放射能も定年延長も、嘘の上塗りを続ける政府
2012-06-07
嘘の上塗り:放射能と定年の法律改定は政府の便宜のため 6/5 seetellから
theatlantic.comというサイトに、東北、福島からのがれきの廃棄について非常に興味深い記事が掲載されている。日本が抱える問題を際立たせている箇所をご紹介したい。政府が嘘をつき、約束を破る、ということについてだ。
政府の主張によれば、現在設定されている放射線の基準値であれば周辺住民の健康を危険にさらすようなことは一切ない、という。だが、この基準値は、福島の災害以降大きく緩和されてしまっている。
放射能は1キログラムあたりのベクレル、bq/kgという単位によって測定値が示される。日本の過去の規制では、100bq/kg以上のセシウムを含む核廃棄物は検査され、特別な容器に入れて廃棄されることになっていた。
しかし放射能汚染瓦礫(放射性廃棄物)の「拡散・焼却」スキームにおいては、240bq/kg から480 bq/kg までが基準値になっている。
これについて、少し考えてみよう。なぜなら、政府は、現在、一般の人々を危険な廃棄物にさらし、一方で過去においては放射性物質の廃棄という重荷を負う企業に対し、多大な経済的苦難を与えてきたからだ。
さまざまな政策のうちの一つは、嘘である。問題となるのは、どの政策が嘘なのかということだ。
このことは、昨年起きた原子炉の炉心融解のあと、政府は、原子力発電所で働く人々と子供に対する放射線被曝量の安全基準を上げたという事実とよく似ている。
そしてこの問題は、菅首相の核「専門家」パネルから小佐古敏荘内閣官房参与が辞任するという結果につながった。
小佐古氏はまた、政府が福島の原子力発電所が非常に危険な状態になると、発電所内で業務に当たる人々の被爆上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに大幅に上げて業務につかせ事故の収束を図ろうとしたことについて激しく非難した。
放射能専門家である小佐古氏はこうも言っている。「首相官邸と行政組織は場当たり的な政策ばかり作り上げ、モグラ叩きゲームでもしているようなもので、行政上の手続きを無視している。」
彼はまた、安全基準値の上限についてのガイドラインを強化すべきだと政府に迫った。教育省が近頃発表した、放射能が漏れ続けている原子力発電所を有する福島県内の小学校の校庭における放射能許容レベルについて危惧しているのだ。
文部科学省によって発表されたガイドラインは、「国際的に常識とされている数値とは整合性がなく、行政上の都合で決定された。」と小佐古氏は指摘する。-日経
では、何が安全で、何が国民と経済に対する、単なる過剰な官僚的、政治的コントロールだったのか。
比較的安全で平穏な時代に、政府が適切な基準を設定してくれるだろうと信頼していた親として、今、政府が言っていることには疑念がわく。
まして、東北からの放射能を含む有毒な廃棄物を受け入れさせるために政府が地方の政治家達を買収しようする以前には、元来放射能の影響を受けていなかった地域にとってはなおさらのことだろう。
さらに、政治経済のご都合主義のために従来の規制や約束を放棄する、という政府のパターンが繰り返されている別の問題も存在している。
読売新聞によると、年金制度に費やされる国の債務を減らすために、年金受給開始年齢の引き上げが導入されたと言う。
内閣は、年金受給年齢の早急な引き上げの検討開始は、急速な高齢化と慢性的に低い出産率を考慮すれば、年金制度の財源の安定化のためには必要なことだと見なしている。
厚生省はいくつかの計画を提出したが、その一つには年金受給開始年齢を70歳からに引き上げるという案が含まれている。すでに段階的に60歳から65歳に引き上げ始めている。
だが、この年齢あたりが年金受給開始年齢の上限ではないかと信じる人もいると思うが、実際にはヨーロッパについての最近のコメントによれば、この年齢をさらに引き上げるかもしれないという傾向が示されている。
ベンモシェ氏の発言によれば、「退職年齢は70歳か80歳にしなければならないだろう」なぜなら「そうすれば年金や医療サービスをより安価なものにできるからだ。若い世代の負担を軽減することにもなる」という。
AIG、アメリカン・インターナショナル・グループ株式会社(訳注;米大手保険会社)のプレジデント兼最高経営責任者であるベンモシェ 氏によるコメントだが、世界的金融システムを衰退させる、巨大すぎてつぶすことの出来ない銀行への経済的な緊急救済措置を強いるデリバティブの相手方として悪名高い人物である。
