米国の戦争に尽くすメディア:長周新聞
2013-02-25

バベルの塔
米国の戦争に尽くすメディア
昔大本営、今ペンタゴン
TPP、尖閣、原発等 2/20 長周新聞
安倍首相の訪米を前に、「日米同盟強化」「TPP交渉決断の時」「北朝鮮、中国への毅然とした対応を」「オバマ大統領に期待」など、商業マスコミの統一論調が露骨になっている。
とくに最近の尖閣諸島をめぐる騒ぎ、朝鮮の核実験をめぐって戦争を煽る報道の異常さは大本営発表を想起させるものとして強い違和感を広げている。
東日本大震災と福島原発事故は、新聞、テレビ、ラジオなどが「不偏不党」「公正中立」を掲げて、いかにしらじらしいウソをついて国民をだましてきたかを万人の目に焼き付けた。
戦争とそれにつながる国民生活の死活をかけた問題で、マスコミが常にウソを報道し、あるいは問題をすりかえて欺瞞し、多くの国民の生命を奪い国を破滅に導いてきた歴史を消し去ることはできない。
対米従属下でのマスメディアが果たす犯罪的な役割は今やすっかり暴露され、その欺瞞は通用しなくなっている。
『朝日新聞』と『毎日新聞』は同じ15日付の社説で、安倍首相が訪米時にオバマ大統領に対して、TPP交渉への参加を表明すべきだと主張する論陣を張った。
その前に『読売』が「首相はTPP参加へカジ切れ」(2月8日付社説)と書いたことに呼応するものである。
『朝日』は「TPP交渉 主体的に関わってこそ」と題して、「まもなく日米首脳会談が開かれる。絶好の機会ではないか。安倍首相は交渉への参加を表明すべきだ」「オバマ氏の言質を取ろうと躍起になるより、新たなルール作りに主体的にかかわっていくべきではないか」とけしかけている。
『毎日』は「安倍晋三首相は、今月下旬に予定されるオバマ米大統領との首脳会談で参加の意向を示すべく、リーダーシップを発揮すべきだ」と主張している。
マスメディアはこれまで、TPPについては「メリット」「デメリット」などいって、折衷的な装いで交渉への道を清めてきた。
だが、農協を「守旧勢力」と憎悪を込めてターゲットにする問題のすりかえで、日本の主権を売り渡し社会の全分野を解体させる道を突っ走るようハッパをかけている。
それは、「オバマ大統領 断固たる北朝鮮対応を」(『朝日』13日付社説)、「北朝鮮核実験/孤立国家に未来はない」(『毎日』14日付社説)、「オバマ演説 “北の核”対処へ行動が肝心だ」(『読売』14日付社説)など、日米軍事同盟を強化しアメリカの国益のための中国・朝鮮との核戦争の出撃基地に、つまり報復攻撃の的として日本全土を捧げるよう導いていく売国的な主張と一つながりのものである。
それはまた、「核実験と昨年末の弾道ミサイル発射で、米国にも現実的な脅威が及んだ。大統領が言うように、日米をはじめ同盟国の結束が不可欠だ」(『毎日』)というように、どこの国の新聞の論調かとみまがうほどオバマの下僕としての姿をあらわにするものとなっている。
こうした論調は、一方でテレビの報道バラエティー番組で、あるいは週刊誌や雑誌で、アメリカにひざまづく一方で「北の脅威」「中国の暴挙」を間断なく煽って好戦的な雰囲気をつくることと連動して生み出されてきた。
根本問題をそらす役割 原発も基地も
3・11の東日本大震災と福島原発事故は、マスメディアが電力会社、政府・官僚、御用学者と癒着(ゆちゃく)し、「安全神話」を垂れ流して原発推進の旗振りをしてきた犯罪とその構図をいかんなく暴露することとなった。
そのことが国民の圧倒的な批判と怒りを買うと、新聞特集やテレビのニュース番組で政府の事故対応や「原子力ムラ」批判のポーズをとって見せるが、広島・長崎に原爆を投下したアメリカが、地震大国日本に54基もの原発を林立させた犯罪をあばき、圧倒的多数の国民が求めるようにすべての原発運転に反対するために論陣を張ることだけは避けた。
それは、大飯原発の再稼働反対を掲げた首相官邸包囲の十数万人デモが連続していることを覆い隠したり、原発立地点の地質調査の成否などに問題をすりかえはぐらかしてきたことにもはっきりと示されている。
ここでも、その背景に、アメリカの圧力があったことが暴露されている。
