経済がデフレ構造そのものを脱していないこと、市場に海外からの投資比率が非常に高くなって、投資よりも圧倒的に投機市場化していること。
アベノミクスのベースマネー異次元膨張が財政ファイナンスであることなどが次第に公然化しているなかで、偽薬効果が切れ始めている、化けの皮が剥がれ始めているとするなら、危険は大きい。
資産バブルは海外勢力によって、いとも短期間に破裂する可能性がある。
つまり、資産バブル崩壊が引き金となって、勤労者窮乏化のなかでインフレ、日本売りによる企業破綻、長期金利上昇で財政破綻の可能性が出てくる。
ーーーーーーーーーーーーー
株価を高騰させた「期待」が崩壊 ――対前年同月比は、すでに12月から急落 2/6 野口悠紀雄 ダイヤモンド・オンライン
新興国をめぐる国際的投機資金の流れの変調を受けて、世界各国の株価が暴落している。日本でも、株価の急落現象が起きている。
日本の場合、実体経済の本格的な回復ではなく「期待」によって株価が高騰してきた面が強いため、とりわけ変化が急だ。以下では、その背景を分析することとしたい。
13年春頃に高まった期待が、12月ごろから崩壊
人々の期待の変化は、[図表1]の株価水準の推移に明確に表れている。
13年春頃まで急上昇し、その後一進一退状態になった。株価が停滞したのは、13年5月頃以降、円安の進展が止まり、QE3テイパリング(金融緩和政策の縮小)の予想も広まったからだ。

ところで、株価については、通常、水準が問題とされ、上昇率にはあまり注意が払われない。
しかし、投機的な株式投資は、配当ではなく、売買益を狙うものだ。そうした投資で問題となるのは、価格上昇率である。そこで、株価についても上昇率を見ることが有益だろう。
[図表2]に示す株価の対前年比増加率には、「13年春頃に急騰した期待が、12月頃から崩壊」という経緯がより明確に表れている。
すなわち、対前年比は、13年の4月頃から急速に上昇した。しかし、5月末から6月初めに急落し、その後は一進一退状態となった。
ここまでは、平均株価の水準で見られるのと同じ変動を、より強調しているだけだ。
しかし、その後の推移は、株価水準とはかなり異なる印象を与える。平均株価は11月初めから12月末にかけて上昇したのだが、対前年比増加率で見ると、11月末にピークとなってその後は下落しているのである。これは、QE3テイパリングの影響と考えられる。
平均株価が1万5000円台でも対前年比増加率がこのように低下してしまうのは、12年12月の平均株価水準がすでにかなり上昇していたからである。
「期待」は逆方向にも働く
今後はどうなるだろうか。[図表2]には、今後の日経平均株価が1万5000円で変わらないと仮定した場合の対前年比の推移も示してある。
図からはっきりわかるように、この仮定の下では、上昇率は、今後急速に低下する。
そして、2014年5月にはゼロになる。
平均株価が1万5000円台になったのが13年5月であったこと、また、この計算では今後の株価を1万5000円に固定していることから、こうした結果になるのは、当然のことである。
しかし、改めてそれを図で示されると、ショックを受ける人がいるかもしれない。
株価水準が下落すれば、誰でもバブルが崩壊したとわかる。
しかし、一定水準の株価が続いている限り、事態は均衡していると感じる。
しかし、株式投資が売買益目的のものであるとすると、株価上昇率がゼロに近くなってしまうというのは、株式が投機の対象として魅力を失うことを意味するのだ。
なお、ここの計算では「今後の株価が1万5000円を続ける」と仮定した。
実は、その仮定さえ問題となる。株式投資が売買益目的のものであれば、売買益を確定するための売りが発生するからだ。それは、株価を引き下げる。つまり、実際には株価は下落してしまう可能性が高い。
さらに、株価下落が予期されるなら、それが現実化しないうちに売り逃げるという行動が起きる。
