カタルーニャに自由を!
2012-09-25

9/11 バルセロナ
ユーロの危機は、ついにスペインのカタルーニャ州独立運動を燃え上がらせた。
カタルーニャ地方は13世紀から独立のバルセロナ伯爵領が、後にアラゴン王国となりサルジニアも領土とするが、カスティラとレオンの統一によって16世紀スペイン帝国に併合された。
併合されてからもカタルーニャ君主国の名は残ったが、18世紀に消滅する。
近代に入ってから二度ほど独立宣言をしたことがある。
分離独立運動は、半端な思いつきではない。
この150万人のデモが「分離独立」を掲げていることである。(大衆の掲げている旗は独立旗。)
実際、経済的にはスイス、デンマーク、ノルウェーなどと比較しても十分可能である。
フランスなどを除くとヨーロッパ各国に分離独立の芽はあちこちにある。
前から、ユーロを守ることは、「国民国家」の解体に結果する、と述べてきたが、各国にとって他人事ではないのである。
主権の弱体化によって、国家の下に州であるつづけるメリットが無くなってゆくからである。
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カタルーニャ独立デモ150万人 BBCトップニュースも国営放送は過小評価 9/13 田中龍作ジャーナル
スペイン・バルセロナで、150万人のデモが沸き起こった。「カタルーニャに自由を!」「カタルーニャはヨーロッパの新しい国」……独立を願うプラカードが踊った。
9月11日はカタルーニャが18世紀にスペイン軍にやぶれた「カタルーニャの日」だ。その日に合わせて、スペインからの独立を願う人々がバルセロナに駆けつけた。その数は150万人(警察発表、主催者発表は200万)にものぼった。
各地からのチャーターバスは1,000台以上にも及んだ。この数字はカタルーニャ州史上初の規模だという。市内の中心にある「カタルーニャ広場」は、デモ開始2時間前から独立旗を掲げた人々で溢れた。間もなく大通りは人で埋め尽くされ交通は麻痺した。
カタルーニャ自治州はスペインの東に位置する。4つの県から構成され独自の言語と文化を持つ。ジョージ・オーウェルの「カタロニア戦記」などでも有名な過酷な内戦を経験した。フランコ独裁政権時代には公共でのカタルーニャ語の使用を禁止されるなど、辛い過去を持つ。学校教育でカタルーニャ語を禁止されていた60~70代は、話すことは出来るが書く事に不自由を覚える人も多い。
カタルーニャ州では以前から独立を訴える動きはあった。最近はさまざまなデモの場面で独立旗が目立つようになっていたが、今月に入り、世論調査で独立を願う人が初めて過半数を超えた。背景にあるのはユーロ危機の影響を受けたスペインの大不況と言われている。
写真提供者のアルフォンソ・モンレアル氏は次のように強調する―
「カタルーニャの納税額は国からの地方交付税を大きく上回っている。バスク自治州のように、州で徴収した分は地元で使えるようにすべきだ。中央政府がそれを受け入れないなら、独立するまで」。
こうした世論を盾に、アルトゥール・マス州首相 は、今月20日にスペイン中央政府へ税徴収の裁量拡大を求めて交渉を行う予定だ。財政の柱を担っているカタルーニャ州が抜けるとなれば、スペインは窮地に立たされるだろう。
中央政府の心情を見透かすかの様に、BBCはトップニュースでデモを取り上げた。だがスペイン国営放送では、5番目の扱いだった。国営放送はどこもデモを過小評価するようだ。 《文・諏訪都・京改メ》
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スペインは分裂するかも知れない 9/24 ROCKWAY EXPRESSから
ヨーロッパの金融・債務問題は収束するには程遠く、ますます混迷を深めているが、スペインではこの問題がとうとう分離独立問題にまで発展している。
スペインの中でも最もリッチな自治区がカタロニア(カタルーニャ)州であるところから、カタロニアは他の州に比べて裕福なため、中央政府に貢ぐ金額も大きい。従ってカタロニアの住民はそれが不服であり、独立を本気で考えているのだ。
これは他人事ではない。そもそもユーロ圏自体が同じ理屈で分解の危機にあるのだ。従ってこのスペインのカタロニア分離独立問題は、EUそのものの矛盾の象徴的現象である。
