フランスの病院で過剰被曝448名、7名死亡
2012-09-27

医療行為ということで放射線に慣れ、ともすると非常に危険なものであることを意識しなくなり、そこに不注意が重なることで、重大な事故となる。
日本でも、どこの国でも起こりうることだ。実際に起っているかも知れないことだ。
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フランス史上最悪の医療被曝事故:放射線治療で7名死亡、448名が過剰被曝/ルモンド紙(9月25日)&フランス国際放送(9月24日) 9/26 翻訳「フランスねこのNews Watching」から
フランス史上最悪の放射線治療による過剰被曝事故は、フランス東部に位置するヴォージュ県立エピナル病院にて2001年から2006年の間に起きていた。
被害者は前立腺癌の治療のために放射線治療を受けた448名で、うち7名については過剰被曝による死亡が調査で確定している。
「説明」と「公正な司法判断」を求める犠牲者とその家族ら104名はしかし、9月24日パリの法廷で更に待たねばならなかった。
判決は今後10月31日にかけて言い渡される予定。
被告席に立つのは、2名の放射線医と1名の放射線技師(過失致死、過失傷害、証拠隠滅、救助義務違反にかかる容疑)、および当時の病院長だったドミニーク・カペリー医師、ヴォージュ県の医療・社会保障局局長だったフランチェット・メイナール氏、ロレーヌ地域入院機構のジャック・サンズ元部長ら(それぞれ、救助義務違反にかかる容疑)。
裁判にこの日姿を見せた原告らは、「なぜ(治療を受けに病院へやってきたはずの)病人たちが(過剰被曝の)被害者にされたのか」という問いがやっと解明されることを期待してやってきた。
被告らには最長5年の懲役刑が想定されている。
今回の事故の原因は新たな放射線治療の技術導入に伴うコンピューター機器の変数設定や患者の総体被曝線量を計算する際に起きたミスと確認されている。
重い健康被害により裁判所に直接赴くことができなかった患者たちには、全ての裁判を見ることができるよう特別にビデオが準備された。
(抜粋、一部編集)
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下記に関連ページ。
乱用されている医療放射線機器
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双葉町1,590uSv/h、恐るべき初期被曝量
2012-09-27
福島・双葉町で放射線量最大 原発敷地外、事故翌日に 9/21 共同
福島県は21日、東京電力福島第1原発事故が起きた昨年3月11日から3月31日までの、放射性物質の飛散状況をモニタリングポストで観測した結果を公表した。
空間放射線量の最大値は、原発から北西に約5・6キロの双葉町上羽鳥で、12日午後3時に毎時1590マイクロシーベルトを記録した。
県によると、原発の敷地外ではこれまでで最も高い。一般の人の被ばく線量限度は年間1ミリシーベルト(千マイクロシーベルト)で、これを1時間で超える数値。
事故の状況が悪化する中、1号機では12日午前に格納容器の圧力を下げるための蒸気排出(ベント)作業を開始。午後2時半ごろ、格納容器の圧力が低下し、午後3時36分ごろ水素爆発した。
1590マイクロシーベルトを記録したのは爆発の前で、県は「爆発の前から放射性物質が漏れ出していたと考えられ、風向きが影響した可能性がある」としている。
福島県は原発周辺25カ所のモニタリングポストについて、震災や津波で通信回線が途絶えたり、電源喪失したりした箇所があったため、データの回収を進めていた。
ーーーーーーーーーーーー
木造住宅の場合は野外も室内も大きな差がないとみて、×24h=38,160uSv/日。
近隣も、また平均値も恐るべき放射線量となっている。県の発表値。の2ページめ。
12日午後3時はすでにメルトダウンして、水をくぐらせるベントに失敗したため、ドライベントにより猛烈な放射性物質を放出していたことになる。爆発の直前である。
現在、早くも子どもの半分に甲状腺異常が表れているのは、この驚くべき量の放射線量、放射性物質である。
一年半も経ってから発表すると言う、許せない悪意である。
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小出裕章氏:ベント前のモニタリングポスト1590uSvについて 9/26 たね蒔ジャーナル 書き起こし「ぼちぼちいこか」から
(水野氏)東京には近藤さんです。
小出先生、たね蒔きジャーナルで小出先生に私が質問させていただきますのは、今日が最後となります。
これまで本当にありがとうございました。
(小出氏)こちらこそ、長い間本当にありがとうございました。
(水野氏)ありがとうございます。そして、今やっぱり思い出しますのは、3.11の直後のことです。ほかの専門家や国が「ただちに影響はない」とか「大丈夫」とかいう言葉を言っているときに、小出さんは、
「1メートルでも風上に逃げてください」
と言っていらっしゃいました。
あの3月14日からずーっと小出先生の言葉を皆さんにお届けした、緊張した日々が思い出されるんですが、小出先生は今どんな思いで当時を思い出されますか?
