カミロ・シンフェゴス
2013-01-02

1958年から1959年1月1日のハバナ制圧に至るキューバ革命。
その後の米国による封鎖と武力侵攻の撃退、ソ連のミサイル誘致によるキューバ危機と続いたキューバ革命政権はソ連崩壊で孤立無援となりながらも餓死者も出さず乗り切った。
その間もキューバは長期に渡る教育重視政策により文盲の絶滅と医学の振興、医師の養成を図ってきた。
今はラテンアメリカ各地に大量の医師を派遣支援している。
米国帝国主義のグローバリズムによる悲惨をなめたラテンアメリカは次々と左派または中道左派政権が蘇り、現在キューバは友好国を増加させている。
今も全国民が公務員のキューバ革命社会が、何か私達にとても魅力的な側面を見せるのはスターリン主義的な共産党政治でないというのもひとつだろうし、ラテン的な許容さとかペロニスタ的なおおっぴらさなどもあるだろう。
また、革命自体がとても魅力的な人間たちを創りだしてきたのも事実であるだろう。
フィデル・カストロ、チェ・ゲバラは世界各国で保守派の中にも支持者がいる。
そして、三番目の男、人によってはキューバ革命軍の最高司令官であったこの男が一番目と言うかもしれない。
カミロ・シンフェゴス(Camilo Cienfuegos Gorriarán)
カミロ・シンフェゴスの両親はスペイン内戦でフランコ政権から亡命し、キューバに移住した。
1932年ハバナでカミロが生まれる。
カミロは画家を目指していたが、反バチスタの活動に参加するようになり、1953年チェ・ゲバラと共にモンカダ兵営襲撃に参加、フィデルやチェは囚われたが、カミロは脱出してシエラ・マエストラ山中に拠点を作る。
その後メキシコに亡命したフィデル、チェらが1956年グランマ号でキューバ再上陸を果たす。
カミロの部隊はこれと合流し、山中の拠点を拡大強化してゆくこととなった。
明るく闊達なカミロは司令官としては、戦闘員たちにずいぶん人気があったという。

1958年の12月末チェの部隊はサンタ・クララを制圧、カミロの部隊が途上のバチスタ軍を撃破して ハバナの軍要塞を制圧する。
1959年1月1日バチスタが国外に脱出亡命し、革命は勝利した。

勝利した革命政権には膨大な業務が待ち構えていたが、その最も重要な一つが大地主制を解体し、耕作者に農地を解放することであった。
革命軍の最高司令となったカミロは反革命暴動の鎮圧と農地改革を推し進めた。
1959年10月28日カミロは搭乗していたセスナ機の墜落により亡くなった。
27歳の英雄だった。

カミロの一周忌記念切手

20ペソ紙幣。チェのサインがある。
フィデル、チェは富裕層の出身だったが、カミロは庶民の出身だった。
また彼は共産主義ではなく、「無政府主義者」を自称していた。
両親が亡命したスペイン内戦では、フランコ軍に立ち向かった共和国派の中核が当初CNT(労働連合:アナルコ・サンディカリズム)であった。現在もラテン諸国では無政府主義(アナーキズム)は労働運動などに一定の影響を持っている。
セスナ機の墜落はソ連派共産党の勢力によるとの説が一部にあるが、確証はもちろんない。
チェ・ゲバラは息子にカミロと名付けた。

ハバナ革命広場


ハバナの街角
なぜ、いま唐突にカミロ・シンフェゴスなのか?と聞かれるかも知れませんが、実は半年くらいまえからカミロについて何か書き記したい気がしていたのです。
年の変わりでまた書いておきたい気が舞い戻った次第です。
そうなのです。別に命日ではないのですが。
英雄カミロ・シンフェゴスの功績を讃えます。
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米中結託日本は窮乏化、放射能被害は深刻化
2013-01-02
とりあえず2013年はどうなるか、最低基本的な動きは誰でもわかる。
外交は安倍政権の対米従属強化となろうが、米中の結託でしわ寄せは日本が食らう。
経済は金融緩和と公共事業だそうだが、目標は「消費増税のための物価上昇2%以上」だ。勤労賃金が減少を続ける中で消費が減る続けるのに、企業は投資できない。従って実体経済は拡大せず資金は投機に向う。
