スマートフォン、googl、個人情報と諜報機能
2012-01-29
なぜか昨年あたりから、マスコミがスマートフォンの普及を大宣伝し始めた。
不自然さを感じていたのは、私だけではなかったわけだ。
Netは大変に便利重宝で、もはや無しでは生活が困難なほどだが、私たちの側だけが重宝しているわけではあるわけもない。
資本や国家、とりわけ米英国家や国際金融資本もまた、彼らの側から重宝しているし、さらに便利に使おうと改良と技術革新を続けているだろうことは疑いない。
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米ネット著作権法の阻止とメディアの主役交代 1/25 田中 宇
(文中の太字強調は引用者である「もうすぐ北風」によるものです)
米国の米議会上下院で、インターネットを介した不正コピーを防止するための著作権擁護の2つの法案が審議されていたが、インターネット界の反対運動により、2法案とも票決が無期限に延期され、事実上葬り去られた。
2つの法案は、下院のSOPAと上院のPIPAで、両者はかなり似ている。いずれも、著作権者の許可を得ずにコンテンツ(文書、画像、音楽、動画など)をダウンロードできるようになっているウェブサイトに対し、検索エンジン、料金決済、広告代理店などがサービスを提供することを禁じる内容になっている。 (SOPA/PIPA...What's the big fuzz?)
2法案は、米国のマスコミとエンターテイメント業界からの強い要請で提起された。ユーチューブなどには、テレビ映像を録画したものなどが無許可でアップロードされている。
ファイル交換ツールをうまく使えば、世界中の見知らぬ人々のPCから音楽や動画のファイルを無料で得られる。これらの多くは、マスコミやエンタメ業界の著作権を侵害している。
従来、著作権者が侵害をやめさせるには、違法にアップロードされたコンテンツを掲載しているウェブサイト(ユーチューブなど)に連絡し、コンテンツを削除してもらう方法が行われてきた。
新法案は、この従来型の防御策に加え、著作権者の提訴に応じる形で、米当局が、問題のサイトに対するリンクが検索結果に出てこないようにしろとグーグルなどの検索エンジンに命じたり、クレジットカード決済業界や広告業界に対し、問題のサイトへのサービス提供を中止しろと命じたりすることができるようになる。
(PIPA法案には、問題サイトのIPアドレスをドメイン名に変換するという、ウェブの動きの根幹をなすDNSサーバーの変換リストから、問題のサイトのものを削除することを当局が命じられる条項も入っていた。
だが、米国内法で規制できるのは米国内のDNSサーバーだけであり、米国内と米国外のサーバーが別々のリストを持つことになり、世界中が単一であるべきインターネットに混乱を招きかねないという技術的な指摘を受けた。パソコン側で使う対策ツールもすでに開発されたため、この条項は削除された) (PROTECT IP Act From Wikipedia)
著作権侵害に対する従来の対策は、サイト上から侵害コンテンツだけを削除させるものだが、新法案のやり方は、そのサイト自体の活動を制限するものだ。ユーチューブに1本のテレビ録画がアップロードされただけで、ユーチューブ全体が休止させられかねない。
文書掲載の場合、引用と剽窃の境目(文書全体と引用箇所の関係性で決まる)や、事実と創作物の境目(事実の範囲をどう考えるかで変わってくる)は、複数の判断ができうることが多い。
米当局がマスコミ寄りの裁定を下すなら、時事問題のウェブログの中に剽窃が多く含まれると見なされ、政府批判をしているウェブログが集まっているサイトなどが、サイトごと潰されかねない。これは、著作権取り締まりと称した言論の自由の弾圧となりうる。
そのためユーチューブや、ユーチューブの親会社であるグーグル、ウィキペディア英語版、レディット(投稿サイト)などの米国のサイトがSOPAとPIPAの法制化に反対し、米議会で審議が本格化した1月19日から、米国の多くのサイトが休止する抗議行動を行った。
米議会でも、法案に賛成していた議員の何人かが反対に回ったため、上下院とも1月20日に審議を打ち切り、法案の必要性が認められるまで、票決を延期することが宣言された。これは事実上、無期限の延期だと報じられている。 (SOPA and PIPA postponed indefinitely after protests)
▼SOPA廃案はメディア主役交代の象徴
SOPAとPIPAの2法案が葬り去られたことは、マスコミやエンタメといった旧来型のメディアの政治力の減退と、それと交代に台頭するインターネット業界(新メディア)の政治力の拡大を示している。
1月19日前後、ネット上でサイトのブラックアウト(抗議文のページが表示される)など「史上最大規模の抗議行動」が行われ、その威力に圧された米議会が態度を変えたのだ、という「草の根運動の勝利」を強調する見方もある。だが、数日しか行われていない抗議行動のみが事態を劇的に変化させたとは考えにくい。草の根の抗議運動は「ウォール街占拠運動」など他の分野でもさかんに行われているが、事態を大きく変えるまでに至っていない。
むしろ、今回の廃案の意味は、古いメディアから新しいメディアへの権力の移行であると見た方が良い。旧メディア業界とネット業界には、この問題で以前から対立があり、しだいにネット側が優勢になった。1月20日に予定されていた法案票決に向けて、ネット業界がロビー活動で議会に圧力を加えた結果、票決が中止されたと指摘されている。 (Lobbying campaign scuttles piracy bills)
米英豪でマスコミ企業群を運営するルパート・マードックは、米政府が2法案に消極的なので「オバマは、シリコンバレーの資金供給者に迎合している」と批判している。実際には、米政界に巨額の献金をしているのは、ネット業界よりも、旧メディアの一部であるエンタメ業界である。ネット業界は、献金額が少なくても、大きな政治力を獲得したとみることができる。
マスコミは、米国やその他の近代的な諸国で、国家的な目標に沿った国民の価値観の形成という任務を帯びた、プロパガンダ機能である。特に第二次大戦後の米国では、マスコミがソ連や共産主義、アルカイダなど、米国の地政学的な敵国の「悪さ」をできるだけ大きく報じ、人々の「善悪観」を米国の国家戦略に沿った形に再編していく役割を担っていた。マスコミは表向き「社会正義」を標榜し、政府や政治家を監視する姿勢をとっている。そうした姿勢をとった方が、受け手から信頼されるからだ。
米マスコミは、03年の米軍イラク侵攻に際し、イラクが大量破壊兵器を持っていないのに、持っているかのように報じ、でっち上げの開戦事由を作る米当局の戦略に沿った歪曲報道を行った。その前後、テロ対策やイラン問題などでも同種の歪曲が行われ、マスコミに対する米国内外の人々の信頼が落ちた。
しかし、こうした不祥事は、マスコミが米国家に不可欠な機能である状況を変えるものでないはずだ。国家機能の隠れた一部である以上、マスコミの政治力が減退するのはおかしい。ただし、国家の隠れた機能として、ネット業界がマスコミに取って代わりつつあるのなら、この限りでない。
▼マスコミが時代遅れになる理由
米国家の隠れた機能としてネット業界がマスコミに取って代わったという動きは、起きていないのか。そう思ってネット業界を眺めてみると、取って代わったのかもしれないと思える事態が起きていることに気づく。
新聞に対抗するものとして、グーグルなどのニュースの部門を多くのより多くの人々が閲覧するようになり、テレビよりユーチューブの動画を熱心に見る人が増えている。グーグルやヤフーなど、ポータルサイトや検索サイトがリンクないし保持しているコンテンツ(記事など)の中には、マスコミが作製したものもあるが、それよりも、マスコミ以外の一般のブロガーなどが作製したものの方が多い。
マスコミは、解説記事などによってニュースに意味づけをする際、国家戦略に沿った意味づけを行い、読者の価値観を国家の都合に合わせていく(米マスコミは積極的にこれをやっているが、日本のマスコミは諸極的にやっている。近年の日本のマスコミは、意味づけを表層的にのみ報じることで、日本人が出来事の本質に疎い状況を作り、対米従属の国家戦略維持に貢献している)。
対照的に、ポータルや検索サイトの機能の隠された最重要点は、検索結果などとして、無数にあるコンテンツのうちのどれを表示するか、どのような順番で表示するかという点だ。無数のコンテンツのうち、ある種の傾向を持ったものを優先的に上位に表出することで「○○とは何か」を知りたい人に、微妙に色のついた情報を与えられる。
多くの人は「事実は一つだ」「事実を教えてくれ」と言うが、実際のところ、物事の事実性は相対的なものであり、特に政治経済社会の分野では、複数の「事実」が語りうる。
だが、多くの人々が「事実は一つ」と思ったままの現状の上で、マスコミは記事の内容によって、ネット業界は無数のコンテンツのうちどれを優先的に表示するかによって「これが唯一の事実だ」と見る側が感じる(勘違いする)内容を表示し、物事の「事実性」を微妙に操作する力を持っている。
従来のマスコミでは、年収1000万円前後の記者たちが、海外出張やハイヤーによる「夜討ち朝駆け」など、費用をふんだんに使って記事を作製しており、非常にコストが高い。対照的に、マスコミ以外の人々がネットで発信する記事(コンテンツ)は、多くが無償で作製されており、コストがゼロに近い。
ポータルや検索サイトでは、コストの高いマスコミの記事が、必ずしも上位に来るべきものにならない。マスコミの有料記事を読まなくとも、マスコミ以外の人々が発信したネット上の無料記事だけを読んでいれば、だいたい世の中のことが分かった気持ちになれる。
このような状況下、人々がネットで知識を得る度合いが増すほど、新聞や雑誌が売れなくなり、人件費削減のため記者は給料が減るうえ一人当たりの仕事量が増えて記事の質も落ち、新聞雑誌がますます売れなくなる。
マスコミの記事は、雇用された記者の職業として書かれているが、ネットの記事は人々の「無償でも書きたい」という気持ち(やる気)に依拠しているからコストが安い。
この対比は、フランス革命の前と後の、欧州諸国の軍隊のあり方の対比と似ている。フランス革命前、欧州諸国の軍隊は「職業軍人」(金で雇われた兵士)と、戦意の低い強制的な徴兵要員で構成され、戦争は政府にとって莫大な金がかかり、あまり強くなかった。しかしフランス革命で、国家は「人々のもの」(主権在民)となり、国家の主人公に祭り上げられた人々(国民)は、無償のやる気(愛国心)を発揮し、国家のために喜んで兵士になって戦死し、喜んで納税して戦費をまかなうようになった。
世界初の国民国家の「近代的」な軍隊を持ったフランスのナポレオンは、職業軍人や強制徴兵員で構成された他の欧州諸国の「前近代」の軍隊より、はるかに強かった。欧州諸国の王侯貴族は、競って自国を国民国家に仕立てることをめざした。フランス革命(国民国家革命)が、全世界の諸国に拡大していく「近現代(モダン)」が始まった。近代国家には、国民をその気にさせるプロパガンダが必須になった。 (覇権の起源)
フランス革命は、軍隊の中心を「金の切れ目が忠誠心の切れ目」の職業軍人から、無償で死んだり戦費を払ったりする「国民」に切り替え、国家にとっての戦争のコストを劇的に下げた。同様に、今の米国などの世界で起きている、マスコミからネット界へのプロパガンダ機能の移転という情報革命は、プロパガンダを発信する人々の中心を、職業記者から、無償で書いてくれる「ネット市民」(ブロガー、ツイッターやフェイスブックをやっている人々など)に切り替え、プロパガンダ作製の総コストを劇的に下げた。
大新聞のスター記者が、前近代の伝説的な職業将軍とだぶって見える感じだ。新たな「革命」の要点は、ポータルや検索サイトなどネット業界が、コンテンツの表示の順番を「アルゴリズム」など客観性を装いつつ、こっそり微妙に操作することである。
