小沢氏7/15広島その灯を、絶対消さないで頂きたい
2013-07-18

衆議院議員 小沢一郎 生活の党 代表
もう一度の政権交代,国民のための政権
その灯を,絶対消さないで頂きたい
2013年7月15日
広島県山県郡安芸太田町上殿 道の駅「来夢とごうち」の前での街頭演説 「銅のはしご」氏から
皆さん,お早うございます。
(人びと「お早うございます!!!」)
生活の党の代表を務めております小沢一郎でございます。(人びと・拍手)
皆さんには,たいへんお暑い中を,そしてまたお休みの中を,こうして街頭にお出かけ頂きまして,本当に,有り難うございます。(小沢氏・礼)
まず,皆様のご厚意,ご支援に対して心から熱く御礼申し上げます。有り難うございました。(小沢氏・再び礼,人びと・拍手)
ご承知のように,参議院選挙もいよいよ後半戦に入っております。
今日は本当にわたくしの古くからの友人で,古くからの同志である,たとえば先代の佐藤守吉先生以来,ほんとうに苦しい時も厳しい時も,お互いに力を合わせ,そしてその政治的行動を共にして来た,本当の同志の佐藤こうじ君であります。(人びと・拍手)
今,政権は,昨年の総選挙の結果,もちろん,その責任の一端を,わたくしは回避するつもりはありませんけれども,民主党政権の失敗のおかげで,自公の政権・安倍政権になってしまいました。
もちろん政治は,どの党であろうが,国民皆さんにとっては,良い政治をしてもらえればどの党であろうといいわけです。
もちろん,私も、安倍さんが自民党が,国民皆さんのために良い政策を,良い実行して政治をしてくれるのならば,もろ手を挙げて賛成いたします。
しかし,こんにちの安倍政権・自民党の政権運営の考え方を見てみますと,私共,どうしても相容れない,受け入れられない,政権運営のやり方があります。
それは何かと言いますと,一言で言えば,今の政治の運営・政策の立て方は,すべて強い者の味方,強い側に立ってやっているということであります。
昔から「強きを挫き,弱きを援(たす)ける」という言葉がありますけれども,今は逆だ,と。強い者をどんどん強くする。そして彼の言うには,「競争力のある大きな企業をどんどん,どんどん大きくして,それが儲けてくれればいい。その儲けを皆で配分すれば,皆も良くなるじゃないか」こういう理屈を言うわけであります。
しかし皆さん,この話しは,いつか聞いた事のある話しでございます。
小泉さんも,そう言いました。自由競争・市場経済,自由な競争の中で勝ち上がった者,強い者,生産性の高い産業,それをどんどん大きくすりゃあいいんだ。そう,言いましたけれども,その結果どうなったでしょうか。
確かに大企業は,どんどん大きくなりました。
そして,皆さんもお聞きになっているかも知れませんが,簡単に言えば,大企業の貯金・フトコロは,260兆円ものお金を持っていると言われている。そう言われてもね260兆円っても(苦笑)想像がつきませんけれども,
国の予算が90兆円前後なんですから,いかに莫大なお金か,分かると思います。
それだけ儲かったけれども,その儲かった分は,国民皆さんに,小泉さんが言ったように配分される事は,なかった。
あれ以来,国民所得はどんどん減って参りまして,10%以上,国民の所得・収入は減っております。
従いまして,強い者をどんどん,どんどん大きくして儲けさせさえすれば,そのおこぼれで以って国民生活もレヴェルアップするんだと言う事は,まったく事実と反するウソでしかなかったということが,既にもう証明されているわけであります。
ところが安倍さんは,また同じ事を言っております。
強い者をどんどん後押しして大きくするんだ。いずれ時間差はあるけれども皆さんにも回って来るに違いない,ってな事を,無責任な事を言っております。
私共は,どうしても,こういう強者の論理・自由競争で勝ち残った者が,負けた者はもうしょうがないんだ。企業も,あるいは,地域も皆,弱い者を置いてけぼりにする以外にないんだ。それでいいんだ。
こういう考え方でございまして,わたくし達は,何としても,この考え方は受け入れることはできない。
皆さん,そうでしょう。自由競争,勝手に自由にやれ,それで,強い勝った者が生き残ればいいんだ。これでは動物の世界,獣の世界と同じであります。
何のために,政治があるのか。
政治は,強い者だけを援(たす)けるのではありません。そうでなくて、弱い立場の人も,皆なが一定の生活をきちんとやって行けるような政策を実行し,
