鍋を持ったヘッジファンドがうごめくか
2012-02-02
ギリシャとユーロの危機もこの世にヘッジファンドと言う者たちがいなくて、売り浴びせも、相場づくりもしないなら、大した危機には発展せずに単なる「不況」で終わるのです。
ところが、この国際金融資本の使用人たちは莫大な資金(ペーパーマネー=電子マネー)を元手にデリバティブ市場でレバレッジを最大に効かせて、インサイダー情報で相場形成をするわけです。
ファンダメンタルス(種々の経済統計指標)の数十倍のショックを信用に与えるわけです。
世界的な大金融資本である、モルガン・スタンレーが不二家の不正情報を掴み、発覚前に売り浴びせをかけていたのは有名です。強欲巨大資本は本気で子ねずみまで食べるのです。これが「強欲」というもの。
過去に書きましたが、政府のいわゆる「為替介入」は米国への財政支援金であると同時に、為替相場を数円下げて1.2週間程度で戻ると言った「定期便」ですので、ヘッジファンドに巨額の利益をもたらしていることが明らかです。
「先行きが自明」な上げ下げこそ、彼らにとっては巨額の「カモネギ」が自分で鍋に入ってきたようなものです。
このところの消費税論議の中でも、政府は不用意な発言、表明が多すぎます。
ヘッジファンドは鍋を用意して待っていることでしょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヘッジファンドが蠢(うごめ)く 1/31 「闇株新聞」から
本日(1月29日)発売の「日経ヴェリタス」に、あるヘッジファンド代表が「日本国債バブルが崩壊する。それに勝負をかける」と語っているインタビュー記事が出ています。
要するに、「日本の財政赤字が膨らみ経常収支も近く赤字になり、日本国債バブルが18か月以内に崩壊する」というものです。別にその「見立て」に感心したわけでもなく、あまり有名でもない新興ヘッジファンド(著名ヘッジファンドは決して自分の考えを外部に言いません)の「ご託宣」を有難がって掲載している日経新聞を批判するつもりもないのですが、「全く別の危機」を感じました。
まずヘッジファンドの戦略はタイプによってもちろん違うのですが、巨額ファンドの多いグローバルマクロ型とかイベントドリブン型のポジションは驚くほど単純で、誰でも思いつくようなものです。
じゃあ、その「誰でも」と何処が違うのかと言いますと、ポイントで積み上げるポジション金額が尋常ではなく、強靭な精神力でこれを維持し(つまり反対に行った時にオタオタするとか、逆に少し利益が出たらすぐに利食ってしまうとかがありません)、しかし「間違った」と判断すればこれも一気に損切る思い切りの良さなどです。
ただ、これらのファンドにほぼ共通していることは、最大の拠り所が「当局の意向を見透かす」ことなのです。
「見透かす」の意味はいろいろあるのですが、「発表していない情報」や「公式見解と違う本音」などを知ることは当然で、さらに「誰が実質的に仕切っているのか?」や「どの程度、腹が据わっているのか?」や「責任者の失脚の可能性」などまで調査します(そしてこれらの「情報源」はほとんど「当局そのもの」です。おしゃべりが多いようですね)。
有名な例が1992年9月のジョージ・ソロスのポンド売りです。当時、欧州各国はERM(欧州為替相場メカニズム)によって自国の為替相場を一定の範囲に維持することが求められていたのですが、英国はポンドを維持できる経済状況ではなく、早晩ERM離脱(つまりポンドの切り下げ)に追い込まれることは誰にでもわかっていました。
ソロスが尋常でなかったことは、このポンド売りを100億ポンド(1兆数千億円)も仕掛けたことで、そのきっかけはラモント蔵相(当時)の「英国は投機に屈しない。100億ポンドの予算を使ってでも対抗する」との発言でした。どこまで(ポンドを)売れば白旗が上がると敵に教えてしまった致命的ミスでした。
いろいろ前置きが長くなったのですが、今回感じた「全く別の危機」とは、この無名ヘッジファンドの「ご託宣」ではなく、もっともっと巨大な世界の著名ヘッジファンドに「とんでもないヒントを与えてしまっている」ことなのです。
その「ヒント」とは、財政赤字額でもなく国債発行残高でもなく貿易統計でもなく、「当局が増税のために国民に財政危機を喧噪している」ことなのです。
つまりヘッジファンドのポジション(もちろん日本国債のショート)は、日本の当局が自ら「推奨」していることで、かつ最大の国債保有者である銀行は当局の意向を真に受けており、実際に暴落を始めるとサラリーマンの集まりですぐにパニックになるなど、収益がいくらでも拡大する条件が揃っているのです。
「当局」の意向は、もちろん「増税」を国民に納得させるために危機感をあおっているわけで、(さすがに)本当に国債の暴落を望んでいるわけではないはずですが、その行為そのものがヘッジファンドに「有望なチャンス」を提供しているのです。「有望な」とは、リスクに比べて「最大収益」がとんでもなく大きくなる可能性があるものです。
「当局」なり「当局」の意向を受けた野田政権がいたずらに日本国債が暴落すると危機感をあおり、国民資産で問題なく消化されているなどの「主張すべき事実」を国内外に向けて「意識的に伏せている」ため、本来なら問題なく退治できるヘッジファンドに(今のところ僅かではあるもの)「勝算」を提供してしまっているのです。
もちろん、そうなった時に儲けるのは海外のヘッジファンドで、最大の被害者はいつものように日本国民です。つまり官僚による「省益」を「国策」に優先する行為が引き起こしてしまっている「危機」で、当然著名ヘッジファンにはこの辺も「見透されて」いるのです。
「当局」にとって「国民の利益を守る」と「海外から日本を守る」が、せめて「官僚の利権を拡大する」と同じくらい重要なことを認識してほしいのです。
ヘッジファンドが蠢(うごめ)く その2
昨日(1月30日)付け「ヘッジファンドが蠢く」で、増税のための「当局」の財政破綻・国債暴落論が、実はヘッジファンドをはじめとする海外投資家の「日本国債売り崩し」を推奨し、本来は何の問題もない日本国債市場に無用の混乱を与える可能性が出てきていることを書きました。
考えれば考えるほど重要なことなのでこの話題を続けます。海外投資家はヘッジファンドとは限らないのですが、ここではヘッジファンドの中でも特に巨大ファンドの多いグローバルマクロ型とイベントドリブン型を念頭に置いて書いていきます。
