佐久間元特捜部長田代元検事らを検審に申し立て
2012-08-25
お待たせしました。検察をズタズタにして差し上げましょう 8/24 「八木啓代のひとりごと」から
お待たせいたしました。
すでに各種報道でご存じでしょうが、昨日、午後4時、田代政弘元検事を虚偽有印公文書作成及び行使と偽証、さらに、佐久間元特捜部長と木村検事を虚偽有印公文書作成及び行使の共犯容疑で、検察審査会に申立を行いました。
不起訴裁定が6月の27日のことですから、いくらそのとき八木が北極にいたからといって、なんぼなんでも2ヶ月は時間かかり過ぎじゃないかと思われた皆様、済みません。
この申立書と全証拠資料のボリュームをご覧になったら、納得していただけると思います。
とにかく、検察がまともに捜査をしてくれないので、あたくしたちが調査をしていたのでございます。
まず、申立書本体。
これはですね、検察審査会の審査員の方達は、法律の専門家ではいらっしゃらないので、法律論を述べるというのではなく、まっとうな普通の常識で判断しても、今回の田代不起訴がいかに非常識で、また、最高検報告書が論理破綻しているかを、簡潔に述べさせて頂きました。
それほど長いものではありませんので、お時間のない方も、これはお読みになっていただきたいと思います。
そして、「別紙 最高検の不当性と本件の明白性」
こちらは、当会のイケメンで優秀な法曹チームの皆様が、法律論の観点から、最高検報告書の矛盾点を、ばっさり斬って捨てたものでございます。
法律用語が使われていますが、なかなか痛快ですので、ストレス解消になると思います。
それから続くのが、じつに楽しい証拠資料集でございます。
まず、「別添資料1 田代報告書と石川議員反訳対照表」
田代報告書の文章をそっくり左側に、そして、実際の取調べで、その内容に相当するはずのところで、実際にどんな会話が行われていたか、その虚偽っぷりを「わかりやすい」表にしたものでございます。
最高検では、「わかりやすく」するために表や図解、会話体、アンダーラインなどをがんがん使っても良いというご方針のようですので、それに準じて、優秀な木村主任検事の手法をコピらせていただきました。
そして、「別添資料2 実際の取調べ状況対照表」
ええと、田代報告書は、5時間の取調べをまとめたものです。(それにしては、5時間の会話に一言も出てこないことがいっぱいあるのは不思議ですが)
でも、その一方で、取調べの会話で存在するけれど、田代報告書には影も形もない「重要な会話」(どれぐらい重要かというと、東京地裁の証拠決定書などで言及されている部分)がいっぱいあるのです。
ということで、こちらでは、そういう「すごく重要なのに、なぜか田代さんがうっかりして書いていないし、最高検も見落としているらしい部分」をきちんと教えて差し上げることにしました。
親切でしょう。
さらに、「別添資料3 最高検報告書対照表」
私たちには公式には見せてくださらない最高検の報告書なんですが、ちゃんとネットの海から拾ってきてまいりまして、その中の、「あれれ?」の部分を表にして、勘違いなさっているところを、きちんと訂正させて頂くことにいたしました。
「別添資料4 田代報告書及びインターネットに流出した計7通の報告書」と「別添資料5石川議員録音反訳書」は、すでに5月2日にロシアのサーバーからダダ漏れになって、日本全国何万人もの方がご覧になっている資料ですが、どうも最高検では、ご存じないようなのです。で、検察審査会にも資料提出されないと困りますので、こちらからお付けしました。
「別添資料6 石川知裕氏回答書」
はいこれ、最高検の皆様、頭抱えてくださいね。まさかこんなもんが出るとは思っていらっしゃらなかったと思います。かなり強力な破壊力で、最高検報告書はフルボッコかと。
「別添資料7 東京地裁決定が認定した平成22年5月17日の取調べ状況(決定要旨2〜5頁)」
「別添資料8 東京地裁決定が認定した勾留中の取調状況(決定要旨7〜13頁)」
「別添資料9 平成24年4月26日政治資金規正法違反被告事件判決要旨」
このあたりの重要な指摘も、最高検できれいにお忘れになっているようでしたので、検察審査会に資料提出されるのをきっとお忘れになるだろうと思い、気をきかせて、こちらから添付いたしました。
「別添資料10 報道資料」
はい。少し時間も経ってしまいましたので、6月末の不起訴報道に、メディアの皆様が、どう反応されたかということを、今一度、審査員の皆様にも、メディアの皆様にも思い出して頂きたく、添付いたしました。
