インフレ目標は宗教か脅しか:中原
2013-07-26

不換紙幣は物神化できない。月の神ナンナ
以下は中原圭介氏からの引用。(※ )はもうすぐ北風の注釈です。
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インフレ目標政策は宗教のようなものだ 7/18 中原圭介
過去の著書の中でも指摘させていただいたことですが、インフレ目標政策の眼目は「インフレになるぞ!」「物価が上がるぞ!」と国民全体に信じ込ませることです。
信じ込ませることができれば、消費者はモノを安いうちに買おうと思うに違いない。
消費が増えれば、企業の利益が増えるに違いない。
企業の利益が増えれば、労働者の給料も上がるに違いない。
これがリフレ派の人々の根拠のひとつでもある「インフレ期待」というもので、要するに「信じる者は救われる」というような宗教みたいな学説なのです。
少しきつい言い方に換えれば、「早くしないとインフレになるぞ!」「現金を持っていても物価が上がれば目減りするぞ!」「今のうちに株を買ってしまえ!」「家も買ってしまえ!」と国民を脅しているだけです。
しかしそれだけで、本当に経済がよくなるのでしょうか?
確かに、金融市場は「思惑」で動くことが多いです。為替にしたって株価にしたって、実体経済とはまったく違う思惑で乱高下することが多すぎると言ってもいいかもしれません。
というのも、欧米の金融機関やヘッジファンドの運用担当者は、上がるにしろ、下がるにしろ、市場が大きく動くことを望んでいるからです。
彼らは市場が大きく動かないことには、大きく儲けることができないのです。
ですから、彼らは相場が大きく動く材料にアンテナを張っていますし、ひとたび市場が大きく動き始めれば、強気でガンガン攻めてきます。
ユーロ危機以降、大きく動き、かつ流動性が高い市場がなかったために、アベノミクスによる金融緩和は彼らにとって絶好の投資材料と映ったことでしょう。
しかし、国民の消費行動が「思惑」だけで動くことはごく稀なことです。
資産のほとんどを株式で持っているような人には別の話となりますが、大多数の国民は株に投資などしていませんし、投資していたとしても何千万も株式を保有している人は10%もいないのが実情です。(※冗談でしょう1%だっていませんよ)
リフレ派の人々はインフレになれば賃金が上がると言います。
確かに、賃金が上がれば消費は増えるでしょう。
しかし、今の先進国では構造的に賃金が上がりにくい状況になっています。大きな原因のひとつが、2000年以降の資源エネルギー価格の高騰にあります。
これによって、先進国の企業および国民の所得は新興国に流出し、その額は拡大し続けてきました。例えば日本の場合、2012年には所得の流出額が18.9兆円と過去最大となっています。
エネルギーは高くなっても輸入せざるを得ないわけですから、国全体での損失が大きくなるのはもちろん、エネルギーを使う企業にとっても負担が厳しくなっていきます。
企業の売り上げが伸びても、エネルギー価格のコストが上がることによって、人件費に回す利益が削られてしまうのです。
(※ まして日本の場合は横断労組が無い、つまり労働力市場がまともに機能していない。ストライキもできない闘わない企業内労組に対して、自発的に慈善で賃上げする資本家などはいません。賃金の下方硬直性が適用されない不思議の国なのです。)
リフレ派の人々は「何としてもインフレにするのだ」と言いますが、仮にインフレを起こすことができたとしても、大多数の労働者の賃金が上がることはありません。
(※ 特に日本は上がりません。)
物価だけが上がり、賃金が上がらない社会がやってくるだけのことです。
デフレ以上にひどい時代がやってくるのです。
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※ 以下は勤労者賃金、所得の再配分と消費増税、デフレに関連するページ。
労働分配率の強制修正
世界で日本のみデフレ
日銀の金融緩和は誰のためか
信用創造と言えば聞こえは良いが
信用創造とは
公務員叩きとデフレ政策
通貨、金利と信用創造の特殊な性質
信用創造(3)無政府的な過剰通貨
デフレ脱却には賃金上昇が不可欠:根津
これからの経済生活はどうなるのか
なぜデフレなのか、なぜ放置するのか
ゆでガエル!
消費増税でデフレ強行を目指すかいらい政権
日本の労働は封建主義の農奴農民か
窮乏化、3軒に1軒が貯金もなし
逆進課税とデフレ恐慌
消費増税を許すな!三党談合政権を倒そう
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