(小出氏)当時は大変事故がドラスチック(劇的)に進行している時に、大変残念なことに、この日本という国では正確な情報が流れない・・・期間が続きました。そんな時に、私の発言をたね蒔きジャーナルが拾ってくださって、大変ありがたく思いましたし、なんとか少しでも被曝を少なくしたいと思う一念で時が過ぎていきました。
残念なことに、未だに事故は収束していませんし、汚染地帯に人々は取り残されてしまっているわけで、なんとかしたいと思いますけれども、自分の非力をずーっと毎日のように感じています。
(水野氏)あの、そうした中でですね、今日放射能汚染について、注目するべき数字が出ているというお話をお伝えしたいと思います。
原発事故のあった去年3月11日から31日まで、放射性物質がどれだけ大気中に飛び散ったか、福島県がモニタリングポストで観測した結果を公表しました。
最大の数値が、事故の翌日です。つまり去年の3月12日です。場所は、原発から北西におよそ5.6㎞、双葉町の上羽鳥というところです。
その放射線量なんですが、小出さん。1時間あたり1590マイクロシーベルトという数字が発表されました。
これは、原発の敷地以外でこれまでで最も高い数字だと福島県は言ってますけれども、この1590マイクロシーベルトの意味を教えてください。

9月21日 失われた初期被曝の手がかりより
(小出氏)はい。私は京都大学原子炉実験所で働いていて、時に放射線管理区域に入ります。1時間当たり0.6マイクロシーベルトを超えるような場所は『放射線管理区域』にしなければいけませんし、例えば私たちの原子炉実験所の放射線管理区域であれば、1時間に20マイクロシーベルトを超えるような場所は『高線量区域』と指定されて、そこに入るときには放射線管理の特別な許可を得ないと入れないという、そういうことになっています。
それの20と、今水野さんがおっしゃってくれた1590を比べるわけですから、もう私たちが『高線量区域』と呼ぶ値の80倍とかですね。
(水野氏)80倍・・・『高線量区域』と呼ばれている値の80倍ってことですよね?
(小出氏)はい。そうです。私たちのような放射線業務従事者と呼ばれている人間にとっても、「『高放射線区域』として気をつけろ」と言われている場所の、なおかつ80倍というものです。
(水野氏)はぁ・・・。
この最大値が観測された時間なんですが、一番数字が大きいのは3月12日午後3時なんですね。この時刻が水素爆発の30分ほど前だっていうんです。
これ、水素爆発の前に既に大量に出ていたってことは、何を意味するんでしょう?
(小出氏)えー、水素爆発というのは、原子炉が溶けてしまって、燃料棒が水と反応して出てきた水素なのです。それが原子炉建屋の中に充満して爆発しました。つまり、もう溶けてしまった炉心から水素と一緒に放射性物質が吹き出してきていたわけで、水素爆発をする前にもう放射能はどんどん環境に出ていたということです。
(水野氏)はぁ・・・
(小出氏)要するに水素が出てきたということは、他の放射性物質も出てきていたということですし、その水素が充分溜まって爆発したわけですから、それまでの時間の間に放射性物質は環境に漏れていたということです。
(水野氏)はぁ。それもこんなに高い数字ですよね?