ということで、さすがに昨日は、各新聞の記事の他、NHKの7時のニュースにまで登場させて頂きました。
ここまで注目されていることでもありますので、検察審査会のまっとうな審査に期待したいと思います。
なお、今月末には、このような書籍も出ることになっております。
はっきり言っちゃいますよ。これ凄いです。
郷原信郎弁護士をホストに、小川元大臣、石川議員、大坪元大阪地検特捜部長、そして、このあたくしが、対談をするという内容なのですが、小川元大臣、さすが元法曹三者の経験者だけあって、その突っ込みの凄まじさは、郷原弁護士がたじろぐほど。
さらに、石川議員は、もう爆弾発言炸裂させ、大坪氏は、史上かつて無い逆ギレを見せてくださっています。
この濃ゆい皆様方に比べると、私のような者は糸トンボみたいな存在感ではありますが、(一方で、他の3人は全員「検察に痛めつけられた被害者」なのに,1人だけ「痛めつけてる加害者」がいるという説もありますが)、とにかく、出たら、大話題を呼ぶことになると思います。是非、お買い求めください。
お待たせいたしました。
すでに各種報道でご存じでしょうが、昨日、午後4時、田代政弘元検事を虚偽有印公文書作成及び行使と偽証、さらに、佐久間元特捜部長と木村検事を虚偽有印公文書作成及び行使の共犯容疑で、検察審査会に申立を行いました。
不起訴裁定が6月の27日のことですから、いくらそのとき八木が北極にいたからといって、なんぼなんでも2ヶ月は時間かかり過ぎじゃないかと思われた皆様、済みません。
この申立書と全証拠資料のボリュームをご覧になったら、納得していただけると思います。
とにかく、検察がまともに捜査をしてくれないので、あたくしたちが調査をしていたのでございます。
まず、申立書本体。
これはですね、検察審査会の審査員の方達は、法律の専門家ではいらっしゃらないので、法律論を述べるというのではなく、まっとうな普通の常識で判断しても、今回の田代不起訴がいかに非常識で、また、最高検報告書が論理破綻しているかを、簡潔に述べさせて頂きました。
それほど長いものではありませんので、お時間のない方も、これはお読みになっていただきたいと思います。
そして、「別紙 最高検の不当性と本件の明白性」
こちらは、当会のイケメンで優秀な法曹チームの皆様が、法律論の観点から、最高検報告書の矛盾点を、ばっさり斬って捨てたものでございます。
法律用語が使われていますが、なかなか痛快ですので、ストレス解消になると思います。
それから続くのが、じつに楽しい証拠資料集でございます。
まず、「別添資料1 田代報告書と石川議員反訳対照表」
田代報告書の文章をそっくり左側に、そして、実際の取調べで、その内容に相当するはずのところで、実際にどんな会話が行われていたか、その虚偽っぷりを「わかりやすい」表にしたものでございます。
最高検では、「わかりやすく」するために表や図解、会話体、アンダーラインなどをがんがん使っても良いというご方針のようですので、それに準じて、優秀な木村主任検事の手法をコピらせていただきました。
そして、「別添資料2 実際の取調べ状況対照表」
ええと、田代報告書は、5時間の取調べをまとめたものです。(それにしては、5時間の会話に一言も出てこないことがいっぱいあるのは不思議ですが)
でも、その一方で、取調べの会話で存在するけれど、田代報告書には影も形もない「重要な会話」(どれぐらい重要かというと、東京地裁の証拠決定書などで言及されている部分)がいっぱいあるのです。
ということで、こちらでは、そういう「すごく重要なのに、なぜか田代さんがうっかりして書いていないし、最高検も見落としているらしい部分」をきちんと教えて差し上げることにしました。
親切でしょう。
さらに、「別添資料3 最高検報告書対照表」
私たちには公式には見せてくださらない最高検の報告書なんですが、ちゃんとネットの海から拾ってきてまいりまして、その中の、「あれれ?」の部分を表にして、勘違いなさっているところを、きちんと訂正させて頂くことにいたしました。
「別添資料4 田代報告書及びインターネットに流出した計7通の報告書」と「別添資料5石川議員録音反訳書」は、すでに5月2日にロシアのサーバーからダダ漏れになって、日本全国何万人もの方がご覧になっている資料ですが、どうも最高検では、ご存じないようなのです。で、検察審査会にも資料提出されないと困りますので、こちらからお付けしました。