事実上のデフレの中で「2%の物価上昇目標」とは、食料、石油ガス、医療教育、公共料金などに値上げがしゅうちゅうするということであり、「勤労人民」のさらに窮乏化することだけが疑いない。
放置されている原発事故の放射能はさらに拡散を続け、ホットスポットは全国に広がり、日本中で免疫不全が原因の疾病が蔓延する。
南東北、関東では子どもの甲状腺異常など放射能被害が表面化してくる。
今の事実からしての、最低限言えることはその程度と思われる。もっと酷いかも知れないが、それはわからない。
最低限言えること。日刊ゲンダイからの三話紹介です。
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【2013年のココが知りたい】外務省出身ベストセラー著者 孫崎享氏に聞く 12/29 日刊ゲンダイ
東アジアの今後はどうなる 習新体制の中国と再選オバマ米国
オバマ再選の米国、習近平体制スタートの中国、安倍政権が誕生の日本。米、中、日の関係はどう動くのか。元外務省国際情報局長で著作が次々にヒットしている孫崎享氏に聞いた。
<米中関係は経済で協調ますます緊密化します>
習近平体制の誕生直前、中国の英字紙グローバル・タイムズは、中国18都市で行った世論調査の結果を発表しました。
中国が抱える課題を尋ねた回答のうち、国民がもっとも関心を寄せたのは「経済の発展」です。
これがつくられた世論でなければ、おそらく習近平は国民の生活水準を上げるために経済最優先の政策を推し進めるでしょう。
主力の輸出産業に引き続き力を入れると思います。
経済大国化する中国にオバマ大統領は、どう向き合うのか。
以前から中国を重要視しており、この路線は再選後も続くとみています。米国内に中国の軍拡化を懸念する声はあるものの、金融を含めた経済を考えた場合、米中は互いに協調路線を取らざるを得ません。
習近平の一人娘の留学先はハーバード大。常識的に考えれば敵視する国に子供は留学させません。
ということは、中国も米国と友好関係を築きたいという思惑があり、米中関係はますます緊密になるとみていいでしょう。
<対米従属は時代錯誤、現実を直視すべき>
米中連携が深まる一方、日中関係は尖閣問題などで緊迫化しています。
それでも、日本国内では、米国に従属していれば国は繁栄するとの考えが相変わらず支配的です。この考えは時代錯誤です。
日本のGDPに占める輸出は15%ほど。このうち対米輸出は15%です。
一方、中国、韓国、香港などの東アジア向けは約4割になる。対中輸出は全体の16%で、米国よりも多い。仮にこのマーケットを失えばGDPは1%落ちることになるのです。
一方、中国の輸出先は米国とEU(欧州連合)がそれぞれ2割前後。日本は1割弱に過ぎません。
台湾や香港など、中国には日本に代わる輸出先がたくさんあります。
日本ではまだ、「日中関係がこじれて経済が困るのは中国側」といった論調がありますが、現実を直視すべきです。
世界経済の中心は今後、東アジアにシフトしていく。軍事力だって、どんどんつけていく。
「中国軍より自衛隊が上」なんて言っていると、アッという間に追い越されることになります。
◇まごさき・うける 1943年、旧満州国鞍山に生まれる。東京大学法学部中退後、外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「アメリカに潰された政治家たち」など著書多数。
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ますます貧困化する国民生活と社会不安 [戦国さながら乱世の情勢情報] 12/31 日刊ゲンダイ 書き起こし「日々坦々資料ブログ」から
◆重大な覚悟が必要となった2013年
[歴史的岐路となる厳しい選択が待ち受ける政治 経済 外交 国民の暮らし]
○波乱の中で生き残り大成功するチャンスもまた多くある。必要な見通しを専門筋に聞いてみた。
日本の子どもの貧困率は85年に10・9%だったが、09年には15・7%まで上昇している(厚労省調べ)。
約6人に1人の子どもが標準所得の半分以下という貧しい生活に泣いているのだが、安倍自民は「自助、自立」とか言って、真っ先に弱者を切り捨てようとしている。
