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もうすぐ北風が強くなる

福島意見公聴会:遠藤さん

  8.1福島:エネルギー意見公聴会の発言 遠藤さん    書き起こし「kiikochan」ブログから

福島市の遠藤です。会社員です。
今日の朝刊に、わたしは、荒川のほとりに住んでいるんですかれども、
福島市の荒川が日本一きれいな水に今年も選ばれました」という記事が載っていました。

水の中には山はだから流れて込んださまざまな放射性物質も入っているでしょうから、
通常の基準で綺麗だというふに言われても、全く嬉しくないですし、
今の福島の川がね、日本一きれいだと言われても、何の感動もないし、
そういうものを今日のこの日に、まず朝刊で読まなきゃならなかったっていうのが、
朝から非常に腹立たしかったですね。

私は、30年ほど前に双葉町で、原発の増設をめぐっての公開ヒアリングがあった際に、
公開ヒアリングというのはそもそも欺瞞であって、
東電の社員とか、そういうのが潜り込んで、賛成意見しか述べない。

あるいは、買収された地元の人達が賛成意見しか言えないようなそういう欺瞞的な場であるから、
ヒアリングそのものが、ま、意味のないことであるという事で、
会場の外から批判した側の人間です。

そういう形で、原発については昔からずっと反対の立場で関わってきました。
そういう私が、今日は、名前は意見を聞く会ですけれども、そういう場に、
本来であれば単なる福島の、言ってみれば”ガス抜き”かと思えるようなそういう場で、
こういう意見を表明するというのは果たしてどうなのかという思いは、複雑な思いはあるんですけれども、
ただ、やっぱり、福島に住む者として、
最低限言いたいことというのは一人ひとりみんな腹に抱えていますし、
私もせっかくの機会ですから、言えることは言っておきたいという思いがあって応募したわけです。

実際に起こってはならないことが起こった訳ですから、
そういう中で私がここでこういう形でマイクを握っているという事も、
ま、あり得るんだなというふうに思っています。

起こってはならないことが起こってしまった訳ですけれども、
私たちはいずれこういう事は起こり得るんじゃないかというものとして、警告を発してきた側の人間です。
でも、あの事故を止めることができなかった。
認識の甘さ、それから運動の取り組みの弱さ、いろんな事を反省しました。

でも事故を起こした人たちは「想定外」って言っていますよね。
「起こらないはずだ」と思っていたんですよね。、政府も東電も。
でも起こったわけですよね。


一番反省しなければならない人は、私たちではなくて、
事故を起こしたあなた達なんじゃないですか!


一番反省しなければならない人が、
事故が収束も何にもしていないのに、なんで再稼働なんですか!


根本的に間違っていると思います!

言いたい事は沢山あったんですけれども、
もう1分前だというテロップが出ていますので、一言だけ言わせてもらいますけれども、

原発再稼働の是非という中で、ストレステストとか、耐震設計だとか、津波対策だとか
そう言ったことが言われていますけれども、
それの安全性も検証されていないのに、再稼働がなされているわけですけれども、

私が言いたいのは、原発っていうのは、
事故がなくたってそこで働く人は毎日被ばくするっていう事なんですよ。
被曝なしにあり得ないエネルギーってあるんですか!?


原発はウラン燃料を採掘する時から生成して、そして、運転して。
当然膨大な放射性廃棄物が出て、それを管理する。
全部被ばく労働ですよ!

被曝しなければ成り立たないエネルギーなんですよ!

そういう事実が今まで、みんな分かっている。
原発で働いている人は白血病だとか癌で死んじゃうんだとか、
そういうことをみんな常識として分かっているのに、
でも数字上は40年間で死亡労災認定がね、たった10人ですよ!あり得ない話でしょ!!

こういう形で、原発の被ばく労働というのは、実態が隠されてきたし、
で、それが今、収束作業のね、毎日2000人3000人という人が、
とんでもない形で、またそういう事に従事させられている訳でしょ。

それでまた再稼動ですか!

あり得ないでしょ!

命を削って仕事をしなければならない、
それが前提のエネルギーって何なんですか!?


15%だとか25%だとか、そういう数字の問題じゃないでしょ!

命を削ってやらなきゃならない、
そうやって作らなきゃならないエネルギーなんておかしいでしょ!