「別添資料6 石川知裕氏回答書」
はいこれ、最高検の皆様、頭抱えてくださいね。まさかこんなもんが出るとは思っていらっしゃらなかったと思います。かなり強力な破壊力で、最高検報告書はフルボッコかと。
「別添資料7 東京地裁決定が認定した平成22年5月17日の取調べ状況(決定要旨2〜5頁)」
「別添資料8 東京地裁決定が認定した勾留中の取調状況(決定要旨7〜13頁)」
「別添資料9 平成24年4月26日政治資金規正法違反被告事件判決要旨」
このあたりの重要な指摘も、最高検できれいにお忘れになっているようでしたので、検察審査会に資料提出されるのをきっとお忘れになるだろうと思い、気をきかせて、こちらから添付いたしました。
「別添資料10 報道資料」
はい。少し時間も経ってしまいましたので、6月末の不起訴報道に、メディアの皆様が、どう反応されたかということを、今一度、審査員の皆様にも、メディアの皆様にも思い出して頂きたく、添付いたしました。
ということで、さすがに昨日は、各新聞の記事の他、NHKの7時のニュースにまで登場させて頂きました。
ここまで注目されていることでもありますので、検察審査会のまっとうな審査に期待したいと思います。
なお、今月末には、このような書籍も出ることになっております。
はっきり言っちゃいますよ。これ凄いです。
郷原信郎弁護士をホストに、小川元大臣、石川議員、大坪元大阪地検特捜部長、そして、このあたくしが、対談をするという内容なのですが、小川元大臣、さすが元法曹三者の経験者だけあって、その突っ込みの凄まじさは、郷原弁護士がたじろぐほど。
さらに、石川議員は、もう爆弾発言炸裂させ、大坪氏は、史上かつて無い逆ギレを見せてくださっています。
この濃ゆい皆様方に比べると、私のような者は糸トンボみたいな存在感ではありますが、(一方で、他の3人は全員「検察に痛めつけられた被害者」なのに,1人だけ「痛めつけてる加害者」がいるという説もありますが)、とにかく、出たら、大話題を呼ぶことになると思います。是非、お買い求めください。
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超格差社会に進む中国と共産党の責任
2012-08-25

毛沢東と朱徳
常に大胆で根底的な発言で知られるブルームバーグのコラムニスト、ウィリアム・ペセック氏が中国で進行する超格差社会に警鐘を鳴らしている。
平等と人道を目指していたはずの共産党は、いったい何処へ行ってしまったのだろう。
このまま格差拡大の歯止めがかからなければ、世界の政治経済の不安要素になるだろう。
多党制や選挙制が可能性を見いだせないなら、今の政治体制でも本来の共産党の精神を起こさなければならないのではないか。
ーーーーーーーーーーーーーー
超格差社会の中国、必要なのは真の共産主義-W・ぺセック 8/24 ブルームバーグ
中国共産党はその名を返上した方がいいかもしれない。
重慶市のトップだった薄熙来氏の妻に対する有罪判決と中国の貧富の格差が誰もが思うより大きかったという今週の2つのニュースは、人口世界一の国を率いる政治体制が国民の平等を全く保証していないことをあらためて示すものだ。
この2つのニュースは一見するより密接な関係があり、中国も国民の1%の富裕層が残る99%から富を吸い上げるという問題を抱えていることが分かる。
英国人ビジネスマンを殺害した罪で執行猶予付きの死刑判決を受けた薄氏の妻、谷開来被告のスキャンダルが経済面から語られることはあまりない。
重慶市共産党委員会書記を解任された薄氏の政治生命が注目されがちだが、焦点は胡錦濤国家主席が中国を10年率いた後の共産党と不安定な政治を覆う制度的な腐敗に絞られるべきだ。
薄氏をめぐる一連の騒動は、公務員汚職の深刻さと必要な経済・政治改革がいかに遅れているかを浮き彫りにする。
名ばかりの共産主義者が集う党の政治家が積み上げた腹立たしいほどの富は厳しい視線を集めている。
公務員として慎ましい給与を受け取り、妻は働いていなかったと言う薄氏だが、ぜいたくな暮らしぶりと息子を高額な海外留学に行かせたことはどう説明するというのだろうか。
どのようにして谷被告の親族は総額1億2600万ドル(約99億円)を超えるさまざまな事業を運営するようになったというのか。
世界最大
政治が極めて実入りの良い仕事になっているということが問題だ。党員約8000万人を抱えるという中国共産党は世界最大の政党だ。