その結果、価格下落はさらに加速される。
「資産価格については、期待が重要」と述べた。このことは、株価の上昇過程で上昇を加速するだけではない。
逆方向にも「期待」は強く働くことに注意が必要である。
資産価格と経済実態の関係が希薄化
2012年秋からの急激な円安によって輸出産業の利益が増加し、株価が高騰した。
これにより、多くの人が「日本経済は回復した」と感じた。賃金、設備投資、輸出などが不調であるにもかかわらず、「景気は良くなった」と感じたのだ。
株価の大きな変動が、そしてそれだけが、経済全体のムードに大きな影響を与えたのである。
資産価格の重要な特徴は、「期待」によって強く影響されることだ。将来株価が上がると多くの人が考えれば、買いが増えるので、実際に株価が上がる。
期待は、安倍晋三内閣が「大胆な金融緩和を行なう」と宣言したことで高まった。金融緩和が実際に効果を発揮したからではない。
円安は金融緩和によってもたらされたのではなく、国際的な投機資金の流れの変化によって生じたのだが、安倍内閣の発足がたまたまそれと重なったため、安倍内閣の政策が円安を引き起こしたとの錯覚が生じた。
13年4月には、異次元金融緩和措置が導入された。これについて、「市中に大量のマネーが供給されたため、経済活動が活性化し、好循環が始まった」と解説するのが一般的だ。
しかし、本来著しい増加を示すべきマネーストックは、ほとんど増えていない。金融緩和政策は偽薬にすぎず、緩和措置は「空回りしている」と言わざるをえない状況なのである。
経済には、実物の側面と資産価格の側面がある。
前者は、生産、消費、投資、そして輸出入などだ。
後者は金利、株価、為替レートなどである。これらは、相互に影響を及ぼし合う。
たとえば、資産価格の1つである金利は、実物経済の重要な構成要素である設備投資や住宅投資に影響を与える。
逆に、資産変数であるマネーに対する需要は、実物世界の主要変数である所得にも影響される(マクロ経済学では、実物側面を「ISモデル」で、資産価格を「LM」モデルで扱う。そして両者が金利や所得で影響を及ぼし合って経済全体の均衡が決まるとする)。
このように、両者は本来は一体のものだ。
しかし、ここ数年間の日本経済では、両者の関連が薄れている。資産価格面で大きな変動があるにもかかわらず、実物経済に影響が及ばないのである。
あるいは、期待が大きく変動したにもかかわらず、実体経済がほとんど影響を受けていないとも言える。
これは、データを見れば明らかなことだ。
まず、賃金が上がらない。他方で、円安によって物価が上昇している。
このため、実質賃金が低下する。また、設備投資は増えない。輸出量は増えず、貿易赤字が拡大している。
しかし、公共事業と住宅駆け込み需要によって、こうした実体経済の状況は覆い隠された。
消費税率が引き上げられ、大拡張した公共事業予算の執行が終われば、経済の実情はあらわになるだろう。
アメリカの金融緩和策QE3縮小とユーロ情勢の推移は、国際的投機資金の流れに大きく影響する。
そして、金利や為替レートが、これによって変動する。したがって、今後の為替レートがどうなるかは、大きな不確実性に包まれている。
13年に引き続き、14年においても、日本の株価は為替レートの動きでほぼ決まり、経済全体のムードに大きな影響を与えるだろう。
しかし、投機資金の流れは、きわめて予測しがたい。それは、マネーゲームの色彩が強く、実物経済の動きとはあまり関係がないからだ。
今後、円安がさらに進んで株高になる可能性も否定はできない。しかし、仮にそうなったとしても、実体経済は動かず、両者の乖離がますます認識されるようになるだろう。
日本におけるバブルの歴史
1980年代以降の日本における資産価格は、何度かのバブルを経験してきた。
第1は、80年代後半の不動産価格バブル。第2は、2006年から08年頃にかけての円安バブル。
