欧州直接統治へ進む国際金融資本
2011-11-27

ギリシャのEU・ユーロ加盟にあたって、当時の右派政権に粉飾決算を指導したのがゴールドマン・サックス系統であったことが、公になっているが、そのゴールドマン・サックスの系統が続々と欧州の中央銀行、財政、政治権力を握りだしている。
欧州ソブリンショックの仕掛け人たちが、欧州経済の政治権力を握りつつあるわけだ。
もちろん金融寡頭勢力の機関は、目立っているゴールドマン・サックスだけではない。
実行部隊はウォール街、ロンバード街、オランダとベルギー、チューリッヒ、そしてロンバルジアに巣食う国際金融資本の連合体である。
日本のバブルを仕掛けたソロモン・ブラザースが、バブル崩壊で資金収奪が終わると即座に解散したように、またリーマン・ブラザースがデフォルトして逃亡したように、実行部隊の金融法人は使い捨てである。
その背後には国際金融資本「家」と西欧王族が手綱を握っている。
ユーロ、EUの最初の芽生えであった戦後の欧州石炭同盟が、大戦で焼け太った米国の欧州系金融勢力が主導していたことも偶然ではないだろう。
ヨーロッパ共同体は、とりたてて平和とか人道とか、友愛とか、クーベルタンの「理想」などに導かれて出来たわけではないのは自明のことだ。
欧米を支配する金融寡頭勢力が、自らの資産拡大と蓄積を有利に運ぶために作った道具である。
ユーロによる金融統治。
欧州勤労大衆および国家主権との裂け目が広がり、あらわになってしまった。
ユーロは国民国家の夢と共に使い捨てられるか。
「破滅するユーロか、破滅する国家か」
ちなみに、引用記事の「新民主主義」と言うのは、ビルダーバーグなどの国際金融資本会議の世界連邦政府論における政治体制の概念。
市場原理主義、新自由主義の強力政治版程度の意味である。
普通の「民主主義」とは逆の意味。
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新民主主義の価値とは?ゴールドマン・サックスがヨーロッパを下す 11/18インデペンデント紙 11/20 seetellから
ゴールドマン・サックス証券が日本でどれほどの影響力を持っているか、不思議に思うかもしれない。だが皆さんの中には、次のことをご存じの方もいるだろう。
The Independentより
マリオ・モンティ氏のイタリア首相就任は、数え切れないほどの理由で注目に値する。スキャンダルをまき散らしたベルルスコーニ氏をモンティ氏に代えることで、イタリアは排除不可能だったものを排除した。選挙を経ていない専門家が作ったルールに則り、民主主義の通常のルール、ひょっとすると民主主義自体を一時的に停止させた。
ゴールドマン・サックスの上級アドバイザーをヨーロッパの一国の首脳にさせたことで、この投資銀行にかつてないほどの政治的権力が与えられた。このことについて、政治的にひどく有害ではないか、と考えた方もいるだろう。
最も重要なことは、これはゴールドマン・サックス計画にとって大きな前進であり、最大の成功とすら言えるかも知れない、と言うことだ。
モンティ氏だけのことではない。公的債務ドラマのもう一人の役者、欧州中央銀行は、ゴールドマン出身者の経営に委ねられた。
そしてこの投資銀行の出身者たちは、金融危機を通してアメリカでやってきたように、ほぼ全ての欧州各国で幅をきかせている。11月16日の水曜日までは、国際通貨基金(IMF)欧州部門もまたゴールドマンのアントニオ・ボルヘス氏が率いていた。個人的な理由で退職したが。
イタリア激変の以前、ゴールドマン・サックスが「吸血鬼部隊」というニックネームの汚名を濯ぐ予兆すらなかったのに、今はその触手をユーロ圏の頂点へとのばし、その影響に対して懐疑的な声が上がっている。
今後数週間に下される政治的な決定が、ユーロ圏に負債を払いきれるかどうかを決める。そしてゴールドマン・サックスの利益は、その答と複雑に結びついている。
元IMFエコノミストのSimon Johnson氏はその著作「13Bankers」で、ゴールドマン・サックスなど大手銀行は金融危機の前段階で政府と非常に緊密になり、アメリカは事実上の金融寡頭制だった、と議論を展開した。
Johnson氏によれば、少なくとも欧州の政治家は、アメリカのようには企業に「買収され」ていない、という。「代わりにヨーロッパで得られるのは、政府のエリートや銀行家が共有する世界観、共有するゴール、そして相互に幻想を強化し合うこと、です。」
これがゴールドマン・サックス計画だ。単純に言えば、政府をぎゅっと抱きしめることだ。
どんなビジネスでも、自分たちを妨害する監督官や減税してくれる政治家への働きかけで優位に立ちたいと思うが、これはただのロビー活動ではない。
ゴールドマンは政府にアドバイスをするだけでなく、融資し、公的機関に人材を送り、政府出身者の目前に儲かる仕事をぶら下げる。
この計画で非常に深く人材・アイディア・金を行き来させたため、公的利益とゴールドマンの利益を分けることが難しくなってしまった。
…………
良いコネのある議員を政府から選ぶことは、計画の半分にすぎない。残りの半分は、ゴールドマン出身者を政府に送り込むことだ。
モンティ氏同様、11月1日に欧州中央銀行総裁の役職を引き継いだマリオ・ドラギ氏も政府にいたこともあれば、ゴールドマン・サックスにいたこともある。世界銀行のメンバーの一人であり、かつてゴールドマン・サックスで2002年から2005年の3年間に取締役を務める前は、イタリア財務相の責任者だった。
つまり、政府から一旦ゴールドマンに出て、今度はイタリアの中央銀行総裁として戻っていったワケである。
ドラギ氏は、10年前にイタリアなど数カ国がユーロ圏周辺で、無理矢理単一通貨に押し込めようとして行われた不正な経理操作、という批判につきまとわれている。
複雑なデリバティブ取引によって、イタリアとギリシャは政府負債の見かけの大きさを小さく見せることが出来た。
ユーロ圏では、政府負債は経済規模の60%を越えてはならないと決まっている。そのデリバティブ取引の背後にいたのが、ゴールドマン・サックスの人々だった。
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