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もうすぐ北風が強くなる

アフラックに屈服、国民皆保険の崩壊:山田

 日本政府はついに郵政を外資に売り渡しはじめた。
 国際医療保険資本であるアフラックが全国2万の郵便局を拠点とすることとなった。
 これは単なる「がん保険」ではない。
 公的医療制度を崩壊させて、彼らが得意とする民間医療保険を進めるための提携である。

 日本は軍門に降ったわけである。
 国民皆保険の公的医療制度が、どのようなイメージで空洞化され崩壊させられるか。
 「TPPの非関税障壁、公的医療制度の崩壊」を御覧ください。
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   アフラックに屈服したTPP日本
   郵便局との提携が国民皆保険を空洞化する  8/1 山田厚史 ダイヤモンド・オンライン

やっと交渉参加が認められ、マレーシアでTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)協議に加わる直前の発表だった。アメリカンファミリー生命保険(アフラック)が全国2万店の郵便局でがん保険を売ることが決まった。
 保険商品の共同開発もするという。
 米国が求める「郵政民営化」が、とうとう形となって現れた。販売提携、共同開発、次は出資、つまり日本郵政の経営支配だろう。

狙いは処女地とされる日本の医療保険市場。国民皆保険を空洞化する米国資本の戦略拠点に郵便局がなろうとしている

   外資の保険ならOKという矛盾

日本郵政は日本生命との提携を予定していた。子会社のかんぽ生命で日生が開発したがん保険を発売する段取りだった。
 それが舞台裏でひっくり返った。

米国政府は「政府の信用が背後にあるかんぽ生命が民間と競合する保険を販売するのは民業圧迫であり、外国企業の参入を妨げる非関税障壁である」と主張し、TPP交渉と絡めて日本側に圧力をかけていた。

麻生財務相がTPPの事前交渉で「かんぽ生命からがん保険の申請が出ても認可しない」と米国に約束した日本側が、その後の交渉で「日本生命を外し、代わりにアフラックのがん保険を売らせる売国的譲歩」(保険業界関係者)に突き進んだ。

政府の信用をバックにがん保険を売るな、と言いながら、米国系のアフラックのがん保険ならOKというのは筋の通らない話である。

他にも外資系保険会社は多数ある。アフラックだけを優遇するのは、これまでアフラックが主張してきた理屈にも合わない。
 誰にでもわかる非道理がまかり通った「力による決着」である。

アフラックのがん保険はかんぽ生命の直営80店に留まらず、日本郵便の2万局、つまり全国津々浦々でアヒルのキャラクターといっしょににぎやかに販売される。
 全国制覇である

アフラックの日本代表は、かつて日米貿易摩擦が盛んだったころ米通商代表部(USTR)で、日本との交渉担当をしていたチャールズ・レイク氏、在日米商工会議所会頭も務めた。
 その「ミスター外圧」が日本市場を絡め取る「罠」に使ったのがTPPだ。
 交渉に引き込み、自民党の弱みである「農産物関税」を人質に取った。

すべての品目が交渉対象になる、と分かっていながら「農産品5項目は必ず護る」と公約を掲げた政府自民党に、米国は「協力を得たいなら言い分も聞け」と巧みに持ちかけた。

成果はまず、懸案の自動車で形となった。「米国での自動車関税を継続する」。年間8000億円の関税が撤廃させることができなくなった。
 防波堤を求めるGMなど自動車業界の要求を満たし、次が「郵政ネットの割譲」だった。

アフラックは郵政の販売網を自由に使える」という決定は、全国に米軍基地を広げるようなもので「不平等条約」の臭いさえする。
 政府は「日本郵政の経営判断であり、TPP交渉とは無関係」という。そんな言い訳が世間に通るだろうか。

   郵政の社長人事は親米路線の象徴

ことが官邸主導だったことは日本郵政の社長交代からうかがわれる。
 昨年12月に就任したばかりの坂篤郎社長を更迭し、元東芝会長の西室泰三氏を新社長に充てた。
 坂氏は財務官僚時代「竹中の天敵」と言われた。社長就任は財務省の先輩で日本郵政社長だった斎藤次郎氏による抜擢だった。斎藤氏は、郵政民営化で自民党を脱党した亀井静香・郵政担当相が指名した。
 そんないきさつもあり、小泉・竹中路線の流れを汲む「アフラックとの提携」を実現するためにも、社長の首をすげ替えることが必要だった。

西室氏は郵政改革では民営化委員会の委員長を務めた。東京証券取引所の社長も経験し、「君臨すれど統治せず」というスタイルは政府にとって都合がいい財界人と見られている。
 1992年から2年間東芝アメリカの副会長を務め、社長在任中には米国でフロッピー装置をめぐる訴訟で1100億円の和解金を払うなど、米国とさまざまな接点がある。
 6月に日本郵政の社長に就任し、最初の仕事が「アフラックとの提携」だった。

