民の悲鳴が聞こえぬか!:亀井静香
2013-10-25

安倍総理! 民の悲鳴が聞こえぬか! 亀井静香 10/23 月刊日本編集部
安倍総理は夢遊病状態だ
―― 安倍政権がついに消費増税に踏み切った。一方、政府与党は法人税減税を検討している。
亀井 今の政治というのは絶望的だ。まったくおかしな事になっている。
庶民の寂しいフトコロに手を突っ込んで、儲かっている企業には減税をするなんて、日本の歴史上まれに見る悪政だ。江戸時代の悪代官だってこんな無慈悲なことはしなかった。
こんなことをすればどんな結果になるかわかりきっているからね。
消費は必ず冷え込むし、そうなれば経済全体も下がっていく。国民生活の水準はどんどん落ちていくよ。
安倍総理だって、こんなことをすればどんな結果になるかわかっているんだ。
だけども自分ではどうすることもできない。夢遊病者みたいな政治家になってしまったんだな。
現実とは関係なく体が勝手に動いている。
置かれた立場の中でいたずらに右往左往しているだけだ。人間としてはいい人なんだが、政治家、とりわけ総理としての資質には欠けると言わねばならん。
―― しかし各種世論調査では消費増税賛成の声が過半数に達している。
亀井 それは国民がおかしくなっているということだ。
政府が自分たちの財布に手を突っ込んでくるのを喜ぶなんて、自分たちが何をされているのかわかっていないからだ。
今の政治家、政党はおかしい、頼りにならない、あてにならない、嘘つきばかりだという声はよくあるが、結局、そういう政治家を送り出している国民がおかしいということなんだ。
消費増税という痛みに耐えて財政規律を、という議論もあるが、消費税率を3%から5%へ上げた97年橋本内閣の失敗から何も学んでいない。
国民の所得が落ちていく中で税率だけ上げたって、税収は増えるわけがない。
消費が冷え込めばますます税収は落ちていく。小学生でも分かる話だよ。
経済というのは消費と投資でまわっているという当たり前のことをみんな忘れている。
税収を増やすには消費を増やすしかない、経済を活性化するしかない。
日本には一億二千万人という巨大な内需があるというのに、それを活かそうとしていない。
経済を冷え込まさないように法人税減税をするというが、今の企業は内需を掘り起こすことなんか考えていないじゃないか。
外国に投資し、外国で物を売ろうとばかりしている。
結局、いくら法人税を下げても、企業の資金は日本に還流せず、外国に出て行くだけだ。
今は一部の富裕層の消費が増えているという話もあるが、たかだか国民の2%程度の富裕層の消費効果なんて微々たるものだ。
その他の90%の国民の需要を刺激しなければ経済は好転しない。
その90%というのは、地方の中小、零細企業だよ。そこに金が回るようにしなければ意味が無い。
だが今の公共事業の構造はスーパーゼネコンが独占し、地方零細企業にまで資金が回らなくなっている。
アベノミクス、異次元緩和と言っているが、その資金が実体経済、地方の産業に回って行かないんだ。
どこへ行くかというと、株式市場であり、米国債の買い支えなんだ。
結局、国民の仕事に直結しない、だから収入も増えないどころか減っていく。
こんなことでは国家は維持できませんよ。
―― 消費増税ではなく、国民に仕事を創出し、収入を増やし、需要を喚起する必要がある。
亀井 それと今、市中に眠っている資産が市場に出回り、国内を循環させるようにする工夫が必要だ。
銀行にも預けられていないタンス預金、アングラマネーも含めた隠し資産というのは2000兆円以上ある。
こういう金を吐き出させる仕組みを作ればいい。
たとえば無利子国債も検討する価値がある。利子がつかない代わりに相続税を免除するなどして、眠っている死に金を消費に回るように仕向ければ良い。
相続税による税収なんて2兆円程度だから、2000兆円以上が市中に出回る経済効果のほうがはるかに大きい。
こういう話をするとすぐにあれこれ難癖をつける奴が出てくるが、細かいテクニカルな話はあとで考えればいいんだ。政治家の仕事は、大きな方向を決めることだ。
その方向がしっかり決まれば、細かいところを官僚が詰めるんだから。
今は政治家自体が小役人みたいな発想になっていて、何も大きな方向性を示せていない。
増税といえば、本当は大手メガバンクなんかに真っ先に課税すべきなんだ。
かつて国から支援を受けておきながら、今、メガバンクは利益を出しても税金は払っていないからね。
それに、相続人のいない老人が資産を銀行に残したまま亡くなると、その資産は銀行の利益になる。
こんなふざけたことが横行している。死に資産が銀行の利益になるぐらいなら国が接収すればいい。
知恵を絞ればいくらでも税収を増やす方法、経済を良くする方法はあるんだ。
人類は文明から復讐を受けている
―― しかし政府も国民も、ジリ貧の方向へ向かっているように思える。
亀井 これは日本だけではなく世界的傾向だ。人類全体が抱えている問題なんだ。
人類は今、文明によって復讐を受けているんだよ。
文明というのは人間の欲望を肥大させてきた。カネよカネよとカネだけを追い求めるから、企業はなるべく人を安く使おうとする、官僚は庶民の寂しいフトコロからさらにカネを搾り取ろうとする。
カネによって精神が退廃していくんだ。その行き着くところが原発じゃないか。
福島では原発処理もできていない、放射能汚染水も全部垂れ流しだ。
にもかかわらず、地震大国のトルコに原発を売り込もうとしている。これは完全なモラルハザードだよ。
カネさえあればという精神がこんな事態を生み出してしまう。