▼諜報機関としてのグーグル
米国家にとって、マスコミよりネット業界がすぐれている点は、コスト安だけでない(そもそも上記のコスト安は、国家にとってのコストの話でない)。旧システムは、マスコミという発信者から、国民という受信者への一方通行であり、国民がどう思っているかマスコミが知るルートが非常に細い(読者投稿やテレビ視聴率などしかない)。
対照的にネット業界は、ウェブの閲覧履歴やブックマークなどを業界のサーバーに送る機能によって、国民(や全世界の人々)が、どんな関心を持ち、何をどう考えているか、かなり詳細に分析できる。スマートフォンの電話帳や受送信メールをグーグルなどのサーバーに保存させることで、人々どうしの人間関係のつながりを盗み見できる。
こうした体制を、最も意図的に作っている感じがするのがグーグルだ。グーグルのGメールに新規登録する時、携帯電話番号の登録が必要だ(以前は必要なかった)。アンドロイドのスマートフォンを使っている人は、自動的に携帯番号とGメールのアカウントが連携され、ブラウザで何を見たか、どんなアプリをダウンロードしてどう使っているか、外出時にどこに行ったかなど、随時グーグルに報告が行く。
これらの機能のうち、メニュー上のチェックを外すことで使えなくなるものもあるが、チェックを外したからといって情報をグーグルに取られていないと確信できる根拠もない。アップルもiフォンで似たようなことをしている。 (iPhones and Android phones building vast databases for Google and Apple)
Gメールアカウントを入力しないままアンドロイドのスマホを使うことも可能だが、マーケットからアプリをダウンロードできない。パソコンでネットから匿名でapkファイルを拾って、野良アプリとしてインストールすることも可能だが、そんな高度な作業をできるのはごく少数の人々だ(iフォンはそれもできない)。大多数の人々は、グーグルから推奨されるまま、個人情報や履歴の多くを無自覚のうちにグーグルに預ける。
個人情報を、他の個人や、国内の野暮ったい企業に教えることに対して神経過敏な現代人も、個人情報を全部グーグルに預けることを、最先端のおしゃれだと勘違いしている。スマートなのは、スマートフォンを買う側でなく、売る側だけだ。買う側は、スマートだと軽信させられている。Gメールは世界で3・5億のアカウントが登録されている。
グーグルは、世界の無数の個人情報を収集することで、米国にとって、新手の諜報機関として機能し始めている。これまでCIAなど既存の諜報機関は、世界各地に事態をウォッチする要員(スパイなど)を置き、世界的な政治経済・軍事社会などの動向を分析し、米国の覇権戦略に役立ててきた。
こうした人的なウォッチは今後も必要だろうが、グーグルが世界中から集める膨大な個人情報は、それを越えるものだ。情報をうまく分析することで、これまで諜報機関が把握しにくかった、世界の人々の個々人の頭の中や心の動きがわかるからだ。
▼対米従属の日本はスマホ奨励が国策
Gメールは、一つのアカウントあたり7ギガバイトまで使え、ほぼ無尽蔵にメールや個人情報を蓄積できる。諜報分析者の側は、世界の人々が蓄積する個人情報が多いほど、いろいろな分析ができる。マーケティングのツールとしても使えるし、各国の政治的な分析結果をその国の親米的な政治家だけに教えることで、親米政党を選挙で連勝させ、ずっと与党にしておける。
世界中の反米政治家の個人情報をあさってスキャンダルを探すこともできる。かつて、米英諜報機関が世界中のネットや衛星経由の通信を傍受して分析するシステムとして「エシュロン」が話題になったが、グーグルはエシュロンより効率的だ。エシュロンは情報を途中で傍受する必要があるが、グーグルは待っているだけで情報が蓄積されていく。 (世界中の通信を盗聴する巨大システム)
諜報機関は政府組織だが、グーグルは民間企業なので、全く別物だという反論もあるだろう。しかし、諜報機関の方からグーグルにすり寄ってきて、既存の政府傘下のプロパガンダ機能を使ってグーグルのイメージを向上させ、株価上昇を手伝ってあげるから、米国の国益や「テロ対策」のために協力してくれないかと誘われたら、企業として、株主と米国家の利益を考えた場合、協力した方が良いということになる。
そもそも911以後の米国のテロ戦争の有事体制下では、米企業が集めた個人情報を、米当局がテロ対策の名目で検閲することが可能だ。
グーグルの約款には「Google では、アカウントに含まれる情報を Google の他のサービスまたは第三者から取得した情報と統合し、ユーザーの利便性の向上および Google のサービスの品質向上のために使用する場合があります」と書いてある。それ以外のことに使わないのだから、グーグルは盗み見なんかしないはず、と考える人がいるかもれない。
しかし「ユーザーの利便性の向上および Google のサービスの品質向上」の中に、米国のテロ戦争に沿った政府への情報提供が含まれていても不思議でない。個人情報をスマホのサーバーに預ける人々は、グーグルやアップルの「善意」を、何の根拠もなく信じるしかない。
日本の携帯電話番号にひもつけされた個人情報は、NTTドコモなど日本の電話会社が持っている。グーグルがGメール登録時に日本人に携帯番号を入力させても、それだけで個人の特定はできない。しかしこれも、911以降のテロ戦争の米国覇権の世界体制のもとでは、日本政府がドコモから個人情報を提出させ、米政府に提出させることを、テロ対策の名目で合法的にやることができる。
ユーザーが入力したクレジットカード番号を他の個人情報とひもつけすることは、もっと簡単だ。カード会社はVISAもマスターカードもアメックスも米国企業であり、米当局は、米国内の法律や政策の範囲内でひもつけできる。クレジットカードはインターネットよりずっと前からあるが、世界中の個人情報を米国に集める情報覇権であるという点で、構造上、グーグルなどネット業界と同じである。これらの方法で個人の特性(性別や年齢、住所など)と、グーグルやアップル、ヤフーなどが集めた、その人のネット上での知的活動や人間関係、購買行動などを関連づけることで、人類のかなりの部分の頭や心の動きを推測できる。
グーグルは、アップルよりも諜報機関的だ。アップルはパソコン時代から、伝統的にハードウェアの自社製造に固執してきた。グーグルは、サイトやウェブツールなど、ソフトウェアだけだ。OSはオープンソースで、ハードは日韓などの企業に作らせている。重視するのは集めてくる個人情報だけで、その他の部分を下請けに作らせているグーグルの方が、製造業的なアップルより、諜報機関に近い動きをしている。
しかし、スティーブ・ジョブズが死んだ後、世界的な英雄に祭り上げられたプロパガンダ的な急上昇を見ると、アップルも諜報機関に入り込ませてあげる見返りとして、企業イメージと株価の向上を得ることにしたのかもしれないと感じる。
対照的に、ヤフーやマイクロソフトはイメージ的に落ち目の方向だ。これらの企業は、諜報機関との連携に消極的だったのかもしれない。もともとマイクロソフトのウインドウズは、インターネットが大々的に普及する前に確立したOSで、ウインドウズのパソコンは匿名性を維持したまま利用できる。
アンドロイドがGメールのアカウント入力を前提とした「諜報機関万歳」的な新しいOSであるのと対照的に、ウインドウズは「諜報化以前」の昔の製品だ。いずれウインドウズのパソコンは、過去の遺物にされていくかもしれない。
とはいえ、グーグルはウインドウズ上でも本領を発揮している。クローム(Chrome)というグーグルの新しいウェブブラウザは、立ち上げるとまずGメールアカウントの入力を促され、パソコン内の既存ブラウザから履歴とブックマークをコピーしてグーグルのサーバーに送り込んでいる。
あとから履歴の複製をやめさせることはできるものの、多くの人はそんなことに頓着しない「スマートな現代人」だろう。ネット業界万歳である。
グーグルやアップルは、米国覇権の新しい一部分となっている。だから対米従属を国是とする日本で、ネットワークが国内で完結しているガラパゴス(進化停止動物の島)な携帯電話が時代遅れとみなされ、国民全員にグローバルスタンダードのアンドロイドやiフォンのスマホを持たせる方向に事態が動くのは当然だ。ドコモやソフトバンクを批判する日本人は多いが「お上」の一部であるグーグルやアップルを悪く言う日本人は少ない。
(ドコモの副社長は最近、安全性の観点から、ドコモの利用者がGメールのアカウントにログインせずにアンドロイドのスマートフォンを使えるようにすることを検討していると述べている。対米従属を国是とするはずの日本の企業が、米国の覇権を無視するこの手の行動を許されるものか、今後の成り行きが注目される) (NTTドコモ 辻村副社長に聞く)
米英諜報機関に入り込まれた方がうれしい従属型の日本と対照的に、米国の諜報機関に入り込まれると何をされるかわからない中国が、インターネットに設けた国家ファイアウォール(長城防火)によって、グーグルのサイトを拒絶したのも、当然の流れだ。長城防火が、イランなど、米国に潰されそうな他の反米諸国に輸出されるのも、自然な流れだ。世界の覇権構造は今や、サイバーなものになっている。 (グーグルと中国)
中国人は、共産党に個人情報を見られており、それを自覚しつつ人生を送っている。だが日本など、米国と同盟諸国の人々は、グーグルなどネット業界の諜報機関に個人情報を見られていることに無自覚なまま、人生を送っている。ネット業界の諜報機関は、英MI6など巧妙に運営されてきた既存の諜報機関の一部であり、傘下の臣民に良いイメージを持たせたまま支配を続ける手腕がある。だが中国共産党は、もっと稚拙で粗野なので、人民に対して手法を露呈しつつ、支配を続けている。
グーグルの検索結果に自分の記事が載ることは、私にとって、情報発信の重要な一要素である。だが今回、グーグルに対する批判めいたことを書いてしまったことで、今後、制裁として、私の記事がグーグルに載りにくくなるかもしれない。
それは覚悟している。それはいやなことだが、私は、いろいろ調べていくうちに、日本を含む世界の人々のために、今回書いたようなことを書かずにいられなくなった。
グーグルにすり寄るより、自由に書くことの方が、自分の精神衛生上、良い。グーグルやマスコミが人々の価値観形成を主導している今の世の中で、グーグルやマスコミを批判的に描く私が目立たなくなっていくのは、やむをえない。
対米従属系の人々からすれば「ざまあみろ」だろう。しかたがない。
不自然さを感じていたのは、私だけではなかったわけだ。
Netは大変に便利重宝で、もはや無しでは生活が困難なほどだが、私たちの側だけが重宝しているわけではあるわけもない。
資本や国家、とりわけ米英国家や国際金融資本もまた、彼らの側から重宝しているし、さらに便利に使おうと改良と技術革新を続けているだろうことは疑いない。
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米ネット著作権法の阻止とメディアの主役交代 1/25 田中 宇
(文中の太字強調は引用者である「もうすぐ北風」によるものです)
米国の米議会上下院で、インターネットを介した不正コピーを防止するための著作権擁護の2つの法案が審議されていたが、インターネット界の反対運動により、2法案とも票決が無期限に延期され、事実上葬り去られた。
2つの法案は、下院のSOPAと上院のPIPAで、両者はかなり似ている。いずれも、著作権者の許可を得ずにコンテンツ(文書、画像、音楽、動画など)をダウンロードできるようになっているウェブサイトに対し、検索エンジン、料金決済、広告代理店などがサービスを提供することを禁じる内容になっている。 (SOPA/PIPA...What's the big fuzz?)
