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関東の放射能と対策、早川氏金町講演

 早川氏は瓦礫の拡散焼却については楽観的だが、それは東北関東についてのことである。
 つまり、汚染された環境を反映して、既に関東は一般ゴミ焼却の焼却灰が数千から数万Bq/kgに汚染している事実である。彼は岩手の瓦礫なら大して変わらんか、かえって綺麗ではないかと言っているのである。

 もちろん、この焼却灰の管理問題もあるし、北海道九州への拡散に賛成しているわけでもない。
 そうおかしな瓦礫拡散ok論を言っているわけではない、ある程度はうなづける点もあるのです。
 この関東での瓦礫問題に楽観的なことを除けば、早川氏の見解にまったく賛成し、学ぶものです。

 今は原発から放射能が追加されているのではなく、最初に降下した汚染が空間を循環し、また濃縮していることであること。
 関東は4、5月の風塵に注意しなければならないこと、等々。
 東京都内で最も放射能汚染が高く、昨年3/22には水道水が「暫定基準」を超えた金町浄水場を抱える葛飾区金町での講演会です。 
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 2012/4/29 東京葛飾区金町での講演と質疑  早川由紀夫

この写真は、今年の4月8日、ちょうどお花見の時期の水元公園です。手元の測定器は0.258μSv/h。子どもたちを含め、多くの人たちが、無防備に芝生の上でくつろぐ姿を、みなさんはどう思いますか。

行政は市民の不安を除く目的で講演会を開くため、この放射能はたいしたことない。安心して下さいの結論になりがちです。しかし0.258μSv/hに汚染された水元公園でくつろぐ人々は、その意味を本当にわかってるのでしょうか。私はここで、調べた事実をありのまま率直に話します。やさしいことはもとより、余分な配慮をするつもりもありません。そうすることで、みなさん一人ひとりが現実を直視して、きちんと、この放射能と向き合ってもらいたいからです。

昨年3月に福島原発は爆発し、屋根も壁も見るも無残、めちゃめちゃに壊れてしまいました。このように原発が壊れたら、放射能が出るのは当たり前です。我々はそれを目の当たりにしたのです。なまやさしいものでないと認識して下さい。

事故当時、国民に公表されなかったスピーディは、放射能の影響を予測するため作られたシステムです。これを利用し、11年前2001年4/1~4/30までの30日間、三宅島の噴火で出される二酸化硫黄の動きが調べられました。11年前のスピーディ・シミュレーションは、三宅島から出た二酸化硫黄が東日本全体に軽々と広がる様子を、生き生きとしたアニメーションで表現していました。現在のスピーディは、もっと進化していることでしょう。

福島原発があのように爆発すれば、放射能は東京まで簡単にくる恐ろしい状況になるだろうと、11年前のスピーディを見て知っていた私はとても怖かった。そして実際、放射能は関東までやってきたのです。

  放射線量の地図づくり

原発の爆発で、日本がどのように放射能汚染されたのか把握する必要があると思い懸命に調べました。
ウェブに公開された、福島県の400くらいの学校の放射能数値をもとに、昨年4/8に作ったのが、最初の汚染マップの原形です。
マップを作ってみると、福島中通り全部が2μSv/h とわかり、中通りは全滅だ、これは大変なことがおこったと、頭をかかえました。
急いで人々にこの事実を知らせなければと、作ったその日の夜10時に汚染マップをネットに公開しました。
福島中通り全部が、2μSv/hに汚染されたのだから、きっと世の中は大騒ぎになるだろうと思ったが、不思議なことに多くの人々は、この事実を気にしていないように見えた。
世間とのこの認識の違いは、現在でもまだ継続しています。

汚染マップは、今まで6回更新し、現在7訂版を用意している最中です。各自治体が測った測定値を、nnistarさんが大変な努力で日本地図にプロットしてくれたものや、その他の情報も参考にして、等値線を引いて作っています。
噴火で火山灰がどこにどのように分布するかを研究するのが、私の専門です。
そのスキルを充分に活かして、この放射能の惨禍を、きちんと後世に残したいと思い、あらゆるデータを集め、なるべく正確に近づけようと努力をしています。

今まで更新してきた汚染マップの中で、昨年6/18に作った改訂版が一番すぐれていると自負している。一関、群馬、東葛など基本的な汚染の分布を、あの早い時点ですべて表現できたことは、自慢していい仕事だと思っています。

学者は普通、自分の研究を世間に発表するまでに長い時間をかけます。間違うことを恐れる。だから本当にいいとなるまで公表しない。
しかし今回の放射能の場合、そんな悠長なことをしていては、人々が危険にさらされてしまいます。
放射能汚染の情報は、日本人が早急に必要としていると信じたので、多少間違っていても、その時のベストを、すみやかに出そうと思った。
時間をかけて正確を期しても、役に立たないと判断しました。結果、みなさんに利用されてよかった。

みなさんがいまがやるべきことは、自分の地域がどれくらい汚染されたのかをしっかり把握し、それに対応することです。
対応が無理なら逃げる。現実を直視して、いまある放射能ときちんと向き合うことが大切です。
(*関東の実測図計算図。)

北総線沿線の放射線量を、5月のはじめに測ったところ、成田が0.1μSv/h。千葉は0.08μSv/h。金町は0.26μSv/hでした。東京は皇居のあたりが0.08μSv/hくらいなので、金町はこの3倍は汚れています。

去年の3月に、福島原発からきた放射能の雲は、運悪く金町までやってきて、ここを汚してしまいました。東京の中で、とくに汚染がひどいところだと認識してください。いっぽう、千葉の柏は、0.4μSv/h。金町の2倍汚れています。

0.26μSv/hに汚染されてしまった金町は、柏と似たような状況です。汚染された事実をよく把握して、きれいに掃除をすれば、住めると思う。だから定期的にこまめに掃除をして、身近から汚れているものをどかす努力をして下さい。

  3種類の地図

汚染の程度を調べるため、3種類の地図を作りました。ひとつは「チェルノブイリとの比較図」、それから日本列島の「焼却灰に含まれるセシウムの分布図(ベクレル)」、そして「雨どいと「黒い物質」の分布図(シーベルト)」です。

