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終わるはずのない原子力災害(2):独シュピーゲル紙

 終わるはずのない原子力災害:独シュピーゲル紙からの続きです。
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   終わるはずのない原子力災害 9/10 独シュピーゲル紙   

間違った場所に、間違った材料を使って、間違った方法で作られた、間違いだらけの貯蔵タンク
『動作不良』『しくじりの連続』『手がかりなし』これこそが福島第一原発の現在のテーマ
東京電力の対応のあまりのまずさに、唖然とする海外の専門家


  マルコ・エヴァーズ / デア・シュピーゲル(ドイツ) 9月10日 翻訳9/14「星の金貨」氏から

タンク

   ▽ 汚染水の漏出

これら急造されたタンクの内のひとつから汚染水の漏出が始まってから、監視要員がたった2名という体制の下では、事実を把握するまで数週間という時間が空費されてしまったものと見られています。

漏出の事実が確認された時点で、すでに300トンの高濃度汚染水が漏れ出してしまっていました。
事態を重く見た日本の原子力規制委員会は、国際原子力事象評価尺度(INES)の暫定評価をレベル3『重大な異常事象』に引き上げました。
この尺度における最高位はレベル7ですが、チェルノブイリ事故と福島第一原発事故の2つがこのレベル7に分類されています。

これらの貯蔵タンクについてはその構造上、耐用期限が目前に迫っているタンクがかなりの数に上ること、そして漏出を早期に発見できるセンサーが装備されているタンクの数が非常に限られていることから考えて、今後も漏出トラブルが続出するであろうことは、疑問の余地がありません

こうした状況について、『世界の原子力産業の現況(World Nuclear Industry Status Report)』の主要執筆者の一人である原子力専門家のマイケル・シュナイダー博士がこう断言しました。
これらは、間違った場所に、間違った材料を使って、間違った方法で作られた、間違いだらけの貯蔵タンクなのです。

動作不良
しくじりの連続
手がかりなし

これこそは、福島第一原発の現在のテーマのように見受けられます。

破壊された原子炉からは時折、未だに高濃度の放射性物質を含んだ水蒸気が立ち上っています。
(※ 2億4千万Bq/日)
福島第一原発においてはこうした漏出口を塞いでいるのがテープの類である以上、再びこの種のトラブルの再発は避けられそうにありません。

シート

放射能汚染水の問題に至っては、地下水に紛れ込んで漏出してしまったため、いったいどれ程の海洋中に入り込んでしまったのか、数値的な把握など不可能です。
この問題については、外部の専門家などから繰り返し指摘があったにもかかわらず、東京電力は問題の存在を頑なに否定し続けてきました
しかし事態がここに至ってしまった以上、東京電力の広瀬社長は福島県沖の漁業資源に悪影響を及ぼしてしまったことを、謝罪しないわけにはいかなくなりました。

まるで日替わりメニューのように次から次へと発生する福島第一原発のトラブルはいずれも深刻なもので、これらの問題に対応するため、東京電力は本来取り組むべき事故収束・廃炉作業には手も付けられずにいます。
ケルンにあるドイツ原子力発電所・原子炉保安協会(GRS)のマイケル・マクア氏がこう語りました。

彼は東京電力のあまりの対応のまずさに、驚きを隠せずにいます。
「もしこれが学校での課題で私が採点する立場なら、東京電力の関係者全員、落第の瀬戸際に立たされているでしょう。」
マクア氏はこうため息をつきました。

福島の状況を好転させるべく、現在日本政府はこれまで試みられたことの無い取り組みに国の予算をつぎ込もうとしています。

その計画のひとつが、汚染水の海洋流出を止めるため、原子炉建屋・タービン建屋と海の間に金属製の防護壁を建設しようというものです。

   ▽ どう考えても、うまくいくとは思えない

さらに東京電力は2015年までに、原子炉建屋・タービン建屋の周囲など原子炉施設周囲1.4キロの土地を地下まで凍結させる『永久凍土』対策を実施し、地下水の流れ込みを阻止することによって、作りだされる汚染水の量を大幅に減らそうとしています。
この技術はこれまで鉱山業などで使われてきたものですが、これほど大規模に、しかも数年間という長期間にわたって実施された例はありません。

遮水壁

我々からすると、どう考えてもうまくいくとは思えません。
マクア氏がこう語りました。

ドイツの原子力産業界に籍を置き、実際に原子力発電所で働く別の技術者も、この計画を批判しました。
彼によると、凍土層を原子炉建屋・タービン建屋の周囲に作る場合、底の部分も凍結させて『蓋』をした状態にしない限り、水の浸入を防ぐことはできないと指摘しました。

