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バンダジェフスキー:訪日を語る

 バンダジェフスキー2

  バンダジェフスキー博士訪日を語る  翻訳「Entelchen」のブログから 

フランスの大きな反原発組織 Sortir du nucléaire (脱原発)2012年夏号に掲載されたインタビューです。

*****以下全文和訳*****

ベラルーシ国立ゴメリ大学医学部創設者であり、放射能による健康被害の発見者でもあるユーリー・バンダジェフスキー博士が日本から帰国した。
福島原発事故から一年後、博士は日本に招かれて講演を行い、放射線防護をテーマにした医療養成セミナーを実現させた。
ダヴィッド・シェーアンが博士にインタビューを行った。

日本滞在についてお話いただけますか?

「12日間の滞在の間、私は10回の講演を夜行い、昼間は医師達と一緒にセミナーを行いました。
これらのセミナーはフリージャーナリスト・木下黄太氏による”放射能防護プロジェクト”の一環として行われました。木下氏は私を大変温かく迎えてくださり、日本滞在中常に付き添ってくださいました。
黄太氏はまた、我々の活動がより認知され、支持を受けることが出来るように国際的な同盟を築くことに賛成してくださっています。
特に私の願いは、汚染地域で本当に起きていることをコントロールするための国際同盟を創設するために、近い将来キエフで国際会議を開くことです。
もちろん”バンダジェフスキー友の会”もこのプロジェクトに参加します。

同盟についてもう少し詳しくお話いただけますか?

我々のホームページ http://chernobyl-today.org/ でご覧いただけるように日本の友人達は共同の仕事を続け、放射能被害に対する住民の健康を守る共同作業を行いたいと私達に書き送ってきてくれています。
私達が創設しようとしている国際同盟は、もちろん科学的なデータを基盤に働くものです。

日本人は今回の事故に対してどのように反応しましたか?

日本人が政府の沈黙に対して行動を起こさなければいけないと理解したのは明らかです。
何千もの日本人が自分達の未来、そして特に自分の子供たちの未来を心配しています。彼らはもっと情報を欲しがっており、信頼出来る情報を得るには政府は常に当てになるわけではないこともわかっています。
例えば東京の住民達は力を合わせて、かなり精度の高いガイガーカウンターを入手することに成功しました。
この機械は非常に高い線量を記録し、彼らは大変気を揉んでいます。
その結果、多くの人々が東京を去り、家はずっと簡素でも、汚染の比較的少ない地方に移り住みました。
滞在中、私は一年間放棄したままの家を見に戻ってきた家族にいくつも会いました。胸の張り裂けるような光景でした。

日本人達は反対運動を起こしたのでしょうか?

はい。私は滞在中に信じられない数の反対者を見ました。チェルノブイリ事故後のベラルーシ、ウクライナ、あるいはロシアでの汚染地帯の住民よりもずっと大きな運動を起こしています。
日本人はとてもやさしく教養のある民族ですが、原発事故に対して怒っています。
その上日本人は連帯感が強く、前進するためには力を合わせるしかないことをわかっています。これは非常に大切なことです。
このような運動が、健康を守るために効果的なプログラムを実現させることを可能にしてくれると願っています。

何故政府は沈黙したままなのでしょう?

これは真のパラドックスです。日本は何千年と続いてきた文化を持ち、幾つかの分野においてはヨーロッパよりも進んでいます。
強い経済力や在外邦人共同体の発達は、福島事故に対応するにあたって様々なことを可能にし得ると思うのです。例えば汚染していない食物の提供など。
ところが原発事故に関する国民の情報は十分ではないことを私達は見てきました。チェルノブイリ事故の時と同じです。
当時ソ連政府の中には強力な原発ロビーの存在があり、情報は封印されてしまいました。
当時のソ連のような独裁体制下と、現在の日本のような現代民主主義体制下と、情報隠蔽のプロセスは酷似しています。

低量の被曝は問題なのでしょうか?

私達の研究では、低量の放射能、非常に低量の放射能でさえが、人体組織に取り込まれると、健康にとって大変大きなリスクを持つ要素であることを確認しています。
それに対してウクライナ、ロシア、そしてベラルーシ政府は、閾値(しきいち)があると主張し、閾値以下ではまったく危険がないとしています。
私達の研究はそれとは逆の結果を示しています。特に深刻なのはセシウム137です。脳も含めたすべての組織に侵入するからです。
放射性セシウムは細胞エネルギーのバランスをかく乱します。そして人体組織にアンバランスを根付かされるのです。

つまり汚染地域に住む人々の健康は脅かされていると言うことですね?

