6~10歳女子の54.1%、11~15歳女子の55.3%に甲状腺異常
2012-09-17

9.19緊急記者会見(出席、矢ヶ崎克馬さん、神田香織さんほか)をやります 9/17 福島集団疎開裁判から
9月11日、福島県の子どもたちの甲状腺検査結果(3回目)の重大な発表により、福島の子どもたちの集団疎開は一刻の猶予もならない緊急の最優先課題であることが明らかとなりました。
そのために、疎開裁判の会では9月14日から「集団疎開の即時実現」を求める緊急署名をスタートしました。
他方、10月1日に、疎開裁判は、仙台高裁で、仮処分事件の二審としては極めて異例の裁判(審尋)が開かれます。いま、福島の惨状を知る人々は「人権の最後の砦」である裁判所の動向に注視しています。
疎開裁判は最大の転機にあり、集団疎開に向けて国民的な支持と世論が形成されることが焦眉の課題です。
これら一連の出来事に関して、この間、疎開裁判に多大な協力を頂いた琉球大名誉教授の矢ヶ崎克馬氏に出席いただき、以下の緊急の記者会見を開きます。
ジャーナリストの皆さまのご参加をお待ちしています。
日時 9月19日(水)午後4時15分~
場所 自由報道協会 麹町報道会見会場 地図
発表者 柳原敏夫(疎開裁判 弁護団)
矢ヶ崎克馬さん(琉球大名誉教授) 意見書(4)(2012.2.29)
神田香織さん(講談師)
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記者会見の概要
ふくしま集団疎開裁判の会は、8月22日、野田首相に、福島の子どもたちの「集団疎開の即時実現」を求める申入書を手渡しましたが、政府が何も対応しない間に、9月11日、福島県の3回目の甲状腺検査結果が発表され、かつてない深刻な健康被害の実態が明らかとなりました(※1)。
このままいくと、福島は健康な子供が2割しかいないという今日のベラルーシやウクライナのようになってしまいます。
これは政策問題ではありません。危機に瀕している命を見殺しにするのかという人権の根本問題です。
除染でも、復興でも、瓦礫でもなく、今すぐ必要なのは、福島の子どもたちを安全な地域に逃がすことです。
集団疎開の裁判の会では、先週14日から「集団疎開の即時実現」を求める緊急署名を始めました。
他方、10月1日に、仙台高裁で、仮処分事件の二審としては極めて異例の裁判(審尋)が開かれます(※2)。いま、福島の惨状を知る市民は「人権の最後の砦」である裁判所の動向に注視しています。
今、疎開裁判は最大の転機にあり、集団疎開に向けて国民的な支持と世論が形成されることが焦眉の課題です。
これら一連の出来事に関して、琉球大名誉教授の矢ヶ崎克馬氏に出席いただき、緊急の記者会見を開きます。
以 上
(※1) 関連記事->こちら
9.11に、福島県の3回目の甲状腺検査結果が発表されました。
これは1、2回目の検査対象だった原発周辺地域から、より遠い福島市の子どもが対象です。しかし、上記資料4頁目の2のグラフに示されていますが、今回は、
6~10歳の女子の54.1%、11~15歳の女子の55.3%に甲状腺の異変が見つかりました。
これは、1回目の30%、2回目の35%に比べても、突出した数字です。
山下俊一氏が、2000年に長崎の子どもを検査した結果(0.8%にのう胞)や、事故から5~10年後のチェルノブイリの子どもを検査した結果(0.5%にのう胞)と比較しても、途方もなく高い数字です(その詳細は松崎医師の意見書参照)。
また、3万8千人の中から初めて1人が甲状腺ガンと診断されました。通常なら子どもの甲状腺ガンは百万人に1人と言われています。明らかに福島の子どもたちに異変が発生しています。
(※2) 関連記事->こちら
8月3日,仙台高裁から原告に対し,当事者双方を裁判所に呼び出す審尋期日の指定の連絡が入りました。仮処分事件の二審では、書面審理だけで結論を出すの が普通で、もし一審の判断通り原告を負かすのであれば審尋期日を設ける必要はありません。
ということは審尋期日を開く目的は、形式的な理屈で低線量被ばく の危険性を否定した一審判決を見直すためという可能性があります。
これは疎開裁判始まって以来最大の転機です。
