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完全収奪を狙う米国TPP

 シカゴ
  9/5 シカゴ レイバー・デイ

 左右を問わず、業界を問わずに反対が大半を占めるTPP。
 対米盲従集団のマスコミと野田政権が推進を公言し、勝手に参加を表明した。
 国民的な利害関係では、まさしく1%の利益者と99%の被害者だ。
 そして、米国国民の利害もまさしく利益は1%の者が取り、99%は被害者となる。

 以下は、この内容を波及する結果をも含めて、極めて簡明に網羅した解説。
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破綻した小泉改革の完全徹底 TPP・外資規制は損害賠償
米国に従い貿易障壁全廃    11/11  長周新聞

 野田首相は10日にTPP(環太平洋経済連携協定)への参加表明をするとしていたが、「もう1日考えさせてほしい」と、11日に延期した。日本の国の形を根本から変えてしまうような協定締結に当たって、菅前首相とそれをひき継いだ野田首相も内容を明らかにしないまま進めようとしてきた。

 「平成の開国」や「反対する農業者は抵抗勢力」という構図を作り上げ、政府やマスコミが一体となって、内容を国民に隠したまま決定しようとしている。国会論議さえなく、与党・民主党内でも反対が多数であるなかで、それに聞く耳なくアメリカとのあいだで「奴隷条約」を約束してしまうというのである。
 国会も主権在民も無視した行動に怒りが噴き上がっている。農漁民、医療関係者の活発な行動とともに、知識人の発言も活発化している。
 
 日本の工業製品輸出も増えず

 TPPとは小泉構造改革の積み残しを最後的にやってしまうというものだ。
 交渉内容はほとんど明らかにされていないが、アメリカがTPPを利用して貿易協定による関税引き下げばかりでなく情報・通信、日本郵政、保険、運輸、農業、医療、その他さまざまな分野で具体的な対日要求を突きつけようとしていることが、「日米経済調和対話」(2011年2月に明らかになった)で明確になっている。

 深刻な不況と失業を解決できないアメリカのオバマ大統領がうち出した輸出倍増計画の一環であり、日本への輸出を倍増することでアメリカの雇用を確保し、郵政民営化や金融の自由化で日本の株式や資産を勝手に運用して根こそぎ巻き上げてしまうという話だ。

 財界やマスコミは「TPPに参加して成長するアジアを取り込む」「国際競争力をつければ日本は成長する」とTPP参加を強力に推進しているが、日本の最大の貿易相手国である中国や韓国、インドなどは参加しておらず、実質上日米二国間の貿易協定となる。
 日本にとってTPP参加によって関税が撤廃されたところで、すでにアメリカ市場における関税は家電製品で5%、乗用車は2・5%にすぎない。しかも自動車産業などは、すでに六割以上をアメリカで現地生産しており、日本からの輸出を促進するメリットはないに等しい。

 これまで日本が各国と結んできたFTAやEPAとの決定的な違いは「一切の例外を認めない」という点。
 FTAでは一割ほど例外品目が設けられており、米韓FTAでも韓国は主食のコメを例外品目としている。
 FTAやEPAを結ぶ際、ほとんど「ポジティブ・リスト方式」(自由化対象だけを記載する)をとってきたが、TPPではリストに記載した物だけを適用対象としない「ネガティブ・リスト方式」をとっており、それ以外は基本的に自由化を求められるようになる。

 慶応大学教授・金子勝氏は「TPP推進派は、“とりあえず交渉に入ってから”というが、いったん交渉に参加すれば、ずるずると先送りすれば何とかなるという日本的な“意志決定”は通用しない。
 TPPに参加すれば、ネガティブ・リストに記載されていないものは自由化が基本なので、常に米国側が正当性を持つ状況の下で、永続的に米国政府および米企業から要求が出され続けるという泥沼に陥りかねない。
 それは小泉『構造改革』でもできなかったほどの小泉『構造改革』路線に他ならない」とのべている。

 京都大学院工学研究科助教・中野剛志氏は、アメリカにとってTPPとは「他国の雇用を犠牲にして自国の雇用を増やそうという近隣窮乏化政策」であり、これは1930年代の世界恐慌時に、各国が為替の切り下げや経済のブロック化、侵略など帝国主義的な政策によって輸出市場を獲得しようとしたことと酷似していることに警鐘を鳴らしている。

