トルコに砲撃挑発はトルコとシリア反政府派の謀略
2012-10-08

10/4 イスタンブール、シリアとの戦争に反対するデモ
シリア軍によるトルコの村砲撃と言う記事。10/4の日本は各紙が夕刊トップ記事にする不自然さであった。
内容は例によって今までどおり西側報道の描く、凶暴残虐なシリア軍が民主的反政府勢力の補給路を絶とうとしてトルコ領内を砲撃したというもの。
いかにもシリア内戦の反政府側へのトルコ軍の加担、介入を正当化しようとするものだった。
(そういう意図的みえみえな解説を記事の文中に混ぜ込むので、それと知れる。)
そもそもこんな記事が、日本人の読む新聞各紙の夕刊トップ、というのが不自然でまず怪しい。
内外の諸派による反政府側と異なり、統一された指揮下の組織である政府軍が誤爆をする可能性は極めて少ないし、もとよりトルコ領内を砲撃して戦争を挑発する利益がない。
逆に国境からいくら補給支援しても、政府軍に負けるシリア反政府派というトルコ政権にとって政治基盤が危なくなって来たことから、報復戦争を仕掛けて国内議論を封殺し挙国一致を進めようとしているのだろう。
東西を問わず、あちこちの政権が取りたがるが、ワン・パターンなので現代ではたいてい国民に見破られる。
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ドイツ国営TV:シリアの反政府勢力がトルコを砲撃と報道 10/8 ROCKWAY EXPRESSから
10月6日号「トルコのグレートゲームに注意」で示したように、トルコへの砲撃の下手人はやはりシリアの反政府勢力であった公算が大きい。ドイツの国営テレビ局のニュース報道ではそのことが報道されていた、という。
以下のドイツ国営テレビ局の報道の流れを見ると途中から曖昧な表現になっているが、これはいずこからともなく掛かってきた圧力によるものであろう。
当初は反政府勢力側が公式にこのトルコへの砲撃をやったと名乗り出ていることが報じられているのだから、はっきりした事実だったのだ。
砲撃を受けた村人の証言に、「シリアの反政府勢力は我々を彼らの紛争に巻き込もうとしている」というものがある。彼らも誰が砲撃したか良く分かっているしその理由も分かっているのだ。
トルコ国内では冒頭の写真にあるように、シリアに対する戦争への道を急いでいる政府に対し、反戦デモが首都のイスタンブールで起きている。
トルコ国民も馬鹿ではないから、トルコ領内への砲撃をシリア軍がやったなどとは思っていない。エルドアン政権の陰謀だ、と見抜いているのである。
10月6日号のコメントで、「間違いなくエルドアンそしてその政権の末路は哀れなものになるだろう」と指摘したが、見ていればいいのだ。
昔のように謀略がすんなりとうまくいくような時代ではなくなってきていることを思い知ることになるだろう。
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●ドイツ国営テレビ放送:シリアの反政府勢力がトルコを砲撃と報道
http://www.globalresearch.ca/german-state-tv-reports-syrian-rebels-claim-responsibility-for-attack-on-turkey/
【10月5日 by R. Teichmann – Global Research】
10月4日、ドイツ国営テレビZDFはトルコへの攻撃について数回報じた。
◆13時の「ミットタークマガツィン」の中で以下のように報じた。
「ロケット弾と迫撃砲が発射される。トルコはシリア領内からの攻撃の後、報復を。昨日の午後、シリアの反政府勢力は国境に近いトルコの村々に対して砲撃を行った。数週間に渡ってトルコ政府はトルコを挑発することに対する警告を発してきた。
シリアの反政府勢力側は公式にこの挑発行為を行ったことを主張した」