2法案は、米国のマスコミとエンターテイメント業界からの強い要請で提起された。ユーチューブなどには、テレビ映像を録画したものなどが無許可でアップロードされている。
ファイル交換ツールをうまく使えば、世界中の見知らぬ人々のPCから音楽や動画のファイルを無料で得られる。これらの多くは、マスコミやエンタメ業界の著作権を侵害している。
従来、著作権者が侵害をやめさせるには、違法にアップロードされたコンテンツを掲載しているウェブサイト(ユーチューブなど)に連絡し、コンテンツを削除してもらう方法が行われてきた。
新法案は、この従来型の防御策に加え、著作権者の提訴に応じる形で、米当局が、問題のサイトに対するリンクが検索結果に出てこないようにしろとグーグルなどの検索エンジンに命じたり、クレジットカード決済業界や広告業界に対し、問題のサイトへのサービス提供を中止しろと命じたりすることができるようになる。
(PIPA法案には、問題サイトのIPアドレスをドメイン名に変換するという、ウェブの動きの根幹をなすDNSサーバーの変換リストから、問題のサイトのものを削除することを当局が命じられる条項も入っていた。
だが、米国内法で規制できるのは米国内のDNSサーバーだけであり、米国内と米国外のサーバーが別々のリストを持つことになり、世界中が単一であるべきインターネットに混乱を招きかねないという技術的な指摘を受けた。パソコン側で使う対策ツールもすでに開発されたため、この条項は削除された) (PROTECT IP Act From Wikipedia)
著作権侵害に対する従来の対策は、サイト上から侵害コンテンツだけを削除させるものだが、新法案のやり方は、そのサイト自体の活動を制限するものだ。ユーチューブに1本のテレビ録画がアップロードされただけで、ユーチューブ全体が休止させられかねない。
文書掲載の場合、引用と剽窃の境目(文書全体と引用箇所の関係性で決まる)や、事実と創作物の境目(事実の範囲をどう考えるかで変わってくる)は、複数の判断ができうることが多い。
米当局がマスコミ寄りの裁定を下すなら、時事問題のウェブログの中に剽窃が多く含まれると見なされ、政府批判をしているウェブログが集まっているサイトなどが、サイトごと潰されかねない。これは、著作権取り締まりと称した言論の自由の弾圧となりうる。
そのためユーチューブや、ユーチューブの親会社であるグーグル、ウィキペディア英語版、レディット(投稿サイト)などの米国のサイトがSOPAとPIPAの法制化に反対し、米議会で審議が本格化した1月19日から、米国の多くのサイトが休止する抗議行動を行った。
米議会でも、法案に賛成していた議員の何人かが反対に回ったため、上下院とも1月20日に審議を打ち切り、法案の必要性が認められるまで、票決を延期することが宣言された。これは事実上、無期限の延期だと報じられている。 (SOPA and PIPA postponed indefinitely after protests)
▼SOPA廃案はメディア主役交代の象徴
SOPAとPIPAの2法案が葬り去られたことは、マスコミやエンタメといった旧来型のメディアの政治力の減退と、それと交代に台頭するインターネット業界(新メディア)の政治力の拡大を示している。
1月19日前後、ネット上でサイトのブラックアウト(抗議文のページが表示される)など「史上最大規模の抗議行動」が行われ、その威力に圧された米議会が態度を変えたのだ、という「草の根運動の勝利」を強調する見方もある。だが、数日しか行われていない抗議行動のみが事態を劇的に変化させたとは考えにくい。草の根の抗議運動は「ウォール街占拠運動」など他の分野でもさかんに行われているが、事態を大きく変えるまでに至っていない。
むしろ、今回の廃案の意味は、古いメディアから新しいメディアへの権力の移行であると見た方が良い。旧メディア業界とネット業界には、この問題で以前から対立があり、しだいにネット側が優勢になった。1月20日に予定されていた法案票決に向けて、ネット業界がロビー活動で議会に圧力を加えた結果、票決が中止されたと指摘されている。 (Lobbying campaign scuttles piracy bills)
米英豪でマスコミ企業群を運営するルパート・マードックは、米政府が2法案に消極的なので「オバマは、シリコンバレーの資金供給者に迎合している」と批判している。実際には、米政界に巨額の献金をしているのは、ネット業界よりも、旧メディアの一部であるエンタメ業界である。ネット業界は、献金額が少なくても、大きな政治力を獲得したとみることができる。
マスコミは、米国やその他の近代的な諸国で、国家的な目標に沿った国民の価値観の形成という任務を帯びた、プロパガンダ機能である。特に第二次大戦後の米国では、マスコミがソ連や共産主義、アルカイダなど、米国の地政学的な敵国の「悪さ」をできるだけ大きく報じ、人々の「善悪観」を米国の国家戦略に沿った形に再編していく役割を担っていた。マスコミは表向き「社会正義」を標榜し、政府や政治家を監視する姿勢をとっている。そうした姿勢をとった方が、受け手から信頼されるからだ。
米マスコミは、03年の米軍イラク侵攻に際し、イラクが大量破壊兵器を持っていないのに、持っているかのように報じ、でっち上げの開戦事由を作る米当局の戦略に沿った歪曲報道を行った。その前後、テロ対策やイラン問題などでも同種の歪曲が行われ、マスコミに対する米国内外の人々の信頼が落ちた。
しかし、こうした不祥事は、マスコミが米国家に不可欠な機能である状況を変えるものでないはずだ。国家機能の隠れた一部である以上、マスコミの政治力が減退するのはおかしい。ただし、国家の隠れた機能として、ネット業界がマスコミに取って代わりつつあるのなら、この限りでない。
▼マスコミが時代遅れになる理由
米国家の隠れた機能としてネット業界がマスコミに取って代わったという動きは、起きていないのか。そう思ってネット業界を眺めてみると、取って代わったのかもしれないと思える事態が起きていることに気づく。
新聞に対抗するものとして、グーグルなどのニュースの部門を多くのより多くの人々が閲覧するようになり、テレビよりユーチューブの動画を熱心に見る人が増えている。グーグルやヤフーなど、ポータルサイトや検索サイトがリンクないし保持しているコンテンツ(記事など)の中には、マスコミが作製したものもあるが、それよりも、マスコミ以外の一般のブロガーなどが作製したものの方が多い。
マスコミは、解説記事などによってニュースに意味づけをする際、国家戦略に沿った意味づけを行い、読者の価値観を国家の都合に合わせていく(米マスコミは積極的にこれをやっているが、日本のマスコミは諸極的にやっている。近年の日本のマスコミは、意味づけを表層的にのみ報じることで、日本人が出来事の本質に疎い状況を作り、対米従属の国家戦略維持に貢献している)。
対照的に、ポータルや検索サイトの機能の隠された最重要点は、検索結果などとして、無数にあるコンテンツのうちのどれを表示するか、どのような順番で表示するかという点だ。無数のコンテンツのうち、ある種の傾向を持ったものを優先的に上位に表出することで「○○とは何か」を知りたい人に、微妙に色のついた情報を与えられる。
多くの人は「事実は一つだ」「事実を教えてくれ」と言うが、実際のところ、物事の事実性は相対的なものであり、特に政治経済社会の分野では、複数の「事実」が語りうる。
だが、多くの人々が「事実は一つ」と思ったままの現状の上で、マスコミは記事の内容によって、ネット業界は無数のコンテンツのうちどれを優先的に表示するかによって「これが唯一の事実だ」と見る側が感じる(勘違いする)内容を表示し、物事の「事実性」を微妙に操作する力を持っている。
従来のマスコミでは、年収1000万円前後の記者たちが、海外出張やハイヤーによる「夜討ち朝駆け」など、費用をふんだんに使って記事を作製しており、非常にコストが高い。対照的に、マスコミ以外の人々がネットで発信する記事(コンテンツ)は、多くが無償で作製されており、コストがゼロに近い。
ポータルや検索サイトでは、コストの高いマスコミの記事が、必ずしも上位に来るべきものにならない。マスコミの有料記事を読まなくとも、マスコミ以外の人々が発信したネット上の無料記事だけを読んでいれば、だいたい世の中のことが分かった気持ちになれる。
このような状況下、人々がネットで知識を得る度合いが増すほど、新聞や雑誌が売れなくなり、人件費削減のため記者は給料が減るうえ一人当たりの仕事量が増えて記事の質も落ち、新聞雑誌がますます売れなくなる。
マスコミの記事は、雇用された記者の職業として書かれているが、ネットの記事は人々の「無償でも書きたい」という気持ち(やる気)に依拠しているからコストが安い。
この対比は、フランス革命の前と後の、欧州諸国の軍隊のあり方の対比と似ている。フランス革命前、欧州諸国の軍隊は「職業軍人」(金で雇われた兵士)と、戦意の低い強制的な徴兵要員で構成され、戦争は政府にとって莫大な金がかかり、あまり強くなかった。しかしフランス革命で、国家は「人々のもの」(主権在民)となり、国家の主人公に祭り上げられた人々(国民)は、無償のやる気(愛国心)を発揮し、国家のために喜んで兵士になって戦死し、喜んで納税して戦費をまかなうようになった。
世界初の国民国家の「近代的」な軍隊を持ったフランスのナポレオンは、職業軍人や強制徴兵員で構成された他の欧州諸国の「前近代」の軍隊より、はるかに強かった。欧州諸国の王侯貴族は、競って自国を国民国家に仕立てることをめざした。フランス革命(国民国家革命)が、全世界の諸国に拡大していく「近現代(モダン)」が始まった。近代国家には、国民をその気にさせるプロパガンダが必須になった。 (覇権の起源)
フランス革命は、軍隊の中心を「金の切れ目が忠誠心の切れ目」の職業軍人から、無償で死んだり戦費を払ったりする「国民」に切り替え、国家にとっての戦争のコストを劇的に下げた。同様に、今の米国などの世界で起きている、マスコミからネット界へのプロパガンダ機能の移転という情報革命は、プロパガンダを発信する人々の中心を、職業記者から、無償で書いてくれる「ネット市民」(ブロガー、ツイッターやフェイスブックをやっている人々など)に切り替え、プロパガンダ作製の総コストを劇的に下げた。
大新聞のスター記者が、前近代の伝説的な職業将軍とだぶって見える感じだ。新たな「革命」の要点は、ポータルや検索サイトなどネット業界が、コンテンツの表示の順番を「アルゴリズム」など客観性を装いつつ、こっそり微妙に操作することである。