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3.11以後、最大の健康被害の発表「9.11女子小学生の54.1%、女子中学生の55.3%に『のう胞』発見 9/17 福島集団疎開裁判から
昨年12月、疎開裁判の福島地方裁判所郡山支部の判決が、野田総理の欺瞞的な「事故収束宣言」と同日同時刻ころにセットされて出され、その結果、マスコミからニュースを知る人の殆どが疎開裁判の判決を知らなかったように、福島県の県民健康管理調査の検討委員会(座長=山下俊一・福島県立医大副学長)は、県内の子どもの甲状腺検査の3回目の結果を、「事故収束宣言」に匹敵し人々の目がそっちに向けられる日として、9月11日を選んで発表しました。
その結果、この日は、21世紀の日本で最大の事件と言われる9.11となりました。なぜなら、今回、発表の4万2千人の子どものうち、6~10歳の女子の54.1%、11~15歳の女子の55.3%に「のう胞」が、男女合わせた全体でも43%に「のう胞」が見つかったからです(以下の福島県発表資料)。
これは山下俊一氏らが2000年に放射能非汚染地域の長崎の子どもたちを甲状腺検査した結果(のう胞が見られたのは0.8%)(※1)、チェルノブイリ事故の5~10年後にチェルノブイリ地域の子供たちを調査した結果(胞が見られたのは0.5%)(※2)と比べて途方もない数字です。
本年4月の2回目の発表で3万8千人の子どもの35%に「のう胞」が見つかった時ですら、これを知った被曝問題に詳しいオーストラリアのヘレン・カルディコット博士は次のように警告しました。
「この子ども達は追跡調査をしてる場合じゃありません。のう胞や結節などの全ての異常は直ちに生体組織検査をして悪性であるかを調べるべきです。 こういった甲状腺異常が1年も経たないうちに現れるというのは早過ぎます。普通は5~10年かかるものです。これは、子供達が大変高線量の被ばくをしたことを意味します。もしも悪性なら、甲状腺の全摘出が必要です。子供達に甲状腺結節やのう胞があるのは、まるで普通ではありません!」
また、アメリカ甲状腺学会の次期会長のブライアン・ホーゲン博士はBusiness Insiderの取材にこう答えました。
「カルディコット博士の上記見解に同意します。福島原発事故後にこれほどすぐに、多くの子どもたちに甲状腺の嚢腫や結節が見られることに驚いています、なおかつこの事実が世間に広く知られていないことに驚いています。」
今回の検査結果(4万2千人の子どものうち6~10歳の女子の54.1%、11~15歳の女子の55.3%、男女合わせた全体の43%に「のう胞」が発見)を知った2人の衝撃はどんなでしょうか。
今回の甲状腺検査は原発周辺の子どもからスタートし、次第に原発から離れた地域の子どもたちへと実施されましたが、検査結果は、検査対象が原発周辺から遠くなるにつれて、逆に甲状腺異変の割合が増加しています(1回目は30%。2回目は35%。3回目は43%)。
さらに、前回2回目の3万8千人の中から初めて1人が甲状腺ガンと診断されました。これについて、山下俊一氏らは
「チェルノブイリ事故後の発症増加は最短で4年」
等を理由にして原発事故との因果関係を否定しました。しかし、これは真っ赤なウソです。3.11以前の山下氏が3.11以後の彼のウソを最も鮮やかに見破る人物です。2009年、彼は講演で、通常なら子どもの甲状腺ガンは百万人に1名と述べています(※3)。さらに、2000年に、原発から150キロ離れたベラルーシ「ゴメリ」地区の小児甲状腺ガンは、チェルノブイリ事故の翌年に4倍に増加したデータを紹介しているからです。
明らかに福島の子どもたちに異変が発生しています。
このままいくと、福島は健康な子供が2割しかいないという今日のベラルーシやウクライナのようになってしまいます。これは政策問題ではありません。危機に瀕している命を救うのか見殺しにするのかという人権の根本問題です。
政府は,「命こそ宝」という政治の原点に立ち帰り、チェルノブイリの教訓から学んで、今すぐ、福島の子どもたちを安全な地域に逃がすべきです。
次に、なぜ、福島市にこれほど沢山の甲状腺異変が発見されたのか。それは単なる偶然ではありません。作為的に作り出されたものです。その鍵を握った中心人物がほかならぬ山下俊一氏です。これについて別便で報告します。
