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もうすぐ北風が強くなる

アベノミクスの展開と帰結:吉田繁治(3)

 (2)からの続きです。
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  ■4.構造派と、マネタリストはどちらが正しいか?

確かに、輸入品と耐久財(家具、家電、IT、衣料)は、2000年代の1年に4.5%のペースで下がっています。

ところが、「世帯は減った耐久財の分、他の消費財(食料、サービス、医療、電気、交通、通信、教育)の合計購入を増やした」とは言えません。耐久財以外の合計物価は、ほぼ±0%付近です。

原因は、マネー量よりも、1994年にはじまり、金融危機の98年からはっきりした世帯所得の減少です。この要因が、大きいと当方は考えます。

(注)この間、消費税の3%から5%への上昇もありました(1997年4月以降)。これは物価を2%上げる要素でした。
 (※消費増税の建前からは本来物価上昇になるはずが、実際には賃金の下落(98年から)による勤労家計の可処分所得減少(99年から)に引っ張られて物価は下降(99年から)し、デフレ循環が続くこととなった。)

 ▼名目所得の減少という特殊な現象が起こった日本

1994年の世帯所得は、664万円でした。2010年は538万円(19%減少)です。
生活が苦しいと答える世帯は、62%(3世帯に2世帯)に増えています(厚労省)。

輸入品や耐久財の価格が下がっても、ほぼ80%の世帯で収入が減ったため、それで浮いた所得は、なかった

このため、輸入品以外の、他の商品の需要が増えることはなかった

マネタリストは、マネー・サプライが4%以上増えなかったから、物価が下がったと言います。それもある。

しかしもっと大きな原因は、世帯の名目所得の減少です。
名目所得の、長期の減少(19%)は、世界にない現象
です。

(注)スイスも0.6%消費者物価が下がるデフレですが、世帯所得の減少はない。このため、実質GDPは、増えています。

日本の世帯所得の減少を指摘する人がほとんどいないのは、不思議です。
理由は、経済学では、不況期は世帯所得が減るより、失業率が増えるとしているからでしょう(フィリップス曲線)。名目所得には、なかなか下がらない下方硬直性があるとするのが、ケインズ以来の近代経済学だからです。
ところが1994年以降の日本では、失業を増やすより、平均の名目賃金が19%も下がったのです。

 ▼日本の雇用構造の変化

●日本では、名目賃金が同じで、失業が増えるのではなく(現在の失業は4.2%です)、雇用されている人の、平均の名目所得の減少になった。
これは、2000年代の非正規雇用の増加が、最大の要因です。

(注)2010年で、正規雇用は3355万人、非正規雇用は1755万人(構成比34.3%)です。3人のうち1名は非正規雇用です。うちパートが847万人、アルバイトが345万人、契約社員や嘱託330万人、派遣96万人、その他が137万人です(厚労省)。

わが国では、米欧のような「名目賃金の下方硬直性」は薄かった。
1980年代までの正社員部分が、非正規雇用化して、全体の平均賃金が下落しています。

 【雇用の構造の違いがある】

米欧では、現場労働は、ほぼ100%が、時間給の社員です。フルタイム労働とパートタイムはありますが、同じ仕事(作業)なら、時間あたり賃金に、格差はない。

 (※欧米は企業を横断する職種組合、産業労組が主流な社会のために「同一労働、同一賃金」はその組織存立の基本条件である。)

日本では1980年代までは、ほぼ正社員でした。ここが、90年代から次第に非正規化して、その結果、平均賃金が下方シフトしたのです。
以上は、米欧にはない、雇用構造の要因です。

日本は、現場の正社員の時間給換算は2000円くらいですが、パートは同じ仕事でも700円から1000円です。
 (※日本特有の企業内労組は経済学的にも労組とは見做せません。)

賃金の下方硬直性とは、給与計算書の名目金額は、なかなか下がらないことを言います。
このため、不況期の雇用調整は、失業の増加になる(米欧)。

米欧では、確かにこれがある。このため、失業率は米国で7.8%(2012年12月)、ユーロ17ヵ国では11.8%(12年11月)と高い。
日本の2000年代は、米欧よりGDPが増えていないのに、失業は4.2
%と低い。