生活保護は1割カット、子ども手当も高校無償化も廃止の方向。社会保険料はガツガツ巻き上げるくせに、給付は抑制なんてボッタクリ商法だ。
「安倍首相は“死の政治家”ですね。2%のインフレ目標にしても、重病人に劇薬を打つようなもの。もし景気が一時的に上向いたとしても、確実に死期を早めます。
物価の上昇スピードに収入が追いつかない庶民には、〈死ね〉と言っているのに等しい。
家計の破綻は目に見えている。貯金は目減りし、年金だけが頼みの高齢者にとっても急激なインフレは地獄です。
ますます格差は広がり、貧困が深刻化しますよ」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)
そのうえ安倍は、公共事業にばらまくために日銀にお札を刷らせ、建設国債を乱発する。
そのせいで国債の信用が低下して長期金利が上がれば、住宅ローンを抱える中流家庭が直撃を受ける。
「結局、アベノミクスで得をするのは大企業や資産家だけです。
低所得の若年層は結婚もできない将来に絶望し、社会不安が広がっていく。2013年は貧困が原因の犯罪も多発する。
アベノミクスは、まさに“死の経済政策”だと思います」(小林弥六氏=前出)
混乱の中で生き残り、成功するには、安倍の見せかけの景気浮揚にだまされず、冷静に対処することだ。
春まで一瞬、経済指標は良くなる。しかし、長続きしない。
それを見越して、儲けて逃げる。その後の生活防衛も考える。したたかに生きなければ、安倍に殺されてしまうことになる。
(※ 北風:儲けて逃げることもできない庶民は、せめて銀行や証券に騙されないことだ。)
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[原発事故から3年目] 続出するのかがんを患う子供たち [2013年のココが知りたい] 12/31 日刊ゲンダイ 書き起こし「日々坦々資料ブログ」から
◆このままでは再びチェルノブィリの悲劇が
2013年は原発事故から3年目となる。
あの時、枝野官房長官が言い放った「ただちに人体に影響はない」の「ただちに」が、もはや期限切れを迎えつつある。
福島県では事故当時18歳以下の子ども36万人を対象に甲状腺検査を続けている。これまでに検査結果が出た9万6000人の43%に「しこり」や液体の入った袋嚢胞(のうほう)が見つかり、10代半ばの女子1人が甲状腺がんと診断された。
県の調査メンバーは「事故以前に発症していた可能性がある」と、女子のがんと原発事故との因果関係を否定したが、「隠された被曝」などの著者で、内部被曝(ひばく)の危険性を研究する琉球大の矢ヶ崎克馬名誉教授は事態の深刻さをこう解説する。
「チェルノブィリの北方に位置するベラルーシでは、事故の翌87年からがんの発生率が増加しました。さらに5年後には50倍規模に増えています」
今回の事故で放出された「セシウム137」は半減期が30年。
事故当時に大量の放射能を浴び、セシウム137を取り入れてしまった子どもたちの体内では、今でも放射線が出し続けられていると考えていい。
「98年にベラルーシのゴメリ大学の学長だったバンダジェフスキー博士が、亡くなった子どもたち70人の臓器を解剖すると、甲状腺に1キロあたり平均1200ベクレルのセシウム137を検出しました。
また、8つの臓器もセシウムに侵されていて、その量は同じように内部被曝した大人の平均2倍に及んでいました。
すでに福島県では1人の少女ががんと診断されたのです。
このまま、抜本的対策を打たず、放置し続ければ、がんに侵される子どもはどんどん増えるばかりです」(矢ヶ崎名誉教授)
チェルノブィリ周辺では当時14歳以下の子どもだった6800人以上が甲状腺がんを患っている。
発症が目立ったのは、事故から4~5年後だ。今すぐ手を打たなければ、チェルノブィリの悲劇は間違いなく、この国でも起こってしまう。
外交は安倍政権の対米従属強化となろうが、米中の結託でしわ寄せは日本が食らう。
経済は金融緩和と公共事業だそうだが、目標は「消費増税のための物価上昇2%以上」だ。勤労賃金が減少を続ける中で消費が減る続けるのに、企業は投資できない。従って実体経済は拡大せず資金は投機に向う。