その次に、なぜ、「4万2千人の子どものうち6~10歳の女子の54.1%、11~15歳の女子の55.3%、男女合わせた全体の43%に「のう胞」が発見」という重大な事実を、マスコミはここまで徹底して隠そうとしたのか、刑事責任が問われてもおかしくないほどのマスコミの大罪について別便で報告します。
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関連ページ
福島の子どもたちが危ない:BusinessInsider
36%に甲状腺異常、見解と提言:カルディコット
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悪化する日中関係に笑う米国
2012-09-17
領土問題は戦後アメリカが、日本と周辺国のトラブル要因として仕込んでおいたものである。
アメリカの指示に従い仕込まれた火種に火をつけて、アメリカの歓心を買おうとした前原、そして同じく歓心を買って息子を首相にしたい石原。
煽るマスコミと同じく、まさしく米国の卑屈な奴隷としか言いようがない。
日中間の緊張対立に、さぞかしアメリカ資本は笑いがとまらないことだろう。
ここは両国政府が賢明に、元の「領土問題棚上げ」に戻して、新規に協議を始めるべきである。
だが、少なくとも通常の政府間情報交流、意見交換さえできていない日本政府にその能力は無いだろう。
賢明どころか、ネットウヨ並みに愚劣の塊のような政府である。
漁夫の利を得るアメリカに、嘲り笑われるばかりである。
日中関係ひとつとっても、この米国かいらい政権を倒す以外に打開の道はない。
企業なども消費増税、原発稼働などを主張する狂った経団連などを離脱して、少しはまともに自分で考えるべきである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
日中紛争の拡大は米国が望んで創作されたもの 9/16 植草一秀
中国での反日運動が拡大して影響が広がり始めている。
日本経済にもじわじわと影響が広がるだろう。
領土問題はナショナリズム感情をもっとも刺激しやすいテーマである。
それを知ったうえで、人為的に摩擦を引き起こしたのは日本側であると言わざるを得ない。
日本が日本の国益を重視して行動することは当然である。
しかし、歴史的な経緯を背景に、国境問題で紛争が生じている場合、政府は極めて慎重かつ賢明な対応を示す必要がある。
ところが、日本のなかに、意図的に近隣諸国との摩擦を生み出そうとし、行動に移してきた人物が存在することを否定できない。
日本は1972年に中国と国交を正常化した。
その際、尖閣の領有権問題が障害になった。
日中政府は領有権問題を「棚上げ」する対応を示した。
日本政府としては、「領有権」問題で日本の主張が認められないなら国交を回復しないとの選択肢もあった。
しかし、国交を回復し、日中の友好関係を構築することが日本の国益に適うとの大局的な判断から、言わば「小異を残して大同につく」決断をした。
「棚上げ」とは、領有権問題の決着を先送りすることだ。現状で尖閣は日本の実効支配下にある。
この実効支配を中国は武力で排除しないことを約束したのである。
そもそも、尖閣の領有権問題が発生した原因を作ったのは米国であると見るのが妥当である。
1971年の沖縄返還協定において、米国が返還する領土には尖閣諸島が含まれていた。米国の実効支配下に置かれていた尖閣諸島を含めて、日本への返還が実行されたのである。
この米国が国際社会に対して、尖閣の領有権は日本に帰属することを明確に示す必要があった。
中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、尖閣諸島海域海底に石油資源が埋蔵されていることを国連が調査報告してからである。
この国連調査に米国の意図が反映されていた可能性が高い。
米国が中国の尖閣の領有権主張を意図的に誘導したのではないかと考えられるのだ。
他方で、米国が沖縄の日本への返還に際して尖閣の領有権が日本にあることを明確にしておけば尖閣問題は生まれていない。
米軍の日本駐留を望む米国が、日本と中国との間に領土紛争を人為的に仕込んだと見ることは、決して荒唐無稽な推察ではない。
北方領土、竹島のいずれにおいても、米国は日本と近隣諸国との間に魚雷を敷設することを怠っていないのだ。