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国債市場ではない、酷い談合ムラだ:匿名座談会
2013-10-25
あまりにも知られていない日本国債市場の闇。
自由な売買による均衡の形成などとは、何の縁もない「談合ムラ」である。
これを「市場」と呼ぶこと自体が、素人騙しである。
本来、債券も売買の需給によって金利が均衡され、国債の場合も金利の上下に反映されて、発行調節(期間、額、時期の調整)が為されるのだが、また現在もそうした調整はしていないかと言えば「してる」と言うだろう。
ところが、市場の実態が「談合ムラ」ということでは、目安に正直な、実態を反映した金利が認識されないことになる。
あるべき指標が隠蔽されている、危険な入札方法である。
例えば、需要の実際の増減をどう把握するのか。
現在の国債金利は異様な低利に向かっているが、臨界点(10年もので0.3くらいか)を超えて下がる、つまりマイナス想定から反発急騰(価格急落)の危険に対処するにも「手足が無い」ということだ。
目安のない調整などと言うつもりはないだろう。
ただの「談合」なのだから。
ーーーーーーーーーーーーー
【匿名座談会】銀行と証券の壮絶バトル!国債ムラのタブーを大放談 10/12 週刊ダイヤモンド
狭く、閉ざされた世界のために、普段は間違っていると思っていても、言いたいことをなかなか言えない国債ムラの住人たち。そこで、決してメディアでは明かすことのない、ため込んでいる本音をぶちまけてもらった。
座談会出席者
A氏 証券会社の国債トレーダー
B氏 証券会社の国債営業マン
C氏 メガバンク担当者
D氏 大手銀行幹部
E氏 証券会社の債券運用幹部
──国債市場は特殊な世界だと。
A氏 マーケットじゃないんだって、結論から言っちゃうと。プレーヤーの数は少ないし、今や3メガバンクで成り立ってる。
個人投資家は参入しにくいし、閉じたムラ社会だよ。やってることも、ただの牧歌的な配給制度みたいなものだから。
B氏 この年限エリアのこの国債はあなたね、ここは…はい、あなたね、みたいな感じで、関係者間で分け合う。誰がいくら買うか、だいたい決まってるから。
で、同じ10年債でも誰が買ったかが重要で、そういうゲス(推測)が必ず行われる。「第○回債」って言葉でやりとりするのも、米国債では考えられない。
A氏 でもそれがわかってないと、怖くてトレーディングなんてできないくらい狭い世界なわけ。
そもそもね、トレーダーが相場張ったらダメなわけよ、お上である財務省ににらまれるから。
みんなそこしか見てなくて、自分で考える習慣がない羊さんみたいな投資家ばっかり。「いくらで買いたいんですか?」「下がったら買いたいメー」って(笑)。
C氏 僕らは相場の安定も当然、考えなければなりませんから。トレーディングも、あまりやりません。
A氏 俺がメガだったら、大量に売って、大暴落したところで買い戻すよね。
まあ、メガがちょっとでも動くと、取引金額がでか過ぎて他の投資家は負けちゃうから、地銀もメガの動向を見ながらコバンザメのように動いてるわけだけど。
B氏 効率的なマーケットって、多様な参加者が値段を試し続けて、均衡点を探るもの。
でも、誰も均衡点を探ろうとしてない思考停止状態。
だって、朝、誰も経済指標なんか見ていないんですよ。そんな国債市場ってあり得ます? 「そういえば今日、日銀短観でしたね」って、みんな夕方話してますから(笑)。
内輪の需給だけで決まるマーケットですよ。
E氏 年金基金とかゆうちょ銀行とか、パッシブ運用の人たちいますよね。これってただの雇用対策で、人間がやる必要ないんですよ。指標に合わせて機械的に買ってるだけで。
A氏 競争入札といっても、固定シェアで国債を引き受けさせるシンジケート団制度のころと、実はあまり変わってない。なのに、あたかも市場のふりをしてる。で、なぜか投資家であるメガが「業者です」みたいな顔して平気でプライマリーディーラー(PD)に居座ってるわけ。
D氏 悔しかったら業者(証券会社)がもっと落札して、在庫抱えればいいんじゃないですか。でも、証券会社だけではそこまでリスクを取れないわけでしょ。
B氏 そっちこそ債券ディーラーなのに、売値と買値を投資家に提示する義務を果たしてないじゃん。
C氏 まあでも、業者も僕ら投資家のおかげでもうかってるんですから。いまさらそんなこと言われてもね。
A氏 そういうことを言っているんじゃなくて。当時はそうでもなかったけど、今や市場化してはいけないような借金水準なんだってことだよ。
今の巨額の国債発行量をこなしていくには、なんらかの社会コンセンサスがないと無理な領域になってきてる。
国債市場は、もはやちょっとした値動きも許容できる余裕はないんだからさ。
これって、もう市場メカニズムで動かしてはいけないってことでしょ。
E氏 発行する国債の安定消化が最優先の財務省は、本当はシ団制度を復活したいはず。
でも運用部ショックっていう衝撃的な事件があったから、嫌々ながらも、シ団よりも効率的な「市場」で供給するしかない、とかじを切らざるを得なくなったわけ。
でも、安定的に国債を買ってくれる銀行を保身でPDに入れたりした。短期的な安定を選んだんですよ。
B氏 結局、財務省や銀行、証券といった一部のエリートたちが計画を作ってやっていく、という考え方のまま。例えば、業者の落札ランキングを出してるの、日本だけですから。
そういう受験に慣れた人たちが、「俺たちエリートだよね」って偏差値競争するわけ。
