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もうすぐ北風が強くなる

検討してる「ふり」だけの検討委員会!

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2012/9/11 秘密会のため福島県庁を訪れた検討委員会のメンバーら

 「裏の秘密会」で談合し、示し合わせたとおりに正式な検討委員会を進める。
 検討でも何でもない、見せかけだけの「検討委員会」。
 「やっているふり」だけの「検討委員会」。
 
 この国はいたるところが「見せかけ」と「やってるふり」が蔓延している。
 「嘘」と「談合」がまかりとおっている。
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  福島健康調査:「秘密会」で見解すり合わせ 10/3 毎日

 東京電力福島第1原発事故を受けて福島県が実施中の県民健康管理調査について専門家が議論する検討委員会を巡り、県が委員らを事前に集め秘密裏に「準備会」を開いていたことが分かった。
 準備会では調査結果に対する見解をすり合わせ「がん発生と原発事故に因果関係はない」ことなどを共通認識とした上で、本会合の検討委でのやりとりを事前に打ち合わせていた。
 出席者には準備会の存在を外部に漏らさぬよう口止めもしていた


 県は、検討委での混乱を避け県民に不安を与えないためだったとしているが、毎日新聞の取材に不適切さを認め、今後開催しない方針を示した。
 検討委は昨年5月に設置。山下俊一・福島県立医大副学長を座長に、広島大などの放射線医学の専門家や県立医大の教授、国の担当者らオブザーバーも含め、現在は計19人で構成されている。
 県からの委託で県立医大が実施している健康管理調査について、専門的見地から助言する。これまで計8回あり、当初を除いて公開し、議事録も開示されている。

 しかし、関係者によると、事務局を務める県保健福祉部の担当者の呼びかけで、検討委の約1週間前か当日の直前に委員が集まり非公開の準備会を開催。
 会場は検討委とは別で配布した資料を回収し議事録も残さず、存在自体を隠していた

 9月11日に福島市内の公共施設で開いた第8回検討委の直前にも県庁内で準備会を開いていた。

 同日は健康管理調査の一環である子供の甲状腺検査で甲状腺がん患者が初めて確認されたことを受け、委員らは「原発事故とがん発生の因果関係があるとは思われない」などの見解を確認。
 その上で、検討委で委員が事故との関係をあえて質問し、調査を担当した県立医大がそれに答えるという「シナリオ」も話し合った

 実際、検討委では委員の一人が因果関係を質問。県立医大教授が旧ソ連チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんの患者が増加したのは事故から4年後以降だったことを踏まえ因果関係を否定、委員からも異論は出なかった。
 また、昨年7月の第3回検討委に伴って開かれた準備会では、県側が委員らに「他言なさらないように」と口止めもしていた
 
 毎日新聞の取材に、県保健福祉部の担当者は準備会の存在を認めた上で「あらかじめ意見を聞き本会合をスムーズに進めたかった。秘密会合と言われても否定できず、反省している。(今後は)開催しない」と述べた。
 福島県の県民健康管理調査は全県民を対象に原発事故後の健康状態を調べる。30年にわたり継続する方針で、費用は国と東電が出資した基金で賄う。【日野行介、武本光政】
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  福島健康調査:「秘密会」出席者に口止め 配布資料も回収 10/3 毎日

 東京電力福島第1原発事故を受けた福島県の県民健康管理調査について専門家が意見を交わす検討委員会で、事前に見解をすり合わせる「秘密会」の存在が明らかになった。
 昨年5月の検討委発足に伴い約1年半にわたり開かれた秘密会は、別会場で開いて配布資料は回収し、出席者に県が口止めするほど「保秘」を徹底
 県の担当者は調査結果が事前にマスコミに漏れるのを防ぐことも目的の一つだと認めた。
 信頼を得るための情報公開とほど遠い姿勢に識者から批判の声が上がった。【日野行介、武本光政】

 9月11日午後1時過ぎ。福島県庁西庁舎7階の一室に、検討委のメンバーが相次いで入った。
 「本番(の検討委)は2時からです。今日の議題は甲状腺です」。
 司会役が切り出した。委員らの手元には、検討委で傍聴者らにも配布されることになる資料が配られた。

 約30分の秘密会が終わると、県職員は「資料は置いて三々五々(検討委の)会場に向かってください」と要請。
 事前の「調整」が発覚するのを懸念する様子をうかがわせた。
 次々と部屋を後にする委員たち。「バラバラの方がいいかな」。談笑しながら1階に向かうエレベーターに乗り込み、検討委の会場である福島市内の公共施設に歩いて向かった。

 県や委員らはこうした秘密会を「準備会」と呼ぶ。
 関係者によると、昨年7月24日の第3回検討委までは約1週間前に、その後は検討委当日の直前に開かれ、約2時間に及ぶことも。
 第3回検討委に伴う秘密会(昨年7月17日)は会場を直前に変更し、JR福島駅前のホテルで開催。県側は委員らに「他言なさらないように」と口止めしていた。

 ◇「今後はやめる」
 秘密会の日程調整などを取り仕切っていた福島県保健福祉部の担当者との主なやり取りは次の通り。

 −−検討委の会合ごとに秘密の準備会を開いていなかったか。

 記憶にない。

 −−昨年7月、秘密会の会場を急きょ変更し、口止めを図ったことはないか。

 ……覚えていない。

 −−検討委の約1週間前に委員を呼び出したり、検討委と別に会場を設けたりしていなかったか。

 ……確認のため時間をください。

 <約1時間中断>

 −−確認できたか。

 指摘の通りの事実があった。毎回準備会を開催していた。

 −−調査結果や進行についてあらかじめ話し合っていたのか。

 事前に調査結果を説明し、委員に理解してもらったうえで臨んでほしかった。事前に調査結果を配りたいが、それができない。

 −−マスコミに漏れるからか?