これらのヘッジファンドが狙う対象は、まず市場が大きいこと(つまり巨額のポジションが取れること)、ファンダメンタル分析で説明できること(やや分かりにくい表現ですが、例えば財政赤字の大きな日本の国債は空売りするか休むかの二択で、間違っても買いません)、予想最大リスクに比べて予想最大収益が格段に大きいこと(これは後述)、さらに昨日書いたように「当局」も巻き込んだ大掛かりな勝負が出来ることなどです。
例えば2007~8年のサブプライムローンを含むモーゲージ関連債券の大規模空売りは、まさにこのすべての条件に適うものでした。モーゲージ市場の巨人が実質国有のファニーメイやフレディマックで、「当局」へのダメージが膨らむことも予想できたのです。
そして「日本国債の空売り」も、すべての条件に適うのです。
だからヘッジファンドはかなり以前から「日本国債の空売り」を何度も仕掛け、実際はほとんど失敗しているのですが、このような理由で何度も仕掛けてくるのです。これもヘッジファンドの考え方で、仮に利益となる確率が高くなくても利益が上がれば非常に大きいものは何回も狙うのです。まさに勝率より利益の絶対額なのです。
その数少ない成功例が2003年夏のVAR(Value at Risk)ショックと言われる急落です。
2000年以降のITバブル崩壊や米国同時多発テロによる世界不況で、日本の銀行が国債を買い進めて10年債利回りが0.5%以下となり、さらに利回りを上げるためにもっと長期の国債を買い込んだところで利回りが反転(上昇)し、ALMの観点から利回りが上がれば上がるほど大量に売却しなければならず、短期間で10年債利回りが1.4%まで上昇した時です。
しかし銀行もその時の「学習効果」から、現在の保有国債の平均残存年数は4年以下となっており再来の危険性は少ないと言えます。
その代わりに要注意なのは、ヘッジファンドはかなり以前から日本国債の長期(3~5年?)プットオプションを日本の銀行から相対取引で買っています。金額は想像がつきません。
つまり銀行にとって(ヘッジファンドから)受け取るプレミアムは「日銭」となり、仮に利回りが上昇してプットオプションが行使されても、それはそれで良いくらいに考えているのです。
問題はVolatilityがかなり低く設定されていることです。つまり長期の国債オプション市場は参加者が少ないため、ヘッジファンドの「言い値」で売っている可能性があります。それでも受け取るプレミアムは銀行にとって貴重な「日銭」なのです。
しかし、ひとたび国債利回りが上昇(価格は下落)を始めるとVolatilityも上昇するため、銀行が「売っている」プットオプションの価格は急上昇し、そうなるとまたしても利回りが上昇すればするほどプットオプションが行使されることに備えて保有国債を売却しなければならなくなるのです。
ここで重要なことは、日本国債は銀行をはじめとする金融機関で「問題なく」消化されており、その金融機関の資金は日本国民の資産なのです。つまり万一にでも日本国債がヘッジファンドに「売り崩される」ことがあれば、銀行にとっては担当役員のクビくらいで済むのですが巨額の損失を被るのは日本国民なのです。
さらにご丁寧に「国債が暴落すれば預金が封鎖される」というとんでもない議論をするマスコミまでいます。だから早く増税して財政破綻を避けなければならないと言いたいのでしょうが、まったくお話になりません。
そもそも債務者である「当局」は、債権者である国民に向かって「国債は皆様のお陰で順調に消化されており、ご迷惑をおかけすることは全くありません」と本当のことを説明し、同時に債権者である国民のために「債務者の私どもは真剣にコストカットに努め、同時に景気が回復する方策に必死で取り組みます」と言わなければならないのです。
今の債務者「当局」は、債権者の国民に向かって「お前の債権を紙くずにしてほしくなかったら、もっともっと窮乏生活をして金を持ってこい」と言っているようなもので、同時にまたしてもヘッジファンドをはじめとする海外投資家には「巨額の収益チャンス」を提供しようとしているのです。
ここは「オール日本」でヘッジファンドに対抗しなければならないのです。「当局」も本当に国債が売り崩されたら「利権」どころではないことを理解しなければならないのです。
ところが、この国際金融資本の使用人たちは莫大な資金(ペーパーマネー=電子マネー)を元手にデリバティブ市場でレバレッジを最大に効かせて、インサイダー情報で相場形成をするわけです。
ファンダメンタルス(種々の経済統計指標)の数十倍のショックを信用に与えるわけです。
世界的な大金融資本である、モルガン・スタンレーが不二家の不正情報を掴み、発覚前に売り浴びせをかけていたのは有名です。強欲巨大資本は本気で子ねずみまで食べるのです。これが「強欲」というもの。
過去に書きましたが、政府のいわゆる「為替介入」は米国への財政支援金であると同時に、為替相場を数円下げて1.2週間程度で戻ると言った「定期便」ですので、ヘッジファンドに巨額の利益をもたらしていることが明らかです。
「先行きが自明」な上げ下げこそ、彼らにとっては巨額の「カモネギ」が自分で鍋に入ってきたようなものです。
このところの消費税論議の中でも、政府は不用意な発言、表明が多すぎます。
ヘッジファンドは鍋を用意して待っていることでしょう。
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ヘッジファンドが蠢(うごめ)く 1/31 「闇株新聞」から
本日(1月29日)発売の「日経ヴェリタス」に、あるヘッジファンド代表が「日本国債バブルが崩壊する。それに勝負をかける」と語っているインタビュー記事が出ています。
要するに、「日本の財政赤字が膨らみ経常収支も近く赤字になり、日本国債バブルが18か月以内に崩壊する」というものです。別にその「見立て」に感心したわけでもなく、あまり有名でもない新興ヘッジファンド(著名ヘッジファンドは決して自分の考えを外部に言いません)の「ご託宣」を有難がって掲載している日経新聞を批判するつもりもないのですが、「全く別の危機」を感じました。
まずヘッジファンドの戦略はタイプによってもちろん違うのですが、巨額ファンドの多いグローバルマクロ型とかイベントドリブン型のポジションは驚くほど単純で、誰でも思いつくようなものです。