みんな、先生(お上)にほめられたいの。
A氏 PDの会議もさ、政府に指名されたナントカ委員と一緒。選ばれることに意義がある。
でもマーケットって、そもそも参加者が顔を合わせてやることじゃないんだよ。ポーカーと一緒なんだから。
B氏 でも「そんなの怖ーい」とかいって、みんな居心地がいいから談合のほうに行ってしまう。
相場で勝って「取り返してやろうじゃないか」っていう半沢直樹は、やっぱり銀行にはいないんですよ。
──そこに日本銀行が突然、談合を破壊しにやって来た。
C氏 確かにそれまでは談合がうまくいって、平和な時代でした。
B氏 でも、今は政策効果で金利は低下して安定してるって日銀は言ってる。でもそれ、取引がなくなっただけなんですけどね。
C氏 日銀は、流動性が低下していることについては心配していますよ。今も相談していますし。
A氏 出た、その蜜月ぶり。メガはお上と一蓮托生ですもんね。
C氏 それは銀行のプレゼンスに対するやっかみでは? うちは、日銀にも財務省にも協力します。たとえ国の政策が間違っていたとしても。
D氏 日銀の政策には根拠はなくて、信じればうまくいくっていう世界ですよ。でも表向きは、日銀と共に歩むしかない。
C氏 僕らがまだ国債をこれだけ保有しているのは、財政を何とか是正しようっていう政府の意思があるからです。まあ、安心してくださいよ。うちは絶対売りませんから。
E氏 本当にそうでしょうか。国家財政がとんでもないほうに向かっているのに、金利低下に依存して、政治家は何もしようとしてませんよ。
B氏 こういうゆがんだ市場って、ギリギリまで平和なのよ。暴落も10年、20年先の話。
でも、社会保障費の問題があり、成長を前提にしたモデルを変えられずにいる。
今後20年は矛盾が拡大し続けて、それ以降は借金だけたっぷりという世界が確実に待っているのに。
A氏 社会保障は先進国すべてが抱えている問題だけど、日本が10年先行している。
成長が減る中、今後どうするのかという話を今、日本は真剣にしてる?
だって、人口減るんだよ。
成長戦略なんて、それこそシャーマニズムの世界で、ごまかしてるだけ。全然、論理的じゃないよ。
B氏 でもさ、今まで半年間、政府・日銀に付き合って、お上が言うように景気がよくなって貸し出しも増えて、株も上がってるなら、国債を手放してもよかったのかもしれないけど、そうはなり切れてないし、ならない可能性がありますよね。
E氏 銀行も生保も、余ったカネの振り先がないでしょう。やはり、国債に回帰するしかないのでは。
でも、日銀が国債保有残高の目標を決めているし、その達成に協力するためには、日銀に国債を売らないといけない。
メガは表向き、国債回帰の動きは取りづらいんでしょう?
D氏 確かに、下期の運用収益の柱がないのは困っていますよ。
株価もちょっと不透明ですし。国債も量は買えないから、20年債とか金利の高い超長期債も買い始めています。
A氏 やっぱりこの国は、驚くほどカネ余りだからね。
本来は膨大な財政赤字のファイナンスは難しいはずなんだけど、個人がなぜかゼロ金利の預金に振り向けてるっていうのが根っこにある。
みんな、国外に逃げないんだよね。
E氏 預金が増えるから、たいして魅力的な商品でもないんだけど、結局は国債を買わざるを得ない。
でも日銀は「国債を買うな」って言ってる。
現場の下々は「この戦、負けるよな」ってわかってるんだけど、大本営は突撃しろって言ってる(笑)。
A氏 でもまあ、俺らトレーダーからしたら、お上が間違えたときが一番面白い相場になる(笑)。
国債の争奪戦になって、えたいの知れないところまで金利がいったんは下がるのは明らか。
その先の国債相場は……ドラマがあると思いますよ。
自由な売買による均衡の形成などとは、何の縁もない「談合ムラ」である。
これを「市場」と呼ぶこと自体が、素人騙しである。
本来、債券も売買の需給によって金利が均衡され、国債の場合も金利の上下に反映されて、発行調節(期間、額、時期の調整)が為されるのだが、また現在もそうした調整はしていないかと言えば「してる」と言うだろう。
ところが、市場の実態が「談合ムラ」ということでは、目安に正直な、実態を反映した金利が認識されないことになる。
あるべき指標が隠蔽されている、危険な入札方法である。
例えば、需要の実際の増減をどう把握するのか。
現在の国債金利は異様な低利に向かっているが、臨界点(10年もので0.3くらいか)を超えて下がる、つまりマイナス想定から反発急騰(価格急落)の危険に対処するにも「手足が無い」ということだ。
目安のない調整などと言うつもりはないだろう。
ただの「談合」なのだから。
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【匿名座談会】銀行と証券の壮絶バトル!国債ムラのタブーを大放談 10/12 週刊ダイヤモンド
狭く、閉ざされた世界のために、普段は間違っていると思っていても、言いたいことをなかなか言えない国債ムラの住人たち。そこで、決してメディアでは明かすことのない、ため込んでいる本音をぶちまけてもらった。
座談会出席者
A氏 証券会社の国債トレーダー
B氏 証券会社の国債営業マン
C氏 メガバンク担当者
D氏 大手銀行幹部
E氏 証券会社の債券運用幹部
──国債市場は特殊な世界だと。
A氏 マーケットじゃないんだって、結論から言っちゃうと。プレーヤーの数は少ないし、今や3メガバンクで成り立ってる。
個人投資家は参入しにくいし、閉じたムラ社会だよ。やってることも、ただの牧歌的な配給制度みたいなものだから。
