fc2ブログ

もうすぐ北風が強くなる

国債暴落論(?)は消費増税への謀略デマ

 先に「国債の暴落はあるのか?と言えば「無い」!」にて山崎元氏の危機を煽る記事に騙されないようにとの論を紹介しました。
 危機の煽り記事は、目的が「備え」とか「対策」の口実で、金融商品を売りつけ利益を上げる金融資本に貢献するものです。

 そして、同時に最近の傾向は消費増税に向けて煽っていることです。
 国債暴落論(?)は、政府の消費増税論にも寄与するので政府は大好きです。
 御用学者、御用評論家を並べて、マスコミが煽っているようですが、事実を根拠にしない暴論、嘘記事と言うよりも、正確に言うならば「消費増税のための謀略デマ」と言い切って良いだろう。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
国債についての「常識」のウソ  2/9  「闇株新聞」から

 最近、新聞やテレビでやたら「国債」が取り上げられ、数々の「常識」が語られています。大半が消費税引き上げのために国民に解説される「常識」なのですが、明らかに間違っている「常識」がかなりあります。

 本日は、これらの「常識」のウソを解説します。

(その1)国債利回りが上昇すると財政負担が増えるというウソ

 消費税を上げなければ財政が破たんし、ギリシャ並みに国債利回りが上昇して一層の財政危機に陥り、年金や医療サービスなども破綻するということのようですが(まず、消費税を上げなかったら国債利回りが上昇するというのもウソなのですが、これは後回しにします)、仮に国債利回りが何らかの理由で上昇しても既に発行されている国債の利率は償還まで変わりません。だからこの分の財政負担(利払い)は一切増えません。
  
 もちろん新たに発行される国債は、その時の実勢に合わせた利率にしなければならないので、利回りが上昇していればその分の財政負担は確かに増えます。

 ここで何故か国債利回りが3.5%になったらという前提が使われるのですが、これは現在の利回りが約1%の10年国債のことだと思われるので2.5%の利回り上昇となり、国債発行残高が約1000兆円なので国債の利払いだけで20数兆円増えると堂々と言っているエコノミストがいます(実名をあげてもいいのですが、ご本人の名誉のためにやめておきます)。

 確かに変動利付国債というのも発行されているのですが発行額が少ないうえに、利率が短期金利に連動するため日銀が政策金利まで一緒に上げてくれない限り利率は上昇しません。

 従って、国債利回りが上昇すると発行されている国債全額の利払いが増えるかのような「常識」はとんでもないウソなのです。

(その2)国債利回りが上昇すると国内銀行が巨額の損失を被るというウソ

 消費税を上げないと国債利回りが上昇し(これもウソなのですが後回しにします)、多額の国債を保有している銀行が巨額の損失を被り、預金に金利が払えないとか(いまでもほとんど払っていないのですが)預金の払い戻しが出来なくなるということのようですが、これもとんでもないウソです。

確かに何らかの理由で国債利回りが上昇すれば国債価格は下落します。しかし、その計算の前提があまりにも大げさなのです。

 ここでも何故か国債利回りが3.5%になったらという前提が使われているのですが、これも現在の利回りが約1%の10年国債のことだと思われるので2.5%の利回り上昇となります。これは大雑把に言って価格が18%下落することになり、直近の国内銀行の国債保有額が163兆円なので、その18%に当たる30兆円の評価損が出て国内銀行全体の自己資本が大半毀損するということのようです

 そもそも国債利回りが3.5%ということ自体がナンセンスなのですが、仮にそうだとしても銀行が全額を10年債で保有しているはずがなく、現在の保有国債の平均残存年数が3年強しかありません。そうすると仮に10年国債利回りが2.5%上昇して3.5%になったとしても、現在の利回りが約0.25%の残存3年強の国債の利回りがどれくらい上昇するか考えればよいのです。

 幾らなんでも日銀が政策金利まで2.5%も上げるとは考えられないので、短期金利がゼロのままだとすると3年強の国債利回りは単純に期間按分して1.15%(0.9%の利回り上昇)、短期金利が0.5%になっていたとしても1.5%(1.25%上昇)にしかなりません。