沖縄米軍基地の辺野古移設、オスプレイ配備、消費増税や被災地復興をめぐる新聞、テレビの報道から真実味を感じることはできない。
そこで浮き彫りにされるのは、窮地に立つアメリカや政府・財界の側からなだめすかしたりはするが、住民の実際の生活の苦難やたたかいについてはほおかむりする姿である。
それは「劇場型選挙」を演出して小泉・竹中路線による「郵政民営化」に誘導、「規制改革」を金科玉条にしてアメリカの収奪に道を開き、格差拡大、失業、貧困、戦争の政治を推進する役割を果たしてきたことと一体のものである。
事実、マスメディアは国公立の大学・病院などの「独法化」やアメリカ型訴訟社会をモデルにした「司法改革」など市場原理「改革」を称揚し、それに反対するものは時代遅れの「守旧派」であるといって、実はすでに破綻済みのもっと反動的な「新自由主義」の宣伝を休むことなくやってきた。
大手新聞の世論調査のインチキは、アメリカによる首相の首のすげ替えに貢献してきたことに暴露されている。
国民の反撃世論が高まり政府が死に体となれば、それに迎合するかのように内閣支持率低下を伝え、謀略的な選挙報道を展開する。
そして、新しく担ぎあげた政府には高い支持率を与えて期待を持たせるように仕組んできた。
それは、わずか16%しか得票せずに大量の議席を得た安倍自民党の「圧勝」ムードをふりまき、アベノミクスへの期待と幻想をふりまくことで、高い内閣支持率をはじきだす姑息(こそく)なやり方に共通するものである。
最近のマスメディアの犯罪として、大津いじめ事件、桜宮高校体罰事件など教育現場をめぐる異様なキャンペーンがあげられる。
これは、「いじめ自殺」「体罰」を教育の外側からセンセーショナルにとりあげ、教師と子どもとの血の通った信頼関係を破壊し、父母と教師を対立させて警察や行政を介在させていく方向に道を開くためのものであった。
このキャンペーンは、戦前の学校現場に配属将校を配置し教師を萎縮させたうえに、子どもたちを戦争にかり出していった経験を人人に想起させている。
当時は天皇制・皇国史観の教育で「御国のため」に「日の丸」を掲げて子どもたちが兵隊にかり出されたが、今は自己中心の新自由主義教育で星条旗のもとで戦争の肉弾に動員されようとしていることへの人々の警戒心を、高めさせることとなった。
マスメディアが日本国民の命運にかかわる重要な問題で、幾千万大衆の利益の側に立ったことは一度もなかった。
このことは日本のマスコミが戦前、天皇制軍国主義の戦争を鼓吹し、戦後は一貫してアメリカの戦争を支持し推進する宣伝機関として存在してきたことにはっきりと示されている。
戦後も戦争動員繰返す 今度は米国の手先で
第2次世界大戦で、『朝日』やNHKは国民を戦争に動員するためにすべての力を注いだ。
1931(昭和6)年の満州事変の発端は、日本の謀略による鉄道爆破であった。
新聞・ラジオは「中国軍による満鉄線路爆破」の政府発表を意図的に流し、「暴支膺懲」(横暴な支那を懲らしめよ)の風潮を煽り、1937(昭和12)年の中国侵略戦争の泥沼に突入していくよう導いた。
そして、中国での戦争の敗北が決定的となるや、「鬼畜米英」「一億玉砕」のかけ声で、敗北しひれ伏すことを念頭においたアメリカとの戦争に国民をだまして総動員し、戦局はウソ偽りの「大本営発表」をそのまま垂れ流した。
そうして、原爆投下や空襲、沖縄戦、戦地で320万の国民を殺りくするにまかせたのである。
『朝日』『毎日』『読売』やNHKは戦後、こうしたみずからの戦争犯罪を反省するのではなく、軍部や「戦争に熱狂した国民」のせいであったかのようにふるまってきた。
そして、今度はその汚れた手でアメリカの戦争の旗を振り、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン、イラク戦争など、あいつぐアメリカの戦争を正義の戦争として美しく描き、対米従属下の軍備増強、日米共同作戦体制への協力を、国民に強いるようふりまいてきた。