事実上のデフレの中で「2%の物価上昇目標」とは、食料、石油ガス、医療教育、公共料金などに値上げがしゅうちゅうするということであり、「勤労人民」のさらに窮乏化することだけが疑いない。
放置されている原発事故の放射能はさらに拡散を続け、ホットスポットは全国に広がり、日本中で免疫不全が原因の疾病が蔓延する。
南東北、関東では子どもの甲状腺異常など放射能被害が表面化してくる。
今の事実からしての、最低限言えることはその程度と思われる。もっと酷いかも知れないが、それはわからない。
最低限言えること。日刊ゲンダイからの三話紹介です。
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【2013年のココが知りたい】外務省出身ベストセラー著者 孫崎享氏に聞く 12/29 日刊ゲンダイ
東アジアの今後はどうなる 習新体制の中国と再選オバマ米国
オバマ再選の米国、習近平体制スタートの中国、安倍政権が誕生の日本。米、中、日の関係はどう動くのか。元外務省国際情報局長で著作が次々にヒットしている孫崎享氏に聞いた。
<米中関係は経済で協調ますます緊密化します>
習近平体制の誕生直前、中国の英字紙グローバル・タイムズは、中国18都市で行った世論調査の結果を発表しました。
中国が抱える課題を尋ねた回答のうち、国民がもっとも関心を寄せたのは「経済の発展」です。
これがつくられた世論でなければ、おそらく習近平は国民の生活水準を上げるために経済最優先の政策を推し進めるでしょう。
主力の輸出産業に引き続き力を入れると思います。
経済大国化する中国にオバマ大統領は、どう向き合うのか。
以前から中国を重要視しており、この路線は再選後も続くとみています。米国内に中国の軍拡化を懸念する声はあるものの、金融を含めた経済を考えた場合、米中は互いに協調路線を取らざるを得ません。
習近平の一人娘の留学先はハーバード大。常識的に考えれば敵視する国に子供は留学させません。
ということは、中国も米国と友好関係を築きたいという思惑があり、米中関係はますます緊密になるとみていいでしょう。
<対米従属は時代錯誤、現実を直視すべき>
米中連携が深まる一方、日中関係は尖閣問題などで緊迫化しています。
それでも、日本国内では、米国に従属していれば国は繁栄するとの考えが相変わらず支配的です。この考えは時代錯誤です。
日本のGDPに占める輸出は15%ほど。このうち対米輸出は15%です。
一方、中国、韓国、香港などの東アジア向けは約4割になる。対中輸出は全体の16%で、米国よりも多い。仮にこのマーケットを失えばGDPは1%落ちることになるのです。
一方、中国の輸出先は米国とEU(欧州連合)がそれぞれ2割前後。日本は1割弱に過ぎません。
台湾や香港など、中国には日本に代わる輸出先がたくさんあります。
日本ではまだ、「日中関係がこじれて経済が困るのは中国側」といった論調がありますが、現実を直視すべきです。
世界経済の中心は今後、東アジアにシフトしていく。軍事力だって、どんどんつけていく。
「中国軍より自衛隊が上」なんて言っていると、アッという間に追い越されることになります。
◇まごさき・うける 1943年、旧満州国鞍山に生まれる。東京大学法学部中退後、外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「アメリカに潰された政治家たち」など著書多数。
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ますます貧困化する国民生活と社会不安 [戦国さながら乱世の情勢情報] 12/31 日刊ゲンダイ 書き起こし「日々坦々資料ブログ」から
◆重大な覚悟が必要となった2013年
[歴史的岐路となる厳しい選択が待ち受ける政治 経済 外交 国民の暮らし]
○波乱の中で生き残り大成功するチャンスもまた多くある。必要な見通しを専門筋に聞いてみた。
日本の子どもの貧困率は85年に10・9%だったが、09年には15・7%まで上昇している(厚労省調べ)。