 これでもあり得ない前提なのですが、仮に銀行保有の平均残存3年強の国債利回りが現在の0.25%から1.5%へ上昇したとしても価格は4%ほどの下落に過ぎず、163兆円の評価損は6.5兆円なのです。

 もっと現実的な計算では、多少国債利回りが上昇しても銀行の評価損はもっともっと少なく、びくともしません。

(その3)海外投資家の日本国債保有が増えると、「売りたたき」されて価格が暴落するというウソ

 現在の外人の日本国債保有は76兆円で、しかも大半が短期国債です。しかも保有している投資家は海外の中央銀行が中心です。

 本来は、財政問題とはまったく別に考えて海外における国債保有額の拡大と、保有先の多様化を図っておく必要があるのですが、この際に必ず出てくる「常識」がこれです。

 海外における国債の保有先は、世界の債券発行残高の約70兆ドル(5300兆円)を保有している中央銀行、民間銀行、年金、債券ファンドなどで保有した国債を売却することはあっても、わざわざ「売りたたく」ことは全く利益につながらず、あり得ません。

 確かにヘッジファンドの中には、日本国債の価格下落に賭けるポジションを取っているところは多いかもしれませんが、彼らは日本国債などはじめから1円も保有していません

 従って、外国人投資家の日本国債保有が増えると「売りたたかれる」というのはとんでもないウソで、国策的にはもっと積極的に海外投資家の日本国債保有を増やす努力をしなければならないのです。

国債についての「常識」のウソ  その2

 昨日の続きですが早速いくつかコメントを頂いています。多いのは「国債の安全性が崩れるまでに」「銀行や預金者がパニックを引き起こすまでに」どれだけ時間的余裕があると思っているのか?というご質問だと思います。

 非常に大切なポイントなのですが、明日以降の記事でお答えしていきます。

 「常識」のウソを続けます。

(その4)消費税を上げなかったら国債が暴落(利回りが急上昇)するというウソ

 昨日「後回し」にした、消費税を上げなかったら財政赤字が膨らみ国債への信認が低下して国債の暴落(利回りの急上昇)が起きるという一番基本の「常識」ですが、ウソです。

 まず前半の、消費税を上げなければ財政赤字が膨らむというのは「本当」なのですが、膨らむ財政赤字への対処としては「今すぐの増税」だけでなく「無駄の切り詰め」とか「経済回復を優先して将来の税の増収を図る」などがあるはずで、何が何でも増税というのは「間違い」なのです。

 そして後半の、財政赤字が膨らむと(必然的に国債発行が増え)国債が暴落するというのはウソです。なぜなら(償還期限が1.5年ないし2年以下の)短期国債の利回りは「金融政策の見通し」によって動き、(償還期限が1.5年ないし2年以上の)中長期国債の利回りは「需給関係」よりも「経済の見通し」によって動くものだからです。

 従って、短期国債については政策金利が引き上げられる状況ではないため暴落することはありません。一方、中長期国債については、もし消費税上げを強行すれば経済が完全に失速するため利回りは逆に低下し消費税上げが見送られた場合は(代替で行われる政策にもよるのですが)「経済の見通し」が好転する可能性が初めて出てきて、その時は「緩やかな良い金利上昇」となります

 あくまでも「緩やかな良い金利上昇」で、急上昇することはありません。いずれにしても、消費税を上げなかったら国債が暴落するというのは、ウソです。

(その5)国債の海外保有が増えたら、ギリシャのようにデフォルトするというウソ

 大体、海外に国債保有を推進する努力を一切怠っておきながら、このウソはないだろうと思うのですが一応解説しておきます。

 ギリシャだけでなく国債のデフォルトは珍しくなく、大きいものだけでも1988年のブラジル(対象国債621億ドル)、2000年のロシア(319億ドル)、2005年のアルゼンチン(437億ドル)、2006年のイラク(177億ドル)などがあります。

