fc2ブログ

もうすぐ北風が強くなる

暴かれるシリア偽造報道とフランスの豹変

ALeqM5g31Ni-gdL9jjSkywixIfWuINHHJQ.jpg
シリア軍では使用していない欧米製の武器も押収された

 日欧米のマスコミとアルジャジーラによる、シリアの偽造報道が暴かれてきた。
 そして、フランスの態度が豹変した。
 犯罪行為で内政干渉していたことが、証拠をとられたのだろう。

 関連ページ「シリアへの帝国主義軍事侵略が始まっている」、「帝国主義によるシリアの内戦」、「石油価格と通貨防衛のため内戦を仕掛ける欧米」、「WikiLeaks:米国主導のNATO軍がシリアに入っている」。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  フランスはシリアの反政府勢力に対する武器供給に反対 3/16 ROCKWAY EXPRESSから

 このブログの3月2日号「フランスはシリアで隠密戦争を進め、18名の戦争捕虜がいる」で示したように、フランスは自国兵士がシリアの反政府勢力側について、しかも戦闘で捕虜になってしまった問題を隠密裏に解決するために、ひそかにシリア政府と交渉を開始した、ことを示したが、今回の記事内容では、フランスが、シリアの反政府勢力側に武器の供給をすることには「反対」である、という声明を発表した、ということだ。ロシアと同じようなことを言い始めた、ということだ。(おいおい とっつぁん、気でも狂ったのかえ? いつもの、「おフランス」の名調子はどこへ?)

 これは明らかに、リビアの時の姿勢と異なるもので、上記の自軍兵士捕虜問題がフランス政府の対シリアの姿勢に変化をもたらした、と見るべきであろう。フランスのジュペ外相は、その理由をごちゃごちゃ言っているが、理由にもならない理由である。なんとも情けない姿を晒している。

 また、二番目の記事は、タイトルはアル・ジャジーラの敏腕記者が辞職したのは、シリア紛争の報道内容の偏向に嫌気がさしたから、ということなのだが、記事の内容はシリアの現場の映像ニュースが偽造された、という問題を扱っている。この点は既にこのブログで一貫して示してきたことである。NHKでさえ、「親政府デモ」を「反政府デモ」として放映していたのだ。

 欧米側と国連などは、シリア内の紛争による死者数のすべてが政府軍によるもの、という報道姿勢であったが、そんなバカがことがあるはずもない。武装勢力が殺害した、という報道がただの一度もない。これこそ偏向報道の最たるものである。もっともシリアには「一般市民による平和的デモ」だけがあり、それに政府軍が発砲して殺害した、と言ってきたのだから、事実をまったく無視した今までの報道内容が、愚かで恥ずかしものだったのだ。

 ともあれ、フランス政府のシリアに対する態度の豹変の裏にはそのような事情、つまり、公開できないフランス兵士の捕虜問題というものが控えている、と見られることが重要だ。従って、今後シリア情勢はうまく行けば、沈静化するかもしれない。サウジやカタールも虚偽報道ばかり続けるわけにもいかないだろう。金のためにいくらでも良心を売りとばす人間もいないわけではないが、そんな人間ばかりではないし、これからはそのような人間、すなわち良心を大切にして生きたい、と願う人間がどんどん増えてきているのだ。それが本当の「アラブの春」の時代的背景である

 「馬鹿じゃできない、利口じゃやらぬ 胸に抱いた夢ひとつ」    (花と龍:高倉健)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●フランスはシリアの反政府勢力に対する武器供給に反対
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5g2AzQAt8PqCwMsqqUeovkNguqEzg?docId=CNG.abf0d7662b09ccadd00a3c9bfc4fd8df.191
【3月15日 AFP】

 アラン・ジュペ外相が15日、フランスはシリアでアサド政権に対して反政府闘争をしている武装勢力に対して、外国勢力が武器を供給することに反対である、と語った

 昨年、フランスはリビアのカダフィ政権を打倒した反政府勢力に対して武器を供給したが、シリアの反政府勢力なあまりにも分裂していることや、そのため効果的な武装闘争をすることが困難と思われること、また現場の情勢が非常に不安定なことをフランス当局は懸念している。