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●スペインは分裂するかもしれない
http://www.testosteronepit.com/home/2012/9/21/catalonia-cries-for-independence-spain-might-break-apart-and.html
【9月21日 Testosterone Pit】
スペインには問題が多い:債務危機、住宅バブルの後遺症、25%以上の失業率、50%以上の青年層の失業率、「構造改革」に反対する大規模デモ・・・そして今回新たな問題が生じた:国家の分裂の可能性だ。軍はそれぞれ加担する側を選択している。
それは先週、バルセロナで始まった。ここはカタロニア州の首都である。カタロニアはスペインでも最も裕福なところである。750万人の住民の内、8%から20%になる60万人から150万人が、独立を叫んで大通りに出てデモに参加したのだ。
カタロニアとスペインの間にある敵対関係は長期に渡るものだ。しかしスペインの金融問題がこの対立を深刻化させた。
すっからかんのカタロニアは中央政府に救済を要請せざるを得なくなったのだ。カタロニア人は不満で爆発しそうなのだ。
彼らは、現在の国庫の方針では、カタロニア人は年間1600万ドルを中央政府に上納しており、そのためにこの州は破産状態に陥ったのだ。今や、救済の代わりに、中央政府は医療、教育、その他のサービスを削減することになる緊縮策を強要してきた。
20日、カタロニアの知事のアルトゥール・マスは当初、新しい税制について要請するためにマリアノ・ラホイ首相と面会した。
しかし、バルセロナでの大規模デモのために独立をも話し合いの議題に入れたのである。ラホイ首相は、憲法がそのような独立は認めていないとして、彼の要請を切り捨てた。
「憲法は改定することもあるが、人々の意思を服従させることはない」と、会合の後、マス知事は嘆いた。カタロニア民主統合党リーダーとして、また集中と統一(CiU)議長である彼は中流階級の代表であり、曖昧な表現ではあるが、カタロニアの独立を支持してきた。
今までは。「カタロニアは自分の道を進むだろう」と彼は語った。議会は来週、「次のステップを話し合う為」に開かれる。
ホセ・ガルシア・マルガヨ外務大臣は「不法で致命的だ」と怒鳴り、もしも独立すればEUから締め出されるとカタロニア側を脅した。
どちらの国家がEUに加盟することを許されるかの決定は全会一致でなければならず、スペインの拒否権でカタロニアは「無期限に」加盟を阻止されるかもしれない、と彼は語った。
それにもかかわらず、21日朝、集中と統一のスポークスマンのフランセス・ホムスはこの計画を推し進めた:11月25日に選挙が行われて、議会は独立に向けた動きを始めるかもしれない。それは国民投票かもしれない。
しかし、違ったことも考えられる、と彼は語った。「例えば、議会は国家として宣言することを可決する」ということなどだ。
CiUはまだ自分たちの選挙計画に国家としての要請をどう文章化するか決定していない。しかし、独立に向けた戦略は、「後戻りできない工程」にある、とホムスは語った。
彼はスペインのことを、唯一の武器が「機敏さ」であるガゼルを襲っているライオンであると言っている。
EUから追放されるという脅しはどうか?「カタロニアはヨーロッパ市民である」と彼は言う。そして彼らをどうやって追放することが可能なのか分からない、と語った。
しかし彼は、重要なあらゆるビジネス業界のことは心配していなかった。「事態が民主的に表現されれば、投資を失うことはないだろう」と彼は語った。
反応は早かった。カタロニアの独立はビジネス業界にとっては「非常に大きな問題」になるだろう、とスペイン雇い主同盟(CEOE)議長のヨアン・ロセルは語った。
雇い主らは現在の経済混乱状況から抜け出る為に単一市場を支持している、という。
国家であると宣言することに法的価値はない、とソラヤ・サエンズ・デ・サンタマリア副首相は閣僚会議の後の記者会見で語った。また政府は早期の選挙を望んでいない、と彼女は語った:「政治的不安定」は危機を悪化させかねない。
しかし彼女は骨を投げてやった:政府は自治区の金融モデルを改革することにやぶさかではない、と。
