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もうすぐ北風が強くなる

IMF、EU、メルケルと闘うギリシャ

imぎり Unぎり

 債務支援と引換に過酷な財政削減要求を突きつけられたギリシャは、当然ながら国民の大多数がこれに反対する事態となっている。
 デモのスローガンは政権よりもIMF、EU、ECB、そしてメルケルを批判するものが多い。
 こうなっては、勤労者、失業者から年金生活者から中小企業、商業、観光に至るまで利害は一致し、反対となっている。
 国民国家はほぼ解体。国民の99%は貧困の底なし沼に投げ込まれることとなる。

 ペーパーマネーの債務で国民国家が解体されることは許されることか。
 デフォルトを宣言してユーロ離脱か、あるいは革命か、軍のクーデターか。
 「緊迫するユーロ、ギリシャは何処へ向かうか」、「通貨戦争(48)分裂に向かうユーロ」。
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 観光地も閉鎖 ギリシャ、48時間のゼネスト突入 2/10 産経

ベルリン=宮下日出男】財政危機に陥るギリシャの官民2大労組は10日、欧州連合(EU)などの支援策受け入れのために政府が決めた緊縮策に抗議し、全土で11日までの48時間のゼネストを始めた。

 地下鉄や鉄道などの公共交通機関が運行を停止し、地方自治体、学校や病院などのほか、観光地も閉鎖。国会前のシンタグマ広場では組合員らによる抗議集会も行われた。両労組は7日にも24時間のゼネストを行っている。

 ギリシャは相次ぐ緊縮策などにより失業率は20%を超え、若者では48%に上る。労組幹部はロイター通信に「緊縮策は受け入れられない。社会的な暴動が起こるだろう」と語った。
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ギリシャで労働組合が48時間のスト 緊縮策に反発   2/11  CNN

 財政危機に陥っているギリシャで10日、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)が総額1300億ユーロ(約13兆円)の追加支援を行う条件としている新たな緊縮策に反対する複数の労働組合が48時間のストライキを開始した。

ギリシャの主要政党のトップは9日、長い交渉の末、第2次支援策の条件になっている財政緊縮策の受け入れについて合意した。この新たな緊縮策は今週末に議会の承認を受けなければならないが、ギリシャ16 件連立与党の一角を占める極右政党、国民正統派運動(LAOS)は緊縮策に賛成しない意向を示している。

しかし、定数300のギリシャ議会でLAOSの議席数は16にすぎず、全ギリシャ16 件社会主義運動(PASOK)が153議席、新民主主義党(ND)が83議席を確保しており、議会の承認は得られる見込みだ。

そんな中、さらなる緊縮策に怒った複数の労働組合が10日、48時間のゼネストを呼びかけた。

議事堂前のシンタグマ広場では、抗議集会に集まったデモ隊と警官隊が衝突。デモ隊は警官隊に石や火炎瓶を投げ、警官隊もスタングリネードや催涙弾で応戦した。この衝突で少なくとも1人が負傷した模様。警察は当初、アテネ市内のデモの参加者は約1万3000人で、人数はさらに増える見込みだと発表していた。現在、アテネの中心地は通行止めとなっている。

ギリシャ16 件は3月20日に迎える145億ユーロの国債償還を乗り切るために何としても追加支援を受ける必要がある。15日に再びユーロ圏財務相会合の開催が予定されており、それまでにギリシャが要求された全ての条件を満たせば、財務相会合で追加支援が承認されることになる。
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ギリシャ、労組が48時間のゼネスト 緊縮策に抗議 【2月11日AFP】

 ギリシャの官民2大労組は10日、政府が受け入れた新たな財政緊縮策に抗議するため、48時間のゼネストに突入した。緊縮策は、ギリシャが欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)などから支援を得るための条件で、議会で採決が予定されている。

 ストを呼び掛けた2大労組のギリシャ労働総同盟(GSEE)とギリシャ公務員連合(ADEDY)は、緊縮策を「ギリシャ社会の死」と非難。組合員らは、過去2年間デモの拠点となってきたシンタグマ広場(Syntagma Square)に再び集結した。ある年金生活者はAFPに対し、「議会が承認を目指している緊縮策はギリシャの墓場」と語った。

 首都アテネ(Athens)ではストの影響で、バスや地下鉄、路面電車など交通機関がまひ状態に陥った。シンタグマ広場付近では7000人規模の抗議デモが発生。参加者らは首都中心部に配置された警官隊に石や発火物を投げ付け、警官隊は催涙ガスで応戦した。
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ギリシャ緊縮策に国民や一部議員が反発、議会は通過の見通し