西室氏は記者会見で、株式上場計画を半年前倒しにして2015年春を目指す、と発表した。
 ブランド力のあるアフラックの保険をせっせと売り、かんぽ生命の売り上げを増やすという。日本の上場企業の株式は今では約3割を外国法人が握っている。
 提携を深めるアフラックが株式を取得する可能性は小さくない

郵政民営化は国内の金融機関から発した議論だが、弾みがついたのは米国による「日本の金融市場開放要求」がきっかけだ。
 郵政を解体する過程で米国の投資銀行が活発に動いた。
 日本郵政の社長になった西川善文元三井住友銀行頭取や西川氏を社長に推挙した竹中平蔵・元総務相は外資系投資銀行と親しい関係にある。
 「民営化して株式を公開すれば外資の餌食になる」という脅威論も、そうした背景から生まれた。

ところが郵政民営化に異論を持つ麻生太郎氏が首相になり、民主党による政権交代が実現すると「郵政と米国」は影をひそめたが、安倍首相の登場で再浮上することになった。

日本郵政の社長人事はその象徴で、親米路線の新自由主義がTPPと相まってアフラックの全国制覇を許した。

   なぜ国民皆保険の空洞化に繋がるか

この動きが、なぜ国民皆保険の空洞化に繋がるか、その理由を説明しよう。

がん保険は日本で売れているが、欧米の保険市場おいては傍流でしかなく、保険商品として問題視さえされているキワモノでもある。
 「がんへの不安を煽って売っている保険商品」とさえ言われている。
 その実態については『がん保険のカラクリ』(文春新書・岩瀬大輔著)に詳しいので、興味ある人はそちらを参考にしていただきたい。

米国や欧州では「がん」に的を絞らず、病気やけがを対象にする「医療保険」が普及している。
 日本では医療保険の市場は極端に小さい。国民皆保険が行き渡っているからだ。

企業には職域の健康保険組合があり、中小企業には協会けんぽ、自営業者などには市町村単位の国民健康保険がある。
 手術や入院で治療費が嵩む時は高額療養費制度で払い戻しを受けることができる。保険診療で出費を補える日本の制度が長寿を支えてきた。

米国に強力な保険会社がひしめいているのは国民皆保険がないから、ともいわれる。病気になったら自己責任、という苛烈な社会が「医療保険」を必要としてきた。

日本でがん保険が育たなかったのは健康保険でカバーできたので、その必要性に乏しかったからである。

アフラックは日本でがん保険市場を開拓した先駆者である。
 そのアフラックは2002年から、がんに特化しない医療保険を売り始めた。
 次の市場は「国民健康保険ではカバーしきれない医療」を対象にする保険と見ているらしい。

近年、先端医療が盛んになった。遺伝子技術を応用する診断や最先端の医薬品には皆保険は及ばない。
 通常の医療を対象にするので治療費がかさむ先端医療はカバーできない。
 その一方で健保組合や国民健康保険から財政難の悲鳴が上がっている。世界に冠たる日本の国民皆保険だが、安定的に維持することは難しい時代になった。

そんななかで、米国からは「薬価の値上げ」が要求されている。
 「米国の製薬会社が製造する薬品の値段を上げろ」などという露骨な要求はないが、「新薬の特許期間を延長しろ」「ジェネリック薬品の販売を制限すべきだ」「薬価を決める中央薬事審議会に外国人委員を加えろ」などと、要求を羅列している。

TPP交渉の重要な柱に、知的財産権の保護、外資の参入を妨げる非関税障壁の撤廃、役所や公共機関の市場開放を迫る政府調達の透明化などがある。
 こうした場面で米国は自国の製薬産業の後押し、ファイザーなど有力製薬会社と一体となった外交交渉を展開している。
 すでに韓国とのFTAなどで薬価の引き上げを勝ち取っており、日本の保険市場は次の大きな標的だ。

薬価が上がれば国民皆保険の維持はさらに厳しくなる。
 その一方で財政難から医療費の抑制が避けられない

   蝕まれた英国の国民皆保険

国民皆保険は英国から始まった。「揺り籠から墓場まで」は、英国のNHS(国民健康保険制度)のサービスを示す言葉だった。
 そのNHSは財政難で今や空洞化している。

ロンドン在住の作家・黒木亮さんによると「NHSで診療を受けようとすると医者の予約は2、3ヵ月後になり、手術が必要となってもその半年後まで順番待ちです」という。
 NHSの財政がひっ迫し、保険ではまともな治療を受けられない(詳しくはインターネット放送、デモクラTVの「山田厚史のホントの経済」参照)。