 それもある。

 −−なぜ隠していたのか。

 隠していたつもりはないが、積極的に知らせるのは避けた。ナーバスになっていた。

 −−県民に不安を与えないように検討委を進めたかったのか。

 それはあった。秘密会合と言われても否定できず、反省している。こうした準備会は(今後)開催しない。
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 10/3 「ぼちぼちいこか」から

・・・懲りない人たちだなと思います。
新大綱策定会議・核燃サイクル委員会などの例によって、いわゆる『秘密会議』については信頼性を大きく損なうことが当然判っているはずです。
  ・・・それでもやる。
  ・・・やってしまう。

しかも、今回も毎日新聞のスクープという形で、随分微妙なタイミングです。
上記の記事によれば、9月11日が直近でそのときの写真まで押さえているのですが、9月12日には報道していない。ちょうど福島県のお子さんから甲状腺ガンが見つかったときですが、それと同時に政局でもいろいろと動きがあった時期ですね。
毎日新聞としても裏取りや福島県への取材をしたかったということがあるのでしょうが、いやはや、微妙なタイミングです。
それにしても、3週間もかかりますかね・・・?
日本では、尖閣問題、竹島問題、それに加えて民主党、自民党の代表選挙と、この数週間はあわただしく過ぎていったのは確かですが、どうなんでしょう・・・?

ともかく、こういう事前打ち合わせをして、いかにも初めてお話するかのように検討委員会では議論をし、さも公開性を保っているかのような偽装をしてしまっては、信頼もクソもありません

健康検査の結果を待ち望み、その見解を医師に求めている方々にとって、『最初から答えが用意されている』健康検査に、一体どんな意味があるのでしょうか?

彼らにとって大事なのは、健康検査をして得たデータをどう読み解くかであり、個別の結果にはあまり興味がないようにすら感じられてしまいます。

現場ではそういうお医者さんばかりではないと信じたいのですが、こればっかりは判りません。
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  福島県の「秘密会議」と出席した人たちの犯罪性  10/3 武田邦彦 書き起こし「kiikochan.blog」から

今日の朝方ですね、主に毎日新聞のスクープかもしれませんが、
驚くべきというか、毎日ある事を驚いていちゃいけないんですけれども、
驚くべきニュースが流れました。
原発事故で福島県の県民健康管理調査という検討会がですね、
実は去年の5月から約1年半の間行われていたらしいんですが、
これが秘密会であったと。

それが何をこう、打ち合わせていたかというとですね、
とにかく「結果を県民に知らせない」という事と、
「被ばくはがんに繋がらない」という事で口裏を合わせるんだという事をやってたんですね。
そうすると、ま、これはなかなかおおっぴらには言えないという事で、
約30分の秘密会議が終わりますと、
「資料を置いて三三五五とにかくバラバラで出て下さい」っていうわけですね。
委員の人が「ばらばらの方がいいんじゃないかな」と言ってエレベーターに乗り込んで出かけると、
こういうことですね。

これについて多くの人が驚いたと思うんですね。
「えッ!?そんなひどい事ってあるの?」と。
たとえば福島県っていうのは県民のためになんかしているんじゃないの?
という、こういう感じがしたと思いますね。
また委員の人がいろいろと驚いちゃうんですね。

個人のお名前は別にしましてね、
放射線医学総合研究所理事
福島県立医科大学の理事兼副学長(教授)
病理病態診断学講座主任
日本学術会議副会長
国立広島大学の原爆放射線医科学研究所長
福島県保健福祉部長
放射線影響研究所主席研究員
環境省環境保健部長
福島県医師会常任理事
福島県立医科大学医学部主任
それから例の、ま、山下先生と、こういう顔ぶれですね。

この人達は社会的に地位のある人たちで、ま、「立派な人達」とも言っていいでしょうね。
この立派な人達は、医師として、もしくは専門家として
「県民の健康調査をする」というのが県の、県民の税金でなされており、
民主主義であり、
データはデータのままちゃんと公表し、
自分たちの専門としての見解をつければいいというふうに、
なぜまともに考えられなかったのか?」ということですね。

しかしこのことは、私がいろんな機会に再々してきたように、
実は「珍しい事ではない」という事なんですね。
多くの委員会では、このようにですね、露骨ではないにしても
「そこで話せることはそこの人達だけ」というのが、まぁ普通なんですね。
これが普通なんです。
それで「市民とか国民を騙す」というのが普通なんですね。
普通になっちゃっているんですよ、これは。

何時から普通になったかは別にしまして、
いずれにしても普通になってしまっているという事を、
まずわれわれはですね、認識しなければいけないし、
それで本当に民主主義ができるのか?っていうことですね。

これはあれですね、あの、民主党の公約違反なんかもそうなんですが、
もちろん選挙の時に公約したものを違反しちゃいけないんですけれどもね、
いけないんですが、ま、堂々と公約違反をするという事が行われているわけですよね。

ですから日本中がある意味ではですね、嘘で固まった社会になったと。
その断面がですね、こういう形で今回出てきたという事ですね。

私もよくこれはよく経験したんですけれども、
「武田先生、本当はこうなんですよ」なんていう話をですね、耳打ちされることが多いんですけれども、
「本当はこうなんですよ」って耳打ちする位なら
「そのまま新聞かなんかに書いたら?」なんて思うんですけれどもね。
ま、そこのところがどうしてもまだ、民主的ではないと思います。

で、この人達が何故こういったですね、
各大学の学長さんだったり、いろいろな、たとえば環境省の部長さんだったりという、
「社会的に地位のある方で、税金を随分もらっている方がこういう事をするか」と言いますとね、
やっぱり民主主義を信じていないんですね。
「国民はバカだ」と思っているんですよ。
国民はバカなので、バカな国民が騒ぎ始めると大変だと。
それを納得させるのは、もう国民を納得させるなんていう事はもう絶対に出来ない。
「我々は偉いんだ」。
だから、「偉いんだから、事実は隠して結論だけ言えばいいんだ」と。

国民側にもちょっとそういうこともありましてね。
本なんかでも、事実をきちっと解説するとなかなか売れないんだけど、
「こうしなさい」という結論だけ書いた奴を売ると売れるとかですねw
そういう事があって、
えー、これは「お互いだ」という事もいえない訳でもないんですが、
まあちょっと行きすぎですよね。

えっと、ま、今度のこの秘密会議の事はですね、
本来「福島の県民の健康を守る」といった立場の人がですね、
「福島県から人がいなくなると県民税が入らない」とか、
お医者さんですと「診断される人がいなくなっちゃって収入が減る」とか、
そういう事を心配してですね、
まあ、あの~、県民の健康を二の次に置いてているわけです。

こういうふうに私が言いますとね、「放射線ってそんなに被害が出ないんじゃないか?」って。
いや、そういう物とは別なんですよね。
「被害が出ないから隠していい」というわけじゃないんですね。
被害が出ても、被害が出なくても隠していることを隠しているのはいけないことな訳ですからね。