チェルノブイリとの比較図
チェルノブイリは、セシウム137の平米あたりベクレルが示してあります。フクシマは、シーベルトからセシウム137寄与分だけ取り出し、ベクレルに換算、色をあわせてチェルノブイリと比較しました。
比較した地図の色わけをみると、福島から栃木の那須あたりまでが、チェルノブイリでの、移住権利区域におよそ相当するとわかります(1μSv/h以上185000Bq/㎡以上の色分け)。
葛飾区金町は、ゴメリ市に近い感じだろう。
チェルノブイリとくらべ、汚染された面積の程度はフクシマのほうが小さい。
しかし汚染された日本の大都会には、何百万もの人が住んでいる。この汚染にさらされた人間の数からすると、日本のほうがひどいのではないかと感じてます。

この一年間ずっと、日本政府も、テレビも新聞も、ある一群のジャーナリストたちも、「フクシマは、チェルノブイリのようにひどくはない」といった発言をしてきています。
しかし、私はこれとは違う意見をもっています。今回の福島原発による汚染は、影響を受ける人間の数から考えると、チェルノブイリと同じか、あるいはひどいのではないかと思います。
私のこの認識は、世間と大きく違っているようです。

焼却灰のセシウムの分布図」は、日本全国各地でみんなが出すゴミを、焼却場で燃やしたあと、焼却炉の中に残った飛灰の汚染程度をベクレルであらわしたものです。
これを見ると、その地域の平均的な汚染の程度がよくわかります。
焼却灰から出たセシウムの数値を見ると、福島を中心に、関東地方は全部、ひどく汚れています。柏、松戸などは、何万ベクレルとゆう数値です。長野や新潟までいってやっと数十ベクレルの値に落ちている。

「津波がれきを持ってきて燃やしたら、自分のとこが汚染される」などゆってる場合ではない。
関東に住んでるみなさんが、毎日生活して出すゴミが、津波がれきより高い放射能を持っていることが、焼却灰のセシウム図からみてとれます。津波がれきは放射能をたいして持っていません。
「みなさんが出す食べ物やら何やらのゴミこそが、すごい放射能を持っている。」とゆうことを、まずしっかり認識してほしいのです。東北関東は、全部汚れてしまっているのです。

焼却灰のセシウム図で、日本全体を見渡すと、名古屋、大阪まで汚れているのがひとめでわかります。
名古屋や大阪の人たちの出すゴミもセシウムを持っている。札幌や九州はまだきれいだ。
注目すべきは、小笠原が汚れていることです。小笠原が汚れているのは、福島から来た放射能の雲で汚染されたからではなく、汚れた食べ物が運びこまれたからだと思う。小笠原に運び込まれた汚れたものを、消費して燃やしたから、焼却灰のベクレル値が高く出ていると推察します。

これから先は、人間がどれだけ放射能を拡散するかとゆうことが、大きな気がかりになってゆくと思います。

雨どいと「黒い物質」の分布図」は、雨どいの出口のところを測ったものと、「黒い物質」を測った数値をあらわしたものです。「黒い物質」とは、風や水で集められ濃縮汚染された、道路わきにある砂や泥などのことです。

西のほうは大阪、箕面市まで汚れています。ふつうのところはきれいなのに、雨どいからは高い数値が出ている。鳥取は、福島原発由来の汚染ではありません。もともとこの地域の自然放射線量が高い。九州、北海道はきれいです。

チェルノブイリとの比較図」、「焼却灰のセシウム」、そして「雨どいと「黒い物質」の分布図」、この3種類の地図が示す汚染データは、日本がどれくらい汚れているのかを、私たちにつきつけています。しっかり認識してください。

  質問1

葛飾区男性....大阪府箕面市の汚染データは、どういったところで信頼がおけると判断したのか。

せんせ...このデータを出したひとは、いろいろなところを測って、バックグラウンドの自然放射線量と比較していたからです。大阪府箕面市は、兵庫県宝塚市との県境にあります。
データは、雨どいの「黒い物質」と、すぐそばの場所を比較していた。普通はこうなのに、雨どいのところだけこんなに高い数値が出ると示していたので、明らかに汚染されたとわかるのです。

葛飾区男性....小笠原の放射線量はもともと高かった可能性は?

せんせ....小笠原は、焼却灰から出たセシウムの話をしています。自然放射線は関係ない。地域のゴミから何百ベクレルも放射能が出るのは、異常事態です。

西亀有の男性....東日本は食べ物のせいで、焼却灰のベクレルが高いと解釈していいか?

せんせ....違います。食べ物が起因する汚染は、小笠原の話だけです。

東金町の男性...「焼却灰のセシウム」データいつごろのもの?

せんせ...昨年7月8月のものをマップにしました。その後のデータ見ると、冬になって下がっているところが多い。千葉は冬に減ったが、また上がってきている。
焼却灰のセシウムのデータは、ネット上で公開されています。各自治体の測り方や頻度などにいろいろ問題もあるが、春の傾向は、もう少しデータを集めて判断しないといけない。
ぜひみんなで調べて、情報を共有しましょう。

  汚染の日時

放射能は、福島原発から大きく5回、①3/12、②3/15の朝、③3/15の夕方、④3/20、⑤3/21の順に原発から外に出ました。最初3/12の一号基の爆発のあと、数時間してから、放射能は北に行って女川が汚れました。次は3/15の朝、関東地方から山沿いに福島あたりが汚れました。同じ日3/15の夕方には、別の放射能の雲で飯館が汚されました。3/20には一関が、そして3/21の朝方に出た放射能の雲が、葛飾区金町までやってきたのです。
マップ1 マップ2
 
多くの人は、原発の爆発映像がすごいので、それと同時に放射能が出たと思っているようですが、実際は違います。
爆発から10~20時間あとになって、こっそり出ている。これは、各地のモニタリングポストの数値をみればわかります。各地のモニタリングポストの数値は、ウェブ上で調べることができます。
飯館で、44μSv/hでたことなども記録してあります。
爆発後の肝心なとき、福島などは、5分~10分おきに放射能の数値を測っていたことがわかります。

原子炉の圧力が下がったときに放射能は出たと解釈すると、12日に女川を汚した放射能は1号基から出たもの。15日に関東や福島に来たものは2号基から、21日金町にきた放射能は3号基から出たものと推察できます。