暮らしにゆとりにある人や大企業は、保険会社が売る医療保険に頼る。
 金持ちが抜けていくのでNHSはさらに苦しくなる、という悪循環だ。
 つまり民間保険が国民皆保険を蝕んでいる。

米国は国民皆保険がないから民間の医療保険が普及した。
 だが民間保険には「金持ちはたくさん負担し、貧しい人は軽い負担で」という所得再配分の機能はない
 金持ちは金持ちだけで、という米国流のやり方のなかで、保険に入れる人は限られている。
 民間保険は格差社会を投影し、貧しい人は保険に入れない

オバマ大統領は国民皆保険の旗を掲げたが挫折を繰り返している。
 盲腸を切るだけで100万円、といわれる高い医療費は、財政負担が重すぎる。診療報酬も薬価も高い。
 政府が保険を行うのは社会主義的だ、と高額所得者は主張する。
 医者、製薬会社、保険会社の既得権にも阻まれオバマのメディケアは壁にぶつかっている。

壁にぶつかっているのは保険会社も同じだ。移民で人口は増えても保険は伸び悩んでいる。
 富裕層と大企業にしか保険が売れないからだ。
 そこで目をつけたのがアジア市場だ。
 中間層が分厚い日本市場は狙い目だ。

アフラックにとって郵政ネットワークに入り込んだことは「確かな一歩」である。
 日本が英国の轍を踏み、皆保険が崩れ出す時、商機はめぐってくる
 商品はあっても信用のある販売網がなければ市場は広げられない。

郵政の完全民営化で近く株が放出される。絶好の機会である。

   大きな戦略vs.状況対処の差

TPPの狙いは中国市場の開放である。外国企業の活動を制約する中国型の国有企業経済を解体し、多国籍企業が自由に羽ばたける経済環境を作ること。
 郵政民営化は、中国市場を視野に入れた実験でもある。

社会主義型の国民皆保険は多国籍化したグローバル保険会社にとって「邪魔者」かもしれない。
 製薬会社は「薬価算定への参入」を通じ、薬価を引き上げ、同時に「混合診療」を叫ぶ勢力と共同歩調をとって保険診療に風穴をあける

TPPを軸に、事態は大きく動き始めている。米国は大きく戦略を描くが、日本政府はいつも「状況への対処」であたふたする。

農業での失態を繕うため、国民の資産というべき郵便局ネットを取られ、世界に誇る医療制度を失うとしたら「百年の愚策」である。
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泉田知事、悲劇を繰り返してはならない

 泉田知事

   泉田知事「福島の事故って本当に放射能をこんなにばらまく必要があったのかどうか?」 書き起こし「kiikochan.blog」から
 7/30テレビ朝日報道ステーション

泉田裕彦新潟県知事(50)
元経産官僚 知事3期目 県内に東電柏崎刈羽原発

古舘:
新潟の泉田裕彦知事にお越しいただきました。
長岡でも被害が出まして、この局地豪雨大変な事ですね。

泉田:
本当に予測が出来ないので、夜半急にという事だったんですけれども、
とりあえず災害救助条例を適用するという事にしました。

古舘:
あ、そうですけ。
大変今日はそういう事でお忙しい中お越しいただいたんですが、
あの、テレビをご覧の方々の中にはですね、泉田知事が東電に対しても、
あるいは規制庁に対しても、かなり怒っているという、
そういう印象がこのところある方もいらっしゃるかもしれません。
「怒っている」まず根源に迫りたいんですが、
新規制基準にまつわることとして、泉田知事が強くおっしゃられていることは、
構内で火災事故が起きましたね、柏崎刈羽原発。
2007年の中越沖地震ですね。
その教訓を安全審査をするところにも「大いに活かさなければならないところが活かされていない」
という点ですね。ここを詳しく教えていただけますか?

泉田:
はい。まずですね、怒っている印象があるというのは、
そういうところだけが出ているということもあると思うんですけど、
やはり、住民の安心、それから安全をないがしろにしているという所が、やっぱり伝わってくるんですよね。
どういう事か?って言うと、
今度規制庁でつくられた基準は「規制基準」なんです。
「安全基準」という名前をやめた
んですね。

何故か?というと、「一定の確率で事故が起こるという基準」だからです。
1万年に1回と言ってもですね、100基原発があれば計算上100年に一回。
いま地球上には400基以上の原発がありますから、
25年に一回は事故が起きるという事になる
んですよ。

