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ムスリム同胞団と欧米帝国主義、エジプトクーデター

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   エジプト事情 クーデターの背景  8/1 「つれづればな」から
 (筆者はイスラム圏であるトルコに十数年の在住者。
 イスラム主義、イスラム社会主義、世俗のアラブ社会主義、世俗の欧米かいらい派と複雑に入り組むイスラム社会ですが、紐解くならば欧米帝国主義の利害対応による色分けが発生した。
 法としてのイスラム、社会意識としてのイスラム。大いに参考となります。)

エジプトで1980年代から長年続いたムバラク政権が倒れたのは去年のこと。
「現代のファラオ」と評されたムバラクが失脚したのを受けて大統領選挙が行われ、当選したムハンマド・ムルシーはエジプト初の国民に選ばれた指導者だった。

  ムスリム同胞団

ムルシーの所属するイスラム政治団体「ムスリム同胞団」はその名のとおりイスラム教の教義に基づく政治を志す組織である。
その歴史は古くエジプトにおけるイギリスの殖民支配が終焉を迎えた後に結成されて以来、幹部の暗殺や投獄などの弾圧を受けながらも草の根の活動を続けてきた。
その内容は民衆の教化(もともと教徒である民衆のイスラーム知識を深めること)、モスクや病院の建設、貧者救済という地道なものであり、世界に悪名高いアルカイダやヒズボッラーなどとは性質が違う。

組織は時とともに拡大を見せた。
その影響はシリアやパレスチナをはじめとするスンニ派のイスラム諸国に広く及ぶ。同胞団のパレスチナ支部であるハマスは武装部隊であったが現在は穏健化し同国の政権政党になっている。

かつてのハマスのように同胞団の中には武装派がいくつか存在する。
中東不安定化を目論む西欧が巧みに彼らを利用したことから多くの血が流れた。
ウサマ・ビン・ラッディーンは同胞団の出身ではないにしても関係は深く、結局はここからアルカイダのようなテロ組織が生まれてしまった。
時おり議論にのぼる同胞団とCIAとの癒着はこのあたりを指摘したものである。

アラブの春と呼ばれる市民蜂起の結果解体されたムバラク政権はアメリカ合衆国が糸を引く傀儡政権であった。
ムバラクにエジプトの石油利権をしゃぶらせる代わりにイスラエルの防護壁になり、湾岸諸国と提携して原油の価格をアメリカの意向で動かすよう命じられていた。
また世俗主義を標榜してイスラム主義を地に貶めることもムバラクの大事な使命であった。
アメリカの支援で整備された軍はその権力を振るい放題であった。

エジプトの石油、電気、産業、その他思いつく限りの企業の経営は軍人とその親族に占められてる。
それ以外の市民といえば、仕事がほしければ軍人に擦り寄り便宜を求める必要がありそのためには世俗側の立場をとらなければならなかった。
信仰を守り世俗主義に染まらない市民の生活がどのようなものかは想像にたやすい。
この市民がかたくなに拝金主義の世俗派と一線を画し続けたのは長年にわたるムスリム同胞団の活動がそうさせたと言える。

  ムルシー政権

日本を含む各国のムルシー政権への評価は厳しく特に経済の失策が強調されている。
国の舵は一年やそこらで切ることのできるものではないことを指摘できる心ある政治学者などは存在しないらしい。
新政府とすら呼べるこの政権にすぐさま評価を下すことなど不可能である。
ましてや、選挙で大統領に選出されたとはいえ閣僚や軍部の高官そして資源と資本を握るのは旧勢力の残党ばかり、ムルシーはまさに裸で政界に乗り込んだといえる。
ムルシー政権に移行するやいなや電気水道の供給が滞り燃料と食料の価格も軒並み上がった。
産業も停滞を見せた。
これは旧勢力がムルシー政権に対しての国民の不満を煽るためにおこしたサボタージュであった。

