21世紀の「二匹の蛇」:平野
2013-01-03
日本一新の会の平野貞夫氏が新年にあたって、情勢と展望を書いている。
氏としては珍しく戦後世界からの流れの変化を踏まえた小論である。
資本主義体制と共産主義体制、共産主義が資本によって壊滅させられたこと、伴って市場原理主義(金融資本主義)が専横する世界となり、国民経済、国民国家が危機に見舞われていること。
そして、この中において2009年政権交代と2012年総選挙があったわけであること。
大局的な観点がうかがえる小論となっている。
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「日本一新運動の原点-142」からの抜粋 1/3 平野貞夫
○ 21世紀の「二匹の蛇」とは何か!
第2次世界大戦が終わり、20世紀後半の世界政治の「二匹の蛇」は、資本主義を正義とする米国と、共産主義を正義とする「ソ連」であった。
そして20世紀末には米国中心の資本主義の蛇が、ソ連中心の共産主義の蛇を呑み込んでしまった。そして世界平和と繁栄は資本主義によってもたらせると期待された。
共産圏が崩壊したのは、その原点である平等や共助・公助が忘れられ、官僚国家になったことにある。
かくして市場原理の中でもっとも過激な排他的競争という「蛇」が出現する。
20世紀末になると、技術の発展による世界のグローバル化と高度情報社会化が一挙に進み、資本主義は変質していく。
実体経済を無視したマネーゲームによる金融資本主義は、健全な資本主義を変質させていく。
そして21世紀になると、資本主義はマルクスもケインズも想定しない形態に陥り、国家資本主義体制となる。
米国をはじめ、先進諸国は無論のこと、中国もまた同じである。
金融資本主義が崩壊・変質していく典型的な例が、2008年(平成20年)に米国で起こったリーマン・ショックであった。
21世紀の「二匹の蛇」は、国家権力など官僚と結びついたマネーゲーム資本主義を原点とする「国家資本主義」という「蛇」と、民衆の福寿が国家社会の安寧を原点とする「国民資本主義」という蛇の食い合いとなった。
日本では平成21年8月の総選挙で民主党が政権公約したのは、「国民資本主義の実現」であった。
国民の圧倒的支持をうけて、歴史的政権交代を成し遂げた。
しかし、菅・野田と続く民主党政権は、官僚と財界の支配に屈し、「国家資本主義」の政治に転向した。東日本大震災・福島原発事故という大惨事のさなかに民衆を裏切った。
否、もともとこの理念を理解していなかったのかも知れない。
それ故に、昨年11月の衆議院解散は、野田民主党政権の「自爆テロ解散」であった。
結果は民主党の壊滅的崩壊と、自民党の圧勝、そして公明党との連立政権で、衆議院の議席3分の2を超える325の勢力となった。これは憲法で衆議院の再議決ができる数である。
戦後最低の投票率、59,4%であったこと、自民党が獲得した比例票は全有権者の16%であったこと、反民自公票の第三極が分散したこと、巨大メディアの謀略的報道など、選挙の実態にはさまざまな不条理があるとはいえ、安倍自民党総裁が勝ったことは数字が示している。
暮れの12月26日、安倍第2次内閣がスタートしたが、安倍氏は就任に先立ち、日銀に対して金融緩和を要請し、大型補正予算の編成、消費税大増税の実施を前提とする政策を提示した。
また、原発再稼働を示唆するとともに、原発の新・増設すら匂わせつつ、TPP参加にも柔軟性を示し始めた。
これらは、マネーゲーム・国家資本主義の展開であり「二匹の蛇」の弱肉強食の政策そのものである。
真に国民のためになる不況対策や雇用対策は大事である。
しかし、それを口実にして、外国のヘッジファンドたちによる「アベノミックス」を狙ったマネーゲームが始まった。
これで世界経済はマネーを求める蛇の力が強くなろう。そして民衆の福寿はこの蛇に食い尽くされていく。
肥大化した「マネー蛇」の運命はどうなるのか。
恐らく自分を食い尽くすことになろう。かくして人類は滅亡していくのかも知れない。 日本人は暮れの総選挙でこの道を選んだ気がしてならない。
資本主義の本質は不安定であることだ。この気まぐれの資本主義を歴史の中では人間の英知で調整し管理したこともあった。
「リーマン・ショック」以降の金融資本主義の暴れようは只事ではない。早急に「ヘルメスの魔法の杖」をつくらなければならない。
きわめて困難なことであるかも知れないが、人間には「共生」という理性があったことを思い出し、真の議会民主政治を確立させることであると思う。
氏としては珍しく戦後世界からの流れの変化を踏まえた小論である。
資本主義体制と共産主義体制、共産主義が資本によって壊滅させられたこと、伴って市場原理主義(金融資本主義)が専横する世界となり、国民経済、国民国家が危機に見舞われていること。
そして、この中において2009年政権交代と2012年総選挙があったわけであること。
大局的な観点がうかがえる小論となっている。
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「日本一新運動の原点-142」からの抜粋 1/3 平野貞夫
○ 21世紀の「二匹の蛇」とは何か!