B氏 この年限エリアのこの国債はあなたね、ここは…はい、あなたね、みたいな感じで、関係者間で分け合う。誰がいくら買うか、だいたい決まってるから。
で、同じ10年債でも誰が買ったかが重要で、そういうゲス(推測)が必ず行われる。「第○回債」って言葉でやりとりするのも、米国債では考えられない。
A氏 でもそれがわかってないと、怖くてトレーディングなんてできないくらい狭い世界なわけ。
そもそもね、トレーダーが相場張ったらダメなわけよ、お上である財務省ににらまれるから。
みんなそこしか見てなくて、自分で考える習慣がない羊さんみたいな投資家ばっかり。「いくらで買いたいんですか?」「下がったら買いたいメー」って(笑)。
C氏 僕らは相場の安定も当然、考えなければなりませんから。トレーディングも、あまりやりません。
A氏 俺がメガだったら、大量に売って、大暴落したところで買い戻すよね。
まあ、メガがちょっとでも動くと、取引金額がでか過ぎて他の投資家は負けちゃうから、地銀もメガの動向を見ながらコバンザメのように動いてるわけだけど。
B氏 効率的なマーケットって、多様な参加者が値段を試し続けて、均衡点を探るもの。
でも、誰も均衡点を探ろうとしてない思考停止状態。
だって、朝、誰も経済指標なんか見ていないんですよ。そんな国債市場ってあり得ます? 「そういえば今日、日銀短観でしたね」って、みんな夕方話してますから(笑)。
内輪の需給だけで決まるマーケットですよ。
E氏 年金基金とかゆうちょ銀行とか、パッシブ運用の人たちいますよね。これってただの雇用対策で、人間がやる必要ないんですよ。指標に合わせて機械的に買ってるだけで。
A氏 競争入札といっても、固定シェアで国債を引き受けさせるシンジケート団制度のころと、実はあまり変わってない。なのに、あたかも市場のふりをしてる。で、なぜか投資家であるメガが「業者です」みたいな顔して平気でプライマリーディーラー(PD)に居座ってるわけ。
D氏 悔しかったら業者(証券会社)がもっと落札して、在庫抱えればいいんじゃないですか。でも、証券会社だけではそこまでリスクを取れないわけでしょ。
B氏 そっちこそ債券ディーラーなのに、売値と買値を投資家に提示する義務を果たしてないじゃん。
C氏 まあでも、業者も僕ら投資家のおかげでもうかってるんですから。いまさらそんなこと言われてもね。
A氏 そういうことを言っているんじゃなくて。当時はそうでもなかったけど、今や市場化してはいけないような借金水準なんだってことだよ。
今の巨額の国債発行量をこなしていくには、なんらかの社会コンセンサスがないと無理な領域になってきてる。
国債市場は、もはやちょっとした値動きも許容できる余裕はないんだからさ。
これって、もう市場メカニズムで動かしてはいけないってことでしょ。
E氏 発行する国債の安定消化が最優先の財務省は、本当はシ団制度を復活したいはず。
でも運用部ショックっていう衝撃的な事件があったから、嫌々ながらも、シ団よりも効率的な「市場」で供給するしかない、とかじを切らざるを得なくなったわけ。
でも、安定的に国債を買ってくれる銀行を保身でPDに入れたりした。短期的な安定を選んだんですよ。
B氏 結局、財務省や銀行、証券といった一部のエリートたちが計画を作ってやっていく、という考え方のまま。例えば、業者の落札ランキングを出してるの、日本だけですから。
そういう受験に慣れた人たちが、「俺たちエリートだよね」って偏差値競争するわけ。
みんな、先生(お上)にほめられたいの。
A氏 PDの会議もさ、政府に指名されたナントカ委員と一緒。選ばれることに意義がある。
でもマーケットって、そもそも参加者が顔を合わせてやることじゃないんだよ。ポーカーと一緒なんだから。
B氏 でも「そんなの怖ーい」とかいって、みんな居心地がいいから談合のほうに行ってしまう。
相場で勝って「取り返してやろうじゃないか」っていう半沢直樹は、やっぱり銀行にはいないんですよ。
──そこに日本銀行が突然、談合を破壊しにやって来た。
C氏 確かにそれまでは談合がうまくいって、平和な時代でした。
B氏 でも、今は政策効果で金利は低下して安定してるって日銀は言ってる。でもそれ、取引がなくなっただけなんですけどね。
C氏 日銀は、流動性が低下していることについては心配していますよ。今も相談していますし。
A氏 出た、その蜜月ぶり。メガはお上と一蓮托生ですもんね。
C氏 それは銀行のプレゼンスに対するやっかみでは? うちは、日銀にも財務省にも協力します。たとえ国の政策が間違っていたとしても。
D氏 日銀の政策には根拠はなくて、信じればうまくいくっていう世界ですよ。でも表向きは、日銀と共に歩むしかない。
C氏 僕らがまだ国債をこれだけ保有しているのは、財政を何とか是正しようっていう政府の意思があるからです。まあ、安心してくださいよ。うちは絶対売りませんから。
E氏 本当にそうでしょうか。国家財政がとんでもないほうに向かっているのに、金利低下に依存して、政治家は何もしようとしてませんよ。
B氏 こういうゆがんだ市場って、ギリギリまで平和なのよ。暴落も10年、20年先の話。
でも、社会保障費の問題があり、成長を前提にしたモデルを変えられずにいる。
今後20年は矛盾が拡大し続けて、それ以降は借金だけたっぷりという世界が確実に待っているのに。
A氏 社会保障は先進国すべてが抱えている問題だけど、日本が10年先行している。
成長が減る中、今後どうするのかという話を今、日本は真剣にしてる?