 「シリア人は相当に分裂していて、もしも我々が武器を反政府勢力のある一定の組織に供給すれば、キリスト教徒、アラウィ派、スンニー派、シーア派などの間に内戦を引き起こしかねない」とジュペはラジオでのインタビューで警告した。

 「現在の騒乱状態以上の大動乱になりかねない」と彼は語った。

 過去何年か、アサド政府軍は政府に対する暴動に対しては、統制のとれていない武装した勢力に対すると同様に、一般のデモ隊に向けて発砲し、暴力的に弾圧をしてきた。

 サウジアラビアとカタールが率いるアラブ諸国の中には、武装勢力に対して武器を供給することに賛成の国もあるが、フランスと他の欧米諸国は国連が支持する交渉による解決を期待している。

 常任理事国メンバー国である中国とロシアはアサド大統領の辞任を要請する動きで一致しようとすることを阻止してきている。これに対してジュペ外相は、ロシアの「悪い仲介者の計算」がある、と語った。

 「ロシアは我々が委託された範囲をこえたとし、リビアに介入したことを非難している。しかし我々はそうは思っていない」とジュペは語った。

 「ロシアはシリアに利権を持っている。ロシアはシリアに多くの武器を売却してきた。ロシアはまた自国内でイスラム勢力が蜂起するようなことを恐れている。そのためにシリアで起きていることに反対しているのだ」と語った。
 ………………………….
●アル・ジャジーラ敏腕記者がシリアの虚偽放映に反対で辞職
http://www.voltairenet.org/Key-Al-Jazeera-journalists-resign
【3月14日 Voltaire Network】

シリア紛争報道の偏向を理由に記者が辞職した

 いくつかの主流テレビ局が最近、シリアからの怪しげな映像を使用していることが分かった。そのニュース報道は、シリアに対する軍事介入を正当化するメディアの役割に関する議論の炎に油を注いでいる。

 ”ダニー”という、反対派の活動家が、シリアのホムス市からCNN、BBC、アル・ジャジーラ、アル・アラビアにレポートをしている。彼は反政府運動に密着し、ずっとシリアに対する軍事介入を要請している。彼は、ダニー・アブドゥル・ダイェムという22歳のシリア出身のイギリス国籍所有者である。

 オンライ上にリークされたビデオの中で、ダニーはCNN用のビデオ偽造しているところが写っている。放映される前に彼は仲間に武器を発砲して、彼のアンダーソン・クーパーとのライブのレポートが劇的になるよう頼んでいる。ビデオが公開された後、変なことはしていないと彼はCNNのインタビューで否定しているが、彼が信ぴょう性のあるニュース発信源なのかどうか、ということが問題にされた。

 拡大する汚い情報戦争の中で、ダニーだけがそういうことをやっているわけではない。調査ジャーナリストのラフィク・ロトフは、何か月も、紛争に対する国際世論形成に貢献した映像の背景を調査してきた。彼は、RT(ロシア・トゥデイ)に、アル・ジャジーラはシリア政権を貶(おとし)めるようビデオ偽造を行っていて、シリア政府が石油パイプラインを爆撃した証拠である、とアル・ジャジーラによって報道されている、と説明している。

 「私はこのビデオはアル・ジャジーラのサーバー上にあると思う。あれが爆発でないことは明らかである。しかし彼らはそれを無視し、それを報道し続けた」と彼は語った。

 あれはInfowars.com.で言われているように、パイプラインを彼ら自身で爆破し作成した映像とさえ、考えられるのだ。、

■シリア非難合戦のどんでん返し

 あらゆるジャーナリストが、シリアの現場の映像を確認することは困難で、不可能に近いと認めている。

 つい最近、喉を切られたり、刺し傷や暴行の痕跡のある女子供を含む47体の遺体の映像が出てきた。反政府勢力側はUNSCの「虐殺」に関する緊急会議開催を要求した。アサド政権は反対に、ビデオに移っているテロリスト・ギャングらがこれらの人々を殺害したと発表した。そしてホムス市の住民らが死体は自分たちの親族で、以前シリアの反政府勢力によって誘拐されていた者たちであったと認めたのだ