ムルシーに失策があったとすれば急激なイスラム化にともなう非イスラム層への配慮の少なさであろう。
陸海空軍司令官を解任し、軍部が作成した新憲法草案を破棄、閣僚の人事はイスラム色を弱めつつも官僚には同胞団の幹部から任命した。
エジプトには少数ながらもコプトとよばれるキリスト教徒もいれば、先述の世俗層はすでに非イスラム教徒と形容しても過言ではなく、
その非イスラム層が恐れるのは社会でイスラム層ばかりが優遇され自分たちが冷遇されることである。
そういった広い層からなる国を収めるのは難しい。
最初からシャーリア(イスラム法)を表に押し出しすぎたのでは抵抗にあうのは目に見えている。
成果を出しながら民意がついてくるのを待たなければならない。

大統領であれば不支持層を含めた全国民に責任がある筈、選挙に勝って選ばれたにしても自らを支持する特定の集団だけを優遇したのでは前任のムバラクや日本の某政党と何もかわらない。
それは民主主義がどうのと言う以前に統治者としての最低の義務である。

数の上ではイスラム層が世俗層(非イスラム層)をやや上回る。2012年の大統領選挙が示す数字である。

  7・3 クーデター勃発

2013年6月30日、ムルシーを支持する国民と支持しない国民がそれぞれ大集会を開く。
政府閣僚たちははデモに同調するかのように次々と辞任し内閣は空中分解した。
騒然となったカイロをはじめとする都市という都市では軍がデモ鎮圧に乗り出した。
その騒ぎに乗じて7月3日、国防大臣のシーシーはムルシー大統領を拘束し大統領権を剥奪したとの声明を発した。

直後に最高裁判官のマンスールを大統領とする暫定政権を樹立、自らが擁立した大統領の前で宣誓し副首相に就任した。
これほど滑稽な茶番があるだろうか
このシーシーという男は数年後にはムバラクの如く使い捨てにされるであろうことを想像できないらしい。
この時点でエジプトで起こったこの事件を「クーデター」と表現し非難したのはトルコだけである。
アメリカは軍の行動に憂慮するとしながらもクーデターとはいわなかった。

ムルシーを支持する市民は連日のように数万人規模の集会を開きこれに抗議し「大統領を返せ」と叫ぶ。

  7・8 虐殺

クーデタ以後もカイロでは市民がアディヴィエ広場で寝起きし昼夜を問わず軍に対して抗議の声を振り絞っていた。
そしてラマダーン(断食月)が始まろうとするその前日であった。
広場で朝の礼拝を行う群衆に軍が背後から発砲し五人の子供を含む55人が殺害された。
軍はこれを「やむを得ない迎撃であった」と発表する。
立ち姿勢から膝を折って床にひれ伏すことを何度も繰り返し行う礼拝の真っ最中に軍に向けて先制攻撃を仕掛けるのは不可能であり明らかな虚偽であるが西欧のメディアは軍の発表をそのまま報道する。
アメリカ政府とEUと国連は遺憾だの憂慮だのとモゴモゴ言っていた。

礼拝中の丸腰の市民に向けて発砲することが「迎撃」であるのならば礼拝そのものを軍に対する「攻撃」とみなしていることになるが、違うだろうか。

この虐殺の後もムルシーを支持する市民は広場を離れずそのままラマダーンを迎えた。
日中は40℃を越える炎天の下で断食をしつつ暫定政権への抗議を続ける。
この暫定政権発足後は停電も断水もなくなった。

この状況を同じイスラム教国はどうみているか。
湾岸諸国(サウジアラビア、アラブ首長国、レバノン、ヨルダンなど)はムルシーの退陣を歓迎する声明を出した。
シリアのアサドも同様にエジプト軍を擁護する。
これら産油国政府にとって市民を救済し教化し続けるムスリム同胞団は非常に煙たくその台頭を恐れているからである。
またシリアには同胞団に対する大虐殺の過去があり70年代以来つづく確執がある。
アサド政権と戦闘状態の数ある集団には同胞団も含まれているためさらに煙たい。

シーシーはムルシーを拘束後に告発、その罪状は「犯罪組織ハマスと協力関係にある」。
ハマスは誕生以来ずっと同胞団の傘下にあるというのに今更なにをほざくか。

  欧米の算段

アメリカは長年エジプト軍をイスラエルの番犬として兵器を供与してきた。
これはアメリカ内の右派とユダヤ勢力の意向であり大統領といえどなかなか却下できない。
しかし相手がクーデターにより違法に樹立された政府であれば兵器の供与は法的に不可能になるためクーデターという言葉を使えない。
民主主義の守護神を自負するアメリカがエジプト軍の蛮行を容認する理由はこのように語られているがそれだけではない。
このクーデターは何年も前から計画されていたことのひとつである。