▼諜報機関としてのグーグル
米国家にとって、マスコミよりネット業界がすぐれている点は、コスト安だけでない(そもそも上記のコスト安は、国家にとってのコストの話でない)。旧システムは、マスコミという発信者から、国民という受信者への一方通行であり、国民がどう思っているかマスコミが知るルートが非常に細い(読者投稿やテレビ視聴率などしかない)。
対照的にネット業界は、ウェブの閲覧履歴やブックマークなどを業界のサーバーに送る機能によって、国民(や全世界の人々)が、どんな関心を持ち、何をどう考えているか、かなり詳細に分析できる。スマートフォンの電話帳や受送信メールをグーグルなどのサーバーに保存させることで、人々どうしの人間関係のつながりを盗み見できる。
こうした体制を、最も意図的に作っている感じがするのがグーグルだ。グーグルのGメールに新規登録する時、携帯電話番号の登録が必要だ(以前は必要なかった)。アンドロイドのスマートフォンを使っている人は、自動的に携帯番号とGメールのアカウントが連携され、ブラウザで何を見たか、どんなアプリをダウンロードしてどう使っているか、外出時にどこに行ったかなど、随時グーグルに報告が行く。
これらの機能のうち、メニュー上のチェックを外すことで使えなくなるものもあるが、チェックを外したからといって情報をグーグルに取られていないと確信できる根拠もない。アップルもiフォンで似たようなことをしている。 (iPhones and Android phones building vast databases for Google and Apple)
Gメールアカウントを入力しないままアンドロイドのスマホを使うことも可能だが、マーケットからアプリをダウンロードできない。パソコンでネットから匿名でapkファイルを拾って、野良アプリとしてインストールすることも可能だが、そんな高度な作業をできるのはごく少数の人々だ(iフォンはそれもできない)。大多数の人々は、グーグルから推奨されるまま、個人情報や履歴の多くを無自覚のうちにグーグルに預ける。
個人情報を、他の個人や、国内の野暮ったい企業に教えることに対して神経過敏な現代人も、個人情報を全部グーグルに預けることを、最先端のおしゃれだと勘違いしている。スマートなのは、スマートフォンを買う側でなく、売る側だけだ。買う側は、スマートだと軽信させられている。Gメールは世界で3・5億のアカウントが登録されている。
グーグルは、世界の無数の個人情報を収集することで、米国にとって、新手の諜報機関として機能し始めている。これまでCIAなど既存の諜報機関は、世界各地に事態をウォッチする要員(スパイなど)を置き、世界的な政治経済・軍事社会などの動向を分析し、米国の覇権戦略に役立ててきた。
こうした人的なウォッチは今後も必要だろうが、グーグルが世界中から集める膨大な個人情報は、それを越えるものだ。情報をうまく分析することで、これまで諜報機関が把握しにくかった、世界の人々の個々人の頭の中や心の動きがわかるからだ。
▼対米従属の日本はスマホ奨励が国策
Gメールは、一つのアカウントあたり7ギガバイトまで使え、ほぼ無尽蔵にメールや個人情報を蓄積できる。諜報分析者の側は、世界の人々が蓄積する個人情報が多いほど、いろいろな分析ができる。マーケティングのツールとしても使えるし、各国の政治的な分析結果をその国の親米的な政治家だけに教えることで、親米政党を選挙で連勝させ、ずっと与党にしておける。
世界中の反米政治家の個人情報をあさってスキャンダルを探すこともできる。かつて、米英諜報機関が世界中のネットや衛星経由の通信を傍受して分析するシステムとして「エシュロン」が話題になったが、グーグルはエシュロンより効率的だ。エシュロンは情報を途中で傍受する必要があるが、グーグルは待っているだけで情報が蓄積されていく。 (世界中の通信を盗聴する巨大システム)
諜報機関は政府組織だが、グーグルは民間企業なので、全く別物だという反論もあるだろう。しかし、諜報機関の方からグーグルにすり寄ってきて、既存の政府傘下のプロパガンダ機能を使ってグーグルのイメージを向上させ、株価上昇を手伝ってあげるから、米国の国益や「テロ対策」のために協力してくれないかと誘われたら、企業として、株主と米国家の利益を考えた場合、協力した方が良いということになる。
そもそも911以後の米国のテロ戦争の有事体制下では、米企業が集めた個人情報を、米当局がテロ対策の名目で検閲することが可能だ。
グーグルの約款には「Google では、アカウントに含まれる情報を Google の他のサービスまたは第三者から取得した情報と統合し、ユーザーの利便性の向上および Google のサービスの品質向上のために使用する場合があります」と書いてある。それ以外のことに使わないのだから、グーグルは盗み見なんかしないはず、と考える人がいるかもれない。
しかし「ユーザーの利便性の向上および Google のサービスの品質向上」の中に、米国のテロ戦争に沿った政府への情報提供が含まれていても不思議でない。個人情報をスマホのサーバーに預ける人々は、グーグルやアップルの「善意」を、何の根拠もなく信じるしかない。
日本の携帯電話番号にひもつけされた個人情報は、NTTドコモなど日本の電話会社が持っている。グーグルがGメール登録時に日本人に携帯番号を入力させても、それだけで個人の特定はできない。しかしこれも、911以降のテロ戦争の米国覇権の世界体制のもとでは、日本政府がドコモから個人情報を提出させ、米政府に提出させることを、テロ対策の名目で合法的にやることができる。
ユーザーが入力したクレジットカード番号を他の個人情報とひもつけすることは、もっと簡単だ。カード会社はVISAもマスターカードもアメックスも米国企業であり、米当局は、米国内の法律や政策の範囲内でひもつけできる。クレジットカードはインターネットよりずっと前からあるが、世界中の個人情報を米国に集める情報覇権であるという点で、構造上、グーグルなどネット業界と同じである。これらの方法で個人の特性(性別や年齢、住所など)と、グーグルやアップル、ヤフーなどが集めた、その人のネット上での知的活動や人間関係、購買行動などを関連づけることで、人類のかなりの部分の頭や心の動きを推測できる。
グーグルは、アップルよりも諜報機関的だ。アップルはパソコン時代から、伝統的にハードウェアの自社製造に固執してきた。グーグルは、サイトやウェブツールなど、ソフトウェアだけだ。OSはオープンソースで、ハードは日韓などの企業に作らせている。重視するのは集めてくる個人情報だけで、その他の部分を下請けに作らせているグーグルの方が、製造業的なアップルより、諜報機関に近い動きをしている。
しかし、スティーブ・ジョブズが死んだ後、世界的な英雄に祭り上げられたプロパガンダ的な急上昇を見ると、アップルも諜報機関に入り込ませてあげる見返りとして、企業イメージと株価の向上を得ることにしたのかもしれないと感じる。
対照的に、ヤフーやマイクロソフトはイメージ的に落ち目の方向だ。これらの企業は、諜報機関との連携に消極的だったのかもしれない。もともとマイクロソフトのウインドウズは、インターネットが大々的に普及する前に確立したOSで、ウインドウズのパソコンは匿名性を維持したまま利用できる。
アンドロイドがGメールのアカウント入力を前提とした「諜報機関万歳」的な新しいOSであるのと対照的に、ウインドウズは「諜報化以前」の昔の製品だ。いずれウインドウズのパソコンは、過去の遺物にされていくかもしれない。
とはいえ、グーグルはウインドウズ上でも本領を発揮している。クローム(Chrome)というグーグルの新しいウェブブラウザは、立ち上げるとまずGメールアカウントの入力を促され、パソコン内の既存ブラウザから履歴とブックマークをコピーしてグーグルのサーバーに送り込んでいる。
あとから履歴の複製をやめさせることはできるものの、多くの人はそんなことに頓着しない「スマートな現代人」だろう。ネット業界万歳である。
グーグルやアップルは、米国覇権の新しい一部分となっている。だから対米従属を国是とする日本で、ネットワークが国内で完結しているガラパゴス(進化停止動物の島)な携帯電話が時代遅れとみなされ、国民全員にグローバルスタンダードのアンドロイドやiフォンのスマホを持たせる方向に事態が動くのは当然だ。ドコモやソフトバンクを批判する日本人は多いが「お上」の一部であるグーグルやアップルを悪く言う日本人は少ない。
(ドコモの副社長は最近、安全性の観点から、ドコモの利用者がGメールのアカウントにログインせずにアンドロイドのスマートフォンを使えるようにすることを検討していると述べている。対米従属を国是とするはずの日本の企業が、米国の覇権を無視するこの手の行動を許されるものか、今後の成り行きが注目される) (NTTドコモ 辻村副社長に聞く)
米英諜報機関に入り込まれた方がうれしい従属型の日本と対照的に、米国の諜報機関に入り込まれると何をされるかわからない中国が、インターネットに設けた国家ファイアウォール(長城防火)によって、グーグルのサイトを拒絶したのも、当然の流れだ。長城防火が、イランなど、米国に潰されそうな他の反米諸国に輸出されるのも、自然な流れだ。世界の覇権構造は今や、サイバーなものになっている。 (グーグルと中国)
中国人は、共産党に個人情報を見られており、それを自覚しつつ人生を送っている。だが日本など、米国と同盟諸国の人々は、グーグルなどネット業界の諜報機関に個人情報を見られていることに無自覚なまま、人生を送っている。ネット業界の諜報機関は、英MI6など巧妙に運営されてきた既存の諜報機関の一部であり、傘下の臣民に良いイメージを持たせたまま支配を続ける手腕がある。だが中国共産党は、もっと稚拙で粗野なので、人民に対して手法を露呈しつつ、支配を続けている。
グーグルの検索結果に自分の記事が載ることは、私にとって、情報発信の重要な一要素である。だが今回、グーグルに対する批判めいたことを書いてしまったことで、今後、制裁として、私の記事がグーグルに載りにくくなるかもしれない。
それは覚悟している。それはいやなことだが、私は、いろいろ調べていくうちに、日本を含む世界の人々のために、今回書いたようなことを書かずにいられなくなった。
グーグルにすり寄るより、自由に書くことの方が、自分の精神衛生上、良い。グーグルやマスコミが人々の価値観形成を主導している今の世の中で、グーグルやマスコミを批判的に描く私が目立たなくなっていくのは、やむをえない。