イラク戦争は、「フセインはアルカイダと関係がある」「大量破壊兵器を持っている」という口実を大義名分にして、米軍の大空爆と侵攻がやられた。
日本のマスメディアは、その途上、CNNニュースなどアメリカ報道機関、ロイターなど通信社が流す情報をなんの裏づけをとることなく、そのまま「ほんとう」のことであるかのように垂れ流した。
そして、米軍のバグダッド侵攻を「民主主義の勝利」として大いに称えた。
その後、大量破壊兵器はなかったこと、フセインはアルカイダと無関係であったことが、アメリカ上院で公式に確認された。
それにもかかわらず、マスメディアがそのことを批判・検証したことはなかった。
それはベトナム戦争の契機となった「トンキン湾事件」の謀略が判明したときも同様であった。
森口尚史・特任研究員の「iPS細胞応用臨床ねつ造」事件や「あるある大事典」などバラエティー番組でのねつ造や誤報は大騒ぎするが、もっとも深刻なアメリカの戦争をめぐる「誤報」については、口をつぐんだままである。
「昔大本営、今ペンタゴン」といわれるゆえんである。
日本のマスメディアが他に類をみないまでにアメリカの宣伝機関に成り下がった構図は、第2次世界大戦後アメリカの占領期に形成されたものであることが、近年の歴史研究のなかでも明らかにされてきた。
GHQは日本占領後、原爆投下などアメリカを批判する言論を一切封じる「プレスコード」を発令し、ラジオ・新聞に直接介入し、雑誌、書簡の検閲をおこない、違反者を厳罰に処して恫喝を加えた。
『朝日』『NHK』などがその先頭に立って、「内部規範」を作製して自主規制をおこなってきたこと、それが占領後も続いてきたことも明らかになっている。
また、アメリカのCIA(中央情報局)が、戦前『朝日』の主幹で戦犯とされた緒方竹虎と、同じく読売新聞社主の正力松太郎を「暗号名を持つ有力なエージェント」に組織して、アメリカの原発受け入れとともに、アメリカ文化を日本に注入していったことも暴露されている。
メディア研究者の有山輝雄・東京経済大学教授は、「日本のジャーナリズムが、戦前も戦後も言論報道の統制にひたすら適応することに専念していたことが如実にうかがえる」と指摘している。
大手マスコミの報道が信用できるものではないというのが、国民的な常識となり、中学校でさえ、メディアリテラシー(メディアを批判的にとらえる教育)を「新聞教育」としてカリキュラムにとり入れるまでになった。
それほどウソがはびこっているのである。
このことは、アメリカや売国的な支配層がもはや、真理真実を代表できるものではなく、ウソやハッタリで人人をだます以外にやっていけないこと、その代弁機関としてのマスメディアの極度の腐敗、腐朽を示すものである。
それは、歴史を創造する原動力である生産人民のなかにこそなにものにもかえがたい真実があること、
そこに流れる新しい時代を代表する世論を組織し、腐れ切った支配階級のデマゴギーをあばいて勝利させる大衆的な言論機関の必要性とその重大な歴史的役割を教えるものとなっている。
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2013-02-25

1913年との類似化 2/15 「耕助のブログ」(ビル・トッテン氏)から
アメリカの衰退と中国の台頭が目覚ましい2013年は、大英帝国の衰退とドイツが台頭してきた100年前の1913年とどこか似ている。
もちろんまったく同じではない。中国は100年前のドイツのように拡張主義を公言していないし、大英帝国は今のアメリカほど産業でも軍事においても先進国ではなかった。
しかし1913年の翌年、20世紀を大惨事に巻き込む世界大戦が始まったことを考えると、日本政府が日中戦争に発展しかねない行動をとっていることが気にかかる。
先月、安倍総理は尖閣領空上の中国機に対し、国際法にのっとって対応すると強硬な姿勢を示した。これはつまり「警告射撃をする」という中国への挑発である。
戦争によって国民がどんな悲惨な目にあうか私があらためて書く必要もないし、どう考えても日本が中国に勝てるわけがない。万が一、日本が勝ちそうになれば、負けを認める前に中国は核兵器を使うだろう。