ムバラク政権解体後にエジプトで大統領選挙が行われればムスリム同胞団が勝利することは目に見えていた。
それを承知でムバラクを政権から引き摺り下ろすための市民革命(一連のアラブの春)を扇動したのは欧米である。
ならばわざわざ政権を取らせた同胞団の危機をなぜ見過ごすのか、そればかりか失策をあげつらい軍部の行動を支持する世論を作り出すのはなぜか。

欧米は地下活動をしていたムスリム同胞団をまず政治の表舞台に立たせた上で施政を妨害した
デモとクーデターを誘発し、軍の台頭や扮装の絶えない「未開なイスラム社会」と「無能なムスリム同胞団」をメディアを通して強調した。
ここまでが現時点である。
そしてシリアのような内戦状態に持ち込み最終的に西欧(NATO,国連、米軍)の介入によって収拾をつけ世界の正義はつねに西欧にあることを、それに乗じて中東の支配地図をあらたに作成することを目的としている。
湾岸諸国の政府もそれに加担しているのが我々の理解に苦しむところだが国や国民よりも自らの資産や身の安泰が大事な施政者はどこにでもいる。日本にもいる。

  7・26 大虐殺

金曜日の集団礼拝の後にムルシー側の市民は各地で大規模な抗議集会を計画、そして実行した。
それに対抗する形で軍部を支持する市民も集結した。
カイロでは深夜から未明にかけて軍部がムルシー支持層にむけて発砲、少なくとも200人の非武装の市民が射殺され、負傷者は8000人を越えた。
世界では衝突する二勢力の鎮圧の際に死傷者がでたと報道(死者は75人と発表)されているがこれは軍による虐殺でしかない。
市民は最後まで無抵抗であった。
遺体の多くは頭や首を狙い撃ちにされていた。
7・8の礼拝中の虐殺と同様に訓練された狙撃手によるものである。

翌日、アメリカ政府と国連はまたしても虐殺の表現を避けムルシーの開放を呼びかけるにとどまった。
しかし政権をムルシーに返せとは言わず新憲法の草案を作成し総選挙を行うよう提言している。
これは先の大統領選挙の結果を否定する、つまりエジプトの民意を踏みにじる発言である。

民主主義と口うるさくまくし立てる国にとっての「民主」がどのようなものかは容易に理解できる。「民」の「主(あるじ)」が国をつくる主義である。

国の設計図が大国によって作られ、それに沿った国づくりが実は大国から強制されている
その間に選挙があろうと国民がどのような判断を下し誰を指導者に選ぼうと結果は変わらない。
エジプト国民はムルシーとムスリム同胞団を選んだが用意されたクーデターにより一年で元の状態に戻されようとしている。
多くの血が流れた後で新たな枠組みが大国によって押し付けられるであろう。

30日にはEU外相が人権擁護の立場からエジプトを訪れ拘束中のムルシーと会談したが「ムルシーの健康状態は良好」という頓珍漢な発表をした。
それに対し市民は「我々がこの広場に集まるのはムルシーの健康を願うがためではない、我々が選んだ政権を取り戻すためである」と怒りを顕にした。
メディア対策のために時間を割いているだけのEUの姿勢などはもはや子供だましにもならない。
先に擁護すべきは市民の権利と生命である。

  欧米の誤算

砂漠の国の断食月に無抵抗で抗議集会を続ける市民は西欧を震撼させている
民衆が暑さと空腹に追い詰められ暴徒と化し、つかみかけた市民による政治を自らの手で壊すことを期待しわざわざこの時期に計画されたクーデターであった。
しかしムスリム同胞団をはじめとする宗教指導者たちは悪魔の誘いに乗ってはならぬと市民に忍耐を呼びかけ、みな罵声にも銃声にもおののかずに祈り続けている