放射能は、1号基、2号基、3号基と律儀に順番に、音もなく姿も見えずこっそりと出ました。
そして、葛飾区金町のみなさんは、今おもに、昨年の3/21に3号基から出た放射能によって、悩まされているわけなのです。

昨年3/15の放射能は、東京の上空を通り過ぎ、群馬、栃木の山沿いに降った雨でそこに落ち、さらに福島、郡山にもどって雪が降って地表を大きく汚しました。
このとき東京は雨の予報だったが、ぎりぎりのところで雨を免れました。
福島や郡山は、1μSv/h~2μSv/hの放射線量があるが、もし昨年の3/15に東京に雨が降っていれば、放射能は東京の地べたに落ち、福島や郡山と同じだけ汚染されていたはずです。
東京は壊滅的な打撃をうけていたでしょう。

3/15の埼玉のデータをみると、この日の6時、10時、18時の3回、放射能の雲がきたことがわかります。
6時、0.03→0.10μSv/h。11時、0.45→1.22μSv/h。18時、0.31→1.03μSv/h。18時に 1.0μSv/h だったが、20時に 0.1μSv/h と、1時間ちょっとで数値が下がっていることから、このときの放射能は地べたに落ちずにそのまま群馬にいったと考えられます。

1週間後、3/21の東大柏のデータを見ると、前日 0.1μSv/h だった値が、翌朝9時いきなり 0.7μSv/h に上がっている
これは大変な上昇です。この時はどしゃぶりの雨で、高い数値は下がらず一日続いています。東大柏で計測された 0.7μSv/h は、翌3/22になっても、ずっとしぶとく残り続け、結局いまでも 0.4μSv/h はあります。
3/21の汚染が、柏を苦しめているのです。

金町に近い足立区のデータをみると、21日は0.1μSv/h が 0.2μSv/h に上がっただけだが、22日の10時には、0.48μSv/h と急に上昇している。このことから、金町の汚染は3/22だったかもしれない。

このころ金町浄水場で放射性物質が検出され、乳幼児用に粉ミルク溶くボトルの水をくばっていた。水道の水が飲めなければ、そこには暮らせない。
少なくとも3/21~23の金町は、人が住める状況では無かったとゆうことです。

3/15はヨウ素やキセノンなど半減期の短い元素がきて、これを吸い込んだら身体の中に放射能が入ったが、地べたに落ちず群馬に流れた。
いっぽう3/21はセシウムが雨で地べたに落とされ、いまもなお金町にたくさんある状況だと理解して下さい。

  放射能の詳細分布と除染

学者はそれがどんなに怖い話でも、事実を明らかにし、みなに伝えるのが仕事です。
いっぽう行政は、対策を取らねばならないから、その対策が行政の手に余る場合、事実を無いものにすることもあります。
今まさに、それがおこっている。どんなに怖い話であっても、事実は変わらないのです。
だから学者は、真摯にそれをつたえ続ける。
行政は、対策をとるのが仕事ですが、今それが適切になされていないと感じる。もう少し、事実に即した対応をしたほうがいいと思う。

火山の噴火で出る火山灰などは、10km~20km移動し高いとこから均一に降るので、どこを測っても同じ値がでるが、放射能は、上空100mくらいを移動し雨で落とされたので、雨の強く降ったところ弱く降ったところで差がでる

佐々木さんが作った東葛の汚染マップを見ると、汚染の濃いとこと薄いとこが、まだら模様になっています。東葛ほど汚れていなくても、葛飾区の水元公園などは、雨がたくさん降り、放射能が多くたたき落とされたので汚染が濃くでます。

放射能が降ったところは、場所によってずいぶん違います。
汚染がひどいところはどこか、細かく調べるため、駅が読み取れるくらいの大縮尺の地図を作る必要があります。
まず地元の人が自分たちで、地元の汚染マップを作って下さい。

いまセシウムがあるところは、金町のような都会では、側溝、雨どい、水たまりや吹き溜まりです。
風でホコリが集まり、雨で流され濃縮されたものが「黒い物質」となり、吹き溜まりにたまってゆきます。これを早急に排除してください。
「黒い物質」は、いちど排除しても、また雨風で集まってくるから、季節ごとに毎月そうじする必要があります。
今まで以上に努力し、街をきれいにピカピカに磨きあげないと、0.26μSv/hに汚染された町には住んでいられません。

群馬や長野の山のほうでは、放射能はほとんど動いてません。福島も山ばかりです。
大陸にあるような岩山であれば、除染もできるだろうが、緑豊かな日本の山を丸裸にしてしまったら、放射能よりもっとひどいことが起きます。
除染はできません

葉っぱや落ち葉、小枝などにセシウムはついています。
きのこ、筍、川魚がひどく汚染されているから避けるように、自分たちの生活空間の中からこれを排除して、子どもたちがそこにゆかないよう対応することが、いま求められています。

  季節変化と経年変化

地表に降ったセシウムは、ホコリについています。
地表の砂やホコリと一緒にあっちにいったりこっちにいったりしているわけですから、風塵のゆくえは、花粉に注意すると同じように注意する必要があります

群馬大学生の村上くんが作った「風塵堆積量の季節変化」を調べたデータを見てみると、風塵は、一年間同じように堆積しているわけではなく、一年のうち、おもに4月5月に集中して堆積していることがわかります。
冬の間、地面が凍って地べたについていたホコリは、4月5月になり、気温が上がって地表が乾き風が吹くと、まいあがります。
6月になると梅雨になり、雨が降って草がはえるので、地表は固まり、風塵のまいあがりも止まります。

福島市で出している定時降下物データを見ると、雨の降ってない、乾燥した風の強い日に、セシウムが多く検出されているようです。
最大瞬間風速が、20m /秒もある乾燥した日は、子どもは学校を休ませてもいいくらいだと感じます。

セシウムは、いつまでもあるわけでなく、ほっておいても半減期で減ってゆきます。
さいたま市北区の数十箇所を測定して比較しました。
昨年9月と今年3月では、約13%の減少が見られました。昨年3月の汚染状況をそのままとどめている地点の放射能が、6ヵ月で約13%へっている観測事実は、セシウム134と137のブレンドぐあいから計算した、6ヵ月の半減期にマッチします。
自然のなかでは、セシウムはほとんど動いていないことがわかります。