 金融資産略奪狙う米国 農協共済名指し

 アメリカの最大の狙いは金融と投資、なかでも簡保の完全民営化であることをジャーナリスト・東谷暁氏は指摘している。
 TPPに参加してしまえば、アメリカはTPPに含まれる「市場アクセス条項」や「内国民待遇条項」によって市場の開放を迫ることができる。
 「アメリカが1990年代以降、『年次改革要望書』や『日米投資イニシアティブ』などで、多くの妥協を日本に迫ってきた分野。
 アメリカは金融ビッグバンを日本に要求し、また小泉政権時代には郵政民営化と三角合併の解禁という形で目的の一部を実現した」こと、さらに民営化したのち、簡保を最終的には分割、解体、経営破綻に追い込み、M&Aや営業譲渡などさまざまな手段で120兆円にのぼる資産をアメリカ系民間保険会社に吸収させることが狙いであることを明らかにしている。

 また今年3月にアメリカが発表した「2011年外国貿易障壁報告書」の注目すべき部分として農協共済をあげていることを指摘し、「TPP参加後は、農協共済の株式会社化と市場開放を要求してくることを意味している」とのべている。

 公益否定し営利産業に 医療、労働、公共事業

 医療分野では、とくに高額医療の保険外診療を拡大して、保険診療との「混合診療」を全面解禁させていく可能性を、日本医師会をはじめ多くの関係者が危惧している。
 アメリカ通商代表部が公表した2007~2010年の『外国貿易障壁報告書』では、医療に関連する対日要求は年を経るごとに詳細になってきている。

 日本福祉大学教授・二木立氏は、「とくにオバマ政権が成立した2009年を境に、それまでの医薬品・医療機器分野における規制改革要求と保険分野および医療サービス分野における参入障壁撤廃要求に加え、新たに医療IT分野の規制改革要求をとりあげることになったのは注目される」とのべ、「TPPに参加した場合には、アメリカの市場開放要求が格段に強まり、日本医療の市場化・営利化が進むことは確実だ」と指摘している。

 食品の安全基準の分野でも、牛肉の月齢規制の撤廃、食品添加物や農薬の規制緩和、栄養補助食品・特定保健用食品の販売規制の緩和などを要求している。

 労働分野では、これまでアメリカがさまざまな規制緩和を要求してきて、「派遣の自由化」などをしてきた。さらにまだ実現していないものとして、労働者派遣法のさらなる緩和、確定拠出型年金の規制緩和、ホワイトカラー・エグゼンプション(ホワイトカラーを労働基準法の適用対象から外しタダで長時間残業させる制度)の導入、「解雇紛争への金銭的解決の導入」の四点があげられている。

 作家・関岡英之氏は「アメリカ人が考える国際投資戦略とは、相手国のどんな企業を買収し、いかに転売して売却益を稼ぐかが目標となる」ことを指摘。
 多くの従業員や不動産などの資産を抱えながら、一時的な業績低迷のために株価が割安となっている老舗企業が狙われ易いこと、またこうした企業の株価を短期的に上昇させるためには、従業員をリストラすることがもっとも手っ取り早く、労働の分野において、そうした規制の緩和が要求されることを危惧している。

 さらに移民労働受け入れも出てきており、すでにベトナムとのEPAで看護師・介護福祉士の受け入れが実施されようとしているが、医師、看護師、介護福祉士、弁護士などの資格の問題も起きてくる可能性が指摘されている。

 金子勝氏は、「公共事業においても、日本はすでにWTOの政府調達規定に参加しており、一定金額以上の公共事業では海外の企業は排除されていないにもかかわらず、TPPではその条件の緩和が求められるかもしれない」とのべている。

 またTPPの原則としてアメリカが出しているのが「内国民待遇」。
 外資系企業を国内企業と同等に扱わなければならないという原則で、相手国の国内で、アメリカ系の企業やファンドが自由に利益を追求できるようにさせるということだ。
 「内国民待遇」の原則は、これまでアメリカが各国に要求しようとして拒否されてきた内容であり、この原則が採用されれば国内産業を守るための新たな規制の導入は不可能になることが指摘されている。