で、それを、また第2の安全神話をつくって、「これは起きません」という過程のもとでやったら
「起きた時どうするんですか?」というところが、これは問題なんですよね。

実際にフィルターベントというのが、今申請している電力会社の原発以外の。
東電は別の形なんです。
福島と同じ原発のBWRという

古舘:沸騰水型ですね、6号機7号機は

泉田:
そうなんです。
という形なんで、これはフィルターベントを付けるのが義務なんですよね。
でもそれを、「住民の被ばくをいかに避けるか」という観点が無くて、
ただ「減ればいい」という形で設置されてもですね、
避難計画と整合性が取れなければ、逃げている途中で被ばくしちゃいますよね。

たとえば、馬場町長がよく言われているのは、
線量の低いところから線量の高いところへですね、移動する途中で被ばくしてしまったと。
町民を被ばくさせてしまったと。

古舘:
浪江の方もそうですけれども、
高いところ、線量の高いところ、高いところと北西に、風向きと同じ方向へ逃げていったという、
とんでもないあの悲劇は2度と繰り返しちゃいけないですよね。

泉田:
で、結局、これもベントをする時に、東電は10回ぐらいベントをしているんですが、
3回しか告知をしていないんです。
風向きが違った時にどうするのか?
それをどう運用して、そして被ばくを避けるのかということをやらないと、
また同じ悲劇が生まれてしまうという事だと思うんで、
過去に学んで、いかに住民の安全を守るかという観点を、やはりやらないといかんと。

いまの規制委員会の基準というのは、どちらかというと、
原発に整合基準ばっかりに重きを置いているんですね。
だからそれを全体として安全を高めるところをどうしても後回しにされると、
ちゃんと言う事は言わなきゃならんという事かなと思っています。

古舘:
安全基準というより、設置基準なっているというご指摘。
もう一戻りますけれども、避難経路の問題、避難計画の問題、
大変住民の安全にとって重要なので後ほどお伺いしたいんですが、
その前に、中越沖地震の際に、あれはあの…火災が起きましたね。
あれを簡単に説明していただけますか?
今回なぜ活かさないか?っていう点ですが。

泉田:
まず火災が起きた原因はですね、
ちょっとフリップがあるんですけど、

ここが地面なんですが、ここにあったんです。ここが1m位なんですが、最大で1.5m位沈下しました

古舘:地盤沈下した、はい。

泉田:
で、トランスがここから離れていたんですよね、建屋から。
その結果、トランスと建屋をつなぐパイプが外れて、そこから出火して火事になったという経緯があるんです。

今回のフィルターベントの設置も、(建屋から)離すんですよね。
そうすると、また外れるんじゃないか。
そうすると今度は生の放射能が出ちゃうという事になるんで。

古舘:
つまりあれですか、
フィルターつきベントをここに設置した。
で、こっちに原子炉建屋があると。
こうなって地震が起きた時に、
同じ地盤じゃないちょっと離れた所に、このベントのもろもろがあったとしたら、
グラッと、このように地盤が沈下してずれたら、
繋いでいる配管が切れたり、破断して、そこから生の放射能が出てくるって。
そこをなぜ考えない?
ってこと

泉田:
で、困るわけですね。
2007年の時は「同じような事が起きないように基礎を一体化させます」という事で
トランスを設置して、再稼働という事になったんですよね。
今回はどうしてそれを反映させないのか?と。
「過去の説明は違っていたんですか?」というようなところも含めて
ちゃんと見なきゃいけんという事だと思うんですよね。


古舘:
その部分に対して厳しく指摘されているシーンをきちっとお見せしたことによって、
「怒ってるなこの人は」というような印象を与えたというのがあると思いますね。
これ、大変今のご指摘は重要なところですね。
これはやらないでそのまま行くという事は、さっきの話に繋がってきちゃいますね。

泉田:
そういうことですね。
それからもうひとつ大事なところがあるんですけど、
「どのタイミングでやるのか」という事
なんですが、
この手直しをするかどうかなんですよね。
先につくっちゃったら、後でこれぐらい放射能を抑えないと、結局同じ位被ばくしちゃいますね、
ということになると、二つフィルターベントがいるかもしれない。
そうすると、まず地元と避難計画を了解してから申請しないと、つくり直しになっちゃうわけですよね。
ここのところを一体どう考えているのか?
というところもですね、もう疑問でどう仕様もないんです。

古舘:
なるほど。
その避難計画に繋がるんですが、泉田知事はですね、
規制委員会の委員長宛てにこういう文書も出されていますけれど、

この本の一部をちょっとね、ピックアップしますと、
「広域避難の調整」のところですね。
ここでやっぱり、市町村または都道府県の圏域を超える広域避難に備えるために、
避難先、避難ルート、避難手段などの調整や、沢山の避難者の食糧、物資の調達などについて、
国、自治体がどのように行うのか明確に定めて下さい。