地域の汚染を代表する測定値は、セシウムが移動しない場所、人間が動かしてないようなところを選んで測らなければなりません。
やみくもにどこでもいいから測って、セシウムが浸食された後の数値をだしても、それは地域を代表する測定値にはならないのです。

福島原発から出たセシウムは、134と137の割合が、ほぼ半々のブレンドです。最初は半減期2年のセシウム134がせっせとへりますが、そのあと半減期30年の137は、のんびりゆっくりなかなかへらないイメージです。
学習院の田崎先生が作られたグラフで、セシウムは半分になるのに3年、1/3になるのに5年かかります。
5年たつとセシウム134のせっせとへる崩壊はおわってしまい、あとはほとんどへらないから、がまんするしかありません。

自分たちのすんでいる地域の汚染を代表する放射線量を把握して、原発事故から3年あるいは5年たったあと、自分のすむ地域のセシウムが、半減期でどのくらいの数値になるのか計算すれば、それぞれの将来設計に役立てることができます。

金町は、東京の中でもいちばん放射線量が高い認識を強く持って、食品から入ってくる内部被曝の防御とともに、自分たちの街をいかにきれいにして、汚れた部分をなくし、外部被曝に対応してゆくかの努力をする必要があります。

  放射能測定器

放射能測定器の数値のゆらぎを、3台のエアカウンターSと2台のシンチを使って、学生の井上くんに調べてもらいました。シンチは10万円以上と高価だが、60秒で安定した信頼のおける数値をだし、非常に高性能だとわかります。

エアカウンターSは、測り始めて2分たってから数値が安定します。これも過去60秒の平均を出しています。公称では20%のゆれ幅があり、0.05マイクロ以下は測れません。しかし6000円とゆう値段にしては、充分健闘してると思います。

ガイガーは数値がばらつき、0.1 以下は高く出てしまう。いっぽうエアカウンターSは、それほど精度は悪くない。地面の放射線の変化の中に入ってしまうくらいの揺らぎなので、気にすることなく、どんどん測るのがよいと思う。

  質問2

藤沢の湘南パパさん..藤沢の自宅はシンチで0.03μSv/hくらい。エアカウンターSだと、0.05の点滅になって測れません。

せんせ..いっぽう0.26μSv/hの金町は、6000円のエアカウンターSで充分測れますね。

金町女性....測定器の説明書には、高さ1mで測るようにと書いてあるが。

せんせ....どうゆう高さで測らなければならないなどの制限はない。買った人がいろいろな使い方をするのは自由だ。自分で好きに使いなさい。
測定器の使い方として、ちなみにボクは、地図を作るときは、芝生の上1mの数値で測ります。また、雨どいや「黒い物質」などを測るときは、地べたに直接つけて測ります。市民一人ひとりが、測定器をもって測れば、自分たちを痛めつけている放射能がどうゆうものなのか、肌身でわかるようになります
いろいろ気にすることなく、どんどん測って、みなで情報を共有しましょう。

  放射能のリスク

昨年3月の原発事故から今日まで、日本がどのように汚染されてしまったかの事実を懸命に追いかけ、13ヶ月この放射能とつきあってきました。
現実を直視して自分なりに考えた、このリスクと社会のあり方について述べたいと思います。

たとえば1000人に1人の病気があるとしたら、0.1%です。
これが何かの原因でもう0.1%増えて、病気になる人が2人になれば、医者はすぐ異常発生と気がつきます。チェルノブイリの小児甲状腺がんがこれです。

いっぽう1000人に500人の病気であれば、50%です。
何かの原因で0.1%増え、病気になる人が501人になっても区別つかず、その異常発生は、わかりません。
測定誤差と自然のゆらぎのなかにすっかり埋没してしまうのです。

日本人の50%はがんになると疫学的にわかってます。この会場にいる180人のうち90人はがんになるとわかっている。
そのがんが0.1%増えても、それが異常発生かどうかなどは、どんなに医学が発展しても区別がつかないのです。

「チェルノブイリ事故による放射能の被害は、小児甲状腺がんだけだ。他に何も害悪は及ぼされていない」とゆうのがこれまでの政府そして日本を代表する学者たちの意見です。
しかし、私はそうではないと思うのです。観測できなくても、存在するものがあります。
放射線は、DNAを損傷してがんを引き起こす、と医学的にわかっている理屈から考えると、放射線による小児甲状腺がん以外の害毒もありえる、との推論もまた正しいと考えます。

疫学的に観測できないからとゆう理由だけで、小児甲状腺がん以外に、放射線による害毒は存在しないと結論づけるのは、おかしなことだと考えます。
観測できないことを理由に、存在しないと思うのは誤りです。

20mSvの被曝で、0.1%がん死するだろうとのICRPリスク値を多くの人が認めて議論しているようなので、この仮定で考えをすすめてみます。
1000万人の集団の0.1%といえば、1万人です。汚染状況重点調査地域の推計人口だけでも、690万人いるので、その他入れたら、放射能のリスクにさらされている人口は、1000万人に達します。
今こうゆう人たちが、0.1%でがんになるとするリスクにさらされています。
金町0.2μSv/hは、10年も浴びれば20mSvになる。
福島は、いま1μSv/hだから、1年で約10mSv 。
食べ物からも呼吸からも、身体の中に入ってくること考えれば、20mSvのリスクにさらされている人間は多い。

日本人は毎年100万人死んでいるが、100万人が101万人になってもわからない、たいした問題ではないとゆう人もいます。
しかし私は、わからないでは許されないと思う。1万人の過剰な死を容認することは、到底できません
がんになった誰が、この過剰な1万人かを特定して知ることができなくても、1万人の過剰がんは、だれかに責任がある、誰かの行為によって引き起こされた、ほんらい必要なかった死です。
社会として、これを許してはいけないと思います。

1万人の過剰な死の原因を作った人たちは、責任を取って罰せられるべきだし、警察も捜査すべきだと思う。
またそうゆう社会にしなければならない。
だれも責任を問われないで、1年以上も過ぎているのは、いったいどうしたんだと率直に思います。

