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もうすぐ北風が強くなる

通貨戦争(54)債務国から巨額の資金流出

 1ユーロ

 ユーロ圏内で、債務国から前例のないほど巨額の資金流出が起きている。
 連邦国家ではなく、集合した独立国家が共通通貨を使用することの基本的で、致命的な欠陥がまたも新たに現れた。
 離脱分裂の危機が早まることは疑いない。
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  ユーロ圏の安全国へ資金が逃避、通貨同盟存続を投資家疑問視  4/16 Bloomberg

ユーロ圏の金融危機は再び激化しているようだ。13日までの週のスペイン国債市場の波乱が示している。
もっとも、実を言えば危機は一度も去っていなかった。
そして、域内の国境を越えた資金の動きからは、欧州の人々が通貨同盟の存続をますます疑問視していることがうかがわれる。

最近数カ月は市場が落ち着いているように見えたが、洗練された投資家も普通の預金者も等しく、財政の弱い国から比較的安全とされる国へとユーロを移していた。
財政難国がユーロを捨て、これらの国の預金者の手には価値の目減りしたドラクマやリラ、ペセタが残されるという懸念が強まっていることが示唆される。

このような資金の流れを定量化するのは難しいが、ユーロ圏の中央銀行のバランスシートを観察することである程度、推測することができる。
域内のある国から別の国へ資金が流れると、流入先の国の中銀は同額を流出国の中銀に貸し付けることで通貨同盟内の収支を均衡させる。
例えばスペインの預金者がお金をドイツの銀行に預け替えると、スペイン銀行はドイツ連邦銀行から借金をすることになる。
各国間の貸借関係を見ることで、ユーロ圏のどの国からどの国へ資金が幾ら流れたかを推測できる。

この分析によれば、ユーロ圏では今、前例のない資金逃避が起こっているもようだ。
主としてスペインとイタリアから流出しドイツとオランダ、ルクセンブルクに向かっている。
3月だけでも約650億ユーロ(約6兆8000億円)がスペインから域内の他国に移った。
2月までの7カ月では、スペインとイタリアの中銀の借り入れはそれぞれ1550億ユーロと1800億ユーロ増えた。
ドイツとオランダ、ルクセンブルクの中銀はユーロ圏の中銀への貸し付けが約3600億ユーロ増えた。

 増加分は倍増

この7カ月の増加はその前の17カ月のほぼ2倍で、逃避先3カ国の他の中銀への融資は7890億ユーロと過去最大に膨んだ。
つまり3カ国の中銀、そして中銀を通して納税者が、イタリアやスペイン、ギリシャなどの債務だった約7890億ユーロを引き受けたということだ。

イタリアとスペインをめぐる懸念は、銀行・ソブリン・経済危機が合体した複合危機への欧州の対応が不適切な状況を反映している。
欧州中央銀行(ECB)は銀行システムに1兆ユーロ余りを注入したが、イタリアとスペインの銀行はこれを自国の国債購入に充ててしまい、自らの運命を国に結び付けてしまった。
欧州の新財政協定が求める厳しい緊縮策は財政難国の赤字削減のために必要な成長を止め、事態悪化を招いている。
市場がイタリアとスペインに資金を貸すことをやめれば、融資能力が6000億ユーロ程度しか残っていない救済基金は全く不十分ということになる。両国の向こう5年の資金需要は1兆ユーロ余りだからだ。

 対応に変化を

欧州の首脳らが流れを変えたいなら、やり方を変える必要がある。
ブルームバーグの見解では、悪い中でもまだ最善の道は、圧倒的な資金を示すことと統合深化だ。
欧州連合(EU)および国際通貨基金(IMF)とともにECBが十分な規模の保証を提供し、イタリアやスペイン政府の資金調達と銀行資本強化についての市場の疑念を払拭することだ。
われわれは必要な規模を3兆ユーロ以上と見積もっている。十分な額を示し市場が安心すれば、実際には使わなくて済む。

また、ユーロ圏は財政規律を強化するばかりでなく、財政難国を支援する財政同盟を結ぶべきだ。
米国で連邦政府が行うように、景気低迷に見舞われている国への歳入の移転ができるようにする。
そうすれば、ギリシャとポルトガル、アイルランド、スペイン、イタリアが歳出削減と景気悪化の悪循環を断ち切るのを助けられる。

欧州が現在取っている漸進的なやり方が危機対策費用の圧縮につながるというのは幻想だ。
資金逃避が示すように、ユーロ圏の財政難国では民間資金が流れ出し納税者への依存が高まっている。
苦境にある銀行と政府へのEUとECB、各国中銀からの貸し付けは今や2兆ユーロを超え、この資金の多くは借り手がユーロを離脱すれば失われる。

ユーロへの信頼を回復するために資金を積み上げた方が結果的に安上がりだと欧州の首脳らが気付けば良いが、遅くなり過ぎると危機のコストは納税者が負担しきれないほどになるだろう。
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放射性廃棄物の焼却は原発事故の再現だ