その点ではこの事件は非常にに大きな、
もう、この事じゃなくて、
この人達はすぐに辞任するでしょうね、恥ずかしくて
それから、まあおそらく、職も辞めるでしょうね。

まさかそんな事をしながら、この教授だったり、そういうことって訳にはいかないでしょうからね。
ま、大体本人たちにも犯罪意識があるんでしょうね。
エレベーターに乗る時に「バラバラの方がいいですね」なんて言っているわけですから。
自分たちがしていけないことをしているという事はわかる
んでしょうね。

しかし日本の場合はですね、まだまだ国民が主役という事になっていないという事の一例でした。
 ーー名前入りーー
明石真言 放射線医学総合研究所理事
阿部正文 福島県立医科大学理事兼副学長(教授)
春日文子 日本学術会議副会長(国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長)
神谷研二 広島大学原爆放射線医科学研究所長・教授(公立大学法人福島県立医科大学副学長)(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)
菅野裕之 福島県保健福祉部長
児玉和紀 放射線影響研究所主席研究員
佐藤敏信 環境省環境保健部長
星 北斗 福島県医師会常任理事 .
安村誠司 福島県立医科大学医学部 公衆衛生学講座主任(教授)
山下俊一 福島県立医科大学副学長(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)
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日本の国境問題:孫崎(1)

 孫崎

2012.09.05 BS11 孫崎享氏出演 尖閣、竹島 日本の国境問題を考える(1) 書き起こし9/16「Sekilala&Zowie」氏から

山口一臣氏
「こんばんわ。尖閣、竹島、日本の国境問題を考えるということで多くしていきたいと思うんですけども、
今、この『戦後史の正体』という、今日のゲストはこの本が非常に話題、ベストセラーになっています作家で元外務省国際情報局長の孫崎享さんをお迎えしてお送りしてきたいと思うんですけども、
この本は一番新しい、出たばかりの本なんですけど、
実は孫崎さん、昨年にまさに今ホットな『日本の国境問題』という本を書かれていて、この本を読ませていただいたんですけれども、本当に目から鱗なことがいっぱい書かれていて、この問題に関心のある人はぜひお読みいただきたいと思うんですけれども、
いかに国民が国境の問題、それから領土もの問題について、勉強不足で知らないという事もあるんですけれども、知らされていないかという事がこの本にしっかり書かれていると思うんですけれども、
ちょっとその本題に入る前に、今日はまさにホットなニュースで、その尖閣諸島を国が購入することで合意したという事で、20億5千万円で、地権者と話がついたというニュースが各紙載っているんですけども、
孫崎さん、このニュース、どういうふうに捉えたらよろしいでしょうか?」

孫崎享氏
「私は基本的に、国が購入するというのは、東京都よりも良かったと思います。
東京都の場合には購入した後、色んな外交問題とか安全保障の問題がでたときに、東京都が何かできるわけじゃありませんから。

ただ、この問題は、当然のことながら、中国側はかなり神経を尖らせていると思います。
日本が新しく国という形で出てきたということですから、なぜ国が購入しなきゃいけないか、もしも購入しなかったら東京都にいく。
その時には、どんどんエスカレーションするということがあるので、それを抑えるという意味で非常に重要だという事で、裏でしっかり、なぜ東京都でなくて日本政府なのか、ということを向こう側に説明する必要があると思っています」

山口
「なるほど。確かに国民からしても、なぜ都が沖縄の島を買わなければいけないのかと、ちょっとなかなか説明しずらいところがありますよね。
さきほど、この毎日新聞を読んでいたら、金子さん、これに対して中国側の反応というのが、要するに日本の独り事だと。
ようするに、人の土地を勝手に売買している話だから、関係ないじゃないかみたいな言い方をしていて、なんとなくもっと痛烈な非難をするのかとおもったら意外とそうでもないなという印象なんですけども、
このへん、どうなんでしょうか?」

金子秀敏氏
「これ、外務副大臣と中国の 戴秉国という外交担当の国務委員が非常に3時間、色んな事を話してますよね。
ですから、基本はこの尖閣の処理だと思うんですけれども、ここでお互いにこれ以上突っつきあいをしないと。
特に、中国が疑っているのは、石原さんと野田さんがなにか組んで更にこれを使ってなにかするんじゃないかという事を非常に気にしているんだと思うんですよね。
そこも、双方意思がなくて、これはなるべくトーンダウンさせるんだというふうな説明をしたのではないかなと私は考えてますね」

山口
「比較的、冷静な反応ではありますよね」

金子
「そうですね。中国側の唐家璇という中国協会の会長から、三つの条件とか、要するにいくつか事態を鎮静化させるための条件が提示されて、それに事実上の足並みをそろえるような形ですっと下げてますから、
これは双方がヒートアップの段階から下げる段階へ入ることで合意しているはずですよね。
この合意というのはやっぱり外務省のルートなんかを使わないとできないことですから、今のところ順調にいっているんだと思います」

山口
「分かりました。本題に入る前にひとつこのVTRをちょっとご覧いただきたいと思います」
<VTR始め>

―――アメリカ国務省記者会見
記者質問『アメリカ合衆国における尖閣諸島の公式な名称はなんでしょうか?魚釣島ですか?尖閣諸島ですか?それとも両方ですか?』

ビクトリア・ヌーランド報道官『我々はその島を『Senkaku’s(尖閣諸島)』と呼んでいます』その島々に関して、特定の立場はとっていません』

同記者『特定の立場を取らない(中立だ)と言いますが、一方で、島々は日本と合衆国との間に結ばれている条約の適用範囲にあるわけですよね』

ヌーランド報道官『一貫していっているように、この島は1960年に締結された日米安保条約第5条の適用範囲です』

同記者『それは矛盾ではありませんか。相いれないのでは。『島の主権に関しては見解はない』と話す一方で、日本の領土を守る条約の適用範囲だと言いました』

ヌーランド報道官『尖閣諸島は1972年に沖縄が返還されて以来、日本政府の管轄下にあります』

同記者「質問を変えます。その島は日本の領土ですか?」

ヌーランド報道官『繰り返します。その島々に対して特定の立場はとりませんが、日米安保条約は適用されます』

同記者『それで、これらの島が管理の下にある・・・』

ヌーランド報道官『質問に答えたと思います。はい、次の方・・・』

<VTR終わり>
山口
「執拗に食い下がって聞いていたのが、中国の新華社通信の記者だと思うんですけれども、あの人にぜひ孫崎さんの本を読んで頂ければな、と思うんですけれども、
アメリカの態度というのは基本的に、これまでのスタンスを再確認したというふうに捉えるんですけども、
今の会見、ポイントはどこでしょうか?」