と要請されているんですが、
ここに病院、介護施設、いろいろ入れてもですね、
どういう方向で、どういう交通手段によって、
どういう方々から、どの方向へ、どのくらい避難させるのか?
これを決めない限りどうしようもないという事ですね。

泉田:
あの、そういう事になると思います。
実際避難訓練をやってみました。
400人しか参加しないんです。
新潟県の場合はですね、即時避難区域、5km県内に2万人以上の方が住んでいます。
400人しか参加しなかったんですが、この400人が避難するだけで渋滞が起きちゃって。
これ、今ベントされちゃったら被ばくしちゃうよね。というような状況が現実し
たんです。

だから、2万人を一緒に避難なんていう事になると、
これはとんでもない状況が出てくるという事が、火を見るよりも明らかという事ですので、
じゃあ、そこをどうするのか?というところを考えて、次にフィルターベントの性能を考えないといけない。

特に体の弱い人、動かすのか動かさないのか判断を間違ったら、
動かした事によって亡くなる可能性があるというのは、
この間の福島の事故ではっきりしている
事ですから、
そこのところをちゃんと対策を建てていくという事が必要なんで、
事業者と自治体というのが一体となってですね、安全文化。
すなわち一定の確率で事故は起こるという基準な訳ですから、
それに対処する枠組みをつくらないで、性能基準だけOKですって言われたら、
これはもう住民をきちんと安全確保するという責任を自治体として果たせないものですから、
そこはちゃんと言わざるを得ないということだと思います。

古舘:恵村さん、ここまでお聞きになって恵村さんいかがですか?

恵村順一郎(朝日新聞論説委員):
そうですね、福島の汚染水の問題なんかを考えても、
今東京電力に再稼働を任せる信頼感はないと思うんですよね。
規制委員会も、再稼働の安全基準の審査よりも、
福島の事故を何とかするべきだと言う方に力を注ぐべくだという意見もあるとおもうんですけれども、
今知事は規制委員になにが足りないというふうにお考えでしょうか?

泉田:
この規制委員会は事業者行政で、
「事業者に全て責任を負わすために我々はチェックします」というような体系でしかやっていない
んですが、
たとえばいざという時に、福島の4号機の例を出すと、
これは原子炉は止まっていたんですが、
中に使用済み燃料があって、線量が上がっていて作業員が入れなかったんです。

あれはたまたま水素爆発をしたから、あのキリンというやつで水が入ったんですが、
そうじゃなかったら、これは入る人を決めておかないと、これは労働基準、労働安全法の違反になりますので、
「じじいの決死隊で行くぞ」と、
そういう時になって誰が行くかっていう事を検討しているという事になると対応できないじゃないですか。
そうすると、そういうバックヤードの法律どうするんですか?と。
労働安全衛生法で民民でダメであれば、
宣誓をしてもらった誰か行ってもらう部隊をつくるのか作らないのか、っていうことがないと、
事故が起きた時に対応が出来ない。
そういったところに勧告権があるいもかかわらず、事業者行政しかしていないというところが
住民を守る気があるのかないのかという所に疑問を感じさせる最大のポイントだと思うんですよね。

古舘:
根本の問題が見えてくるんですね。
いまのお話で言うと、ロボットも今の段階ではそうたやすいことじゃないのはもう明白になりましたし、
決死隊なにをかいわんや

線量の高いところにどうやっていくか。
もし、そして今の法律では行けないわけで、
ダメだったときには、ただ出してメルトダウンか!?という、
ここもおっしゃっていますね。

泉田:
そういうことなんです。
結局誰かが…、
ちなみにアメリカの場合どうなっているか?っていうと、軍が行くんです。
いざという時は命をかけて、

実際福島の事故の時もアメリカに言われたのは、
「英雄的犠牲が必要」というような話がありましたよね。
で、誰かが行って止めてくるという事をやると。
やるという体系がやっぱりないと対応できないんだと思うんですよね。

で、ロシアは石棺作業に携わった方は死刑囚が入っているという事なんですが、
釈放を条件に司法取引をして、石棺作業に携わったということですけれども、
日本でそういう事が出来るんですか?ということも含めて、
法律の体系をどうつくるかという事を考えないと、

また事故が起きた時に、起きる前提の基準ですから。
「どうするのか」というと同じ事になるんじゃないかと。
また放射能を大量にばら撒いたら、これは大変な事ですから、
そうならないような事を規制委員会にしっかり考えていただきたい
と思います。

古舘:
再三そういう要請をされているのを目の当たりにするんですが、
今日ちなみにですね、国のエネルギー政策にも大変力をお持ちの甘利大臣と会って話をされたけれども、
結果はすれ違いだというような感じになっている。
なかなかかみ合わなかったんですか?