その中核が25人の中央委員会政治局委員で、その中にはさらに全権を握る9人の常務委員がいる。
政権中枢の権力者全員が汚職にまみれることはないかもしれないが、一部の権力者が築き上げた巨大な金融帝国と政治家の資産をめぐる透明性の欠如は注目されるべきだし、必要に応じ法的措置が取られるべきだ。
中国の富豪を調査したリポート「胡潤百富」によれば、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の最も裕福な代表70人は2011年に銀行口座に持つ資産をほぼ900億ドル増やした。
この増額分は米国の大統領と閣僚、9人の最高裁判事、連邦議会の全535議員を合わせた純資産より多い。
疑問の残る土地収用やインサイダー取引などを通じ富を増やす政治家が増えれば増えるほど、経済改革を断行する意欲は衰える。
海外銀行口座の資産が膨らむのに伴い、政治が顧みられれなくなるのだ。こうしたことすべてが中国の貧富の格差を拡大させる。
経済モデル
3月に失脚した薄氏はその直前、貧富の格差が危険水域に達したと警告していた。
中国農村部の貧富の格差が昨年、社会不安につながると国連が警告する水準に近づいたと国営の新華社通信が今月21日に報じたことは、薄氏が正しいことを証明している。
新華社は華中師範大学の中国農村問題研究センターが実施した調査を引用し、所得分配の不平等さや富の偏在を示すジニ係数が0.3949と国連が警戒水準とする0.4に迫っていると伝えた。
係数はゼロに近いほど格差が少ないことを示す。
胡政権の10年間は中国は急速な経済成長をもたらしたが、最低生活賃金に頼る国民を豊かにするために必要な改革ほとんど行われなかった。
輸出と安価な労働力、持続不可能な水準の投資がけん引するだけの経済モデルを変えるやり方を見いだせず、インターネットや報道をめぐる規制も緩和していない。
戦略的な公害対策も策定されなければ、指導者の説明責任も高まっていない。
政権移行
薄氏をめぐる騒動の真相は極めて複雑だ。ただ薄氏の真の罪はその野望だとの意見が大勢だ。
解任されるまでの薄氏は政界のロックスターとでも言うべき存在で、年内に始まる胡主席から習近平国家副主席への政権移行の妨げになるとの懸念されていた。
中国にとって重要な節目となる今年の薄氏追放は規律と忠誠心、そして現状維持の強化に他ならなかった。
世界経済が悪化している今、これは問題だ。中国は不均衡な経済の再調整を軽視しているように見える。
政治についても同じことが言えるだろう。
国民の99%のニーズと願いをもっとくみ上げる政治体制にすることが必要だ。
富める者が貧しい者を踏み台にして富を増やし続けるようなら、中国は真の意味での共産主義国になる必要がある。(ウィリアム・ペセック)
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三党談合で弱者切捨ての社会保障抑制法
2012-08-25
民自公の三党談合で消費増税をとおしたどさくさ紛れに、「社会保障改革推進法」なる「会議の設置法」が通ってしまっている。
マスコミが消費増税のあとはオリンピック、露中韓の領土問題に国民の目をくらます中で、報道されていない。
「会議の設置法」のはずが、議論の前提と方向性を規定した「論議の枠規制」の法になっているのである。
内容は極めて反国民的で、弱者切り捨て、国民分断をめざす代物である。
三党談合の「成果」なので、国会での論議はほぼ何もなかったようである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
社会保障改革推進法の実態は 自助強調 弱者切り捨て 8/24 東京新聞こちら特報部 書き起こし「大友涼介のブログ」から
社会保障制度改革推進法が二十二日に施行された。社会保障の在り方を議論する国民会議の設置が柱だが、問題はその理念。
「自助」の必要性を強調し、国に頼らず、自分でなんとかしてくれと主張している。日本の社会保障の分岐点になる法だが、消費税増税に隠れ、さほどの議論もなく成立。野田政権には、国民を錯覚させる「ゴマのハエ」法が多過ぎないか。(小倉貞俊記者)
※デスクメモ 財政悪化の中、国に期待できない現実。それがなければ生きていけない人もいる事情。そこを議論すべきなのにそれもないまま、抑制の方向だけを示す政府のやり方が気に入らない。