独立の核心についての議論が開始された:中央政府の債務の分配。カタロニアは20%あるいは16%か?あるいはゼロ、それは国債を発行したのはスペインであってカタロニアではないから。カタロニアはスペインの枠内に留まるほうがいいのか、それとも独立したほうがいいのか?それは金融的に可能なのか?噂が流れている。
連立政府のメンバーが欧州委員会に、スペインは合法的にカタロニアの分離を止めることができるのかどうか、そして独立したカタロニアをEUから拒否権を行使することで追放することができるのかどうか、ということを尋ねたという噂だ。
分離を許可する法は存在しないから、それを制する法もまた存在しない。従ってすべては不明なままである。
しかし、この問題が深刻な注目を集めている、という事実は、事態が相当なところにまで進んでいることを示している。
そして軍は自らの役割を注視している。フランシスコ・アラマン大佐は、もし彼らが独立を選択したならば、ハゲタカどもを捻り潰すと約束している。
「カタロニアのための独立?私の屍を超えてだ」と彼は言う。「ライオンが眠っているとしても、ライオンにちょっかい出すな。何世紀にも渡って証明してきた残虐性を表すだろうから」これはクレイズド・フリンジの言葉なのか? 明らかに違う。
「軍隊の相当部分にある深く根ざした考え方である」と、退役陸軍中将のペドロ・ピタルクが説明する。そしてそれは欧州物語の中のまったく新しい章を開くことになる。正反対のことは起きないというあらゆる保証にも関わらず、事態は更に不明瞭になってきているのだ。
ドイツの憲法裁判所が強張った笑いと共に、ESM救済ファンドと財政同盟条約について同意した時、政治家たちはほっとため息をついた。
ドイツの反乱は終わった。しかし蒸気はユーロ圏の混乱したパイプから再び漏れ出している。
今回はフランスだ。
そこは財政同盟条約は口封じにされてきたところだ。

9/11 バルセロナ
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遺伝子組換え食品に毒性の疑い:仏ルモンド紙
2012-09-25

農林水産省 遺伝子組み換え農作物の栽培状況 2009年
遺伝子組み換え食品については様々な批判があるが、逆に普通の食品と有意な差は認められないとする研究結果がモンサントなどの支援で行われている。
彼らは批判側と異なり豊富な資金を与えられ、多くのデータを検証できるために比較的に優位に立っている。
カーン大学のセラリーニは、大手小売業団体のシャルル・レオポルト・メイエール財団、社会党教育研究センター、科学研究省、遺伝に関する独立研究及び情報委員会から研究資金を集め、実証研究を行った。
批判側の実証研究としては大きなものであり、遺伝子組み換えの賛成側は多くの批判、反論をしてくるだろう。
仏ルモンド紙が紹介した。
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「モンサントの遺伝子組み換え食品に毒性の疑い」9/19 ルモンド紙 9/20翻訳「Entelchen」のブログから
メスには乳房に腫瘍、オスには肝臓や腎臓障害、そして両方の性で寿命の短縮・・・
Food and Chemical Toxicology誌の次号に掲載される予定であるカーン大学の生物学者ジル・エリック・セラリーニが行った研究が物議を醸している。
と言うのも、ラットを対象に行ったこの研究は、モンサント社が商業化している遺伝子組み換えトウモロコシ(別名NK603)の摂取が、(遺伝子組み換えトウモロコシが耐性を持たされている除草剤ラウンドアップとの組み合わせのあるなしに関わらず)有毒な効果を持つと初めて主張するものだからである。
研究者達はとりわけ野心的な規定の実験を実現させた。対象は200匹以上のラット、実験期間は2年間。これらのラットには遺伝子組み換えトウモロコシ(除草剤とセットで栽培されたものと、そうでないもの)を三段階の異なる分量(11%、22%、33%)混ぜた食事がそれぞれ与えられた。
さらに別の三つのグループに、遺伝子組み換えトウモロコシとは組み合わせずに除草剤のみを、量を同様に増加させながら与えられた。