1,000基に上る貯蔵タンク内の汚染水については、たった一つ、根本的な解決方法があります。
特殊なフィルターを使用して、主要な放射性物質を取り除き、浄化した水を海に放出することです。

そのためには特殊なフィルターのついたろ過装置を使い、セシウムやストロンチウムなど、ほとんどのの放射性物質を取り除くことが可能です。

ただし、たったひとつ、半減期が約12年、物理的に10分の1になるまで41年と、他の放射性物質と比べれば崩壊の速度が早く、その分懸念が少ないと言えば少ないトリチウムだけは除去することはできません。
放射性トリチウムはフィルターでは除去することは出来ないのです。

漁業関係者にとってはまさに頭痛の種のこの『浄化済み』汚染水の海への放出については、少しずつではありますが、日本の人々も覚悟し始めました。

ところが、東京電力はこの問題についても、まともな対応ができない会社であることを白日の下にさらすことになったのです。

東京電力は最近になって大規模な汚染水の浄化装置を完成させましたが(※ALPS)、それすら会社の危機管理能力に対する信頼を取り戻すために、どんな貢献もしませんでした。
稼働し始めて間もなく異常が見つかり、仕事らしい仕事をしないうちに再び停止してしまったのです。
この装置は春先にもいったん稼働したものの、水漏れを起こして停止してしまい、本体にはサビが浮き始めていました。

東京電力の内部改革委員会に籍を置くデール・クライン氏は、歯に衣着せぬ発言を行いましたが、再び日本に向け旅立つことになっています。
しかし東京電力は今回もまた、クライン氏の発言によって幸せな気分になることは無いでしょう。

クライン氏は、福島第一原発の現場において正しい知見に基づく、的確な事故収束作業を行うために、海外の専門家を加えた新たな会社を設立する必要があるとしています。

クライン氏は確信を深めています。
目の前の困難な課題である汚染水問題に限っても、東京電力には解決する能力は無い、と。
福島第一原発の事故作業、それは『次の10年』のために今どう対処すべきか、その事にかかっているとクライン氏が語りました。
〈 完 〉
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東大親米高級官僚-尻尾官僚-一般人で異なる善悪基準

 権力者も一般人も「同じ人間だ」と教えられますが。
 それは違います。
 金銭亡者も権力亡者も、一般人を「同じ人間」などとは思ってもいません。
 錯覚しているのは一般人の方だけです。

 教育とテレビ新聞などで「皆同じ人間だ」と吹きこまれているだけです。
 この錯覚が一般庶民を服従させ、洗脳させているわけです。
 本来は一般庶民の側も、彼ら金銭と権力のエリート階級を、同じ人間ではないと。つまり同じ勤労階級や中小自営業などの層が「同じ人間」であって、彼らはエリートはせいぜい「ギョロ目の爬虫類」くらいに考えるべきと思います。
 それが「意識性」というものでしょう。

 民主主義とか公正な行政とかの概念も、彼らの頭のなかではエリートの中だけの民主主義、公正であり、一般庶民も含めた民主主義とか公正な行政などとは考えてもいません。
 あくまで教育とマスコミだけの仮想洗脳です。
 一般庶民を含めて民主主義の制度を考えているのは、政治家では小沢一郎氏とそのグループくらいでしょう。

 欧米でも事情は同じで金銭亡者、権力亡者の中で歯に衣を着せない軍産複合体、シオニストは「帝国主義支配に都合の良い制度が民主主義だ。」と言い切っている。
 「戦争屋の理屈、シリアで化学兵器」。

 日本を強権的に牛耳る官僚機構も同じであるが、彼らが公正な行政、民主制度と考えているのは東大・親米の高級官僚の内部での公正、民主である。
 検察権力の場合は東大親米以外の官僚には適用されないし、政治家にも適用されない。一般庶民にはもちろん適用されない。
 一般人の場合は社会的抹殺につながる冤罪でも公然と通る。
 東大親米以外の官僚ならば妥当に尻尾きりで抹殺する。
 東大親米の内部ならとがめもしないで、そのままエリートと言う事実である。

 陸山会事件と郵便不正事件は同じ証拠改ざん事件であるが、改竄の罪の問い方は大きく異なっており、この国の官僚機構を牛耳るグループの考え方と、その権力実態がよく表れている。
 東大親米高級官僚-尻尾官僚-一般人で善悪の基準が異なるこの国は、民主主義でも法治国家でもない。まさしく中世の王政と官僚制である。
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   大阪地検特捜部・証拠改竄事件の完全終結 10/15 闇株新聞