そして、第3が2012年秋からの円安バブルだ。
これらのバブルは、[図表3]の株価の長期的推移にはっきりと見られる。

株価指数は、1989年暮れにピークを記録して以後、傾向的に低下を続けている。途中にいくつかの山を経験しながら、全体としては下落しているのである。
なお、図の下半分に示されている市場第一部の売買高を見ると、後の時点のバブルほど増えていることがわかる。
投資ではなく投機的な色彩が強くなって、回転売買が増えているのだ。
[図表4]の為替レートで見てもそうだ。なお、名目で見るより実質為替レートで見るほうがはっきりとわかるので、ここでは実質レートを示した。

これらのバブルを比較すると、いくつかの相違点も見られる。
まず、実体経済との関連は、後の時点のバブルほど薄くなっている。
実際、設備投資や輸出は、第1、第2のバブルでは増えたが、第3のバブルでは増えていない。
賃金は、第1のバブルでは上がった。しかし、第2、第3のバブルでは上がらなかった。
国際的な広がりの点でも差がある。
第1のバブルは、ほとんど日本国内のバブルだった。第2のバブルは、アメリカの住宅価格バブルと強い関連があった。第3のバブルは、ユーロ情勢やアメリカ金融緩和によって引き起こされた。
これは、海外からの投機資金が流れ込んだ最初のケースだ。
今回のバブルの今後はまだはっきりしないところがある。
しかし、株価の上昇が基本的に円安だけに支えられたものであり、実体経済での革新に支えられたものではないことは明らかだ。
生産性の高い新しい産業が生まれたために株価が上昇したのではないのである。
アメリカ金融緩和策QE3のテイパリングと、それによって引き起こされる新興国からの資金流出がどのような影響を与えるかが注目される。
- 関連記事
-
- 経常収支は史上最悪、GDPは下方修正。剥がれ続ける化けの皮 (2014/03/11)
- 家計の貯蓄率が初のマイナスとなった (2014/03/08)
- 偽薬の一時しのぎは終わった:野口 (2014/03/03)
- 昨年後半から完全失速していた日本経済 (2014/02/19)
- 経常収支の赤字国とは? (2014/02/18)
- 金融緩和は偽薬、株価の前年比は12月から急落している:野口 (2014/02/07)
- アベノミクスは愚民政策-インフレと円安の結末:盛田 (2014/01/30)
- 人口オーナス社会と経済:吉田(上) (2014/01/27)
- 人口オーナス社会と経済:吉田(下) (2014/01/27)
- 円安は国益の幻想、120円/$なら日本はもたない:中原 (2014/01/24)
- 2014年消費増税、資産家は肥え勤労者は窮乏化し経済は縮む:耕助 (2014/01/19)
小沢氏2/3会見:政権に擦り寄るのは野党ではない
2014-02-07

衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表定例記者会見 2014年 2月 3日(月) 18:30
【 記者質疑 】
NHK ; 先ほど大阪の橋本市長が大阪都構想を進めるために民意を問いたいとして,辞職をして出直し市長選挙をやることを正式表明した。これについての率直な受け止めと,それに関連して,維新の会は結いの党と政策協議を進めているが,今回の件が今後の野党再編にどのような影響を与えるとお考えになるか。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
大阪都構想というのは橋下さんが当初からずっと主張し続けてきたことなので,その構想についての執着が非常に強いということは間違いのないことだと思いますし,それを...来年だっけ? 来年までに一本化して纏めたいというんだっけな。
NHK ; 4月から。秋に住民投票をして...