 どのケースもそうなのですが、外貨建て(おもにドル建て)の国債発行残高が膨らんだところへ自国通貨の急落が起こり、自国通貨で見た対外債務が急激に膨らんだ結果のデフォルトなのです。

 日本が円建て国債を海外にいくら保有してもらっても何の問題もないのです。それどころか円の国際化が進みます。円の国際化が進むということは、円(実際は国債)がドルやユーロや金(きん)と並んで世界通貨体制での「価値の裏付け」になることで、円(国債)は「お願いして買ってもらう」ものではなく「向こうから進んで買いに来る」ものになることなのですが、これについてはまた別の機会に書きます。
関連記事

経済停滞招く消費増税:トッテン

新年早々、野田首相は消費税の増税にあわせて社会保障の改革を推し進めることを国民に発表した。社会保障の改革とは、国民の福祉削減にほかならない。
(ビル・トッテン)

経済停滞招く消費増税

昨年末から日本を含め欧米の先進国といわれる政府の政策をみていると、各国の政府は1929年に始まった経済不況が広まり世界恐慌となったのと同じ状況を招こうとしているかのように思える。

29年の株式市場大暴落で始まった大不況で政府がとったのは緊縮財政であった。政府予算を均衡させるために、政府の支出を削減することである。緊縮財政は失業率の増加をもたらし、失業手当を受ける人は増え、税収は減少する。

今、日本政府は税収を増やすために消費税を10%にしようとしている。しかし所得に占める消費の割合は、高額所得者よりも低額所得者の方がはるかに高く、貧しい人々は所得のほとんどを衣食住にまわしていると言ってもよい。したがって消費税が増税になれば、多くの国民はますます消費を切り詰め、それはさらに経済を停滞させるのだ。企業は新規投資をやめ、職を失う労働者が増え、銀行は貸し渋りをし、政府の緊縮財政により福祉手当が削減される。こうした悪循環により、経済はますます悪化していく。

さらに、消費税を増税しても見込まれる歳入は12.5兆円にしかならないが、昨年、日本政府は円高を是正し、円の対ドル為替レートを下げるために14.3兆円を費やした。日本の99%の経済を犠牲にして1%の輸出企業を助けるために、国家予算の15%に相当する金額を使ったのである。

国民には痛みを押し付けながら日本政府は企業には寛大だ。原子力産業には相変わらず多額の補助金を出している。原発事故の被害者に補償をするのなら、避難を命じられて家や仕事を失った国民に、直接、今すぐに支援をするべきであろう。

また昨年、日系企業が多く進出しているタイを襲った洪水では、日本政府は10億円の支援を行い、操業ができなくなった日系工場のタイ人従業員には、期間限定で特別に日本で就労できるビザを発給したという。生産コストを下げるために拠点をタイに移し、日本人の雇用を減らした企業を支援する一方で、原発事故によって避難し職を失った自国民には救済の手を差し伸べない。

昨年末、政府は米ロッキード・マーチン社製の戦闘機を42機も購入すると発表した。1機当たり99億円で、維持費も入れると総額は1.6兆円になるという。次の大地震がくればどうなるかわからない崩壊寸前の原子炉がある日本で、なぜこのような価値のないものに巨額の国家予算を投じるのか。アメリカ政府と兵器産業を救済するという理由以外に、なにがあるだろう。

1930年代に始まった世界恐慌は、その後、第2次世界大戦へと進んでいった。戦争こそ、経済を復興させるもっとも効率のよい政策だったからだ。原発事故で放射性物質に汚染された土地で放射能と戦いながら多くの日本人が暮らしている。この地を、これ以上の戦場にしてはならない。
関連記事

姑息に消費増税の既成事実化を図る財務省

 消費税の既成事実化を図る財務省  2/9  三橋貴明 Klugから

 筆者は、デフレ期の増税については、基本的に「全て」反対している。理由は、デフレ期の増税は政府の減収をもたらすためだ。

 少なくとも、現在の野田政権は「税と社会保障の一体改革」と銘打っている以上、将来的に社会保障を維持するため、財源を確保したいという思惑があるのだろう。その場合、必要なのは政府の増収であり、増税そのものではない。増税で日本のデフレを深刻化させた場合、政府は減収となり、社会保障の財源も先細りになってしまう。