 相互の非難合戦が熾烈さを極め、一般市民の苦難が継続する中、アル・ジャジーラの敏腕記者が辞職したことは、シリアの騒乱についての主流メディアの報道内容が、客観的現実とかけ離れたものであることを示す明らかな証拠になっているようだ。
関連記事

広東省陸豊市烏坎村

 1930.jpg
 戦う中国解放区の農民 1930年頃 西北

 中国広東省陸豊市の烏坎村のことは、新聞などで報道されているのでご存知のかたは多いと思う。
 立ち上がった住民たちが長い闘いの末に勝利を勝ち取り、腐敗幹部を追放して自治権を確立した。
 この地域、陸豊は1927年の広州コミューンの当時に、農民たちが自主的な海陸豊ソヴィエトを結成し、地主や国民党を撃退し自治権を保っていた土地柄である。

 実に中国革命の先駆的な伝統の地方なのである。
 中国共産党幹部はみなこの地方のことを歴史で学んでいるはず、そうであるなら、ここだけの例外的な自治権確立で終わるとは考えにくい。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーー
腐敗幹部追放の村 村長決定 自治体制整う 3/4  東京新聞

 【烏坎(うかん)村(中国広東省陸豊市)=今村太郎】住民が自治組織をつくって腐敗幹部を追放した中国広東省陸豊市烏坎村で三日、村政の執行部に当たる「村委員」の選挙があり、主任(村長)が決まった。「烏坎モデル」として注目された民主化運動は、村民による自治体制が整ったが、当局は同村の影響が広がり、一党独裁批判や住民運動へと発展しないよう警戒を強めている。
 選ばれたのは、主任と副主任(副村長)ら。主任は、一連のデモ後、村トップの共産党村支部書記に就いた林祖鑾さん(66)に決まった。投開票は内外からの報道関係者数百人に公開され、投票率は81%だった。
 今後は、党村支部の指導のもと、村民代表(村議)が各施策を審議し、村委員が執行する自治体制に移行する。地方幹部の独裁が常態化しているとされる中国では、異例のケースだ。
 村では四十年間、前書記ら幹部が居座り、農地使用権を勝手に売って私腹を肥やした。村委員選挙も不正が続いてきたが、昨年九月から続いた村民のデモを受け、省政府がやり直しを決めていた。
 人口一万二千人の村には約二千百世帯があるが、そのうち約千世帯は、前幹部の専横で農地を失った。村民は、農地使用権の返還を求める訴訟も検討するなど、強い姿勢を崩さない。農地を失い、現在は出稼ぎに出ている林永秋さん(43)はこの日、「投票のため帰省した。早く農業を再開したい」と話した。
 一方、選挙を監督した広東省や陸豊市当局は、二月末に開かれた候補者演説会の会場選定などで介入。演説会が民主化集会となることを恐れてか、小さな会議室での開催を指示した。村側の要望もあり屋外ステージでの開催に落ち着いたが、多数の公安関係者が監視した。烏坎村に続けと同省の村で立て続けに起きたデモも当局に鎮圧されており、「第二の烏坎」は出ていないのが現状だ。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 1927年、広州コミューンは三日間で敗北し、コミューン側は残る部隊と温存する部隊に分け、温存部隊は海陸豊へ移動した。
 残った部隊は最後まで闘った後に全員が虐殺された。狂気の白色テロルにより約7千人が殺された。ソ連領事館の副領事までが犠牲となった。
 …………………….
 ニム・ウェイルズ「アリランの歌」から引用。(ニム・ウェイルズは当時、延安の解放区に入った「中国の赤い星」の著者エドガー・スノー氏の夫人。「アリランの歌」は中国革命を闘った朝鮮人革命家からの聞き取り)
 (海陸豊への行軍)広東人は気性が激しく、農民たちはいずれも銃を持ちたがり、銃を手に入れるためには人殺しも辞さなかった。男も女も落伍兵を包丁片手に襲撃したから、行軍の列に遅れることは危険だった。沿道の民衆は食物を持って山に逃げてしまっていたため、我々は何一つ食物を見つけることができなかった。
 このつらい行軍で、我々は疲労困憊し、多くのものが"のびて"しまった.
 だが、海陸豊に近づくにつれて我々の士気は高まった。数千名もの海陸豊ソヴィエト民衆が約百里を隔てたところから、我々の歓迎にやって来てくれた。
 (ニム・ウェイルズの注釈から)
 この海陸豊ソヴィエトは1927年9月9日(広州コミューンの2か月前)中国で最初の「解放区」となった。国民党が取り返しのつかないほどに反革命化してしまい、8月南昌蜂起の間に朱徳らが創設した紅軍2万5千の生き残り1200名が根拠地をつくるために東江に南進し、そのうち生き残った800名が海陸豊の最初の武装力となった。
 海陸豊は1929年の秋まで白軍を撃退し続けた。
関連記事