だって、人口減るんだよ。
成長戦略なんて、それこそシャーマニズムの世界で、ごまかしてるだけ。全然、論理的じゃないよ。
B氏 でもさ、今まで半年間、政府・日銀に付き合って、お上が言うように景気がよくなって貸し出しも増えて、株も上がってるなら、国債を手放してもよかったのかもしれないけど、そうはなり切れてないし、ならない可能性がありますよね。
E氏 銀行も生保も、余ったカネの振り先がないでしょう。やはり、国債に回帰するしかないのでは。
でも、日銀が国債保有残高の目標を決めているし、その達成に協力するためには、日銀に国債を売らないといけない。
メガは表向き、国債回帰の動きは取りづらいんでしょう?
D氏 確かに、下期の運用収益の柱がないのは困っていますよ。
株価もちょっと不透明ですし。国債も量は買えないから、20年債とか金利の高い超長期債も買い始めています。
A氏 やっぱりこの国は、驚くほどカネ余りだからね。
本来は膨大な財政赤字のファイナンスは難しいはずなんだけど、個人がなぜかゼロ金利の預金に振り向けてるっていうのが根っこにある。
みんな、国外に逃げないんだよね。
E氏 預金が増えるから、たいして魅力的な商品でもないんだけど、結局は国債を買わざるを得ない。
でも日銀は「国債を買うな」って言ってる。
現場の下々は「この戦、負けるよな」ってわかってるんだけど、大本営は突撃しろって言ってる(笑)。
A氏 でもまあ、俺らトレーダーからしたら、お上が間違えたときが一番面白い相場になる(笑)。
国債の争奪戦になって、えたいの知れないところまで金利がいったんは下がるのは明らか。
その先の国債相場は……ドラマがあると思いますよ。
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小沢氏9/24インタビュー:現状と抱負
2013-10-25

政治の現状と抱負を語る 生活の党
9月24日小沢代表がニコニコ動画小沢チャンネルにてロングインタビュー。
「アベノミクスの危うさ」「政治家の資質」「生活の党の未来」「福島原発事故の対応」などについて語った。
敗北を乗り越え、政権交代と二大政党制実現に向けて、三年後の政権奪還をめざす
― 小沢代表、参議院選挙が終わり2か月が経ちました。今回の参議院選挙の結果を受けて、代表は、どの様なお考えを日本政治についてお持ちになりましたか。
小沢代表: 先般の参議院選挙については、昨年末の衆議院選挙の敗北を受けて、もう一度、政権奪還への第一歩にしたいという思いで取り組み、皆さんにも大変お世話になりました。
しかし、それにもかかわらず、総選挙と同じように、参議院選挙も勝利することができませんでした。
色々とご支援とご心配をいただいた皆さんには、本当に申し訳なく、お詫びをする次第です。
参議院選挙の敗北の事後処理と、次の衆参の選挙に向けての体制作り などで、色々と手間がかかり、皆さんに2か月ぶりにお目にかかるわけですが、長らくのご無沙汰をお詫びいたします。
私どもは、衆参負けてしまったから、しかたがないや、ということでは国民の皆さんに対する責任を果たせませんし、我々が何のために国民の皆さんに選ばれた国政政治家として活動しているのかが、分からなくなってしまいます。
このまま指をくわえて、遠くで眺めているような選択をする余地はありません。
特に、自民党が、得票数は伸びなかったにもかかわらず、小選挙区制度の結果でもありますが、衆議院では圧倒的な議席を確保しました。
自民党に対抗すべき野党は、それぞれ小さな政党に別れてしまい、この点についても、私どもの責任が大きいと、大変強く感じています。
しかしながら、選挙の結果をよく見てみると、衆議院選挙でも自民党は4年前の総選挙に比較して、票数が、国民の支持が増えているわけではありません。参議院の選挙も同様です。
衆議院選挙後に行われた首長選挙。一対一、自公とその他野党という対決では、ほとんど国民は自公ではない、我々が推している候補を、首長として選んでいます。
それらを勘案すると、国民はやはり、自民党、自公政権を積極的に望んでいるわけではなくて、これに対抗出来る、あるいはいつでも取って代われる健全な野党を望んでいて、政治そのものも、政権交代の行われうる状況を必要としています。
それこそ、民主主義のもっとも機能が発揮されるところであると思います。
次の総選挙、俗に3年後のダブル選挙と言われていますが、衆参の選挙で、もう一度政権交代を実現する。
政権を奪還する事によって、本当に日本に政権交代可能な議会制民主主義を植え付けていきたい、定着させていきたいと思っております。
それを目指し、今後全力で頑張っていきたいので、どうか皆様も二度の選挙に懲りずに、何としても皆様が今後とも、将来的に安定した生活が出来ますように、我々へのご支援をいただきますよう、心からお願いを申し上げます。
一党独裁から、政権交代可能な議会制民主主義の実現を!