対米従属系の人々からすれば「ざまあみろ」だろう。しかたがない。
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長崎大のフィルターで1万ベクレル超/kg
2012-01-29
長崎で1ヵ月後 高数値 福島原発 放射性物質を調査 広島で報告
12年1月26日 中国新聞
福島第1原発から約千キロ離れた長崎市の大気観測所の吸引調査で、事故1カ月後に高い数値の放射性物質が確認されていたことが分かった。広島市南区の広島大広仁会館で25日にあった同大原爆放射線医科学研究所(原医研)の国際シンポジウムで長崎大の高辻俊宏准教授が報告した。
高辻准教授は事故後、1週間ごとに装置で吸引した空気や吸引口のろ紙の付着物のセシウムの量を調査。2011年3月23日から7月27日までの結果を報告した。
4月6日からの週が特に高く、ろ紙に付着したちりなどのセシウム134の濃度は福島県飯舘村の土壌に相当する1キロ当たり1万1300ベクレルだった。
高辻准教授は米海洋大気局のデータから、4月6日は日本列島の南側を半円を描くように風が東北から九州に達していたと指摘。福島からの放射性物質と推測した。
高辻准教授は「大気中の数値は低くても、空調機のフィルターなどには放射性物質が集積し高くなる可能性がある」と指摘した。 シンポジウムは26日もある。(金崎由美)
(2012年1月26日朝刊掲載)
ーーーーーーーーーーーーーーーー
参照。当時の放射能拡散予報。2011年4月 2日 (土) ノルウェー気象研
警告:来週2011年4月6日(水)以降に放射能が九州全域を覆う恐れ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
長崎でこれだけと言うことは日本全国が汚染されていたと言うことだ。
精密な測定器でなくとも、濃縮・集積の原理は家庭器具でも同じだ。
空気清浄機、掃除機、エアコン、車のエアフィルター、車のエアコンフィルター、などが空間線量を軽滅してくれているが、放射性物質を濃縮・集積している。
これらのフィルターを交換することが必須だ。
最大限に取り扱いに注意して、交換しなければならない。
12年1月26日 中国新聞
福島第1原発から約千キロ離れた長崎市の大気観測所の吸引調査で、事故1カ月後に高い数値の放射性物質が確認されていたことが分かった。広島市南区の広島大広仁会館で25日にあった同大原爆放射線医科学研究所(原医研)の国際シンポジウムで長崎大の高辻俊宏准教授が報告した。
高辻准教授は事故後、1週間ごとに装置で吸引した空気や吸引口のろ紙の付着物のセシウムの量を調査。2011年3月23日から7月27日までの結果を報告した。
4月6日からの週が特に高く、ろ紙に付着したちりなどのセシウム134の濃度は福島県飯舘村の土壌に相当する1キロ当たり1万1300ベクレルだった。
高辻准教授は米海洋大気局のデータから、4月6日は日本列島の南側を半円を描くように風が東北から九州に達していたと指摘。福島からの放射性物質と推測した。
高辻准教授は「大気中の数値は低くても、空調機のフィルターなどには放射性物質が集積し高くなる可能性がある」と指摘した。 シンポジウムは26日もある。(金崎由美)
(2012年1月26日朝刊掲載)
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参照。当時の放射能拡散予報。2011年4月 2日 (土) ノルウェー気象研
警告:来週2011年4月6日(水)以降に放射能が九州全域を覆う恐れ

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長崎でこれだけと言うことは日本全国が汚染されていたと言うことだ。
精密な測定器でなくとも、濃縮・集積の原理は家庭器具でも同じだ。
空気清浄機、掃除機、エアコン、車のエアフィルター、車のエアコンフィルター、などが空間線量を軽滅してくれているが、放射性物質を濃縮・集積している。
これらのフィルターを交換することが必須だ。
最大限に取り扱いに注意して、交換しなければならない。
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帝国主義は民主主義への世界戦争を続けている
2012-01-27
民主主義に対する世界戦争 1/25 「マスコミに載らない海外記事」から
John Pilger
2012年1月20日
"Information Clearing House"
先日、リセット・タレトが亡くなった。か細いが、たくましく、並外れて知的で、決意で悲しみをおし隠した女性を覚えているが、存在感があった。彼女は対民主主義戦争に反対する民衆抵抗の化身だった。初めて彼女をちらりと見たのは、アフリカとアジアの中間、インド洋に暮らす、とても小さな混血民族、チャゴス諸島の住民達にまつわる1950年代イギリス植民省の映画の中だ。
カメラは左右ぐるりと、自然の美と平穏という場面の中におかれ、栄えている村々、教会、学校、病院を撮影していた。リセットは、プロデューサーが、自分や十代の友人達に向かって、"女の子たち、微笑んでいるように!"と言っていたのを覚えていた。
何年も後に、モーリシャスの自宅キッチンに座って彼女は言った。"笑えなんて言われる必要はなかったのです。私は幸せな子供でしたから、私のルーツはあの諸島、私の天国に深く根ざしていますから。曽祖母はあそこで生まれました。あそこで私は子供を六人産みました。
それで、連中は私たちを、法的に、自宅から追い出すことはできなかったのです。彼らは我々を脅して、家から出るようにさせるか、追い出すしかなかったのです。最初連中は、私たちを飢えさせようとしました。食糧船がやって来なくなり[それから]連中は、我々は爆撃されると、うわさを流し、連中は私たちの飼い犬に向かったのです。"
1960年代初期、ハロルド・ウィルソンの労働党政権は、本島デイエゴ・ガルシアに軍事基地を建設できるようにするため、イギリス植民地のチャゴス諸島の2,500人の住民を、"一掃"し"浄化"するようにというワシントンからの要求に、密かに合意していた。
"連中は、私たちをペットから引き離せないことを知っていたのです"とリセットは言った。"基地建設の為にやってくると、アメリカ兵士は、私たちがココナツを蓄えていたレンガ作りの小屋に向け、大きなトラックをバックさせたのです。私たちが飼っていた何百匹もの犬が集められ、そこに閉じ込められました。それから、連中は、トラックの排気ガスをチューブで送り込み、排気ガスで殺したのです。犬達の鳴き声が聞こえました。"
リセットと家族や、何百人もの島民は、4000キロも離れたモーリシャス行きのさびかけた蒸気船に無理やり乗せられた。彼らは貨物の肥料、つまり鳥の糞を積んだ船倉で眠らされた。天候は不順だった。全員が病気になった。二人の女性が流産した。
ポート・ルイスの埠頭に放り出されたリセットの一番幼い子供、ジョリスとレジスは、それぞれ一週間のうちに亡くなった。"二人は悲しみのあまり亡くなったのです"と彼女は言う。"二人は、犬に起きたことについての話を全て耳にし目にしたのです。二人は家には永遠に戻れないことを知っていました。モーリシャスの医者は悲しみは治せないと言いました。"
この大量拉致行為は極秘のうちに実施された。"絵空事と主張する"という見出しの公式ファイルの一つの中で、"再分類し" 住民を"流動的"とし、"我々が進めるのにあわせて、法律を作り" 彼らの行為に蓋をするように、外務省法律顧問は同僚達に強く勧めていた。国際刑事裁判所の法規の第7条には、"住民の国外追放、あるいは強制移送"は、人類に対する犯罪だとある。
イギリスが、アメリカのポラリス原子力潜水艦の1400万ドル値引きと引き換えに、そのような犯罪を冒したということは、チャゴス諸島米軍基地が完成した際に、国防省が招いたイギリスの"防衛担当" 特派員の一団にとって重要項目ではなかった。"当方のファイルには何もありません"と省の役人は言った。"住人や疎開については。"
今日、デイエゴ・ガルシアは、アメリカとイギリスの対民主主義戦争に不可欠だ。イラクとアフガニスタンに対する猛爆撃は、考古学遺跡のごとく立っている島民達が放棄した墓地と教会を越えて、そこの広大な飛行場から行われた。
リセットがカメラに向かって微笑んでいた、ひな壇式庭園は、今やコウモリのような姿のB-2飛行機によって、二つの大陸にある標的に向けて運搬される"バンカー・バスター"爆弾を保管する要塞だ。対イラン攻撃はここから始まる。
あたかも凶暴な犯罪的権力の紋章を完成するためであるかのように、CIAは、"移送される" 犠牲者用に、グアンタナモ型お監獄まで作り、それをキャンプ・ジャスティス(正義収容所)と呼んだ。
リセットの天国に対してなされたことには、喫緊の共通の意味がある。それは民主的なうわべの背後にある制度全体の、暴力的で、冷酷な本性を示しており、我々自身が、救世主的な想定に教化されている度合いを、ハロルド・ピンターは"見事な、機知に富んだとさえ言える、極めて成功した催眠術行為"と表現している。
1945年以来のどの戦争よりも長く、より残忍に、悪魔のような武器やギャング行為を用い、経済政策を装い、時として、グローバル化として知られ、遂行されている対民主主義戦争は、西欧のエリート界では口にするのが、はばかられている。
ピンターが書いている通り、"それが起きていていた間でさえ、それは決して起きてはいなかったのだ。" 昨年7月、アメリカ人歴史学者ウイリアム・ブルムが"アメリカ外交政策の記録概要・最新版" を公開した。第二次世界大戦以来、アメリカは:
1 その大半が民主的に選出された50以上の政権を打倒しようと試みた。
2 20ヶ国で、人民主義や愛国的運動を抑圧しようと試みた。
3 少なくとも30ヶ国で、民主的な選挙に甚だしく介入した。
4 30ヶ国以上の国民に、爆弾を投下した。
5 50人以上の外国指導者の暗殺達試みた。
合計すると、アメリカ合州国は、こうした行為の一つまたは複数を、69ヶ国で遂行してきた。ほとんど全ての場合、イギリスは協力者だった。"敵"は、共産主義からイスラム教へと名前こそ変わったものの、大半は、西欧大国から独立した民主主義の勃興や、チャゴス諸島のように、戦略的に有用な地域に存在している社会で、犠牲にしてかまわないと見なされたものなのだ。