第2次世界大戦が終わり、20世紀後半の世界政治の「二匹の蛇」は、資本主義を正義とする米国と、共産主義を正義とする「ソ連」であった。
そして20世紀末には米国中心の資本主義の蛇が、ソ連中心の共産主義の蛇を呑み込んでしまった。そして世界平和と繁栄は資本主義によってもたらせると期待された。
共産圏が崩壊したのは、その原点である平等や共助・公助が忘れられ、官僚国家になったことにある。
かくして市場原理の中でもっとも過激な排他的競争という「蛇」が出現する。
20世紀末になると、技術の発展による世界のグローバル化と高度情報社会化が一挙に進み、資本主義は変質していく。
実体経済を無視したマネーゲームによる金融資本主義は、健全な資本主義を変質させていく。
そして21世紀になると、資本主義はマルクスもケインズも想定しない形態に陥り、国家資本主義体制となる。
米国をはじめ、先進諸国は無論のこと、中国もまた同じである。
金融資本主義が崩壊・変質していく典型的な例が、2008年(平成20年)に米国で起こったリーマン・ショックであった。
21世紀の「二匹の蛇」は、国家権力など官僚と結びついたマネーゲーム資本主義を原点とする「国家資本主義」という「蛇」と、民衆の福寿が国家社会の安寧を原点とする「国民資本主義」という蛇の食い合いとなった。
日本では平成21年8月の総選挙で民主党が政権公約したのは、「国民資本主義の実現」であった。
国民の圧倒的支持をうけて、歴史的政権交代を成し遂げた。
しかし、菅・野田と続く民主党政権は、官僚と財界の支配に屈し、「国家資本主義」の政治に転向した。東日本大震災・福島原発事故という大惨事のさなかに民衆を裏切った。
否、もともとこの理念を理解していなかったのかも知れない。
それ故に、昨年11月の衆議院解散は、野田民主党政権の「自爆テロ解散」であった。
結果は民主党の壊滅的崩壊と、自民党の圧勝、そして公明党との連立政権で、衆議院の議席3分の2を超える325の勢力となった。これは憲法で衆議院の再議決ができる数である。
戦後最低の投票率、59,4%であったこと、自民党が獲得した比例票は全有権者の16%であったこと、反民自公票の第三極が分散したこと、巨大メディアの謀略的報道など、選挙の実態にはさまざまな不条理があるとはいえ、安倍自民党総裁が勝ったことは数字が示している。
暮れの12月26日、安倍第2次内閣がスタートしたが、安倍氏は就任に先立ち、日銀に対して金融緩和を要請し、大型補正予算の編成、消費税大増税の実施を前提とする政策を提示した。
また、原発再稼働を示唆するとともに、原発の新・増設すら匂わせつつ、TPP参加にも柔軟性を示し始めた。
これらは、マネーゲーム・国家資本主義の展開であり「二匹の蛇」の弱肉強食の政策そのものである。
真に国民のためになる不況対策や雇用対策は大事である。
しかし、それを口実にして、外国のヘッジファンドたちによる「アベノミックス」を狙ったマネーゲームが始まった。
これで世界経済はマネーを求める蛇の力が強くなろう。そして民衆の福寿はこの蛇に食い尽くされていく。
肥大化した「マネー蛇」の運命はどうなるのか。
恐らく自分を食い尽くすことになろう。かくして人類は滅亡していくのかも知れない。 日本人は暮れの総選挙でこの道を選んだ気がしてならない。
資本主義の本質は不安定であることだ。この気まぐれの資本主義を歴史の中では人間の英知で調整し管理したこともあった。
「リーマン・ショック」以降の金融資本主義の暴れようは只事ではない。早急に「ヘルメスの魔法の杖」をつくらなければならない。
きわめて困難なことであるかも知れないが、人間には「共生」という理性があったことを思い出し、真の議会民主政治を確立させることであると思う。
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