制度をきちんと作る。それが政治の役割であります。
したがいまして,わたくし達は「国民の生活が第一」だという考え方の中で,党名を,生活の党と名付けたわけであります。
今,「アベノミクス」と言うような事をマスコミも持て囃しておりまして,何か国民皆さんもね,いい事があるんじゃないかという錯覚をお持ちになっている方もいるかも知れません。
しかし皆さん,超・金融緩和,株が上がった,円が安くなった,これでいったい得をした人は誰なんですか。
この中でも,株を持ってる方もおられると思いますけれども,株価が上がって(儲けたのは)一部の方でしかありません。
また,円が安くなって,どうして一般の人達が何か利益を得たでしょうか。
物価が上がるだけでありまして,利益を得たのは,輸出をしておる大企業だけであります。
この輸出の大企業は,消費税さえ,払っていない。消費税は,還付されるんです。
ですから,その意味におきまして,本当にこの「アベノミクス」と呼ばれるものは、ただのいわゆるマスコミが作り上げたイメージであります。
国民の皆さんに何のプラスにもならないという事を,国民皆さんもだんだん,だんだん分かって来たと思います。
私達はそういう中で,色んな,直接国民生活に関することにつきまして,具体的な案を,提案致しております。
今,TPPというアメリカとの交渉の問題も出てますけれども,このTPPは,農林漁業・一次産業だけに大きな影響があるわけではありません。
わたくしは北国・岩手県の出身ですが,岩手県庁で,これがもしアメリカの言う通りに実行されたらどうなるかという試算を致しました。岩手県の農林水産物の生産高は半分になるという試算であります。
一次産業が致命的な影響を受けるのはその通りですけれども,それと同時にですね,わりあい皆なが気がついていないことが,あります。本当のアメリカの狙いは,農林漁業じゃないんです。
一番皆さんの身近な事を取り上げれば,それは,医療の問題があります。
アメリカでは,国民皆保険ではありません。自分の収入に応じて,自由に民間の会社と保険契約を結びます。
日本では(国民)皆保険というのは当たり前みたいに皆な思ってますけれども,実は,アメリカはそうでない。
それでアメリカ人の5,000万人に近い人達は,保険に入れない。医療のサービスを受けられない,というのが,アメリカ社会の実態なんです。
そういうアメリカ流のルールを,日本に。特にアメリカの大きな医療会社の後押しがあるんだと思いますけれども,そういう考え方の中で,TTP交渉も行なわれる。
ところが,TPPの交渉の前に,政府は,ですよ,自分から,陰でアメリカから言われているのかも知れませんけれども,いわゆる「混合診療」「自由診療」という名前で呼ばれておりますけれども,要するに,先端的な医療,あるいは非常に先端的な薬,そういう物につきましては,保険の対象外に,と言う事で,「自由診療」この枠をどんどん,どんどん広げようとしている。
TPP交渉,まだ入れてもらってないんですよ,現実には。加入はしましたけれども,まだ議論はしていない。
その前に,政府自体が安倍政権自体が,「自由診療」を,もっと枠を拡大する。
皆さん,そうなると,どうなりますか。結末は分かり切ってます。
いわゆる高価な先端技術,先端医療器具,あるいは高価な薬,それを手に入れられる人は,一定の所得のある人でしかありません。そうしますと,本当にその他の人は,それは受けられない。そういう状況がどんどん,どんどん広まってくれば,結局,皆保険という制度は維持できなくなっちゃうんです。
当然でしょ。収入の多い人は,皆そっちの方へ行っちゃうわけですから。
ですから,この国民の健康「いのち」に関係する医療制度,日本の皆保険といういわゆるセィフティネットですね。
日本人の健康に関するセィフティネットが,これさえも,言わばアメリカの言いなりになって,それをどんどん,どんどん取り入れようとしているのが,今の安倍内閣の実際,実態であります。
それからもちろん,雇用の制度もそうですね。安倍さんは,雇用の人口が増えた,増えた,言いますけれども,それは,みんな非正規。非正規と言うと,まアルバイトみたいなもんですね。いつでも,クビ切れる。
アメリカでは,雇用も又,レイオフと言って,景気が悪くなると企業に都合が悪くなると,いつでもクビ切れるという仕組みになります。