1998年以降の日本では、こうした労働事情から、賃金が低い非正規率が34%にまで増えて、平均賃金が19%も下がっています。

 (※欧米では通常賃下げはあり得ない。当然だが労働組合が真っ向から闘うからである。労働経済的にはGDP成長率+物価上昇率が賃上げに帰結するので、それがコストとなり、翌年の物価とGDPに跳ね返る。また、労働組合の先任権によって中高年の雇用は守られるが、若年者は失業機会が増加する。
 日本に特有の企業内労組は、企業と利害を共にするわけなので、労働経済的には労働組合と見做さない。安倍某が経団連に賃上げを要請したそうだが、闘って要求する労働組合が無ければ、賃上げする資本家などいないだろう。
 経済学にいう「賃金の下方硬直性」とは、企業を横断する職種組合と産業労組の存在を前提にしているからこそ、日本では通じないのである。)

●岩田氏は、賃金の下方硬直性(米欧の事情)を、前提にしていま

このため、マネー・サプライの2%増では十分ではなく、物価が下がったという。しかし、これは100%の要因ではない。

当方、日本のデフレは、
(1)賃金の構造要因が50%から60%、
(2)マネー・サプライ要因が50から40%だったと見ています。

日銀がマネー供給を増やし、マネー・サプライが6~7%増えれば、物価は2%上がるというのは、40~50%の正解です。

50%以上は、日本の特殊な、2000年代の賃金要因だからです。経済では、多くが、複合的な原因です。
日本は、複合デフレでした。

以上から、マネー・サプライが6~7%増になるように、日銀が量的緩和分を増やしただけでは、一般消費者物価(マーケット・バスケットの価格)を2%上がるには至らない。平均の名目賃金が、年2%くらいは上昇しなければならないのです。

●経済理論は、残念ですが、ほぼ全部が、米国から来ています。岩田氏の論もこれです。
このため、失業を増やすより、名目賃金を約10年で19%も下落させた日本の、固有の事情が、見えなかったので
しょう。

原因が何かを決定するのは重要です。
対策は、原因によって決まるからです。

世帯所得が減少傾向のままでは、物価が上がった商品への支出は増えず、物価が下がる商品への支出も増えません。
マネー・サプライを増やし、企業の設備投資価格は上がっても、消費者物価は、それだけでは上がりにくくなります。

所得が下がる中では、価格が上がると、消費量が減るからです。
わが国GDPの60%は個人消費です。(※かつての高度成長時代は70%が個人消費。)
これは、80%の世帯の実感にあっているはずです。

2012年12月の、需要面の名目GDP 473兆円は、
個人消費288兆円(構成比61%)
+民間住宅購入13.7兆円(同2.9%)
+企業の設備投資63兆円(同13%)
+政府消費98兆円(同21%)
+公共投資24兆円(同5%)
+純輸出マイナス10兆円(同-2%)、です。

(注)輸出は68兆円、輸入が78兆円です。

2013年は公共投資の10兆円増加(補正+一般会計)で、2%は増え
る要素になります。

しかし所得が増えて個人消費が増えないと、供給の超過のため、消費者物価は上がることはない。
15%の円安で、輸入物価が15%上がる貧困化の要素になります。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2012/qe123_2/pdf/jikei_1.pdf

  ■5.円安効果は、実は小さくなっていて、輸入増になる。

2000年代は、輸出入の構造が、90年代とは変わっています。

◎以降の1.5ページ分が、訂正後のもの~~~~~~~~~~~

 ▼15%の円安で輸出が増える分は、10.2兆円

恒常的な円高に懲りていた輸出企業は、輸出契約のうち、50%を、円建て契約に変えています。

円建て輸出では、円安になっても、円の輸出価格は、価格を上げない限りはそのままです。
しかし、ドルから見た円での価格が下がるため、価格競争力は強化され、輸出が増える要素になります。