復興需要への供給不足、インフレ・ギャップの危険か:三橋

 被災地の復興事業の進捗が非常に遅れており、政府と宮城、福島両県行政の遅滞とともに、建設業の人不足などが指摘されている。
 過去20年にわたって公共事業を減らしてきた結果、技能者が減ってしまったのである。
 また、自治体もこの間に人員削減を続けてきたためと、多大な死傷者のために特に市町村職員が減ってしまい、行政が賄えない危機にある。

 進んでいた過疎化と政府医療政策の誤りによって、医療過疎が進んでいたため、医療関係者も不足している。
 これらだけではない。
 長いデフレのために多くの分野で職種の労働力が減少してしまっており、また、設備施設も減少しているのである。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  復興需要に対する供給能力不足に備えよ  3/15  三橋貴明 Klugから

 現在の日本経済が抱える問題は、財政でも円高でもデフレですらなく、「情報の歪み」である。より具体的に書くと、経済学者や評論家、政治家などが「インフレ期の経済政策」と「デフレ期の経済政策」を混同しているという問題だ。すなわち、日本経済がデフレに苦しんでいるにも関わらず、懸命に「インフレ対策」を打ち続けようとするのである。

 例えば、極度の栄養失調に苦しむ病人であれば、栄養を与えるのが「治療」であり「対策」だ。栄養失調に苦しむ人に、「食べ過ぎは健康に悪いよ」などと言って、ダイエットを進める医者はいないだろう。

 あるいは、事故にあって腕を骨折した人がいたら、取りあえず整骨院に担ぎ込むだろう。骨折している怪我人を目の前にして、「治療費をどのように調達し、支払うか」について延々と議論を重ねる人も、まずいない。治療費などという「些細なこと」に気を取られ、怪我人を放っておくと、何らかの後遺症が残ってしまうかもしれない。後遺症が出ると、その人は働くことが困難になり、所得を得られなくなり、結局のところ本当に治療費を払えなくなってしまう。

 現在の日本では、未だに「構造改革」「規制緩和」「民営化」「外資導入」「自由貿易」「TPP参加」「法人税減税」「増税」「公共事業削減」「日銀の独立性強化」などと、的外れな対策を叫ぶ人が少なくない。なぜ的外れなのかと言えば、上記が「全て」インフレ対策であるためだ。

【図145-1 インフレギャップとデフレギャップ】

20120313_01.png

 インフレ率が上昇している国は、現実の需要である名目GDPが「本来の供給能力(潜在GDP)」よりも大きくなっている。潜在GDPとは、国内が完全雇用になり、設備がフル稼働した場合に生産される財貨やサービスの推定値だ。すなわち、国内の労働者と設備が全て動いた場合に達成される、名目GDPの金額である。

 潜在GDPが名目GDPに対して不足している国は、国民が懸命に働いたとしても、国内の需要を満たせないという話になる。すなわち、インフレギャップの発生だ。

 デフレギャップが「誰かが埋めない限り、埋まらない」のに対し、インフレギャップは主に二つの理由で自然に解消される。すなわち、インフレ率上昇と貿易赤字の拡大だ。物価上昇で潜在GDPの「見た目」が上昇し、かつ不足している供給力を「外国の供給能力(貿易赤字)」で埋めるわけである。