じゃあ、その「誰でも」と何処が違うのかと言いますと、ポイントで積み上げるポジション金額が尋常ではなく、強靭な精神力でこれを維持し(つまり反対に行った時にオタオタするとか、逆に少し利益が出たらすぐに利食ってしまうとかがありません)、しかし「間違った」と判断すればこれも一気に損切る思い切りの良さなどです。
ただ、これらのファンドにほぼ共通していることは、最大の拠り所が「当局の意向を見透かす」ことなのです。
「見透かす」の意味はいろいろあるのですが、「発表していない情報」や「公式見解と違う本音」などを知ることは当然で、さらに「誰が実質的に仕切っているのか?」や「どの程度、腹が据わっているのか?」や「責任者の失脚の可能性」などまで調査します(そしてこれらの「情報源」はほとんど「当局そのもの」です。おしゃべりが多いようですね)。
有名な例が1992年9月のジョージ・ソロスのポンド売りです。当時、欧州各国はERM(欧州為替相場メカニズム)によって自国の為替相場を一定の範囲に維持することが求められていたのですが、英国はポンドを維持できる経済状況ではなく、早晩ERM離脱(つまりポンドの切り下げ)に追い込まれることは誰にでもわかっていました。
ソロスが尋常でなかったことは、このポンド売りを100億ポンド(1兆数千億円)も仕掛けたことで、そのきっかけはラモント蔵相(当時)の「英国は投機に屈しない。100億ポンドの予算を使ってでも対抗する」との発言でした。どこまで(ポンドを)売れば白旗が上がると敵に教えてしまった致命的ミスでした。
いろいろ前置きが長くなったのですが、今回感じた「全く別の危機」とは、この無名ヘッジファンドの「ご託宣」ではなく、もっともっと巨大な世界の著名ヘッジファンドに「とんでもないヒントを与えてしまっている」ことなのです。
その「ヒント」とは、財政赤字額でもなく国債発行残高でもなく貿易統計でもなく、「当局が増税のために国民に財政危機を喧噪している」ことなのです。
つまりヘッジファンドのポジション(もちろん日本国債のショート)は、日本の当局が自ら「推奨」していることで、かつ最大の国債保有者である銀行は当局の意向を真に受けており、実際に暴落を始めるとサラリーマンの集まりですぐにパニックになるなど、収益がいくらでも拡大する条件が揃っているのです。
「当局」の意向は、もちろん「増税」を国民に納得させるために危機感をあおっているわけで、(さすがに)本当に国債の暴落を望んでいるわけではないはずですが、その行為そのものがヘッジファンドに「有望なチャンス」を提供しているのです。「有望な」とは、リスクに比べて「最大収益」がとんでもなく大きくなる可能性があるものです。
「当局」なり「当局」の意向を受けた野田政権がいたずらに日本国債が暴落すると危機感をあおり、国民資産で問題なく消化されているなどの「主張すべき事実」を国内外に向けて「意識的に伏せている」ため、本来なら問題なく退治できるヘッジファンドに(今のところ僅かではあるもの)「勝算」を提供してしまっているのです。
もちろん、そうなった時に儲けるのは海外のヘッジファンドで、最大の被害者はいつものように日本国民です。つまり官僚による「省益」を「国策」に優先する行為が引き起こしてしまっている「危機」で、当然著名ヘッジファンにはこの辺も「見透されて」いるのです。
「当局」にとって「国民の利益を守る」と「海外から日本を守る」が、せめて「官僚の利権を拡大する」と同じくらい重要なことを認識してほしいのです。
ヘッジファンドが蠢(うごめ)く その2
昨日(1月30日)付け「ヘッジファンドが蠢く」で、増税のための「当局」の財政破綻・国債暴落論が、実はヘッジファンドをはじめとする海外投資家の「日本国債売り崩し」を推奨し、本来は何の問題もない日本国債市場に無用の混乱を与える可能性が出てきていることを書きました。
考えれば考えるほど重要なことなのでこの話題を続けます。海外投資家はヘッジファンドとは限らないのですが、ここではヘッジファンドの中でも特に巨大ファンドの多いグローバルマクロ型とイベントドリブン型を念頭に置いて書いていきます。
これらのヘッジファンドが狙う対象は、まず市場が大きいこと(つまり巨額のポジションが取れること)、ファンダメンタル分析で説明できること(やや分かりにくい表現ですが、例えば財政赤字の大きな日本の国債は空売りするか休むかの二択で、間違っても買いません)、予想最大リスクに比べて予想最大収益が格段に大きいこと(これは後述)、さらに昨日書いたように「当局」も巻き込んだ大掛かりな勝負が出来ることなどです。
例えば2007~8年のサブプライムローンを含むモーゲージ関連債券の大規模空売りは、まさにこのすべての条件に適うものでした。モーゲージ市場の巨人が実質国有のファニーメイやフレディマックで、「当局」へのダメージが膨らむことも予想できたのです。
そして「日本国債の空売り」も、すべての条件に適うのです。
だからヘッジファンドはかなり以前から「日本国債の空売り」を何度も仕掛け、実際はほとんど失敗しているのですが、このような理由で何度も仕掛けてくるのです。これもヘッジファンドの考え方で、仮に利益となる確率が高くなくても利益が上がれば非常に大きいものは何回も狙うのです。まさに勝率より利益の絶対額なのです。
その数少ない成功例が2003年夏のVAR(Value at Risk)ショックと言われる急落です。
2000年以降のITバブル崩壊や米国同時多発テロによる世界不況で、日本の銀行が国債を買い進めて10年債利回りが0.5%以下となり、さらに利回りを上げるためにもっと長期の国債を買い込んだところで利回りが反転(上昇)し、ALMの観点から利回りが上がれば上がるほど大量に売却しなければならず、短期間で10年債利回りが1.4%まで上昇した時です。
しかし銀行もその時の「学習効果」から、現在の保有国債の平均残存年数は4年以下となっており再来の危険性は少ないと言えます。
その代わりに要注意なのは、ヘッジファンドはかなり以前から日本国債の長期(3~5年?)プットオプションを日本の銀行から相対取引で買っています。金額は想像がつきません。
つまり銀行にとって(ヘッジファンドから)受け取るプレミアムは「日銭」となり、仮に利回りが上昇してプットオプションが行使されても、それはそれで良いくらいに考えているのです。