米国国務長官ダレスは、日米安保条約締結時に、「我々が望むだけの軍隊を望む場所に望む期間だけ駐留をさせる権利を有する。それが米国の目標である」と述べたと伝えられる。
2009年9月に発足した鳩山由紀夫政権は普天間飛行場の県外、国外移設を追求し、日本国内で米軍による日本領土占領を見直す気運が強まった。こうした日本国民の変化に対して米国は強い警戒感を持ったはずである。
そのなかで、米国の指令を受けて、あるいは、米国の歓心を買うために、一部の日本人が、東アジアの緊張を意図的に高める作為的行動を示していると考えられるのだ。
それが、前原誠司氏による日中間の「棚上げ合意」否定発言であり、石原慎太郎氏による尖閣購入発言であると思われる。
「戦略的互恵関係」を構築するうえで、こうした人為的な摩擦の創作は百害あって一利なしである。
しかし、領土問題に火を点ければ、一般国民は通常、対外強硬論に引っ張られる。近隣諸国に対して攻撃的な言動を強めれば、世論の支持を得やすいと、軽薄な政治家の多くが考えるだろう。
両国がこの対応をエスカレートすれば、最後には武力衝突という事態すら発生しかねない。
こうした形で紛争を拡大させることは愚の骨頂であるが、米国、軍事産業、右翼を標榜する政治家は、ここから利益を得ようとする。
日中の経済関係は拡大しており、両国間の緊張の高まりは、日本経済に重い影を落とす。
全国各地の観光産業にとっては、いまや中国からの観光客受け入れが大きなビジネスチャンスになっている。
製造業においても中国市場は極めて重要で有望なマーケットであり、日中の関係悪化は日本国民にも重大な影響をもたらすものである。
尖閣の領有権問題の「棚上げ」を中国サイドが一方的に廃棄しようとするものでない限り、日本側から、この「棚上げ」を破壊することは賢明でない。
問題の早期収拾に向けて、日本政府の賢明な対応が強く求められている。
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2010年以来の尖閣(釣魚)事件と領土問題、日米関係に関連するページ。
あまりにひどい尖閣事件
仕組まれた尖閣か
敵は中国ではない
尖閣(釣魚)は歴史的領土問題
尖閣ビデオの流出
仕組まれた尖閣ビデオ
尖閣(釣魚)事件(8)政権崩壊へ自滅か
アメリカの操り人形内閣が公然となった
孫崎氏講演:領土問題と日米同盟の事実
尖閣(釣魚)問題への基本スタンス
米国、外務省と「北方領土問題」
前原と石原、領土問題を煽るマスコミと米国奴隷
日中韓、緊張の先に:孫崎
尖閣・竹島と米大統領選:山田
アメリカの指示に従い仕込まれた火種に火をつけて、アメリカの歓心を買おうとした前原、そして同じく歓心を買って息子を首相にしたい石原。
煽るマスコミと同じく、まさしく米国の卑屈な奴隷としか言いようがない。
日中間の緊張対立に、さぞかしアメリカ資本は笑いがとまらないことだろう。
ここは両国政府が賢明に、元の「領土問題棚上げ」に戻して、新規に協議を始めるべきである。
だが、少なくとも通常の政府間情報交流、意見交換さえできていない日本政府にその能力は無いだろう。
賢明どころか、ネットウヨ並みに愚劣の塊のような政府である。
漁夫の利を得るアメリカに、嘲り笑われるばかりである。
日中関係ひとつとっても、この米国かいらい政権を倒す以外に打開の道はない。
企業なども消費増税、原発稼働などを主張する狂った経団連などを離脱して、少しはまともに自分で考えるべきである。
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日中紛争の拡大は米国が望んで創作されたもの 9/16 植草一秀
中国での反日運動が拡大して影響が広がり始めている。
日本経済にもじわじわと影響が広がるだろう。
領土問題はナショナリズム感情をもっとも刺激しやすいテーマである。
それを知ったうえで、人為的に摩擦を引き起こしたのは日本側であると言わざるを得ない。
日本が日本の国益を重視して行動することは当然である。
しかし、歴史的な経緯を背景に、国境問題で紛争が生じている場合、政府は極めて慎重かつ賢明な対応を示す必要がある。
ところが、日本のなかに、意図的に近隣諸国との摩擦を生み出そうとし、行動に移してきた人物が存在することを否定できない。
日本は1972年に中国と国交を正常化した。
その際、尖閣の領有権問題が障害になった。