たとえば、交通事故を例にとってみます。これまで毎年1万人の犠牲者がでていたが、信号機やガードレールを設置したり、警察官が違反者を取り締まったり、大変な努力とお金をかけ、交通事故死を年間5000人におさえこみました。
努力のかいあって、毎年1万人の交通事故の犠牲者が5000人になった。1万人に1人の犠牲者が、2万人に1人になりました。それでもなお、お金をかけ予算をつけて対策をとっています。
いっぽう、放射能に対してはどうでしょうか。

放射能による過剰な1万人の死に対しても、少なくとも交通事故対策にかける費用に匹敵する予算を投入しないといけない。
国が、放射能の惨禍に立ち向かってゆく必要があるが、いまそうなっていない。
これを大変、不満に思っています。1万人の過剰がんが発生しないよう、細心の注意をはらって防御するのが、健全な通常の社会の姿と思います。
1年間、放射能の汚染状況を調べてきましたが、この放射能の惨禍には国をあげて対応することが必要だと私は切実に考えます。

  質問3

葛飾区高砂、男性…外から家の中に持ち込まれた放射性物質への対処は?

せんせ…5番(自分で考える)ボクの家では、家中を水ぶきして掃除、カーテンを洗う、ベランダの掃除、排水溝にたまる落ち葉のかたづけ、などしています。

市川、女性...3/15の15時から18時まで外にいた。

せんせ...出かけた場所に近い東大本郷では、17時の0.4 が18時に0.7μSv/hに上昇。埼玉の18時は1.0μSv/hです。放射能吸った可能性は大きい(笑)。

市川、女性...3/21は家にいたが、22日は2歳の子どもと外にでていた。当時は地震で家が倒壊するのが怖かった。
関東に放射能がくるなら、政府が発表してくれるものと、自分で情報集めしてなかったことを、いま後悔している。

せんせ...国民にわかるように情報をださない政府も悪いが、「政府からのアナウンスがないから、放射能がくるとは思わなかった」と、自分で勉強して考えることをしなかった国民も悪いとボクは思っています。
ボクはいろいろな情報の中から役に立つものを取り出し、みなに判断してもらいたいと、できるかぎり発信をしている。
3/15は計画停電だったが、電源復活と同時に「今日は家にいないとまずい。外に出てはダメだ」と懸命にツイした。

放射能のことで1年やってきたが、私たちの国は、いま地震に非常に脆弱な状況にもある。つぎ地震がきたらどうしようかの考えも必要です。
3/17に長野に5日間くらい避難したが、当時は放射能が2割、地震が8割の割合で怖かった。
世の中には、放射能のリスクだけではなく、地震のリスクもある。他にも、集団登校の中に車がつっこんでくる。
そういった、たくさんのリスクの中で、どうやって怪我をしないで生きてゆくことができるかを考えてゆかなければならない。

金町が東京でいちばん放射能で汚れていることは事実だが、放射能だけに対応すればいいとゆうわけではない。
放射能に対応するため、どのくらいの時間やお金を使うことが適当なのか、それぞれが考えて対応してゆくことが大事なのです。

学者である私は「金町は東京で一番汚染されていて、それは柏の半分くらい、福島市の1/4~1/5くらい」というふうに、みなさんにリスクを数量的に説明することまではできます。
それを受け取って考えるのは、みなさんの仕事です。
自分の生活の中で、リスクをどのように管理して、付き合ってゆくかは、みなさんそれぞれが考えてゆくしかない。
なぜなら、人それぞれによって、財力も家族構成も、いろいろな状況も違うから、他人が指示することはできないのです。

船橋、男性…ICRPのリスク係数がよくわからない。

せんせ…ICRPのリスク評価は、専門家のあいだで議論すればいいことです。ここでは1000万人の集団が0.1%で死ぬかもしれないリスクを、仮定して話をすすめています。
大事なのは、この事故によって1万人の過剰な死が発生しないよう、細心の注意をはらって防御すべきことだと思います。
3/11の津波で亡くなった人は約2万人。この半分の人が、さらに死ぬかもしれないなど、とんでもないことです。

高砂、男性…昨年の大量放出後、新たにここまで放射能がきたデータはあるか?

せんせ...ひとつもありません。今年1月に、福島市で大量の放射能が観測され、心配でいろいろ調べたが、すべて福島原発から出たとみられる情報はない。
福島市の説明でも、今年の1月2日に観測された大量の放射能は、昨年3月にまき散らされた放射能が、風で飛んだものだとあります。
今(*原発から)出ている放射能が、金町にも、福島市までにもとどいているとは思えません。

福島原発から、放射能は今も出ていますが、それよりはるかにケタの大きい量が、昨年3月にまき散らされました
現在でている放射能のことを心配するより、すでに身近に来てしまった、大量の放射能に、対処することが必要です。

亀有、男性…焼却灰のセシウム図は、飛灰が環境に飛び散ったものか?

せんせ…ここに示した焼却灰のセシウム図は、焼却炉の中に残った灰に含まれているセシウムで、煙突から出たものではない。
煙突から出たもののデータはわからない。焼却炉の煙突から出るものがどれくらいセシウムをもっているか、ボク自身はそんなに多いとは思っていない。
小さなものを広範囲に拡散するために煙突は高いし、それはむしろ効率的な方法とも思っている。これに関しては楽観的です。
多くの人が煙突から拡散される放射能を怖いと思う感情は、理解している。
それとは別に、焼却炉の中に残った8000Bq/kg を超える灰は、毎日何トンと増えて、各自治体でその処理に手こずっている現実も見なければなりません。

横浜、女性…がれきの広域処理を、みなが反対しているが、先生の考えは?

せんせ…がれきを、広域で受け入れる必要はない
日本各地が、がれきを受け入れなければならない理由は、誰も納得ゆくように説明できていません。がれきを、日本各地が受け入れる必要はありません
しかし多くの人は、がれきが放射能をもっているからといって反対している。この考えはおかしい。津波がれきは、放射能を持っていません。岩手はほとんど汚れていないのです。
金町も横浜も、岩手の津波がれきより、ずっとよごれている事実があります。みなさんの自治体の焼却灰は、8000Bq/kg を超え、埋めることさえできずに倉庫にたまっています
津波がれきのほうがよっぽどきれいなのです。
放射能は、むしろ自分たちのところにあります。放射能を理由にがれき受け入れを拒否するのは愚かしい。
関東に住んでるみなさんが、毎日生活して出すゴミが、津波がれきより高い放射能を持ってる現実に、きちんと目を向けてください。

金町、男性…福島原発がつぎに重大な局面をむかえるのは、どんなときか?