[アテネ 10日 ロイター] ギリシャでは10日、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)が支援条件として要求している新たな緊縮策に反対する国民が48時間のゼネストを行った。一方、ベニゼロス財務相は国民に対し、ユーロ圏にとどまるために犠牲を払うか、ユーロ圏を離脱してより大きな犠牲を払うかという選択を迫られていると訴えた。

緊縮策に対する国民の怒りが拡大する中、ギリシャ連立与党の一角を占める極右政党、国民正統派運動(LAOS)のカラザフェリス党首は10日、EUやIMFから求められている第2次支援条件の議会承認に関して、賛成票を投じることはできないとの考えを示した。

緊縮策には最低賃金の22%引き下げ、公務員の15万人削減などが盛り込まれている。

同氏は記者会見で、支援合意を支持することはできないと他の政治指導者に説明したことを明らかにし、「われわれは尊厳を奪われ、屈辱を受けた。受け入れることは決してできない」と主張した。

また「ドイツは豊富な資金力を盾に欧州全体の決定を下し、南欧諸国の人々を支配している」とドイツ批判を展開した。

定数300のギリシャ議会でLAOSの議席数は15。残りは全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と新民主主義党(ND)が多数を占めている。

LAOSに所属する閣僚4人は辞表を提出したが、カラザフェリス党首は総選挙の前倒しには反対の立場を示した。

パパデモス首相は9日、連立与党3党の党首が緊縮措置と経済改革を盛り込んだ包括案で合意したと発表したが、ベニゼロス財務相はこの包括案と民間債権者による債務減免案について、ユーロ圏財務相会合で承認を得ることはできなかった。

ユーロ圏はギリシャに対し、15日までに緊縮策を議会で承認するとともに3億2500万ユーロの追加歳出削減策を策定し、総選挙後も緊縮策の効力を維持することを保証するよう求めた。

EUとIMFは、ギリシャによる度重なる約束の不履行と、支援条件をめぐる長引く対立に業を煮やしている。

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ルクセンブルク首相)は「端的に言えば、実行なくして支援実施はないということだ」と述べ、ギリシャに対する不信感をあらわにした。

ベニゼロス財務相は、来月の国債償還で無秩序なデフォルト(債務不履行)を回避するためには、1300億ユーロの対ギリシャ第2次支援の条件として求められている厳しい改革案と民間債権者による債務減免計画を受け入れるほか選択肢がほぼないということを明確にした。

9日のユーロ圏財務相会合の後「決断する時が来ている」と述べ、「残念ながら、ギリシャが選択できるのは犠牲か、もしくは一段と大きな犠牲だ」と語った。

財務相は「15日に開かれる可能性が最も高い次回のユーロ圏財務相会合までに、わが国と国民は最後の極めて重要な決断を下す必要がある」とし、今後数日間のギリシャの決定が包括案と債務減免計画の行方を左右するとの考えを示した。

また「ギリシャの将来をユーロ圏と欧州の中に見いだすのであれば、3月の大規模国債償還に間に合うように、包括案の承認と債務減免協議の完了に必要な措置を取るべきだ」と主張した。

対ギリシャ支援と債務減免が失敗に終わるのではないかとの懸念から、10日の外為市場でユーロは下落、欧州株も売られた。

ギリシャ議員の間では、総選挙を意識して緊縮策に反対する姿勢が強まっている。

半国営アテネ通信社(ANA)は、PASOK議員が10日に辞任したと伝えた。複数のニュースサイトによると、別の議員も辞任の意向を示唆している。

ただ、大量の離脱議員が出ない限り、議会採決で包括案が否決される可能性は低い。

政治アナリストのジョージ・セフェルツィス氏はロイターに対し「複数議員による離脱や投票棄権が出る公算が大きいが、可決に必要な票に届かないとは予想していない」と述べ、「賛成票を投じることは議員にとって痛手となるが、国家破たんの責任を負うことも同様に重荷だ」との見方を示した。
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デフレを放置し、黒を白とうそぶく日銀総裁

 日銀はデフレ対策を何もしないで、嘘の強弁まで続けている。
 「米国FRBのインフレ目標導入で日銀大慌て」と合わせて御覧ください。
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 黒を白と言いくるめる白川日銀総裁  2/10  田村秀男  