また同胞団傘下の急進派武装集団も歯噛みをしながら行動を自制している
欧米の筋書きはここで狂った
彼らの祈りの力、神という存在とのつながりの強さは数字にすることができないゆえに計算に入れられないのである。
残虐な者たちは同時に臆病であり、臆病であるからこそ残虐になることを考えれば、震え上がった欧米の更なる蛮行が重く懸念される。

民主主義がひとつの政治形態として世界に定着して久しい。
国民が施政者を選ぶことができ、選ばれたものは民意を担い国政に臨む。ならばその政治の根源は民意にある。
ならば一番賢明でなければならないのは国民である。
そうでなければ国政は口の巧い小利口者の手に落ち、その飼い主である大国に世界は握られる。
一般の国民が政治を理解し、監視し、選んだ者に対し責任を負う能力をもたねばならない。
そうでなければ「民」が「主」になることはありえない。

民主主義と呼ばれるものが成功した国がどこにもないのはこの落とし穴のせいである。
民主主義は楽ではない。
ムスリム同胞団は90年かけて民衆を教化してきた
隣人を騙さず、盗まず清貧に甘んじて生きること、エジプトのみならずシリアでもパレスチナでも虐殺と弾圧に遭いながらその意思を通してきた。
彼らの標榜するのは民主主義ではないが少なくとも西欧の押し付けたこの世界基準に沿うために一応の努力はしてきたといえる。
しかし欧米は彼らに非民主的という言葉を使い続ける。

たとえば某国の首都では最近の国政選挙で脱原発を掲げた某候補が国会議員に選出されたがその都市の某馬鹿知事と前馬鹿知事を選んだのも同じ選挙民である。
これでは「選びっぱなし」である。
「彼」は立派な市民活動家であっても政治家としての経験はない。
周りを見れば敵ばかりでムルシーと同じく裸で国政に臨むことになったが同胞団のような組織がついているわけでもない。
議事堂ではひどい目に合わされかねない。彼を議員に選んだ市民は彼の議員としての立場に責任がある。
もし彼が攻撃されることがあればその辱めは市民に向けられたという認識を持つことができなくてはならない。
できるのか。

カイロの大虐殺から数日後、アメリカはやっとクーデタが起きたことを認めた。
そうすればアメリカはエジプトに兵器の供給ができなくなる。イスラエルがまた騒ぎ出しそうだがまさにこの時期、パレスチナ和平交渉を三年ぶり再開すると発表した。
ムスリム同胞団が窮地にありその下にあるハマスの発言力が低下した隙をすかさず狙ってのことである。
あまりに姑息な手段だが世界はそれを「外交」と呼ぶ
虐殺
  ーーーーーーーーーーーーーーー
 ※ このブログ内でのアラブ、イスラム、パレスチナ関係ページのリンク。

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・ 中東への分裂謀略が続く
・ 狂信的シオニストと闘うパレスチナ
・ エジプト反政府デモは勝利するか
・ 反政府闘争はムバラク追放では終わらない
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麻生のナチス礼賛発言に世界の怒り

 麻生1

 石原、橋下、安倍、石破などとゴロツキ右翼を競い合う麻生の本音。
 戦後世界の人権も民主制度も否定する強権暴力主義。
 恐るべき軍国主義とナチスへの賛美礼賛。
 ・・・・・・・・・
 (有田芳生)麻生発言はドイツなら「連邦刑法130条」(民衆扇動罪)が適用されるだろう。
 「公然とまたは集会で」「ナチスの暴力支配」を「賛美し又は正当化」したと判断されるからだ。
 「公共の平穏を乱した」として罰則は自由刑3年以下または罰金刑である。ナチズムに対する発言にはそれだけ厳しい対応がある。
 ・・・・・・・・
 ナチス・ドイツはヨーロッパ大陸を暴力支配し未曾有の悲劇を引き起こしたために、ナチスを賛美礼賛することは全ヨーロッパへの犯罪行為となる。
 日本の天皇軍国主義も同様である。
 ナチスを賛美することは、日本帝国のアジア軍事侵略を賛美することと同じであり、アジアへの犯罪行為である。

 これで麻生太郎は公式に「ゴロツキ」の仲間となったわけだ。
 「Entelchen」のブログからドイツ紙の解説2軒。
 ーーーーーーーーーーーーーーー
   南ドイツ新聞「麻生副総理、ヒトラーの手口を賞賛」 8/1