もちろん、若い世代がもっと楽になるだろうなどという考えは馬鹿げている。人々が現在の仕事をさらに5年、10年、15年と続けた場合、若者達はどこで働くのだろう。
それはちょうど、政府がより多くの女性が経済活動に積極的に参加することを推し進めることで、国家の経済成長を図ろうとするようなもので、何処に仕事があるのか、という疑問が残る、経済成長なしには、このようなスキームは機能せず、1990年代初頭以降、日本ではそのような成長など起こってはいない。
そして更なる経済成長などという見通しは日増しに薄まってもいる。特に、政府が根本的見直しをしないばかりか、その必要性や議論さえも拒んでいる中ではなおさらだ。
法律を変える(年金受給開始年齢を引き上げる)ということについての道徳的問題もある。
退職年齢が引き上げられると、より多くの人たちが退職年齢に達する前に亡くなってしまうだろう。技量のない、失敗した、不正直な政府にとっては、完全なる解決策といえよう。
このような方策は、政府が環境の変化に対応しているということではない。健全な政策が失敗したと認めている証なのだ。
放射能については、費用がかさみ、またロジスティクス上も非常に難しい、人々を避難させるという事態を、ただ避けるために安全基準を上げたに過ぎない。
政府が怠慢すぎて、一般の人々の安全を確保するために必要な一生懸命に働くということができず、ただ基準を下げただけなのだ。そして結果的には、人々を危険にさらし、国民を守るために示した、あるいははっきりと表明した約束を破っているのである。
福祉制度については、この制度を維持していくために必要な前提条件(安定した出生率と成長し続ける経済)は、この制度が現在の状況まで肥大してしまう前から、すでに崩れていた。
出生率はすでに過去何十年もの間減少の一途であったし、バブルの崩壊がすでに経済を悪化させていた。
政府が今になって慌てて問題を解決しようとして、人々に負担を強い約束を破るということは、制度の適切な計画と実行に政府が失敗したということを無視しているのだ。
議論したいのは、この制度は、非常に生活に困窮している人々あるいは追放された人々にとっては骨子となるセーフティーネットになるが、それ以外の人々にとっては、決して機能できないということだ。
社会のほんの一部の人しか支えることが出来ず、そして単に、この制度の資金を提供できる層が十分には存在していないのである。
theatlantic.comというサイトに、東北、福島からのがれきの廃棄について非常に興味深い記事が掲載されている。日本が抱える問題を際立たせている箇所をご紹介したい。政府が嘘をつき、約束を破る、ということについてだ。
政府の主張によれば、現在設定されている放射線の基準値であれば周辺住民の健康を危険にさらすようなことは一切ない、という。だが、この基準値は、福島の災害以降大きく緩和されてしまっている。
放射能は1キログラムあたりのベクレル、bq/kgという単位によって測定値が示される。日本の過去の規制では、100bq/kg以上のセシウムを含む核廃棄物は検査され、特別な容器に入れて廃棄されることになっていた。
しかし放射能汚染瓦礫(放射性廃棄物)の「拡散・焼却」スキームにおいては、240bq/kg から480 bq/kg までが基準値になっている。
これについて、少し考えてみよう。なぜなら、政府は、現在、一般の人々を危険な廃棄物にさらし、一方で過去においては放射性物質の廃棄という重荷を負う企業に対し、多大な経済的苦難を与えてきたからだ。
さまざまな政策のうちの一つは、嘘である。問題となるのは、どの政策が嘘なのかということだ。
このことは、昨年起きた原子炉の炉心融解のあと、政府は、原子力発電所で働く人々と子供に対する放射線被曝量の安全基準を上げたという事実とよく似ている。
そしてこの問題は、菅首相の核「専門家」パネルから小佐古敏荘内閣官房参与が辞任するという結果につながった。
小佐古氏はまた、政府が福島の原子力発電所が非常に危険な状態になると、発電所内で業務に当たる人々の被爆上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに大幅に上げて業務につかせ事故の収束を図ろうとしたことについて激しく非難した。
放射能専門家である小佐古氏はこうも言っている。「首相官邸と行政組織は場当たり的な政策ばかり作り上げ、モグラ叩きゲームでもしているようなもので、行政上の手続きを無視している。」
彼はまた、安全基準値の上限についてのガイドラインを強化すべきだと政府に迫った。教育省が近頃発表した、放射能が漏れ続けている原子力発電所を有する福島県内の小学校の校庭における放射能許容レベルについて危惧しているのだ。