泉田:
問題意識はですね、聞いていただきました。
で、ずっと説明をしていて、最後順番の話になったところで秘書官が来られてですね、
「大臣閣議、閣議」という事で、話し合いがマッチする前に時間切れで終わったという感じでしたね。

古舘:あーーーっ、そういうことですか。

泉田:
それからもうひとつ大臣から話があったのは、
甘利大臣自身は2007年の対応をしているんです、柏崎刈羽の。
で、「私の言う事がご理解いただいたかな」というふうに私は受け止めているんですが、
これをですね、一定の影響力を行使できるにしてもですね、担当大臣じゃないという事ですので、
やはり、責任、権限のある方、田中委員長だと思うんですけれども、
こいいったところとしっかりやらないとしょうがない
のかなと。

で、権限があるところには説明責任が付いてくるんですが、
残念ながら田中委員長はですね、
「知事が聞いたからといって、いちいち説明する義務はない」っていうことを記者会見で言われているんで、
そうすると。「住民は一体何を信じていいのか?
」という事になるんだと思うんですよね。

古舘:
大変深刻な問題、大事な問題をはらんでいると思います。
泉田知事はこういう流れで来ていますと、
再稼働というもの、原発の再稼働には反対ですか?

泉田:
あ、これはですね、まず福島の検証が先だと思っています。
そもそも人が扱えるものなのか
どうなのかと。
放射能っていうのは事故が起きたらばら撒いてしまうものなのかどうか?
こういったものをまず検証することが先と。
議論はそこからではないでしょうか。

古舘:
再稼働とにかく反対というよりも、
福島がなんにも収束していないどころか、今、こんなに汚染水にしても何にしても、
こんな状況下にある中で拙速すぎやしないか、という考え方。

泉田:
福島の方はですね、新潟にはまだ5000人避難されてきているんですけれど、
生活再建も出来ないような状況になっています。
で、公共事業だったら、再取得価格で補償してもらえるのに、
そういったことも無しにですね、もう二束三文で賠償で、
もう自分の人生をパーにするというような感じを見せられている
わけですよね。

だから、こんな悲劇を次から次へ繰り返すことはやっぱりあってはならない
で、福島の事故って本当に放射能をこんなにばらまく必要があったのかどうか?と。
これは、福島の事故は実は津波事故でもなければ、電源喪失事故でもないんですよ。
この本質は「冷却材喪失事故」なんです。
それに対処できるのかどうか?世界はどうしているのか?ということを含めて、
それから議論という事なんじゃないでしょうか。

古舘:
なるほど
今度また時間をつくりますので、
知事、是非ですね、流れを見た上で、
柏崎刈羽の方々の雇用の問題とセットになっていると思いますんで、この原発の問題はね。
そこらあたりの腹案といいますか、様々な事を模索されていると思いますんで、
是非また聞かせて下さい。
今日はどうもありがとうございました。
 ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーー田中委員長「私がいちいちそれに答える義務はない」

原子力規制委員会の定例記者会見(平成25年3月13日)
動画はこちら↓
http://youtu.be/5D0ozCwRWtE?t=14m44s
14:44~
雑誌科学 田中:
昨年 10 月 29 日付で新潟県の泉田知事から委員長宛てに出された質問状に対して、
2月6日の規制庁から知事への回答は、
具体性を欠き、正対したものになっていないことからお考えを伺いたいと思います。
質問状には高放射線量率下での収束作業が必要な場合に
労働法制上、民間事業者である電力事業者等の従業員に
収束作業の実施を命じることができるとお考えでしょうかという問いがあります。
もう一つ、高線量率下で緊急時対応を実施する特殊部隊を国として創設すべきと考えますが、
どのようにお考えでしょうかという問いがあります。
委員長のお考えをお聞かせください。

田中委員長:
まぁ、個人の考えをいま述べるような質問ではないですね。
今後、あの大事なことかもしれませんが、
あのこれから検討そういうことも含めて、あの、検討する必要があると思いますが、
えっとー、日本の場合は今までは、そういう、あのー体制が整っていなかったという、
御指摘があるのは分かっていますけれども、ー略ー

でも、それが新潟県知事から出されたからって、
私がいちいちそれを答えていく義務があるとは思えません。
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 中欧、東欧を恐怖支配したラインハルト・ハイドリヒ

 BIS(国際決済銀行)と各国中央銀行の深い闇。
 国際金融寡頭勢力がナチスに投資していたことはあれこれと知られているが、
 これは戦争略奪に加担した犯罪。
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  英中央銀、ナチスの金塊売却協力 公開歴史文書で判明