犯罪性はもちろんのこと、苦難の絶大な規模、世界で最も進んだ通信、名目上、最も自由なジャーナリズムと、最も尊敬されている学界が存在しているにもかかわらず、西欧でほほとんど知られていない。
テロ、つまり西欧のテロの最も多くの犠牲者はイスラム教徒であることは、知られていたとしても、口に出してはいけないことなのだ。1990年代に イギリスとアメリカが課した禁輸措置の結果、50万人のイラク人幼児が亡くなったことなどには関心はないのだ
。9/11をひき起こすに至った、あの過激な聖戦思想は、西欧の政策を実施するための武器("オペレーション・サイクロン")として育成されたのだが、専門家達には知られていたものの、それ以外に対しては隠されていた。
イギリスとアメリカの大衆文化は、第二次世界大戦勝者向けの倫理的浴槽に浸る一方、英-米による支配から生じる資源豊富な地域でのホロコーストは忘却の彼方に消えている。
サッチャーによって、"我々の仲間"として聖別されたインドネシアの暴君スハルトのもとで、百万人以上の人々が虐殺された。
CIAが"二十世紀後半で最悪の大量虐殺"と書いた推計は、西欧の黙認、イギリス戦闘爆撃機や、機関銃によって、餓死したか、虐殺された、東チモール住民の三分の一を含んでいない。
こうした本当の話は、ロンドン公文書館にある機密解除されたファイルの中で語られてはいても、政治と権力行使の全体的規模の意味は世論から締め出されている。
これは威圧的ではない情報管理をする政権、一般消費者向け広告という福音主義の呪文から、BBCニュースで流れる短い語句や、今のはかないソーシャル・メディアに至るまで、様々なものによって実現されているのだ。
監視役としての作家は絶滅したか、だますには、余りに賢明だと確信して、反社会的行動という社会精神のとりこになってしまったもののようだ。強欲な権力の犯罪を正当化するのを認めて欲しがっていた戦争愛好者、クリストファ・ヒッチンスを神格化しようとして、ごますり連中が殺到するのを、我々は目の当たりにしている。
"200年間で初めて" テリー・イーグルトンは書いている。"西欧風生活様式の基盤を疑問に思う覚悟がある、優れたイギリス詩人も、劇作家も、小説家もいない。" 全体主義によって堕落させるために、我々は全体主義の社会で暮らす必要などないと警告するオーウェルはいない。
貧者のために語るシェリーはおらず、展望を指し示てくれるブレークはおらず、"歴史を読んだことのある誰から見ても、不服従こそが、人間独自の徳性だ"ということを想起させてくれる、ワイルドはいない。そして悲しいかな、アメリカン・フットボールの試合での様に、戦争機構に対して激怒するピンターはいないのだ。
ハレルヤ
全ての良きことに対し神を讃えよ …
連中のボールを塵埃にしてしまう
全くの塵埃に…
西欧暴力の希望とチェンジの申し子バラク・オバマによって、全ての生命が、塵埃として吹き飛ばされてしまう。オバマ無人機の一機が、パキスタンや、ソマリアや、イエメンの遥かかなたの部族地域の一家を全員せん滅すると、コンピューター・ゲーム画面の前にいるアメリカ人管制官は、"虫退治済み"と入力する。
オバマは無人機が好きで、無人機について、ジャーナリスト相手に冗談を言っている。
大統領としての、彼の最初の仕事の一つは、パキスタンで74人を殺害したプレデター無人機の、波状攻撃を命じることだった。彼は、それ以来何千人も殺害しており、その大半は民間人だ。無人機は子供たちの肺から空気を吸い出し、低木で覆われた土地全体に臓器を花綱状に散乱させる、ヘルファイア・ミサイルを発射するのだ。
ブランド・オバマが大統領に選出された際の、涙の痕跡がついた見出しを想起されたい。"極めて重大で、ワクワクする":ガーディアン。サイモン・シャマはこう書いた。"アメリカの未来は、素晴らしく、神秘的で、形を成しておらず、目まいがするようだ …" サンフランシスコ・クロニクルのコラムニストは、彼に霊的な "地球上での、新たな生き方を導くことができる光の使者を見た。"と書いた。
たわごとはさておき、偉大な内部告発者、ダニエル・エルズバーグの予言通り、軍事クーデターがワシントンで起きたのだが、オバマは連中の仲間だった。
反戦運動を事実上の沈黙状態へとたぶらかし、彼はアメリカの腐敗した軍幹部層に、未曾有の国家と交戦の権力を与えたのだ。これには、アフリカでの戦争の可能性と、アメリカ最大の債権者で、アジアにおける新たな"敵"である中国に対する挑発の機会も含まれている。
オバマのもとで、昔からおなじみの公式妄想症の源ロシアは、弾道ミサイルで包囲され、ロシアの反体制派にはスパイが潜入している。軍とCIAの暗殺チームは120ヶ国に派遣されている。長年温められてきたシリアとイランへの攻撃は、世界大戦を招き寄せている。
代理として、アメリカの暴力と無法さの模範たるイスラエルは、更なるパレスチナ領土を盗み取ることに対するオバマの承認と共に、30億ドルもの毎年の小遣いをもらったばかりだ。
オバマの最も"歴史的な"実績は、民主主義に対する戦争を、アメリカ国内に持ち込んだことだ。
彼は大みそかに、外国人でもアメリカ国民でも、拉致し、無期限に拘留し、尋問し、拷問し、殺害さえする法律上の権利を、ペンタゴンに対して認める法律、2012年国防権限法(NDAA)に署名した。
ペンタゴンは、アメリカ合州国に対して"攻撃的な"連中との"関連付け"さえできれば良いのだ。法律の保護も、裁判も無く、法的代理人も無いのだ。
これは、人身保護令状請求権(適正手続きの権利)を無効にする初めての、あけすけな法律で、1789年の権利章典の事実上の廃止だ。
1月5日、ペンタゴンでの驚くべき演説で、オバマは、軍は海外で"領土と国民を守る" 用意があるのみならず、"本土"で戦い、"当局への支援"を行うと述べた。言い換えれば、不可避の市民暴動が起きた際には、米軍兵士がアメリカの都市の市街に配備されるのだ。
アメリカは、今やまん延する貧困と野蛮な監獄の国だ。オバマの下で、14兆ドルの公的資金の、ウオール街の犯罪的大企業への移転を引き起こした、過激な"市場"主義の結果だ。犠牲者の大半は、初めての黒人大統領に裏切られた、若い失業者、ホームレス、投獄されたアフリカ系アメリカ人だ。
永久戦争国家の歴史的・必然的帰結は、今のところ、まだファシズムではないが、いかなる目に見える形の民主主義でもなく、11月までニュースを消費し続ける気休めだけの政治とは無関係だ。
ワシントン・ポストは、大統領選挙戦は、"経済についての全く異なる見解に根ざす哲学の衝突が特徴となろう。"と書いている。これは明白な欺まんだ。
大西洋両岸におけるジャーナリズムの限定された課題は、政治的選択など全く存在しないのに、政治的選択をするフリを生み出すことなのだ。
同じ影は、社会民主主義の信仰個条が二世代前に、中央銀行の独裁者連中に敗北したイギリス全土と、ヨーロッパの大半を覆っている。海賊のような大企業が"法的に"回避した税金の額さえも越える、デービッド・キャメロンの"大きな社会"による職とサービス上での84億ポンド窃盗。責められるべきは極右ではない。
こういうことが起きることを許してしまった臆病なリベラル政治文化は、"独り善がりの狂信の一種たりえる。"とハウル・ウイリアムスが9/11攻撃の後に書いている。トニー・ブレアは、そうした狂信者の一人だ。大切にしていると主張する自由に対する、経営者的な無関心さで、ブルジョアのブレア派イギリスが、前の世紀に作られたもの全部を合わせたより多い、3,000もの新たな刑法上の罪や法律によって、監視国家を造り出したのだ。
警察は明らかに、自分たちは殺人をしても刑事免責されると確信しているのだ。CIAの要求で、ベンヤム・モハメッドの様な例、無辜のイギリス居住者が拷問され、グアンタナモ湾に5年間拘留された件は、拷問をする連中、つまり"諜報機関"を守るために、イギリスの秘密法廷で処理される。
この目に見えない状態が、追放された絶望から立ち上がり、ポート・ルイスやロンドンの街頭で、正義を要求するチャゴス諸島の島民と、ブレア政権が戦うことを許してしまっている。
"違法行為さえして、面と向かって、直接行動をした時、人は初めて、気付いてもらえるのです" とリセットは言った。"そして、あなた方が小さければ小さいほど、あなた方は、他の人々に対して、より大きな模範になれるのです。" これが、いまだに"私に何が出来るだろう?"と問う人々に対する、雄弁な答えだ。
リセットの小柄な姿を最後に見かけたのは、イギリス国会議事堂外で、土砂降りの雨の中、仲間達と共に立っている時だった。私が感動したのは、長続きする彼らの抵抗する勇気だ。腐敗した権力が、それが雪の下のタネであることを知っていて、何よりも恐れているのは、このあきらめることに対する拒絶なのだ。
www.johnpilger.com
記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article30303.htm
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記事、沖縄や本土にある宗主国基地を思い起こさせる。日本にある宗主国基地、宗主国の理由なき民間人虐殺に直結している。誇張と思われる方がおられたら、2008年の翻訳をご一読頂きたい。
三沢のパイロット「最も功績ある飛行」の栄誉を受ける
国会での、どじょう氏の美辞麗句・無内容な消費税増税、比例代表議席削減強行決意演説に時間をさく元気はない。
同じ影は、66年前、坂の下帝国が世界最大のならずもの国家に敗北したこの国を覆っている。
SPEEDI放射能予測データを、国民には隠し、無用な被曝をさせておきながら、オトモダチ宗主国には、しっかり即座に献上していた属国傀儡政権。
とんでもない茶番ドタバタ喜劇を演じていただろうし、今も演じているであろう、原子力対策本部、議事録は存在しない。犯罪人集団による意図的な証拠隠滅、なぜ連中、逮捕されないのだろう。
そして、電力「余裕6%」公表せず。
嘘つきと詐欺師と売国奴と泥棒ばかりが支配者では国民は浮かばれない。酷民。
足尾鉱毒事件、水俣病、そして「原発賠償1万人規模で申し立てへ 南相馬市小高区の住民ら」
IAEAという原発推進の為の国際組織が日本に常駐すれば、原発推進強化にしかならないだろう。
60年か40年は、しっかり稼働し、新設が実現したり、六ヶ所村の再処理場稼働やら、もんじゅ稼働まで、実現するのではないだろうか?日本全土オンカロ状態。対イラン戦争、おそらく、ニホンの原発推進という役割もになっているだろう。石油がない!原発再稼働だ!