私が言いたい事はそういうことですよ。
責任を取れない人がね、そういう事に責任を取れない人が、
安易に再稼働とか言わないでください!


原発を安易に動かさないでください!!

責任が取れる人たちの手で、きちんと廃炉作業をしていかなければならないし、
後世にねきちんと安全な形で残していかなければならない。
私はそういうふうに思っています。

分かりましたか
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サプリメントのほとんどはでまかせ

 以前に「疑わしいサプリメントの効能と副作用」を掲載しましたが。仙台日赤のの岡山医師がそのブログに効能が疑わしいことのほかに、その宣伝広告によって社会的な論理性の劣化を招いていることも指摘しています。
 バナナ・ダイエットやら納豆やら騒動になるくらいですから、サプリメントのテレビ広告に騙される患者は多いので実感するのでしょう。
 関連「薬の犠牲、薬害を撒き散らす医師」も御覧ください。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
サプリの殆どはでまかせ。やめよう  岡山博氏のブログから

         サプリの殆どはでまかせで無効

サプリメント(健康補助食品)の効能の殆どはでまかせで無効す。
何に効くか、なぜ効くか、感想ではなく本当か、出演者の本当の感想で人に奨めることに責任を持つか、きちんとした説明をせず、少しでも怪しいのは全部でまかせ。
専門家を納得させる根拠や、質問にまじめに応える根拠を持たず、まじめに説明しようともしません。
専門家でなくとも、考えれば分かります。

有効とは言わず、あたかも有効であるかのような表現を使って宣伝して販売しています。

例1「XXX は体にいいのはわかっているけど、毎日摂るのはむずかしい・・・・」
本当に体に良い?どのように?なぜ?根拠は?どの一つでも不明確なら殆どでまかせです。
一部に正しいことを言えばよいのではなく、一つでも嘘があったらその主張は誤りです。
これはサプリに限らず、論理の基本です。

例2.酵素やコラーゲンは何百~何千のアミノ酸が結合した大きな蛋白です。
蛋白は飲んでも蛋白のままでは大きくて吸収されません。
アミノ酸まで消化されてはじめて吸収されます。
蛋白はアミノ酸に分解されたら蛋白の性質はなくなります。
アミノ酸は20数種しかなくどの蛋白にも含まれているから、肉・卵・魚・牛乳からアミノ酸(蛋白)を摂るのと同じことです。
肉を食べたらそのアミノ酸が肉に、コラーゲン(スジ肉の主成分)を食べたらコラーゲンになるわけではありません。

大豆の蛋白を食べても体内で大豆の蛋白が出来ないことと同じです。
同じ種類のアミノ酸であれば、元の食品が何であっても全く同じで違いはありません。

それぞれの蛋白はどのアミノ酸を多く含むかは決まっていますが、全体を平均すれば同じです。

老化して皮膚のコラーゲンが減るのは材料不足が原因ではなく、作る能力の不足なので、材料を余計に食べても意味がありません。
皮膚に塗っても吸収しません。

吸収しやすいように「小さなペプチド」にしたらコラーゲンではなくなります。

コラーゲンを仮に外から皮膚に入れたとしても皮膚の構造にはならず異物になるだけです。

アミノ酸は蛋白の材料・栄養として大切です。塩も脂肪も水も大切なのと同じです。

それぞれのアミノ酸は材料として他のアミノ酸の代わりにはなれませんから、20数種のアミノ酸を全て摂るのが望ましいですが必須アミノ酸以外は、不足すると、他の栄養を使って体の中で作ることも出来ます。
牛乳や卵は全てのアミノ酸を含む蛋白食品という点ではほぼ完璧です。

アミノ酸には蛋白の材料になる以外の役割もあります。
だからそれぞれのアミノ酸の1種類だけをとりあげて、重要性を言うことはできます。

しかし普通に蛋白を摂っていれば食物の中に全てのアミノ酸が十分含まれています。
だからあるアミノ酸を特別工業的に作って、薬のように準備して余分に取る理由はありません。

20数種類のアミノ酸の1つを工業的に別々に作って、おいしくもないのに金を出して摂るべきものではありません。
アミノ酸やビタミン、微量元素などは、食品の一部で普通に食品に含まれています。