 6日午前の参院予算委員会に参考人として出席した白川方明日銀総裁の答弁内容にあきれた。いかにも気弱そうな顔つきで平気で「黒を白」と言い抜ける。

 白川氏は「実質ゼロ金利」政策を実行していると弁明し、もうひとつ、「米連邦準備制度理事会(FRB)が日銀政策に近づいた」と強弁する。国会の場が日銀総裁の言いたい放題なのは、何ともやりきれない。円高・デフレ基調を断ち切るうえで、日銀の金融政策ほど重要な政策はないというのに、である。

 実質金利とは、名目金利からインフレ率を差し引いた金利を差すのが経済学上の常識である。

 ここでグラフを見よう。リーマン・ショック後の日米の中央銀行が操作する短期市場金利から消費者物価前年比上昇率を差し引いた実質金利推移である。日本の場合、ゼロ水準になるのは瞬間的で、ゼロになれば日銀はあわててプラス水準に戻す。日銀の政策は「実質ゼロ」ではなく、「実質プラス」金利政策なのである。
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 対照的にFRBは2009年11月以降、実質マイナス金利に徹し、水面下でも少しでも実質金利が上方に動けば、ただちに実質金利を下方に押し下げている。米国も建前上は「ゼロ」金利政策なのだが、実際には実質「マイナス金利」をとっているのである。

 日米間の実質金利差は、昨年3月の東日本大震災以降3%を超えるほど広がり、大震災以来の超円高をもたらす最大の要因といえる。

 実質金利が高い通貨建ての金融資産は、実質金利の低い通貨建ての金融資産より値打ちがある。だから、円と円建ての金融資産、特に日本国債が買われ、円高を引き起こす。超円高是正のためには、米国並みに実質金利を引き下げる意図を日銀が鮮明にしなければならない。

 経済、とくに為替や金融市場というものは、市場参加者の将来予測(期待)によって決まる。中央銀行はそんな市場の「期待」に働き掛ける政策をとる。それが、バーナンキ議長がインフレ率2%を長期的な目標とし、それに沿った金融政策を展開することを明示した意味である。

 市場は、FRBが当面は実質マイナス金利政策を続けるには「量的緩和政策に踏み切る可能性もある」と反応するわけだ。

 日銀のほうは、「中長期的な物価安定の理解」という意味不明な日銀内規を持ち出し、「FRBが真似した」とぬけぬけと言い放つ。日銀内部の単なる「理解」をFRBが国内外に向かって宣言した「ゴール」(目標)と同列視するのは、とてもまともな神経で言えるものではない。「物価安定」とは消費者物価上昇率が1%程度で、それが展望できるまで実質ゼロ金利政策を継続するというが、現実には実質プラス金利政策である。

 デフレの克服は不可能で日米間の実質金利差は縮まる見通しが立たない。超円高は今後も続くだろうが、その元凶は日銀にある。
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凋落するソニー、パナソニック、シャープ

 かつてアップルに復帰した当時のS・ジョブスは「我々の模範とすべきはソニーだ。」と言った。
 そのソニーは「松下に学ばなければならない」と言っていたのだが、今は昔であった。
 サンヨー、シャープ、パナソニック、ソニーと一時は世界的メーカーであったが、順次に赤字が増大し、凋落を続けている。世界の電気通信産業は韓国、中国、台湾が伸長し続けている。

 ソニーは典型的に世界を制覇したが、その後のブランドが伸びなかった。
 世界的ブランド力があればこそ、新興国と価格競争などはしなくて良いのだが。
 対照的にアップルはiMac、ipad、iフォンとブランド力を急拡大してきた。
 他と異なる質を追求してきた結果である。

 新興国をブランド力で圧倒できれば、競争は不要でさらに独自の質を追求できるのだが、現実には価格競争に巻き込まれてしまったのが、ブランド力を喪失してきた証左でもある。
 円高のせいなどではない。
 デジタル機器の価格下落による、価格競争の罠である。
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交易条件で見えてくる日本産業の将来  2/10 根津利三郎

1.大赤字を計上した日本の家庭電器産業

日本の電気産業が存亡の危機に立たされている。パナソニック、SONY、シャープといった日本を代表する大手電気企業が今年度多額の赤字を計上することになりそうだ。東日本大震災、タイの洪水に加えて、円高も損失を大いに拡大させた。
だが、問題はこのような一時的な要因だけで起こったわけではない。企業戦略に関わるより根本的な問題があることは多くのエコのミストやアナリストが指摘するところである。