(小出氏)猛烈ですね。
(水野氏)『猛烈』な数字で出ていたってことは、どういうことを私たちに示唆するんですか?
(小出氏)これは事故当時に私は聞いていただいたと思いますけれども、ベントという操作をやったのですが、ベントという操作は放射能を閉じ込める最後の防壁である原子炉格納容器という、中に溜まっているガスを抜き出すのです。もちろん水素も入っていますし、放射性物質も入っているのです。
それを格納容器が大破壊しては困るということで、意図的に外へ抜いてしまうというのがベントなのであって、私はそのベントという作業をするためには、その外側にフィルタを必ずつけておかなければいけないとずーっと思い込んでいたのですが、日本の福島の原子力発電所も含めて全ての原子力発電所では、ベントの先にフィルタがついていないのです。
(水野氏)フィルタもつけてないんですか?
(小出氏)そうです。ですからベントをしてしまうと、放射性物質はそのまま環境へ放り出すと、そういう設計になっていたのです。
(水野氏)はぁ。設計がもうそもそもフィルタさえつけていなかった。
(小出氏)そうです。
(水野氏)それ今伺いますと、ベントをする前に、もう・・・多くの方々を遠くへ避難していただいておかなければならなかったと、今更ながら思うんですけれども。
(小出氏)本当はそうなのです。ただし、日本のこの国というのは、一番恐れたのは『パニック』なのです。私は『住民を被曝させること』が一番いけないことだと思うのですけれども、国の方から見ると『住民の被曝よりはむしろパニックを恐れる』ということで事故に対処したわけです。
(水野氏)・・・。なんで今頃こんな重要な数字が出てくると、小出先生は思われますか?
(小出氏)まぁよく判りません。私としては、どんな些細な数字・・・というか、一見意味の無いような数字だってきちっと公表すべきだとずーっと思ってきましたし、私自身も自分が得たデータというのは、常に公表するように努めてきたつもりなのですが、日本の国、或いは電力会社の方から見ると、「数字を公表すると住民がパニックに陥るから、なるべく公表しないでおこう」という、そういう作戦に彼らは出てきたということです。
(水野氏)あの、モニタリングポストの数値っていうのは、知るためにこんな、1年半も時間がかかるもんなんですか?
(小出氏)<苦笑>もちろんかかりませんし、そんなことになったら困るわけですね。
(水野氏)意味ないですよね!今頃判ったって。
(小出氏)はい。モニタリングというのは、時々刻々その数値が判るということでやっているわけですから、今頃出てくるということは全くおかしなことです。
(水野氏)はぁ・・・。近藤さん?
(近藤氏)はい。
(水野氏)あの当時、政府は「直ちに健康に影響はない」と言い続けていましたね。
(近藤氏)あの、先生、僕はね、人の命より上に来るものは無いと思っています。そうである以上、人命にかかわるウソっていうのは許せないんだろうと思ってるんです。
しかしながら、我々の先輩は、戦争を経験した際に、人の命にかかわることであっても、いろんな虚報が出ていたわけですね。
今度の原発の事故も含めて、震災は戦後に対して災後っていう言い方がありましたけども、震災後の「災」ですね。僕はその時に、極力・・・そうであるならば正確な情報の側についてしゃべりたいと。私自身そんな知識がありませんから、小出先生のそばにおれば、もうこれは・・・正確な情報のそばにいて、人の命に対して重要な情報が一緒に流せるんだと思ってきました。
(小出氏)ありがとうございます。
(近藤氏)その点で、私は今本当に感謝申し上げて・・・今の言葉を発しているわけなんですが、どうもありがとうございました。
(小出氏)とんでもない。
(近藤氏)そういう点で、今流している、水野さんが流している情報も、いやびっくりだなと思ってるんですけどね。
(水野氏)びっくりしますね。
(小出氏)でも、まぁ水野さん、近藤さん、たね蒔きジャーナルのスタッフの方々が、ようやくにしてこういう情報をこれまで流してきてくださったわけで、本当に私から感謝をお伝えしたいと思います。
ありがとうございました。
(水野氏)こちらこそありがとうございます。
あの、ちなみにこの1時間あたり1590マイクロシーベルトという、とてつもない数字ですよね、小出先生?