 すなわち、筆者は将来的に社会保障を維持するためにも、現時点における増税に反対しているわけだ。日本がデフレから脱却し、名目GDPが成長路線に戻り、さらにインフレ率が高まったら、増税をしても一向に構わない。むしろ、
「政府はなぜ、増税しないんだ」
 と、現在とは真逆のことを叫び始めるつもりである。

 とはいえ、消費税増税に賛成するかどうかは、微妙なところだ。理由は、消費税が所得税や法人税とは異なり、ある特徴を持っているためである。

 財務省などが喧伝している通り、消費税は所得税や法人税に比べ、景気変動の影響をあまり受けない。すなわち「安定財源」なのである。

【図140-1 日本の消費税、法人税、所得税、名目GDPの推移(97年=1)】
20120207_01.png
出典:国税庁、内閣府

 図140-1の通り、消費税はGDPの増減、すなわち景気の変動にほとんど左右されない安定財源だ。「安定財源」と書けば聞こえはいいが、別の言い方をすると、赤字企業や失業者も容赦なく支払いを求められる税金なのである。

 例えば、赤字になった企業は法人税をほとんど払わなくて済む。言い方を変えると「赤字企業は法人税支払いの負担から解放される」ということでもある。法人税の負担を免除された赤字企業は、景気回復による黒字化までの時間を稼ぐことができる。

 決算が赤字化したにも関わらず、法人税を黒字期と同様に払わされると、企業はキャッシュフロー的に耐えられず、倒産するかもしれない。

 また、失業者は所得税の支払い負担から解放される。一家の主が失業しているにも関わらず、所得税を例年通り徴収されたら、家計はたまったものではない。住民税は前年の所得を基準に算定されるので、失業しても一定金額を払わなければならない。それに対し、所得税は違う。失業しても所得税を支払わなくても済む分、家計は少し楽になる。

 上記のように、法人税や所得税は、景気低迷時に企業や家計の負担を軽くする、スタビライザーとしての機能を持っているのだ。スタビライザーとは、安定化装置のことである。
逆に、図140-1の通り、景気が上向いた時期には、所得税や法人税は名目GDPの成長率以上に大きく伸びる。すなわち、企業や家計が、
「以前よりもたくさん税金を支払わされる」
 ことになり、景気は鎮静化の方向に向かう。

 景気が過熱しているときには、例年よりも多額の税金を取り、不況が深刻化しているときには、税金を免除し、企業や家計を助ける。このスタビライザーとしての機能を、所得税や法人税は持ち合わせているのだ。

 ところが、消費税にはそれがない。皮肉なことに、消費税は「安定財源」ゆえに、景気に対する安定化装置としての機能がほとんどないのである。すなわち、不景気の時期に国民の負担を軽減する機能も、好景気の時期に経済活動を抑制する機能も、共に備わっていないのだ。

 例えば、必需品と高額品の税率の差を設定し、かつ、フレキシブルに税率を変更すれば、消費税に安定化装置としての機能を付加することができる。だが、例により日本政府(というか財務省)が推進している消費税増税案は「全品目、同じ税率」である。しかも、政府は14年に8%、15年に10%と、日本経済のファンダメンタルを無視して消費税増税を実現しようとしている。色々な意味で、現在の日本の消費税の増税論議は無茶苦茶なのだ。

 とはいえ、日本の大手マスコミ(特に新聞)の紙面に、上記のような議論が乗ることはない。それどころか、大手新聞は財務省の「手下」と化し、消費税増税を「既成事実化」しようと協力しているのである。
 例えば、2011年11月3日。カンヌでのG20サミットに出席した野田総理大臣は初日の討議において、
「ヨーロッパの状況を見るまでもなく、健全な経済成長を実現するためには、財政健全化は不可欠だ。日本は、2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%まで引き上げる方針を定めた、社会保障と税の一体改革案を具体化し、これを実現するための法案を今年度内に提出する」
 と述べ、将来的な消費税率引き上げを国際会議の場で表明した。それを大手新聞が、特に何の疑問も抱かず、そのまま紙面で「消費税増税、国際公約に!」と報じる。