問題はVolatilityがかなり低く設定されていることです。つまり長期の国債オプション市場は参加者が少ないため、ヘッジファンドの「言い値」で売っている可能性があります。それでも受け取るプレミアムは銀行にとって貴重な「日銭」なのです。
しかし、ひとたび国債利回りが上昇(価格は下落)を始めるとVolatilityも上昇するため、銀行が「売っている」プットオプションの価格は急上昇し、そうなるとまたしても利回りが上昇すればするほどプットオプションが行使されることに備えて保有国債を売却しなければならなくなるのです。
ここで重要なことは、日本国債は銀行をはじめとする金融機関で「問題なく」消化されており、その金融機関の資金は日本国民の資産なのです。つまり万一にでも日本国債がヘッジファンドに「売り崩される」ことがあれば、銀行にとっては担当役員のクビくらいで済むのですが巨額の損失を被るのは日本国民なのです。
さらにご丁寧に「国債が暴落すれば預金が封鎖される」というとんでもない議論をするマスコミまでいます。だから早く増税して財政破綻を避けなければならないと言いたいのでしょうが、まったくお話になりません。
そもそも債務者である「当局」は、債権者である国民に向かって「国債は皆様のお陰で順調に消化されており、ご迷惑をおかけすることは全くありません」と本当のことを説明し、同時に債権者である国民のために「債務者の私どもは真剣にコストカットに努め、同時に景気が回復する方策に必死で取り組みます」と言わなければならないのです。
今の債務者「当局」は、債権者の国民に向かって「お前の債権を紙くずにしてほしくなかったら、もっともっと窮乏生活をして金を持ってこい」と言っているようなもので、同時にまたしてもヘッジファンドをはじめとする海外投資家には「巨額の収益チャンス」を提供しようとしているのです。
ここは「オール日本」でヘッジファンドに対抗しなければならないのです。「当局」も本当に国債が売り崩されたら「利権」どころではないことを理解しなければならないのです。
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通貨戦争(47)ユーロ危機で延命するドル
2012-02-02
ユーロの危機が当初からの致命的な制度的欠陥によるものであること、同時に国際金融資本によって「仕掛けられた」ものであることは、今までも指摘してきたところです。
お陰様でオバマ氏も喜んでいるらしい。
関連するページリンク。
「公平な分配で経済成長を続けるアルゼンチン」、「ユーロは国民国家を解体するか」、「破滅するユーロか、破滅する国家か」、「アイスランドの教訓、ギリシャはドラクマに戻せ」。
ユーロ危機は国際金融資本によって仕掛けられた、世界通貨戦争の戦略的一環である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ユーロ危機でドル復権 最大の敗者は日本 2/1 田村秀男氏から

欧州共通通貨ユーロの危機がおさまらない。ユーロ危機とは何なのか。だれがその勝者なのか。敗者ナンバーワンはどこか。

まず、グラフをみていただこう。ユーロ建ての国債が広がった2002年以降、08年前半までの推移をみると、加盟各国の国債利回りは大差なく、一束の折れ線となって6年間も安定してきた。このユーロ建て国債の束を一発で吹き飛ばし、ばらけさせたのが、08年9月のリーマン・ショックである。
■米金融大手が暴露
「リーマン」は米金融商品バブルの崩壊でニューヨーク発なのだが、紙くずになりかけた住宅ローン担保証券など証券化商品やそのリスクを引き受ける保険である「デリバティブ」の多くを保有していたのが欧州の金融機関だった。
欧州の金融機関は信用不安のためにドル資金を調達できなくなり、米連邦準備制度理事会(FRB)にドル資金の緊急融通を頼むしかなかった。国際的な貿易や資本取引の主要決済通貨、つまり基軸通貨としてドルを猛追していたユーロの凋落(ちょうらく)が始まった。
それでも、09年に入るとユーロ相場はいったん持ち直した。米FRBがドル札を大量発行する量的緩和政策に踏み切り、ドル安への誘導を始めたからだ。
このドル下落をみて、日本国内では一挙に「基軸通貨ドル体制の崩壊」論が盛んになったが、覇権国米国はそんなにやわであるはずがない。
米国は次のステップに踏み出した。米金融大手は、ユーロ本来の致命的な弱点をさらけ出し、危機はドルではなくユーロだ、というまぎれもない証拠を暴露したのである。
標的はまず、ギリシャである。09年12月ごろからギリシャ政府の債務の過大さや放漫財政、公務員天国、過大な年金給付制度など構造問題が表面化し、ギリシャ国債相場の下落が始まった。
国債信用失墜の決め手になったのは、09年2月中旬ゴールドマン・サックスが米ヘッジファンド業界の大物、ジョン・ポールソン氏率いる投資グループ代表団をアテネに案内し、ギリシャ政府の高官たちに引き合わせた「事件」である。2月17日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の記事は、この米投資グループのアテネ入りに引っかけて、「ゴールドマンを筆頭とするウォール街の大手投資銀行がギリシャを含むユーロ圏諸国の債務関連統計の操作に長らく手を貸してきた」と報じた。
ギリシャは01年にユーロに加盟した。翌年、「ゴールドマンはアテネの金融街に突然姿を現し、GDP(国内総生産)を上回る水準のギリシャの公的債務の資金調達コストを引き下げる大規模なデリバティブ取引をアレンジした」(FT紙)。
円建てやドル建てで発行されていた債券を市場外でユーロと交換する「スワップ」と呼ばれる手法を使って債務を帳簿外に飛ばす操作を行った。この取引は借り入れではなく為替取引として扱われたため、欧州連合(EU)の定めた財政赤字の基準をギリシャがクリアしながら返済を将来に先送りするのに役立った。
同じような取引はイタリア、ポルトガルなど他の南欧諸国も行っているとFT紙は明らかにした。
ゴールドマンやJPモルガン・チェースなど米金融大手は南欧諸国の政府債務の「飛ばし」を伝授するのと引き換えに、空港使用料や宝くじの収入を担保として設定した。ゴールドマンの場合ギリシャから300億円以上もの手数料を稼いだ。その半面で、ギリシャなどの債務は減るどころか隠れ債務が膨れ上がった。
ギリシャ政府は米金融大手に手玉にとられたのだが、国際金融市場ではギリシャなどユーロ加盟の南欧各国の財政危機の底知れぬ深淵(しんえん)を見てとり、ギリシャを筆頭に国債の暴落、そして政府債務危機が急速に進行していく。