この非正規の社員が増えただけで,正規社員はこの中でも,13万人,更に減っているのが実情であります。
今,非正規の社員が38%であります。
そうしますとね,これを皆こういった仕組みにしてしまったら,それぞれの人が,本当に人生設計が出来なくなってしまいますよね。いつクビになるか分からないという事ですから。
もちろん日本の従来の終身雇用制については,プラス・マイナス色々な議論はありましたけれども ,少なくても,一生懸命働けばその会社でずっと勤めることができると,これまた雇用のセィフティネットだったわけです。
それも今崩れようとしている。政府自らが,それを崩そうとしている。
皆さん,私が最初申し上げました,今の自民党政権・安倍政権は,まさに強い者の側に立った,大きな大きな大企業の側に立った論理で以って政権運営,政治の運営をしている。
これは絶対,許すことはできません。(人びと・拍手)
私達は,そういう意味において,何としても,そういう政治のやり方に,ストップをかけなければならない。
総選挙におきましても,結局,自民党政権を誕生させてしまった。
わたくしも,本当に責任を感じておりますけれども,何とかして,この参議院選挙,いわゆる国民皆さんの受け皿を作んなきゃいけない。
そういう努力して参りましたけれども,なかなかできずに選挙戦に突入してしまいました。
しかし皆さんね,もうこんなに自民党勝ってしまったんじゃ,とてもとても政権交代できないと思ってる方がね,私共の仲間の中にもあるんですけれども,決してそんなことはありません。
去年の総選挙,なるほど自公,3分の2も議席取りました。
しかし,それは小選挙区制度という制度の一つの機能でありまして,自民党の得票率は,全く増えておりません。
それから,総選挙後の全国で色々な選挙,首長選,市長選,行なわれましたけれど,ほとんど全ての市で非・自民の候補者が,自民候補者を破っております。
それはどういうことかと言うと,ほぼ1対1の選挙戦ということになれば,国民は今なお,自民党ではなくて,もっと市民のサイドに立った,国民サイドに立った,人を,政党を,選びたいという気持ちを持っているということであります。
この前,小泉さんの地元である横須賀で,小泉さん親父さんと進次郎さんというあの人気の人ですが,あの二人が親子で以って一生懸命自民党候補を推しましたけれども,横須賀の市民は自民党でない市長を選んだ。
ですから,わたくしは,この広島であれ,どこであれ,全国皆な,そうだと思う。
私共が,何としても,本当に自民党に替わる,本当に国民サイドに立った政権を,もう一度打ち立てなければならない。
それが国民皆さんの,いまだなお,願いであると思っております。
そのためにもですね,この参議院の選挙戦,何としても,そのもう一度の政権交代の第一のステップとして,皆さんのお力で,我々一定のきちんとした勢力を維持しなくてはなりません。
そういう大きな背景を持ったこの参議院選挙でございます。どうか,皆さんのお力で,国民のための政権,その灯を,絶対消さないで頂きたい。
< 途中省略 >
本当に今日は,太田町の皆様,地域の皆様,お忙しい中,こうして大勢ご参加頂きまして,誠に有り難うございました。(人びと・拍手)
重ねてお願い申し上げまして,ご挨拶と致します。(小沢氏・礼,数回。人びと・拍手)
有り難うございました。(小沢氏・礼,数回。人びと・拍手) 有り難うございました。 (小沢氏・礼,数回。人びと・拍手))
(小沢氏・ビール箱から降りる。人びとの拍手続き,再びビール箱に上がり,手を振る。礼・数回)
(ビール箱から降りるも人びとの拍手続き,再びマイクを取り,手を振りつつ)
どうも,本当に皆さん,有り難うございました。
よろしく,よろしくお願い致します。有り難うございました。
どうかよろしくお願いします。(明るく力強い)
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従わない者は軍法会議で処刑する:自民改憲案
2013-07-18
【こちら特報部】「平和憲法に真っ向背反 石破幹事長の「軍法会議設置」発言」2013/07/16(東京新聞 書き起こし「大友涼介」のブログから