 そもそも、野田首相の「健全な経済成長を実現するために、財政健全化が不可欠」という発想自体が意味不明である。逆に、財政健全化のためには健全な経済成長が不可欠、というのであれば理解できるのだが。

 それにしても、世界最大の対外純資産国で、しかも極度のデフレに苦しんでいる日本国の首相が、国際会議の場において、
「消費税を段階的に10%まで引き上げます。税と社会保障の一体改革案を具体化し、法案を提出します」
 などと、完全な内政問題を高らかに謳い上げ、意気揚々と、
「これで消費税増税は、国際公約になった」
 などとやるわけだから、情けないの極みだ。現在の世界主要国は、ユーロ危機の対応で苦心惨憺を重ねている。日本が、
「世界最大の対外純資産国として、IMF経由で2000億ドル(例えば)の資金を供給する」
 と宣言すれば、彼ら(主要国の首脳)の需要も満たし、拍手喝采を浴びるだろう。それが「我が国は増税します」宣言なわけだから、主要国の首脳からしてみれば、
「勝手にしろよ」
 という感想以外は湧き起ってこなかっただろう。

 さらに、2012年1月28日。野田首相はダボス会議にテレビ会議方式で参加し、またまた消費税増税を柱とする、税と社会保障の一体改革について説明し、
「先送りしない政治を実践する。持続可能な社会保障制度を構築し、財政規律を維持するため、消費税引き上げを含む改革を必ずや実現する」
 と強調した。

 何というか、要するに国内では反対論が強すぎ、それに対抗するために、
「消費税は国際公約です。だから、やらなければならないのです」
 と、既成事実化を図っているのだろうが、手法が姑息極まりない。TPPの際に、USTRのカトラー代表補に、
「少しガイアツをかけて、TPP参加が日本にとってよいことであると伝えてもらえないか」
 と頼んだ「元日本政府関係者」たちと、思考パターンがそっくりだ。

 困ったことに、現在の日本は大手新聞が、この財務省の「消費税増税の既成事実化」に全面的に協力している。例えば、年金債だ。

 野田政権は、基礎年金の国庫負担分のうち、不足する2.5兆円について「年金債」を発行し、将来の消費税増税分で償還する方針を示している。
「え! 消費税の増税って、もう決まっているの?」
 と思った読者が多いだろうが、もちろん決まっていない。

 というよりも、年金の財源が不足しているならば、普通に赤字国債を発行すれば済む話だ。そもそも、上記の「年金債」にしても、名前が違うだけで、中身は赤字国債そのものである。

 赤字国債を発行し、年金に充当すれば済む話を、なぜか「年金債」という新語を創設し、消費税増税分で償還するという。意味不明だ。

 要するに、
「年金債の償還という話にしておけば、消費税増税に対する反対が減るのでは」
 という、財務省の浅知恵なのだろうが、それにしても未だに閣議決定すらされていない消費税増税分で償還するなど、やり方が無茶苦茶だ。

 あるいは、以下のような話もある。

『2012年2月1日 読売新聞「「こども園」15年度から...政府最終案」

 政府は31日、幼稚園と保育所を一体化する「総合こども園」(仮称)を2015年度をめどに創設するとした「子ども・子育て新システム」の最終案を決めた。

 待機児童数の縮小を目指す。政府は新システム導入で15年度に1兆円超の追加費用を見込んでおり、7000億円程度を社会保障・税一体改革による消費税増税分で賄う方針だ。

 最終案は、有識者らで作る政府の作業部会が決めた。政府は2月中に少子化社会対策会議(会長・野田首相)で正式決定し、関連法案を今国会に提出、13年度から順次実施したい考えだ。(下線部は筆者)』