文部科学省によって発表されたガイドラインは、「国際的に常識とされている数値とは整合性がなく、行政上の都合で決定された。」と小佐古氏は指摘する。-日経
では、何が安全で、何が国民と経済に対する、単なる過剰な官僚的、政治的コントロールだったのか。
比較的安全で平穏な時代に、政府が適切な基準を設定してくれるだろうと信頼していた親として、今、政府が言っていることには疑念がわく。
まして、東北からの放射能を含む有毒な廃棄物を受け入れさせるために政府が地方の政治家達を買収しようする以前には、元来放射能の影響を受けていなかった地域にとってはなおさらのことだろう。
さらに、政治経済のご都合主義のために従来の規制や約束を放棄する、という政府のパターンが繰り返されている別の問題も存在している。
読売新聞によると、年金制度に費やされる国の債務を減らすために、年金受給開始年齢の引き上げが導入されたと言う。
内閣は、年金受給年齢の早急な引き上げの検討開始は、急速な高齢化と慢性的に低い出産率を考慮すれば、年金制度の財源の安定化のためには必要なことだと見なしている。
厚生省はいくつかの計画を提出したが、その一つには年金受給開始年齢を70歳からに引き上げるという案が含まれている。すでに段階的に60歳から65歳に引き上げ始めている。
だが、この年齢あたりが年金受給開始年齢の上限ではないかと信じる人もいると思うが、実際にはヨーロッパについての最近のコメントによれば、この年齢をさらに引き上げるかもしれないという傾向が示されている。
ベンモシェ氏の発言によれば、「退職年齢は70歳か80歳にしなければならないだろう」なぜなら「そうすれば年金や医療サービスをより安価なものにできるからだ。若い世代の負担を軽減することにもなる」という。
AIG、アメリカン・インターナショナル・グループ株式会社(訳注;米大手保険会社)のプレジデント兼最高経営責任者であるベンモシェ 氏によるコメントだが、世界的金融システムを衰退させる、巨大すぎてつぶすことの出来ない銀行への経済的な緊急救済措置を強いるデリバティブの相手方として悪名高い人物である。
もちろん、若い世代がもっと楽になるだろうなどという考えは馬鹿げている。人々が現在の仕事をさらに5年、10年、15年と続けた場合、若者達はどこで働くのだろう。
それはちょうど、政府がより多くの女性が経済活動に積極的に参加することを推し進めることで、国家の経済成長を図ろうとするようなもので、何処に仕事があるのか、という疑問が残る、経済成長なしには、このようなスキームは機能せず、1990年代初頭以降、日本ではそのような成長など起こってはいない。
そして更なる経済成長などという見通しは日増しに薄まってもいる。特に、政府が根本的見直しをしないばかりか、その必要性や議論さえも拒んでいる中ではなおさらだ。
法律を変える(年金受給開始年齢を引き上げる)ということについての道徳的問題もある。
退職年齢が引き上げられると、より多くの人たちが退職年齢に達する前に亡くなってしまうだろう。技量のない、失敗した、不正直な政府にとっては、完全なる解決策といえよう。
このような方策は、政府が環境の変化に対応しているということではない。健全な政策が失敗したと認めている証なのだ。
放射能については、費用がかさみ、またロジスティクス上も非常に難しい、人々を避難させるという事態を、ただ避けるために安全基準を上げたに過ぎない。
政府が怠慢すぎて、一般の人々の安全を確保するために必要な一生懸命に働くということができず、ただ基準を下げただけなのだ。そして結果的には、人々を危険にさらし、国民を守るために示した、あるいははっきりと表明した約束を破っているのである。
福祉制度については、この制度を維持していくために必要な前提条件(安定した出生率と成長し続ける経済)は、この制度が現在の状況まで肥大してしまう前から、すでに崩れていた。
出生率はすでに過去何十年もの間減少の一途であったし、バブルの崩壊がすでに経済を悪化させていた。
政府が今になって慌てて問題を解決しようとして、人々に負担を強い約束を破るということは、制度の適切な計画と実行に政府が失敗したということを無視しているのだ。
議論したいのは、この制度は、非常に生活に困窮している人々あるいは追放された人々にとっては骨子となるセーフティーネットになるが、それ以外の人々にとっては、決して機能できないということだ。
社会のほんの一部の人しか支えることが出来ず、そして単に、この制度の資金を提供できる層が十分には存在していないのである。
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