(小出氏)そうです。
(水野氏)この数字が発表されたのは、9月21日、先週金曜日=民主党の代表選の日です。
(小出氏)なるほど<苦笑>
(水野氏)まぁ、ニュースの多くは民主党代表選を伝える時間にはなりますわね。また、祝日の土曜日の前の夜だったという・・・まぁ偶然なんでしょうけども、そうでございました。
こういうことになるとね、もっと重要な情報が公開されていない可能性って無いか?って思うんですが、小出先生いかがですか?
(小出氏)あると思います。これからまた出てくるんだろうなと思います。
(水野氏)またですね、この食べ物の問題、内部被曝の問題もあるわけですが、長野県のキノコから、国の基準値を超える放射性セシウムが検出されました。これ、軽井沢町と御代田町の野生キノコです。出荷停止になったんですが、長野県産の食品の出荷停止は原発事故後初めてのことです。しかし、軽井沢って福島第一原発から、なんと250㎞も離れているんです。
こうした現実の中、私たちはこれから、小出先生、原発に関する情報でね、騙されないで真実を見抜くために、どんな工夫をすればいいか、何を気を付けておけばいいのか、皆さんにメッセージをいただけないでしょうか?
(小出氏)すいません。私もよく判らないのです。政府や電力会社というデータを握っている当事者たちが、できるだけデータを見せないようにということでやってきているわけで、私もどうやればデータを出してもらえるのかよく判りません。
でも、日本という国は民主国家だと言われているわけですし、国民が主権者なわけですから、自分たちが主権者であるということを自覚して、政府或いは今回の事故を起こした責任者、或いは私は犯罪者と呼びたいのですが、東京電力に対してちゃんとデータの公表を求めるという行動をやりつづけることが大切だと思います。
(水野氏)データが出てくるのを待ってるだけでは無理で、やっぱりデータを求めていくという動きが必要だってことですかね。
(小出氏)と思います。
(水野氏)あの、私はこの1年半、小出先生をお話をしているうちに、最初は原発をいつまでにゼロにするのかという議論があったと思うんですが、最近はどんな条件で再稼働するのかという議論に代わってきているのかなと感じているんです。
(小出氏)私もそう思います。原子力村は、これまで原子力を進めてきた原子力村という組織が無傷のまま生き延びてきていると私には見えますし、再度また原子力をどんどんやろうという攻勢を強めているように私には見えます。
(水野氏)はい。小出先生、明日もたね蒔きジャーナルでご出演、そして教えていただくことをどうぞよろしくお願いいたします。
(小出氏)こちらこそ、よろしくお願いします。
(水野氏)ありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
福島県は21日、東京電力福島第1原発事故が起きた昨年3月11日から3月31日までの、放射性物質の飛散状況をモニタリングポストで観測した結果を公表した。
空間放射線量の最大値は、原発から北西に約5・6キロの双葉町上羽鳥で、12日午後3時に毎時1590マイクロシーベルトを記録した。
県によると、原発の敷地外ではこれまでで最も高い。一般の人の被ばく線量限度は年間1ミリシーベルト(千マイクロシーベルト)で、これを1時間で超える数値。
事故の状況が悪化する中、1号機では12日午前に格納容器の圧力を下げるための蒸気排出(ベント)作業を開始。午後2時半ごろ、格納容器の圧力が低下し、午後3時36分ごろ水素爆発した。
1590マイクロシーベルトを記録したのは爆発の前で、県は「爆発の前から放射性物質が漏れ出していたと考えられ、風向きが影響した可能性がある」としている。
福島県は原発周辺25カ所のモニタリングポストについて、震災や津波で通信回線が途絶えたり、電源喪失したりした箇所があったため、データの回収を進めていた。