■円高・デフレの泥沼
危機のプロセスの最大の勝者は、米国である。ユーロに対してドルは強く安定し、ユーロ債から逃げ出したマネーは米国債に回り、米国債の利回りは低下し、米政府の債務利子負担を引き下げている。FRBはリーマン後、ドルを3倍も刷って垂れ流したが、米国はインフレにもならず、株価は回復軌道に再び乗った。次の勝者はドイツだろう。ユーロ安でドイツの輸出産業は息を吹き返している。
対照的に、最大の敗者は日本だ。ユーロ債を売却した投資家は日本国債にまわり、超円高を進行させている。デフレ不況はさらに進み、輸出は不振、マイナス成長が続く。円高・デフレの泥沼に日本ははまりこんだまま、抜け出せない。
お陰様でオバマ氏も喜んでいるらしい。
関連するページリンク。
「公平な分配で経済成長を続けるアルゼンチン」、「ユーロは国民国家を解体するか」、「破滅するユーロか、破滅する国家か」、「アイスランドの教訓、ギリシャはドラクマに戻せ」。
ユーロ危機は国際金融資本によって仕掛けられた、世界通貨戦争の戦略的一環である。
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ユーロ危機でドル復権 最大の敗者は日本 2/1 田村秀男氏から

欧州共通通貨ユーロの危機がおさまらない。ユーロ危機とは何なのか。だれがその勝者なのか。敗者ナンバーワンはどこか。

まず、グラフをみていただこう。ユーロ建ての国債が広がった2002年以降、08年前半までの推移をみると、加盟各国の国債利回りは大差なく、一束の折れ線となって6年間も安定してきた。このユーロ建て国債の束を一発で吹き飛ばし、ばらけさせたのが、08年9月のリーマン・ショックである。
■米金融大手が暴露
「リーマン」は米金融商品バブルの崩壊でニューヨーク発なのだが、紙くずになりかけた住宅ローン担保証券など証券化商品やそのリスクを引き受ける保険である「デリバティブ」の多くを保有していたのが欧州の金融機関だった。
欧州の金融機関は信用不安のためにドル資金を調達できなくなり、米連邦準備制度理事会(FRB)にドル資金の緊急融通を頼むしかなかった。国際的な貿易や資本取引の主要決済通貨、つまり基軸通貨としてドルを猛追していたユーロの凋落(ちょうらく)が始まった。
それでも、09年に入るとユーロ相場はいったん持ち直した。米FRBがドル札を大量発行する量的緩和政策に踏み切り、ドル安への誘導を始めたからだ。
このドル下落をみて、日本国内では一挙に「基軸通貨ドル体制の崩壊」論が盛んになったが、覇権国米国はそんなにやわであるはずがない。
米国は次のステップに踏み出した。米金融大手は、ユーロ本来の致命的な弱点をさらけ出し、危機はドルではなくユーロだ、というまぎれもない証拠を暴露したのである。
標的はまず、ギリシャである。09年12月ごろからギリシャ政府の債務の過大さや放漫財政、公務員天国、過大な年金給付制度など構造問題が表面化し、ギリシャ国債相場の下落が始まった。
国債信用失墜の決め手になったのは、09年2月中旬ゴールドマン・サックスが米ヘッジファンド業界の大物、ジョン・ポールソン氏率いる投資グループ代表団をアテネに案内し、ギリシャ政府の高官たちに引き合わせた「事件」である。2月17日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の記事は、この米投資グループのアテネ入りに引っかけて、「ゴールドマンを筆頭とするウォール街の大手投資銀行がギリシャを含むユーロ圏諸国の債務関連統計の操作に長らく手を貸してきた」と報じた。
ギリシャは01年にユーロに加盟した。翌年、「ゴールドマンはアテネの金融街に突然姿を現し、GDP(国内総生産)を上回る水準のギリシャの公的債務の資金調達コストを引き下げる大規模なデリバティブ取引をアレンジした」(FT紙)。
円建てやドル建てで発行されていた債券を市場外でユーロと交換する「スワップ」と呼ばれる手法を使って債務を帳簿外に飛ばす操作を行った。この取引は借り入れではなく為替取引として扱われたため、欧州連合(EU)の定めた財政赤字の基準をギリシャがクリアしながら返済を将来に先送りするのに役立った。
同じような取引はイタリア、ポルトガルなど他の南欧諸国も行っているとFT紙は明らかにした。
ゴールドマンやJPモルガン・チェースなど米金融大手は南欧諸国の政府債務の「飛ばし」を伝授するのと引き換えに、空港使用料や宝くじの収入を担保として設定した。ゴールドマンの場合ギリシャから300億円以上もの手数料を稼いだ。その半面で、ギリシャなどの債務は減るどころか隠れ債務が膨れ上がった。
ギリシャ政府は米金融大手に手玉にとられたのだが、国際金融市場ではギリシャなどユーロ加盟の南欧各国の財政危機の底知れぬ深淵(しんえん)を見てとり、ギリシャを筆頭に国債の暴落、そして政府債務危機が急速に進行していく。
■円高・デフレの泥沼
危機のプロセスの最大の勝者は、米国である。ユーロに対してドルは強く安定し、ユーロ債から逃げ出したマネーは米国債に回り、米国債の利回りは低下し、米政府の債務利子負担を引き下げている。FRBはリーマン後、ドルを3倍も刷って垂れ流したが、米国はインフレにもならず、株価は回復軌道に再び乗った。次の勝者はドイツだろう。ユーロ安でドイツの輸出産業は息を吹き返している。
対照的に、最大の敗者は日本だ。ユーロ債を売却した投資家は日本国債にまわり、超円高を進行させている。デフレ不況はさらに進み、輸出は不振、マイナス成長が続く。円高・デフレの泥沼に日本ははまりこんだまま、抜け出せない。
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ヨーロッパは恐慌に向かっている
2012-02-02
今、ギリシャ国民はこのまま国家主権に首輪をかけられて窮乏の底なし沼に沈められるか、あるいはユーロを離脱してデフォルトを宣言し、ドラクマを復活して通貨発行権取り戻し、内需を振興するかの選択が近づいている。
ギリシャが右派政権時代に抱えた巨額の負債なるものは(ポルトガルも同じだ。)、国際金融資本の信用創造による「創造された」ペーパーマネーであり、この裏付けはそもそもがギリシャ自身なのである。