飢餓に苦しむアフリカの子どもに与えたら絶大な価値がありますが、サプリを買う余裕がある日本人なら、通常食物から十分に摂っています。

走るためにはエネルギー(カロリー)が必要だと言って80歳の人に余分に栄養を与えても20歳の人のように走ることはできません。
普通に食事している老人に、余分にカロリーを摂らせても、その分早く走ることも、心臓を強くすることも出来ません。
それと似ています。

食品以外のサプリは、薬理効果を狙っているので、さらに殆どはでまかせです。

例3.伝統的治療法には、3000年の昔から「血行をよくする」というものが多いです。
昔はそのときの全知識を使って良く観察、考え推測して結論を出したのでそれで悪くない。
しかし現在は血流であれば、20年以上前から簡単に測れるようになっています。
測定もせずにでまかせを言って根拠にしています。検査し測って確認して言うべきです。
測定したら殆どは血流増加がないことが分かります。

もしどこかの血流が増えれば、心臓から血液の拍出量が増えて心臓の負担を増やしたり、その分他の臓器の血流が減るかですが、どう考えるか私が知る限り、説明をしているものはありません。

         サプリメントを宣伝し販売することの問題

サプリメントに関して考えるべきことは、新興宗教に対する注意と共通しています。
不安に付け込み欺いて儲ける。

薬理効果はないから「個人の感想」を紹介して宣伝しています。
以前は薬事法その他でこのような宣伝は禁止されていました。
「個人の感想を言うのは自由だ」といって「規制緩和」しました。

効果がありえない事を、個人の感想として有効であるかのように欺く宣伝が氾濫しています。
出演者が「サプリで効果あった。よくなった。個人として人に薦めたい」というなら、企業から金をもらわず、自費で放映料を払って発言すべきです。

企業の代弁ではなく個人意見であるなら、個人で内容に責任持つべきです。

自分の考えとして言っているのか、台本どおりに言っているのかをはっきりすべきです。
不特定多数に対して発言するなら、その覚悟と自覚を持って言うべきです。

台本によってではなく個人として、無効なのに有効と説明して金を得れば、首謀は官僚と企業ですが、出演者も詐欺で共犯です。

台本に沿っての発言であれば、個人の感想ではなくなるので、放送や紙面に載せて宣伝するのは法律違反です。

          人と社会の健全性をを害する

無効なサプリの無責任宣伝は、以下の害悪を社会にもたらしています。

有効でないのにサプリを使えば、経済的に浪費であると共に、論理的に判断する姿勢と能力、人としての自覚・覚悟・知性を劣化させるという意味でも有害です。

でまかせや嘘を言って儲ける人が批判されず、逆に幅をきかす社会は、まじめな人や、信頼や誠実を無視・軽視する嘘・恫喝・暴力が力を持つ不健全な弱肉強食社会の基盤になります。

最近は製薬会社も、意味のないサプリを販売するようになりました。

製薬会社は、蛋白のままでは吸収されないことや、特定のアミノ酸が不足していないこと、その他有効性を疑わせるたくさんのことを知っているのに、有効と証明もせずに有効であるかのような宣伝をして販売しています。

「人=社会と消費者を偽る」という一線を越えた製薬会社が、製薬事業をするようになりました。
体への作用を偽って商品を売る製薬会社が、医療にとって不可欠の製薬事業をして良いだろうか?

このような意味でも、サプリ氾濫は医療と社会のまともさ、誠実・健全を損なっています。

厚生労働省が絡んでいることも国の行政の健全性が損なわれている結果でもあり、健全性を阻害する原因にもなっています。

サプリを買う人が、健康対策、医療費のように考えて出費している現状は、まともな医療を破壊します。

無効なサプリの無責任宣伝は、以下の害悪を社会にもたらします。

1.莫大な浪費。日本の医療費は年間30兆円です。
病院や診療所の医師・看護師、検査技師、リハビリ技師、栄養士・事務職員の人件費や、病院施設の建設維持費用、薬剤費、検査費用、入院費用全部合わせて30兆円です。低く設定された医療費(病院収入)の為多くの病院と職員が疲弊しています。
サプリで国民が使うお金は年間15兆円。まともな医療費に回すべきです。