◆このたった3時間後の16時に、「ホイテ イン オイローパ」で以下のように報じた。
「ロケット弾と迫撃砲が発射される。昨夜シリア領内からの攻撃に対する報復行動を執った。昨日の午後、国境に近いトルコの村落に対し、反政府勢力は砲撃を行った」
「トルコの現場の証言:「シリアの反政府勢力は我々を彼らの紛争に巻き込もうとしている。我々は非常に注意深くあらねばならない」
◆そして彼らの主要ニュース番組である19時の「ホイテ」では、彼らは以下のように報じた。
「ロケット弾と迫撃砲が発射される。昨夜トルコは報復攻撃を行う。昨日の午後、シリア人は国境に近いトルコの村落に対し砲撃をした。隣国との緊張は高まった。トルコは報復攻撃を行った」
◆23時の夜のニュース番組の、「ホイテ ジュールナル」では、彼らは以下のように報じた。
「ロケット弾と迫撃砲が発射される。昨夜トルコは報復攻撃を行った。昨日の午後、国境に近い村落はシリア領内からの砲撃を受けた。緊張は高まった。トルコ政府は報復攻撃を行った」
「住宅はばらばらにされ通りには人々がいなくなった。砲撃を行ったのがシリア軍か反政府勢力か、まだはっきりしていない」
◆最初の犠牲者は「真実」
最初の報道では反政府勢力側が公式にトルコへの砲撃は自分たちが行ったということを主張していることを明確に報じていた。これはこのテレビ局に対する圧力がどのように働いているかを示している。
13時にはシリアの反政府勢力が公式に砲撃をやったのは自分たちである、と主張していることを報じた。
19時にニュースでは、シリア人(シリア軍と言いたそう)がやったと報じている。
これこそが、最初の恐らくは最も確実で真実性が高い報道がスピンドクターによって捻じ曲げられ彼らが願うとおりの結果をもたらすよう変えられたことを示す模範例である。
このオーウェリアンの偽情報の時代、我々は「シリア人が行った」と言わず、少なくとも疑問符をつけて終わったZDFを信頼するべきだ。夜遅い時間に、彼らは砲撃の下手人が誰か結論は下さない形で終わった。
反政府勢力が砲撃を行ったという最初のZDFの報道を支持するものに別のビデオ(シリアのニュース)がある。それは反政府勢力側がそのような攻撃を行う装備を持っていることを示している。
これら迫撃砲弾はロシア製であり、少なくとも欧米によって武装された戦士らはこのことをビデオの中で語っている。これは反政府勢力がシリア軍の兵器庫を襲撃し獲得した弾薬を使用していると考えられるのである。
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米国の陰謀と狂ったマスコミ:本澤
2012-10-08

本澤二郎の「日本の風景」(1160) 10/7 本澤二郎
<ワシントンの陰謀>
東アジアは不安定のきわみだ。日本と中国は国交正常化40年目に、最悪とも言える事態に置かれている。
極右知事とPANASONIC首相の屈米派は、ワシントンCIA戦略に操られて、パンドラの箱を開けてしまったせいである。
継続している南北朝鮮の対立に加えて、今度は日本と韓国の関係も狂わされてしまった。
ASEANのベトナムと中国、フィリピンと中国も深い亀裂が入ったままだ。
孤立分断化する東アジアだ。一体、誰が仕組んだのか?一人喜んでいるワシントンの右翼・保守派(産軍複合体)の存在を見て取れよう。
<アジアで浮上する衰退アメリカ株>
日清戦争と日露戦争に勝利した日本を喧伝するような、皇国史観的歴史教科書があるようだが、それは歴史を逆さまに見ているからである。大英帝国が蒔いた種が芽を出した結果だ。
当時を冷静に分析すれば、日本に戦争をけし掛けたのはロンドンであろう。大英帝国の支援なしに日本が勝利することなど考えられない。日英同盟だ。
確かに当時の北京は腐敗していた。だからと言ってチョンマゲを切ったばかりの、刀主体の前近代兵にその力はなかった。