残念ながらそう言うことです。子供達は心臓や血管の問題を起こしています。
汚染地域に住む人々が放射性物質に汚染された食品を消費しているのならば(それは毎日起こっていることですが)、特に子供たちは絶対に医療検診を受け続けなければなりません。
これは医者達にはよく知られている基本の病理プロセスです。
このグラフを見れば何故子供たちが病気なのかわかるでしょう。

ゴメリ
ゴメリ地方の解剖(1997-1998)を元にした人体組織へのセシウム137蓄積量
緑=成人 赤=子供
1.心筋 2.脳 3.肝臓 4.甲状腺 5.腎臓 6.脾臓 7.骨格筋 8.小腸

先ほど心臓と血管の問題の重要性を強調されましたが

そうなのです。放射能汚染にさらされると、子供の心臓・血管体系が障害を受けるリスクが高まり、成人してからの心臓病のベースとなります。このことは Yves Michel 社から出版した私の本にも説明したとおりです。
またチェルノブイリの汚染地帯ではその他の癌性や非癌性の数々の病理が非常に広がっていることもわかっています。
日本の汚染地帯に住む人々も放射能にさらされています。

現在されている仕事の内容を教えていただけますか?

汚染地帯に住む人々の健康問題を総合的に把握しようとしているところです。
実際、人々の健康に関する決定的要素が慢性被曝である一方、その他の化学的、生物学的な要素もこの地域の人々健康を冒していると考えられます。
放射性物質と化学的・生物的汚染物質との間の相互作用がもたらす結果については研究が不足しています。
汚染地帯に住む人々の間に蔓延している免疫機能・内分泌機能の障害を引き起こしているものが何なのかをもっとよく理解したいと思っているのです。
例えば、牛の飼育には、屠殺するまで牛の健康を維持するために抗生物質が多く使用されます。抗生物質を多量に吸収した牛肉を消費すると、その抗生物質は人体組織の中で、慢性被曝のために変容してしまった肝臓や免疫体系が原因で、さらに複雑な影響をもたらす可能性があります。
科学と医学はこう言った疑問に関心を寄せ、もっと深い研究を進めていかなければなりません。

状況を進展させるために具体的に私達は何ができますか?

まずは客観的な情報へのアクセスが必要です。
そしてその情報を得るには、様々な異なる汚染地域での住民の被曝量、食物の汚染量を測定し、伝達するための道具が必要です。
このようなインフラ設備を設置するための知識は既に存在し、日本の人々にはそれを実現させる力があります。
次には、そうした放射性物質の源を遮蔽するためにあらゆる手段を尽くさなければなりません。
例えば肉や牛乳、チーズ、レタスなどの汚染食品は決して食べてはいけませんし、破棄しなければいけません。
日本人の大きな利点は、非常に強力な社会組織のネットワーク力です。
これは汚染地域に”清潔な食品”の供給を実施することを可能に出来るでしょう。
汚染地域産の食品が論外であることは言うまでもありません。

日本に対して楽観的ですか?

状況は悲劇的ですが、日本人は社会的に非常によく組織されています。
みなでよく考え、人の話によく耳を傾け、習得が速いです。
特にセミナーでは医師達の聴講レベルや彼らが私にする質問のレベルの高さに驚きました。
 ーーーーーーーーーーーーーーーー
 以下は、このブログ内のC・バズビー、バンダジェフスキーなど欧州放射線リスク委員会関係記事のリンク。

・ C・バズビー氏インタビュー
・ C・バズビー:7/18松戸市講演
・ C・バズビー:7/18質疑応答
・ C・バズビー:7/19岩上インタビュー
・ C・バズビー:7/20自由報道協会
・ 車のエアフィルターと呼吸による内部被曝
・ C・バズビー:平気で嘘をつく科学者に立ち向かおう
・ C・バズビー:御用学者は刑事裁判へ
・ バンダジェフスキー氏インタビュー
・ 米国のウラン弾:被曝が続くファルージャ
・ C・バズビー:臨界も被曝死も隠蔽する政府
・ バンダジェフスキー3/19講演質疑
・ バンダジェフスキー3/16仙台講演質疑
・ 福島とチェリノブイリ:ボース
・ 子どもを守る施策を:バンダジェフスキー
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