筆者は昨年7月、「交易条件から見る韓国経済の影」と題してこのオピニオン欄にレポートを公表し、交易条件の悪化が電気産業を中心にして、日本や韓国など東アジア各国で広く進行していることを指摘した。
今回、最新のデータをもとにして、改めて日本の交易条件を主要産業ごとに見たものが【図1】のグラフである。データは日銀の製造業部門別投入・産出物価指数(2005年=100)を用いて産出指数を投入指数で除することで交易条件を計算している。
投入と産出の差額は付加価値、すなわち賃金、企業利益および減価償却になる。交易条件指数が上昇(改善)しているということは付加価値が増えることであり、日本経済や企業にとっては好ましいことであるが、他方で交易条件指数が下落(悪化)することはその逆の効果をもたらす。

【図1】日本の主要産業の交易条件
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2. 特に交易条件の悪化が目立つ電子部品と情報通信

このグラフからいくつかのことが明らかになる。
第一に、電子部品と情報通信の交易条件の著しい悪化である。ここで電子部品とは集積回路、半導体やそれらの部品で、情報通信はコンピュータ、携帯電話機、交換機、テレビなどの民生用電子機械などを含む。
これらに共通なのはデジタル技術を使った製品であることだ。データは1995年からあるが、現在までの16年間、一直線に下落している。
日本企業は継続的に利益と賃金を圧縮しながら、ようやく生きながらえてきた。これでは遅かれ早かれ行き詰まることになるが、それがこのほど明らかになったということである。

1990年代から始まったデジタル革命、とくにインターネットの普及はそれに関わる製造産業に根本的な変革をもたらした。
製造技術が日本から周辺のアジア諸国に流出し、韓国や台湾企業が日本企業に対して、激しい価格競争を仕掛けてきた。
その結果、原材料や部品の価格も下がったかもしれないが、それ以上のスピードで製品価格が下落した。パソコンやテレビ、携帯電話などではデザインなどで多少の差別化はできるが、基本的には同一商品で、時間とともに価格競争に陥っていく。
当然のことながら、韓国や台湾、中国の企業も値下がりの影響を受けており、現にサムスン電子も収益が悪化しているという報道がなされている。

米国ではVIZIOという名の薄型テレビ企業がある。2005年に台湾系の米国人が始めたベンチャービジネスだが、今米国でサムスンに次ぐNo2の薄型テレビ販売会社だ。すべての部品調達や組み立ては台湾や中国で行い、製品はコストコなどの倉庫店舗で売られている。
もちろん技術的蓄積はまったく無いが、部品は世界中から自由に調達できるので、あとは組み立てるだけで、それも全量中国で行う。米国内にいる社員はわずか90人。これでは人件費の高い日本企業が、開発費用も含めてコスト計算をしたら太刀打ちできるはずがない。

3. 価格競争になったら撤退しか道は無い

商品がコモデテイ化して、価格競争に追い込まれたら、企業としてはどうすればよいか? 
すでに40年近く昔になるが、筆者が米国のビジネススクールに留学しているときに、日本との競争で苦労する米国企業のケースがあった。
学生の間でいろいろと議論があった後で、最後に教授が、『価格競争に入ったらさっさと撤退すること』と言ったのを今でも思い出す。そうなる前にたっぷり稼いで投資は早めに回収しろ、ということであろう。
事実、今、薄型テレビを作っている米国企業は無く、ヨーロッパの最大家電メーカーのフィリップスも2年くらい前に薄型テレビ工場を日本企業に売却して撤退した。先進国では日本企業だけが何とか頑張れないかと苦闘したが、結果的には無駄な努力ではなかったか。

振り返って見ると、日本企業は後から追いかけて、先行企業を凌駕し、最後は駆逐するということは何回もやってきた。テレビはその最たる例で、1970年代、日本の家電メーカーは米国向けカラーテレビ輸出を急増させ、米国企業を破綻に追い込んだ。
米国は日本政府との間で3年間の輸出自主規制協定を結んだが、その3年の間で米国カラーテレビ企業は撤退し、最終的には日本企業の子会社を除いてはほとんど消滅した。フィンランドのノキアもかつてカラーテレビを生産していたが、日本には勝てないと判断して、テレビから撤退し携帯電話に集中した。
いずれも『価格競争になったら撤退する』という基本を守ったのだ。もし日本企業がこのような米国企業のやり方から教訓を学んでいたら、もう少し早めに別の対応をしていたのではないか。