そうなれば東海道に一つの水爆が落とされても、日本は破滅する。逆に広大な国土をもちさまざまな機能が分散する中国は、いくつ水爆をお返ししても壊滅状態になることはないだろう。
また日本では産業も経済も政府も首都圏に集中しているため、日本を破滅させるには超高高度で核爆弾を爆発させる電磁パルスの一撃でもよい。
電磁パルスによってコンピューター、携帯電話、自動車、テレビ、エアコン、エレベーター、飛行機、ラジオ、さらにはコンピューターで管理されている原子力発電所の電子制御機やバックアップ発電機などもすべて停止する。
道路や電車の信号、水道、ガス、電気といったインフラ、銀行口座の数字やレジ、在庫管理や流通などあらゆるものがコンピューター制御されている日本社会では、1週間かそこらで都会に住む人々は飢餓に直面するかもしれない。
また、例え尖閣諸島に大量の石油や天然ガスが埋蔵されていても、日本がそれを掘り出して利用することは難しい。
日本の最大の貿易相手国である中国との関係が悪化すれば、戦争をしてまでその開発を行う力はない。過去数カ月、日中関係が悪化してからの貿易統計をみればそれは鮮明だろう。
日本が尖閣諸島をめぐり中国に対してとっている態度の後ろにアメリカがいることは間違いない。
アメリカ帝国が覇権を維持するために、欧州ではイギリスを使ってヨーロッパがアメリカに敵対する一つの強大な力とならないよう、また中東はイスラエルを使って分断させ続けている。
アジアがまとまって対抗しないようにとアメリカに利用されているのが日本なのだ。
また、残念ながら、日本の国民の多くは過去100年間にわたる反中国のプロパガンダに洗脳され、中国に対して悪感情を抱いていることも理由の一つかもしれない。
ほとんどの戦争は、人間の愚かさ、傲慢さ、そして強欲によってもたらされる。
残念ながら今の日本政府や財界をみると、それを十分に持っているようだ。
1913年当時のヨーロッパと、2013年のアジアの状況が危険なほど似ていることを、だから私は恐れている。

ーーーーーーーーーーーーー
関連するページ。
きな臭い環境づくり、戦争へ誘導するマスコミ
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権力に屈しない科学を
2013-02-25
現実には科学は権力に牛耳られている。権力に都合の悪い研究は予算がつかなく、都合の良い成果を出す研究は優先的に巨額の予算がつくためだ。
それにマスコミが大宣伝するので、権力にとって都合の良い成果で国民は洗脳される。
地球温暖化詐欺が典型例だ。
原子力安全神話や放射能安全教徒はとんでもない被害を拡大し続けている。
権力に屈しない科学を国民が望まなければ、正しい科学にはならない。
科学に限らない。
すべてだが、声を挙げずに放置していては騙されるばかりである。
ーーーーーーーーーーーーー
【社説】週のはじめに考える 科学者よ、屈するな 2/24 東京新聞
科学は進歩をもたらすが、時に害悪ももたらします。公害や原発事故などです。それらを避けるには、科学者たちの屈しない姿勢がまず欠かせません。
原発については目下、活断層の評価などで、原子力規制委員会と電力会社との間で意見が分かれたりしています。日本は地震国なのだから、国民の納得のゆく結論がぜひほしいところです。
国策でもあった原子力をめぐっては、当初から学者たちの激しい議論が起きていました。
◆湯川、坂田の委員辞任
日本初のノーベル賞受賞者湯川秀樹は、請われて就任した原子力委員会の委員(非常勤)を短期で辞任し、やはり物理学者の坂田昌一が原子力委員会の専門部会委員を中途で辞めています。
湯川の場合、病気静養を理由とし、また引き受けても一年程度という約束もしていたのですが、早期の原子炉導入にはもともと慎重な立場でした。
坂田の場合、辞任の理由は明白でした。
自ら委員を務める、原子炉導入を審議する委員会にあてて手紙を出していた。英国コールダーホール型原子炉の東海村導入をめぐり近隣住民の退避を決める際の放射線量の明示と、それをどういうふうに決めたかの審議の内容が公開されないままでは国民に責任がもてない、という内容でした。