せんせ…わかりません。それは、原子炉自体に注目し研究している大勢のグループがいるので、その専門家に聞いてください。ボクはそのことに興味はありません。
原子炉がどんな理屈でどう壊れたか研究する人がいるように、火山がなぜ噴火するかを研究してる人もいる。ボクは火山が噴火したあと、火山灰がどれだけ出て、どう動いてゆくかに興味もって研究しています。放射能に関しても同じです。
わたしが自分の専門を活かす道は、次に何かおこったらどうなるか、あるいは3月におきたことは、何だったかをきちんと把握し、世間に知らしめることだと思っています。専門でないことを考えても、たいした仕事はできない。
過去の歴史と現状をきちんと把握すれば、未来に対処できると考えています。だからそのための研究をしている。
未来予測はしない。原子炉の未来予測もしない。これが私の、学者としてのスタンスです。

流山、女性…流山は金町より緑の多い環境で、葉っぱの処理が心配。去年汚れた落ち葉を掃除すれば、今年でる若葉は、汚れてないと考えていいか?

せんせ…今年の若葉は、去年の半分くらいの汚れがあると心配しなければならないと思う。
葉っぱの問題は、まさしくお茶のはなし。
静岡茶を中心として関係者は、お茶から汚染はもうでないとの前提でやってるようだが、それは完全に楽観的だと思う。私は、今年も新茶を検査すれば、汚染は検出されるはずだと意見表明しています。
地表にあるセシウムが、生態系の中でどう動いてゆくか、はっきりしたことはまだ誰にもわからない。私たちはチェルノブイリ以後はじめての経験をしているわけです。その中で、お茶の葉がどのように汚染されるかは、予想するしかないのです。

お茶の葉からベクレルが出るのは、空気中に舞ったセシウムほこりが、葉に付着するからだと考えます。
しかしお茶の人たちは、根からセシウムを吸っていると思ってるようだ。この解釈の違いが、未来予測を全く違ったものにしています。
私の解釈では、一年の中でも特に風塵の多い4月5月の春先に、お茶の葉はセシウムほこりを多く集め、風塵が舞い上がらなくなる6月以降はへってゆく。そしてこの汚染は、半減期のへり方にそって、毎年繰り返されると想像しています。
セシウムは、4月5月の風で舞って、今年もまたお茶の葉につき、汚染はでると私は考えていますが、お茶業界の関係者たちは、去年4番茶以降、あまり汚染が出ていないので、今年も汚染はでないとたかをくくっているようです。

今年、お茶の汚染がどのようにでるかに注目して、みなさんは来年の予想をしてください。どのメカニズムを採用するかで、未来予測はずいぶんと違ってくるのです。
流山の落ち葉の件ですが、表層の落ち葉の上にセシウムがあるので、表層5~10cmの落ち葉をぜんぶ取ってしまえば、状況はかなりよくなると思うが、そのあと除去した落ち葉をどこに持ってゆくかの問題がまっています。
原発の近くに中間貯蔵地を作って、そこにもってゆけばいいのだが、今は各県で処分してくださいとなっている。
福島県などでも、みな自分たちの敷地内に埋めるしかない状況です。むずかしい処理状況を思うと、本当にお気の毒です。

葛飾、女性…土壌汚染のある田んぼや校庭に、汚染されてない土を入れて、薄めるやり方は効果あるのか?子どもが幼稚園で、田植え体験をするようだが、その時土をいれて薄める方法で、田んぼの汚染を軽減するとのこと。それが心配だ。葛飾区では、0.25μSv/h 以上の砂場なら除染してくれるが、0.24μSv/h の場合は、砂をたすなどの対処をすると聞いている。

せんせ…問題は、土壌の汚染がどの程度うすまるかではなく、それが人体にどれだけの影響をあたえるかです。自分の子どもに、どれだけの影響があるかを考えてください。
基本的なスタンスとしては、余計な被ばくは避けるべきです。
数10ベクレルの田んぼでも、子どもに素足で田植え経験させるのは、余計な被ばくを強いることだと私は思います。
セシウムが入った田んぼに素足で入って、被ばくさせながら子どもに田植えを経験させるのは、愚かしいことです。
もしそのあと、子供が病気になったら、そのせいではないかと一生悔やむことになる。私なら耐えられません。
そうゆう自然に親しむようなことを、どうしても子どもにしてやりたければ、西日本や北海道に引っ越したらいい。
そこまでできないなら、余計な被ばくをさけ、なるべく被ばくをしないですむような自然体験をさせることが必要と思います。
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なぜ改札が必要なんですか?

 改札を機械化する日本、改札をなくす韓国―情報化の本質とは何か  5/29 廉 宗淳 ダイヤモンド・オンライン
  「なぜ改札が必要なんですか?」

 私は、日本で政府や地方自治体の情報政策に関わる一方で、政治家や企業のトップを連れて韓国のIT事情を視察するツアーを主催してきました。このため、日韓の情報化を相対的に理解しており、そのことについて話をする機会も非常に多くあります。

 そうした経験を通じて、日ごろから「情報化の本質とは何か」について深く考えてきました。この連載を通じて私のそうした視点をみなさんと共有し、日本企業や政府・自治体が取り組む情報化、ITによる業務変革を、従来よりも効果的に進めていく参考にしてもらえたらうれしいです。
 連載第1回は、最近、私が情報化の本質について、非常に考えさせられたできごとについてご紹介しましょう。

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ソウル駅のKTX専用乗り場入り口。改札は無く、そのまま奥がホーム

 4月に韓国に行ったときのことです。ソウルから、日本で言う新幹線にあたるKTX(韓国高速鉄道)に乗ることになりました。チケットは事前にインターネットで予約して料金も支払済みです。
 ソウル駅に着いた私は、KTXの乗り場で改札を探して歩き回ったのですが見つかりませんでした。不安になりながら、「入り口」という表示に沿って進んだのですが、結局改札を通らないまま、列車に乗ることができてしまいました。