「自助」も嫌な言葉だ。そうできない人を厄介者とみなす空気も出てこないか。しかも、消費税率は上がるのだ。(栗デスク)
※社会保障制度改革推進法案 http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18001024.htm
***
「この法は社会保障制度改革ではなく、抑制法だ。社会保障はどうなってもいいといわんばかりの内容だ」。社会保障の充実を訴える「生活保護問題対策全国会議」事務局長の小久保哲郎弁護士は批判する。
同法は消費税率引き上げを柱とする「社会保障と税の一体改革関連法」のうちの一本で、年金や医療制度の抜本改革を議論する国民会議の創設を目的にしている。
単なる会議の設置法がなぜ「抑制法」と批判されているのか、その理由は同法の中に今後の社会保障改革の方向性がまともな議論もないまま、「基本的な考え方」として明記されていることにある。
しかも、その方向性として社会保障費の抑制を明確に打ち出している。国民会議で議論するといっても、政府の答えはもはや出ているというのが、小久保氏や同法に反対する市民の見方だ。小久保氏は「メンバーは御用学者ばかりが選ばれ、社会保障費抑制の結論ありきで進むことになる」と批判する。
問題の法を小久保氏と読み解いてみよう。一条の国民会議の目的を説明する部分では、社会保障費の増大の結果、国と地方の財政状況が悪化していることを強調。
二条は「社会保障改革は次の事項を基本として行われる」と説明した上で、一項に「自助、共助及び公助」の適切な組み合わせを留意し、「国民が自立した生活を営むことができるよう家族相互、国民相互の助け合いの仕組みを通じて、実現を支援する」と明記している。
分かり難いが国や地方による公助に期待しないで、自分でもなんとかしてくださいとの態度だ。小久保氏は「自助、自己責任を強調して、社会保障に対する国の責任を弱めようとしている」と指摘する。
続く二項はもっと露骨で「税金や社会保険料を納付する者の立場に立って、負担の増大を抑制」と言い切っている。
税金を納付する者の立場という表現には、税金が払えないほど困窮している社会的弱者を軽視するかのニュアンスがある。
同法の付則には生活保護制度の給付水準の見直しも明記されているが、これも「自助」の象徴だろう。
■反貧困を訴え 官邸前で抗議
「自助できないからこそ、生活保護を利用している人がいる。病気や障害を負うことは責めを負うことなのでしょうか」。毎週水曜日、首相官邸前で貧困問題を訴える「このまますすむと困っちゃう人々の会」のメンバーの小松千矢子さん(50)はこう語る。小松さんは鬱病で会社を辞め、一時、生活保護を受けた経験がある。
「生活保護は最後の最後に人間の暮らしを守る安全ネット。それを削ることは許されない」。自分でなんとかして、納税者のことを考えて。同法に示される政府の考え方に対し、社会的弱者は突き放されたような不安を覚える。
■日弁連「憲法の生存権に抵触」
同法の「自助」を力説する部分に対して、憲法違反ではないかとの批判も出ている。日本弁護士連合会は「憲法に抵触する恐れがある」(山岸憲司会長)と指摘する。
「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」。憲法二十五条はこう規定している。
国民の生存権を担保しているが、同法の「自助」などは「国の責任を個人の自立支援に矮小化するもので、国による生存権保障、社会保障制度の理念そのものを否定するに等しい」というのが山岸氏の見方だ。
憲法違反の疑いまで出ている法がさほどの議論もなく、なぜ成立したのか。
自助を主張する自民党とは違い、民主党は公助の大切さを訴えていたのではないか。謎を解く鍵は民主、自民、公明三党の協議にある。
三党の協議は消費税増税の是非に特にスポットが当たった。増税をなんとして実現したい野田首相は自民の同調が欲しいため、自民党のアイデアをそのまま採用。この中に、社会保障費の抑制を訴える同法の原形が含まれていた。
「自助、公助かは、政党の基本スタンスを決定する問題だが、野田首相は増税実現のため、自民党の主張を容認してしまった」。千葉科学大学の小枝義人教授(日本政治)はこう分析する。
しかも、その後、この問題に関する議論がほとんどない。三党は六月二十一日に同法を含む一体改革関連法の修正で合意。
そのわずか五日後、三党の賛成多数で衆院を可決。三党で合意し衆院を通した以上、参院にも内容を見直す空気はなく、そのまま、八月十日に参院で可決し、成立した。