日中政府は領有権問題を「棚上げ」する対応を示した。
日本政府としては、「領有権」問題で日本の主張が認められないなら国交を回復しないとの選択肢もあった。
しかし、国交を回復し、日中の友好関係を構築することが日本の国益に適うとの大局的な判断から、言わば「小異を残して大同につく」決断をした。
「棚上げ」とは、領有権問題の決着を先送りすることだ。現状で尖閣は日本の実効支配下にある。
この実効支配を中国は武力で排除しないことを約束したのである。
そもそも、尖閣の領有権問題が発生した原因を作ったのは米国であると見るのが妥当である。
1971年の沖縄返還協定において、米国が返還する領土には尖閣諸島が含まれていた。米国の実効支配下に置かれていた尖閣諸島を含めて、日本への返還が実行されたのである。
この米国が国際社会に対して、尖閣の領有権は日本に帰属することを明確に示す必要があった。
中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、尖閣諸島海域海底に石油資源が埋蔵されていることを国連が調査報告してからである。
この国連調査に米国の意図が反映されていた可能性が高い。
米国が中国の尖閣の領有権主張を意図的に誘導したのではないかと考えられるのだ。
他方で、米国が沖縄の日本への返還に際して尖閣の領有権が日本にあることを明確にしておけば尖閣問題は生まれていない。
米軍の日本駐留を望む米国が、日本と中国との間に領土紛争を人為的に仕込んだと見ることは、決して荒唐無稽な推察ではない。
北方領土、竹島のいずれにおいても、米国は日本と近隣諸国との間に魚雷を敷設することを怠っていないのだ。
米国国務長官ダレスは、日米安保条約締結時に、「我々が望むだけの軍隊を望む場所に望む期間だけ駐留をさせる権利を有する。それが米国の目標である」と述べたと伝えられる。
2009年9月に発足した鳩山由紀夫政権は普天間飛行場の県外、国外移設を追求し、日本国内で米軍による日本領土占領を見直す気運が強まった。こうした日本国民の変化に対して米国は強い警戒感を持ったはずである。
そのなかで、米国の指令を受けて、あるいは、米国の歓心を買うために、一部の日本人が、東アジアの緊張を意図的に高める作為的行動を示していると考えられるのだ。
それが、前原誠司氏による日中間の「棚上げ合意」否定発言であり、石原慎太郎氏による尖閣購入発言であると思われる。
「戦略的互恵関係」を構築するうえで、こうした人為的な摩擦の創作は百害あって一利なしである。
しかし、領土問題に火を点ければ、一般国民は通常、対外強硬論に引っ張られる。近隣諸国に対して攻撃的な言動を強めれば、世論の支持を得やすいと、軽薄な政治家の多くが考えるだろう。
両国がこの対応をエスカレートすれば、最後には武力衝突という事態すら発生しかねない。
こうした形で紛争を拡大させることは愚の骨頂であるが、米国、軍事産業、右翼を標榜する政治家は、ここから利益を得ようとする。
日中の経済関係は拡大しており、両国間の緊張の高まりは、日本経済に重い影を落とす。
全国各地の観光産業にとっては、いまや中国からの観光客受け入れが大きなビジネスチャンスになっている。
製造業においても中国市場は極めて重要で有望なマーケットであり、日中の関係悪化は日本国民にも重大な影響をもたらすものである。
尖閣の領有権問題の「棚上げ」を中国サイドが一方的に廃棄しようとするものでない限り、日本側から、この「棚上げ」を破壊することは賢明でない。
問題の早期収拾に向けて、日本政府の賢明な対応が強く求められている。
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2010年以来の尖閣(釣魚)事件と領土問題、日米関係に関連するページ。
あまりにひどい尖閣事件
仕組まれた尖閣か
敵は中国ではない
尖閣(釣魚)は歴史的領土問題
尖閣ビデオの流出
仕組まれた尖閣ビデオ
尖閣(釣魚)事件(8)政権崩壊へ自滅か
アメリカの操り人形内閣が公然となった
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尖閣(釣魚)問題への基本スタンス
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