孫崎
「基本的には、今ご指摘の通り、二つのポイントがあるわけですよね。
それは、領有権に関してはアメリカは中立の立場をとる。
それから、尖閣諸島は日本の管轄なので、安保条約第5条の対象になると」

山口
「範囲内にあるということですね」

孫崎
「わたくしが日本の方に注目してほしいのは、これは、安保条約の対象になるという事はこれまでも何回も聞いていると思いますけれども、
米国は領有権の問題についてはどちら側にもつかないという態度にあるという事は、我々は充分に理解しておいた方がいいと思っています」

山口
「どちらの領土でもないというのがアメリカのスタンス。ただ、今は日本が実効支配しているので、日米安保条約の範囲内にあるということですね。
そこで孫崎さんにお伺いしたいんですけれども、そういう話になると、大抵、日本人は、じゃああそこで中国が攻めてきたら、アメリカが出ていってくれるんじゃないかと。
アメリカが守ってくれるんじゃないかと、たぶん、ほぼ大多数の日本人は思っていると思うんですけれども、実はそうじゃないんですよね」

孫崎
「私は、条約上の義務と、それから現実の軍事バランスと、この両方の面からいって、米国は出てこないと思っています」

山口
「なるほど。それは条約上、どういう事が書いてあるんですか?」

孫崎
「条約上は、まず今、安保第5条で、日本の管轄であれば、米国は自分の国の憲法に従って出ると、こう言っているわけですよね。
まず、憲法に従って、というところから行きますと、NATOにも同じような条約があるんです。NATOのほうは、誰かが攻めてきたら、直ちに軍事を含めて行動するということを言っているんですね。
そうすると、条約上の観点で、憲法に従って、ということは交戦権は議会にありますから」

山口
「そうですね。アメリカの場合」

孫崎
「はい、アメリカの場合。最終的には我々は議会に諮って行動を決めるということまで合意しているわけですよね」

山口
「つまり、すぐには行けないわけですね」

孫崎
「はい。それからもうひとつ、重要なポイントは、実は2005年に、日米間のあいだで、日米同盟~未来のための変革と再編、という文書、非常に重要な文書があるんですけども、
ここで基本的に、日米共同ですること、それから日本独自がすること、ということがありまして、
日本独自では、島嶼部、島々が守るということを言っているんです」

山口
「日本が守れと」

孫崎
「そうです。そうするとどうなるか。中国が攻めてきたときに、守り切れればこれはいいんですね。
中国が攻めてきて、自衛隊が対応して守りきれないという事態になったらどうなるか。
それは、管轄が中国に移るわけですね。
そうすると、これはアーミテージが自分の本の中で、日米同盟VS中国、北朝鮮、という本の中に、もしも日本が守りきれなければ管轄地は中国のほうにいくので、アメリカは出てこないという事を、彼自身が書いているんですよね」

山口
「今は、日本が管轄しているから安保条約の範囲だけれども、もしそういう軍事的に中国のあの島をとられてしまったら、今度は中国の管轄に移ってしまうので、すごく平たく言うと、アメリカは関係ないよ、ということになっちゃうわけですね」

孫崎
「それで、非常に重要なポイントは、これは岡田外務大臣等の方々に記者が質問されているんですけれども、
一番最初にアメリカが出てくるか?一番最初に自衛隊が守ることでいいんですか?ということを言ったときに、民主党の外務大臣が2人ぐらいみんな、一番最初は日本側が守るんだと、こういうことを言っているんですよね。
だから守りきれなかった時には、さきほどのような事態になってくる。
一番最初から米国が出てくるという事は想定されていない」

山口
「金子さん、普通の人はたぶん、自衛隊と米軍が協力して、なにか取り返しに行ってくれるとか、なにか守ってくれるというようなイメージを持ってますよね」

金子
「でも、最近でもアメリカの高官の発言で、日本はよくそこを理解して下さいと。まず、最初に遣るのは日本ですよと。そう言ってますよね。
ですから、逆に言うと、トラブルは起こしてほしくないということでもあるんだと思うんですね」

山口
「なるほどね。それと、もう一本、実はこれBS11で一度とりあげたんですけども、このVTRをご覧ください」
<VTR始め>

李登輝元台湾総統
『アメリカ・クリントン国務長官ははっきりと、こう言っている『尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲である』バーンズ国務省長官もはっきりと言っている『尖閣諸島は日本の領土だ』と。
このようなことから、中国もアメリカの腹が見えてきて手出しができなくなってきている。
中国としても軍事力をこれ以上増強することは中米関係に良くないという事が分かったのではないか』

<VTR終わり>
山口
「これは台湾の総統だった李登輝さんのインタビューなんですけれども、
今まさに尖閣諸島について、日本側は、あれは沖縄の一部であるということで日本の領土であるという事を主張して、実際に支配しているわけですけれども、
それに対して中国は、あれは台湾の一部なんだということを言っていて、その台湾の総統だった李登輝さんが、あれは日本のものだと言っているように聞こえたんですけど、
金子さん、それでいいんですかね?」

金子
「台湾の総統と言うとちょっと。中華民国の総統ですよね。
ですから、中華民国と中華人民共和国はこの問題については全く同じ立場をとるんですが、李登輝さんは、これまでのいきさつを色々、戦前の日本の領土だったということもご存じですから、これは今の中華民国の主張とは違うということを言っている数少ない方なんですね。台湾では」

山口
「つまり台湾の中でもやっぱり意見が割れているということなんですかね?」

金子
「言われているけども、大多数は台湾のものだという意見が多いです。
なぜかと言うと、そこは元々、台湾の人の漁場だったんですね。
日本の統治下でも、台湾の人はそこで漁をしていたのに、なぜ最近追い出されるんだという地元の漁民の人がしょっちゅう腐った魚を持って日本の代表所に、投げに行きますよね」