自民党は同党の改憲草案で、憲法九条を変更して自衛隊を「国防軍」にすることを掲げた。それに伴い、国防軍に「審判所」という現行憲法では禁じられている軍法会議(軍事法廷)の設置を盛り込んでいる。防衛相の経験もある同党の石破茂幹事長は四月に出演したテレビ番組で、審判所設置に強い意気込みを見せた。「死刑」「懲役三百年」など不穏な単語も飛び出した石破氏の発言とは-。 (小倉貞俊記者)
◇
「軍事法廷とは何か。すべて軍の規律を維持するためのものです」。四月二十一日放映の「週刊BS-TBS報道部」。憲法改正を問うというテーマで招かれた石破氏は持論を転換した。
国防軍になると、具体的に何が変わるのかと問われた石破氏はまず、「(改憲草案に)軍事裁判所的なものを創設する規定がある」と述べた。
改憲案九条二の五項には「軍人その他の公務員が職務の実施に伴う罪か国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、国防軍に審判所を置く」とある。
続けて石破氏は、現在の自衛隊で隊員が上官の命令に従わない場合は、自衛隊法で最高でも懲役七年が上限であることを説明し、こう語った。
「『これは国家の独立を守るためだ。出動せよ』と言われたときに、いや行くと死ぬかもしれないし、行きたくないなと思う人がいないという保証はどこにもない。
だから(国防軍になったとき)それに従えと。それに従わなければ、その国における最高刑に死刑がある国なら死刑。無期懲役なら無期懲役。懲役三百年なら三百年。そんな目に遭うくらいなら、出動命令に従おうっていう。人を信じないのかと言われるけれど、やっぱり人間性の本質から目を背けちゃいけない」
こうした重罰を科すために審判所は必要で、石破氏は「公開の法廷ではない」と付け加えた。
自民党のホームページある「日本国憲法改正草案Q&A」でも、国防軍審判所を「いわゆる軍法会議のこと」と説明、設置理由を「軍事秘密を保護する必要があり、迅速な裁判の実施が望まれるため」と解説する。
裁判官や検察、弁護側を軍人から選ぶことを想定。審判所が一審制か二審制なのかは「立法政策による」と記され、上訴ができるか否かは不透明だ。
この発言について、山口大の纐纈厚教授(歴史学)は「戦前の軍隊の在り方自体を否定すすることから戦後日本は出発し、現行憲法がつくられた。石破発言は平和国家日本のありようを根底から覆して、戦前と同様の軍事組織の立ち上げを意図している。歴史の教訓を反故にするもの」と話す。
早稲田大の水島朝穂教授(憲法学)も「戦争体験世代の政治家にあった抑制は皆無。戦前の反省はどこへいったのか」と批判し、「審判所」という表現に注目する。
「現行憲法も自民改憲草案も、七六条二項で『特別裁判所』の設置を禁じている。軍法会議はこの特別裁判所にあたるため、通常の行政機関を装った『審判所』という名にしたのではないか」
◇
軍法会議は現在も米英はじめ、多くの国で制度が存在する。自国の軍人や軍属を裁くのが目的だが、戒厳下などでは民間人も対象になる。
旧日本軍では陸海軍にそれぞれ置かれ、一審の場合には五人の裁判官のうち軍人四人、法曹資格を持つ文官一人(後に全員が軍人)で構成されていた。
平時では公開されて被告の上訴権もあり、弁護人も付いたが、戦地や戒厳下で開かれる特設の軍法会議では、それらが認められなかった。
「二・二六事件(一九三六年発生のクーデター未遂事件)では一審、非公開、弁護人なしの過酷な密室審理のもと、青年将校や民間人が密室審理のまま、銃殺刑になった」(纐纈教授)
「戦場の軍法会議」の共著がる大阪経済法科大の北博昭客員教授(日本近代史)は「軍法会議の目的は軍隊を団結させ、組織を維持することにある。だから軍から裁判に干渉が入り、不当判決が起こるケースは少なくなかった」と語る。
北教授が法曹資格を持つ当事者の裁判官から聞き取った不当判決の事例がある。
フィリピンで一九四五年二月に開かれた軍法会議で、食料調達のため、部隊を抜け出した海軍の兵士が死刑になった。
海軍刑法では交戦中の敵前逃亡罪は最高で死刑だが、このケースは戦闘中ではなかった。
「この兵は英語が上手だったので、もし敵に捕まった際に軍の内情が知られないよう、見せしめに処刑されたようだ。裁判官は軍上層部から圧力を受けていたとみられ、『(兵には)かわいそうなことをした』と言っていた。(北教授)
ちなみに自衛隊の内部問題への対処は、現状でも危うさがちらつく。
航空自衛隊小松基地に所属していた池田久夫一等空尉(50)は二〇〇九年五月、「基地の情報が入ったUSBメモリーを盗んだ」という窃盗の容疑で、二十日間にわたり警務隊から取り調べを受け、自白を強要された。