   日本、放射性がれきを焼却して他国を汚染 4/10 seetellから

George Washington より(Zero Hedge):

 高い放射性物質を含んだがれきを焼却しようとするフクシマ

フクシマは1kg当たり10万ベクレルもの放射性セシウムを含んだがれきを焼却しようとしている。毎日新聞は次のように報じている:

国は早ければ5月に、東日本大震災で発生したがれきを貯蔵する施設を福島県沿岸の楢葉町に2カ所建設する。環境相が7日に語った。
***
環境省によると、約2万5000トンのがれきは夏の初めに施設に運び込まれる見通しだという。
***
1kg当たり10万ベクレルを超える放射性セシウムが見つかった場合、がれきは国が建設予定の中間貯蔵施設に移送される。しかし10万ベクレル以下の放射性セシウムを含む可燃性がれきは、福島県内に建設予定の仮設焼却場で処分されることになりそうだという。

楢葉町や沿岸の他の5つの市町村にまたがる20km圏の避難区域内には、マグニチュード9.0の地震とその後の津波によって発生したがれきが推定47万4000トンあると見られ、その大半がそこに残っている。

どれだけの放射線なのか? 大量だ。原子力専門家のアーニー・ガンダーセン氏は、もっとずっと少ないレベルのセシウム──1kg当たり5000~8000ベクレル(フクシマで焼却できるようになるレベルの20分の1)──でもアメリカでは特別施設に移送され、何千年も地下に埋められることになるだろうと語った。こちらこちらを見ていただきたい。この量はチェルノブイリの立入禁止区域内で観測された放射線レベルに匹敵する。こちらこちらも見てほしい。許容放射線量をばかげたレベルに引き上げた日本人でさえ、通常なら、このレベルの放射線を含んだ物質をセメントで固め、埋めるよう要求するだろう。

環境省の計画によると、放射性セシウムの濃度が1kg当たり8000ベクレルを下回る場合、焼却処分が可能だ。8000~10万ベクレルのがれきは、処分する前に地下水と接触しないようにセメントで固めなければならない。10万ベクレルを超えるがれきは、コンクリート壁で固めて一時保管しなければならない。処分場は県知事の承認が必要だ。

さらに、10万ベクレルを超えるがれきも、低放射線量の物質と混ぜられた後で焼却されることになると主張する者もいる。焼却場の多くは密集した市街地のど真ん中に位置しており、放射線を封じ込める設備を備えていない。

 国内他地域でも放射性がれきが焼却されている

フクシマだけではないのだ。東京や日本国内の多くの地域でも、放射性がれきが焼却されている。こちらを見ていただきたい。

 焼却は何年も続く

放射性がれきの焼却は何年も続くことになる、と毎日新聞は報じている・・・少なくとも2014年3月いっぱいまで。

 他国への汚染

放射性がれきを焼却することによって放射性物質がなくなることはない。ただ拡散するだけだ。ガンダーセン氏は、焼却されたがれきから放出される放射性物質は近県だけにとどまらず、ハワイ、ブリティッシュ・コロンビア州、オレゴン州、ワシントン州、カリフォルニア州にも達することになると指摘している。放射性がれきの焼却は、地面にたまった放射性物質を大気中に戻し、大量の放射線を放出することになるため、基本的にフクシマの原発事故の再現だと同氏は語った。「社会的責任を果たすための医師団(Physicians for Social Responsibility)」のシニアサイエンティストであり、ミズーリ大学コロンビア校の臨床検査プログラム理事長を務めるスティーブン・スター氏は、数多くの国で核不拡散について助言してきた人物であるが、こう記している:

放射性がれきを焼却すると、日本中、世界中にさらに無作為に放射性物質をばらまくことになるだけだ。それによって日本国内の罹患(りかん)率や死亡率が上がる結果になるだけでなく、フクシマの原発事故の疫学調査がさらに複雑になる。放射線量の「許容」レベルを引き上げるのは、深刻な問題に対する誤った解決策である。放射能は目に見えないため、政府当局がこういったことをすることは可能だ。低線量被ばくの影響はしばらくの間は現れない・・・それゆえ、隠ぺいして無視するのが容易な汚染なのだ。悲しいことに、日本の子どもたちはこの人為的環境破壊の影響をもっとも深刻に受けることになる。

フクシマから放出された放射性物質が大気や海水を通じて太平洋を超えてアメリカにまで広がっていること、日本が使用済み核燃料プールがもたらす多大な脅威を軽視していること、フクシマの原発事故の深刻さを大幅に隠ぺいすることに取り組んできたことだけでも十分悪い。しかし、問題を隠ぺいしようとして故意に放射性がれきを焼却すること──そしてその過程で世界中に放射性物質をまき散らすこと──は、まったく別の侮辱行為である。
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