同時に、円安では、ドル建ての34兆円分の輸出(輸出の約50%)が、15%ドルでの価格が下がって、増えるでしょう。

円建て・ドル建ての両方で、中期では15%くらいの輸出増が見込めます。金額で言えば、68兆円×15%=10.2兆円の輸出増加に向かうでしょう。

この10兆円増で、貿易赤字になった分(10兆円)が解消し、貿易黒字になるかと言うと、そうではない。2011年
から輸入の金額が大きくなっているからです。

 ▼15%の円安で輸入が増える分は、11.7兆円

輸入は78兆円です。輸入では、円建て契約は少ない。
円高(ドル安)が、輸入には有利だったからです。

・現在のように、昨年比で15%の円安なら、計算上、ほぼ11.7兆円、資源・エネルギー・商品の輸入額が増えます。
・一方で、円安での輸出増は、15%(10.2兆円)です。

以上をまとめれば、
円安による輸出増・・・・・・・・68兆円→78.2兆円
円安による輸入財支出の増加・・・78兆円→89.7兆円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
貿易赤字 10兆円→11.5兆円

昨年比15%の円安で、貿易赤字が解消するかと思うとそうではない。
逆に11.5兆円に増加します。円安は、わが国の変化した輸出入の構造では、貿易赤字を増やしてしまうのです。

そして輸入の資源・エネルギー・商品が上がることによって、輸入支出が増えた11.7兆円(GDPの2.5%)の、物価の上昇が生じます。
コストの15%増という金額は、輸入企業がコストダウンできる分をはるかに超えていますから、販売価格に転嫁せざるを得ません。

輸入されているのは、主に資源・エネルギー・食料の必需財です。
価格が上がれば購買を減らせる選択財ではない。つまり、円安で価格が上がれば、輸入が減るという性格のものではない。

◎訂正・変更はここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

経済は、この10年で、以上のように、動いています。
輸出入にも、以上のように、大きな変化があります。
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 (4)へ続きます
関連記事

アベノミクスの展開と帰結:吉田繁治(4)

 (3)からの続きです。
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  ■6.「過去の通説」に依存した、マネタリスト派の誤り

 ▼「円安は日本企業に有利」というのは、過去のことです

上記のように、現在では、円安では、輸出の増加より輸入物価を上げて輸入増になることが大きく、合計では、日本のGDPではマイナスの要素です。

金融市場とマスコミは、過去の通説を固定観念にし、変化した現在を誤認しています。このため「円安は株の買い」になっているのです。

【予測】人々は、2013年の7月ころになって、円安で輸出が増える以上に輸入が増えて物価も上がると、「何としたことだ、これは?」と変わるでしょう。

 ▼悪い円安の部分が大きくなっている

繰り返せば、輸入資源と商品(78兆円)が、円安で、15%も支払い価格が上がると、輸入物価の要素だけで、日本の物価を11.7兆円(GDP比2.5%)も上げます。
 つまり、15%の円安で、物価は2.5%も上がります

具体的には、60%を輸入している食料、そしてほぼ100%を輸入している資源エネルギーが、上がります。
経済成長どころではなくなるのです。
(例)豆腐や納豆は国産ですが、材料の大豆は輸入です。資源や原油も同じです。

不況下での物価上昇(スタグフレーション)です。
輸入は、必需的な品目です。円安で15%高くなっても食料、原油、資源の輸入は減らない。

米国のように、車・家電・IT部品の輸入なら、15%も価格が上がれば輸入が減ります。
しかし日本の輸入品目は、円安で価格が上がっても、原油のように減らないものが多い

円安が、相変わらず、日本経済のためになると考えている安倍首相と内閣、政府系エコノミスト、そして財務省と経産省は、国民経済の運営を誤る事実誤認を犯しています。
2000年後期の、輸出入の構造変化を見ていないからです。

繰り返せば、この誤認は、輸出入と経済の、最近の傾向を見ず、2000年代初期までの古い固定観念(通説)で見ているためです。

エコノミスト達、しっかりしなさい。常に、新しいデータを見なければならない。円の増発、インフレ、円安を奨めるクルーグマンも、です。
今年も、量的緩和は円安を招き、円安は日本経済のためになると言い続けています。