― 小沢代表、大変力強いメッセージをありがとうございました。今のこの政治状況は、代表がおっしゃられた通り、一党独裁、一強他弱の状態になっています。
しかし、それにもかかわらず我々は政権交代を次に目指すという、力強いメッセージでしたが、一方で、この一強他弱の体制がねじれの解消につながり、迅速な政策の実現にも繋がるのではないかという、そういった見方もあります。
小沢代表は、自民党への対抗勢力のない場合、日本社会は混迷するともおっしゃっています。その混迷するという真意について、教えていただけますか。
小沢代表: これは非常に簡単な理屈で、
個人個人の人間をとってみても、会社であれ、政党であれ、誰も競争相手がいない、自分たちの地位にとって代わる人がいない。
自分たちのポジションは、権限・権力は、黙っていても自分のものだという事態になってしまうなら、人間は弱いですから、
結局、権力に溺れ惰性に流されてしまうのは歴史の示すところであり、多くの歴史の過ちがこのような特定の政治勢力によって、権力が握られた場合に不幸な結果になると、明らかに示しています。
民主主義は、それではいけないと。そのような過ちを起こさせないように、一つの政治権力が、国民にとって、国にとっておかしな政治をしたら、いつでも、もう一つのグループに取って代わられる。
あるいは国民が、もう一つの違うグループを選ぶ。
こういうところに民主主義の機能があるわけです。
私は政権交代可能な、議会制民主主義(の実現)を、主張してきたわけです。
自民党に代わる対向勢力を結集する、責任野党として
― 代表の言われた通り、確かに国民にとっては自民党に代わる対抗勢力が必要だと本当に思いますが、現在の野党の状況は、なかなか皆さん一緒になって一つの大きな受け皿を作ろうというような動きが十分に見えていない。このような状況の中で、小沢代表はかねがね、こうした野党の在り方に対して国民の側が、「(野党が)一緒になって、頑張れ」というようなことを求めてくるだろう、という予言をされています。
これは過去の政治的経験のなかから、そういった予言的な言葉に繋がっているのでしょうか?
小沢代表: 現状は、言われた通り、やはりそれぞれが自分の目先の利益に固執しています。
もっと大乗的な見地で政権交代可能な日本の道筋を作るのだと、お互いが力を合わせれば、いつでも自民党政権に代わって政権を取ることができるのですが。現時点では、なかなかうまく進んでいるようには見えません。
しかし、いわゆる安倍政権がアベノミクスという言葉に代表されるような、なんとはなしのムード(に流されて)、実態がほとんど伴っていないのにも関わらず、「景気が良くなった。良くなった」と言っています。
が、良くなっているのは特定の大企業で、多くの中小零細企業の皆さんは、誰に聞いても「景気がいい」という人はほとんどいません。
個々の勤労者の方々でも、その特定の大企業の正規社員だけがボーナスが上がったり、多少お給料も上がる事もあるかもしれないが、大多数の中小零細企業で働く人たち、また大企業でも非正規の皆さんの給料や収入は、決して上がっていません。
アベノミクスの恩恵は大企業のごく一部、格差は拡大する
小沢代表: ですから、今のままだと、格差がどんどん開いていく。
国民の皆さんは、なんとはなしに株が上がったとか、景気が良くなるのではないか、何か良いことが我々にも起きるのではないかと(期待して)思っておられる方が多いのではないかと思います。
現実には、どうでしょうか?アベノミクスの結果、株は上がったかもしれません。ですが、その株でうんと儲かったという人は、国民の何パーセントいるのでしょうか?
あるいは円安になって、生活が良くなったという人は、いるでしょうか?
ガソリンは、先日、発表があった通り、160円台で高止まりして、中近東で紛争がもっと激しくなれば、もっと高くなる可能性があります。
また、原油を原料とした色々な化学製品その他も上がっていますし、円安で食料とか飼料とか輸入品は上がっている。これからも多分、上がっていくだろうと思います。
そのように、国民一般の皆さんにとっては、とても浮かれている状況ではない(のが現実)でしょうかと、むしろ申し上げたい。
消費税は、これは民主党内閣の責任が大きいのですが、(彼らは)「社会保障の経費として充てる」と(言いながら)、無理やり消費税(増税法案)を通しました。
しかし皆さん、自民党、公明党はその論理を放棄してしまいました。
民主党も、今頃になって三党合意から離脱するとか、私にはよく意味が分かりませんが、そんな状況で多分、来年4月から消費税は上がると思います。
本当におかしな事に、「消費税が上がるから、そのための対策をしなくてはならない」という。公共事業をやったり、1万円ずつ、ばら撒きするとか。法人税を下げるとか。
そんなに歳出と減税をいっぱいするならば、増税する必要ないではないですか。何のために増税するのか。社会保障費にまわるお金が、なくなってしまうではないかと。
こういう論理矛盾を、平気で現政権はやっているし、それをメディアは何も指摘せずに、アベノミクス等をはやし立てている。それに国民の皆さんが、なんとはなしに浮かれているというのが、今日の現状だと思います。
私は、この事は、いつまでも続かない。必ず幻想に終わる日が近いと。
そうなれば、国民の皆さんも「なんだ!」ということになりますから、こんな政治ではなくて、本当に国民の生活が第一と、国民の生活を真ん中に据えて政治を行う政権が欲しいという状況に、私はきっと、国民の皆さんがなると思います。
そういう声を、その時、ぜひ大きくしていただいて、政治家の方も、自分の目先の利益ばっかりを言ってはいられなくなります。
必ず、「自公に代わる受け皿を、作ろうや」と、なると思います。
どうか国民の皆さんも、現実をきちんと直視されて、その時々のムードに流されずに、何が自分たちの為になるのか、どんな政権が自分たちの生活を守ってくれるのか。
そのことを自分自身できちんと判断してもらいたい。

政治は生活を守るためにある。政治家や政党を守るためではない
― まさに主権は国民にありと。ですから、国民の皆さんに立ち上がってもらうことが、一番重要かと思います。その意味で、日本においては野党についてのイメージが、最近でこそ民主党が出来たことによって、政権交代可能な勢力、自民党に代わる勢力と目された経験がありました。
長く野党というのは、野党自身が政権を取るとか、担うといった意思がなくて、むしろ政府の批判勢力というイメージが強かった。国民の中にも、そういうイメージが広がっているかと思いますが、代表のおっしゃる二大政党というのは、まさに、政権担当意思のある政党をもう一つ、最低でも、もう一つ作る。それこそが重要であるという。野党の意味は、そういう理解でよろしいでしょうか?