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
一本化して,来年には具体的にやって行きたいということなんでしょう。
そういう時期的なことを睨んだ上での,政治家としての判断ですから,とやかく言う話しではないと思います。それはそれで彼なりに,もう一度,市民・府民の声を聞こうということなんだろうと思います。
ただ,いわゆる行政,統治の機構・仕組みを変えていくためには,それは,国政で,地方自治法を始め,色々大改革をしなくちゃいけないことなわけですから,そういう視点から,維新の会の代表でもあるんで,また取り組んでいかれることと思いますけれども,現時点で本人が「何としても」ということであろうということを忖度(そんたく)しながら見守る以外にないだろうと思います。
それから,このことが即(野党)再編云々ちゅうことではないと思いますけれども。
維新の会の代表を辞めるとか,或いは何とかかんとか,ということになれば,維新の会の中での,どういう考え方が出てくるのか。それも,もう,他の政党のことですから,私には分かりませんけれども,国政と直接繋がるということになれば,それは維新の会という国政政党のポジション(が)どうなるかっていうことにもなるわけで,大阪市長の身分がどうこうという問題と国政は,関係ないだろうと思います。
朝日新聞 ; 民主党が,かつて掲げた看板政策についてゼロベースで見直しを始めると言っている。まだ正式に決まっていないが,俎上には,高速道路の無料化,年金の一元化,最低保障年金,16.8兆円の無駄削減による捻出など幾つかあるようだが,完全に旗を降ろすということではなくて現実的なロードマップを示すということかも知れないが,こうした見直しを今やることについて,民主党としては現実路線への転換ということのようだ。2009年の(民主党)マニフェストを掲げた当事者として,代表はどのようにお考えか。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
これも,もう民主党を離れてますから,党内でどういうような議論がなされ,どういうふうな結果が出るのか,私には全く分かりませんけれども,少なくても,民主党が政権についたのは,あのマニフェストを掲げて選挙戦に臨み,それを国民が支持してくれたから,民主党政権というのはできたんだと思います。
そして,政権に就いたのちには,それが今言ったように現実的でないという考え方なのか何かは,分かりませんけれども,民主党政権の中でマニフェストで訴えたことについて,充分な努力を怠ったということが,政権を失った理由じゃないかと,私は思っております。
私共としては,民主党がどうするかは別問題ですけれども,あのマニフェストで訴えたことは,たいへん画期的なことであり,また,非常に現実的に可能なことであろうと思っております。
民主党の歴代内閣でも「お金がない,お金がない。だから,マニフェストの実行はできない」 簡単に言うと,そういうことだったんじゃないでしょうか。 しかし自民党政権になりましたら,どんどん,どんどんお金は出てきております。
私は,最初から,お金については,無駄を省く,改革を実行するということによって,財源は充分ある,という主張でしたので,あとは賢明な記者諸君で判断していただければいいと思います。
岩手日報 ; 来週の民主党大会には(小沢代表は)出席されるか。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
お招きを受けたので,出席しようと思っておりますけれども。ただ,ちょうど政治塾の開催中でありますので,その辺の日程とも重なっておりまして,まだ最終決定はしておりません。
僕がもし仮に日程がやり繰りできなかった場合は,(衆議院議員 鈴木 克昌)幹事長に行っていただくということになると思いますが,いずれにしても現時点ではまだ最終決定しておりません。
NHK ; 補正予算が,明日にも衆議院を通過,与党側としては今週中に成立させたいという意向だが,生活の党として,この補正予算の賛否など,扱いをどのようにされるか。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
政策会議で色々と皆で議論したと聞いております。補正予算の中身については,色んな問題点があるということも指摘されたようです。
明日ですか,野党の幹事長,国対委員長会談かなんかがあるんじゃないかといってましたんで,そこで最終結論を出すと思いますけれども。補正予算そのものの中身については賛成できないという意見が多いんじゃないかと思います。
産経新聞 ; 山口県知事選挙について,高邑 勉(たかむらつとむ)さんからの推薦願いが来ていると思うが,対応はどのようにお考えか。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
それは此間,高邑(たかむら)さん自身もいらして,何としても知事選で自分の主張を貫いて頑張りたいということでしたので,以前の議員仲間ということも,之あり,推薦して頑張ろうということになったと思います。
共同通信 ; 東京都知事選挙に関して新たにまた世論調査をやったが,なかなか細川(護煕 )さんが伸びてこない状況 。どのように思われるか。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
共同は,終わったのか?
共同通信 ; 終わったと言うのは...?
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
その調査は(終わったのか)。
共同通信 ; ええ,調査は,この週末に...2回。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
ああ,終わったの。 もう発表したの?
共同通信 ; はい。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
(調査結果は)どんなんだったんだ?
共同通信 ; ええと(言いにくそうに)あの...舛添さんが...ブッチギリで...
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
発表したんなら,何言ったって構わないじゃない。発表したんだろ,もう?
共同通信 ; はい。あのう。その細かい数字までは出してないですけれども。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
遥かに舛添氏が引き離して,断然有利だと言う結果だったということ?
共同通信 ; そうです...