経済の理論書を読むだけで、変化した新しいデータを見ていない。
最近の輸出と輸入の構造変化を見れば、以上は、誰にでも分かることです。

円安は、ドル建ての(古い)輸出企業だけにとってはプラスでも、ドル建ての輸入が大きくなった日本経済の全体にとっては、すでに、マイナスの要素になっています。
それくらい大きな変化を、このほぼ5年でしていたのです。

自民党は、現在のアベノミクス(円安と通貨増発)を修正しないといけません。2013年7月の参院選ころには、以上の、輸入物価だけが上がる予測データも出ます。

世論も「一体どうしたことだ? 生活を苦しくするアベノミクスは変だった。」となって、選挙に負けるでしょう。安倍首相は、またも、退任間近ということになってしまいます。

以上は、まだ誰も言っていないことです。

  ■7.結果は、悪い金利上昇になる

●円安が、日本のGDPにとって、実はマイナスの要素に変化していたと市場が認識したとき起こるのは、国債の売りによる悪い金利の上昇です。

名目長期金利=実質GDPの上昇率+物価の期待上昇率+国債の信用リスク率です。

すぐにこうなるというのではない。GDPや物価の、データの変化を見て、債券市場での売買に変化が起こって、次第に、この式の金利に、近きます。

15%の円安での、輸入物価(78兆円)の15%上昇は、日本の物価を確実に、11.7兆円は上げます。GDPに対し2.5%にもなる価格上昇です。(注)現在の円安($1=93円付近)のままなら、1年後には、確実です。

【重要】実質GDPの成長を1%、物価上昇を2.5%とすると、それだけで、長期の期待金利は3.5%に向かって、上がるでしょう。

その時期の端緒はたぶん2013年秋です。15%の円安での輸入物価の上昇だけが目立ち、物価の上昇がデータとしてはっきりするからです。

政府の総負債(中央政府、地方、独立行政法人)は現在、1133兆円です。長短の債務の、平均償還期間は7年です。長期金利は0.76%と低い。

輸入物価の15%上昇から、期待金利が3.5%に向かうと国債価格はどう向かうか? いつもの、債券価格の計算式です。

国債価格=(1+0.76%×7年)÷(1+期待金利3.5%×7年)
=1.0532÷1.245≒84%・・・16%下落

1133兆円×16%=181兆円の国債価格(債券価格)の下落です。

こうした金利上昇の予想が出ると、国債をもつ金融機関は、どうするか? まず、90兆円の短期債をもつヘッジ・ファンドは、激しい売りでしょう。

このように、輸入物価が上昇したとき起こるのは、一層の円安と金利の上昇です。金利の上昇は、国債の売りの結果です。

 ▼南欧債とドイツの買い

南欧の国債の金利上昇(7%台)は、ECBが、南欧債を無制限に買う、ユーロは絶対に破産させないという宣言によって、収まっています。

ECBの背後には、経常収支の黒字が$2185億のドイツ経済の信用があります。
中国の黒字、$2085億を超えて世界最大です。1年だけではない。ずっと続いています。

この富裕なドイツが、南欧債を買うと宣言したことに等しい。これで、南欧の財政危機とユーロは、小康を得ています(2013年の年初)。

 ▼日本国債と日銀の買い

日本国債では、ヘッジ・ファンドと金融機関が売ったときは、金利の上昇(国債価格の下落)を、止めるのは、売られる国債を買い受ける日銀しかない。

【重要:国債の需給】実は、日本の都銀は、2010年から、はっきりと国債の売りです。
2011年からの、日本国債(特に短期債)の最大の買い手は、海外ヘッジ・ファンドです。
毎月10~15兆円を買い越し、円の国債価格を支えたのは、すでに国内の金融機関ではなく海外です。
ユーロ危機とドル安から逃げたマネーが、安全資産として円の短期債を、買い越し続け、保有高は、12年9月に90兆円を超えたのです。
ここにも、通説の「変化」があります。
http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/toushika/index.html