小沢代表: そうですね。半世紀以上に渡って、自民党中心の政権が続きました。
これは普通の民主主義国家では、起こりえない現象です。
日本だから、こんなことが起きた。
逆に言うと、日本はまだ民主主義国家ではないという事です。
それが、ようやく高度成長を終えて、バブルが弾け、本当に国民の生活に色々な厳しさが増してきた。
そういう中で民主党が国民の皆さんの期待を背負って、政権交代に至ったのですが、民主党にもまだ万年野党的な体質があったことと、国民の皆さんの為に官僚支配の政治を廃して、(真の国民の)代表たる政治家の政治主導(実現への)理解と意志が足りなかった。少なかったという事が、民主党政権の大失敗につながりました。
しかし私は、国民の皆さんに、政治家や政党の為に政治があるわけではなく、皆さんの生活そのものを守るために政治はあるのだと(申し上げたい)。民主党で一回失敗したからといって、「こんなもの、しょうがないや」とか、「なにをやっても、どうしようもないんだ」と、「自民党に任せて、放っておこう」というようなことになると、必ず、国内問題や国際情勢の大変化の中で失敗を、大きな失敗を、犯すことになります。そのことは歴史を振り返ってみるだけで分かることです。一回の失敗があったからといって、それを諦めずに私たちも、今度こそ失敗しないように、国民皆さんの期待に応えられるように、そういう勢力を是非作りたいと思っております。皆さんのお力添えを、是非お願いしたいと思います。
政権担当能力とは?勉強と鍛錬を重ねて、見識を磨き、大きな視野と理念目標を持つこと
― その政権担当能力ですが、政権交代を担いうる政党というのは、野党時代に代表のおっしゃるビジョン、政策はもちろんのこと、選挙に勝てるくらいの候補者や体制を作らなければいけません。
代表のおっしゃる通り、民主党の場合は政権を取ってからの運営が非常にうまくいかなかったので、それなら本来、野党時代にどのようにしたら政権運営能力を身に付けることができるのか。代表の政治経験から、ご指導いただければと思います。
小沢代表: 失敗の最大の原因は、やはり個々の政治家の鍛錬が不足していたこと。
見識と強い使命感、責任感が欠けていたことだと私は思います。
ですから3年後を目指して、国民の皆さんとの触れ合いや日常活動を、徹底的にやるのと同時に、自分の見識を磨く努力が候補者、政治家には必要だと思います。
皆さんも、一生懸命、日常活動をやっているかどうか、しっかりと見守っていただきたい。
同時に、この政治家が政権党の一員として資質、見識があるかどうかなども是非見極めて、叱咤激励し、支援していただきたい。
― かつて小沢代表は、野党時代の民主党代表時代に、自民党の福田総理との間において、民主党と自民党との大連立を目指そうとされたことがありました。
私など民主党の一員として、その時にはまったく代表のお考えが理解できなかったのですが、民主党政権の失敗を見ると、ああ、あの時大連立していれば、まさに今度ドイツでも大連立になるかもしれませんが、(大連立さえ)していれば、こんな失敗もなかったのではないかと、今もって反省しております。
あのように、一度、与党の体験をすることが本人の見識(を高め)、また政権担当能力を身に付けることができるものだと、理解してよろしいでしょうか。
小沢代表: それは、私があの時(感じた)思いの半分でした。
もう一つは、福田さんが憲法解釈や安全保障やその他について、あるいは政治主導の我々の考え方について、非常に柔軟な考えを示したのです。
ですから、民主党の政治家の修行の為に、また見識を磨くためにも、実際の政治を経験しておいた方がいいかなと。
それが民主党政権(樹立)への、むしろ近道ではないかと考えたわけです。
しかしながら、その当時は、皆が「(大連立には)絶対反対だ。反対だ!」と言って。
ところが後になってから、今度は、政権取ったら逆に「連立でもいい」みたいな話しをしたり。三党合意みたいなことをやってみたりで。
とにかく、やっていることの筋道が通らない不見識な言動が多かった。
だからこそ民主党政権は潰れてしまったのです。
― そうですね。残念ながら日本ではそのような形になってしまいました。ほかの国に目を転じてみると、先進国でも当然、二大政党制が実現している国が多くて、アメリカ、英国、フランスやドイツ等においてもそうですが、そういった先進国を見てみますと、政権交代をして政権に入った大臣や副大臣を政治的にサポートする、補佐体制をきちんと整備していて、100年以上の伝統をもって作っておられるそうですが、それによって自分たちの政策と官僚をうまく使って、果たすようにしています。
日本はどちらかというと、大臣が役所の中で孤立してしまって、大海の中の一粒ではとても政策を実現するのは難しい。
それが公約実現の困難さになったと思うので、今後日本でも政権交代が定期的に行われるようになっていく場合には、大臣を補佐するスタッフ体制が、代表も日本改造計画の中でおっしゃっています通り、必要ではないかと思いますが。如何、思われますか?