悪質なサラ金に騙されて、自己破産しかなくなった債務者の比ではない。仮に放置して、言いなりになるなら国民経済が資産丸ごと乗っ取られるだろうことは明白だ。
通貨、金利、信用創造の3点セットが金融資本の準備であり、成長の動力ではあるのだが、実体経済資産を失っては自国経済の妥当な(実体の健全な)成長を完全に失うことにしかならない。
そして、ギリシャに当てはまることは、欧州全体に当てはまる。
ユーロ圏各国が独仏の収奪植民地になるか、離脱するか。
離脱分裂は信用恐慌を起こすだろう。
しかし財政統合は所詮ユーロを、ブルジョワ国家と奴隷植民地に分裂させることだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ヨーロッパが恐慌に向かっていることを示す20のサイン 2/1 ROCKWEY EXPRESSから
ヨーロッパの経済・金融問題は解決の糸口を見出せないでいる。地中海クラブと言われる、ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリアなどが国債問題で火の車となっている。
このブログでは一環して示してきたことだが、この流れを押し返せる手立ては無く、早晩ギリシャだけでなく、上記の地中海クラブ、そして東欧も含めたヨーロッパ全域が、経済・金融危機に見舞われることになる、ということだ。これがリーマン・ショックを金融津波の第一波とすれば、第二波となるわけだ。しかし津波の大きさは第一波の10倍にはなるだろう。
ワイマール共和国で起きたような事態が全ヨーロッパで再現されるのかどうか、そこまで行かずとも、一時的に貿易などがストップすることはありうることだ。市場の閉鎖も起きるだろう。
これはギリシャなどの国家の財政の破綻ではあるが、人々の生活は継続する。かつての通貨が使用不能のような情況に陥ったとしても、それでも人々の生活は継続する。その場合には、例えばバーターのような取引方式で、あるいは臨時の地域通貨などを発行してでも経済活動は継続していくことになるだろう。しかし混乱が暫くは継続することは考えておくべきだろう。
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●ヨーロッパが恐慌に向かっていることを示す20のサイン
http://endoftheamericandream.com/archives/20-signs-that-europe-is-plunging-into-a-full-blown-economic-depression
【1月30日 The American Dream 】
経済的悪夢がヨーロッパに来ようとしている。日々追うごとに経済指標は悪化している。その点で、ヨーロッパが全面的な経済不況に陥ろうとしていることを否定することは困難である。事実、ヨーロッパのある地域ではそうなっている。スペインでは、失業率は22%となっているし、ギリシャでは5軒の内1軒の小売店舗が閉店となっている。ヨーロッパ中で、経済活動は急速に減速し、失業率は急上昇している。そして不良債権問題が浮上している。
ヨーロッパが経済不況に陥るのに、ギリシャのように国家のデフォルトとかユーロの崩壊などを必要としないかもしれない。今の路線を維持するだけでそうなってしまうであろう。普通ならヨーロッパの各国政府は経済的な衰退には政府支出を増やすことで対処しただろう。しかし今回は、すでに彼らの殆どは負債の海に溺れている情況だ。政府支出を増やす代わりに、ヨーロッパの殆どの政府は予算の削減をしている。ヨーロッパ中で、政府は増税することを推奨され更なる予算削減をしようとしている。希望は、ヨーロッパが直面しているソブリン・デット危機の悪夢をこういった緊縮政策が解決するだろうということだ。しかし残念ながら、これらの増税や予算削減は大変な経済的苦痛を伴うことになる。
恐ろしいことは、我々は端緒についたばかりだということだ。ポルトガル、イタリア、スペインといった国々が何所に向かっているのかを知りたければ、ギリシャを見ればよい。ギリシャはこのプロセスをこの数年進んできている。そして未だにこのトンネルの彼方に光を見出してはいないのだ。
ヨーロッパで現在取られている増税と予算削減は、これから何年も続くであろう。巨大な負債で煽られてきた巨大な経済的繁栄は、これからは巨大な経済的苦難にその道を譲ることになる。
以下は、ヨーロッパが全面的な経済不況に向かっていることを示す20のサインである。
1.16歳から24歳までの失業率はイタリアで28%、ギリシャでは43%、そしてスペインでは51%である。
2.全体として、ヨーロッパ連合(EU)の25歳以下の失業率は22.7%であ る。
3.シティ・グループはポルトガルの経済は今年、5.7%収縮すると予想している。
4.ポルトガルのあらゆる負債(政府、企業、消費者)合計は、GDPの360%となる。
5.ギリシャの「不景気」は5年目になる。
6.ギリシャの経済は2011年で6%収縮した。
7.ギリシャ経済は2012年も5%は収縮すると予想されている。
8.ギリシャの全体的な失業率は現在18.5%である。
9.ギリシャでは、小売店の20%が完全に閉店した。
10.ギリシャでの自殺者数はこの12ヶ月間で40%増加した。
11.IMFによれば、ギリシャ政府の累積負債額はGDPの160%になる、という。
12.合計して、スペインでは500万人以上の失業者がいる。
13.スペインの不良債権は過去17年で最高である。
14.スペインの全体的な失業率は、22.8%になっている。
15.スペインで資産の差し押さえ率が一年前と比較して32%上昇している。
16.スペイン政府が2012年に満期となり借り換えが必要な国債を予想される赤字額に加えれば、その合計はイタリアのGDPの23.1 %となる。
17.ユーロ圏の製造業は5ヶ月続いて減少している。
18.イギリス経済は2011年第四四半期の期間中に収縮した。
19.ドイツ経済は2011年の第四四半期の期間中に収縮した。
20.バルチック海運指数は、世界経済の健全性を示すバロメーターとして見られているが、昨年10月以来61%も下落している。
不況の影が既にヨーロッパに暗雲として広がってきている。ヨーロッパ内でいくつかの力強い経済も、減速しだしている。その他のところでは既にかなりの経済的苦痛を感じてきている。トレンド・フォーキャストのジェラルド・セレンテは最近、ABCオーストラリアで、ヨーロッパの多くの国々で既に経済不況に陥りつつある、と説明した。