日銀はドイツではない。日銀は、日本の政府部門です。政府の信用をバックにした機関です。

日銀には、ゴールドのような固有の資産は少ない(4412億円)。資産としては、政府信用の国債(118兆円)だけしかないからです。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac130131.htm/

従って、円国債の信用が、リスクで下落したとき、日銀がそれを買っても、それは政府部門が、買い受けるのと同じと見なされます。
(注)市場の国債金利の上昇は、政府信用の下落です。

つまり「政府の信用リスクの高まりからの、悪い金利の上昇」のときは、日銀が国債を買っても、それが、国債の信用を高めて、金利を下げることにはならない。

(注)実質GDPの増加から金利の上昇は、よい金利の上昇です。物価の上昇とリスク率の上昇からの金利の上昇は、悪い金利の上昇です。

ある家庭が、借金の満期返済と利払いができない財政危機にあるとします。
奥さん(日銀)が小切手を切ってご主人(政府)に貸しても、その家(国家)の財政信用は高まらない。これと同じです。
ユーロのように、富裕な隣の家(ドイツ)が貸せば、話は別です
が・・・。

例えば、財政信用のないイタリア政府が、イタリア国債を買い支えても、イタリアの金利は下がりません。ドイツが、経常収支の黒字が大きなドイツ経済の信用で買うから、下がるのです。

(注)米ドルの信用は、経常収支は大きな赤字でも、「代わる通貨がない唯一の基軸通貨である」と世界が認めていることから来ています。
貿易に使う基軸通貨は、世界の貿易が増えると、それに対する需要が増えるからです。
つまり米ドルは、赤字の米国だけではなく、世界経済の信用をバックにしている通貨です。
ここが基軸通貨の特権です。

円安による貿易赤字の増加は、以上のような結果を招きます。そうならないように、現在の円安政策は止め、85円くらいには、戻さねばならない。

95円(18%円安)や100円に向かうと、輸出入の構造がすでに変わっているので、半年後からの結果は、日本経済にとって、悲劇です。

いや、好んでそうしたのですから、経済と金融が分からない安倍首相がもたらす喜劇です。これは、国民を、ギリシアのように苦しめます。

長期国債の金利が3.5%に向かって上がると、2014年は、大きな緊縮財政に転じなければならなくなるからです。

 (※もうすぐ北風:まさしく「家計、企業、政府の共倒れ破綻」です。)
 【後記:アドバイス】

次期総裁が有力な、岩田規久男氏に申し上げます。
13年4月の就任直後は、「量的緩和期待」から、まだ、円安・株高でしょう。

問題は、輸入物価の高騰が明らかになる、13年7月ころからです。
その前に、円高と、円発行の抑制に戻さねばならない。

円安のままなら、2013年の秋は、悲劇的な、喜劇です。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ※ 以下は勤労者賃金、所得の再配分と消費増税、デフレに関連するページ。

労働分配率の強制修正
世界で日本のみデフレ
日銀の金融緩和は誰のためか
信用創造と言えば聞こえは良いが
信用創造とは
公務員叩きとデフレ政策
通貨、金利と信用創造の特殊な性質
信用創造(3)無政府的な過剰通貨
デフレ脱却には賃金上昇が不可欠:根津
これからの経済生活はどうなるのか
なぜデフレなのか、なぜ放置するのか
ゆでガエル!
消費増税でデフレ強行を目指すかいらい政権
日本の労働は封建主義の農奴農民か 
窮乏化、3軒に1軒が貯金もなし
逆進課税とデフレ恐慌
消費増税を許すな!三党談合政権を倒そう
景気対策ではない、消費増税を通すためのGDP操作だ
安倍某の経済政策?恐怖のシナリオか
安倍の過激刺激策は過去のミス繰返し:人民網
家計、企業、政府の共倒れ破綻
生活と円安、アベノミクスが招くこと
アベノミクスが作り出す地獄の窮乏生活
通貨戦争(62)ゴロツキ右翼が口火で世界大戦:ペセック
アベノミクスは現実を欠いた宗教:ペセック
勤労者の地獄と国際金融資本の高笑い
賃上げが無ければ経済成長は無い
来年度成長率2.5%?参院選向けの国民騙し!
なぜ消費増税に固執するのか
アベノミクス、勤労者窮乏化の効果だけは必ずある 
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チェリノブイリの子ども:ナタリア・コジェミャキナ