 【ロンドン共同】英中央銀行のイングランド銀行が1939年、ナチス・ドイツがチェコスロバキア中銀から略奪した金塊を売却するのに協力していたことが、イングランド銀行が公開した歴史文書で明らかになった。31日付の英各紙が報じた。

 英紙フィナンシャル・タイムズによると、金塊は現在の価値で7億ポンド(約1千億円)超に相当し、同紙は「中央銀行の歴史上、最悪の出来事の一つ」と評している。

 歴史文書はイングランド銀行により50年にまとめられたが、30日に公開するまで明らかにしていなかった。
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 その他報道から

 金塊はチェコスロバキア中銀が国際決済銀行(BIS)に保有する口座の一部としてイングランド銀行本店の金庫内に保管されていた。 
 英政府は当時、英国内にあるチェコスロバキア関連資産を凍結していた。
 イングランド銀行はこの方針に反して、金塊をドイツ中銀(当時ドイツ帝国銀行)の口座に移し、さらに米国ニューヨークの買い手にドイツ中銀の代理として金塊を売却していた。
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 (※解説)
 ナチスドイツがチェコに侵攻占領したが、その時点で既に金塊(金準備)はBISの預りとして、イングランド銀行に保管されていたわけである。
 つまり、英国政府のチェコスロバキア資産凍結決定にもかかわらず、BISとイングランド銀行がナチスに協力して、この金準備をドイツ口座に移し、売り払い換金することでナチスを支援したわけである。
 
 武力略奪は当然無効であるから、この金準備はチェコの債権である。
 正しくはチェコスロバキアの解放を待って凍結解除し、チェコに返還すべき債務であるのは言うまでもない。
 
 国際金融資本とナチス。
 BISと中銀の闇がさらにまた、暴かれたわけだ。 
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 伏魔殿のような国際決済銀行(BIS) by チャールズ・ハイアム  2008/11/27 「さてはてメモ帳」から

 (前半のモーゲンソー、ホワイト、コクランに関する部分を省略しています。)

 その翌日、ヒトラーはドイツ軍をプラハに進軍させたのである。ナチス突撃隊はチェコ国立銀行の役員たちを逮捕し、銃口を突きつけながら、ドイツに包囲されている国、すなわちチェコの全国家財産である四千八百万ドルの金準備を差し出せと要求した
役員たちは不安げな顔をしながら、イングランド銀行に転送するということで、金塊はBISにすでに送った後であると語った。このことはあまりにも馬鹿正直な行為だった

ヴァンダイクひげのイングランド銀行総裁モンタギュー・ノーマンは、いち早くヒトラーを支持した一人だったからである。
ノーマンはスキナー教授という偽名を名乗り、黒の夜会用外套を着て世界旅行をするのが趣味の変人だった。

ナチス突撃隊から命令されて、チェコ国立銀行の役員たちはオランダ人のBIS総裁J・W・バイエン[J. Willem Beyen]に金塊をバーゼルに返すように依頼した。
バイエンはフランス銀行から出向していたBIS総支配人ロジェー・オボアンと熱心に討議した結果、バイエンはロンドンに電話を入れ、金塊を返却するようにとノーマンに通告したのである。
ノーマンはすぐさまこの要請に従い、そしてベルリンに送られた金塊は将来の戦争に向けての重要な戦略用資材を購入するために使われた。

もしここで、ポール・アインチヒ[Paul Einzig, (1897 -1973]という名前のイギリス人で、鋭敏な理想主義の若いジャーナリスト兼経済学者が、イングランド銀行の知り合いからこの金塊についての秘密情報を耳打ちされていなかったら、この金塊の行方は闇に葬られていただろう。
アインチヒはこの金塊事件の顛末をファイナンシャル・ニュース紙に発表し、ロンドン市民を大騒ぎにさせたのである。
アインチヒは、一匹狼の労働党下院議員ジョージ・ストラウス[George Strauss, 1901-1993]と緊急ミーティングを開き、ストラゥスはアインチヒを通してこの事件の調査を始めた。

ヘンリー・モーゲンソーはイギリスの大蔵大臣であるジョン・サイモン卿[John Simon, 1st Viscount Simon]にある日曜日の夜、今後どうするかを決めるために電話を入れた。

マール・コクランはその前に、BIS側に立った典型的なごまかし話をモーゲンソーに打電し、BISがナチスの組織の一部であるというアインチヒの告発を完全に否定していた。
大西洋両岸を結ぶ電話口でサイモン卿が、「今、田舎に来ていましてね、長官閣下。ディナーを楽しんでいる真っ最中です。電話で仕事の話をしないのがわが国の習慣です」と冷ややかに言うと、「サイモン卿、ここアメリカでは過去四十年もの間、電話で仕事をしていますがね」とモーゲンソーはやり返した。