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
ふうん。まあ,世論調査がストレートに選挙結果ということではないとは思いますけれども,傾向として,そういうことだろうなあということは,おおよそ予想はついてことなんですけれども。
やはり,私共としては「各党の手伝いは要らない」と言うことだったんで。 どの党 もそうでしょうけれど,自発的にやれるだけのことはやろう,ということでして,ビラ貼りからハガキやらパンフレットやらその他そういった運動については我々は最大限の協力はして行きたいと,そう思っております。
朝日新聞 ; (都知事選)の関連で,明日(4日)から細川(護煕)候補が,朝の街頭演説を始めるそうだ。ちょっと遅かったような気もするが,1日2~3回ぐらいしか街頭演説がなかったようだ。舛添さんの方がはるかに数をこなしていた。この選挙活動のあり方についてどのように御覧になるか。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
朝日は,どう御覧になってるんだ? (少し 笑)
朝日新聞 ; やっぱり(街頭演説の回数を)沢山やった方が良いと思います。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
(少し笑) はああ。俺も,そう思う。(会場・爆笑) ははは(小沢氏も笑)
朝日新聞 ; 何故かなと思って。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
分かんないなあ,ちょっと。 本人に聞いてみないと。ははは(笑)
朝の街頭(演説)をやるというの?明日(4日)から? はああ。舛添さんは毎日5回10回とやってるんだろ。
東京は広いしねえ。そうとうやんないと廻りきれんよねえ。(頷く)
東京新聞 ; 最近,総理が施政方針演説で「責任野党論」というのを入れたり,野党側からも「責任野党として是々非々で」というような応答が予算委員会であったりする。今日(3日) 畑こうじ先生も,少し皮肉交じりに引用されていたが,改めて代表のお考えになる責任野党論を。
衆議院議員 小沢一郎 生活の党 ・代表
責任野党というのはねえ,皆が勝手に自分の思いで使ってますけれども,要は,本来の議会制民主主義における与党と野党のあり方ということでしょ。
ですから,民主主義は,政権を持っている政党と,そうでない野党の立場の政党と,お互いに基本理念,或いはそれから派生する政策,それが違うから与党と野党になってるんでしょ。一緒だったら,一つの政党になりゃあいいんで。
基本的な考え方が違うから,与党・野党という政党が存在するし,そういう意味において,今,数の上で自民党が圧倒的だから,もう何やってもムダだとか,或いは,与党に擦り寄った方がいいとか,与党と談合するのが野党の役目でそれが健全野党だというような考え方があるとすれば,それは全く,議会制民主主義を理解していない輩の言うことだと,私は思います。
私は,議席数にかかわらず,野党は,与党の基本的な理念・政治姿勢,そして基本政策,これと(は違う)自分たちの考えているそのものを,はっきりと,議会活動 或いは日常一般活動でもいいですけども,それで明確に主張していくことが,健全野党だと思います。
今,自民党が大きな数を得て,そしてなおかつ野党と与党とが一緒にネゴ negotiate(合意目的での協議をする)することが健全野党だというような発想は,何か,大政翼賛会的なイメージを抱いているのかなあ,という疑念を持つくらいに,ちょっとおかしな話しだと思います。
与党は何もそんな野党に諂(へつら)うこともないし,媚びることもないし。それで,野党はまた,権力に擦り寄ったんでは,何の野党の存在の意味も無いわけですから。
そこは,しっかりと,毅然として,自らの主張を貫いて,そして次の総選挙で判断してもらうということが,本来の民主主義のあり方だと思います。
はい,有り難う。
- 関連記事
-
- 小沢、堀茂樹対談:世界と日本(2) (2014/05/13)
- 小沢、堀茂樹対談:世界と日本(3) (2014/05/13)
- 小沢、堀茂樹対談:世界と日本(4) (2014/05/13)
- 小沢氏3/9講演、奈良:すべてに民主主義の認識を (2014/03/14)
- 小沢氏2/10会見:負けてはいない、逃した都知事選挙 (2014/02/12)
- 小沢氏2/3会見:政権に擦り寄るのは野党ではない (2014/02/07)
- 小沢氏1/21会見:細川氏を支援する (2014/01/23)
- 小沢氏1/8年頭所感 (2014/01/09)
- 小沢氏12/19早大講演(1)原発、TPP、外交 (2013/12/30)
- 小沢氏12/19早大講演(2)北東アジア、テロ、質疑 (2013/12/30)
- 小沢、堀茂樹対談Vol3(1)堀前説、秘密保護法 (2013/12/26)