約6人に1人の子どもが標準所得の半分以下という貧しい生活に泣いているのだが、安倍自民は「自助、自立」とか言って、真っ先に弱者を切り捨てようとしている。
生活保護は1割カット、子ども手当も高校無償化も廃止の方向。社会保険料はガツガツ巻き上げるくせに、給付は抑制なんてボッタクリ商法だ。
「安倍首相は“死の政治家”ですね。2%のインフレ目標にしても、重病人に劇薬を打つようなもの。もし景気が一時的に上向いたとしても、確実に死期を早めます。
物価の上昇スピードに収入が追いつかない庶民には、〈死ね〉と言っているのに等しい。
家計の破綻は目に見えている。貯金は目減りし、年金だけが頼みの高齢者にとっても急激なインフレは地獄です。
ますます格差は広がり、貧困が深刻化しますよ」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)
そのうえ安倍は、公共事業にばらまくために日銀にお札を刷らせ、建設国債を乱発する。
そのせいで国債の信用が低下して長期金利が上がれば、住宅ローンを抱える中流家庭が直撃を受ける。
「結局、アベノミクスで得をするのは大企業や資産家だけです。
低所得の若年層は結婚もできない将来に絶望し、社会不安が広がっていく。2013年は貧困が原因の犯罪も多発する。
アベノミクスは、まさに“死の経済政策”だと思います」(小林弥六氏=前出)
混乱の中で生き残り、成功するには、安倍の見せかけの景気浮揚にだまされず、冷静に対処することだ。
春まで一瞬、経済指標は良くなる。しかし、長続きしない。
それを見越して、儲けて逃げる。その後の生活防衛も考える。したたかに生きなければ、安倍に殺されてしまうことになる。
(※ 北風:儲けて逃げることもできない庶民は、せめて銀行や証券に騙されないことだ。)
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[原発事故から3年目] 続出するのかがんを患う子供たち [2013年のココが知りたい] 12/31 日刊ゲンダイ 書き起こし「日々坦々資料ブログ」から
◆このままでは再びチェルノブィリの悲劇が
2013年は原発事故から3年目となる。
あの時、枝野官房長官が言い放った「ただちに人体に影響はない」の「ただちに」が、もはや期限切れを迎えつつある。
福島県では事故当時18歳以下の子ども36万人を対象に甲状腺検査を続けている。これまでに検査結果が出た9万6000人の43%に「しこり」や液体の入った袋嚢胞(のうほう)が見つかり、10代半ばの女子1人が甲状腺がんと診断された。
県の調査メンバーは「事故以前に発症していた可能性がある」と、女子のがんと原発事故との因果関係を否定したが、「隠された被曝」などの著者で、内部被曝(ひばく)の危険性を研究する琉球大の矢ヶ崎克馬名誉教授は事態の深刻さをこう解説する。
「チェルノブィリの北方に位置するベラルーシでは、事故の翌87年からがんの発生率が増加しました。さらに5年後には50倍規模に増えています」
今回の事故で放出された「セシウム137」は半減期が30年。
事故当時に大量の放射能を浴び、セシウム137を取り入れてしまった子どもたちの体内では、今でも放射線が出し続けられていると考えていい。
「98年にベラルーシのゴメリ大学の学長だったバンダジェフスキー博士が、亡くなった子どもたち70人の臓器を解剖すると、甲状腺に1キロあたり平均1200ベクレルのセシウム137を検出しました。
また、8つの臓器もセシウムに侵されていて、その量は同じように内部被曝した大人の平均2倍に及んでいました。
すでに福島県では1人の少女ががんと診断されたのです。
このまま、抜本的対策を打たず、放置し続ければ、がんに侵される子どもはどんどん増えるばかりです」(矢ヶ崎名誉教授)
チェルノブィリ周辺では当時14歳以下の子どもだった6800人以上が甲状腺がんを患っている。
発症が目立ったのは、事故から4~5年後だ。今すぐ手を打たなければ、チェルノブィリの悲劇は間違いなく、この国でも起こってしまう。
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