泥棒や詐欺連中が全て追い落とされ、これまで原発や、基地や、対米従属に反対してきた政治家が議席を増やすという、ごく当然の変化が起きるのでなく、逆に、原発や、基地や、対米従属に反対してきた政治家が比例代表議席削減で完全に消滅し、ニホンオオカミに継いで絶滅生物のリストに追加される、不思議な属国。
まともな政治家達の消滅は、まともな国民の消滅を意味するだろう。北朝鮮を笑う皆様、自ら北朝鮮以下の政治を選ぼうと手ぐすねをひいておられるようだう。良い制度を破壊するのは、低劣な政治家でも出来る。宗主国が調べ尽くした、目障りな制度リストの項目を上から潰して行けば良い。
対米従属財閥や、マスコミが一緒になって、推進に協力してくれる。郵政のみならず、日本破壊、軍港地盤の政治家でも簡単にできた。不思議に思うのは、子がエリート政治家として扱われていること。人気俳優になるのならわかるが。父親も俳優としては素晴らしかったのかも知れない。
新聞やテレビ、来る選挙で、"原発・基地・対米政策について、全く異なる見解に根ざす哲学の衝突が特徴となろう。"と書くことはないだろう。もし書いたとすれば、明白な欺まんだ。太平洋両岸におけるジャーナリズムの限定された課題は、政治的選択など全く存在しないのに、政治的選択をするフリを生み出すことなのだ。
John Pilger
2012年1月20日
"Information Clearing House"
先日、リセット・タレトが亡くなった。か細いが、たくましく、並外れて知的で、決意で悲しみをおし隠した女性を覚えているが、存在感があった。彼女は対民主主義戦争に反対する民衆抵抗の化身だった。初めて彼女をちらりと見たのは、アフリカとアジアの中間、インド洋に暮らす、とても小さな混血民族、チャゴス諸島の住民達にまつわる1950年代イギリス植民省の映画の中だ。
カメラは左右ぐるりと、自然の美と平穏という場面の中におかれ、栄えている村々、教会、学校、病院を撮影していた。リセットは、プロデューサーが、自分や十代の友人達に向かって、"女の子たち、微笑んでいるように!"と言っていたのを覚えていた。
何年も後に、モーリシャスの自宅キッチンに座って彼女は言った。"笑えなんて言われる必要はなかったのです。私は幸せな子供でしたから、私のルーツはあの諸島、私の天国に深く根ざしていますから。曽祖母はあそこで生まれました。あそこで私は子供を六人産みました。
それで、連中は私たちを、法的に、自宅から追い出すことはできなかったのです。彼らは我々を脅して、家から出るようにさせるか、追い出すしかなかったのです。最初連中は、私たちを飢えさせようとしました。食糧船がやって来なくなり[それから]連中は、我々は爆撃されると、うわさを流し、連中は私たちの飼い犬に向かったのです。"
1960年代初期、ハロルド・ウィルソンの労働党政権は、本島デイエゴ・ガルシアに軍事基地を建設できるようにするため、イギリス植民地のチャゴス諸島の2,500人の住民を、"一掃"し"浄化"するようにというワシントンからの要求に、密かに合意していた。
"連中は、私たちをペットから引き離せないことを知っていたのです"とリセットは言った。"基地建設の為にやってくると、アメリカ兵士は、私たちがココナツを蓄えていたレンガ作りの小屋に向け、大きなトラックをバックさせたのです。私たちが飼っていた何百匹もの犬が集められ、そこに閉じ込められました。それから、連中は、トラックの排気ガスをチューブで送り込み、排気ガスで殺したのです。犬達の鳴き声が聞こえました。"
リセットと家族や、何百人もの島民は、4000キロも離れたモーリシャス行きのさびかけた蒸気船に無理やり乗せられた。彼らは貨物の肥料、つまり鳥の糞を積んだ船倉で眠らされた。天候は不順だった。全員が病気になった。二人の女性が流産した。
ポート・ルイスの埠頭に放り出されたリセットの一番幼い子供、ジョリスとレジスは、それぞれ一週間のうちに亡くなった。"二人は悲しみのあまり亡くなったのです"と彼女は言う。"二人は、犬に起きたことについての話を全て耳にし目にしたのです。二人は家には永遠に戻れないことを知っていました。モーリシャスの医者は悲しみは治せないと言いました。"
この大量拉致行為は極秘のうちに実施された。"絵空事と主張する"という見出しの公式ファイルの一つの中で、"再分類し" 住民を"流動的"とし、"我々が進めるのにあわせて、法律を作り" 彼らの行為に蓋をするように、外務省法律顧問は同僚達に強く勧めていた。国際刑事裁判所の法規の第7条には、"住民の国外追放、あるいは強制移送"は、人類に対する犯罪だとある。
イギリスが、アメリカのポラリス原子力潜水艦の1400万ドル値引きと引き換えに、そのような犯罪を冒したということは、チャゴス諸島米軍基地が完成した際に、国防省が招いたイギリスの"防衛担当" 特派員の一団にとって重要項目ではなかった。"当方のファイルには何もありません"と省の役人は言った。"住人や疎開については。"
今日、デイエゴ・ガルシアは、アメリカとイギリスの対民主主義戦争に不可欠だ。イラクとアフガニスタンに対する猛爆撃は、考古学遺跡のごとく立っている島民達が放棄した墓地と教会を越えて、そこの広大な飛行場から行われた。
リセットがカメラに向かって微笑んでいた、ひな壇式庭園は、今やコウモリのような姿のB-2飛行機によって、二つの大陸にある標的に向けて運搬される"バンカー・バスター"爆弾を保管する要塞だ。対イラン攻撃はここから始まる。
あたかも凶暴な犯罪的権力の紋章を完成するためであるかのように、CIAは、"移送される" 犠牲者用に、グアンタナモ型お監獄まで作り、それをキャンプ・ジャスティス(正義収容所)と呼んだ。
リセットの天国に対してなされたことには、喫緊の共通の意味がある。それは民主的なうわべの背後にある制度全体の、暴力的で、冷酷な本性を示しており、我々自身が、救世主的な想定に教化されている度合いを、ハロルド・ピンターは"見事な、機知に富んだとさえ言える、極めて成功した催眠術行為"と表現している。
1945年以来のどの戦争よりも長く、より残忍に、悪魔のような武器やギャング行為を用い、経済政策を装い、時として、グローバル化として知られ、遂行されている対民主主義戦争は、西欧のエリート界では口にするのが、はばかられている。
ピンターが書いている通り、"それが起きていていた間でさえ、それは決して起きてはいなかったのだ。" 昨年7月、アメリカ人歴史学者ウイリアム・ブルムが"アメリカ外交政策の記録概要・最新版" を公開した。第二次世界大戦以来、アメリカは:
1 その大半が民主的に選出された50以上の政権を打倒しようと試みた。
2 20ヶ国で、人民主義や愛国的運動を抑圧しようと試みた。
3 少なくとも30ヶ国で、民主的な選挙に甚だしく介入した。
4 30ヶ国以上の国民に、爆弾を投下した。
5 50人以上の外国指導者の暗殺達試みた。
合計すると、アメリカ合州国は、こうした行為の一つまたは複数を、69ヶ国で遂行してきた。ほとんど全ての場合、イギリスは協力者だった。"敵"は、共産主義からイスラム教へと名前こそ変わったものの、大半は、西欧大国から独立した民主主義の勃興や、チャゴス諸島のように、戦略的に有用な地域に存在している社会で、犠牲にしてかまわないと見なされたものなのだ。
犯罪性はもちろんのこと、苦難の絶大な規模、世界で最も進んだ通信、名目上、最も自由なジャーナリズムと、最も尊敬されている学界が存在しているにもかかわらず、西欧でほほとんど知られていない。
テロ、つまり西欧のテロの最も多くの犠牲者はイスラム教徒であることは、知られていたとしても、口に出してはいけないことなのだ。1990年代に イギリスとアメリカが課した禁輸措置の結果、50万人のイラク人幼児が亡くなったことなどには関心はないのだ
。9/11をひき起こすに至った、あの過激な聖戦思想は、西欧の政策を実施するための武器("オペレーション・サイクロン")として育成されたのだが、専門家達には知られていたものの、それ以外に対しては隠されていた。
イギリスとアメリカの大衆文化は、第二次世界大戦勝者向けの倫理的浴槽に浸る一方、英-米による支配から生じる資源豊富な地域でのホロコーストは忘却の彼方に消えている。
サッチャーによって、"我々の仲間"として聖別されたインドネシアの暴君スハルトのもとで、百万人以上の人々が虐殺された。
CIAが"二十世紀後半で最悪の大量虐殺"と書いた推計は、西欧の黙認、イギリス戦闘爆撃機や、機関銃によって、餓死したか、虐殺された、東チモール住民の三分の一を含んでいない。
こうした本当の話は、ロンドン公文書館にある機密解除されたファイルの中で語られてはいても、政治と権力行使の全体的規模の意味は世論から締め出されている。
これは威圧的ではない情報管理をする政権、一般消費者向け広告という福音主義の呪文から、BBCニュースで流れる短い語句や、今のはかないソーシャル・メディアに至るまで、様々なものによって実現されているのだ。
監視役としての作家は絶滅したか、だますには、余りに賢明だと確信して、反社会的行動という社会精神のとりこになってしまったもののようだ。強欲な権力の犯罪を正当化するのを認めて欲しがっていた戦争愛好者、クリストファ・ヒッチンスを神格化しようとして、ごますり連中が殺到するのを、我々は目の当たりにしている。
"200年間で初めて" テリー・イーグルトンは書いている。"西欧風生活様式の基盤を疑問に思う覚悟がある、優れたイギリス詩人も、劇作家も、小説家もいない。" 全体主義によって堕落させるために、我々は全体主義の社会で暮らす必要などないと警告するオーウェルはいない。