官僚を使いこなす一方、民間スタッフの両輪で大臣をサポートする
小沢代表: 必要なのですが、まずその前に、何度も言いますが、政治家自身が、いくら補佐官・スタッフをいっぱい付けたとしても、本人が訳けが分からないのでは、どうしようもない。
スタッフというと普通、政府に入れば官僚の諸君です。日本の官僚だって、きちんとうまく使えば、十分使えます。
けれど、長年の官僚機構という殻がありますから、それを抜け出して大胆にやっていく為には、やはり大臣の補佐をする。物理的にも、全省に目が届くという訳にもいきませんから、同じ考えを持つ民間からのスタッフを入れるのは大事だと思います。
それが両方合いまって、うまくいくのだと思います。
要は、スタッフであろうが官僚であろうが、使うのは大臣ですから。政治家ですから。
その大臣がしっかりしないことには始まらない。
僕は、その意味で是非、政治家も勉強してほしいと(思う)。
「勉強しろ」って言うと、お役人を呼んで枝葉末節の、ちまちました事ばかりを(政治家が)聞いている。
それはもちろん、個別の仕事をするときは細かいことも必要ですが、勉強というのは、もっと大きな視野と、政治家は理念目標を持って、やってきているはずですから。
きちんと自分自身で自分のものを持って、初めてそこから枝葉のことについての色々な判断が出来てくるわけで。幹がなければ、枝葉は出てきません。
(ところが)皆、枝葉のところから入ろうとする。
だから間違う。(まずは)大きな幹をきちんと自分自身で自分の中に育てて、それから個別の枝葉について、その幹の考え方に基づいて判断していく。
そういう意味での勉強をしてもらいたいと思います。
原発事故処理は国が全面に立つこと、このまま放置では取り返しがつかなくなる
― 来月中旬から、臨時国会が開会します。今、まさに代表がおっしゃった政治家の見識を問われたのが、福島第一原発の事故だったと思います。この事故については、代表はかねてより、東電任せではなくて、国が前面に立って放射能問題に取り組むべきだと、ずっとおっしゃってきました。
民主党政権では、どちらかというと東電任せ。
自民党の安倍さんになっても、この9月の上旬に汚染水問題では国が前面にある程度出るようになりましたが、実態としては東電任せの仕組みのままです。
これはまさに、政治家の見識が問われた問題だと思います。政権交代を目指す一員として小沢代表は、この問題に(対して)、もし我々が政府であったならば、どう対応すべきだったのか、どう対応すべきなのか、それについてのご見解を伺いたいと思います。
小沢代表: 福島の原子力事故の問題は、日本の将来にとって、非常に重大な影響を及ぼすものだと思います。
これを、もう何でもないかのように今、安倍総理は、オリンピックの会合に行って、「完全にコントロールしておりますから、絶対大丈夫です」などと言って、まるっきり嘘っぱちの話をしてきました。
しかし、現実に現場の人たちは「とてもコントロールできている、なんて状況じゃない」と言っています。
私もそうだと思います。
多分、放射能の汚染水は、海に本当にジャブジャブ漏れていると私は思っていますし、また、陸の方でも地下水に入ってきていると言わざるを得なくなりました。
隠して、隠して、隠してきているのですが、徐々に徐々に、少しずつですが、言わざるを得なくなった。
しかし実態は、もっとひどいだろうと思います。
そうすると、地下水は使用できなくなるし、海は放射能で汚染される。
国内のあの地域の地下水は、日本全国と繋がっていると言われています。
少なくとも、あの地域の人たちは地下水を利用できなくなるだろうし。
また汚染水と同時に、空気中には2億4千万ベクレルですか、一日に放出されて。
水の中も空気中も、どんどん汚染されている。
これを、このままで大丈夫です、なんてことを言って政府が放置していたら、私は取り返しのつかないことになると、日本の将来はないと思っております。
復興庁が現場の主体となり、徹底的に放射能を封じ込める。でなければ日本の未来は無い。
小沢代表: オリンピックだって、7年後ですか?
その間に、放射能の問題がもっと出てきたら(どうするのか)、既に外国では、いろんな論議を呼んでいます。
日本の原発の今の状況について、事故対応がおかしいと(批判する論調で)。
オリンピックも出来なくなるなんて事に、なりかねない。
復興庁が、震災に伴って出来ました。復興庁なんて作りましたけれど、役人のポストを増やすだけで、何の権限もない。ただ余計に、手続が増えるだけだ。
復興庁で話をして、お願いをして了解もらって、しかし権限も予算も何もないから、また所管官庁に行ってお願いして。
手続きが二重になるだけであって、復興庁は何も機能しなかった。
私どもが、もし、そういう組織を作るとしたら、全権限と、全原発を含めた復興の予算を復興庁に持たせて、そして地方に、我々の年来の要求ですが、予算を交付して、復興庁も支援しながら自主的な復興を行うとします。
原発の事故については、復興庁が現場の事業主体となって、徹底的に放射能を封じ込めると。
そういうやり方にすべきだったと、私は、そのように思っています。

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