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木造住宅の場合は野外も室内も大きな差がないとみて、×24h=38,160uSv/日。
近隣も、また平均値も恐るべき放射線量となっている。県の発表値。の2ページめ。
12日午後3時はすでにメルトダウンして、水をくぐらせるベントに失敗したため、ドライベントにより猛烈な放射性物質を放出していたことになる。爆発の直前である。
現在、早くも子どもの半分に甲状腺異常が表れているのは、この驚くべき量の放射線量、放射性物質である。
一年半も経ってから発表すると言う、許せない悪意である。
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小出裕章氏:ベント前のモニタリングポスト1590uSvについて 9/26 たね蒔ジャーナル 書き起こし「ぼちぼちいこか」から
(水野氏)東京には近藤さんです。
小出先生、たね蒔きジャーナルで小出先生に私が質問させていただきますのは、今日が最後となります。
これまで本当にありがとうございました。
(小出氏)こちらこそ、長い間本当にありがとうございました。
(水野氏)ありがとうございます。そして、今やっぱり思い出しますのは、3.11の直後のことです。ほかの専門家や国が「ただちに影響はない」とか「大丈夫」とかいう言葉を言っているときに、小出さんは、
「1メートルでも風上に逃げてください」
と言っていらっしゃいました。
あの3月14日からずーっと小出先生の言葉を皆さんにお届けした、緊張した日々が思い出されるんですが、小出先生は今どんな思いで当時を思い出されますか?
(小出氏)当時は大変事故がドラスチック(劇的)に進行している時に、大変残念なことに、この日本という国では正確な情報が流れない・・・期間が続きました。そんな時に、私の発言をたね蒔きジャーナルが拾ってくださって、大変ありがたく思いましたし、なんとか少しでも被曝を少なくしたいと思う一念で時が過ぎていきました。
残念なことに、未だに事故は収束していませんし、汚染地帯に人々は取り残されてしまっているわけで、なんとかしたいと思いますけれども、自分の非力をずーっと毎日のように感じています。
(水野氏)あの、そうした中でですね、今日放射能汚染について、注目するべき数字が出ているというお話をお伝えしたいと思います。
原発事故のあった去年3月11日から31日まで、放射性物質がどれだけ大気中に飛び散ったか、福島県がモニタリングポストで観測した結果を公表しました。
最大の数値が、事故の翌日です。つまり去年の3月12日です。場所は、原発から北西におよそ5.6㎞、双葉町の上羽鳥というところです。
その放射線量なんですが、小出さん。1時間あたり1590マイクロシーベルトという数字が発表されました。
これは、原発の敷地以外でこれまでで最も高い数字だと福島県は言ってますけれども、この1590マイクロシーベルトの意味を教えてください。

9月21日 失われた初期被曝の手がかりより
(小出氏)はい。私は京都大学原子炉実験所で働いていて、時に放射線管理区域に入ります。1時間当たり0.6マイクロシーベルトを超えるような場所は『放射線管理区域』にしなければいけませんし、例えば私たちの原子炉実験所の放射線管理区域であれば、1時間に20マイクロシーベルトを超えるような場所は『高線量区域』と指定されて、そこに入るときには放射線管理の特別な許可を得ないと入れないという、そういうことになっています。
それの20と、今水野さんがおっしゃってくれた1590を比べるわけですから、もう私たちが『高線量区域』と呼ぶ値の80倍とかですね。
(水野氏)80倍・・・『高線量区域』と呼ばれている値の80倍ってことですよね?