「ギリシャに住んでみれば、そこは不況の真っ只中だ。スペインに住めばそこも不況だ。ポルトガルやアイルランドでも不況だ」と、セレンテは語った。「もしもリトアニアに住めば、銀行が破産するので預金の引き出しに大わらわとなる。これは不況だ。ハンガリーはどうか、そこでも不況だ。東欧諸国の多くが、ルーマニア、ブルガリアがそうだ。不況が拡大している」
ヨーロッパでは事態がガタつき始めた為、政治的ないがみ合いがますます激しくなりだしている。例えば、数日前、衝撃的なドイツの提案がなされた。ドイツはギリシャが「EU予算委員」にギリシャの全ての税と支出に関する決定に拒否権を与えることを要請したのだ。
それは、ギリシャの主権のかつてない喪失を意味するわけで、ギリシャの政治家たちはその考えに全く同意していない。ギリシャのアンナ・ディアマントポウロウ教育大臣は、この提案は、「病的想像が生み出したもの」と述べた。
しかしドイツの考えは、ギリシャは彼らによって救済されねばならないのだから、ある一定の期間は監督されることに同意するべきだ、というものだ。
これがどういう結果になるか、興味のあるところだ。
その間、ギリシャ人の怒りは更に大きくなっている。最近の世論調査によれば、ギリシャ市民の90%ほどが、ルカス・パパデモス首相の暫定政府に不満である、という。
ポルトガルでは事態が急速に明らかにされてきている。民間投資家らはポルトガル国債の「ヘアカット」をするよう要求されることになるだろう。
以下はテレグラフ紙の記事である。
世界経済に対するキール研究所のレポートでは、ポルトガルは、負債が手におえなくなることを阻止するためには、年間2%の成長のシナリオ内にあっても、GDPの11%以上の財政黒字を引き出すことが必要になる。
いかなる国も5%の財政黒字を長期間達成することはできないと警告し、「ポルトガル国債は持続不可能である。これが唯一可能な結論だ」と、レポート作成者のデイビッド・ベンセックは語った。
「何がきっかけになるかは分からないが、ギリシャに関する決定が一度なされれば、人々はポルトガルもギリシャの何年か前の姿と同じであることを知るようになるだろう」と語った。
悲しい事ながら、この記事の言っていることは正しい。
ポルトガルはギリシャと同じ道を進んでいる。5年物のポルトガル国債の利回りは記録的な19.8%になっている。一年前は、これらの国債の利回りは約6%だったのだ。ギリシャに起きたことはこれと同じだった。一年前、5年物のギリシャ国債は約12%だった。今や、それは50%以上になっている。
世界は、かつてない国債危機に直面しており、ヨーロッパがその中心にある。世界の主要な工業先進国の負債額は55兆ドルになっている。誰でも、いつかはこの負債爆弾が破裂することを知っていた。
では次は何が起きるのだろうか?
ヨーロッパは全面的な経済不況に向かっていると言えよう。
残りの世界で似た運命を避けることのできるところがあるだろうか?
ギリシャが右派政権時代に抱えた巨額の負債なるものは(ポルトガルも同じだ。)、国際金融資本の信用創造による「創造された」ペーパーマネーであり、この裏付けはそもそもがギリシャ自身なのである。
悪質なサラ金に騙されて、自己破産しかなくなった債務者の比ではない。仮に放置して、言いなりになるなら国民経済が資産丸ごと乗っ取られるだろうことは明白だ。
通貨、金利、信用創造の3点セットが金融資本の準備であり、成長の動力ではあるのだが、実体経済資産を失っては自国経済の妥当な(実体の健全な)成長を完全に失うことにしかならない。
そして、ギリシャに当てはまることは、欧州全体に当てはまる。
ユーロ圏各国が独仏の収奪植民地になるか、離脱するか。
離脱分裂は信用恐慌を起こすだろう。
しかし財政統合は所詮ユーロを、ブルジョワ国家と奴隷植民地に分裂させることだろう。
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ヨーロッパが恐慌に向かっていることを示す20のサイン 2/1 ROCKWEY EXPRESSから
ヨーロッパの経済・金融問題は解決の糸口を見出せないでいる。地中海クラブと言われる、ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリアなどが国債問題で火の車となっている。
このブログでは一環して示してきたことだが、この流れを押し返せる手立ては無く、早晩ギリシャだけでなく、上記の地中海クラブ、そして東欧も含めたヨーロッパ全域が、経済・金融危機に見舞われることになる、ということだ。これがリーマン・ショックを金融津波の第一波とすれば、第二波となるわけだ。しかし津波の大きさは第一波の10倍にはなるだろう。
ワイマール共和国で起きたような事態が全ヨーロッパで再現されるのかどうか、そこまで行かずとも、一時的に貿易などがストップすることはありうることだ。市場の閉鎖も起きるだろう。
これはギリシャなどの国家の財政の破綻ではあるが、人々の生活は継続する。かつての通貨が使用不能のような情況に陥ったとしても、それでも人々の生活は継続する。その場合には、例えばバーターのような取引方式で、あるいは臨時の地域通貨などを発行してでも経済活動は継続していくことになるだろう。しかし混乱が暫くは継続することは考えておくべきだろう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●ヨーロッパが恐慌に向かっていることを示す20のサイン
http://endoftheamericandream.com/archives/20-signs-that-europe-is-plunging-into-a-full-blown-economic-depression
【1月30日 The American Dream 】
経済的悪夢がヨーロッパに来ようとしている。日々追うごとに経済指標は悪化している。その点で、ヨーロッパが全面的な経済不況に陥ろうとしていることを否定することは困難である。事実、ヨーロッパのある地域ではそうなっている。スペインでは、失業率は22%となっているし、ギリシャでは5軒の内1軒の小売店舗が閉店となっている。ヨーロッパ中で、経済活動は急速に減速し、失業率は急上昇している。そして不良債権問題が浮上している。