池田氏にはアリバイがあった。だが、それは黙殺され、警務隊は自白以外にも証拠もないまま、金沢地検に書類送検。二〇一〇年十月に不起訴に不起訴の決定が出たものの、いまだ名誉回復はされていない。
池田氏の支援団体は「当時の上司に意見したことで煙たがられており、濡れ衣を着せられたのでは」と推測する。
自衛隊員の裁判に取り組んできた佐藤博文弁護士は「警務隊員も身分は自衛官で、上司の指示に従う立場。公平性、客観性が担保されていない」と言う。
佐藤氏が担当した女性自衛官の事件では、強姦未遂に匹敵する被害だったのに、それより軽微な強制わいせつで処理された。捜査に当たった警務隊員は女性に「上司の命令には逆らえない」と弁明したという。
佐藤弁護士は「国防軍審判所ができれば、組織防衛のために原告の訴え自体が認められなかったり、人身御供にされたりする危険も生まれる」と案じる。「自衛隊員やその家族こそ九条によって人権を守られている」
纐纈教授は「国防軍審判所ができたら、すでにある有事法制に加え、戦前の『国防保安法』『軍機保護法』のような法律が整備される可能性が出てくる」と指摘する。
水島教授もこう訴えた。「法に基づいて判断する普通裁判所と違い、絶対的な上意下達のシステムの下、機密保持や軍の閉鎖的な論理が優先されかねない。戦前の恐怖支配の足音が聞こえる」
※デスクメモ 遠い昔、銃を手にしたら警官らが街をうろつく光景にファシズムを重ねた。
でも、想像力を欠いていたと確信する。
お笑い番組と監視カメラ、好戦的な政治家の暴言と無関心にあふれた日常。もうすでに一線を越えていないか。 そういえば、故田中清玄氏は軍国主義は些細な弾みで戻ると警告していた。(牧デスク)
ーーーーーーーーーーーーーーー
テレビに洗脳されている間に着々と国家主義、軍国主義が広まって、いまや公然と海兵隊、軍法会議、従わない者は処刑とまでエスカレートしている。
こんな連中は決して許さない。
自民党は同党の改憲草案で、憲法九条を変更して自衛隊を「国防軍」にすることを掲げた。それに伴い、国防軍に「審判所」という現行憲法では禁じられている軍法会議(軍事法廷)の設置を盛り込んでいる。防衛相の経験もある同党の石破茂幹事長は四月に出演したテレビ番組で、審判所設置に強い意気込みを見せた。「死刑」「懲役三百年」など不穏な単語も飛び出した石破氏の発言とは-。 (小倉貞俊記者)
◇
「軍事法廷とは何か。すべて軍の規律を維持するためのものです」。四月二十一日放映の「週刊BS-TBS報道部」。憲法改正を問うというテーマで招かれた石破氏は持論を転換した。
国防軍になると、具体的に何が変わるのかと問われた石破氏はまず、「(改憲草案に)軍事裁判所的なものを創設する規定がある」と述べた。
改憲案九条二の五項には「軍人その他の公務員が職務の実施に伴う罪か国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、国防軍に審判所を置く」とある。
続けて石破氏は、現在の自衛隊で隊員が上官の命令に従わない場合は、自衛隊法で最高でも懲役七年が上限であることを説明し、こう語った。
「『これは国家の独立を守るためだ。出動せよ』と言われたときに、いや行くと死ぬかもしれないし、行きたくないなと思う人がいないという保証はどこにもない。
だから(国防軍になったとき)それに従えと。それに従わなければ、その国における最高刑に死刑がある国なら死刑。無期懲役なら無期懲役。懲役三百年なら三百年。そんな目に遭うくらいなら、出動命令に従おうっていう。人を信じないのかと言われるけれど、やっぱり人間性の本質から目を背けちゃいけない」
こうした重罰を科すために審判所は必要で、石破氏は「公開の法廷ではない」と付け加えた。
自民党のホームページある「日本国憲法改正草案Q&A」でも、国防軍審判所を「いわゆる軍法会議のこと」と説明、設置理由を「軍事秘密を保護する必要があり、迅速な裁判の実施が望まれるため」と解説する。
裁判官や検察、弁護側を軍人から選ぶことを想定。審判所が一審制か二審制なのかは「立法政策による」と記され、上訴ができるか否かは不透明だ。
この発言について、山口大の纐纈厚教授(歴史学)は「戦前の軍隊の在り方自体を否定すすることから戦後日本は出発し、現行憲法がつくられた。石破発言は平和国家日本のありようを根底から覆して、戦前と同様の軍事組織の立ち上げを意図している。歴史の教訓を反故にするもの」と話す。