 予約してある自分の座席に座りましたが、不安でどうも落ち着かない。
 ちょうど車掌が通りがかったので呼び止めて、「チケットはこの通り持っているんだが、改札を通らないで乗ってしまった」と正直に話しました。
 すると、「改札はないんですよ」というではありませんか。驚いて「なぜ改札がないんですか?」と聞いたところ、「なぜ改札が必要だと思うんですか?」と、逆に車掌から聞き返されてしまいました。

 私が、「予約をとらずに駅に来た人は、そのまま不正乗車できてしまうのでは?」と答えたところ、車掌は、手元にあるハンディターミナルを見れば、どの席が空席かはわかるし、駅と駅の間の区間が長いので、不正乗車が分かれば走行中の列車から逃げることはできない。確かに不正乗車はゼロではないが、取り締まることはできるし、ある「かも」しれない不正を防ぐために、すべての駅に改札を設け、高額な改札装置を設置し人員を置くのはコストのムダだと説明しました。

 私は、なるほど、「駅務の自動化」を突き詰めるとこういうことになるのかと思いました。高度に機械化された改札装置を各駅に設置するのではなく、車掌に使いやすい端末を持たせて、全駅の改札を廃止してしまう。非常に合理的です。

 一方、日本の場合は、情報化・コンピュータ化によるコスト削減というと、まっさきに人員削減を考えます。つまり、人を減らして機械で置き換えていく方法をとろうとするのです。
 しかしこれでは、いくら機械を安く作っても「そもそも機械を設置しない」のと比べればコストはかかります。サービスの品質が上がったりお客様にとって便利になったりというメリットもありません。

 固定観念にとらわれ、「今あるものをどう変えるか」という発想で考えるのではなく、ゼロベースで業務プロセスそのものを変えるという発想の方が、コスト効果が高く、かつ、サービス品質やお客様の満足度も高まることが多いのです。
 情報化の本質とはここにあります。

  我慢強い消費者が、真の情報化を遅らせている

 もう1つ、青森に行ったときのエピソードをご紹介しましょう。

 私は市行政の情報化について、青森市の職員としてアドバイスを行う情報政策調整監の役職にあるため、頻繁に青森を訪れます。
 昨年の冬に青森に行き、飛行機で東京に帰ってこようとしたときのことです。午後7時ごろの飛行機に乗るはずが、雪のために出発が1時間遅れるとのアナウンスがありました。
 空港で待たされ、8時ごろにようやく搭乗できたのですが、機体に雪が積もったという理由でそのまま30分待たされました。

 その後も、滑走路に雪が積もったので除雪作業のために30分、そしてまた機体に雪が積もったので30分……と、結局離陸は午後10時すぎになったのです。
 しかしその時間だと、羽田空港に着いても電車は終わっていて、自宅に帰ることができません。機内で客室乗務員に聞いたところ、「羽田空港に着いてから地上係に聞いてください」と言われました。

 そして羽田空港で地上係に聞いたところ、「外にタクシーが止まっているので、ご自由にご利用ください」と言うではありませんか。もちろん「自腹で」です。
 近くのホテルの部屋を確保してくれるなり、せめて都心までシャトルバスを用意するのが普通だろうと思いましたが、それよりも驚いたのが、乗客の誰も文句を言っていないということでした。韓国だったら、航空会社に対して大騒ぎをしていると思います。
 なぜ日本の消費者は怒らないのでしょうか? これでは航空サービスが良くなるはずもありません。

 韓国は、国連の電子政府ランキングでここ数年、1位が定位置になっていますが、当の韓国国民は、まったくそういった実感を持っていません。
 住民票などのさまざまな手続きが自宅のパソコンから簡単にできたり、行政サービスの手続きが簡単であるということも、慣れてしまうと当たり前になる。
 そして、もっと質が高く、便利なものを求めるようになります。

 こうして、サービスを提供する側と、サービスを受ける側が刺激しあって情報化を促進し、全体が良くなるのです。
 まずは消費者が賢く、貪欲になる必要があります。
 不便で高コストのサービスを我慢することで、結局損をするのは消費者なのです。

  「コンピュータ化」と「情報化」

 昔は、農水産業、製造業、流通業、運送業、サービス業など、さまざまな業種の1つとして、並列して「情報通信産業」がありました。
 しかし今は違います。複数の業種は繋がっていて、境目がほとんどありません。特に情報通信は、すべての業種と繋がっており、密接に関わっています。
 既存のビジネスとITを融合する「ITコンバージェンス」という概念が非常に重要です。

 ITコンバージェンスを考えるうえで、「電算化」と「情報化」を一緒にして考えてしまっている人が非常に多いのですが、これはまったく別のものです。

 電算化は、人間が行っていた単純反復的な作業をコンピュータに置き換えるだけです。日本ではまだこちらの発想が多い。
 一方、情報化は、一度既存の仕組みをゼロにして、枠組みから新たに考えなおすものです。最初にご紹介した、改札のないKTXがこれにあたります。

 電子行政の例に照らし合わせると、「いつでもどこでも住民票が取れる」といったことを目的にするのは、真の情報化ではありません。これは単なる電算化です。

 そうではなく、そもそも住民票というのは、公的機関や金融機関など公共性の高い機関での手続きのために必要ということが多い。
 であれば、A区に住む住民がB区役所でA区の住民票を取得して目的の機関に提出する、というようなことではなく、A区役所と提出先の機関が直接やり取りできるようなシステムにするべきであって、公的機関同士の連絡作業に、わざわざ当の住民を煩わせる必要はないはずです。

 表面的な多少のコスト削減に惑わされるのではなく、業務全体を変えることによってサービスを良くし、業務効率を上げてコストも下げる。これが真の情報化なのです。
 消費者側もそれに早く気付き、「わがまま」になって、真の情報化を求めていくことが必要でしょう。
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小沢氏が野田と会談、野田は消費増税を曲げず

  小沢反撃開始 「増税の前にやることある」  5/30 日刊ゲンダイ
  与野党固唾のむ中 1時間半の話し合い

<呼ばれればいつでも会う>

「大増税は納得できない。国民に大きな税負担をさせる前にやることがある」――小沢元代表の直談判にも、野田首相は決意を曲げなかった。
 注目の話し合いは、やはり物別れに終わった。30日午前11時から始まった野田首相と小沢元代表のトップ会談。会談時間は1時間の予定をズレ込み、1時間半に及んだ。