 また関岡氏は、「特定措置」の履行要求の禁止条項、「収用と補償」条項、「投資家対国家の紛争解決状況」について指摘している。
 とくに「収用と補償」条項について、アメリカが「間接収用」という概念を持ちだしてから、極めて危険なルールに変質したとして、「資産などが接収されたり、物理的な損害を受けていない場合でも、現地国政府の法律や規制のせいで外資系企業の営利活動が制約された場合、損害賠償を請求するという途方もない拡大解釈」であり、「間接収用」で「被害」を受けた外資が相手国政府に損害賠償を請求することができるようになり、この「投資家対国家の紛争解決」が、世界銀行参加の国際投資紛争解決センターなどに訴えられるようになり、そこでの判定の基準は「被告とされた国家の政策の必然性や妥当性ではなく、“外資が損害を被ったか否か”というただ一点」というむちゃくちゃな制度であることを強調している。

 国内搾り米国債を購入 小泉改革上回る収奪

 小泉構造改革で、独占禁止法改正、大規模小売店舗法廃止、建築基準法改正、労働者派遣法改正、人材派遣の自由化、郵政民営化など、アメリカの要求に従って規制緩和を進めてきた。
 その結果地方交付税の削減、公共事業の削減、社会保障費の抑制のための医療、介護、生活保護など「聖域のない」改革によって、医療・介護の崩壊、若者の働く場が奪われ、地域を支える人材も税収もしぼみ、地域経済・財政の存立基盤そのものが揺るがされてきた。
 すでに破綻した方向をさらに突っ走ろうというものだ。

 日本金融財政研究所所長・菊池英博氏は、2002年から始まった小泉構造改革の基本方針は緊縮財政政策であり、その結果、前年01年を含む08年までの8年間で国内から91兆円を搾り上げて海外投資や、米国債の購入に充てていることを明らかにしている。

 この海外投資の増加分91兆円は、小泉構造改革で地方交付税・地方交付金と公共投資を削減する緊縮財政をとり、財政支出を削減することで生み出された。
 2000年度の財政支出額を基準として01年度から08年度までの8年間を見ると、交付税交付金では累計で47兆円、公共投資では累計で13兆円、合計で60兆円を地方から召し上げた。
 さらにその期間に、米国債への投資を30兆円強増やしており、これらの合計91兆円が国内から召し上げられてアメリカを中心とする海外に回っていたのだ。

 さらに「輸出企業が潤えば、日本国内は成長する」かのようにいわれたが、この間でもうけた輸出企業は、得たドルを円に交換せず、米国債に投資した。
 リーマン・ショック以前の5年間は、物価や利子率の差が日米間で平均して3%以上に維持されていたからだ。
 アメリカによって日銀の政策金利がほぼゼロに抑えられ、FRBの政策金利は5~6%まで上がった。

 日本になぜ金が回らないで貧困人口が増えたのか。
 この間のアメリカの政策によって、日本の金がみんなアメリカに回るようになっていたから。今の日本の最大の障害は円高だ。アメリカが量的緩和でドルを刷りまくって円高に仕向けてきたからである。

 アメリカはTPPで、日本の収奪を徹底してやろうとしている。政治家や官僚、マスコミのすべてがアメリカのいいなりでTPP推進を叫んでいるが、中国に対抗する軍事同盟とセットで進んでおり、日本がアメリカの代理となって対中戦争の矢面に立つという日本の進路を巡る極めて重要な問題となっている。
 全国で大衆的な政治斗争でたたかわなければ変わらないところにきている。

 市場原理、新自由主義で長年にわたって築き上げてきた生産活動を破壊することはこの間の経過で明らかとなっており、生産を守り、社会的絆を守る大きな政治斗争が待ったなしとなっている。
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 このブログ内のTPP関連ページ一覧リンク

・ 世界通貨戦争(15)自由貿易主義批判Todd
・ 世界通貨戦争(16)米国TPPは100年目の攻撃
・ 世界通貨戦争(17)米国TPPはジャイアン
・ 世界通貨戦争(19)中野剛志TPP批判の要約
・ 世界通貨戦争(20)TPPは日米不平等条約
・ 世界通貨戦争(25)日本マスコミがカットしたオバマ演説
・ 異様なTPP開国論:内橋克人
・ 米国の走狗か社会共通資本か:宇沢弘文
・ TPP推進のため平気で嘘をねつ造するマスコミ
・ TPPは国を揺るがす大問題に発展するか
・ 売国協定となる日米TPP:中野
・ TPP阻止行動が国民的に広がってきた
・ 榊原:TPPの交渉などマスコミ、CIAが後ろから撃つ
・ 破局に向かう世界に新たな流れを
・ アジアに米国の属領ブロックを作るTPP
・ 無知と卑劣で対米盲従する野田某
・ 1%の金持ちと99%の我々:ビル・トッテン
・ TPPのウソと真実:三橋
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