学者として、安全を保証できない、というのです。
当時科学者らに原子力発電への反対は見られなかったのですが、世界に遅れまいとする積極派と、それよりも安全を重視する慎重派とがありました。積極派は原発推進の政治に同調的でした。
慎重派は坂田らに代表される動きですが、原子炉ならその設計から材料、万一の放射能漏れへの対処まで自分たちでしっかりとつくるべきだという立場です。
◆政治に負かされたよう
しかし残念ながら、湯川も坂田も辞めるという行動でしか抗議の意思を表明できなかった。その後を見れば、まるで政治に打ち負かされたようにも思われます。
いくつもの公害の中でも熊本・水俣病はひどいものでした。
住民に、メチル水銀の被害が現れ、一九五六年に熊本大医学部は原因としてチッソの工場排水に着目した。その三年後、厚生省(当時)の部会が原因は有機水銀化合物との答申を出す。ところが毒の廃水は海に流され続け、政府の公害認定はさらに九年後でした。
一体、医師は、科学者は何をしていたのか。科学は人の苦しむのを見て見ぬふりをしていたのか。
一体、政治、行政、またメディアは何をしていたのか。科学者の責任だけにしておいたのか。
化学肥料を量産するチッソ水俣工場とは、食料増産を支える国策に違いなかった。しかし、それは苦しむ人々を放置したことにおいて、技術の進歩でも国家の発展でもなかったといえるでしょう。
原子力は、より大きな国家的目的を与えられてきました。草創期は被爆国ゆえの核の平和利用、オイルショック後には石油の代替、最近の温暖化対策ではクリーンエネルギーであるというように。
夢のような言葉によって危険は覆い隠されてきたのです。
原子力規制委は、原発の新基準をつくりつつあります。
冷ややかに見るのなら、欧州などの国際基準並みにするということなのですが、基準が厳しいほどその達成には当然ながら多額の費用と時間を要します。過去の“欠陥”を直さねばならないのです。
田中俊一委員長は、「コストがいくらかかるかについて私は全く頭にない」と会見で言い切った。脳裏には科学者の責任があるでしょう。
思い出されるのは、昨年の米国原子力規制委、ヤツコ委員長の辞任です。福島の事故の後、原発の電源喪失対策を厳しく求め、米国の原子力業界と対立していました。規制委の中で孤立していたともいわれます。
彼自身に業界や政治を説き伏せるだけの力量がなかったのかもしれません。それは、あまりにも巨大な敵でもありました。
◆科学技術は人のため
しかし、どうでしょう。
もし、科学者が日和見になったり、骨抜きにされたら、科学は害悪をもたらすのではないか。
それこそが公害の歴史でした。見るべきものを見逃し、唱えるべきことに沈黙してきたのです。
現代科学の巨大化複雑化は、もはや科学自身が解決できないことすら生んでいるのではないか。そんな議論も聞きます。中でも核エネルギーとは恐るべき破壊力と消えない毒性をもたらすのです。
科学技術とは、人のためにあるべきものです。だから今度こそ科学者が屈することなどあってはならないと強く思うのです。
ーーーーーーーーーーーーー
(阿修羅から)この記事へのコメント
独立行法人の研究所(旧国立研究所)の研究員です。記事に賛同します。
私は決して屈したくありませんが、屈することを強いられている現実もあります。
そのことを書いてみました。
この10数年ほどの間に、研究所の予算のうち黙っていてももらえる予算(経常予算=自由に研究に使える)は極端に減らされてきました。
ところが、日本の科学・技術予算の総額はあまり減っていません。
なぜなら、使い道を限定した「ひも付き」予算が大幅に増えたからです。
それを獲得しないと、大学も研究所も研究活動ができないように仕組まれています。
私の分野で具体的に言えば、地球温暖化をテーマにして「将来こんな恐ろしいことが起きる」と宣伝することを成果として出す研究をやらないと予算がもらえないようになっています。
申請すれば予算がもらえるのではなく、申請書類に具体的にどのような方法でどんなメンバーが何をして、どんな成果を出すか書かないといけません。