 小沢は会談後、野田とのやりとりを記者団に打ち明けた。
 野田は「消費増税は待ったなしだ。協力してもらいたい」と関連法案成立への協力を要請した。
 小沢は「税負担をさせる前に政権としてやることがあるというのが国民の偽らざる気持ちだ」と増税に反対する考えを重ねて表明。
(1)地域主権など国の形を変えること
(2)一体改革に民主党が描いてきた社会保障ビジョンを反映させること
(3)デフレ克服に全力を挙げること
――の3点を野田に要請した。

 小沢はザックバランな意見交換を行ったというが、「(野田と)一致点を見いだせるか分からない」と語り、2人の意思はまとまらなかった。
 小沢は「党員なので代表から呼び出されればどこへでも行く」と答え、再会談の可能性をにじませた。
 小沢は会談の10分前に、野田は5分前にそれぞれ党本部に到着。小沢はうっすら笑みを浮かべながら党本部に入ったが、野田は口を真一文字に結んだまま。緊張した面持ちを崩さなかった。

 小沢サイドにとって、この会談は表舞台に復帰するきっかけだ。今夜にはNHKのニュース番組に出演。本当に国民はこの不景気の中での増税を望んでいるのか。そこを自分の言葉で訴える予定だ。
「いよいよ反撃開始ですよ。黙っていると、小沢は悪者、悪者が反対する消費増税はいいことみたいな図式をマスコミや野田首相にどんどんつくられてしまう。それで自分が消費増税に反対する理由を真正面から国民に訴え、議論を本質に戻したいのでしょう。とにかく、今の政治マスコミはわざと消費増税の是非に触れず、小沢は必要か不要かばかりで騒いでいますからね」(民主党関係者)

 小沢切りを狙う野田や自民党の計算は狂い始めるかもしれない。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  首相と小沢元代表 平行線 消費増税で溝 会談継続を模索  5/30 東京新聞

 野田佳彦首相は三十日午前、民主党の小沢一郎元代表と党本部で会談した。
 首相は消費税率を引き上げる法案について「財政状況や少子高齢化の問題を考えれば、待ったなしだ」と今国会の成立に協力を要請。
 元代表は「大増税は納得できない。国民に大きな税負担をさせる前にやることがある」と反対する考えを重ねて示し、会談は平行線に終わった。今後、再会談を含め協議の継続を模索していく方針だ。

 首相が小沢元代表と会談するのは、昨年九月の就任後初めて。会談には仲介役の輿石東幹事長も同席した。
 首相は会談後、記者団に「今国会中に成立を期すのが私の立場だ」と強調した。

 小沢元代表は会談後、記者団に、社会保障と税の一体改革について「民主党が描いてきた社会保障ビジョンが反映されておらず、消費税増税だけとなっている。一体改革とは言えない」と批判。
 増税の前に
(1)行政改革・地域主権改革
(2)社会保障制度の理念の確立
(3)経済の再生
-の三条件を行う必要があると指摘した。

 元代表は増税法案をめぐる首相との考えの違いに関し「一致点を見いだせるか分からない」としつつも、再会談については「代表である首相から求められれば行く」と述べた。
 一方、輿石氏は記者団に、再会談について「必要性があればやるし、なければやらない」と述べるにとどめた。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

   小沢元代表、消費増税「賛成とはいかない」 首相との再会談は否定せず 5/30 ロイター

 民主党の小沢一郎元代表は30日昼、野田佳彦首相との会談終了後に記者会見し、首相が消費増税関連法の成立に協力を求めたのに対し「賛成とはいかない」と述べ、反対の姿勢をあらためて示した。再会談の可能性は否定しなかった。

 小沢元代表は首相との直接会談で「国民に大きな税負担をさせる前に、政権としてやることがある」として、消費増税に向けた問題点として、
1)地域主権改革などを通じて無駄を排除し、政策運営の財源をねん出するとの公約が進んでいない、
2)社会保障・税一体改革で消費増税だけが前面に出ている、
3)ユーロの不安定な状況が進展して世界不況になりかねず、日本は震災の復興途上にある、
ことなどを主張。
消費増税に「賛成か否かと問われれば、賛成とはいかないのが国民の大多数の思い。大増税の前にやるべきことをやるのが、民主党政権の責任だ」と首相に伝えたことを明らかにした。

 小沢氏によると、首相は小沢氏に対し「財政再建は待ったなしとの認識だ」と応じ、自民党政権下の頃と比べれば前進していると話したが、小沢氏は「(民主党の)主張はもっと大胆なものだった」と答えたという。

 今後について小沢氏は「(首相と)一致点を見出せるかはわからない」としながらも「(民主党の)代表(である首相)から呼ばれれば、行かねばならないとの認識だ」と述べ、首相から要請があれば再会談に応じる考えを示した。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

   小沢元代表の発言要旨  5/30  時事

 民主党の小沢一郎元代表が30日午後、野田佳彦首相との会談について党本部で記者団に語った発言の要旨は以下の通り。

 まず、首相から消費税の増税は待ったなしだという認識だ。協力してもらいたいという話があった。
 私からは、大きな税負担をさせる前に政権としてやることがあるというのが国民の偽らざる気持ちだ(と述べた)。
 消費増税は、13兆円に近い大増税だ。これに賛成か否かということを今問われれば、賛成というわけにはいかない。これは国民の大多数の思いでもある。

 -首相からの答えは。
 それはそれとして、財政再建は待ったなしだ。時間がない。今やっとかなければならないという認識でいるというのが第1点。
 もう一つは、いろいろ民主党政権になって、自民党政権下に比較していろんな面で前進をしていると思っているというお答えだった。

 私は、自民党政治の延長線上という観点で比較すればそうかもしれないが、われわれの主張はそれよりもっともっと大きな大胆なものだったと考えている。

 -再び首相と会談し、一致点を得ることはできるか。
 一致点を見いだすかどうかは分からない。
 だけれども、首相は党代表であり私は(処分解除で)一党員になったばかりだ。一党員なので、代表から呼び出されれば、どこへでも行かなくちゃならないと、認識している。
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