 しつこいが、消費税増税はいまだに閣議決定もされていない話なのだ。それを、15年度に創設する「子ども園」の財源に充てるという。

 先の年金債同様に、
「子供に使うのなら、消費税を増税しても仕方がないか」
 と国民に思わせたいのだろうが、本当に姑息である。

 ちなみに、同じ「子ども園」の記事を報じるに際し、朝日新聞は、
「新制度は消費増税分の一部を財源に充てる想定のため、導入も増税実現が前提となる。(中略)消費増税をめぐる与野党の攻防も絡み、関連法案の成立の道筋は不透明だ。(2012年2月1日 朝日新聞「幼保一体 総合こども園 15年めど子育て支援案」)」
 と書いており、読売の記事と比較すると、まだしも良心的だ。読売の記事を読んだ人は、消費税増税がすでに決定してしまっているものと、勘違いをしてしまうだろう。

 また、日本経済新聞の「子ども園」に関する報道も、やはり、
「追加財源として約1兆円を投入し、うち7000億円を消費増税でまかなう予定。(2012年1月31日「15年度に総合こども園を創設 政府が最終案」より)」
 と、消費税増税ありきで「子ども園」創設を報じていた。現在の大手紙による増税キャンペーンは、特に読売新聞と日経新聞が凄まじい。露骨なまでに「消費税増税」を既成事実化し、あるいは前回(第139回 消費税増税という愚行(後編)(3/3))取り上げたように、IMFの財政再建の定義を勝手に変更し、増税推進やむなしの印象操作を行ってくる。

 正直、現在の野田内閣が消費税増税を実現できる可能性は、極めて低い。消費税増税法案を国会にかけるには、その前に内閣で閣議決定をしなければならない。ところが、現在の野田内閣には明確な増税反対派が複数人おり、しかも連立を組んでいる国民新党も反対だ。野田首相が消費税増税を閣議決定するには、反対派の閣僚を解任し、自ら兼任し、さらに国民新党との連立を解消しなければならない。

 そこまでして、閣議決定をしたとしても、今度は民主党議員の中にすら反対派が少なくない衆議院で可決しなければならない。すでに小沢派や鳩山派は、
「マニフェストにも載せていなかった、消費税増税反対!」
 という姿勢を明確にしているため、ほとんど党を割る覚悟で衆議院における可決を目指さなければならない。

 さらに、奇跡的に衆議院を通ったとしても、今度は民主党が過半数を持たない参議院で審議しなければならない。参議院で増税法案を通すことは、現時点ではほぼ不可能に近い。

 恐らく、財務省も現在の衆参両院の構成では増税法案を通せないと、半ば諦めているのではないだろうか。逆に、だからこそ、大手紙に指示し、露骨なまでの増税キャンペーンをさせている可能性がある。そもそも、本来はこの種の「奇妙な法案」は、こっそり成立させてしまうのが一番なのだ。

 現在の大手紙による「あからさまな増税キャンペーン」を見ていると、財務省の焦りのようなものが垣間見えてしまうのである。
関連記事

 | HOME |  古い日記に行く »

 

プロフィール

もうすぐ北風

Author:もうすぐ北風
こんにちは。
いろんな旅を続けています。
ゆきさきを決めてないなら、しばらく一緒に歩きましょうか。

最新記事(引用転載フリー)

カテゴリ

経済一般 (118)
経済一般~2012冬まで (161)
日本の経済 (224)
通貨戦争 (70)
ショック・ドクトリン (12)
震災関係 (23)
原発事故発生 (112)
事故と放射能2011 (165)
放射能汚染2012 (192)
汚染列島2013-14 (146)
汚染列島2015-16 (13)
福島の声 (127)
チェリノブイリからの声 (27)
政治 (413)
沖縄 (93)
社会 (316)
小沢一郎と「生活の党」 (232)
健康と食 (88)
環境と地球の歴史 (28)
未分類 (175)
脳卒中と入院 (7)

カウンター

最新コメント

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

リンク

このブログをリンクに追加する

カレンダー

01 | 2012/02 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 - - -

最新トラックバック

月別アーカイブ

RSSリンクの表示

Template by たけやん