その競争倍率は高いものでは数倍になり、ずっと獲得できないとほとんど研究ができません。
すると、「お前の研究所(大学)は成果(論文)が出ない」とお上から言われて、人員や予算をさらに削られます。
元来、大学も研究所もその多くは国が管理して税金で養ってもらっているとはいえ、政府が意図的に学問の自由・良心の自由をわい曲しているのです。
このような予算による管理体勢から抜け出すのは容易なことではありません。
結果的に多くの研究者が政府の犬になり下がっていく現実を、私は目の当たりにしています。
すべての資金がひも付きではありません。
「ひも無し」予算を獲得して、屈することなく科学的・社会的な真理を追究することこそ、今の研究者にできる唯一の道ではないか、と思います。
ーーーーーーーーーー
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また不都合な事実、2000年以上冷え続けている
それにマスコミが大宣伝するので、権力にとって都合の良い成果で国民は洗脳される。
地球温暖化詐欺が典型例だ。
原子力安全神話や放射能安全教徒はとんでもない被害を拡大し続けている。
権力に屈しない科学を国民が望まなければ、正しい科学にはならない。
科学に限らない。
すべてだが、声を挙げずに放置していては騙されるばかりである。
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【社説】週のはじめに考える 科学者よ、屈するな 2/24 東京新聞
科学は進歩をもたらすが、時に害悪ももたらします。公害や原発事故などです。それらを避けるには、科学者たちの屈しない姿勢がまず欠かせません。
原発については目下、活断層の評価などで、原子力規制委員会と電力会社との間で意見が分かれたりしています。日本は地震国なのだから、国民の納得のゆく結論がぜひほしいところです。
国策でもあった原子力をめぐっては、当初から学者たちの激しい議論が起きていました。
◆湯川、坂田の委員辞任
日本初のノーベル賞受賞者湯川秀樹は、請われて就任した原子力委員会の委員(非常勤)を短期で辞任し、やはり物理学者の坂田昌一が原子力委員会の専門部会委員を中途で辞めています。
湯川の場合、病気静養を理由とし、また引き受けても一年程度という約束もしていたのですが、早期の原子炉導入にはもともと慎重な立場でした。
坂田の場合、辞任の理由は明白でした。
自ら委員を務める、原子炉導入を審議する委員会にあてて手紙を出していた。英国コールダーホール型原子炉の東海村導入をめぐり近隣住民の退避を決める際の放射線量の明示と、それをどういうふうに決めたかの審議の内容が公開されないままでは国民に責任がもてない、という内容でした。
学者として、安全を保証できない、というのです。
当時科学者らに原子力発電への反対は見られなかったのですが、世界に遅れまいとする積極派と、それよりも安全を重視する慎重派とがありました。積極派は原発推進の政治に同調的でした。
慎重派は坂田らに代表される動きですが、原子炉ならその設計から材料、万一の放射能漏れへの対処まで自分たちでしっかりとつくるべきだという立場です。
◆政治に負かされたよう
しかし残念ながら、湯川も坂田も辞めるという行動でしか抗議の意思を表明できなかった。その後を見れば、まるで政治に打ち負かされたようにも思われます。
いくつもの公害の中でも熊本・水俣病はひどいものでした。
住民に、メチル水銀の被害が現れ、一九五六年に熊本大医学部は原因としてチッソの工場排水に着目した。その三年後、厚生省(当時)の部会が原因は有機水銀化合物との答申を出す。ところが毒の廃水は海に流され続け、政府の公害認定はさらに九年後でした。
一体、医師は、科学者は何をしていたのか。科学は人の苦しむのを見て見ぬふりをしていたのか。
一体、政治、行政、またメディアは何をしていたのか。科学者の責任だけにしておいたのか。