(小出氏)はい。そうです。私たちのような放射線業務従事者と呼ばれている人間にとっても、「『高放射線区域』として気をつけろ」と言われている場所の、なおかつ80倍というものです。
(水野氏)はぁ・・・。
この最大値が観測された時間なんですが、一番数字が大きいのは3月12日午後3時なんですね。この時刻が水素爆発の30分ほど前だっていうんです。
これ、水素爆発の前に既に大量に出ていたってことは、何を意味するんでしょう?
(小出氏)えー、水素爆発というのは、原子炉が溶けてしまって、燃料棒が水と反応して出てきた水素なのです。それが原子炉建屋の中に充満して爆発しました。つまり、もう溶けてしまった炉心から水素と一緒に放射性物質が吹き出してきていたわけで、水素爆発をする前にもう放射能はどんどん環境に出ていたということです。
(水野氏)はぁ・・・
(小出氏)要するに水素が出てきたということは、他の放射性物質も出てきていたということですし、その水素が充分溜まって爆発したわけですから、それまでの時間の間に放射性物質は環境に漏れていたということです。
(水野氏)はぁ。それもこんなに高い数字ですよね?
(小出氏)猛烈ですね。
(水野氏)『猛烈』な数字で出ていたってことは、どういうことを私たちに示唆するんですか?
(小出氏)これは事故当時に私は聞いていただいたと思いますけれども、ベントという操作をやったのですが、ベントという操作は放射能を閉じ込める最後の防壁である原子炉格納容器という、中に溜まっているガスを抜き出すのです。もちろん水素も入っていますし、放射性物質も入っているのです。
それを格納容器が大破壊しては困るということで、意図的に外へ抜いてしまうというのがベントなのであって、私はそのベントという作業をするためには、その外側にフィルタを必ずつけておかなければいけないとずーっと思い込んでいたのですが、日本の福島の原子力発電所も含めて全ての原子力発電所では、ベントの先にフィルタがついていないのです。
(水野氏)フィルタもつけてないんですか?
(小出氏)そうです。ですからベントをしてしまうと、放射性物質はそのまま環境へ放り出すと、そういう設計になっていたのです。
(水野氏)はぁ。設計がもうそもそもフィルタさえつけていなかった。
(小出氏)そうです。
(水野氏)それ今伺いますと、ベントをする前に、もう・・・多くの方々を遠くへ避難していただいておかなければならなかったと、今更ながら思うんですけれども。
(小出氏)本当はそうなのです。ただし、日本のこの国というのは、一番恐れたのは『パニック』なのです。私は『住民を被曝させること』が一番いけないことだと思うのですけれども、国の方から見ると『住民の被曝よりはむしろパニックを恐れる』ということで事故に対処したわけです。
(水野氏)・・・。なんで今頃こんな重要な数字が出てくると、小出先生は思われますか?
(小出氏)まぁよく判りません。私としては、どんな些細な数字・・・というか、一見意味の無いような数字だってきちっと公表すべきだとずーっと思ってきましたし、私自身も自分が得たデータというのは、常に公表するように努めてきたつもりなのですが、日本の国、或いは電力会社の方から見ると、「数字を公表すると住民がパニックに陥るから、なるべく公表しないでおこう」という、そういう作戦に彼らは出てきたということです。
(水野氏)あの、モニタリングポストの数値っていうのは、知るためにこんな、1年半も時間がかかるもんなんですか?
(小出氏)<苦笑>もちろんかかりませんし、そんなことになったら困るわけですね。
(水野氏)意味ないですよね!今頃判ったって。
(小出氏)はい。モニタリングというのは、時々刻々その数値が判るということでやっているわけですから、今頃出てくるということは全くおかしなことです。
(水野氏)はぁ・・・。近藤さん?