帝国の軍事支援の賜物であることは、容易に判断できよう。
欧米の帝国は、アジア国同士の戦争を引き起こさせて、武器輸出などで暴利を得ることに長けている。
また、その罠に容易に引っ掛かる、愚か過ぎるアジア人指導者ばかりである。
冷静沈着さが欠如している、おっちょこちょいの右翼指導者の下で、それが表面化してしまう。
極右はいつの時代にも存在する。威勢がいい。
石原のセガレには辟易させられるばかりだが、自民党幹事長だった彼は「気合が必要だ」という理由で、谷垣総裁を背後から切り捨てた。
明智光秀のやり方は、日本では通用しないということさえ認識していなかった。父親の極右知事を買いかぶったのだ。
歴史の教訓を学ぼうとしない日本人は別格としても、一般的にアジア人は欧米・白人社会の罠にはまりやすい体質を有している。
日本の戦前は、悪魔の独裁者・ヒトラーに心酔した。戦後はワシントンのお妾さんに満足している。
自立して創造しようと言う気概さえない。
これは「アジアが大事だ」と言いふらす組織・団体でさえも「日米同盟の深化」論に賛成する。
アメリカのカジノ・ギャンブル経済にのめり込み、それが共に破綻してしまい、にっちもさっちもいかない現状だ。
そこから離脱しようと勇気をもった日米対等派・アジア重視派を、彼らは検察とマスコミを使って退治する。
ともあれ、無様なアジア諸国のお陰で、武器弾薬だけで突出するワシントンは、この地域で人気を博している。ワシントンにすがりつく東京・ソウル・マニラ・ハノイである。
無知な日本人に伝えたいことがある。尖閣・竹島・北方領土も全て敗戦時のワシントンが埋めた地雷なのだ。
宇都宮さんがいつも指摘していた。アジア人同士を戦わせるための地雷原なのだ。
<アジアよ、覚醒せよ!>
40周年に向けての石原決起が理解できるだろう。おっちょこちょいの無能知事であることを。先日、インテリジェンスに詳しい人物が、次のように指摘してくれた。
「尖閣問題を表面化させた石原をワシントンに呼び付けたのは、いわくつきのヘリテージ財団だ。ヘリテージと知れば裏が読める」
ワシントンでは知る人ぞ知る極右シンクタンクである。産軍複合体お抱えのシンクタンクといってもいいだろう。
最近はNHKワシントン支局が、ここの研究員を登場させて、オバマの外交政策を批判させていた。
日本人のワシントン支局員は、すべてがここと関係して東京に戻り、編集幹部になっている。
日本の新聞テレビ編集者が、CIAお抱えだと認識すると、彼らの言動を容易に分析出来るだろう。
そもそも朝日新聞までも、この枠の中にはまり込んでいた。今も、というべきかもしれない。
朝日の真面目な記者は「社会部出身が主導する体制に変えないと、朝日は沈没してしまう。読者の支持を得られない」と言っていた。
これは事実であろう。ナベツネの読売は、もはや新聞といえないが、朝日の再生を願う国民はまだいる。
<決め手は新聞テレビの再生>
知り合いの弁護士は、いったん毎日に切り替えたが、いまはぶつぶついいながら朝日と付き合っている。
筆者は引っ越しを契機に朝日と縁を切った。新聞の全てと。まともな情報・正義の情報は、第一に日刊ゲンダイ、ついで東京・中日である。
共同通信が再生すれば、地方新聞も健全化するだろう。共同の右傾化も痛い。
横道にそれてしまったが、政治家をリード出来るのは、国民でも議会でも裁判所でもない。
断言すれば、それはマスコミ・メディアである。
マスコミの狂いを正すには、財閥・官閥・CIAから離脱させることだ。これが何よりも重要なのである。人は第4権力ともいうが、本当は第1権力なのだ。
この第1権力が狂ってしまったことから、野田内閣が存在し、自民党の安倍総裁が誕生したのである。
アジアが賢くなる唯一の方策は、日本が賢くなることだ。それにはナベツネ言論から1日も早く卒業することに尽きる。
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