2.人を欺く宣伝氾濫と詐欺的儲けを容認しているために、人と社会の健全性を破壊しています。
サプリを使うことが、空気に流されて論理的に考え判断する能力と自覚を阻害しています。
製薬会社やサプリ企業は、サプリを売るために道義性と責任感を放棄しました。
そのような会社は社内で、社員が、会社の道義性を話題にすることは困難になっていると思います。。

この10年、日本の人と社会の劣化が著しいです。

サプリの氾濫は、健全な医療にかかる費用を抑えたまま、浪費をして、日本人と日本社会を劣化させている一因になっています。
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国際金融資本の歴史と米中関係

HSBCロンドン世界本部 Goldman_SachsNY本社
 HSBCロンドン世界本部      Goldman Sachs NY本社

 アメリカと中国は対立と緊張をはらみつつも、強力な相互依存の関係にある。
 その意味で日米関係とは異なるし、また日中の関係とも異なる。
 産業革命と帝国主義の中で、欧米列強は中国を植民地化したが、その欧米を支配する国際金融資本「家」と欧米列強もまた依存と矛盾の関係にあった。
 そして現在、国際金融資本と軍産複合体の依存と矛盾が米中を軸として動き出している。
 文中改行段落分けと(* )は引用者による。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
   米中関係をどう見るか   8/3  田中宇

 私が今年5月に北朝鮮を訪問した(*北朝鮮はどこへ向かうか:田中宇同じく(2))のは、慶応大学経済学部の大西広教授に誘われたからだったが、その大西教授の誘いで、8月3日に北東アジア学会の会合で「米中関係をどう見るか」と題する講演を行うことになった。
 講演に際し、米中関係をどう見るか、私なりに再考してみた。

 私は根本的に考えるのが好きなので、米中関係をどう見るかを考えているうちに、近現代の世界をどうみるかという基底部分の思考に行き着く。
 米国も中国も、近現代ならではの国家だ。18世紀末に英国から独立した米国という国家は、資本家主導の、近現代の産物である。
 孫文以来の中国も、古来の中華帝国をどのように近代国家に変身させるかという近現代的な試みだ。

 私なりに定義すると、近現代とは、産業革命と国民国家革命を進展させる時代のことだ。
 産業革命によって大量生産の工業が生まれ、大量生産したものを買わせる消費者(富を持つ人々)を増やさねばならないという、人類史上初の事態が起きた。
 それまで支配層が、農業生産をやらせる群衆としかみなしていなかった世界中の貧農、農奴、貧乏人を、消費者や中産階級に仕立てていく、新たな世界的事業が始まった。
 支配層から見て、農奴は貧乏でかまわないので極限まで搾取したが、消費者には金を持たせねば工業が発展しないので賃上げなど待遇改善する必要が出てきた。
 人々を貧農から工業労働者に転職させ、賃金を払って消費させ、工業製品を買わせるという経済循環の構図を世界に拡大し、儲けを世界的に増やすのが、資本家の目標となった。これが近現代の始まりだ。(*義務教育と徴兵制は産業労働の訓練である。)

 資本家は個人(欧州では主にユダヤ人)だが、産業革命は国家的な事業だ。
 産業発展に必要な交通や通信などのインフラ整備は、私企業でなく、国家がまとめてやるのが効率的だ。
(*資本主義とりわけ信用創造と国家暴力については「通貨、金利と信用創造の特殊な性質」を御覧ください。)

 国家を豊かにするには、人々に喜んで納税させる必要がある。農奴として搾取していた人々を「国民」「主権在民」などといっておだてて教育(洗脳)すれば、人々は国家の主人としての「自覚」を持ち、国家に忠誠を尽くし、喜んで納税し、兵役に就く。(*農地改革≡自営農民創出と普通選挙権制度。)
 国民国家(国民主権が建前の国家)は、それまでの、やる気のない農奴を無理やり働かせた生産性の低い絶対君主制国家よりもはるかに強く、富が蓄積された。
 近現代は、世界中で産業革命と国民国家革命(植民地の独立)が起きる時代になった。
 (*国際金融資本と産業革命、帝国主義と国民国家の関係については「国際金融資本の成立」を御覧ください。)