それぞれ20匹のラットから成る合計9つのグループ(遺伝子組み換えトウモロコシを与えられたグループ3つ、遺伝子組み換えトウモロコシとラウンドアップを組み合わせて与えられたグループ3つ、ラウンドアップを与えられたグループ3つ)が、遺伝子組み換えトウモロコシに最も近い種類を除草剤を使用せず栽培したトウモロコシを与えられた対照グループと比較された。
上昇した死亡率
すべての実験グループ群において、対照グループに対する最も明確な差が現われたのは1年後だった。
オスの間では肝臓のうっ血や壊死が2.5~5.5倍多かった。また重度の腎臓障害も1.3~2.3倍現われた。
また対照グループに対してすべての実験グループにおいて乳房の腫瘍が多く監察されたが、その現われ方には必ずしも統計的な意味性は読み取れなかった。
死亡率も、すべての実験処置を加えたグループで上昇した。対照グループの平均寿命は624日、メスにおいては701日であり、「平均寿命を過ぎた後の死因はすべて寿命によるものと見なされる」と研究者達は書く。
「この平均寿命に達する前に、対照グループではオスの30%、メスの20%が自然死したのに対して、遺伝子組み換えトウモロコシを与えられたグループのオスの50%、メスの70%が(早期)死亡した。 」
また、発見された健康被害の過半数が、ラットの与えられていた遺伝子組み換えトウモロコシまたは除草剤の量とは比例していないと研究者達は指摘する。
このように量と生物学的な反応との間に相関関係の見られないケースは(少量の摂取によっても大量摂取よりも大きな影響が発生する可能性がある)、今ではホルモン体系を乱す物質において詳細に記録されている。
つまりラウンドアップは内分泌液のかく乱物質と似たような作用を持つと考えられると研究者達は言う。
ただし、この説明によっては遺伝子組み換えトウモロコシのみを与えられたラットに監察された健康被害の原因を明かすことは出来ない。
遺伝子組み換えトウモロコシの遺伝構成は癌の発生を予防する効果のある芳香族アミノ酸の合成に必要な酵素 (ESPS synthase と呼ばれる)の変容を誘導するのではないかと研究者達は考える。
このアミノ酸の生産が減少することから、遺伝子組み換えトウモロコシのみを与えられたラットにおいて発病の増加が監察された事実が説明できるかもしれないと彼らは言う。
予算3百万ユーロ
セラリーニ氏の研究発表は間違いなく遺伝子組み換えに対する賛否両派の衝突を再興させるだろう。
この雑誌がいわゆる”ピア・レビュー”を行った後に初めて論文を掲載する重要な媒体であるだけになおさらである。
つまり提示されている結論に対して、発表前に専門家による技術的な査証が行われるのである。
しかし異例なのは、ルモンド紙が9月19日午後に失効する親展扱いの合意書にサインをしてからでなければ、公表の禁止されている研究を目にすることが出来なかったことである。
つまりルモンド紙は、セラリーニ氏の研究を他の研究者に回覧し、意見を求めることが出来なかった。
これまで発表されてきた研究内容と正反対の結論を導いている研究についてはとりわけ専門家の意見を求めるのが慣例である。
現在まで異なる遺伝子組み換え食品に対して、異なる被験動物を使って数多くの中毒学研究が行われてきたが、対照グループと実験処置を加えた動物との間には、大きな生物学的差異は認められて来なかった。
これらの研究は、最近英国ノッティンガム大学チェルシー・スネルの編集する文学雑誌に集められ、今年一月Food and Chemical Toxicology に発表されたが、2年よりもはるかに短い期間の実験であり、被験動物に対する生物学的パラメーターの数もずっと少ない。
その上ほとんどすべての研究が農化学会社自身が直接行ったか、または出資をしたものだった。
一方で本人によれば3百万ユーロ以上にのぼると言うセラリーニ氏の研究費用はシャルル・レオポルト・メイエール財団、(特に大規模販売企業の集まったものである)CERES(社会党教育研究センター)、フランス科学研究省、そしてバイオテクノロジーに対して反対活動を進めているグループであるCriigen (遺伝に関する独立研究及び情報委員会)から出資されている。
いずれにしてもこの新たな発表は科学界、農化学界全体の注視の下に置かれ、実験の欠点や可能な逃れ口上が追求されることは間違いない。