(近藤氏)はい。
(水野氏)あの当時、政府は「直ちに健康に影響はない」と言い続けていましたね。
(近藤氏)あの、先生、僕はね、人の命より上に来るものは無いと思っています。そうである以上、人命にかかわるウソっていうのは許せないんだろうと思ってるんです。
しかしながら、我々の先輩は、戦争を経験した際に、人の命にかかわることであっても、いろんな虚報が出ていたわけですね。
今度の原発の事故も含めて、震災は戦後に対して災後っていう言い方がありましたけども、震災後の「災」ですね。僕はその時に、極力・・・そうであるならば正確な情報の側についてしゃべりたいと。私自身そんな知識がありませんから、小出先生のそばにおれば、もうこれは・・・正確な情報のそばにいて、人の命に対して重要な情報が一緒に流せるんだと思ってきました。
(小出氏)ありがとうございます。
(近藤氏)その点で、私は今本当に感謝申し上げて・・・今の言葉を発しているわけなんですが、どうもありがとうございました。
(小出氏)とんでもない。
(近藤氏)そういう点で、今流している、水野さんが流している情報も、いやびっくりだなと思ってるんですけどね。
(水野氏)びっくりしますね。
(小出氏)でも、まぁ水野さん、近藤さん、たね蒔きジャーナルのスタッフの方々が、ようやくにしてこういう情報をこれまで流してきてくださったわけで、本当に私から感謝をお伝えしたいと思います。
ありがとうございました。
(水野氏)こちらこそありがとうございます。
あの、ちなみにこの1時間あたり1590マイクロシーベルトという、とてつもない数字ですよね、小出先生?
(小出氏)そうです。
(水野氏)この数字が発表されたのは、9月21日、先週金曜日=民主党の代表選の日です。
(小出氏)なるほど<苦笑>
(水野氏)まぁ、ニュースの多くは民主党代表選を伝える時間にはなりますわね。また、祝日の土曜日の前の夜だったという・・・まぁ偶然なんでしょうけども、そうでございました。
こういうことになるとね、もっと重要な情報が公開されていない可能性って無いか?って思うんですが、小出先生いかがですか?
(小出氏)あると思います。これからまた出てくるんだろうなと思います。
(水野氏)またですね、この食べ物の問題、内部被曝の問題もあるわけですが、長野県のキノコから、国の基準値を超える放射性セシウムが検出されました。これ、軽井沢町と御代田町の野生キノコです。出荷停止になったんですが、長野県産の食品の出荷停止は原発事故後初めてのことです。しかし、軽井沢って福島第一原発から、なんと250㎞も離れているんです。
こうした現実の中、私たちはこれから、小出先生、原発に関する情報でね、騙されないで真実を見抜くために、どんな工夫をすればいいか、何を気を付けておけばいいのか、皆さんにメッセージをいただけないでしょうか?
(小出氏)すいません。私もよく判らないのです。政府や電力会社というデータを握っている当事者たちが、できるだけデータを見せないようにということでやってきているわけで、私もどうやればデータを出してもらえるのかよく判りません。
でも、日本という国は民主国家だと言われているわけですし、国民が主権者なわけですから、自分たちが主権者であるということを自覚して、政府或いは今回の事故を起こした責任者、或いは私は犯罪者と呼びたいのですが、東京電力に対してちゃんとデータの公表を求めるという行動をやりつづけることが大切だと思います。
(水野氏)データが出てくるのを待ってるだけでは無理で、やっぱりデータを求めていくという動きが必要だってことですかね。
(小出氏)と思います。
(水野氏)あの、私はこの1年半、小出先生をお話をしているうちに、最初は原発をいつまでにゼロにするのかという議論があったと思うんですが、最近はどんな条件で再稼働するのかという議論に代わってきているのかなと感じているんです。
(小出氏)私もそう思います。原子力村は、これまで原子力を進めてきた原子力村という組織が無傷のまま生き延びてきていると私には見えますし、再度また原子力をどんどんやろうという攻勢を強めているように私には見えます。
(水野氏)はい。小出先生、明日もたね蒔きジャーナルでご出演、そして教えていただくことをどうぞよろしくお願いいたします。
(小出氏)こちらこそ、よろしくお願いします。
(水野氏)ありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
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