 絶対君主国家を国民国家にするには、支配層の王侯貴族が、名目上だけでも権力を手放し、国民に権力がある形にしなければならない。
 支配層は権力を放棄したくないので、主権在民は国民にそう思わせておくだけの詐欺的な建前の構図だ。支配層は、国家の権力を隠然と握り続ける。
 あらゆる民主主義国には、その国の支配層が隠然と権力を握り続けられるよう、見かけ上の民主化だけやって、真の民主化を阻む何らかの仕掛けが存在する。

 各地の国家の権力が隠然化することは、欧州の資本を握っていたユダヤ商人にとっても都合が良い。
 欧州のユダヤ商人は近代以前、非キリスト教徒として弾圧されたがゆえに、欧州各地の王侯の目立たない顧問役(投資指南役)として、絶対君主国家を資本面から隠然と握ってきた。
 世界中が似たような形式の国民国家になり、権力構造が隠然化すると、欧州の資本家が各地の国民国家の権力構造の上の方に入り込みやすくなる。
 社会主義国も、権力中枢が独裁で不透明なので、入り込みやすさの点で国民国家と大差ない。

 全欧に広がった産業革命と国民国家革命によって、欧州は他の地域を圧倒する覇権地域となり、今に続く欧米中心の世界体制が始まった。
 中でも英国は、世界で最初に産業革命をやった国として、真っ先に経済発展し、謀略的に強い外交力と相まって、仏革命後のナポレオン政権を倒した後、他の欧州列強より強い、世界的な覇権国となった。
 しかし同時に英国の覇権戦略は、これ以降、英国の国益(英国の世界支配力)を最大限にするための戦略と、資本家の世界的な利益(世界経済全体の成長)を最大限にするための戦略の2つに分裂していくことになった。

 前者の戦略は、世界中に英国と同じぐらいの大きさの国家を無数に作り、英国をはるかにしのぐ国力を持つ大国が出てこないようにして、世界における英国の優位を維持した。
 ナポレオン戦争時のスペインの無政府状態に乗じ、中南米は小さな国々に分割された上で独立した(ブラジルだけは、宗主国のポルトガルがナポレオン戦争時も存続したので分割されず、大国として残った)。
 アフリカは、独仏などを誘って欧州列強間の植民地争奪戦が起こされ、その過程で無数の小国に分割された。
 英国は、アフリカの次に中国の分割を企図し、日仏独なども誘って、揚子江流域は英国、広東はフランス、山東はドイツ、満州はロシアや日本というように、列強が中国の各地域に影響圏を設定した。
 だが、この構想を進めている間に、欧州列強どうしが共食いして自滅する第一次世界大戦が起こり、英国は中国分割構想を果たせなかった。

 英国が世界を細かく分割することに完全に成功していたら、英国が覇権国として世界を支配する状況が恒久化していただろう。
 そうなっていたら、英国の国家自身にとって都合が良いが、英国の覇権運営の中枢を担っていた資本家(主にユダヤ人)にとっては、英国に幽閉されたも同然の状態になる。
 欧州の資本家は、15世紀から18世紀にかけて、スペイン、オランダ、英国と移動し、可能性のより大きな国に覇権を持たせる「覇権ころがし」をやっており、全欧的なネットワークを持った、国家から自由な存在だった。

 英国だけが永久に覇権国である状態は、ユーラシアの内陸部など、英国が危険視した地域の発展が阻止されることにつながり、その点も資本家にとって好ましくない。
 英国の覇権戦略の内部には、英国という国家の利益を最大にしようとする「国家の論理」もしくは「帝国の論理」と、資本家や世界経済全体の利益を最大にしようとする「資本の論理」が別々に生まれ、相克を引き起こす状態になった。
 これは、世界の産業革命化を誰の利益のために使うかという相克・暗闘であり、今に続くものだ。

 産業革命とフランス革命が起きていた1776年に英国から独立を宣言した米国は、資本の論理に沿って動ける大国を作る、資本家による試みだったと考えられる。
 米国の独立後、資本家がロンドンからニューヨークに移り、NYの方が世界的な金融センターになった。
 第一次大戦で英国など欧州列強が共食い的に自滅すると、米国は、戦後の世界体制として国際連盟を作り、欧州列強の植民地をすべて独立させ、国際連盟で1カ国1票の世界政府的な新世界秩序を作ろうとした。