日本の右派系保守政権は日本国憲法の平和主義的側面を切り捨てようとしている–そのためにはナチスの手口に見習うのが最善であると、副総理の麻生が述べた。
麻生副総理のこの手の発言が物議を醸すのは今回が初めてのことではない。

日本の副総理麻生太郎が改憲をめぐる議論のなかでナチスの戦略を手本に挙げたことに対して国内外から怒りの声があがっている。

麻生副総理は今週はじめ都内ホテルでのシンポジウムにおいて「ドイツのワイマール憲法は誰にも気づかれないうちにいつまのにナチス憲法に変わっていた」「われわれもあの手口を見習ったらどうか?」と発言したと報道されている。

アドルフ・ヒトラー率いる国家社会主義労働者党(ナチス)は1933年政権を奪取した後、 一見合法的に見える方法で独裁政権へと変身していった。
ヒトラーの極右政権は緊急命令や<全権委任法>を用いてワイマール憲法の民主主義的性質を徐々に形骸化させていったのである。
日本の副総理はこのことを示唆したものと思われる。

安部晋三首相率いる右派系保守内閣は戦後日本の平和主義的憲法の見直しにやっきになっている。
麻生副総理は発言の中で、日本のマスコミが改憲計画をめぐって騒ぎ立てたせいで中国や韓国の注意を引いているとした。
しかしその後麻生副総理はナチスを引き合いに出した表現を撤回し、「誤解」であるとしている。

ロサンゼルスのサイモン・ヴィーゼンタール・センターは麻生副総理にナチスを引き合いに出した発言に対する釈明を求め、「ナチス独裁政権のいかなる“手口”に見習う価値があるというのか? 民主主義を秘密裏に破壊することか?」と声明を発表した。
またソウルの外交省広報部は日本のトップの政治家は言葉や行動に注意をするべきであると抗議したと報道されている。
日本の野党である社会民主党は麻生副総理の辞任を要求している。

日本の現政権が憲法改正を望む動機は、戦後体制の見直しである。
安部首相は現在の日本国憲法は1946年にアメリカ占領軍に押し付けられたものとし、独立国家にふさわしくないと信じている。
そのような論拠から、中国と北朝鮮を横目に軍隊の強化を狙っているのである。

安部内閣の財務大臣でもある副総理麻生は物議を醸す発言で知られている。
過去にも日本を<金持ちのユダヤ人>が喜んで住みたがるような国にしたいという発言をマスコミに引用されたことがある。
 ーーーーーーーーーーーーーー
   ドイツ・ツァイト紙「日本の財務大臣:ナチスによる改革を手本に」 8/1
  「日本の財務大臣:ナチスによる改革を手本に」

麻生太郎はナチスドイツがワイマール憲法を秘密裏に骨抜きにしていったやり方が日本のモデルとなりうると語った。
海外からは怒りの声があがっている。

日本の財務大臣麻生太郎がナチス時代について好意的な発言を行ったことが、国際社会を激怒させている。
どのようにしたら大きな騒ぎを起こすことなく憲法を変えることができるか、日本はナチスドイツに倣うことが出来ると麻生は語った。

現在副総理でもある麻生がこの発言の中で指しているのは、日本の平和主義に裏打ちされた憲法のことである。
報道によると、麻生は今週はじめ保守派シンポジウムの場で「ワイマール憲法は、誰も気付かないうちにナチス憲法に変えられていた。我々もこの手口を見習ったらどうか?」と発言した。
しかも麻生はワイマール憲法を「当時もっとも進歩的な憲法であった」としているのだ。

ウォールストリート・ジャーナルによれば麻生の事務所はこの発言を認めている。
ただし麻生がナチスの手口を日本に応用しようとしていることは否定した。
そもそもこの発言は前後の文脈から切り離されており、麻生は決してナチスを褒めたわけではないと言うことだ。

麻生の発言に対しては即座に非難が浴びせられた。
韓国の外交省広報部は、この発言によって多くの人間が傷つくに違いないと述べた。
韓国は日本の軍事帝国主義下において過去に特に苦しんだ国であり、日本の政治家は言葉や行動に注意するべきであるとした。