■どさくさ紛れ 議論なく成立 「ごまかし法」連発政権
「ゴマのハエ(もしくはハイ)」とは紛らわしいことをいいことに人目を欺いて、金品を奪う盗人のことを意味する。
「護摩の灰」「胡麻の蝿」と書く。
野田政権には今回のように十分な国民議論もなく、当初の精神とは似ているようで異なる法がドタバタの中で成立するケースが複数ある。
六月二十日に成立した原子力規制委員会設置法に、原子力の研究、利用の目的に「国民の生命、健康及び財産の保護」などに並んで、「わが国の安全保障に資することを目的として」との表現が加わった。
将来的な軍事利用にもつながりかねないが、三党協議で自民党が主張して、野田政権が容認した。
派遣労働者の待遇向上のための改正労働者派遣法もそうだ。
もともとは製造業派遣や登録型派遣も原則禁止する方向だったが、自民党が反対し、原則禁止の定めはなくなった。
法を成立させたい野田政権と、ねじれ国会の中、本来は民主党とは考えが異なる自民党の意向を聞かなければ、それが実現できない現実。
しかも、三党による密室での判断。これが「ゴマのハエ」法が成立しやすい実態だ。
小枝氏は「自助」に対し一定の理解を示す一方、「こうした三党のやり方は非常に無責任だ。法成立を優先する野田首相は自民党の言い分を丸呑みしたがる。その上、三党で決定したことだとして、国会審議が形骸化しやすくなる。結果、国民にはよくわからないまま、成立してしまう」と述べた。
マスコミが消費増税のあとはオリンピック、露中韓の領土問題に国民の目をくらます中で、報道されていない。
「会議の設置法」のはずが、議論の前提と方向性を規定した「論議の枠規制」の法になっているのである。
内容は極めて反国民的で、弱者切り捨て、国民分断をめざす代物である。
三党談合の「成果」なので、国会での論議はほぼ何もなかったようである。
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社会保障改革推進法の実態は 自助強調 弱者切り捨て 8/24 東京新聞こちら特報部 書き起こし「大友涼介のブログ」から
社会保障制度改革推進法が二十二日に施行された。社会保障の在り方を議論する国民会議の設置が柱だが、問題はその理念。
「自助」の必要性を強調し、国に頼らず、自分でなんとかしてくれと主張している。日本の社会保障の分岐点になる法だが、消費税増税に隠れ、さほどの議論もなく成立。野田政権には、国民を錯覚させる「ゴマのハエ」法が多過ぎないか。(小倉貞俊記者)
※デスクメモ 財政悪化の中、国に期待できない現実。それがなければ生きていけない人もいる事情。そこを議論すべきなのにそれもないまま、抑制の方向だけを示す政府のやり方が気に入らない。
「自助」も嫌な言葉だ。そうできない人を厄介者とみなす空気も出てこないか。しかも、消費税率は上がるのだ。(栗デスク)
※社会保障制度改革推進法案 http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18001024.htm
***
「この法は社会保障制度改革ではなく、抑制法だ。社会保障はどうなってもいいといわんばかりの内容だ」。社会保障の充実を訴える「生活保護問題対策全国会議」事務局長の小久保哲郎弁護士は批判する。
同法は消費税率引き上げを柱とする「社会保障と税の一体改革関連法」のうちの一本で、年金や医療制度の抜本改革を議論する国民会議の創設を目的にしている。
単なる会議の設置法がなぜ「抑制法」と批判されているのか、その理由は同法の中に今後の社会保障改革の方向性がまともな議論もないまま、「基本的な考え方」として明記されていることにある。
しかも、その方向性として社会保障費の抑制を明確に打ち出している。国民会議で議論するといっても、政府の答えはもはや出ているというのが、小久保氏や同法に反対する市民の見方だ。小久保氏は「メンバーは御用学者ばかりが選ばれ、社会保障費抑制の結論ありきで進むことになる」と批判する。
問題の法を小久保氏と読み解いてみよう。一条の国民会議の目的を説明する部分では、社会保障費の増大の結果、国と地方の財政状況が悪化していることを強調。
二条は「社会保障改革は次の事項を基本として行われる」と説明した上で、一項に「自助、共助及び公助」の適切な組み合わせを留意し、「国民が自立した生活を営むことができるよう家族相互、国民相互の助け合いの仕組みを通じて、実現を支援する」と明記している。