 だが、それに協力すると言って入り込んできた英国が、米国よりも上手の外交力を使って新体制を機能不全に陥らせ、国際連盟の体制は失敗した。
 米国はそっぽを向いて孤立主義に入り、その間にナチス政権のドイツや日本が台頭して英国覇権を潰しにかかり、第二次大戦が起きた。
 英国が日独に潰されかけた時、英国が米国を騙さずに覇権移譲する条件で米英間の協調が再結成され、米国が参戦して日独を打ち負かし、今度は米国に国際連合を作って、米国好みの世界政府的な新世界秩序を打ち立てた。

 国際連合の世界体制は、安保理の常任理事国として米国、欧州(英仏)のほかにソ連と中国が入っており、従来の欧米中心体制を離脱する「多極型」の世界秩序だった。
 だが英国はしぶとく、国連ができた翌年の1946年に英チャーチル首相が訪米中に放った「鉄のカーテン演説」を皮切りに、米国の軍事産業やマスコミ(軍産複合体)を巻き込んで、米欧とソ連中国を敵対関係に陥らせる冷戦体制が築かれた。
 米国の上層部は、多極型の世界秩序を希求する多極主義者と、英国覇権の発展型ともいえる冷戦型の世界秩序を希求する軍産複合体との暗闘となった。

 軍産複合体は非常に強く、多極主義者は正攻法でやっても勝てないため、軍産側の冷戦戦略(もしくはその後継戦略である「テロ戦争」や「中国包囲網」)を過剰に推進して失敗させ、米国の覇権を自滅させ、覇権体制を冷戦型から多極型に転換させる策略が採られた。
 ベトナム戦争やイラク侵攻など、過激で稚拙な好戦戦略は、隠れた多極主義戦略だったと考えられる。
 経済面でも、ドルや米金融界の経済覇権を自滅させるリーマンショックとその後の米当局の稚拙な対応が採られ、米国の覇権は自滅しつつある(資本家は長期の儲けや世界経済の成長を重視しているようで、短期的にNYの米金融界が破綻しても良いと考えているようだ)。
 一方、いずれ立ち上がる多極型世界を担う中露やインドなどがBRICSを構成して結束している。大英帝国と資本家の百年の相克は、資本家の優勢になっている。
 (*BRICSの概念を国際金融資本の手兵であるゴールドマン・サックスが言い出したのは偶然ではない。)

近現代史の全体像をふまえて各国を見る

 一見、米中関係に関係ない近現代史の全体像を延々と書いてしまった。これは私が今まで何度も書いていることでもあり「またお得意の隠れ多極主義化よ」とうんざりした読者もいるかもしれない。
 だが、この近現代史の全体像をふまえないと、米国や中国(や日本)が、どのような立場に置かれた国であり、米中や日米の関係がどういうものであるか、深く分析できず、浅薄な見方に終わってしまう。読者にうんざりされても近代史の全体像を書かざるを得ない。
 この全体像の上に立つと、米国や、アヘン戦争以降の中国、明治維新後の日本がどんな国なのか、米中関係をどう見るかといったことが、ダイナミズムをともなって見えてくる。

 米国がどんな国かは、すでに書いた。大英帝国の覇権勢力のうち資本家層が、帝国の戦略的束縛から逃れるために、英国から分離独立した国であり、第二次大戦後に英国から覇権を譲渡させたものの、英国にとりつかれて暗闘の60年間をすごし、911以来の過剰な好戦戦略の末、世界秩序を資本家好みの多極型に転換しかけている。
 今後の米国は、金融以外の経済分野の没落が続き、地方政府から中央政府へと財政破綻が広がり、貧富格差がひどくなり、そのうちに金融危機も再燃し、ドルは基軸通貨としての地位を失うだろう。
 ただし長期的に、世界が多極型に転換した後、米国は西半球(南北米州)を率いる国として、経済的、政治的に再台頭するかもしれない。

 一方、アヘン戦争以来の中国は、古来の中華帝国の国家システムを、国内を分裂させず、欧州列強の分割戦略を乗り越えて、何とか(擬似的な)国民国家に転換する試みをやっている。
 辛亥革命後、国民党は中国を民主的な体制にしようとしたが、国内が多様すぎるうえに、欧米的な民主主義の考え方を定着させることが難しかった。
 代わりに導入されたのが、単一のナショナリズムを創設できない国々(多くの途上諸国)にうってつけの擬似的な国民国家制度である社会主義の体制で、国民党も共産党も社会主義を標榜した。