ヨーロッパが経済不況に陥るのに、ギリシャのように国家のデフォルトとかユーロの崩壊などを必要としないかもしれない。今の路線を維持するだけでそうなってしまうであろう。普通ならヨーロッパの各国政府は経済的な衰退には政府支出を増やすことで対処しただろう。しかし今回は、すでに彼らの殆どは負債の海に溺れている情況だ。政府支出を増やす代わりに、ヨーロッパの殆どの政府は予算の削減をしている。ヨーロッパ中で、政府は増税することを推奨され更なる予算削減をしようとしている。希望は、ヨーロッパが直面しているソブリン・デット危機の悪夢をこういった緊縮政策が解決するだろうということだ。しかし残念ながら、これらの増税や予算削減は大変な経済的苦痛を伴うことになる。
恐ろしいことは、我々は端緒についたばかりだということだ。ポルトガル、イタリア、スペインといった国々が何所に向かっているのかを知りたければ、ギリシャを見ればよい。ギリシャはこのプロセスをこの数年進んできている。そして未だにこのトンネルの彼方に光を見出してはいないのだ。
ヨーロッパで現在取られている増税と予算削減は、これから何年も続くであろう。巨大な負債で煽られてきた巨大な経済的繁栄は、これからは巨大な経済的苦難にその道を譲ることになる。
以下は、ヨーロッパが全面的な経済不況に向かっていることを示す20のサインである。
1.16歳から24歳までの失業率はイタリアで28%、ギリシャでは43%、そしてスペインでは51%である。
2.全体として、ヨーロッパ連合(EU)の25歳以下の失業率は22.7%であ る。
3.シティ・グループはポルトガルの経済は今年、5.7%収縮すると予想している。
4.ポルトガルのあらゆる負債(政府、企業、消費者)合計は、GDPの360%となる。
5.ギリシャの「不景気」は5年目になる。
6.ギリシャの経済は2011年で6%収縮した。
7.ギリシャ経済は2012年も5%は収縮すると予想されている。
8.ギリシャの全体的な失業率は現在18.5%である。
9.ギリシャでは、小売店の20%が完全に閉店した。
10.ギリシャでの自殺者数はこの12ヶ月間で40%増加した。
11.IMFによれば、ギリシャ政府の累積負債額はGDPの160%になる、という。
12.合計して、スペインでは500万人以上の失業者がいる。
13.スペインの不良債権は過去17年で最高である。
14.スペインの全体的な失業率は、22.8%になっている。
15.スペインで資産の差し押さえ率が一年前と比較して32%上昇している。
16.スペイン政府が2012年に満期となり借り換えが必要な国債を予想される赤字額に加えれば、その合計はイタリアのGDPの23.1 %となる。
17.ユーロ圏の製造業は5ヶ月続いて減少している。
18.イギリス経済は2011年第四四半期の期間中に収縮した。
19.ドイツ経済は2011年の第四四半期の期間中に収縮した。
20.バルチック海運指数は、世界経済の健全性を示すバロメーターとして見られているが、昨年10月以来61%も下落している。
不況の影が既にヨーロッパに暗雲として広がってきている。ヨーロッパ内でいくつかの力強い経済も、減速しだしている。その他のところでは既にかなりの経済的苦痛を感じてきている。トレンド・フォーキャストのジェラルド・セレンテは最近、ABCオーストラリアで、ヨーロッパの多くの国々で既に経済不況に陥りつつある、と説明した。
「ギリシャに住んでみれば、そこは不況の真っ只中だ。スペインに住めばそこも不況だ。ポルトガルやアイルランドでも不況だ」と、セレンテは語った。「もしもリトアニアに住めば、銀行が破産するので預金の引き出しに大わらわとなる。これは不況だ。ハンガリーはどうか、そこでも不況だ。東欧諸国の多くが、ルーマニア、ブルガリアがそうだ。不況が拡大している」
ヨーロッパでは事態がガタつき始めた為、政治的ないがみ合いがますます激しくなりだしている。例えば、数日前、衝撃的なドイツの提案がなされた。ドイツはギリシャが「EU予算委員」にギリシャの全ての税と支出に関する決定に拒否権を与えることを要請したのだ。
それは、ギリシャの主権のかつてない喪失を意味するわけで、ギリシャの政治家たちはその考えに全く同意していない。ギリシャのアンナ・ディアマントポウロウ教育大臣は、この提案は、「病的想像が生み出したもの」と述べた。
しかしドイツの考えは、ギリシャは彼らによって救済されねばならないのだから、ある一定の期間は監督されることに同意するべきだ、というものだ。
これがどういう結果になるか、興味のあるところだ。
その間、ギリシャ人の怒りは更に大きくなっている。最近の世論調査によれば、ギリシャ市民の90%ほどが、ルカス・パパデモス首相の暫定政府に不満である、という。
ポルトガルでは事態が急速に明らかにされてきている。民間投資家らはポルトガル国債の「ヘアカット」をするよう要求されることになるだろう。
以下はテレグラフ紙の記事である。
世界経済に対するキール研究所のレポートでは、ポルトガルは、負債が手におえなくなることを阻止するためには、年間2%の成長のシナリオ内にあっても、GDPの11%以上の財政黒字を引き出すことが必要になる。
いかなる国も5%の財政黒字を長期間達成することはできないと警告し、「ポルトガル国債は持続不可能である。これが唯一可能な結論だ」と、レポート作成者のデイビッド・ベンセックは語った。
「何がきっかけになるかは分からないが、ギリシャに関する決定が一度なされれば、人々はポルトガルもギリシャの何年か前の姿と同じであることを知るようになるだろう」と語った。
悲しい事ながら、この記事の言っていることは正しい。
ポルトガルはギリシャと同じ道を進んでいる。5年物のポルトガル国債の利回りは記録的な19.8%になっている。一年前は、これらの国債の利回りは約6%だったのだ。ギリシャに起きたことはこれと同じだった。一年前、5年物のギリシャ国債は約12%だった。今や、それは50%以上になっている。
世界は、かつてない国債危機に直面しており、ヨーロッパがその中心にある。世界の主要な工業先進国の負債額は55兆ドルになっている。誰でも、いつかはこの負債爆弾が破裂することを知っていた。
では次は何が起きるのだろうか?
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