 インフレギャップは自動的に調整されるとはいえ、国民としては毎年毎年、物価上昇が続くわけである。さらにインフレ率の上昇や貿易赤字拡大は、為替レートを引き下げる。結果的に輸入物価が上昇し、国民は益々困窮する羽目になってしまう。

 というわけで、インフレギャップは何らかの対策により解消されなければならない。その方法は主に、二つある。すなわち、潜在GDPを引き上げるか、現実の需要(名目GDP)を抑制するかである。具体的な政策を、幾つかご紹介しよう。

1. 潜在GDPを引き上げる政策:市場競争を激化させ、民間の活力を引き出す「構造改革」「規制緩和」「民営化」「外資導入」「自由貿易」「法人税減税」。法人税減税がなぜ潜在GDPを引き上げるのかといえば、企業の純利益が増えることで、供給能力拡大のための投資が増えると「予想される」ためである。

2. 現実の需要を抑制する政策:GDPの各需要項目を減らす「増税」「公共事業削減」、中央銀行の通貨増発によるインフレ率上昇を防ぐ「中央銀行の独立性強化」

 いかがだろうか? 構造改革にせよ、自由貿易の推進にせよ(TPP推進)、法人税減税にせよ、消費税増税にせよ、公共事業削減にせよ、全てがインフレギャップを埋めるための「インフレ対策」なのだ。また、日本は98年に日銀法を改正し、中央銀行の独立性を強めたが、これが結果的にデフレ長期化の一因になってしまった。

 図145-1の通り、インフレギャップに悩む国と、デフレギャップに苦しむ国とでは、環境が真逆になる。環境が真逆である以上、当然ながら対策も真逆になる。ところが、日本は特に97年の橋本政権以降、一部の例外(小渕政権、麻生政権)を除き、延々とインフレ対策の構造改革や緊縮財政を実施することを続けて来たのだ。日本のデフレがいつまでたっても解消しないのも、むしろ当然である。

 さて、先日の2012年3月11日で、東日本大震災発生から一年が過ぎたことになる。野田首相は3月11日に、東日本大震災復興に関連した談話を発表した。

『2012年3月11日 毎日新聞「日本大震災:発生1年 がれき処理、都道府県に文書で要請 民間企業にも--野田首相表明」

 野田佳彦首相は11日、東日本大震災1年を受けて首相官邸で記者会見し、震災により岩手、宮城両県で出たがれきを被災地以外で受け入れる広域処理について、「昨年8月に成立した災害廃棄物処理特別措置法に基づき、被災3県を除く全都道府県にがれき受け入れを文書で正式に要請する」と表明した。セメントや製紙会社など、がれきを焼却したり原材料として活用できる民間企業に協力拡大を要請する考えも示し、政府の取り組みを強化する方針を示した。

 首相は「あの日を忘れないことが最大のご供養だ。震災の記憶と教訓は絶対に風化をさせてはならない」と強調。「問われるのは、国民同士の連帯感の持続だ。すべての国民が復興の当事者と自覚してほしい」と訴えた。(後略)』

 何というか、別に難癖をつけたいわけではないのだが、野田総理は果たして、最近の被災地の状況を理解しているのかどうか、甚だしく疑問に感じてしまったわけだ。

 あえて言うが、東日本大震災で亡くなられた方々への最大の供養は「あの日を忘れない」などといった情緒的なことではない。生き残った者たちがきちんと故郷を再興し、かつてよりも幸福に暮らすことである。

 さらに、問われているのは、国民同士の連帯感の持続といった、これまた情緒的なことではない。問われているのは「リソース(資源)」だ。すなわち、政府が被災地の復興に対し、きちんとリソースを注ぎ込むか否かである。国民同士の連帯感が持続しても、経済活動の基本要素である「ヒト」「モノ」「カネ」「技術」「ノウハウ」といったリソースが十分に投じられなければ、被災地の復興は成し遂げられない。