 しかしこれも、毛沢東の文化大革命に象徴されるようにうまく導入できず、最終的にトウ小平が経済だけ資本主義(市場経済)を導入する改革開放を開始し、一党独裁のまま経済のみ開放し、ようやく産業革命を進展させている。
 中国政府は最近まで、あと20年ぐらい発展途上国として国内の経済発展のみを重視していこうと考えていたが、米国覇権の失墜を受け、東アジアの地域覇権国として国際政治上、台頭せざるを得なくなっている。
 中国は国際政治に対し、ロシアよりずっと野心が少なかったが、米国主導の国際秩序が崩れていく事態が、中国を国際台頭の方向に引っ張っている。

 米国は、百年前の辛亥革命以来、中国を民主的な国民国家(共和国)にしようと引っ張りあげることを断続的に続けてきた。
 辛亥革命を率いた孫文の兄(孫眉)は米国ハワイの華僑であり、米国はそのルートで孫文を支援して国民国家革命をやらせたと考えられる。
 国際民主主義(世界政府)もしくは多極型の世界体制を希求してきた米国は、中国を、太平洋の対岸の、自国の鏡像的な戦略的伴侶に仕立てようとしてきた。
 中国は人口が多く、欧州と並ぶ歴史的大文明の国だ。そのため米国は、中国を、世界政府内の重要な立場の国に仕立て、中国を、米国自身やEU、ロシアと並び、多極型世界を担う勢力にしようと引っ張り上げてきた。

 米国が中国を引っ張り上げる際には、米国が過激な好戦戦略によって自滅することで覇権を多極型に転換させる隠れ他局主義の戦略が繰り返されている。
 1970年代には、米国が自滅的なベトナム戦争後、ニクソン訪中によって中国との関係を正常化し、同時期に国連の代表権は台湾から中国に移った。近年では、過激で自滅的なイラクとアフガニスタンへの侵攻後、米国の覇権衰退とともに、国際社会における中国の立場が強くなっている。
 昨年からの米政府のアジア重視策(中国包囲網)も、中国を怒らせて台頭させようとする過激な好戦戦略に見える。
 つまり私から見ると、米中関係の根本の線は、米国が中国を自国と並ぶ大国に引っ張り上げ、世界秩序の多極化に貢献させようとしていることだ。

 ここから蛇足だが、今回分析した近現代史の全体像から見ると、日本はどういう国なのか。 
 私から見ると、明治維新は、英国が日本を引っ張り上げることを好んだ結果、成功した。19世紀末から20世紀初頭の重要な時期に、アジア諸国で近代化(産業革命と国民国家化)に成功したのは日本だけだ。
 英国の隠れた支援がなければ、日本の明治維新も成功しなかっただろう。
 英国が日本を好んだ理由は、大英帝国の戦略として、ユーラシア大陸の反対側の海上に浮かぶ島国という英国にとって都合の良い場所にある日本を近代化させ、ロシアや中国といったユーラシア内陸部の国々と戦わせ、大英帝国の世界戦略であるユーラシア包囲網を維持発展させようとしたことだろう。

 日本は、英国のエージェント(代理人、手下)として近代国家に仕立てられた。
 二つの大戦の戦間期だけは、英国の覇権が衰退して日本は解き放たれ、大陸にできた覇権の空白を埋めて急拡大したが、英国が米国と再協調した後、日本は米英の策略に引っかかって真珠湾攻撃し、敗戦した。
 戦間期を除いた戦前も戦後も、日本がロシアや中国を敵視し続けるのは、英国(軍産英複合体)のエージェントとして当然だ。
 冷戦構造の中で、日本が米英の西側陣営の不沈空母として機能したことも自然な流れだ。

 だが今後、米国の隠れ多極主義が成功して世界秩序が多極化されていくと、日本を戦略的に重視してきた米英覇権勢力が衰退し、世界における日本の優位性が低下しかねない。
 日本は国際戦略の再検討を迫られている。
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