ジョン・サイモン卿はモーゲンソーの質問にのらりくらりと言い逃れを繰り返した。五月十五日、労働党下院議員のジョージ・ストラウスは総理大臣ネヴィル・チェンバレンに次のような質問をした。
「総理、チェコスロバキアの国家財産がドイツに渡っているという話は本当ですか」
「本当ではありません」と総理大臣は返答した。チェンバレンはイー・ゲー・ファルベンが出資しているインペリアル化学工業の大株主であり、イー・ゲー・ファルベンのヘルマン・シュミッツはBISの取締役だった。チェンバレンの返答で下院は大騒ぎになった。

アインチヒは追求の手を緩めなかった。
彼はノーマンがジョン・サイモン卿と共謀して金塊を秘密裏に移動したと確信していたのである。ストラウスの質問に対して、サイモン卿はこの件について何も知らないと答えた。

次の日、アインチヒは政治上の重要人物であるヘンリー・ストラコシュ卿[Sir Henry Strakosch, 1871-1943]を問い詰めた。ストラコシュ卿はサイモン卿との会談の内容を明かすことを拒絶したが、最終的に口を割り、サイモン卿とチェコの金塊の移動について討議したことを認めたのだった。

アインチヒは大喜びでストラウスに電話をし、この情報を伝えた。
五月二十六日、ストラウスは下院の討論の場でジョン・サイモン卿に再質問をしたが、再度、サイモン卿はあいまいな返事を繰り返しただけだった。
しかし、この大蔵大臣にとって不幸なことは、事件解明の急先鋒のリーダーがウインストン・チャーチルだったことである。(引用注:チャーチルへの「権力」移行の芝居だったと思う。準備する係と、戦う係の交代に向けたものだったのではないか)

モーゲンソーがさらに詳しい情報をコクランに要求した。
バーゼルのコクランが五月九日に書き、左月十七日付でモーゲンソーが受理した手紙の中で、コクランはこの件について再度、次のように触れている。

BISの雰囲気はとても温かく、各国中央銀行のほとんどの総裁たちは何年も前からお互いに知り合いであり、バーゼルの再会の集いは総裁たちにとって楽しみばかりではなく、有益なものであります。
私はすべての総裁と会合を持ちましたが、彼らの中には、次のような希望を述べている者もおります。各国の政治家たちがお互いに非難の応酬をすることを止め、ルーズヴェルト大統領と一緒の魚釣り旅行か、または万国博覧会に出かけ、お互いの自尊心や固定観念、心を乗り越え、そして現在ある政治的な諸問題の多くを比較的単純に解決するムードに共鳴するようになればいい、と思うと。

この楽観的な状況説明にモーゲンソーは納得しなかった。
五月三十一日、AP通信がスイス発として、BISとイングランド銀行との間の業務は完了し、チエコの金塊は現在、ベルリンに保管されていると報道した。

チェコの金塊事件について決して忘れなかったアインチヒが、第二次世界大戦中にロンドン市街でJ・W・バイエンに偶然出会い、今なら真実を話せますかと聞いたところ、
すべては技術的なことで、チェコの金塊はロンドンに保管されたままでした」とバイエンは穏やかな口調で語った。
アインチヒはそれを聞いて驚き、後に彼が書いた回想録『世界の中心にて」の中でバイエンに対して謝罪をしている。

実際には、金塊をベルリンで入手するためにロンドンから移送する必要はなかったのである

BISとメンバー銀行間の金銭取引は通常の場合、通貨または金塊をそのまま輸送する方法は取らなかった、積み荷の中身を税関用のリストに載せなければならなかったので、金塊を輸送することは危険かつ面倒な手続きを必要としたからである。
代わりに金の預金口座を調整することで処理したのだった。
したがって、モンタギュー・ノーマンがしたことは、バイエンがBISにあるイングランド銀行の預金から四千万ドル分の金を差し引くことを許可し、ロンドンにあるチェコ国立銀行の預金から同額を穴埋めするだけでよかったのである。

一九三九年までにBISはドイツ国内に数百万ドルも投資している。
一方では、クルト・フォン・シュレーダーとエミル・プールは略奪した大量の金塊をBISに預けている。
BISはヒトラーの機関の一つだったが、イギリスはドイツと交戦状態に入った後でさえ、BISの存続を承認していたのである。
 またBISのイギリス側役員であるオットー・ニーマイヤー卿[Sir Otto Ernst Niemeyer, 1883-1971]とインーグランド銀行総裁のモンタギュー・ノーマンは、戦争が終わるまでそれぞれの地位に留まったままだった。
(※ 政権の交代はBISにも中央銀行のも影響しなかったのである。)
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