化学肥料を量産するチッソ水俣工場とは、食料増産を支える国策に違いなかった。しかし、それは苦しむ人々を放置したことにおいて、技術の進歩でも国家の発展でもなかったといえるでしょう。
原子力は、より大きな国家的目的を与えられてきました。草創期は被爆国ゆえの核の平和利用、オイルショック後には石油の代替、最近の温暖化対策ではクリーンエネルギーであるというように。
夢のような言葉によって危険は覆い隠されてきたのです。
原子力規制委は、原発の新基準をつくりつつあります。
冷ややかに見るのなら、欧州などの国際基準並みにするということなのですが、基準が厳しいほどその達成には当然ながら多額の費用と時間を要します。過去の“欠陥”を直さねばならないのです。
田中俊一委員長は、「コストがいくらかかるかについて私は全く頭にない」と会見で言い切った。脳裏には科学者の責任があるでしょう。
思い出されるのは、昨年の米国原子力規制委、ヤツコ委員長の辞任です。福島の事故の後、原発の電源喪失対策を厳しく求め、米国の原子力業界と対立していました。規制委の中で孤立していたともいわれます。
彼自身に業界や政治を説き伏せるだけの力量がなかったのかもしれません。それは、あまりにも巨大な敵でもありました。
◆科学技術は人のため
しかし、どうでしょう。
もし、科学者が日和見になったり、骨抜きにされたら、科学は害悪をもたらすのではないか。
それこそが公害の歴史でした。見るべきものを見逃し、唱えるべきことに沈黙してきたのです。
現代科学の巨大化複雑化は、もはや科学自身が解決できないことすら生んでいるのではないか。そんな議論も聞きます。中でも核エネルギーとは恐るべき破壊力と消えない毒性をもたらすのです。
科学技術とは、人のためにあるべきものです。だから今度こそ科学者が屈することなどあってはならないと強く思うのです。
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(阿修羅から)この記事へのコメント
独立行法人の研究所(旧国立研究所)の研究員です。記事に賛同します。
私は決して屈したくありませんが、屈することを強いられている現実もあります。
そのことを書いてみました。
この10数年ほどの間に、研究所の予算のうち黙っていてももらえる予算(経常予算=自由に研究に使える)は極端に減らされてきました。
ところが、日本の科学・技術予算の総額はあまり減っていません。
なぜなら、使い道を限定した「ひも付き」予算が大幅に増えたからです。
それを獲得しないと、大学も研究所も研究活動ができないように仕組まれています。
私の分野で具体的に言えば、地球温暖化をテーマにして「将来こんな恐ろしいことが起きる」と宣伝することを成果として出す研究をやらないと予算がもらえないようになっています。
申請すれば予算がもらえるのではなく、申請書類に具体的にどのような方法でどんなメンバーが何をして、どんな成果を出すか書かないといけません。
その競争倍率は高いものでは数倍になり、ずっと獲得できないとほとんど研究ができません。
すると、「お前の研究所(大学)は成果(論文)が出ない」とお上から言われて、人員や予算をさらに削られます。
元来、大学も研究所もその多くは国が管理して税金で養ってもらっているとはいえ、政府が意図的に学問の自由・良心の自由をわい曲しているのです。
このような予算による管理体勢から抜け出すのは容易なことではありません。
結果的に多くの研究者が政府の犬になり下がっていく現実を、私は目の当たりにしています。
すべての資金がひも付きではありません。
「ひも無し」予算を獲得して、屈することなく科学的・社会的な真理を追究することこそ、今の研究者にできる唯一の道ではないか、と思います。
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関連ページ。
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原発と放射能、数々の嘘と事実:小野
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