早稲田大の水島朝穂教授(憲法学)も「戦争体験世代の政治家にあった抑制は皆無。戦前の反省はどこへいったのか」と批判し、「審判所」という表現に注目する。
「現行憲法も自民改憲草案も、七六条二項で『特別裁判所』の設置を禁じている。軍法会議はこの特別裁判所にあたるため、通常の行政機関を装った『審判所』という名にしたのではないか」
◇
軍法会議は現在も米英はじめ、多くの国で制度が存在する。自国の軍人や軍属を裁くのが目的だが、戒厳下などでは民間人も対象になる。
旧日本軍では陸海軍にそれぞれ置かれ、一審の場合には五人の裁判官のうち軍人四人、法曹資格を持つ文官一人(後に全員が軍人)で構成されていた。
平時では公開されて被告の上訴権もあり、弁護人も付いたが、戦地や戒厳下で開かれる特設の軍法会議では、それらが認められなかった。
「二・二六事件(一九三六年発生のクーデター未遂事件)では一審、非公開、弁護人なしの過酷な密室審理のもと、青年将校や民間人が密室審理のまま、銃殺刑になった」(纐纈教授)
「戦場の軍法会議」の共著がる大阪経済法科大の北博昭客員教授(日本近代史)は「軍法会議の目的は軍隊を団結させ、組織を維持することにある。だから軍から裁判に干渉が入り、不当判決が起こるケースは少なくなかった」と語る。
北教授が法曹資格を持つ当事者の裁判官から聞き取った不当判決の事例がある。
フィリピンで一九四五年二月に開かれた軍法会議で、食料調達のため、部隊を抜け出した海軍の兵士が死刑になった。
海軍刑法では交戦中の敵前逃亡罪は最高で死刑だが、このケースは戦闘中ではなかった。
「この兵は英語が上手だったので、もし敵に捕まった際に軍の内情が知られないよう、見せしめに処刑されたようだ。裁判官は軍上層部から圧力を受けていたとみられ、『(兵には)かわいそうなことをした』と言っていた。(北教授)
ちなみに自衛隊の内部問題への対処は、現状でも危うさがちらつく。
航空自衛隊小松基地に所属していた池田久夫一等空尉(50)は二〇〇九年五月、「基地の情報が入ったUSBメモリーを盗んだ」という窃盗の容疑で、二十日間にわたり警務隊から取り調べを受け、自白を強要された。
池田氏にはアリバイがあった。だが、それは黙殺され、警務隊は自白以外にも証拠もないまま、金沢地検に書類送検。二〇一〇年十月に不起訴に不起訴の決定が出たものの、いまだ名誉回復はされていない。
池田氏の支援団体は「当時の上司に意見したことで煙たがられており、濡れ衣を着せられたのでは」と推測する。
自衛隊員の裁判に取り組んできた佐藤博文弁護士は「警務隊員も身分は自衛官で、上司の指示に従う立場。公平性、客観性が担保されていない」と言う。
佐藤氏が担当した女性自衛官の事件では、強姦未遂に匹敵する被害だったのに、それより軽微な強制わいせつで処理された。捜査に当たった警務隊員は女性に「上司の命令には逆らえない」と弁明したという。
佐藤弁護士は「国防軍審判所ができれば、組織防衛のために原告の訴え自体が認められなかったり、人身御供にされたりする危険も生まれる」と案じる。「自衛隊員やその家族こそ九条によって人権を守られている」
纐纈教授は「国防軍審判所ができたら、すでにある有事法制に加え、戦前の『国防保安法』『軍機保護法』のような法律が整備される可能性が出てくる」と指摘する。
水島教授もこう訴えた。「法に基づいて判断する普通裁判所と違い、絶対的な上意下達のシステムの下、機密保持や軍の閉鎖的な論理が優先されかねない。戦前の恐怖支配の足音が聞こえる」
※デスクメモ 遠い昔、銃を手にしたら警官らが街をうろつく光景にファシズムを重ねた。
でも、想像力を欠いていたと確信する。
お笑い番組と監視カメラ、好戦的な政治家の暴言と無関心にあふれた日常。もうすでに一線を越えていないか。 そういえば、故田中清玄氏は軍国主義は些細な弾みで戻ると警告していた。(牧デスク)
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テレビに洗脳されている間に着々と国家主義、軍国主義が広まって、いまや公然と海兵隊、軍法会議、従わない者は処刑とまでエスカレートしている。
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