分かり難いが国や地方による公助に期待しないで、自分でもなんとかしてくださいとの態度だ。小久保氏は「自助、自己責任を強調して、社会保障に対する国の責任を弱めようとしている」と指摘する。
続く二項はもっと露骨で「税金や社会保険料を納付する者の立場に立って、負担の増大を抑制」と言い切っている。
税金を納付する者の立場という表現には、税金が払えないほど困窮している社会的弱者を軽視するかのニュアンスがある。
同法の付則には生活保護制度の給付水準の見直しも明記されているが、これも「自助」の象徴だろう。
■反貧困を訴え 官邸前で抗議
「自助できないからこそ、生活保護を利用している人がいる。病気や障害を負うことは責めを負うことなのでしょうか」。毎週水曜日、首相官邸前で貧困問題を訴える「このまますすむと困っちゃう人々の会」のメンバーの小松千矢子さん(50)はこう語る。小松さんは鬱病で会社を辞め、一時、生活保護を受けた経験がある。
「生活保護は最後の最後に人間の暮らしを守る安全ネット。それを削ることは許されない」。自分でなんとかして、納税者のことを考えて。同法に示される政府の考え方に対し、社会的弱者は突き放されたような不安を覚える。
■日弁連「憲法の生存権に抵触」
同法の「自助」を力説する部分に対して、憲法違反ではないかとの批判も出ている。日本弁護士連合会は「憲法に抵触する恐れがある」(山岸憲司会長)と指摘する。
「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」。憲法二十五条はこう規定している。
国民の生存権を担保しているが、同法の「自助」などは「国の責任を個人の自立支援に矮小化するもので、国による生存権保障、社会保障制度の理念そのものを否定するに等しい」というのが山岸氏の見方だ。
憲法違反の疑いまで出ている法がさほどの議論もなく、なぜ成立したのか。
自助を主張する自民党とは違い、民主党は公助の大切さを訴えていたのではないか。謎を解く鍵は民主、自民、公明三党の協議にある。
三党の協議は消費税増税の是非に特にスポットが当たった。増税をなんとして実現したい野田首相は自民の同調が欲しいため、自民党のアイデアをそのまま採用。この中に、社会保障費の抑制を訴える同法の原形が含まれていた。
「自助、公助かは、政党の基本スタンスを決定する問題だが、野田首相は増税実現のため、自民党の主張を容認してしまった」。千葉科学大学の小枝義人教授(日本政治)はこう分析する。
しかも、その後、この問題に関する議論がほとんどない。三党は六月二十一日に同法を含む一体改革関連法の修正で合意。
そのわずか五日後、三党の賛成多数で衆院を可決。三党で合意し衆院を通した以上、参院にも内容を見直す空気はなく、そのまま、八月十日に参院で可決し、成立した。
■どさくさ紛れ 議論なく成立 「ごまかし法」連発政権
「ゴマのハエ(もしくはハイ)」とは紛らわしいことをいいことに人目を欺いて、金品を奪う盗人のことを意味する。
「護摩の灰」「胡麻の蝿」と書く。
野田政権には今回のように十分な国民議論もなく、当初の精神とは似ているようで異なる法がドタバタの中で成立するケースが複数ある。
六月二十日に成立した原子力規制委員会設置法に、原子力の研究、利用の目的に「国民の生命、健康及び財産の保護」などに並んで、「わが国の安全保障に資することを目的として」との表現が加わった。
将来的な軍事利用にもつながりかねないが、三党協議で自民党が主張して、野田政権が容認した。
派遣労働者の待遇向上のための改正労働者派遣法もそうだ。
もともとは製造業派遣や登録型派遣も原則禁止する方向だったが、自民党が反対し、原則禁止の定めはなくなった。
法を成立させたい野田政権と、ねじれ国会の中、本来は民主党とは考えが異なる自民党の意向を聞かなければ、それが実現できない現実。
しかも、三党による密室での判断。これが「ゴマのハエ」法が成立しやすい実態だ。
小枝氏は「自助」に対し一定の理解を示す一方、「こうした三党のやり方は非常に無責任だ。法成立を優先する野田首相は自民党の言い分を丸呑みしたがる。その上、三党で決定したことだとして、国会審議が形骸化しやすくなる。結果、国民にはよくわからないまま、成立してしまう」と述べた。
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