 大阪地検特捜部の証拠改竄事件で、実際に改竄した前田恒彦・主任検事(当時)の「犯行」を認識しながら隠ぺいしたとして犯人隠避罪で起訴されていた大坪弘道・特捜部長(当時)と佐賀元明・副部長(当時)が、10月8日に最高裁への上告を断念しました。
 これで執行猶予つきの有罪判決が確定しました。

 発生から3年で、証拠改竄事件が完全に終結したことになります。

 当の前田恒彦氏は服役してすでに出所しており、証拠改竄の舞台となった郵便不正事件で逮捕されていた厚生労働省の村木厚子氏は無罪となって復職し、トップの事務次官に昇進しています。

 これで事件そのものが完全に風化してしまうはずですが、本誌の「思うところ」をもう1回だけ書いておくことにします。

 まず郵便不正事件も証拠改竄事件も犯人隠避事件も、すべて「官僚組織の中の特殊な事件」です。
 これをもって検察庁を含む官僚組織の一般庶民に対する対応が改善されるわけでもなく、どこまでいっても「庶民感覚から大きく遊離している」のです。

 まず、最初に郵便不正事件で逮捕されたのが高級官僚の村木氏ではなく一般庶民だったら、そもそも証拠改竄事件も犯人隠避事件も「全く」問題にならず、粛々と裁判で有罪となっていたはずです。
 万一無罪になっても(ありえませんが)逮捕された段階で失職し、復職とか昇進は全く不可能だったはずです。

 それでは、なぜ逮捕されたのが村木氏だったのか?
 ですが、村木氏は女性で大学も高知大学卒ですが有能で人望もありました。
 これが東大卒のエリート官僚の「妬み」を集め、嵌められてしまったのでしょう。

 さらに検察庁からみれば、「間違って逮捕してしまった」のが高級官僚の村木氏だったので、何かしらの「落とし前」が必要となりました。
 厚生労働省(実際は厚生省)は、戦前に圧倒的な権力を保持していた旧内務省であり、官僚組織としては「ゴメンナサイ」では済まされなかったのです。

 その「落とし前」をどうしようかと考えていたときに、
 うまい具合に?証拠改竄が出てきたので検察庁をあげて「大騒ぎ」し、主任検事1人の「身柄」だけでは足りずに、上司2名の「身柄」まで確保してしまったのでしょう。

 付け加えておきますと前田・元主任検事は広島大学卒、大坪・元特捜部長は中央大学卒、佐賀・元副部長は専修大学卒で、見事に東大卒のエリート検事(官僚)ではありません

 ここで最大の疑問は、なぜ前田・元主任検事はそんな「幼稚な」方法で証拠改竄を行ったのか?です。
 天下の特捜部がその気になれば、もっと巧妙な証拠改竄ができるはずです。
 証拠改竄事件とは、「全く違ったもの」だった可能性があります。

 前田恒彦氏は出所後、ブログなどで積極的な情報発信をされていますが、ここのところだけは「絶対に」触れません
 また元上司である大坪・佐賀両氏の犯人隠避裁判では、積極的に元上司の「有罪」を裏付ける重要証言を行っています。

 つまり前田氏も大坪氏も佐賀氏も、誰一人として検察庁と「全力で戦っていない」のです。
 まだ官僚体質が抜け切れていないのでしょう。したがって、どこまでいっても「官僚組織の中の特殊な事件」だったわけです。

 その前田氏が「憤っている」のが、検察庁が陸山会事件で検察審査会への調査報告書(など)に虚偽を記載していた事実です。

 虚偽の報告書を作成した田代・元検事(不起訴処分で退職)や、それを主導した佐久間達哉特捜部長(当時)らが、形式的に軽微な処分があっただけで逮捕も起訴もされていません

 田代・元検事は早稲田大学卒なので「詰め腹を切らされた」のですが、佐久間氏は東大卒で、しかも在米大使館の一等書記官を経験している「エリート親米検事」なので、当然のように検事総長レースに復帰しています。

 いくら前田・元検事が「憤って」も、嫌疑をかけられて首相になるチャンスを逸した小沢一郎氏は高級官僚ではないので(政治家ですが)、村木氏のように処遇されず、検察庁も「落とし前」をつける必要が全くないだけなのです。

 すべて非常に後味の悪い事件なので、これ以上は取り上げることもないと思います。
佐久間
 虚偽報告書の犯罪者、佐久間某
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