セラリーニ氏は、彼の実験によって反論された人々が再分析を行うことが出来るよう、科学界に対して実験の元のデータを提供する姿勢であるとルモンド紙の質問に対して答えた。
この手の実験を行う農化学者達はデータの開示は行ってこなかった。
(ステファヌ・フカール記)
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10/15引用者追記。
やはり遺伝子組み換え賛成派から猛烈な批判がでたようだが、まとめて一蹴したようだ。
「遺伝子組換えの毒性、批判への回答:仏オプセルヴァトゥール誌」
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福島に警戒解除などない:独TAZ紙
2012-09-25

福島に警戒解除などない 9/15 独TAZ紙 9/20翻訳Entelchenのブログから
福島は観光で訪れる場所でも居住を薦められる場所でもない
福島に警戒解除などない
事故を起こした福島原発周辺に住む住民の健康状態は、一般に認識されているよりも遥かに高い危険に晒されていると言うのが、原子力に反対する「核戦争防止国際医師会議」(IPPNW) の見解である。
「警戒解除などとんでもないです」
と日本訪問から帰国した同組織メンバー、アンゲリカ・クラウセンは金曜日語った。
「人々は医療問題や福祉問題に関して孤独に放置され、どう見ても過度の放射能に晒されています。」「避難地域は明らかにもっと拡大されなければいけません。」
IPPNWはその活動姿勢に対して1985年ノーベル平和賞を贈られたが、今回の発言は世界の公式見解に対して異を唱えるものである。
世界保健機関 (WHO) は今年春、警戒解除を宣言する調査結果を発表した。また国連によって設けられたUNSEAR (原子放射線の影響に関する国連科学委員会)はデータを挙げ、日本の行政も公式の測定値に依拠して警戒解除を報告する・・・
しかしその公式測定所周辺で は、線量はずっと高いことがあるとクラウセンは言うのだ。
「私達は福島市の病院を訪問しましたが、そこでの線量は年間被爆量に換算して18ミリシーベルトでした。」
ちなみに原発作業員の年間被爆許容量は20ミリシーベルトであり、日本では事故前の国民の年間被爆許容量は1ミリシーベルトだった。
官僚への痛烈な批判
デルテ・ジーデントプフは同じく日本を訪問した30人の国際IPPNW代表団のひとりである。彼女は福島事故の犠牲者に対する日本の医療界の対応の仕方を批判する。
「本来なら同地方の38万人の子供や若者達全員が甲状腺検査を受けなければならないところです。しかし現在のところ検査を受けたのは4万人に過ぎません。」
検査を受けた子供たちの35%からはのう胞または結節が発見されているが、ドイツ連邦放射線防護庁(BfS) はこの検査報告を「象徴的ではない」としている。
ジーデントプフは日本の役人を痛烈に批判する。甲状腺を守るための天然ヨウ素の備蓄は、事故後住民に配られなかったそうだ。
「人々は皮膚の変化、脱毛、下痢、鼻血や咳などの症状を訴えています。」
福島周辺に残された震災被害による汚染瓦礫が焼却されている場所では、放射能の線量が上昇している。その値は「平常値の10倍に達する」。
さらなる批判は、日本の役人が重要な事故後のデータを体系的に発表しないことだ。
「チェルノブイリの経験から多くが学べたはずです。なのに福島では子供達における放射線障害や先天性異常に関する正確な数値がまったく出されていないのです。」
”100ミリシーベルト以下の被爆では健康被害はまったく起こらない”と言うのが、今現在でも日本の「公式原則」として通用しているのである。
「そのため検査によっても何一つ異常は発見されてはならないことになっている印象が拭えません。」
IPPNW代表団にはドイツの他にアメリカ、インド、オーストラリア、イスラエル等からのメンバーが参加したが、彼らは訪日後の8月末、福島における放射 能によるすべての被害者の包括的な記録簿の作成を要求した。
また国連は世界の研究施設に低線量被爆の危険を調査するよう指令を出すべきであり、この点にお いて国際原子力機関IAEAではなく国連大学に頼るべきであると。
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