 筆者は3月9日に被災地に入り、二日間かけて、「釜石⇒陸前高田⇒南三陸⇒女川⇒石巻⇒仙台」というルートで、被災地を視察してきた。結果、大きな衝撃を受けた。

 衝撃を受けた理由は、被災地の復興が全く進んでおらず、荒れ果てた元市街地(荒野にしか見えない)に瓦礫が何キロも山積みになっていたためではない(そんなことは、視察に行く前から分かっていた)。復興が進んでいなかったためではなく、被災地のあまりの広さと、今後、この地域から発生する膨大な「需要」に眩暈を覚えたのである。

 現在の日本は、供給能力である潜在GDPが現実の需要(名目GDP)を上回るデフレギャップ状態が続いている。とはいえ、実際に現地を見たからこそ言うが、今後の東北の復興需要の規模は、日本の強大な供給能力を以てしても対応できるかどうか分からない。少なくとも、ミクロ的には供給が全く需要に追い付かない状況になるのは確実だ。

 少なくとも東北地区は(そして、いずれは日本全土が)「建設サービス」と「行政」について、インフレギャップ状態(デフレギャップではない)に陥ることになる。すなわち、需要に供給が全く追い付かない状況が続くことになるのだ。

 何しろ、東北地域では「とりあえずの需要」として、実に4万戸もの災害公営住宅を建設しなければならない。現在、仮設住宅で暮らしている被災者の方々に、二年以内に公営住宅に入居してもらわなければならないのだ。これだけでも、凄まじい規模の建設需要になるが、まだまだほんの序の口だ。

 災害公営住宅を建設すると同時に、被災地に新たな街を建設することになる。少なくとも、その基礎だけは整備しておかなければならない。その場合、区画整理をしようが、あるいは居住地を高台に持っていこうが、建設を始める以前に、地権者の確認と、承諾を得る作業だけで、気の遠くなるようなマンパワーが必要になる。それ以外にも、行政の仕事は山積みだ。断言しておくが、現在の被災地の行政が持つマンパワーでは、全く対応できない。

 一つ例を挙げると、これまで「一年間に1億円の事業関係の予算」を裁いていた自治体の職員二名が、いきなり「100億円の予算」を執行することを求められた事例もある。唐突に、それまでの100倍の額の予算を適切に執行するなど、人間にできるはずがない。

 現実に、被災地の自治体のマンパワー不足は深刻で、すでに、UR(都市再生機構)が支援に入っている。とはいえ、UR全体でも4000人の職員「しか」いない。被災地の行政の人員不足を補うには、全く足りない。

 また、被災地は震災で地形がかなり変わってしまっており、区画整理以前に、測量から始めなければならない状況なのだ。十分なリソースが投入されない場合、測量サービスだけでも数年がかりの事業になるそうだが、さらに測量を終え、地権者を確認し、各種事業の承諾を得なければならないのである。区画整理の際に、必要な土地は購入し、その際に抵当権も確認し、さらに亡くなられた地権者も少なくなく、その相続はどうするのか。眩暈がするほど、膨大な行政的な作業が発生する。

 加えて、バブル崩壊以降の長期デフレの影響で、国内の建設関連の供給能力が増えていない(むしろ減っている)という問題もある。

 例えば、コンクリートだ。建設事業に使用する生コン(フレッシュコンクリート)は、出荷後30分以内に建設現場に運ばなければ、凝固して使えなくなってしまう。特に、夏場は凝固が早い。

 ところが、昨今の日本の内需不振により、生コン会社が設備投資を全くしておらず、震災で膨れ上がった需要に対し、供給能力が全く足りていない状況に陥っている。結果、東北地区ではコンクリートの基礎が打てず、被災地以外においてまで、家を建てられなくなってしまっている。家を一軒建てるのに、生コン提供が一年待ちなどという異常事態に至っているのだ。

 あるいは、経験豊かなクレーン技術者不足の問題も深刻だ。移動式クレーン運転士はかなり特殊な免許が必要で、東北中の技術者はもちろん、経験豊富な人材が東京からまで被災地につぎ込まれている。結果、東京周辺でクレーン技術者が不足する事態になってしまった。