貧者のために語るシェリーはおらず、展望を指し示てくれるブレークはおらず、"歴史を読んだことのある誰から見ても、不服従こそが、人間独自の徳性だ"ということを想起させてくれる、ワイルドはいない。そして悲しいかな、アメリカン・フットボールの試合での様に、戦争機構に対して激怒するピンターはいないのだ。
ハレルヤ
全ての良きことに対し神を讃えよ …
連中のボールを塵埃にしてしまう
全くの塵埃に…
西欧暴力の希望とチェンジの申し子バラク・オバマによって、全ての生命が、塵埃として吹き飛ばされてしまう。オバマ無人機の一機が、パキスタンや、ソマリアや、イエメンの遥かかなたの部族地域の一家を全員せん滅すると、コンピューター・ゲーム画面の前にいるアメリカ人管制官は、"虫退治済み"と入力する。
オバマは無人機が好きで、無人機について、ジャーナリスト相手に冗談を言っている。
大統領としての、彼の最初の仕事の一つは、パキスタンで74人を殺害したプレデター無人機の、波状攻撃を命じることだった。彼は、それ以来何千人も殺害しており、その大半は民間人だ。無人機は子供たちの肺から空気を吸い出し、低木で覆われた土地全体に臓器を花綱状に散乱させる、ヘルファイア・ミサイルを発射するのだ。
ブランド・オバマが大統領に選出された際の、涙の痕跡がついた見出しを想起されたい。"極めて重大で、ワクワクする":ガーディアン。サイモン・シャマはこう書いた。"アメリカの未来は、素晴らしく、神秘的で、形を成しておらず、目まいがするようだ …" サンフランシスコ・クロニクルのコラムニストは、彼に霊的な "地球上での、新たな生き方を導くことができる光の使者を見た。"と書いた。
たわごとはさておき、偉大な内部告発者、ダニエル・エルズバーグの予言通り、軍事クーデターがワシントンで起きたのだが、オバマは連中の仲間だった。
反戦運動を事実上の沈黙状態へとたぶらかし、彼はアメリカの腐敗した軍幹部層に、未曾有の国家と交戦の権力を与えたのだ。これには、アフリカでの戦争の可能性と、アメリカ最大の債権者で、アジアにおける新たな"敵"である中国に対する挑発の機会も含まれている。
オバマのもとで、昔からおなじみの公式妄想症の源ロシアは、弾道ミサイルで包囲され、ロシアの反体制派にはスパイが潜入している。軍とCIAの暗殺チームは120ヶ国に派遣されている。長年温められてきたシリアとイランへの攻撃は、世界大戦を招き寄せている。
代理として、アメリカの暴力と無法さの模範たるイスラエルは、更なるパレスチナ領土を盗み取ることに対するオバマの承認と共に、30億ドルもの毎年の小遣いをもらったばかりだ。
オバマの最も"歴史的な"実績は、民主主義に対する戦争を、アメリカ国内に持ち込んだことだ。
彼は大みそかに、外国人でもアメリカ国民でも、拉致し、無期限に拘留し、尋問し、拷問し、殺害さえする法律上の権利を、ペンタゴンに対して認める法律、2012年国防権限法(NDAA)に署名した。
ペンタゴンは、アメリカ合州国に対して"攻撃的な"連中との"関連付け"さえできれば良いのだ。法律の保護も、裁判も無く、法的代理人も無いのだ。
これは、人身保護令状請求権(適正手続きの権利)を無効にする初めての、あけすけな法律で、1789年の権利章典の事実上の廃止だ。
1月5日、ペンタゴンでの驚くべき演説で、オバマは、軍は海外で"領土と国民を守る" 用意があるのみならず、"本土"で戦い、"当局への支援"を行うと述べた。言い換えれば、不可避の市民暴動が起きた際には、米軍兵士がアメリカの都市の市街に配備されるのだ。
アメリカは、今やまん延する貧困と野蛮な監獄の国だ。オバマの下で、14兆ドルの公的資金の、ウオール街の犯罪的大企業への移転を引き起こした、過激な"市場"主義の結果だ。犠牲者の大半は、初めての黒人大統領に裏切られた、若い失業者、ホームレス、投獄されたアフリカ系アメリカ人だ。
永久戦争国家の歴史的・必然的帰結は、今のところ、まだファシズムではないが、いかなる目に見える形の民主主義でもなく、11月までニュースを消費し続ける気休めだけの政治とは無関係だ。
ワシントン・ポストは、大統領選挙戦は、"経済についての全く異なる見解に根ざす哲学の衝突が特徴となろう。"と書いている。これは明白な欺まんだ。
大西洋両岸におけるジャーナリズムの限定された課題は、政治的選択など全く存在しないのに、政治的選択をするフリを生み出すことなのだ。
同じ影は、社会民主主義の信仰個条が二世代前に、中央銀行の独裁者連中に敗北したイギリス全土と、ヨーロッパの大半を覆っている。海賊のような大企業が"法的に"回避した税金の額さえも越える、デービッド・キャメロンの"大きな社会"による職とサービス上での84億ポンド窃盗。責められるべきは極右ではない。
こういうことが起きることを許してしまった臆病なリベラル政治文化は、"独り善がりの狂信の一種たりえる。"とハウル・ウイリアムスが9/11攻撃の後に書いている。トニー・ブレアは、そうした狂信者の一人だ。大切にしていると主張する自由に対する、経営者的な無関心さで、ブルジョアのブレア派イギリスが、前の世紀に作られたもの全部を合わせたより多い、3,000もの新たな刑法上の罪や法律によって、監視国家を造り出したのだ。
警察は明らかに、自分たちは殺人をしても刑事免責されると確信しているのだ。CIAの要求で、ベンヤム・モハメッドの様な例、無辜のイギリス居住者が拷問され、グアンタナモ湾に5年間拘留された件は、拷問をする連中、つまり"諜報機関"を守るために、イギリスの秘密法廷で処理される。
この目に見えない状態が、追放された絶望から立ち上がり、ポート・ルイスやロンドンの街頭で、正義を要求するチャゴス諸島の島民と、ブレア政権が戦うことを許してしまっている。
"違法行為さえして、面と向かって、直接行動をした時、人は初めて、気付いてもらえるのです" とリセットは言った。"そして、あなた方が小さければ小さいほど、あなた方は、他の人々に対して、より大きな模範になれるのです。" これが、いまだに"私に何が出来るだろう?"と問う人々に対する、雄弁な答えだ。
リセットの小柄な姿を最後に見かけたのは、イギリス国会議事堂外で、土砂降りの雨の中、仲間達と共に立っている時だった。私が感動したのは、長続きする彼らの抵抗する勇気だ。腐敗した権力が、それが雪の下のタネであることを知っていて、何よりも恐れているのは、このあきらめることに対する拒絶なのだ。
www.johnpilger.com
記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article30303.htm
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記事、沖縄や本土にある宗主国基地を思い起こさせる。日本にある宗主国基地、宗主国の理由なき民間人虐殺に直結している。誇張と思われる方がおられたら、2008年の翻訳をご一読頂きたい。
三沢のパイロット「最も功績ある飛行」の栄誉を受ける
国会での、どじょう氏の美辞麗句・無内容な消費税増税、比例代表議席削減強行決意演説に時間をさく元気はない。
同じ影は、66年前、坂の下帝国が世界最大のならずもの国家に敗北したこの国を覆っている。
SPEEDI放射能予測データを、国民には隠し、無用な被曝をさせておきながら、オトモダチ宗主国には、しっかり即座に献上していた属国傀儡政権。
とんでもない茶番ドタバタ喜劇を演じていただろうし、今も演じているであろう、原子力対策本部、議事録は存在しない。犯罪人集団による意図的な証拠隠滅、なぜ連中、逮捕されないのだろう。
そして、電力「余裕6%」公表せず。
嘘つきと詐欺師と売国奴と泥棒ばかりが支配者では国民は浮かばれない。酷民。
足尾鉱毒事件、水俣病、そして「原発賠償1万人規模で申し立てへ 南相馬市小高区の住民ら」
IAEAという原発推進の為の国際組織が日本に常駐すれば、原発推進強化にしかならないだろう。
60年か40年は、しっかり稼働し、新設が実現したり、六ヶ所村の再処理場稼働やら、もんじゅ稼働まで、実現するのではないだろうか?日本全土オンカロ状態。対イラン戦争、おそらく、ニホンの原発推進という役割もになっているだろう。石油がない!原発再稼働だ!
泥棒や詐欺連中が全て追い落とされ、これまで原発や、基地や、対米従属に反対してきた政治家が議席を増やすという、ごく当然の変化が起きるのでなく、逆に、原発や、基地や、対米従属に反対してきた政治家が比例代表議席削減で完全に消滅し、ニホンオオカミに継いで絶滅生物のリストに追加される、不思議な属国。
まともな政治家達の消滅は、まともな国民の消滅を意味するだろう。北朝鮮を笑う皆様、自ら北朝鮮以下の政治を選ぼうと手ぐすねをひいておられるようだう。良い制度を破壊するのは、低劣な政治家でも出来る。宗主国が調べ尽くした、目障りな制度リストの項目を上から潰して行けば良い。
対米従属財閥や、マスコミが一緒になって、推進に協力してくれる。郵政のみならず、日本破壊、軍港地盤の政治家でも簡単にできた。不思議に思うのは、子がエリート政治家として扱われていること。人気俳優になるのならわかるが。父親も俳優としては素晴らしかったのかも知れない。
新聞やテレビ、来る選挙で、"原発・基地・対米政策について、全く異なる見解に根ざす哲学の衝突が特徴となろう。"と書くことはないだろう。もし書いたとすれば、明白な欺まんだ。太平洋両岸におけるジャーナリズムの限定された課題は、政治的選択など全く存在しないのに、政治的選択をするフリを生み出すことなのだ。
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