4. 円高責任説は誤り

リーマンショック後の急激な円高が企業経営を一層困難にしたことは否めないが、電子部品と情報通信の交易条件は為替レートに関わりなく下落し続けた。
一般には円高のときには輸入原材料や輸入部品の円建て価格は下落するから、輸出品を含む生産物価格をそのままにしておけば交易条件指数は上昇し、逆に円安時には指数は下落する。事実、2001年、2002年、および2008年、2009年頃の円高の時には、ほかの産業では円高による交易条件の改善がみられたが、上記の2業種だけは、このような交易条件の改善がない。
輸入原材料などの投入財の値下がり以上に製品の価格が下がっているからだ。

2004年から2007年まで長期にわたる円安の期間があった。日本の輸出企業は一般的に円安の方を歓迎するが、円安であれば投入財価格は上昇するものの、生産物の価格を引き上げる余地が生まれるはずだが、日本企業はそれもしていない。
したがって交易条件の悪化は為替レートに関係なく進んだ。その結果、付加価値の大半を占める賃金は為替レートに関係なく継続して下落し、デフレも止まらなかった。これは巷で言われる「円高責任説」が実は正しくないことを意味する。
薄型テレビはこの5年間で40インチのものが40万円から8万円と、まさしく5分の1に値下がりした。為替変動で説明がつくような価格の変化ではない。
これで利益が出るはずがない。自社の製品に対する価格支配力を失ったら、長期にわたってその事業を継続することは不可能で、速やかに撤退するのが戦略の王道のように思われる。

5. 精密機械、一般機械は大丈夫。自動車は注意を要する

目をほかの産業に転じてみよう。精密機械と一般機械の交易条件はこの20年間変動していない。
これはアジア新興国の工業化にも関わらず、日本企業は価格引下げ競争に陥ることなく競争力を維持することに成功していることを意味する。
これらはテレビや携帯端末などの規格大量生産とは異なり、企業相手の資本財で、顧客の要望や使用条件に合わせて、ひとつずつ製造する商品であり、カスタマイズや販売後のサービスなどを通じて差別化が可能である。
薄型テレビや携帯電話などの苦境とは対照的に、このところ日本の建設・土木機械の好調ぶりが伝えられるが、彼らは海外市場でも値引きはしない、という原則を貫いている。当然、交易条件は悪化しない。スイスやドイツの製造業が強いのも同じ理由であろう。

日本の製造業の中でも飛びぬけた存在である輸送機械、すなわち自動車産業がこれからどうなるかは、日本経済全体の将来に関わる大問題だ。
【図1】を見る限り、電気産業のような大きな交易条件の長期的な悪化は見られないが、リーマンショック後、多少悪化している。これが世界的な景気後退という一時的な要因によるものなのか、それとも電気産業と同様な、より根本的な要因によるのかは注意深く見ていく必要があろう。
製品の差別化を進めながら、他方で海外からの部品調達がさらに増やせるならば、投入財の価格引き下げを通じて交易条件の改善を図る余地が拡がるかも知れない。

6. 気になる鉄鋼産業の将来

鉄鋼産業は気になるところである。鉄は素材産業で差別化の難しい産業ではあるが、それでも日本の鉄鋼企業は顧客のニーズに合わせて品質の高い製品を生産し、2002年くらいまでは交易条件を維持してきたが、2003年くらいから悪化が目立つようになってきた。
これには中国の鉄鋼産業の急拡大が大きく関係している。中国は今世紀に入ってから高度経済成長に合わせて鉄鋼生産の急拡大が必要となり、そのため豪州やブラジルからの鉄鉱石や原料端の輸入を急増させた。
当然、これらの国際価格は急上昇し、日本企業も高い原料を買わざるを得なくなった。他方、国内の鉄鋼製品市場は低迷し、また輸出市場ではアジア新興国の国有鉄鋼企業と競争せざるを得なくなった。
その結果、原料高の製品安となり、交易条件の悪化、ひいては企業収益の悪化が目立つようになった。原材料を100%海外に依存するわが国鉄鋼産業にとって、円高は本来悪い話ではないはずだが、それにも関わらず、これだけ苦しんでいるのは、この産業が直面する問題の根深さを物語っている。
将来を見通せば、中国だけではなくインドやその他の新興国でも鉄鋼生産が増えることは確実で、その結果、原材料の値上がりは今後とも続くであろう。
日本企業は海外で新たな鉱山を開発するなど、原材料の安定確保に向けた努力がますます必要になってくる。

企業や産業の将来を的確に見通すことは難しい。だが、製品価格をしっかりコントロールしていくことは企業戦略にとっても重要であり、その意味で交易条件の変化は常に注視していくべきものと考える次第である。
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