  チェリノブイリ原発事故で被曝被災したベラルーシの子どもたちの作文集「わたしたちの涙で雪だるまが溶けた」チェルノブイリ支援運動九州 梓書店 から同名のブログに引用されています。
 2/11から、そのいくつかを紹介しています。

  空に鳥の震えるような声を聞く ナターリア・コジェミャキナ(16) 「チェリノブイリの子どもたち」から

 幸いなことに、私の家族や知人の中に事故処理作業に参加した人はいませんでした。
 私たちの住んでいたところは、役人さんの言葉をかりれば「放射能の許容線量(※)以下」のところでした。
 だけど、放射能は、許容されるようなものでしょうか。放射能によって私の家族の中に病気が侵入しても、だから病気も許容されるなんていうのでしょうか。

※許容線量
 原子力によるメリットを考慮し、人体が受けてもしかたないとされる量。この値は、純粋に人体の安全が考慮されているのではなく、経済や各国の政策がかなり関与している。一般人では年間1ミリシーベルト。原子力等作業従事者では年間50ミリシーベルトとなっている。

 チェルノブイリ原子力発電所で事故が発生した直後、「チェルノブイリ」の言葉が、「大惨事」、「悲劇」、「苦痛」、「涙」の代名詞になることを、いったい誰が予想したことでしょう。

 放射能は目に見えず、色もなく、匂いもありません。
 炎のように夜空に舞い上がり、空の見えない空気の流れに乗って、春の薫りにあふれた山河に広がっていきます。
 しかし、そのことをわかるようになったのは、もっと後のことでした。

 事故処理が一段落して、リクビダートルたちが、家族や、両親や妻のもとに帰ってきました。作業からもどった夫や息子たちは恐ろしい病気に犯され、まるで老人のようでした。
 作業に出る前は、若くて、健康で、すばらしい未来を夢見ていた人たちだったのに・・・・・・。

  乾いた熱風 たとえそれが毒されていても
  吸わずには生きられない
  病人だって吸う
  病院も薬局もあてにはならない
  病人を救う知恵などもっていないから

 私たちが大惨事を初めて感じたのは、数十、数百という村が鉄条網で囲まれ、広大な土地が「ゾーン」と呼ばれるようになったときでした。
 ふるさとには「汚染地区」という名前がつきました。人々は恐怖の中で、今までの生活の基盤をすべて捨て、わずかな希望をたよりに、知らないところへと脱出しました。
 でも、どこへ行ったらましになるというのでしょう。

 ここスベトロゴルスク地区にもゾーンから移住してきた人はたくさんいます。
 みんなは、移住の時に指導者が約束してくれたことを信じていました。人間的な水準の生活を期待し、人の親切を期待し、それがふるさとへの郷愁に勝てると期待しました。
 しかし、そのとおりにはなりませんでした。じめじめした家、小さすぎる納屋、不十分な物資的支援、援助の不足、そしておまけに「お役人仕事」・・・・・・みんなこんな目にあいました。

 ブラーギン地区出身のマリア・ミロンチックさんはこう言いました。

 「クラスノフカ村の人たちはいい人ばかりよ。でも、しょせんうちの田舎の人じゃないのよね。やっぱり自分の家のほうがいいわ。たとえ土地は病んでいたとしてもね」と。

 このようにして、たくさんの家族が行列をなして、帰っていきました。ゾーンへの、閉鎖された村へと。
 そして今、何千人もの人が放射能という目に見えない死のベールに包まれて生活しています。
 そこに住む母親たちは涙ながらに、自分の子どもの目を見つめます。
 まるで、自分やまわりの人たちの不幸が自分のせいだと責め、許してくださいと言っているかのように。