またロサンゼルスのユダヤ人人権保護組織であるサイモン・ヴィーゼンタール・センターは「いったいどんな手口をナチから学ぼうというのだ? 民主主義の手足をこっそりもぎ取るやり方か?」と声明の中で語り、麻生に対して速やかな釈明を要求している。

日本の自民党安部晋三現政権は現在日本国憲法の改憲を検討している。
アメリカの圧力によるこの憲法のため、日本は第二次世界大戦以来、対外的に平和外交を余儀なくされている。
中国、韓国との領土問題を前にした日本の現政権は、自衛隊の通常の軍隊への格上げを望んでいるのである。
 ーーーーーーーーーーー
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泉田知事インタビュー:再稼働は福島の検証が先

 3号機

   インタビュー:再稼働議論は「福島の検証・総括が先決」=新潟県知事  7/29  ロイター

[新潟 29日 ロイター] - 新潟県の泉田裕彦知事は29日、ロイターのインタビューに応じ、原発再稼働をめぐる国内の動きについて、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原発事故の検証・総括が先行すべきとの考えを強調した。

今月8日に施行した新規制基準について、
「事故が起きる前提のもので、安全基準ではない。事故が起きたときの手当てが全くされていない」などと批判した。

東電が同県内にある柏崎刈羽原発の再稼働手続きを進めることに意欲を示していることについても、福島第1から汚染水が海に漏れ、公表が遅れたことで広瀬直己社長が「3.11の教訓を学べていない」と発言していることについて、
「原発を運営する責任者としてあるまじき状況。そもそもまだ再稼働を議論するほうがおかしい」と強調した。

  <柏崎刈羽、緊急時対応設備に懸念>

新規制基準は、柏崎刈羽原発で採用する沸騰水型軽水炉に対し、緊急時に原子炉格納容器の圧力を下げるために排気する際に、放射性物質を1000分の1程度に減らす「フィルター付きベント設備」の設置を再稼働の要件としている。

泉田知事は、東電による同ベント設備の設置計画が、原子炉建屋と一体でないことを問題視している。
背景には、新潟県中越沖地震(2007年)の際に起きた柏崎刈羽でのトランス(変圧器)の火災事故がある。
「原発構内の敷地で1.5メートルくらい下がり、(敷地のずれにより)トランスとの間のパイプが外れて、油が漏れて発火した。
東電からは、中越沖地震の教訓を踏まえてトランスの基礎を建屋と一体化すると説明を受けたが、今回のフィルターベントでは離すという。そこを手戻りするのか、ということだ」
などと述べ、東電の計画に不信感を隠さない。

事故が発生して排気に至った際に、余震などにより原子炉建屋とベント設備をつなぐ配管が破断したら、大量の放射性物質が外部に放出されるとの懸念が残るためだ。

  <新規制基準、事故発生の対策不十分>

泉田知事は、新規制基準を策定した原子力規制委員会に対しても、「福島事故の検証・総括も終わっていない段階で基準を作って、安全ですと言われも社会を説得できない」と批判する。
「(規制委の)田中俊一委員長は、新基準は安全基準ではないと言っている。
事故が起きる前提で対策を取らないといけないのに、被爆(ひばく)を避けるための法律もなければ、シビアアクシデントが起きたときにどう対策を取るのか、法制度の対策もできていない」と指摘。知事は新基準の問題点だと捉える内容を列挙した。

ただ、安倍晋三政権は、原子力規制委が「危険性が十分に低い」と判断した原発については、再稼働させる方針だ。
泉田知事は、東電が柏崎刈羽の適合申請を規制委に申請する前に、東電と県などが結んだ安全協定を根拠に、フィルターベント設置計画に関する事前了解を求めている。

これに対し、甘利明経済再生担当相は、「安全上の手続きはできるだけ早く進めたほうがよい」(26日の会見)と述べ、東電の動きに理解を示している。

泉田知事は30日、甘利経済再生相と会談する。「事故が起きるという前提で、ではどうするのかということをなぜ考えないのか。どうするつもりなのか逆に聞いてみたい」と、甘利氏に問い掛ける意向だ。
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