山口
「なるほどね。金子さんは中国の専門家なのでもうちょっとお聞きしたいんですけど、今の馬英九さんというのは、実はこの尖閣諸島について論文がある方なんですね」

金子
「そうですね。博士論文を書かれて、ですから中国で、あるいは台湾でこの尖閣列島がそもそも問題になるのは1972年ですね。沖縄返還ですね。
さきほどのアメリカの報道官も言ってましたけど、1972年以来日本の管轄下に入ったと。
だけど、それ以前は日本の管轄下じゃなかったんですよね。それはアメリカが管轄していた。
更にそれ以前は、日本の領土だと、そういう変遷を経るわけですけども、
中国側の主張というのは、下関条約、日清戦争で日本から台湾を奪われたと。だけども、それがポツダム宣言で日本がそれを放棄したんだと。
放棄したときに、それを日本から中華民国に返還されているはずだと。
そのときには、実は琉球も含めて返還されているという認識を持っていたんですよね。
それがだからそのあと、朝鮮戦争を経て、アメリカがその線を変えたというふうに理解をしているんじゃないですか。
それが納得できないと。そういう意味では、中国と台湾と、立場は、李登輝さんは違いますけども、同じですよね、今」

山口
「ところで、台湾の中でも実はそうなんじゃないんじゃないかみたいな話をちょっとこれホームページですかね。台湾の人が作っている」

金子
「そうです。台湾の人の、その本人にちょっと聞いてもらったんですけども、調べてもらったんですけども、ちょっと自分は出たくないと。
彼はやっぱり少数派ですから、自分が何者であるかということも、表に出てしゃべりたくないということで、詳しい話は聞けなかったんですけども、そういうふうに資料を」

山口
「ずいぶん古い昔からの資料ですよね」

金子
「そうです。それを調べてみると、中国は昔から自分達の領土だと言っているけども、それは双方にそれぞれのデータがあって、だけど日本の主張というのも、むしろ正しいという意見が、台湾でも議論すれば出てくるんですよね。
全てがみんな俺のものだと言っているわけではない。
ですから、こういう領土問題というのは、さまざまな資料もあり、その議論もあり、それを積み重ねると、噛み合うところもあるんですよね」

山口
「なるほどね。孫崎さん、今の視点ってすごく大事だと思うんですけれども、要するに日本には日本の主張がある。
中国には中国の主張がある。それぞれ全く根拠のない話ではないということですよね」

孫崎
「そうですよね。だから、日本の人に理解してほしいのは、米国は我々の同盟国ですよね。基本的にはどちらかというと、日本の立場を支持するのが米国ですよね。
その米国ですら、この領有権問題については、日本側の立場も中国側の立場にもつかないということですから、これは国際的に見ると、係争地であるという認識を持って、お互いに、これは俺のものだ、俺のものだと言っているなかで、いかに日本の立場を強くするか、ということを考える必要があるんじゃないでしょうか」

山口
「ところが今の日本は、尖閣には領土問題はないという立場をとっているという事で、更に詳しいお話をCMのあとにお送りいたします」
<CM>
山口
「今夜は、尖閣、竹島、日本の領土問題を考える、ということでお送りしております。ゲストは作家で元外務省国際情報局長の孫崎享さんです。解説はお馴染み、毎日新聞論説委員の金子秀敏さんです。よろしくお願いいたします。
孫崎さん、尖閣の話なんですけども、今日本は、尖閣には領土問題はないというスタンスなんですけども、これはどうしてこういうふうな言い方なんでしょうね」

孫崎
「領土問題は尖閣だけじゃなくて、竹島も、北方領土も実はあんまり史実に基づいて、こうなっているということを言わないんですよね。
もう少し、原点をしっかり出して、実際はこうなっているんだと。
だから、その中で事実関係を踏まえながら、日本の最善の選択肢をしていくと、こういう態度を今までやってないんですよね。どの問題も。

だからもう少し、多くの国民が事実がいったい何なのか。歴史的なものが何なのか。
それを見て判断してほしいと思っています」

山口
「とくにやっぱり日本側の主張というのはあらゆる機会で少しずつ触れたりすることができるんですけども、それに対して相手がどういう反論を持っているかという部分も知らなければ、逆に言うと、議論にならないですよね」

孫崎
「はい。私、時々講演をするんですよね。例えば、我々は個人レベルで喧嘩をするという時に相手の言い分を知らないで喧嘩をする人はいないわけですよね。
ところが、この領土問題について、中国の主張はどういう事ですかという事を聞くと、200人いても2人ぐらいしか知らないんですよね。
だからもう少し、それを何も全面的に受け入れるということじゃなくて、向こうは何を言っているかという事は勉強しておく必要があると思っています」

山口
「そうですよね。そうじゃないと、論争にならないですからね」

金子
「同じことが中国人にも言えると。あるいは韓国人にも言えると思うんですけど、韓国は割合と自分達のものだという事をしょっちゅう色んな事をやってますけども、
中国人が、なぜ尖閣列島という島が、釣魚島と言いますけども、それが中国のものだということについておそらく言える人は本当に少ないと思いますよ。あれは台湾問題の一部なんですよ。
それは、僕は経験があるんですが、十何年前に中国の北京に駐在していたときに、中国共産党の中央委員ですら、中国の主張の根拠が台湾省の一部であるから、よって自分の領土だという事を知らなかったんです。
私は、尖閣列島は台湾の一部ですから、と言ったら、突然怒り出して、君、何を言うんだと言うわけですよ。みんな、びっくりして、あの人を怒らせたら怖いよと。
だけど私は、中国の尖閣の主張を言っているだけだと言ったら、しばらくしたら秘書が横からそっと来て、急に、釣魚島は台湾省の一部であると、知らんぷりして直しましたけどね。
だから、中国人ですら知らない人が多いですよ」

山口
「まず知るというのは大事ですよね。確かに自分達の国の主張の根拠だってたぶん知らない人が多いでしょうし、ましてや相手が何を言っているかなんてなかなか分からないですよね。
それで、孫崎さんの本を色々読んで、さっき目から鱗という話がたくさんあって、日米安保条約が実はそうだったんだというのも初めて知ってすごく驚いたんですけども、
よく最近、地上波のテレビとか見ていると、政治家の方々が出てきて、非常に安易にペケペケは日本の固有の領土だから。尖閣諸島は日本の固有の領土だから。竹島も固有の領土だから、という言葉を使いますけども、固有と言っていいのかどうか、ちょっと疑問」