  私は空高く 鳥がかん高い声で鳴くのを聞いた
  チェルノブイリの不幸の日々を予告したのか
  だが親たちにはわが子を守るすべはない

 疑問だらけです。どう生きればいいのでしょう。
 外で遊んではだめ。森に行ってはだめ。川で遊んではだめ。イチゴを摘んではだめ。幼い子どもにこれをどう言い聞かせたらいいのでしょう。
 みんなだめと言えば、子どもらしい生活はできなくなってしまいます。これではまるでカゴに閉じこめられた鳥です。

 私たちの地区で、もっとも汚染されている場所の一つが、コロレバ・スロボダ村です。
 そこの中でも特に汚染のひどいのが小学校の校庭です。
 放射能を測定する係官の線量計(※)は針が振り切れて使いものになりませんでした。
 それにもかかわらず、休み時間には子どもが校庭をかけまわり、砂遊びをしています。この学校では今でも授業が行われています。
 誰も心配しないのでしょうか。この子たちは、将来いったいどうなるのでしょうか。そして、その子孫はどうなるのでしょうか。

※線量計
 放射線の強さを測る機械。

 森はいつでも私たちに憩いの場を与えてくれました。
 しかし、今はいりぐちに「厳禁」の立て札が立っています。そこでは、人間の生活であたりまえのことが禁止されています。
 狩り、キノコ狩り、イチゴ集め……、今はみんな危険なこととなってしまいました。土地も、森も、花も、鳥も、獣もみんな地雷と同じです。
 それは爆発するものもあるし、爆発しないものもあります。放射能がいっぱい詰まっていて、人間の機能を爆破し、死にいたらしめることさえできるのです。

  プルトニウム(※)は減りつつある
  だが おそらく 今後永遠に
  畑も庭も それに育てられるのだ
  プルトニウムは減っている
  木の幹はすでに 不機嫌に
  スクリューのように 毒を吸い込んでいる

※プルトニウム
 ウラン238が原子炉の中で中性子を吸収してできる人工的な原子。高純度のプルトニウムは、少量で強力な原爆が作れるほか、毒性も非常に高く、わずか2キログラムで世界の人口をガンで死亡させることができる。

 時はたち、政府は人々が置かれている状況をよくするために動き始めています。大人には補償を与えています。
 しかし、これから生まれてくるものや、生まれたばかりのものたちへの補償のことは誰も何も言いません。
 せめて、来るべき問題や心配ごとから子どもたちを守ってやれないのでしょうか。
 子どもたちの笑顔がますます見られなくなったのはなぜなのでしょう。
 どのような補償が問題を解決できるのでしょうか。
 死者の苦痛、ふるさとのすでに死んでしまった土地、先祖の墓をあとにする苦痛、死者を思う悲しみをどんな方法で計れるというのでしょうか。
 若者や健康な人も病気におびやかされています。彼らの肉体は魂と、いのちと、幸福と、愛を求めています。

 私は信じたい。政府の指導者、裁判官が、今まで避けていたようなことにも顔を向けてくれることを。
 ぜいたくな別荘を建てたこともないような普通の人々の気持ちを理解してほしい。
 自分の子どもの命が永らえるように、そして少しでも喜んでもらえるように毎日がんばっている人たちの気持ちをわかってほしい。
 この現実を信じないとでもいうのですか。
 ゴメリ州立病院循環器科に行ってみてごらんなさい。何にも興味をしめさない赤ちゃんの目や、赤ちゃんが助かる希望をなくし、悲しみから髪が真っ白になってしまった若い母親の姿を見ることができます。
 この光景を見たら、みんなに、そして一人ひとりにこうたずねたくなるでしょう。

 「みなさん。この苦しみにもてあそばれているような日々は、いつまで続くのでしょうか。母親の悲しみ、子どもの早すぎる死、民族の滅亡にたいして誰が責任をとるのですか」と。

 この質問に対する答えをいつかは聞けることを信じています。
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いろんな旅を続けています。
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