 さらに、道路の問題がある。

 復興の拠点となる都市は、もちろん仙台になるが、仙台から各被災地への道路が、平日に大渋滞を起こしている。今後、本格的な建設事業が始まると、渋滞はさらに凄まじい状況になること確実だ。結果、資材や人員の輸送が滞り、災害公営住宅建設や、被災地の土木作業が大幅に遅れる可能性があるわけである。

 上記は、需要に対して供給能力が不足している、ほんの一部の事例だ。調べていけば、他にも供給能力不足に陥っている分野は、それこそ雨後の竹の子ほどにもあるだろう。

 膨大な行政業務の需要に対し、人員という供給能力が悲しいほど足りない。コンクリート需要に対し、生コンの供給能力が「全く」足りない。クレーン技術者の供給能力が、首都圏までもが枯渇するほど足りない。さらに、道路サービスが、復興に際した「運送需要」を満たすには、これまた全く足りていない。

 これが、現在の被災地の現実なのだ。

 上記の需要不足の一部は、「お金」で解決できる。例えば、地権者の意思確認や抵当の問題などは、多額の「お金」を使えば何とかできないこともないだろう。無論、相当数の人員を雇う必要があるだろうが、人海戦術で対応できないこともない分、他の問題よりはマシだ。

 より深刻なのは、「設備投資」あるいは「公共投資」を伴う分野における供給能力不足である。

 生コン不足は、コンクリート会社に設備投資をして貰わなければ、どうにも解決のしようがない。また、クレーン技術者の不足も、企業が投資して育成してくれなければ、解消しない。あるいは、仙台と被災地の間の「道路サービスの不足」を何とかすることができるのは、政府の公共投資だけである。道路で言えば、せめて三陸縦貫自動車道だけでも全線開通させなければ、確実に「運送力不足による、復興遅延」が発生することになる。

 公共投資は、政府がその気になれば何とかなるが、問題は民間の投資の方だ。

 今回の復興需要は、現地の自治体責任者の方々の話を聞く限り、短くても8年、恐らくは10年以上は続く。とはいえ、逆に言えば10年が経過し、復興事業が完了すると、「ピタリ」と需要が消滅してしまいかねないのだ。10年後に需要が消え失せる環境下で、果たして民間企業が設備投資に踏み切ってくれるだろうか。未知数としか言いようがない。

 結局のところ、解決策は日本政府が明確に「耐震化」あるいは「国土の強靭化」といった長期的な目標を打ち出し、需要が今後「数十年」は継続するという見込みを示す以外にないわけだ。

「国土の強靭化事業で、今後数十年、需要が拡大し続ける」

 上記の可能性が濃厚になれば、日本企業は投資拡大に踏み切り、供給能力をアップさせてくれるだろう。
 さもなければ、デフレギャップに悩んでいた日本が、ある日突然、対応しようのないインフレギャップに苦しめられることになりかねないのだ。
関連記事

 | HOME | 

 

プロフィール

もうすぐ北風

Author:もうすぐ北風
こんにちは。
いろんな旅を続けています。
ゆきさきを決めてないなら、しばらく一緒に歩きましょうか。

最新記事(引用転載フリー)

カテゴリ

経済一般 (118)
経済一般~2012冬まで (161)
日本の経済 (224)
通貨戦争 (70)
ショック・ドクトリン (12)
震災関係 (23)
原発事故発生 (112)
事故と放射能2011 (165)
放射能汚染2012 (192)
汚染列島2013-14 (146)
汚染列島2015-16 (13)
福島の声 (127)
チェリノブイリからの声 (27)
政治 (413)
沖縄 (93)
社会 (316)
小沢一郎と「生活の党」 (232)
健康と食 (88)
環境と地球の歴史 (28)
未分類 (175)
脳卒中と入院 (7)

カウンター

最新コメント

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

リンク

このブログをリンクに追加する

カレンダー

02 | 2012/03 | 04
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最新トラックバック

月別アーカイブ

RSSリンクの表示

Template by たけやん