孫崎
「特に、尖閣諸島ですよね。尖閣諸島が日本のものになったのは1895年ですよね。
しかし、例えば田舎で自分達の田畑があると。我々は先祖代々だと。で、先祖代々というのはだいたい江戸時代ぐらいまでいくんですよね」

山口
「すくなくともね」

孫崎
「そうすると、1895年のものを、そこで日本のものにしたものを、これを固有というと、歴史的な事実関係から目を閉ざすことになる。
だから、やっぱり固有ということじゃなくて、1895年に日本のものとした」

山口
「編入したと。色々ないきさつがあって」

孫崎
「そういうようなことを正確に説明していく必要があると思います」

山口
「そうですよね。言ってしまえば元々は無人島なわけですから、誰のものでもなかったかもしれないし、それが本当に無人島だったのか、誰のものでもなかったのかというところの争いが一つあるのと、
それから編入というか、自分達の領土にしたときのいきさつ、手続き上、問題はなかったのか、
その2点があるわけですね。
そのいきさつをまず知らないとという事で、そういうふうに考えると、固有って太古の昔から日本だったかどうかって分からないですもんね。分かりました。
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 日本の国境問題:孫崎(2)へ続く。
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 日本の国境問題:孫崎(1)から続く。 
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山口
 「それと、ちょっと話はずれて、尖閣と並んで最近竹島に関しても、李明博大統領が行ったことで、これも非常にホットな話題になってしまっているんですけども、
やはり地上波のテレビなんかを見ていると、尖閣と竹島をなんか一緒くたに論じられているような印象があるんですけれども、
孫崎さんの本を読むと、これは明確に分けて考えるべきだとおっしゃっていますよね」

孫崎
「特に、竹島については、実は日本に非常に有利な立場をアメリカが1951年に出しているんですよね。
それはどういう事かというと、サンフランシスコ条約でいくつか日本は島を放棄しましたよね。千島を含めて。韓国側はそのなかに入れてくれと言ったんですよね。放棄する中に。
そしたら米国側は、ラスクが韓国の大使に対して、過去の歴史をずっと調べてみると、今まで竹島が一度も韓国のものになったのではない、ということで、これは日本のものですよ、という手紙を韓国に出しているんですよね。
だから、そういう意味では、米国は日本の立場を支持していた。
だから、その立場をずっと維持してもらうように働きかけなきゃいけなかった」

山口
「アメリカに対しての外交ということですね」

孫崎
「ところが、これを怠っている。
他方、韓国側は非常に熱心にやって、それでブッシュ大統領のときに、地名委員会というアメリカ連邦政府の非常に重要な機関なんですけども、ここが韓国領、地名を独島にしたんですよね。
そういうようなことですから、やっぱりこれはポツダム宣言の時に、日本の領土は本州。四国、九州、北海道、その他の島々は連合国側が決めるものということにしてますから」

山口
「そのポツダム宣言の中に、ここですね。『吾等ノ決定スル諸小島二局限セラルベシ』、ということが書いてあるわけですね」

孫崎
「ということですから」

山口
「この『吾等』というのは」

孫崎
「連合国側ですね。だからそういう意味では、日本の島、日本の領土がどこまで日本のものであるかという事については連合国側、特にアメリカの意向というのが非常に大きな役割を果たしている。
そうすると、米国に対してずっと一貫して、竹島は、あなたたちが51年に日本のものと言いましたね、と。
その立場を続けてくださいね、
ということを本当はやらなきゃいけなかったけれども、いつの間にか外交的には韓国のほうが上になってしまったと」

山口
「ちょっと待って下さい。今の孫崎さんのお話は、つまりアメリカは元々、竹島は日本のものだと言ってくれていたのに、日本が外交を怠ったばかりに、韓国が頑張って巻き返してしまって、今や地名委員会と言いましたっけ、ほぼアメリカ政府ということですよね。
アメリカは今は、竹島は韓国領だと認めているということになるんですね」

孫崎
「そうですね。この時に非常に重要なことは、実はこれは2008年に起こったんですけれども、ブッシュ大統領が韓国に行く前に。
それで新聞記者がその時の官房長官の町村さんに対して、これは日本側の立場はどういうことですか?と聞いたときに、町村さんは、アメリカには色々な機関がある。ひとつひとつの問題について、我々は対応しないという事を言ったんですね。
だけど、ここは本当は毅然として、実はあなたたちはおかしいじゃないか、ということを米国にしっかりもの申さなきゃいかんかった」

山口
「逆に言うと、絶好の主張のポイントだったかもしれないですね」

金子
「ひとつだけ、この中国に返還とありますよね。これは、台湾の立場であって、日本はこれは取ってないんです。
これは、日本は放棄したと言うだけなんです。アメリカもそうなんです。
ですから、じゃあ今台湾ってどこのものというと、地位が未定なんです。
ですから、そこが今中国と、あるいは台湾と揉めている最大のポイントなんです。
これは、中国に返還されたというふうに馬英九さんは言っている。だけども、実はアメリカは、台湾、澎湖諸島の地位は未定であると。
中国の領土であると言っていることは理解するとしているけども、これは決まってないと言っているんです」

山口
「なるほどね。金子さん、今の孫崎さんのお話、竹島の話なんですけども、一方で実は李明博大統領が竹島に行ったのは、ひとつは内政的な問題、自分の支持率アップ狙いじゃないかということが言われているんですけれども、その辺は金子さんはどのようにご覧になりますか?」

金子
「私もそう思いますけども、尖閣、竹島、両方含めて、選挙が近いと、どうしても問題が大きくなってしまうという要素があると思うんですよね。
それともうひとつ、それだけではないのは、この竹島というのは日本から真ん中ですよね。最近、韓国は済州島に海軍基地を作って、この対馬海峡のコントロールという事を非常に関心を持ち始めていますよね。
なぜかというと、北極海航路というのが本当にできると、中国の船もここを通ってヨーロッパに行くようになりますよね。
ですから、軍事的な意味がおそらく過去に比べて、飛躍的に高くなっているんじゃないですか。ここを押さえて、ここを押さえると、対馬海峡は、これがマラッカ海峡だとするともう韓国が押さえることになりますよね。
というのは、EZだと、日本はここまでですからね、日本の領土はね。
了解はこうなりますから、だから、更に対馬も韓国の領土だと言い始めてますよね。そういう人たちがいますけどね。
ですから、ここの対馬海峡の軍事的な位置の向上というのが、これから両国の領土交渉をうんと難しくしてくるんじゃないかと思うんですけどね」

山口
「それと、私たちとしては、今回の李明博大統領の行動が、李明博大統領のある種のアクロバティックな行動なのか、あるいは韓国の次期政権にそういうことが受け継がれていくのかというところをちょっと冷静に見ないといけないですよね」

金子
「次の政権というのは、李明博さんよりもっとあげないと批判されますよね。ですから、そこが困ったことなんですよね」

山口
「なるほどね。孫崎さん、いま日本はこの竹島についての問題は国際司法裁判所に提訴するという形で解決してはどうかという事を主張して、韓国はそれに乗って来ないんですけれども、
この手法についてはどのようにご覧になっていますか?」

孫崎
「私は基本的に国際司法裁判所に持っていくという姿勢は評価するんです。
なぜかと言いますと、長期的には、いかに公平で中立的なものが解決をするという形に持っていくことがいいし、両方で、これは俺のもの、俺のものだというと、どこかで衝突が起こる可能性があるわけですよね。
だから、そういう事では、第三者を出来るだけ巻き込む。
韓国は確かに応じてません。だから、これが国際司法裁判所で審議されるという事はありません。
だけども、これを言い続けることは、日本側が、我々の主張が正しいんだという事をある意味で韓国国民にも訴える事が出来るし、あるいは国際社会にも訴えることができる。
そういう意味では、これからもずっとこの努力を続けていったらいいと思います」

山口「なるほどね。分かりました。ちょっといったんCMを挟んで、また続きをやりたいと思います」

<CM>

山口
「今夜は尖閣、竹島、日本の国境問題を考えるというテーマで、作家で元国際情報局長の孫崎享さんをゲストにお迎えしてお送りしております。
孫崎さん、この問題はどうやって解決していくべきかというお話をちょっと追々伺っていきたいと思うんですけども、
ちょっとその前に、今回の尖閣諸島に、香港の活動家が上陸して、日本の海上保安庁と沖縄県警が対応したということなんですけども、
孫崎さんのこのご本の中では、2010年の菅内閣の対応について、どちらかというと批判的に、非常に問題が多かったというふうことをお書きになっていますけども、
その菅内閣の対応の問題点と今回の対応はどうだったのかというところをちょっと解説して頂けますか?」

孫崎
「はい。今回、さきほど金子さんがおっしゃられたように、これを日本政府も中国政府も、紛争を出来るだけしないような形でお互いに理解するという事を優先したと思います。
そういうことでは、だいたい終局、うまくいっているんじゃないかと、こう思いますね。今回は。
私は、前回の問題は、実は日本の多くの国民が必ずしも理解されていない点なんですけども、この尖閣諸島の問題の非常に大きなことは、両方が主張しているなかで、いかに紛争にしないように努力するかということなんですね。
そうすると、日中の間に、日中漁業協定というのがあるんです。
この漁業協定は何を言っているかというと、相手の国が仮に違反した、その時にどう対応するかというんですけども、これは船には直接触らないで、船にはとにかくその領域から出ていってくれという事を言う。
そして、その処理についてはもしも問題があったら日中の間で合意すると。だからいきなり、船に公権力がいくと、これは向こうも激昂するんですよね。

例えば、韓国と中国の漁船の問題で死者が出たようなことがありました。
そういうような不祥事が出ると、いきなり中国と日本の間でおかしくなってきますから、違反があった時にも、それは日本の公権力が出る形を取らないで、向こうの公権力にやってもらう。
そして、その間で、もし解決がつかないとすれば、真剣な協議をやればいいんで、その手続きを経ないで、日本の公権力がいきなり、捕まえようとする。
すると、向こうは暴れる。
だから、実際に暴れて船にぶつかったということだと思うので、私はとにかく漁業の問題は。日中漁業協定の精神、できるだけ相手の国には、間違っていたら、やめなさい、そしてここから出ていきなさいという。
そしてその処理について問題があれば、日中の間で協議をすると。この立場はこれからも取っていった方がいいと思います」

山口
「ただ、あのときの菅内閣のスタンスとしては、日本の国内法で粛々と処理をすると言って、当初はかなり強気の姿勢というか、攻撃的というか、逮捕して起訴も辞さないぞというような姿勢だったんですけども、
途中で腰砕けになってしまったと。その、国内法で粛々と処理をするという言い方は非常に問題がある」

孫崎
「そうだと思います。長期になれば、これは考えて頂ければいいんですけれども、中国側が言っていることが正しいか、どこまで根拠があるかというのは問題なんですけども、一応、中国側もこれは自分の領土だと言っているわけです」

山口
「主張しているわけですよね」

孫崎
「そうすると、ある時期から中国は自分の国内法で粛々とやるという道もあるんですよね。
日本は、国内法で粛々とやると。しかし、中国がじゃあ、俺は自分の領土だと言っているんだから、国内法で粛々とやるといったら、これはかなりぶつかるんですよね。
それを避けるという知恵が私は必要なんじゃないかと」

山口
「つまり、日本側は日本の領土だと主張している。中国側は中国の領土だと主張している。そういうなかで、日本が、あそこは日本の領土だから、日本の国内法で粛々とやるという事を主張し出すと、中国も、あそこは中国なんだからうちの法律でやるぞと言われかねないということですよね」

孫崎
「そうです」

金子
「中国は、相手がやったことと同じことをやるんですよ。
例えば、今回、東京都が買うと言いましたよね。それのつい最近ですけども、中国が何をやったかというと、南シナ海のほうにある島を南沙市の一部にしましたよね。ですから、日本がこの島を買って東京都のものにするなら、同じことをやるわけです。
で、同じ間合いを取ろうとするんですよね。ですから、一歩出ると、逆に上にあげてしまうんですよね。
だからそれを長い時間かけて、公権力をいつだか島に上陸した人を捕まえますよね。
捕まえても、これは強制送還は法の執行じゃないと説明するわけですよね。実は法の執行なんだけども、起訴してないから。
そうすると、中国も起訴しなければ、そこで引くという約束を作ったんですよ。

ただ、前原さんが起訴へ持っていけ、持っていけとあげましたよね。
そうすると、向こうもじゃあ、同じことをせざるをえなくなる。そうすると、向こうで、中国にいた日本人を捕まえましたよね。これを起訴するぞということになりますよね。
ですから、両方が引けなくなるので、引ける余裕を作っておかなければいけない。
それは、戦争したり、対決するメリットはどっちにもないわけですからね。
それが分かっている人たちは良いですけれども、政権交代の直後で、カッカした人たちがいて、ポイントをとろうとしたんじゃないかと思うんですけどね」

山口
「なるほどね。もうひとつ、孫崎さんの本を読んで分かったというか、感じたことなんですけども、さきほどの、出来るだけ問題が、争いが起きないようにと、そこでつまり例の棚上げ論といういうのがあるじゃないですか。
その棚上げ論についても、当時の2010年の段階での菅政権は、棚上げはなかったという事を言っているんですね。このへん、実際はどうなんでしょう?」

孫崎
「実際は、一番明確に言ったのは鄧小平が園田外務大臣に言ったわけですね。
で、園田外務大臣はその時に鄧小平の発言に対して、自分は相手に抱きつかんばかりに喜んだ、というようなところがありますから、言葉は別にして、その場の雰囲気からいって、もう日本側が認めたことが間違いないんですね。
これが歴史的な事実」

山口
「それで、多くの日本の人はそこを誤解していると思うんですけども、僕も本を読んで、なるほど、と思ったんですけど、つまり棚上げというと、なんか本当に棚上げな感じなんですけども、
棚上げという事はつまり日本の実効支配を認めるということなんですよね」

孫崎
「そうなんです。わたしはこれで三つ日本に有利なことがあると思うんです。
その三つは、一つはおっしゃったように両方が俺のもの、俺のものと言っている中で、これは日本の実効支配を中国側が認めたということなんですよね。これが一番大きいところです」

山口
「つまり現状を追認したということですもんね」

孫崎
「例えば、日本は竹島は何も向うの実効支配を認めてません。北方領土も認めてません。
しかし、この問題は中国側が基本的には実効支配を日本のものを認めているんですね。これがひとつ。
それから二つ目に、棚上げというのは武力で以って変更するという事をしないという事。
三番目に、実効支配を長く続ければ続けるほど、法律的に自分のものになる、領有権の立場が強くなっていくんですよね。
だから、この棚上げというのは実は日本に有利であって、中国側には必ずしも有利ではない」

山口
「でも、その当時は中国としては棚上げをしてでも日本との関係をよくしたいという、そこは損得勘定みたいなのがあるわけですよね」

金子
「その当時のビデオが残ってますけど、園田外相は鄧小平に抱きついてますよね。歓迎の時に、チューチューしてますよね。
普通、日本人はそんなことしませんけどね。だけど、鄧小平とハグするという、そのぐらい良かったと思っているわけですよ。
ただし、鄧小平の言葉というのは、まず主権は我にありと。そのあとで、その争いは棚上げにすると。
だから、主権を捨てたわけじゃないけど、そこに着目すると中国は全然主権を、問題を解決してないと言っているけれども」

山口
「妥協してないじゃないかと」

金子
「だけど、後ろのほうをとればいいわけですよね。その最後に、共同開発しようと。
だからもし、それが役に立つものなら両方で分けようと言っているだけの話で、それはその中で、主権われにあり、と言っても、相手の開発することを認めるわけですからね。
だからそこに譲歩があるのに、それを詰めちゃったらダメなんですよね」

山口
「そうですね。そこのところを領土問題というとついこちらも感情的になったり、ナショナリズムに鼓舞されたりして、棚上げという言葉を聞くと何となく、本当は我々の領土なのに棚上げというのは弱腰じゃないかという、まさに領土問題って弱腰という言葉が付いて回るんですよね。
孫崎さん、そういう意味で言うと、こういう領土に関する問題というのはどういう形で解決していく糸口はどこにあるんでしょうか?」

孫崎
「基本的には、出来るだけ、さきほどのように国際機関へ持っていくとか」

山口
「当事者同士じゃなかなか難しいですよね」

孫崎
「例えば、南極条約というのがあるんですけれども、これも、俺が、俺がと言っているとあそこで難局を巡って戦争になると。
だけど、これを一応、みんな領有権の問題はさておいて、それでお互いに協力しましょうということですから、難しい問題を横に置くというのは、これはある意味で積極的な外交なんですよね」

山口
「なるほどね。そのなかで、お互いにメリットのあること、利益になることを追及していくということですよね。ヨーロッパなんかだとどういう考え方で」

孫崎
「それは非常に、ヨーロッパは、例えばドイツ。ストラスブルグというのは、かつてはドイツ領なんですよね。ところがフランスが維持していることについては戦後ドイツは何も言わない。
しかし、今ストラスブルグのあの辺というのは仏・独両方が入り乱れてるんですよね。
通勤してくる人もいる、というようなことですから、領土問題の重要性というのは、実は両国関係が非常に緊密になってくると、それはかなり重要度が落ちてくるんですよね」

山口
「なるほど。つまり、誰が持っていてもいいじゃないかと。それよりも、そこから上がってくるメリットをお互いに分けようよみたいな話で」

孫崎
「昔だったら、日本の江戸時代だったら、藩と藩の境界線というのは重要ですけど、今、東京都と埼玉県の境界がどこであっても一緒ですからね」

山口
「それからあと、交渉相手も必ずしも一枚岩じゃないということですよね。さきほどの棚上げ論でいうと、これもご本で読んで知ったことなんですけど、つまり棚上げを日本が否定すると中国の軍部が喜ぶという話ですね」

孫崎
「本当です」

山口
「それは要するに、軍にとっては争いがあった方が自分たちの存在価値が高まる。ところが政権の中枢は、そうじゃないだろと。
仲良くしたいというふうに言っていて対立がある場合もあるということですよね。金子さん、なかなか難しいですね」

金子
「ひとこと言うと、鄧小平路線、棚上げ路線と、反鄧小平路線というのは昔からあるんですよね。
ですから、それを中国の中の権力闘争、そこを気を付けないと危ないですよ」

山口
「そうですね。とにかく僕は今回、よくわかったのはまず勉強することだということですね。どうも有難うございました」

孫崎
「恐縮です」
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 2010年以来の尖閣(釣魚)事件と領土問題、米中関係と日米関係に関連するページ。

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